JP4614511B2 - 高耐食性金属被覆鋼管の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、港湾・河川岸壁の鋼管杭や、海洋パイプラインの配管として用いられる、耐食性の優れた高耐食性金属被覆鋼管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、港湾・河川の鋼製構造物やパイプライン等において、ポリエチレンやポリウレタン等の有機物を被覆した、樹脂被覆鋼材が多用されるようになってきた。この樹脂被覆鋼材は、防食性、耐水性に優れるが、被膜が損傷を受け易いという問題がある。例えば、波浪が激しい場合には、流木の衝突や船体の接触により損傷し、また増水時の河川では、漂流物や土石流により損傷を受ける。
【0003】
そのため、ポリウレタン等の樹脂層の上に、ガラス繊維等で強化した繊維クロスを被覆した高強度の樹脂被覆鋼材も実用化されるようになってきた(例えば、特開平7−68699号公報など)。
【0004】
一方、海洋構造物の干満飛沫帯は、厳しい腐食環境下にあり、かつきわめて長い期間(例えば40年以上)の耐久性が要求されるため、チタンや耐海水ステンレス鋼等の薄板を被覆した高耐食性金属被覆鋼材も実用化されている。
この金属被覆鋼材は、通常、基材の鋼管と被覆金属板との間に、接着層及び絶縁層としての役割を担う樹脂層を有しており、このような複合被覆構造体を如何にして効率良く製造するかが課題となっている。
【0005】
そのため、被覆の施工方法について種々の提案がなされており、例えば、予め筒状に成形された高耐食性金属薄板の鞘管を、鋼管の外側に同心円状に配し、両者の間隙に接着性樹脂を注入する方法(特開平9−273697号公報など)や、予め樹脂を含浸させた帯状シートと高耐食性金属薄板とをスパイラル状に共巻に巻き付ける方法(特開平10−58030号公報など)等が開示されている。また、既設の鋼製構造物の干満飛沫帯に、現地にて高耐食性金属板を被覆する施工方法について種々の提案がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述した繊維強化樹脂による高強度被覆鋼材は、高い耐衝撃性を有することが知られているが、極めて長期間の寿命が期待される構造物においては、より耐久性に優れかつ水や酸素を遮断し、それらを防食層に到達させないような複合被覆が望まれている。そして、チタン等の高耐食性金属で最外層を被覆した複合被覆鋼材は、上記の要求を十分満たしているといえるが、その被覆の施工を効率良く行う手段を提供することが望まれている。とくに長期間の耐久性が要求される海洋構造物用の鋼管杭や海洋パイプライン用の配管において、このような要請が大きい。
【0007】
鋼管に該複合被覆を形成する方法として、前述のような方法が提案されているが、高耐食性金属薄板と鋼管との間隙に接着性樹脂を注入する方法においては、作業能率が低いという問題を、樹脂含浸シートと高耐食性金属薄板とを共巻きに巻き付ける方法においては、薄板同士の重ね継手部を溶接接合することができないため、水や酸素に対する遮断性が低下するという問題を、それぞれ包含している。
【0008】
また、複合被覆鋼管の製造においては、その施工を簡便にするため、鋼管の外周にまず樹脂層を形成し、その後樹脂層の外周を金属薄板で被覆することが望ましいが、この場合、金属薄板の端部同士の接合を如何にして行うかが課題となる。すなわち、端部同士の接合法として最も簡便かつ確実なのは、抵抗溶接による方法であるが、溶接時の熱影響による樹脂層の劣化を如何にして軽減するかについては、適切な手段が得られていない。
【0009】
そこで本発明は、鋼管の表面に樹脂層とその外側に金属被覆を有する高耐食性金属被覆鋼管において、防食性、耐衝撃性、密着性を兼ね備えた樹脂層を形成して、該鋼管の耐久性を大幅に高め得る手段を提供することを目的とする。
【0010】
また本発明は、上記のような特性を有する鋼管を簡便かつ効率良く製造する手段を提供することを目的とする。さらに本発明は、上記鋼管の高耐食性金属被覆の端部同士を溶接接合するに際して、その熱影響による樹脂層の防食性能の低下を極力防止し得る手段を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の樹脂層を、下側の重防食層と、その上側の外力に対する緩衝層及び接着層として機能する中間樹脂層との2層構造にすることにより、上記課題の解決が可能なことを着想した。またこの中間樹脂層は、金属被覆に加えられた衝撃や圧縮等の外力が、下層の重防食層に伝達されるのを緩和することによって、重防食層の損傷を軽減する効果が大きいことを見出した。さらにこの中間樹脂層は、溶接による熱影響を遮断して、重防食層の剥離や膨れ等の発生を防止するため、防食性能の低下を回避する効果が大きいことを見出した。
【0012】
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであって、本発明の高耐食性金属被覆鋼管の製造方法は、
下地処理された鋼管表面に、ポリエチレン樹脂又はポリウレタン樹脂からなる重防蝕層が形成され、その表面に外力に対する緩衝層又は接着層としての機能を有する中間樹脂層が形成され、さらにその表面に高耐食性金属薄板を被覆してなる高耐食性金属被覆鋼管の製造方法であって、下地処理された鋼管の表面に前記重防蝕層の樹脂被膜を形成する第一ステップと、該第一ステップで形成された樹脂被膜が硬化した後、その表面に前記中間樹脂層の塗膜を形成する第二ステップと、該第二ステップで形成された塗膜が未硬化のうちに、その表面に高耐食性金属薄板を、その継目部に所定幅の重ね継手部が形成されるように被覆する第三ステップと、該高耐食性金属薄板を仮止めした状態で、中間樹脂層の塗膜を養生硬化させる第四ステップと、その後前記重ね継手部をシーム抵抗溶接により接合する第五ステップとを有することを特徴とする製造方法である。
【0013】
前記中間樹脂層が、ポリウレタン樹脂又はエポキシ樹脂からなり、その厚みが0.1〜10mmである請求項1に記載の高耐食性金属被覆鋼管の製造方法である。
【0015】
また、前記第五ステップにおけるシーム抵抗溶接を、電流が断続する通電方式により行うことを特徴とする上記の製造方法である。
【0016】
また、前記第五ステップにおけるシーム抵抗溶接において、溶接点近傍を水冷しつつ溶接を行うことを特徴とする上記のいずれかの製造方法である。
【0017】
さらに、前記第三ステップにおいて、前記高耐食性金属薄板の表面のうち前記中間樹脂層と対面する側に、予め中間樹脂層の樹脂塗料の一部を塗布することを特徴とする上記のいずれかの製造方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の高耐食性金属被覆鋼管について説明する。図1は、この鋼管の被覆構造を示す断面概要図である。この鋼管は、鋼管1の下地処理された表面に、重防食層2、中間樹脂層3及び高耐食性金属被覆(以下、単に金属被覆という)4が順次積層されてなるものである。
【0019】
重防食層2の樹脂には、ポリエチレン又はポリウレタンを用いる。これらの樹脂は、膜厚が均一で欠陥のない被膜の形成が容易であり、従来から重防食樹脂被覆鋼材に多用されて、その耐食性や耐久性に実績があるためである。重防食層2の厚みは、従来の重防食樹脂被覆鋼管と同程度、例えば2〜3mm程度にすればよい。
【0020】
中間樹脂層3の樹脂は、金属被覆4に加えられた外力が重防食層2に伝達されるのを緩和する緩衝機能と、金属被覆4を重防食層2に接着する機能とを有するものであればよいが、施工性の点から架橋硬化型の樹脂を用いることが好ましく、とくに接着性に優れたポリウレタン樹脂又はエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0021】
中間樹脂層3の厚みは、0.1〜10mmにすることが好ましい。これが0.1mm未満では、上記の緩衝機能が不十分であり、10mmを越えてもそれ以上緩衝機能は向上せず、経済的でないからである。
【0022】
金属被覆4には、チタンや耐海水ステンレス鋼(例えばSUS316、SUS317、SUS317にCu、N等を添加して耐孔食性等を改善したステンレス鋼など)を用いることができ、とくに耐久性の点からチタンが好適である。金属被覆4の厚みは、従来と同様に、0.3〜2.0mm程度とすればよい。
【0023】
基材となる鋼管1は、パイプライン用鋼管や鋼管杭に用いられる従来の炭素鋼等の鋼管のいずれであってもよく、その径も限定を要しない。また、重防食層2の被覆を行う前の鋼管表面の下地処理は、従来のポリエチレンやポリウレタンによる重防食被覆の下地処理と同様に行えばよい。なお、図1は、鋼管の外側を被覆する場合を示しているが、本発明の被覆構造は、鋼管の内側を被覆する場合にも適用することができる。
【0024】
本発明の高耐食金属被覆鋼管は、上述のように、樹脂層を重防食層2と中間樹脂層3との2層構造にしたことが特徴である。これにより、重防食層2として、ピンホール等の欠陥が無く、基材との密着性の優れた被膜を容易に形成することができる。また、中間樹脂層3を設けることにより、衝撃や圧縮等の外力の伝達を緩和することによって、重防食層2の損傷を軽減することができる。さらに、中間樹脂層3により溶接時の熱影響を遮断して、重防食層2の劣化を回避することができる。そのため、重防食層2は長期間にわたって健全な状態を維持することができ、その耐久性を大幅に向上させることができる。
【0025】
次に、本発明の高耐食性金属鋼管の製造方法(以下、本製造方法という)について説明する。本製造方法は、重防食層2を形成する第一ステップと、中間樹脂層3の塗膜を形成する第二ステップと、該塗膜が未硬化のうちに、その表面に金属被覆4を形成する第三ステップと、金属被覆4を仮止めした状態で、中間樹脂層3の塗膜を養生硬化させる第四ステップと、その後金属被覆4の重ね継手をシーム抵抗溶接により接合する第五ステップとを有することを特徴とする。
【0026】
第一ステップにおける重防食層2の形成は、従来の重防食樹脂被覆鋼管の場合と同様に行えばよい。すなわち、鋼管1の表面をブラスト処理して、プライマーを塗付するなどの下地処理をした後、その表面に重防食層2の樹脂被覆を行う。樹脂被覆の方法はとくに限定を要しないが、従来ポリエチレン被覆の場合は押出し法が、ポリウレタン被覆の場合はスプレー法やカーテンフロー式の塗装法が多用されているので、これらの従来の方法によればよい。
【0027】
第二ステップにおける中間樹脂層3の形成は、重防食層被膜の硬化後に行う。重防食層2の厚みの均一性を確保し、重防食層と中間樹脂層との間に混合層を形成させないためである。中間樹脂層塗膜の形成方法はとくに限定を要しないが、均一膜厚の塗膜を効率よく形成させるという観点から、被塗鋼管を回転させつつ一方向に移動させて、スプレーノズル又はスリットノズルから樹脂塗料を被塗物表面に供給するような塗布方式によることが好ましい。この方式は、ポリウレタン樹脂系やエポキシ樹脂系塗料に好適であり、任意膜厚の塗膜を容易に形成させることができる。
【0028】
第三ステップにおいて、金属被覆4は中間樹脂層3の塗膜の未硬化のうちに形成する。この塗膜と金属被覆4との接着性を確保するためである。高耐食性金属薄板を被覆する方法はとくに限定を要しないが、一般に、比較的径の小さい管の場合は、図2(a)に示すように、継手が管軸に平行になるように被覆し、比較的径が大きい管の場合には、図2(b)に示すように、スパイラル状に被覆する方法がとられている。いずれの場合にも、継目部(金属薄板の隣接する端部)に所定幅の重ね継手5(図2の斜線部)が形成されるように被覆する。重ね継手の幅は、10〜30mm程度にすれば良い。
【0029】
なお、上記の金属被覆は、中間樹脂層の塗膜が硬化し始めてある程度の変形抵抗を有し、かつ接着性を失わない状態で行うことが好ましい。例えば常温型ポリウレタン樹脂塗料の場合、完全に硬化する迄の時間は0.3〜2時間程度であるが、タックフリー迄に金属被覆を行うことが好ましい。さらに、第三ステップにおいて、金属薄板の表面のうち中間樹脂層と対面する側に、予め中間樹脂層の樹脂塗料の一部を塗布しておいてもよい。金属被覆4と中間樹脂層3の馴染をよくし、その密着性を高めるためである。
【0030】
第四ステップは、金属被覆4を仮止めした状態で、中間樹脂層3の塗膜を完全に養生硬化させる工程である。仮止めの方法はとくに限定を要しないが、例えば重ね継手の部分を両面テープで接着し、かつ必要に応じて、適当な間隔で周方向の係止バンドを用いて、係止状態を維持するような方法によればよい。なお、第四ステップで塗膜を完全に硬化させる理由は、次の第五ステップでのハンドリングにおいて、金属被覆に外力が加わって、中間樹脂層が変形するのを防止するためである。
【0031】
第五ステップは、中間樹脂層3の塗膜を養生硬化させた後、金属被覆4の重ね継手を接合する工程であり、本製造方法においては、シーム抵抗溶接によりこれを行う。重ね継手の接合を、はぜ折り等の機械的な接合方法により行うのは施工が面倒であり、接着剤を用いるのでは、長時間の耐久性を保証しえない。また、シーム抵抗溶接は、少ない溶融金属量で接合が可能なため、厚さ1mm程度の金属薄板の重ね接合に最適なことが知られているため、本発明においてもこれを用いる。
【0032】
シーム抵抗溶接の電極配置には種々の方式があるが、例えば一対の電極ローラを用いたインダイレクト・シーム抵抗溶接法によればよい。すなわち、平行に配された一対の電極ローラを用い、その一方を重ね継手の上を、他方を下側金属薄板の表面を走行させ、両電極ローラ間に通電して重ね継手側の電極ローラ直下で、金属薄板の界面を溶融させて接合する方式である。
【0033】
第五ステップの溶接工程において最も重要なことは、如何にして熱影響による下側樹脂層のダメージを軽減するかということである。そのためには、溶接条件、とくに電流(すなわち電圧)条件を適正に選択することが重要である。
【0034】
また、本製造方法おいては、電流が断続する通電方式によりシーム抵抗溶接を行うことが好ましい。電流断続の周期は毎秒5〜20サイクル程度とする。このような電流断続方式によれば、より確実に樹脂層の損傷を軽減しうるとともに、連続通電方式よりも溶融ムラを少くして、同一入熱レベルでも確実に接合を行うことができるためである。
【0035】
さらに、第五ステップの抵抗溶接においては、溶接点近傍を水冷しつつ溶接を行うこと好ましい。中間樹脂層に対する熱影響をより軽減するためである。水冷の方法はとくに限定を要せず、間接冷却方式でも直接冷却方式でもよい。
【0036】
本製造方法においては、上記の第一ステップに代えて、ポリエチレン又はポリウレタンを被覆した、従来の重防食樹脂被覆鋼管をそのまま適用することもできる。また、第二ステップの塗装工程、第三ステップの被覆工程及び第五ステップの溶接工程は、いずれも被覆長さ3mの鋼管1本当り5〜30分程度の時間内に作業を行うことができる。
【0037】
第二ステップと第三ステップの間及び第四ステップには、所定の待ち時間を必要とするが、この待ち時間を確保しつつ、全工程を流れ作業的に構成することにより、少ない作業人員で効果良く本発明の高耐食性金属被覆鋼管を量産することができる。
【0038】
【実施例】
樹脂層を2層構造とした本発明のチタン被覆鋼管と、樹脂層が1層の従来のチタン被覆鋼管について、実際の海洋環境下で被覆の耐用性を調査した。
供試鋼管は、外径400mm×長さ6mの鋼管杭(JIS A5525)である。本発明の実施例における被覆の手順は、以下の通りである。供試鋼管をブラスト処理で除錆した後、ポリウレタン樹脂系プライマーをスプレー塗装機で約30μmの厚みに塗布し、その表面に重防食層として厚さ約3mmのポリウレタン樹脂被膜をスプレー塗装機で形成させた後、5日間自然硬化させた。
【0039】
中間樹脂層としては、二液混合常温硬化型ポリウレタン樹脂塗料を用い、被塗鋼管を回転させつつ一方向に移動させて、スプレー塗装法により膜厚約1mmに塗布した。塗布後約4時間放置してから、その表面に厚さ0.5mmのチタン薄板を、図2(a)に示すように継手が管軸に平行になるように巻き付けた。重ね継手の幅は約20mmとし、チタン薄板の端部(継手部)に予め貼布した両面接着テープと、約50cm間隔で配した周回ゴムバンドにより仮止めした。
【0040】
仮止め状態で、中間樹脂層のポリウレタン塗膜を1日間養生硬化させた後、重ね継手部を、一対の電極ローラを用いたインダイレクト・シーム抵抗溶接により接合した。電流をオン・オフする断続通電方式によって溶接を行い、溶接速度は20〜50cm/minであった。
【0041】
一方比較例として、実施例と同様の塗装方法と塗装仕様でプライマーと防食層を形成させた後、実施例と同じポリウレタン樹脂塗料で、膜厚0.05mmの樹脂被膜を形成させた。この塗装方法は、実施例の中間樹脂層の塗装方法と同じにした。また、実施例と同様の養生硬化条件で、実施例と同様にチタン薄板を被覆・溶接した。チタンの板厚、仮止め方法、溶接条件等も実施例と同一にした。
【0042】
このようにして製作した実施例、比較例のチタン被覆鋼管を、漂流物が多く波浪のある海岸岸壁に約1年間曝露した後、これを回収して調査材を採取し、チタン被覆を除去して目視観察による樹脂層被膜の損傷の評価を行った。実施例、比較例ともに各10個の調査材について上記の調査を行った結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1に見られるように、実施例のチタン被覆鋼管では、漂流物の衝突で中間樹脂層が損傷しても重防食層は健全であった。これに対して比較例では、中間層の厚みが薄過ぎるために、損傷が防食層にまで及んでいた。
【0045】
【発明の効果】
本発明の高耐食性金属被覆鋼管は、樹脂層を2層構造にしたため、樹脂層全体での防食性、耐衝撃性、耐浸水性、耐熱性等を顕著に改善することができ、これにより、該鋼管の耐久性を大幅に向上させることが可能になった。また、本発明の高耐食性金属被覆鋼管の製造方法により、上記の被覆鋼管を簡便かつ効率良く製造することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高耐食性金属被覆鋼管の被覆構造を示す断面概要図である。
【図2】本発明における高耐食性金属薄板の被覆方法の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 鋼管
2 重防食層
3 中間樹脂層
4 高耐食性金属被覆
5 重ね継手
Claims (5)
- 下地処理された鋼管表面に、ポリエチレン樹脂又はポリウレタン樹脂からなる重防蝕層が形成され、その表面に外力に対する緩衝層又は接着層としての機能を有する中間樹脂層が形成され、さらにその表面に高耐食性金属薄板を被覆してなる高耐食性金属被覆鋼管の製造方法であって、下地処理された鋼管の表面に前記重防蝕層の樹脂被膜を形成する第一ステップと、該第一ステップで形成された樹脂被膜が硬化した後、その表面に前記中間樹脂層の塗膜を形成する第二ステップと、該第二ステップで形成された塗膜が未硬化のうちに、その表面に高耐食性金属薄板を、その継目部に所定幅の重ね継手部が形成されるように被覆する第三ステップと、該高耐食性金属薄板を仮止めした状態で、中間樹脂層の塗膜を養生硬化させる第四ステップと、その後前記重ね継手部をシーム抵抗溶接により接合する第五ステップとを有することを特徴とする製造方法。
- 前記中間樹脂層が、ポリウレタン樹脂又はエポキシ樹脂からなり、その厚みが0.1〜10mmである請求項1に記載の高耐食性金属被覆鋼管の製造方法。
- 前記第五ステップにおけるシーム抵抗溶接を、電流が断続する通電方式により行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の高耐食性金属被覆鋼管の製造方法。
- 前記第五ステップにおけるシーム抵抗溶接において、溶接点近傍を水冷しつつ溶接を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高耐食性金属被覆鋼管の製造方法。
- 前記第三ステップにおいて、前記高耐食性金属薄板の表面のうち前記中間樹脂層と対面する側に、予め中間樹脂層の樹脂塗料の一部を塗布することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高耐食性金属被覆鋼管の製造方法。
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