JP6206995B1 - 保護膜の形成方法及び保護膜を有する高耐食性鋼部材 - Google Patents
保護膜の形成方法及び保護膜を有する高耐食性鋼部材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6206995B1 JP6206995B1 JP2016153425A JP2016153425A JP6206995B1 JP 6206995 B1 JP6206995 B1 JP 6206995B1 JP 2016153425 A JP2016153425 A JP 2016153425A JP 2016153425 A JP2016153425 A JP 2016153425A JP 6206995 B1 JP6206995 B1 JP 6206995B1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- zinc
- steel member
- aluminum
- protective film
- coating
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Coating With Molten Metal (AREA)
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
Abstract
Description
本発明に係る高耐食性鋼部材は、鋼部材と、保護膜とを有する。鋼部材は、強アルカリ性又は中性環境下に曝されうる場所、好ましくは強アルカリ性及び中性環境下に曝されうる場所で利用されるものであればよく、このような場所としては、例えば、コンクリート表面やコンクリート内部、降雨や糞尿、土壌改良材などによりアルカリ性や中性に変化しうる土壌表面や土壌中である。特に、鋼部材とコンクリートや土壌との接触面(いわゆる地際部)が厳しい環境に曝され、腐食しやすいので、地際部の鋼部材に保護膜を備えるのが有効である。このような観点から、鋼部材としては、少なくとも一部がコンクリート又は土壌に接触して使用されるものであり、少なくとも一部がコンクリート又は土壌に埋設して使用されるものがより好ましい。鋼部材としては、例えば、アンカーボルト、ベースプレート、基礎支柱材(アングル材、鋼管)、鋼管フランジ、照明・標識・情報板用支柱、マンホール、ハンドホール鋼材、グレーチング、及びトンネル用ケーブルラック金具が挙げられる。鋼部材の材質としては特に制限されないが、価格や電蝕の観点から、ステンレスではないことが好ましい。
本発明に係る保護膜の形成方法においては、まず、鋼部材の表面を亜鉛及びアルミニウムを含む合金で浴中にてめっきする。鋼部材の表面には、下処理が行われていてもよく、下処理層が形成されていてもよい。亜鉛及びアルミニウムを含む合金としては、Zn−Al二元系合金が好ましい。Zn−Al二元系合金は、Al添加量を増加させるに従い耐食性が向上する傾向があり、特にAl添加量4質量%までは顕著に耐食性が向上する傾向にある。ところが、Al添加量が10質量%を超えると耐食性はむしろ劣る傾向にあり、20質量%まではどのような大気腐食環境においても耐食性能は低下する傾向がある。この観点から、合金中アルミニウムが4〜10質量%であることが好ましく、4〜8質量%であることがより好ましく、6〜8質量%であることが更に好ましい。亜鉛及びアルミニウムを含む合金は、市販品を用いることができる。
炭素鋼からなるベースプレート及びアンカーボルトの表面をアルミニウム7質量%のZn−Al二元系合金(製品名;タフZ10 那須電機鉄工社製)を用いて溶融浸漬法でめっきし、亜鉛アルミ合金層を形成した。ベースプレート及びアンカーボルト上のそれぞれの亜鉛アルミ合金層の厚さをJIS H 0401に基づいて測定した。結果を表1に示す。めっきされたベースプレート及びアンカーボルトを遊離酸度が5.5、全酸度が40、酸比が10中のリン酸塩水溶液に5分間浸漬し、60分間空気中で静置して乾燥させてリン酸亜鉛被膜を形成した。形成された被膜を電子顕微鏡で撮影したものを、図1に示す。リン酸亜鉛被膜の厚さは、ベースプレート及びアンカーボルト上のそれぞれのリン酸亜鉛被膜から無作為に選んだ5か所の厚さを電子顕微鏡で確認することにより求めた。結果を表2に示す。測定の結果、リン酸亜鉛被膜の平均値は、2.5μmであった。亜鉛アルミ合金層の厚さは、先に測定した層の厚さの平均値からリン酸亜鉛被膜の厚さの平均値を引いた値として求め、67.3μmであった。以上により、参考例1に係るベースプレート及びアンカーボルトを得た。
参考例1のリン酸亜鉛被膜の上に亜鉛の含有量が81質量%、アルミニウムの含有量が0.5質量%以下の亜鉛末塗料(製品名;ジンキースプレー 日本ペイント防食コーティングス社製)をスプレー塗布して、亜鉛塗料塗膜を形成した。亜鉛塗料塗膜の膜厚は、リン酸亜鉛被膜の膜厚と同様に電子顕微鏡で測定した(ただし、ベースプレートのみ)。結果を表3に示す。亜鉛塗料塗膜の膜厚の平均値は、25μmであった。以上により、実施例1に係るベースプレート及びアンカーボルトを得た。
中、1は亜鉛アルミ合金層、2はリン酸亜鉛被膜、3は亜鉛塗料塗膜である。
ベースプレート及びアンカーボルトの表面に溶融亜鉛めっきを施し、ねじ部を除く主要箇所のめっき膜厚が76μm以上となる比較例1に係るベースプレート及びアンカーボルトを得た。めっき膜厚はJIS H 0401に従って測定した。比較例1に係るベースプレート及びアンカーボルトについて、参考例1と同様に複合サイクル試験100サイクル実施した結果、赤錆の発生を確認した。比較例1に係るベースプレート及びアンカーボルトは、コンクリート内部において腐食はみられなかったものの、外部においては全面に赤錆が発生した。外観を図5に示す。
ベースプレートの表面にアルミニウム7質量%のZn−Al二元系合金(製品名;タフZ10 那須電機鉄工社製)を用いて溶融浸漬法でめっきし、アンカーボルトはステンレス製のものを用いて比較例2に係るベースプレート及びアンカーボルトを得た。比較例2に係るベースプレート及びアンカーボルトについて、参考例1と同様に複合サイクル試験100サイクルを実施した結果、赤錆の発生を確認した。比較例2に係るベースプレート及びアンカーボルトは、ステンレス製のネジ部で赤錆が発生していた。また、ベースプレートもコンクリート内部やステンレス接触部近傍で赤錆が発生していた。外観を図6に示す。
ベースプレート及びアンカーボルトの表面にアルミニウム7質量%のZn−Al二元系合金(製品名;タフZ10 那須電機鉄工社製)を用いて溶融浸漬法でめっきして比較例3に係るベースプレート及びアンカーボルトを得た。比較例3に係るベースプレート及びアンカーボルトについて、参考例1と同様に複合サイクル試験100サイクルを実施した結果、赤錆の発生を確認した。比較例3に係るベースプレート及びアンカーボルトは、コンクリート外部において腐食はみられなかったものの、コンクリート内部において赤錆が発生している箇所があった。外観を図7に示す。
Claims (6)
- 少なくとも一部がコンクリート又は土壌に接触して使用される鋼部材の表面を亜鉛及びアルミニウムを含む合金浴中でめっきして亜鉛アルミ合金層を形成する工程と、
前記亜鉛アルミ合金層が形成された鋼部材をリン酸塩溶液に浸漬してリン酸亜鉛被膜を形成する工程と、
前記リン酸亜鉛被膜の上にさらに亜鉛の含有量が70〜90質量%の亜鉛塗料を塗布して亜鉛塗料塗膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする保護膜の形成方法。 - 前記亜鉛塗料に含まれるアルミニウム含有量が2質量%以下である請求項1に記載の保護膜の形成方法。
- 前記合金浴中、アルミニウムが4〜10質量%含まれる請求項1又は2に記載の保護膜の形成方法。
- 前記亜鉛アルミ合金層の厚さが30〜80μm、前記リン酸亜鉛被膜の厚さが1〜5μm、及び前記亜鉛塗料塗膜の厚さが20〜60μmである請求項1乃至3のいずれかに記載の保護膜の形成方法。
- 少なくとも一部がコンクリート又は土壌に接触して使用される鋼部材と、
亜鉛及びアルミニウムを含む合金を含み、厚さが30〜80μmの亜鉛アルミ合金層と、
前記亜鉛アルミ合金層の表層に形成され、厚さが1〜5μmのリン酸亜鉛被膜と、
前記リン酸亜鉛被膜の上に形成され、亜鉛の含有量が70〜90質量%、厚さが20〜60μmの亜鉛塗料塗膜と
を有することを特徴とする高耐食性鋼部材。 - 前記亜鉛塗料に含まれるアルミニウム含有量が2質量%以下である請求項5に記載の高耐食性鋼部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016153425A JP6206995B1 (ja) | 2016-08-04 | 2016-08-04 | 保護膜の形成方法及び保護膜を有する高耐食性鋼部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016153425A JP6206995B1 (ja) | 2016-08-04 | 2016-08-04 | 保護膜の形成方法及び保護膜を有する高耐食性鋼部材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP6206995B1 true JP6206995B1 (ja) | 2017-10-04 |
JP2018021234A JP2018021234A (ja) | 2018-02-08 |
Family
ID=59997664
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016153425A Active JP6206995B1 (ja) | 2016-08-04 | 2016-08-04 | 保護膜の形成方法及び保護膜を有する高耐食性鋼部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6206995B1 (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60149788A (ja) * | 1984-01-17 | 1985-08-07 | Nisshin Steel Co Ltd | 耐パウダリング性に優れた溶接性塗装鋼板 |
JPH06345512A (ja) * | 1993-06-03 | 1994-12-20 | Nippon Boshoku Kogyo Kk | 防食材 |
JPH09249956A (ja) * | 1996-03-15 | 1997-09-22 | Nkk Corp | 耐食性、りん酸塩処理性及び耐黒変性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼材及びその製造方法 |
JPH1046058A (ja) * | 1996-05-20 | 1998-02-17 | Metal Coatings Internatl Inc | 腐食保護を与えるための水希釈型被覆組成物 |
JP2007262561A (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-11 | Nippon Steel Corp | 被覆鋼材 |
-
2016
- 2016-08-04 JP JP2016153425A patent/JP6206995B1/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60149788A (ja) * | 1984-01-17 | 1985-08-07 | Nisshin Steel Co Ltd | 耐パウダリング性に優れた溶接性塗装鋼板 |
JPH06345512A (ja) * | 1993-06-03 | 1994-12-20 | Nippon Boshoku Kogyo Kk | 防食材 |
JPH09249956A (ja) * | 1996-03-15 | 1997-09-22 | Nkk Corp | 耐食性、りん酸塩処理性及び耐黒変性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼材及びその製造方法 |
JPH1046058A (ja) * | 1996-05-20 | 1998-02-17 | Metal Coatings Internatl Inc | 腐食保護を与えるための水希釈型被覆組成物 |
JP2007262561A (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-11 | Nippon Steel Corp | 被覆鋼材 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018021234A (ja) | 2018-02-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Edavan et al. | Corrosion resistance of painted zinc alloy coated steels | |
de Rincon et al. | Evaluating Zn, Al & Al-Zn Coatings on Carbon Steel in a Special Atmosphere | |
JP5206386B2 (ja) | 土木用有機被覆鋼材の腐食促進試験方法および腐食量予測方法 | |
JP2005146377A (ja) | 化成処理金属板 | |
JP4312583B2 (ja) | 耐食性に優れた塗装Zn−Al系合金めっき鋼板 | |
JP6206995B1 (ja) | 保護膜の形成方法及び保護膜を有する高耐食性鋼部材 | |
JP2012149336A (ja) | 外面溶射管 | |
JP5398310B2 (ja) | 塗装鋼板および外装部材 | |
Lester et al. | Thermally sprayed composite coatings for enhanced corrosion protection of steel structures | |
JP2010090444A (ja) | 耐食性と塗料密着性に優れた塗装金属材 | |
JP4312635B2 (ja) | 耐食性に優れた塗装アルミニウムめっき鋼板 | |
CN202651640U (zh) | 防盐碱腐蚀的户外开关箱 | |
JP2014202266A (ja) | 高耐食性セルフタッピングねじ及びその製造方法 | |
KR100790269B1 (ko) | 아연도금 철선 및 강선용 백청 방지제의 조성물 및 상기방지제를 이용하여 아연도금 철선 및 강선을 제조하는 방법 | |
JP2007260953A (ja) | 耐食性に優れたクロムフリー塗装鋼板 | |
JP2010265541A (ja) | 被覆鋼材 | |
JP4992500B2 (ja) | 耐端面赤錆性に優れたクロムフリー塗装鋼板 | |
JPH04297643A (ja) | 防食性に優れた鉄筋コンクリート構造物、構造用部材及び鉄筋コンクリートの電気防食方法 | |
JP7307324B2 (ja) | 複合構造体 | |
JP7352065B2 (ja) | 複合構造体 | |
JPH11158657A (ja) | 耐食性に優れた表面処理鋼材 | |
JP5742259B2 (ja) | 海洋・河川環境用被覆鋼材およびその製造方法 | |
JP5225212B2 (ja) | 塗装鋼板およびそれを用いた外装部材 | |
JP5124335B2 (ja) | 木造建物用建築金物とその保護皮膜形成方法 | |
JP2015108173A (ja) | 塩害環境下での耐食性に優れた塗装鋼材の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170705 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170823 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170829 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170831 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6206995 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |