JP2011206754A - 防食方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鋼構造物の表面をチタン箔で被覆して防食する防食方法であって、前記鋼構造物を構成する鋼材の表面上に塗料を塗布して塗料層を形成する塗布工程と、前記塗料層の表面上であって、前記鋼材が有する溶接ビード部の上以外の部分に、前記チタン箔を被覆する被覆工程と、前記塗料層の表面上であって、前記チタン箔が被覆されていない部分に、チタンテープを貼り付ける貼付工程とを具備する防食方法。
【選択図】図2
Description
例えば特許文献1には、鋼構造物の鋼材表面を耐食性金属薄板で被覆する防食方法において、該金属薄板の端部および継ぎ目の下部に防水性粘着テープを有し、前記鋼材表面と前記金属薄板の間の、前記防水性粘着テープを有する以外の部分は、接着剤を塗布してある鋼構造物の防食方法が記載されている(請求項3、4等参照)。そして、このような防食方法は、施工が容易でかつ安価であり、超長期の耐食性を維持できる方法であると記載されている。
本発明は次の(1)〜(4)である。
(1)鋼構造物の表面をチタン箔で被覆して防食する防食方法であって、前記鋼構造物を構成する鋼材の表面上に塗料を塗布して塗料層を形成する塗布工程と、前記塗料層の表面上であって、前記鋼材が有する溶接ビード部の上以外の部分に、前記チタン箔を被覆する被覆工程と、前記塗料層の表面上であって、前記チタン箔が被覆されていない部分に、チタンテープを貼り付ける貼付工程とを具備する防食方法。
(2)前記被覆工程が、半硬化状態の前記塗料層の表面上であって、前記鋼材が有する溶接ビード部の上以外の部分に、前記チタン箔を被覆する工程であり、前記貼付工程が、半硬化状態の前記塗料層の表面上であって、前記チタン箔が被覆されていない部分に、チタンテープを貼り付ける工程である、上記(1)に記載の防食方法。
(3)前記塗布工程の前に、さらに、前記鋼構造物を構成する鋼材の表面上の錆および付着物を除去する素地調整工程を具備する、上記(1)または(2)に記載の防食方法。
(4)前記鋼材がスパイラル鋼管またはUO管からなる、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の防食方法。
本発明は、鋼構造物の表面をチタン箔で被覆して防食する防食方法であって、前記鋼構造物を構成する鋼材の表面上に塗料を塗布して塗料層を形成する塗布工程と、前記塗料層の表面上であって、前記鋼材が有する溶接ビード部の上以外の部分に、前記チタン箔を被覆する被覆工程と、前記塗料層の表面上であって、前記チタン箔が被覆されていない部分に、チタンテープを貼り付ける貼付工程とを具備する防食方法である。
本発明の防食方法は、鋼管杭のような鋼管からなる前記鋼材に適用することが好ましい。具体的にはUO管やスパイラル鋼管からなる前記鋼材に適用することが好ましい。UO管やスパイラル鋼管からなる前記鋼材に本発明の防食方法における被覆工程および貼付工程を適用することで、前記鋼材の表面にチタン箔を隙間なく密着させ、その結果、優れた防食能を付与することができる。
図1は、鋼構造物の建設後、ある程度の時間が経過し、表面に錆や付着物が付いた鋼材から錆や付着物を除去したもの、すなわち、後述する素地調整工程に供した後の前記鋼材を示している。具体的には、図1(a−1)は鋼材がUO管からなる場合の鋼材10の概略正面図を示し、図1(a−2)は鋼材がスパイラル鋼管からなる場合の鋼材10’の概略正面図を示している。また、図1(b)は図1(a−1)のA−A’における概略断面図であり、図1(c)は、図1(b)に示されるX部分を拡大した概略図である。X部分は、UO管製造の際に形成される溶接痕を含む溶接ビード部101を示している。
本発明において溶接ビード部とは、UO管やスパイラル鋼管に代表される鋼管を製造する際に形成される溶接痕を含む部分を意味し、図1(c)に示す場合のように、腐食によって線状の溶接痕である凸部1011を挟むように凹部(1012、1013)が形成されている場合には、凸部に加えて凹部を含む部分を意味するものとする。また、本発明の防食方法は鋼構造物の部品として用いる未だ組立前のもの、または腐食していない鋼構造物の鋼材に適用することもできるが、このような場合は、溶接ビード部は図1(c)に示すような凹部(1012、1013)は有さないので、凸部のみを溶接ビード部とする。
本発明の防食方法は上記を考慮し、溶接ビード部の上以外の部分にチタン箔を被覆し、溶接ビード部の上についてはチタンテープを貼り付けることで、溶接ビード部の上にチタン箔を貼り付けた場合に形成される隙間をなくし、防食することができる。また、好ましい態様によれば、それに加えて、チタン箔を剥がれ難い状態にすることができ、さらに高度に防食することができる。
以下に、本発明の防食方法が具備する各工程について図を用いて詳細に説明する。なお、図2における(a−1)、(a−2)、(a−3)、(a−4)および(a−5)の各図は、スパイラル鋼管である鋼材20に本発明の防食方法を適用して防食する操作を示す概略正面図であり、それら各図のB−B’、C−C’、D−D’、E−E’およびF−F’における概略断面図が各々(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)および(b−5)である。また、図2(b−4)におけるY部分の拡大図が図3であり、図2(b−5)におけるZ部分の拡大図が図5である。
素地調整工程について説明する。
図2(a−1)および(b−1)に示すように、建設後、ある程度の時間が経過した鋼構造物を構成する鋼材20の表面には、通常、錆等31(錆および付着物を意味する)が付く。
本発明の防食方法では、鋼構造物を構成する鋼材の表面の錆および付着物を除去せずに、すなわち、鋼構造物を素地調整工程に供さずに塗布工程に供してもよいが、素地調整工程に供し、鋼構造物を構成する鋼材の表面上の錆および付着物を除去した後に、塗布工程に供することが好ましい。錆および付着物を完全に除去することで、鋼材と塗料との密着性が向上して防食性を高めることができるからである。
塗布工程について説明する。
本発明の防食方法は、前記鋼構造物を構成する鋼材の表面上に塗料を塗布して塗料層を形成する塗布工程を具備する。ここで鋼材の表面は溶接ビード部を含む。すなわち、図2(a−3)および(b−3)に示すように、溶接ビード部33の表面にも塗料を塗布し、塗料層35を形成する。
なお、下地層は塗料層と同様の方法で形成することができる。
被覆工程について説明する。
本発明の防食方法は、前記塗料層の表面上であって、前記鋼材が有する溶接ビード部の上以外の部分に前記チタン箔を被覆する被覆工程を具備する。
また、塗料層が半硬化の状態でチタン箔を密着させると、塗料層を構成する塗料の一部が溶接ビード部の上へ移動する。例えばチタン箔の表面にヘラを押し当ててチタン箔を塗料層へ押しつけるようにしてチタン箔と塗料層とを密着させると、溶接ビード部の上に塗料が多く移動する。図3は図2(b−4)におけるY部分の概略拡大図であり、半硬化状態の塗料層35へチタン箔40を押しつけて密着させることで、溶接ビード部の上に塗料が移動し、当該部分の塗料層35の厚さが厚くなっている状態を示している。この図に示すような状態とすると、溶接ビード部の凹部に塗料が完全に埋まり、後述する貼付工程において貼り付けるチタンテープと塗料層と溶接ビード部との表面を密着させることができ、また、後述するようにチタンテープを貼り付けることで、チタン箔を剥がれ難くすることができるので好ましい。溶接ビード部の上の塗料層が薄いと、その凹凸形状の影響で、塗料層の表面にチタンテープを密着させるように貼り付けることが困難となる。
例えば図4に示す態様のように、鋼材(スパイラル鋼管)における防食対象面の表面積が大きい場合、その表面をある程度の部分に分割して、チタン箔(401、402、403)を貼り付けることが好ましい。作業効率が高まるからである。ここで隣り合うチタン箔同士(チタン箔401とチタン箔402、およびチタン箔402とチタン箔403)の間隔をL1とすると、L1は10〜50mmであることが好ましく、15〜35mmであることがより好ましく、20〜30mmであることがさらに好ましい。貼付工程によって、よりチタン箔を剥がれ難くすることができるからである。なお、図4において同じ記号で表されるチタン箔は、一枚のチタン箔であることを意味する。つまり、図4に示す態様では、3枚のチタン箔(401、402、403)が貼り付けられている。また、前述の溶接ビード部を避けるように貼り付けた1枚のチタン箔における間隔L2は、10〜50mmであることが好ましく、15〜35mmであることがより好ましく、20〜30mmであることがさらに好ましい。
貼付工程について説明する。
本発明の防食方法は、前記塗料層の表面上であって、前記チタン箔が被覆されていない部分に、チタンテープを貼り付ける貼付工程を具備する。
チタンテープにおける粘着層およびチタン薄膜の厚さや大きさは特に限定されず、例えばチタン薄膜は前記チタン箔と同様の厚さであってよい。粘着層の厚さは例えば0.75mm程度であってよい。
次に、スクレパーおよびエアー工具ならびに必要に応じてエアーサンダーを使用して、鋼管杭の防食対象面(図6では601で示される斜線部)の表面に付いた海洋生物および積層錆を除去した。
次に、防食対象面の表面に、無溶剤型の塗料である水中硬化型エポキシ樹脂塗料(パーマスターWE300下塗、中国塗料株式会社製)を、刷毛を用いて塗布し塗料層を形成した。塗布量は500g/m2とした。
次に、半硬化状態の塗料層の表面にチタン箔を貼り付けた。チタン箔は予めはさみを用いて加工し、図4に示したような、スパイラル鋼管の溶接ビード部の上以外に貼り付けることできる形状とした。このようなチタン箔を3枚用意し、図4に示したように、溶接ビード部の上を避けるように鉛直方向に3枚のチタン箔を貼り付けた。上下方向のチタン箔同士の間隔(図4でL1で示される幅)は20mmとした。
貼り付けに際しては、チタン箔と塗料層との間に海水や空気が極力入らないように、チタン箔を塗料層の表面に押し付けながら貼り付けた。貼り付けが終わった後、溶接ビード部の上の塗料層は、図3に示したように、他の部分よりも厚い状態となっていることを目視により確認した。
また、チタン箔の厚さは0.1mmであり、防食対象面に貼り付けた場合の鉛直方向の幅が350mmのものである。また、溶接ビード部の上のチタン箔が被覆されていない部分の幅(図4においてL2で示される幅)は、20mmであった。
次に、溶接ビード部の上に図2(a−5)に示したように、チタンテープを貼り付けた。この貼り付けは塗料層が半硬化状態の間に行った。チタンテープは厚さ0.1mm、幅100mmのチタン薄膜の一方主面に0.75mmの厚さでブチルゴム系接着剤を塗布したものである。
また、上下方向のチタン箔同士の間隔(図4でL1で示される間隔)にも、同じチタンテープを貼り付けた。
このようなチタン箔の貼り付けにより、図5で示したように、塗料層の一部がチタンテープとチタン箔との間に入り込み、チタン箔がより剥がれ難くなったことを確認した。
101 溶接ビード部
1011 凸部
1012、1013 凹部
20 鋼材
31 錆等(錆および付着物)
33 溶接ビード部
35 塗料層
40 チタン箔
50 チタンテープ
501 チタン薄膜
502 粘着層
60 鋼管杭
601 防食対象面
61 水中足場用治具
62 単管パイプ
63 足場板
64 浮
65 回収用シート
68 潜水士
69 海
Claims (4)
- 鋼構造物の表面をチタン箔で被覆して防食する防食方法であって、
前記鋼構造物を構成する鋼材の表面上に塗料を塗布して塗料層を形成する塗布工程と、
前記塗料層の表面上であって、前記鋼材が有する溶接ビード部の上以外の部分に、前記チタン箔を被覆する被覆工程と、
前記塗料層の表面上であって、前記チタン箔が被覆されていない部分に、チタンテープを貼り付ける貼付工程と
を具備する防食方法。 - 前記被覆工程が、
半硬化状態の前記塗料層の表面上であって、前記鋼材が有する溶接ビード部の上以外の部分に、前記チタン箔を被覆する工程であり、
前記貼付工程が、
半硬化状態の前記塗料層の表面上であって、前記チタン箔が被覆されていない部分に、チタンテープを貼り付ける工程である、請求項1に記載の防食方法。 - 前記塗布工程の前に、さらに、前記鋼構造物を構成する鋼材の表面上の錆および付着物を除去する素地調整工程を具備する、請求項1または2に記載の防食方法。
- 前記鋼材がスパイラル鋼管またはUO管からなる、請求項1〜3のいずれかに記載の防食方法。
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