JP6777101B2 - 偽造防止用の光学素子、偽造防止用の光学素子積層体、情報記録媒体 - Google Patents

偽造防止用の光学素子、偽造防止用の光学素子積層体、情報記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、偽造防止用の光学媒体についての技術に関する。特に、偽造防止効果を備える光学素子や情報記録媒体に好適な技術である。情報記録媒体は、光学素子と、例えば、光学素子の裏面側に配置された印字層等から構成される。
有価証券や証明書、高級ブランド品等、偽造を防ぐことが求められる物品に対し、模倣が困難な光学効果を有する素子を付して、偽造を防ぐことが知られている。
このような光学効果を有する素子としては、ホログラム、回折格子、多層干渉膜等を有する光学素子が知られている。これらは、微細な構造を有する、または、複雑な層構成を有するため、簡単に解析することが困難であり、不正な複製を防ぐことが可能であるとされてきた。
また、従来、紙幣の分野では、透かしによる認証は、一見してその効果を確認することが可能であることから、使用者認知度の高い偽造防止技術として扱われてきた。近年では、透明なポリマー基材を利用したポリマー紙幣が実用化され、前述した偽造防止用の光学素子(例えば、ホログラム)を表裏から観察することや、透かして観察することがより簡便となり、透かしによる判定が、重要な偽造品の判断方法となっている。このような背景から、特殊な透かし効果を有する偽造防止用光学素子が注目され、必要とされている。
つまり、紙幣分野では、透明基材に付する、表裏で明らかに異なる見え方をし、表面観察では裏面観察による効果が判らない光学素子が求められている。
一方で、IDの分野、例えば、個人を証明するIDカードやパスポートの用途では、透明な光学素子(例えば、ホログラム)が偽造防止構造として利用されてきた。透明な光学素子は、固有情報を印字した基材の上にラミネートされて使用される。このため、光学素子越しに物品の固有情報を記載した印字層を確認した場合であっても、容易に確認が可能な透明性を有しており、且つ、コントラストが高く視認性の高い特殊な光学効果が求められる。
この課題に対し、特許文献1では、傾斜した反射板により、透過光と反射光とを利用した特殊な光学素子が提案されている。特許文献1の光学素子は、複数の反射板が一定方向、且つ一定角度で傾斜されており、特定方向から観察した場合に光が反射する。また、特許文献1の光学素子は、別の特定方向から観察した場合には、光が通過して、光学素子越しに、光学素子の裏面側に存在する物品の固有情報を記載した印字層を確認可能となっている。そして、特許文献1の光学素子は、反射層を有するために、電磁波の反射、透過のコントラストが高く、視認性に優れることから、IDカードやパスポート用の透明な光学素子として利用可能である。
しかしながら、傾斜した反射板自体は、反射板に対する入射角を有する限り、反射する特性がある。このため、任意の観察角度において透明にするためには、観察角度と反射板を平行にする必要がある。また、たとえ、観察角度と反射板を平行にしたとしても、反射板の厚さや、反射板の数によって透明性が損なわれるという問題がある。光学素子の透明性の低下は、光学素子の下に設けられた印字層の視認性に関わる。このため、少なくとも特定の観察角度領域において、透明であることは重要である。
つまり、ID分野では、不透明基材(印字層、絵柄層)に付する観察角度によって、反射と透過のパターンが異なるとともに、任意の入射角度では透過し、異なる任意の角度で反射する、透明な光学素子が求められている。
なお、特許文献1の光学素子は、傾斜した反射板によって、透過光と反射光をコントロールするものなので、表裏では類似の光学効果しか得られない。そして、単一光学素子構造によるセキュリティでは偽造が容易であり、また高い意匠性を得ることが出来ないおそれがあるという問題がある。
国際公開第2013/180231号
本発明は、複数光学素子構造による高い偽造防止性と意匠性を兼ね備えた、偽造防止用の光学素子を提供することを目的とする。
課題を解決するために、本発明の一態様は、表面にレリーフ構造を有する第二層と、前記第二層の表面側に配置された第一層と、前記第二層と前記第一層との間に介挿され、且つ前記レリーフ構造の表面に沿って形成された第三層と、を有し、
前記第二層の屈折率は前記第一層の屈折率よりも低く、前記第三層の屈折率は前記第一層の屈折率よりも高く、平面視で、少なくとも第一領域と第二領域とを有する偽造防止用の光学素子であって、
前記第二領域に配置された前記レリーフ構造は、電磁波の回折、干渉、散乱、屈折及び吸収のうち少なくとも一つを生じ、
前記第一領域においては、前記第一層側から予め設定した特定の角度範囲で入射する電磁波が、前記第一層の屈折率に対する前記第二層の屈折率の比及び前記第一領域に配置された前記レリーフ構造のうち少なくとも一方に起因して全反射するように構成され、
前記第二領域においては、前記第一層側から入射する電磁波が第一層と前記第三層との屈折率差によって反射するように構成されている。
ここで、前記第一層と前記第三層との界面で少なくとも一部の可視光(例えば、360nm〜830nm)を反射し、前記第三層を透過した可視光の少なくとも一部は、前記第三層と前記第二層との界面で臨界角よりも大きい入射角で全反射することが好ましい。
本発明の態様によれば、複数光学素子構造による高い偽造防止性と意匠性を兼ね備えた、偽造防止用の光学素子を提供することが可能となる。
本発明に基づく第1実施形態に係る光学素子の断面図である。 図1の光学素子の第一領域に対して入射した光の光路説明図である。 図1の光学素子の第二領域に対して入射した光の光路説明図である。 臨界角を説明する断面図である。 本発明に基づく第2実施形態に係る光学素子の断面図である。 本発明に基づく第3実施形態に係る光学素子の断面図である。 本発明に基づく第4実施形態に係る光学素子の断面図である。 本発明に基づく第5実施形態に係る光学素子の断面図である。 本発明に基づく第6実施形態に係る光学素子の断面図である。 本発明に基づく第7実施形態に係る光学素子の断面図である。 本発明に基づく第7実施形態の変形例に係る別の光学素子の断面図である。 本発明に基づく第8実施形態に係る光学素子の断面図である。 本発明に基づく第9実施形態に係る光学素子の断面図である。 本発明に基づく第10実施形態に係る光学素子の断面図である。 本発明に基づく第11実施形態に係る光学素子の断面図である。 本発明をIDカードに適用した例を示す図である。 本発明に基づく実施形態に係る応用例1を示す断面図である。 本発明に基づく実施形態に係る応用例2を示す断面図である。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態の光学素子1は、断面図である図1に示すように、第二層3と、第一層2と、第三層6を有する。
第二層3は、表面(図1中では、上側の面)に、レリーフ構造が形成されている。
第一層2は、第二層3の表面側において、第二層3のレリーフ構造を埋めるように配置されている。
第三層6は、第二層3と第一層2との間に介挿されており、第二層3のレリーフ構造の表面に沿って、薄膜状に形成されている。
第一層2の屈折率と、第二層3の屈折率と、第三層6の屈折率の関係は、第二層3の屈折率が第一層2の屈折率よりも低く、第三層6の屈折率が第一層2の屈折率よりも高くなるように設定されている。
また、第一層2と、第二層3と、第三層6は、第一層2と第三層6の界面で、少なくとも一部の可視光(例えば、360nm〜830nm)を反射ように構成することが好ましい。さらに、第一層2と、第二層3と、第三層6は、第三層6を透過した可視光の少なくとも一部が、第三層6と第二層3との界面で臨界角よりも大きい入射角で全反射するように構成することが好ましい。
すなわち、第三層6の屈折率は、第一層2と第三層6との間で界面反射が生じるように、第一層2の屈折率よりも0.2以上高いことが好ましい。
但し、第1実施形態では、第一の光学効果と、第二の光学効果とを両立させるためには、第一層2と第三層6との界面での、垂直入射時の反射率は、20%以下が好ましい。第一の光学効果とは、第一層2と第三層6との間で生じる界面反射によるである。第二の光学効果とは、第三層6を透過した可視光の第三層6と第二層3との界面で生じる全反射による光学効果である。つまり、第一層2と第三層3との界面での、垂直入射時の反射率は、下式(2)を満足する第三層6の屈折率(N)と第一層2(N)の屈折率との組み合わせであることが好ましい。
0.2 ≧ ((N−N)/(N+N)) ・・・(2)式
光学素子1は、平面視(図1中では、光学素子1を上方から見た視点)において、少なくとも第一領域4と第二領域5とを有する。
第一領域4に配置されたレリーフ構造と、第二領域5に配置されたレリーフ構造は、異なる構造となっている。なお、図1は、第一領域4の部分と第二領域5の部分を図示したものである。
<第一領域4>
第一領域4においては、第一層2側から予め設定した特定の角度範囲で入射する電磁波(光等)が全反射するように、第二層3と、第一層2及び第三層6が構成されている。特定の角度範囲で入射する電磁波の全反射は、第一層2の屈折率に対する第二層3の屈折率の比及び第一領域4に配置されたレリーフ構造のうち、少なくとも一方に起因して発生する。
第一層2側から特定の角度範囲で入射する電磁波(光等)が全反射する、第一領域4に配置されたレリーフ構造は、例えば、光学素子平面に対して傾斜した複数の斜面の並びを有する構造とすればよい。第1実施形態では、各斜面の傾斜角度が一定となっている場合を例示している。なお、光学素子平面とは、光学素子の平面であり、図1中では横方向及び紙面に垂直な方向に延在する面である。
第一領域4において、第一層2側から入射した光は、斜面の垂線に対して臨界角以上の角度で入射した場合は全反射を生じ、斜面の垂線に対して臨界角未満の角度で入射した場合は界面を透過して第二層3へ進入する。
ここで、第一層2側から入射した光が第二層3へ進入するまでの経路には、途中に第三層6があるが、第三層6は薄膜であり、高屈折膜による全光反射率は、臨界角による全反射の反射率と比べて低い値に設定している。このため、第一層2と第二層3の間に、高屈折率膜である薄膜の第三層6を有しても、第一層2と第二層3の屈折率に起因する臨界角の全反射は生じる。
図2は、光学素子1の第一領域4に対し、第一層2側から入射した光の光路説明図である。
第一層2側から入射した光が、第三層6の界面で10%〜50%程度反射するように設定した場合、第一層2側から入射した光が第三層6を透過する透過光は、50%〜90%程度となる。
第一層2側から入射して第三層6を透過した光は、第三層6と第二層3との界面において、斜面の垂線に対して臨界角以上の角度で入射した場合は全反射を生じ、斜面の垂線に対して臨界角未満の角度で入射した場合は、界面を透過して第二層3へ進入する。より厳密には、各層の材質に起因する光の散乱、吸収や、層間に含まれる凹凸構造に起因する光の散乱、吸収が生じる。
図2において、入射角度範囲7は、第一層2と第二層3の屈折率から計算される臨界角未満の角度範囲を示しており、入射角度範囲7で入射した光である入射光IL1は、透過光TL1と反射光CL1に分かれる。透過光TL1は、第一層2と第三層6と第二層3との各界面を通過し、各層の屈折率差により屈折して透過した光である。反射光CL1は、第一層2と第三層6の界面で反射した光である。なお、図2中には、斜面の垂線を、符号Pで表す。
一方、入射角度範囲7以外の角度で入射した光である入射光IL2は、第一層2と第二層3の屈折率から計算される臨界角以上の角度での入射光である。このため、入射光IL2は、第一層2と第三層6との界面、または、第三層6と第二層3との界面で全反射して反射光CL2となる。
ここで、全反射は、高屈折率から低屈折率の媒質に電磁波が進行する際にのみ生じる現象であり、ゆえに、第二層3側から入射する光では、全反射の現象は生じない。このため、第二層3に対する第一層2の屈折率の比が1.33であったとしても、どの角度領域からの入射光もおよそ透過する。なお、この場合には、第三層6は薄膜であることから、無視して考えて問題はない。
例えば、第一層2を観察者側にして、光学素子1を印刷物の上において情報記録媒体(図示せず)を構成した場合は、特定の角度範囲(臨界角未満の範囲)では、光学素子1が透明となるため、光学素子1の下にある印刷物が確認可能である。しかしながら、特定の角度範囲以外の角度範囲(臨界角以上の角度範囲)では、光学素子1が不透明であるため、光学素子1の下にある印刷物を確認することが不可能である。
一方、第二層3を観察者側にして、光学素子1を印刷物の上においた場合は、どの角度範囲でも、光学素子1が透明であるため、光学素子1の下にある印刷物は、どの角度でも確認可能となる。
以上のように、第1実施形態の光学素子1は、第一領域4においては、先の光学素子と同様に、臨界角による全反射の特性を利用している。すなわち、臨界角による全反射の特性によって、特定方向からの観察では、観察角度によって光学素子1の透明性を変化させることが可能である。また、臨界角による全反射の特性によって、表裏で異なる光学効果を得ることが可能である。
<第二領域5>
第二領域5に配置されたレリーフ構造は、電磁波の回折、干渉、散乱、屈折及び吸収の少なくとも一つを生じる。
また、第二領域5においては、第一層2側から入射する電磁波が第一層2と第三層6との屈折率差によって反射するように、第二層3と、第一層2及び第三層6が構成されている。
電磁波の回折、干渉、散乱、屈折及び吸収の少なくとも一つを生じるレリーフ構造、すなわち、第二領域5に配置されたレリーフ構造としては、例えば、断面矩形形状または断面波形形状の並び等からなる凹凸の繰り返しを有する構造を例示することが可能である。
図3は、光学素子1の第二領域5に対して、第一層2側から入射した光(入射光IL3)の光路説明図である。なお、図3中には、回折光を符号DLで表す。
第二領域5に配置されたレリーフ構造は、周期的な凹凸による回折構造、一定の深さの矩形構造からなる干渉構造、周期及び深さのうち少なくとも一方がランダムな散乱構造、モスアイ状の形状による吸収構造等を有している。なお、モスアイ状の形状とは、コーン状の突起が並んでいるような形状である。また、第二領域5に配置されたレリーフ構造は、入射光IL3が、第一層2と第三層6との屈折率差によって、第一層2と第三層6との界面で反射し、レリーフ構造に従った光学効果を得る。
これらの構造は、単体で用いてもよく、また、同種の構造による組み合わせや、異なる種類の構造の組み合わせを用いることも可能である。
これらの組み合わせにより、柄を表示することが可能である。なお、柄としては、例えば、文字、記号、サイン、幾何学模様、細紋、画像、写真が挙げられる。
<臨界角について>
図4は、臨界角θを説明する断面図である。
媒質Miと媒質Mtは、水平界面を有している。
また、媒質Miの屈折率をnとし、媒質Mtの屈折率をnとする場合、スネルの法則と屈折率の定義から、臨界角θは、下式(3)式で適宜することが可能である。
sinθ = n/n ・・・(3)式
そして、臨界角θは、下記(4)式で表すことが可能である。
θ ≧ arcsin(n/n) ・・・(4)式
図3中の「θ」は臨界角であり、臨界角θで入射する入射光IL4は、屈折角θ=90°の方向(媒質Miと媒質Mtの界面方向)への屈折光RL4となる。臨界角θよりも大きい角度で入射した光である入射光IL5は、全反射して反射光CL5となる。
なお、図示しないが、臨界角θよりも小さい角度で入射した光は、スネルの法則に従った屈折角で屈折して、二つの媒質界面を透過する。
また、実際には、反射波の強度は入射角によって徐々に変化する。入射角が増大して臨界角θに近づくと、媒質Mtに透過する屈折波の成分は、媒質界面に近づくにつれて徐々に弱くなっていく。そして、反射波の強度は次第に強くなっていき、入射角が臨界角を越えたときには、全てが全反射となる。
なお、実際には、全反射した光は、さらに、レリーフ構造や層の表面によって、反射、透過、屈折を繰り返し、徐々にその光が弱くなる。本明細書では、単純に全反射と記載するが、その意味は、レリーフ界面RIFでの全反射と、その後の反射、透過、屈折、散乱によって光が弱くなることとのうち、少なくとも一方を意味する。多重の反射、透過、屈折は、複数方向への光の散乱とも捉えられるため、多重の反射、透過、屈折を目的に、レリーフ構造を設計してもよい。
また、第一領域4は、全反射以外の光学効果を利用して特定の入射角から入射する電磁波の透過を妨げる不透明領域としてもよい。この場合、散乱、正反射、回折、再帰反射、多重反射、屈折等の現象を生じる公知の構造を使用すればよい。
このような構造は、図1中に表すプリズム構造(鋸刃断面構造)でもよい。また、透明性に変化が生じる構造であれば、臨界角に関連する全反射を生じる構造ではなくても、利用することが可能である。また、第一領域4が複数のプリズム構造である場合、傾斜角や傾斜面の方位角が連続的に変化する構造を利用することが可能である。
なお、複数のプリズム構造は、微小領域に分割されていても良い。この場合、1mm〜0.04μm程度の微細領域分割であれば、高解像でリアルな視差立体像を得ることが可能である。
また、第一領域4のレリーフ構造は、媒体平面に対して垂直方向に配置された平面を含んでも良い。例えば、図1中に表す第一領域4では、レリーフ構造が垂直面を有している。この場合、レリーフ構造が有する垂直面は、厳密には、全反射、散乱、正反射、回折、多重反射、屈折、再帰反射等の現象を生じる。
これら垂直面の効果を利用して、特定の角度から第一領域4を観察した場合の透明性を向上させても良い。また、同様に、これら垂直面の効果を利用して、特定の角度から第一領域4を観察した場合の不透明性を向上させても良い。
また、第一領域4は、斜面の角度や方位角が連続的に変化する構成としても良い。さらに、第一領域4は、複数のサブ領域を有し、斜面の角度や、傾斜面の方位角が異なっている構成としても良い。
(3)式から明白であるが、臨界角以上の入射角で生じる全反射は、n<nが必要条件となる。つまり、屈折率の異なる二つの媒質による界面では、屈折率の高い側から入射する光は、臨界角以上での入射で全反射する。また、屈折率の低い側から入射する光は、臨界角による全反射が無い。
第1実施形態の光学素子では、この現象を応用して、特定角度以上で透過領域と不透過領域によるパターンを得ることや、表裏で異なる光学現象を得ることを可能とした。
ここで、本発明の発明者は、紙幣、IDの両方の分野に対応可能な偽造防止用の光学素子として、先の光学素子を、先に提案した。
先の光学素子とは、薄膜状の第三層6を設けることなく、斜面の並びからなる構造のレリーフ構造を有する第二層3の上に第一層2を配置した構造である。これに加え、先の光学素子とは、特定の入射角度において、第一領域4では全反射するとともに第二領域5では透過する構造、または、屈折する構造を有し、臨界角の全反射を利用した光学素子である。
先の光学素子は、紙幣分野で求められる光学素子(透明基材に付する光学素子)と、ID分野で求められる光学素子(不透明基材上、または印字層や絵柄層上に付する光学素子)の両方に適用可能な、汎用性の高い、新規の光学素子を適用可能である。より具体的には、先の光学素子は、例えば、透明基材に付する場合では、表裏で明らかに異なる見え方をし、表面観察では裏面観察による効果が判らない光学素子である。これに加え、先の光学素子は、不透明基材(印字層、絵柄層)に付する場合では、観察角度によって反射と透過のパターンが異なる、透明な光学素子であって、任意の入射角度では透過し、異なる任意の角度で反射する、透明な光学素子である。
しかしながら、先の光学素子では、他の光学素子構造との親和性(コンビネーションの自由度)に欠けるおそれがある。例えば、回折構造や、干渉構造、散乱構造等は、所望光学効果のレリーフ構造に透明高屈折膜を反射層として蒸着することで、光学素子として機能する。しかし、これらのレリーフ構造は、高屈折蒸着膜を必要とするために、先の光学素子の全反射構造と、同一平面で組み合わせることが困難となるおそれがある。
これに対し、本発明の光学素子1によれば、少なくとも臨界角の全反射を利用したセキュリティ光学構造を含み、回折構造や干渉構造、散乱構造、屈折構造、反射平面構造等との親和性が高く、レリーフ界面に高屈折膜を有する。このため、複数光学素子構造による高い偽造防止性と意匠性を兼ね備えた、偽造防止用の光学素子を提供することが可能となる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る光学素子40の構造を、図5に示す。
第2実施形態の光学素子40は、第二層3の裏面(図5中では、下側の面)に接する背景層41を有する点を除き、第1実施形態の光学素子1と同様の構造となっている。
第2実施形態の光学素子40によれば、第1層2側を観察者側とした場合、ある特定角度では、第一領域4でのみ、背景層41が視認可能である。
背景層41は、例えば、印字層や着色層を構成する。
印字層は、紙やプラスチック等の基材に印刷可能な層である。
印字層の印刷方法は、インクジェット法、転写法、レーザーエングレーブ法等、公知の方法を用いることが可能である。
ここで、背景層41が印字層の場合、印字層を、第一層2または第三層6に接するように形成してもよい。また、背景層41が印字層の場合、背景層41が接する層の表面に、直接的に印刷することで、印字層である背景層41を設けてもよい。
この場合、背景層41は、第一層2、第二層3及び第三層6のうちいずれかの層に接するように配置され、文字、画像パターン及びコードのうち少なくとも1つが記載されている印字層である、第四層に対応する。
また、背景層41が着色層の場合、着色層を、第一層2のレリーフ構造を有する面とは反対側の面側、すなわち、第二層3の裏面側に配置する。
この場合、背景層41は、第一層2のレリーフ構造を有する面とは反対側の面側に配置された着色層である、第五層に対応する。
<第3実施形態>
第3実施形態に係る光学素子50の構造を、図6に示す。
第3実施形態の光学素子50は、第一層2の表面(図6中では、上側の面)に配置した着色層51と、第二層3の裏面(図6中では、下側の面)に配置した電磁波吸収層52を有する点を除き、第1実施形態の光学素子1と同様の構造となっている。
第3実施形態の光学素子50によれば、第1層2側を観察者側とした場合、ある特定角度では、第一領域4でのみ光が透過する。この場合、着色層51を透過した特定の波長領域の光は、電磁波吸収層52によって吸収されることとなる。
したがって、着色層51は、第一層2の第二層3と対向する面と反対側の面(第一層2の表面)に配置され、且つ着色層である第七層に対応する。
また、電磁波吸収層52は、第二層3の第一層2と対向する面と反対側の面(第二層3の裏面)に配置され、且つ電磁波吸収層である第八層に対応する。
なお、着色層51を構造色層としてもよい。この場合、構造色層の構造は、例えば、多層干渉膜や干渉パールインクの塗膜や、コレステリック液晶等のほか、サブ波長深さの矩形構造による干渉構造でもよい。
構造色層の構造は、回折、干渉、散乱等によって特定波長領域の可視光を散乱して、構造色を生じる構造である。構造色は、観察角度(入射角と観察角の組み合わせ)によって色調が変化するものや、広い観察角度で特定色を生じるものがある。また、構造色層は、特定波長領域以外のほとんどの可視光を透過させるため、透過した光を吸収することによって、構造色の光と透過光とが混合して構造色の色が白くなることを、防止することが可能となる。そして、構造色層による鮮やかな色変化や固定色を得るためには、電磁波吸収層52が必要となる。
電磁波吸収層52は、顔料や染料等の色材を使ってよく、典型的には、黒色顔料であるカーボンを使用すればよい。しかしながら、色材以外でも、電磁波を吸収する特性があれば使用してよい。例えば、反射防止構造等で利用されるモスアイ構造は、そのレリーフ構造に反射層を付与することによって、電磁波吸収の効果を生じることが知られており、これらの構造を、電磁波吸収層52として利用してもよい。
<第4実施形態>
第4実施形態に係る光学素子60の構造を、図7に示す。
第4実施形態の光学素子60は、第1実施形態の光学素子1に対し、着色層61と、電磁波吸収層62を有する点を除き、第1実施形態の光学素子1と同様の構造となっている。
着色層61は、第二層3の裏面(図7中では、下側の面)に配置されている。
電磁波吸収層62は、着色層61の第二層3と対向する面と反対側の面(着色層61の裏面、図7中では下側の面)に配置されている。
したがって、着色層61は、第二層3のレリーフ構造を有する面とは反対側の面側に配置された着色層である、第五層に対応する。
また、電磁波吸収層62は、第五層(着色層61)の第二層3と対向する面と反対側の面に配置された電磁波吸収層である、第六層に対応する。
第4実施形態の光学素子60によれば、第1層2側を観察者側とした場合、ある特定角度では、第一領域4でのみ、着色層61と電磁波吸収層62の積層による、鮮やかな色変化や固定色が視認可能となる。
<第5実施形態>
第5実施形態に係る光学素子70の構造を、図8に示す。
第5実施形態の光学素子70は、第1実施形態の光学素子1と同じ構造の光学素子71と、第1実施形態の光学素子1と同じ構造の光学素子72を積層した構成となっている。すなわち、第5実施形態の光学素子70は、光学素子が2つ積層されている。
第5実施形態の光学素子70によれば、光学素子71による入射角による透過光は、光学素子71に入射し、入射角に依存して光学素子71を透過した透過光は、光学素子72によって、さらに、入射角に依存する全反射と透過の領域を作成する。このような積層構造は、より複雑で精細な光学効果を作成するために利用することが可能となる。
なお、光学素子71と光学素子72とを積層する部分は、一部のみであってもよい。また、光学素子71の第一領域4と光学素子72の第二領域5とが重なるように積層してもよいし、第一層2側同士、または、第二層3同士が対向するようにして積層してもよい。
また、第2実施形態から第4実施形態で説明した、印字層、着色層、電磁波吸収層等を設けて光学素子70を修飾してもよい。
また、3つ以上の光学素子を積層して、偽造防止用の光学素子を形成してもよい。
<第6実施形態>
第6実施形態に係る光学素子80の構造を、図9に示す。
第6実施形態の光学素子80は、第1実施形態の光学素子1と同じ構造の光学素子81と、第1実施形態の光学素子1と同じ構造の光学素子82を積層した構成となっている。
光学素子81が有するレリーフ構造と、光学素子82が有するレリーフ構造は、共に周期構造を有するレリーフ構造(周期性レリーフ構造)である。
光学素子81が有する周期性レリーフ構造と、光学素子82が有する周期性レリーフ構造は、互いに周期が異なる。このため、光学素子81が有する周期性レリーフ構造と、光学素子82が有する周期性レリーフ構造とは、モアレを生じる。
すなわち、積層された2つの光学素子81及び光学素子82が有するレリーフ構造は、周期性レリーフ構造であり、2つの周期性レリーフ構造は、モアレを生じる構成となっている。
なお、2つの周期性レリーフ構造がモアレを生じるためには、光学素子81が有する周期性レリーフ構造と、光学素子82が有する周期性レリーフ構造との周期の差が、3%〜20%程度あればよい。
第6実施形態の光学素子80によれば、光学素子81及び光学素子82の両方を透過した領域でのみ、モアレを生じることになる。このため、モアレの任意パターンが動く効果を得ることが可能であり、このような効果によって、光学素子の作用として立体感を更に付与することが可能となる。
なお、光学素子81と光学素子82を積層する部分は、一部のみであってもよい。
また、第2実施形態から第4実施形態で説明した、印字層、着色層、電磁波吸収層等を設けて、光学素子80を修飾してもよい。
<第7実施形態>
第7実施形態に係る光学素子85の構造を、図10に示す。
第7実施形態の光学素子85は、第1実施形態の光学素子1と同じ構造の光学素子81と、第1実施形態の光学素子1とは構造が異なる第3の光学素子83を積層した構成となっている。
第3の光学素子83は、第三層6を有しない点を除き、第1実施形態の光学素子1と同様の構造となっている。
また、第3の光学素子83は、光学素子81が有する第一層2の表面(図10中では、上側の面)側に、第3の光学素子83が有する第二層3を配置した状態で、光学素子81に積層されている。
光学素子81と第3の光学素子83は、共に周期構造を有しており、周期構造の周期が互いに異なるためにモアレを生じる。モアレを生じるためには、光学素子81が有する周期構造と、第3の光学素子83が有する周期構造との周期の差が、5%〜15%程度あればよい。
第7実施形態の光学素子85によれば、第3の光学素子83を透過した領域でのみ、モアレを生じることになる。このため、モアレの任意パターンが動く効果を得ることが可能であり、立体感を更に付与することが可能である。
なお、第3の光学素子83の周期構造は、印刷によるパターンのほか、金属をエッチングしたパターンや、回折や干渉、吸収の効果を有する構造色をパターニングして形成してもよい。
この場合、第二層3が有するレリーフ構造を、少なくとも一部が周期性構造を有するとともに、予め設定したパターニングで着色された着色層であり、周期性構造とモアレを生じ得る第九層を有する構成としてもよい。
また、光学素子81と第3の光学素子83を積層する部分は、一部のみであってもよい。
また、第2実施形態から第4実施形態で説明した、印字層、着色層、電磁波吸収層等を設けて光学素子85を修飾してもよい。
<第7実施形態の変形例>
第7実施形態の変形例に係る光学素子90の構造を、図11に示す。
図11の光学素子90は、周期構造92に、第1実施形態の光学素子1と同じ構造の光学素子91を積層して形成されている。
周期構造92は、周期性印刷パターン93と、印刷基材94で構成されている。
この場合でも、モアレの任意パターンが動く効果を得ることが可能であり、このような効果により、立体感を更に付与することが可能である。
なお、光学素子91と周期構造92を積層する部分は、一部のみであってもよい。
また、第2実施形態から第4実施形態で説明した、印字層、着色層、電磁波吸収層等を設けて光学素子90を修飾してもよい。
<第8実施形態>
第8実施形態の光学素子の基本構成は、第1実施形態の光学素子と同じである。
但し、第一領域4及び第二領域5の少なくとも一方の領域は、光学素子平面に対して垂直方向から観察した場合に、両眼と光学素子の位置により定まる輻輳角によって、視差画像を生じる構成となっている。
第8実施形態の光学素子の構成について、図12を参照して説明する。
図12は、例えば、立体像を生じる視差画像を作成する場合の光路想定である。
観察点OPL(例えば、左目)から観察した場合、入射角θで入射する入射光Laは、空気と第一層2との界面において屈折角θで屈折し、屈折光Lbとなる。その後、レリーフ構造が有する斜面に対して、入射角θで入射する。そして、屈折光Lbは、入射角θが臨界角未満であれば透過し、入射角θが臨界角より大きければ全反射する。
また、観察点OPR(例えば、右目)から観察した場合、入射角θで入射する入射光Raは、空気と第一層2との界面において屈折角θで屈折し、屈折光Rbとなる。その後、レリーフ構造が有する斜面に対して、入射角θで入射する。そして、屈折光Rbは、入射角θが臨界角未満であれば透過し、入射角θが臨界角より大きければ全反射する。なお、図12には、輻輳角を「θ」で表す。
少なくとも、屈折光Lb及び屈折光Rbのどちらか一方が全反射し、他方が透過する領域をつくることで、視差画像を得ることが可能である。
実際に視差画像による立体を得るためには、第一領域4における斜面が複数有ってもよい。第一領域4における斜面は、傾斜角度や方位角度が連続的に変化していても良い。また、第一領域4における斜面は、複数の各領域において、一定の傾斜角度や方位角度であっても良い。
また、第一領域4における斜面が複数の各領域を有している構成とした場合、各領域において、傾斜角度や方位角度が連続的に変化していても良い。この場合、複数の異なる斜面によって、右目にのみ視認可能な透過パターンと左目にのみ視認可能な透過パターンが生じるようにすることで、視差画像による立体を得ることが可能である。
同様に、複数の異なる斜面によって、右目にのみ視認可能な非透過パターンと左目にのみ視認可能な非透過のパターンが生じるようにすることで、視差画像による立体を得ることが可能である。
ここで、非透過パターンとは、特定の入射角度において、全反射、正反射、再帰反射、散乱、回折、干渉、屈折により、透明性が損なわれているパターンを意味する。そして、非透過パターンを用いることにより、前述の透過パターンと対比して使用することで、高いコントラストの視差画像を得ることが可能である。
このような視差を生じる領域の必要条件は、レリーフ構造が有する斜面の、光学素子平面に対する傾斜角θ(斜面の傾斜角θ)、輻輳角θで入射した光の屈折角θ、第一層2の屈折率N、第二層3の屈折率Nで表すことが可能である。なお、図12中には、光学素子平面と平行な仮想線を、符号「VL」で表す。
具体的には、第一層2に対して輻輳角θで入射した光の屈折角θの値と、斜面の傾斜角θの値との大小によって、3つに場合分けされ、下記の(6)式〜(8)式で表される。
(6)式
θ > θ において、
θ + θ ≧ arcsin(N/N) >θ − θ
(7)式
θ = θ において、
2×θ ≧ arcsin(N/N
(8)式
θ < θ において、
θ + θ ≧ arcsin(N/N) > θ − θ
ここで、
第一層2の屈折率:N
第二層3の屈折率:N
レリーフ構造が有する斜面の光学素子平面に対する傾斜角:θ
輻輳角で入射した光の屈折角:θ
である。
また、屈折角θは、下記の(9)式で表される。
(9)式
θ = arcsin〔sin(θ/2)/N
= arcsin〔sin(θ)/N
ここで、
輻輳角:θ
第一層2の屈折率:N
である。
すなわち、第8実施形態の光学素子は、観察点側に光源を置いて任意の観察点から観察した際に、以下の要素A1〜A3を規定すると、(1)式を満足する。
A1.第一領域に配置されたレリーフ構造が有する斜面への入射角をθf1とする。
A2.第一領域における第一層2の屈折率をNとする。
A3.第一領域における第二層3の屈折率をNとする。
θf1 ≧ arcsin(N/N) ・・・(1)式
(6)式〜(8)式を全て満たすことで、左右視差を生じる領域が得られ、これを利用することによって、視差画像による立体表現が可能である。
得られる立体像は、透過領域または全反射領域によって構成される。特に、透過領域で立体像を作成した場合には、透明で立体的な像を作成することが可能である。また、下地に着色層を設けることによって、立体像を着色することか可能であるため、意匠性が良く、既存の体積ホログラム、計算ホログラム等と比べ優位である。
また、下地に機械検知可能なセキュリティーインク、例えば、蛍光や蓄光、コレステリック液晶や磁性インク等を設けることで、機械検知可能な立体像を作成することも可能であり、このような応用によって、更に偽造防止効果が向上する。
更には、透過領域で立体像を作成し、立体像(光学素子)を挟んでモアレを生じる2つの層を設けると、透過性の立体像でのみモアレが生じ、あたかも、立体像に対してモアレの柄を立体的に貼り付けたような効果が得られる。モアレを生じる2つの層は、光学素子をスペーサーとして干渉するため、観察角度によって異なる柄が生じ、このような効果により、更に立体感が増す。
ここで、上述した各実施形態の光学素子において、所定の角度で観察した場合には、同じ光学効果を生じる構成となっていることで、第一領域4と第二領域5の境界が不明瞭となるように構成することが好ましい。
境界が不明瞭となる態様としては、第一領域4と第二領域5が、共に境界近傍で透明となる場合と、第一領域4と第二領域5が、共に境界近傍で全反射する場合とが想定される。
<第9実施形態>
第9実施形態に係る光学素子200の構造を、図13に示す。
第9実施形態の光学素子200は、以下の二つの相違点を除き、第1実施形態の光学素子1と同様の構造となっている。
第一の相違点は、第三層6が、第二層3と第一層2との間の一部分に介挿されてレリーフ構造と接する相違点である。第二の相違点は、レリーフ構造のうち第三層6が接していない部分に、金属反射層74が設けられている相違点である。
金属反射層74は、レリーフ構造を透過した電磁波を反射する効果を有する。
金属反射層74の材料としては、例えば、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、Ag等の金属、ならびに、これらの化合物及びこれらの合金からなる群より選択される、少なくとも1つの金属材料を用いることが可能である。
金属反射層74の材料として用いる金属材料は、真空蒸着やスパッタ等の気層法によって設けてもよく、また、金属粒子を含む反射インキを印刷法によって塗布して、金属反射層74としてもよい。
また、第一領域4及び第二領域5のうち少なくとも一方の領域の一部分に、第三層6に接する金属反射層74を設けてもよい。第9実施形態では、図13中に示すように、第一領域4及び第二領域5の一部分に、それぞれ、第三層6に接する金属反射層74を設けた場合を説明する。
金属蒸着膜をパターン形成する場合には、例えば、マスクスルー蒸着法や、エッチング法や、フォトリソ法等、公知の製法を用いることが可能である。
マスクスルー蒸着法は、パターンマスクの上から蒸着する製法である。エッチング法は、蒸着膜を残す部分に印刷法や気層法でエッチングマスクを設置した後、金属をエッチング液に浸して腐食または酸化させる製法である。フォトリソ法は、感光性レジストとパターン露光を利用した製法である。
金属反射層74の膜厚は、十分な金属光沢が得られる値であれば良く、例えば、アルミ蒸着なら40n〜1000n程度の厚さであればよい。なお、真空蒸着法では、被蒸着面のレリーフ構造によって、アルミの膜厚が変化する。これは、蒸着時の金属粒子の直進性に関連しており、単位面積当たりに均一な塗工量で蒸着されることに起因する。高アスペクト構造と平坦構造の2つの構造を含む基材を真空蒸着すると、比表面積の大きい高アスペクト構造部分の膜厚は薄くなる。
また、直進性の高い真空蒸着法では、基材に対して垂直な平面へは蒸着膜が付き難い。これらの現象を把握・利用して、金属反射層74を設ければよい。
(下地の視認性の確保)
透明性を確保する必要がある部分、例えば、IDカードの個人情報の上に本発明が使用される場合では、下地の個人情報印刷の視認性を確保する為に、金属反射層74を、細線や微小ドットで設けることが好ましい。この場合、金属反射層74の線幅、または、金属反射層74のドットの径は、100μm未満であることが好ましい。また、金属反射層74の面積率は、30%未満であることが好ましい。
第一領域4では、特定の視角からの観察によって、全反射する領域と透過する領域とが存在し、これらのコントラストによってパターンを形成することから、金属反射層74がある場合には、この効果は得られない。つまり、金属反射層74の面積率は低い方が好ましい。また、透明高屈折率材料からなる第三層6の面積率、または、膜厚を低減した方が、光学効果を得られ易い。
第二領域5において、光の回折を利用した立体表現するホログラムを利用する場合は、金属反射層74は、反射率の高い金属蒸着による反射層であることが好ましい。これは、透明高屈折膜では反射率が低く、ホログラムの立体感が低減してしまうからである。
なお、光学素子200の構成が、複数の第一領域4を有する構成である場合、金属反射層74は、複数の第一領域4のうち少なくとも一つの第一領域4を囲む構成であればよい。
<第10実施形態>
第10実施形態に係る光学素子210の構造を、図14に示す。
第10実施形態の光学素子210は、第一領域4を第二領域5が囲む点を除き、第1実施形態の光学素子1と同様の構造となっている。
第10実施形態の光学素子210であれば、第一領域4に視差立体像IMGが出現するため、第二領域5による媒体平面と対比された立体像を確認することが可能となる。
なお、「第一領域4を第二領域5が囲む」とは、第二領域5が第一領域4を完全に囲む構成に限定されるものではなく、例えば、第二領域5が第一領域4を不連続に囲む構成や、第二領域5が第一領域4を網状に囲む構成としてもよい。
<第11実施形態>
第11実施形態に係る光学素子220の構造を、図15に示す。
第11実施形態の光学素子220は、第一領域4及び第二領域5との間に、平滑面76(平滑平面)が配置されている点を除き、第1実施形態の光学素子1と同様の構造となっている。
第11実施形態の光学素子220であれば、平滑面76が、第一領域4及び第二領域5とは異なり、全反射や回折、散乱、屈折、吸収等の光学効果が無い為に、透明性が高い。透明性の高い領域は、下地の印字、例えば、IDカードの個人情報等の視認性確保に役立つ。
また、第11実施形態の光学素子220であれば、第一領域4に視差立体像IMGが出現するため、第二領域5による媒体平面と対比された立体像を確認することが可能となる。
また、平滑面76は、金属反射層(図示せず)を有している。このため、第一領域4で観察される視差立体像IMGや、第二領域5で観察される視差立体像(図示せず)は、媒体平面との対比により立体感が強調される。媒体平面を認識させる平滑な金属反射部分(鏡面部分)を設けることにより、立体像が媒体平面に対して浮いているのか、沈んでいるのかが明確となる。理想的な構成は、第一領域4または第二領域5を、金属反射層を有する平滑面76、または、立体像では無い(2次元絵柄である)回折、干渉、散乱、屈折、吸収構造が囲む構成である。
なお、平滑面76は、第一領域4内のみや、第二領域5内のみに配置されていてもよい。すなわち、平滑面76は、第一領域4内、第二領域5内、または、第一領域4及び第二領域5との間のいずれかに配置されていればよい。
また、平滑面76の構成を、金属反射層を有していない構成としてもよい。
<適用例>
本発明をIDカードに適用した例を、図16に示す。
IDカード300は、個人情報部分301と、顔写真部分302と、外周部分303を有している。
個人情報部分301には、透明であるとともに高い屈折率を有する層である第三層6を有していない第二領域5Aを配置している。
顔写真部分302には、透明ホログラムを配置している。また、顔写真部分302には、透明であるとともに高い屈折率を有する層である第三層6を有するともに、回折構造の第二領域5Bと、星絵柄SKと、玉絵柄BKと、金属反射層を有する平滑面76が配置されている。
星絵柄SKは、ホログラム立体像であり、金属反射層を有する視差立体ホログラムの第二領域を有している。
玉絵柄BKは、第一領域4による視差立体像である。
外周部分303は、金属反射層を有するホログラムとなっており、金属反射層を有する回折構造の第二領域5Cを配置している。
<応用例1>
図17は、本発明の応用例1を示す光学素子100の断面図である。
光学素子100は、第一領域と第二領域とを有する第三領域104と、第一領域と第二領域とを有する第四領域105が、上下方向(図17中における上下方向)で反転した構造となっている。
この場合、第三領域104及び第四領域105は、共に、第一層2側からの観察によって、入射角に依存した全反射と透過によるパターンを確認することが可能であるとともに、第二層3側からの観察によっては、全反射が観察されない。
つまり、表面から見たときは、第三領域104及び第四領域105のうち一方の領域で、入射角に依存した全反射と透過によるパターンを確認することが可能である。また、裏面から見た場合には、第三領域104及び第四領域105のうち他方の領域で、入射角に依存した全反射と透過によるパターンを確認することが可能である。
なお、光学素子100は、前述の印字層や着色層、構造色層、電磁波吸収層を設けるほか、前述した各光学素子と積層することや、モアレを生じる層を積層して、修飾してもよい。
<応用例2>
図18は、本発明の応用例2を示す光学素子110の断面図である。
光学素子110は、第一領域と第二領域とを有する第五領域114と、第一領域と第二領域とを有する第六領域116が、上下方向(図18中における上下方向)で反転した構造となっている。
更に、光学素子110は第七領域117を有している。
第七領域117では、同一屈折率の第二層3によってレリーフ構造が解消されている。
なお、第七領域117は、平面視において、複数箇所に形成してもよい。
光学素子110では、表面から見たときは、第五領域114及び第六領域116のうち一方の領域で、入射角に依存した全反射と透過によるパターンを確認することが可能である。また、裏面から見た場合には、第五領域114及び第六領域116のうち他方の領域で、入射角に依存した全反射と透過によるパターンを確認することが可能となる。更に、レリーフ構造が解消された第七領域117では、全反射や屈折の無い反射領域を設けることが可能である。
なお、光学素子110は、前述の印字層や着色層、構造色層、電磁波吸収層を設けるほか、前述した光学素子と積層することや、モアレを生じる層を積層して、修飾してもよい。
以下では、レリーフ構造の製法、各層の材質について詳細に説明する。
(レリーフ構造の製法詳細)
レリーフ構造を連続的に大量複製する際における、代表的な手法としては、「熱エンボス法」、「キャスト法」、「フォトポリマー法」等が挙げられる。
中でも、「フォトポリマー法」(2P法、感光性樹脂法)は、放射線硬化性樹脂を、レリーフ型(微細凹凸パターンの復製用型)と平担な基材(プラスチックフィルム等)との間に流し込み、放射線で硬化させて硬化膜を作成する。その後、硬化膜を、複製用型から基材とともに剥離する方法によって、高精細な微細凹凸パターンを得ることが可能な方法である。
また、フォトポリマー法によって得られた光学素子は、熱可塑樹脂を使用する「プレス法」や「キャスト法」に比べて、凹凸パターンの成形精度が良く、耐熱性や耐薬品性に優れる。
また、更に新しい製造方法としては、常温で固体状または高粘度状の光硬化性樹脂を使用して成形する方法や、離型材料を添加する方法もある。
本発明では、第一層2の材料でレリーフ構造を作成し、レリーフ構造に追従させて薄膜状の第三層6を形成した後に、レリーフ構造を埋めるように第二層3の材料を塗布することで、光学素子を作成してもよい。
または、第二層3の材料でレリーフ構造を作成し、レリーフ構造に追従させて薄膜状の第三層6を形成した後に、レリーフ構造を埋めるように第一層2の材料を塗布することで、光学素子を作成してもよい。
なお、これらの方法以外でも、レリーフ界面を介して屈折率の異なる2つの層を積層することが可能であれば、光学素子の製法は問わない。
また、本発明の光学素子を作成するために、第一層2または第二層3を、フィルムや紙の支持体上に塗布して一時的に設けた後に、レリーフ構造を成型してもよい。
更には、押し出しエンボス機を用いて、第一層2または第二層3を構成する樹脂材料を溶融させた溶融樹脂を、レリーフ構造を有する金型の上に押し出す。その後、フィルム状に成型し、レリーフ構造を有する第一層2(または、第二層3)を、フィルムとして作成してもよい。
<第一層2及び第二層3の材料>
微細凹凸(レリーフ構造)を形成する第一層2及び第二層3に使用される材料としては、熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂等の熱硬化樹脂を、単独、または、複合して用いることが可能である。
ウレタン樹脂は、反応性水酸基を有するアクリルポリオールやポリエステルポリオール等にポリイソシアネートを架橋剤として添加・架橋した樹脂である。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を用いることが可能である。
また、第一層2及び第二層3に使用される材料としては、上述した材料以外のものであっても、微細凹凸を形成可能であれば、適宜使用してよい。
第一層2または第二層3の表面へのレリーフ構造を付与する方法としては、例えば、フォトポリマー法を用いることが可能である。この場合、第一層2や第二層3の材料としては、例えば、エチレン性不飽和結合、または、エチレン製不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等を用いることが可能である。
モノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。これに加え、モノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
オリゴマーとしては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。
ポリマーとしては、ウレタン変性アクリル樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂が挙げられるが、この限りではない。
また、光カチオン重合を用いて、第一層2または第二層3の表面へのレリーフ構造を付与する場合には、エポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー、オキセタン骨格含有化合物、ビニルエーテル類を用いることが可能である。
また、電離放射線硬化性樹脂は、紫外線等の光によって硬化させる場合には、光重合開始剤を添加することが可能である。この場合、電離放射線硬化性樹脂の構成に応じて、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、その併用型(ハイブリッド型)を選定することが可能である。
さらに、エチレン性不飽和結合、または、エチレン製不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等を混合して使用することも可能である。これに加え、これらに予め反応基を設けておき、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、有機チタネート架橋材、有機ジルコニウム架橋剤、有機アルミネート等で互いに架橋することも可能である。また、エチレン性不飽和結合、または、エチレン製不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等に、予め反応基を設けておく。そして、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、有機チタネート架橋材、有機ジルコニウム架橋剤、有機アルミネート等で、その他の樹脂骨格と架橋することも可能である。
これらの方法であれば、エチレン性不飽和結合、または、エチレン製不飽和基を有するポリマーであって、常温で固形として存在し、タックが少ないために、成形性が良く原版汚れの少ないポリマーを得ることも可能である。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系化合物、アントラキノン系化合物、フェニルケトン系化合物、ベンジルジメチルケタール、チオキサントン、アシルホスフィンオキサイド、ミヒラーズケトン等を用いることが可能である。
ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等を用いることが可能である。
アントラキノン系化合物としては、例えば、アントラキノン、メチルアントラキノン等を用いることが可能である。
フェニルケトン系化合物としては、例えば、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等を用いることが可能である。これに加え、フェニルケトン系化合物としては、例えば、α−アミノアセトフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン等を用いることが可能である。
光カチオン重合可能な化合物を使用する場合の光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、混合配位子金属塩等を用いることが可能である。光ラジカル重合と光カチオン重合を併用する、いわゆるハイブリッド型材料の場合、それぞれの重合開始剤を混合して使用することが可能である。また、ハイブリッド型材料の場合、一種の開始剤で双方の重合を開始させる機能を有する芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等を用いることが可能である。
放射線硬化樹脂と光重合開始剤の配合は、材料によって適宜処方すればよいが、一般に、0.1質量%〜15質量%配合することにより得られる。樹脂組成物には、さらに、光重合開始剤と組み合わせて増感色素を併用してもよい。また、必要に応じて、染料、顔料、各種添加剤(重合禁止剤、レベリング剤、消泡剤、タレ止め剤、付着向上剤、塗工面改質剤、可塑剤、含窒素化合物等)や、架橋剤(例えば、エポキシ樹脂等)等を含んでいてもよい。また、成形性向上のために、非反応性の樹脂(前述の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を含む)を添加してもよい。
また、適用する製造方法において成型可能な、ある程度の流動性を有することや、成型後の塗膜が所望する耐熱性や耐薬品性が得られることを考慮して、材料を選択すればよい。
本発明では、第一層2の屈折率及び第二層3の屈折率の設定が重要となる。これらの各層を形成する材料は、無機材料、有機材料、有機無機複合材料であってもよい。また、各層を形成する材料が有機材料であって屈折率を調節する際には、無機微粒子、有機微粒子、有機無機複合微粒子、中空粒子を添加してもよい。この場合、微粒子表面に官能基を設けて分散性や膜強度を改善することが可能である。また、微粒子の分散性を改善するための分散剤や界面活性剤を添加することや、膜強度を改善するために架橋剤を添加してもよい。
また、第二層3は、第一層2や第三層6と比較して低い屈折率が求められる。無機材料や有機材料では、フッ素を含有する低屈折率材料などが知られているが、このような材料よりも低屈折率である空気の層(空気層)を、第二層3として利用しても良い。空気層を第二層3として利用する際は、レリーフ界面を剥き出しにしない方が好ましい。これは、例えば、レリーフ構造が油で汚れた場合には、レリーフ界面での光学効果が失われるため、レリーフ界面における部分的に空気を内包させる構造が好ましいためである。
また、レリーフ構造の溝を埋めないように保護フィルムを張り合わせる事によって、レリーフ界面の少なくとも一部分に空気を内包させることが可能である。これは、例えば、レリーフ構造の深さよりも十分に薄い接着剤で保護フィルムをラミネートすることで、レリーフ構造の溝を接着剤で埋めないように、保護フィルムを貼り合わせることが可能である。
(第一領域4に配置されたレリーフ構造)
第一領域4に配置されたレリーフ構造は、第三層6が接する界面に存在し、少なくとも一部が傾斜した平面を含む。このため、第一領域4に配置されたレリーフ構造の断面は、少なくとも一部の界面が、光学素子平面に対して任意の角度を有する。本発明の傾斜した平面とは、少なくとも一部の界面が、光学素子平面に対して任意の角度を有しており、その角度は、徐々に変化するように構成してもよい。例えば、斜面が曲面(断面が曲線)であるレリーフ構造も、第一領域4に配置されたレリーフ構造に該当する。
また、第一領域4に配置されたレリーフ構造は、複数の領域が集光作用を有していてもよい。このようなレリーフ構造を応用することによって、臨界角による全反射領域では光が散乱して集光効果が得られず、臨界角未満の光が透過する領域でのみ集光効果を得ることが可能である。このような特殊な現象は、本発明によってのみ達成可能である。
(第二領域5に配置されたレリーフ構造)
第二領域5に配置されたレリーフ構造は、第三層6に接する界面に存在し、回折構造、干渉構造、散乱構造、モスアイ状の形状による吸収構造、反射型の集光子、フレネル構造等のレリーフ構造を有している。
回折構造は、周期的な凹凸による構造である。干渉構造は、一定の深さの矩形構造からなる構造である。散乱構造は、周期及び深さのうち少なくとも一方がランダムな構造である。
また、第二領域5に配置されたレリーフ構造は、第一層2と第三層6との屈折率差によってこの界面で反射し、レリーフ構造に従った光学効果を得る。
本発明の基礎概念は、第一層2側から臨界角以上で入射した光が第一層2と第二層3の界面で全反射し、第一層2側から臨界角未満で入射した光が第一層2から第二層3側に透過することである。このため、第一層2と第二層3の界面におけるレリーフ構造に追従した第三層6の他に、さらに、レリーフ構造に追従する薄膜をレリーフ追従層として追加設置してよい。
この場合、レリーフ追従層の屈折率は、第一層2または第二層3に対して、±0.2以内、好ましくは±0.1以内の屈折率差で設けるとよい。この範囲の屈折率差であれば、第一層2、第二層3及び第三層6と、レリーフ追従層との界面での反射を低減させることが可能である。このようなレリーフ追従層は、層間密着や耐性を向上する目的や、レリーフ構造の補正を行う目的で有効である。また、レリーフ追従層は、ドライコーティングやウェットコーティングの公知の方式で塗布すればよい。
(第三層6の材料)
本発明の第三層6は、レリーフ形状の表面に追従した薄膜であり、第一層2よりも屈折率が高い。第三層6の材料は、有機、無機、有機無機ハイブリッドのいずれでもよく、透明性の高い材料であればよい。
有機材料としては、例えば、熱可塑性材料や熱硬化系材料、UV硬化樹脂、EB硬化樹脂等が挙げられる。また、有機材料は、例えば、液滴塗布、スプレー塗布等の公知の方法で塗布すればよい。
無機材料としては、例えば、エチルシリケート等のゾルゲル材料を液滴塗布、スプレー塗布、蒸着法等の公知の塗布法によって設ければよい。また、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化珪素等の無機材料を、真空蒸着法、スパッタ法等によって設置してもよい。
第三層6の膜厚は、厚すぎると第一領域4において第一層2と第三層6との層間の反射率が高くなり、臨界角未満の入射角における透過性が損なわれ、光学素子の下層を認識し難くなる。
また、第三層6の膜厚が薄すぎると、第二領域5における、反射性光学素子の光学効果が低下する。例えば、第二領域5に回折格子の構造を付与した場合では、回折効率が低下する。
この様なバランスが取れる第三層6の膜厚の目安としては、光学距離で50nm〜250nm程度が理想であり、より好ましくは、70nm〜150nmである。
光学距離は、下記式で定義される。
(光学距離)=(屈折率)×(膜厚、単位はnm)
(着色層)
本発明の着色層は、色材による着色層のほか、光の干渉構造であってもよい。高屈折膜と低屈折膜を交互に重ね合わせた干渉膜の原理は、例えば、特許第4740944号公報に記載されており、このような多層干渉膜を利用してよい。また、コレステリック液晶を利用した干渉構造であってもよい。また、レリーフ構造によって光を干渉させることも可能であり、これらの干渉構造体を利用してもよい。
ここで、着色層の一形態として、構造色層がある。
着色層は、干渉構造以外の光学効果を生じる層であってもよい。そして、本発明における構造色層とは、構造によって光学効果を生じる層である。例えば、任意波長領域の可視光に対して、構造による吸収、散乱、干渉、回折、等の光学効果を生じる。このような構造色層としては、例えば、多層干渉膜、レリーフ型干渉構造、レリーフ型回折格子、体積型回折格子、レンズ、レリーフ型散乱構造、体積型散乱構造、コレステリック液晶等の構造を含む層が挙げられる。
(印字層)
本発明の基礎概念は、第一領域4においては、第一層2側から臨界角以上で入射した光が第一層2と第二層3の界面で全反射し、第一層2側から臨界角未満で入射した光が第一層2から第二層3側に透過することである。
印字層は、第二層3側に接するように設けた場合、第一層2側から臨界角未満で観察することによってのみ、第一層2と第二層3越しに確認することが可能である。
また、印字層は、文字、画像、二次元コード等の情報が描かれている層である。なお、印字層は、紙、プラスチック、金属、ガラス等の基材に対して、顔料や染料を印刷したものでもよい。
また、印字層は、レーザー等の照射によって基材を変質させて印刷しても良く、例えば、ポリカーボネートのシートには、レーザーの照射により変質して黒色印字を生じるものが有るため、これを使用してもよい。さらに、印字層は、ホログラムや回折格子等による印字であってもよい。これらの印字方式や材料は、公知の方式や材料から適宜選択して使用すればよい。
(モアレを生じる構造)
モアレは、干渉縞とも呼称され、規則正しい繰り返し模様を複数重ね合わせた時に、重ね合わせた複数の繰り返し模様が有する、それぞれの周期のずれにより、視覚的に発生する縞模様のことである。
本発明のモアレを生じる構造としては、例えば、周期性レリーフ構造、または、周期性印刷層が挙げられる。周期性がわずかに異なる2つの層を一定の距離をおいて設置すると、観察角度によって異なるモアレが生じる。観察角度を変化させた場合のモアレの連続的変化は、動画様の効果を有する。例えば、図1中に表す光学素子1の上下に、周期性レリーフ構造、または、周期性印刷層を設ける。そして、これらの周期性レリーフ構造、または、周期性印刷層の周期を僅かに変化させた場合には、光学素子1が全反射を生じない観察角度でのみ、上下の層によるモアレを生じることになる。
なお、モアレを生じるためには、光学素子の上下に配置した層の周期の差が、3%〜20%程度あればよいが、この限りでは無い。
(電磁波吸収層)
本発明の電磁波吸収層は、着色層を透過した電磁波を吸収する効果を有する。例えば、多層干渉膜やコレステリック液晶等、干渉構造体の場合は、特定の波長を反射し、特定の波長以外の波長領域を透過させる。透過光が、いずれかの界面で反射してしまった場合、構造による反射光と透過光が混和し、加法混色により、本来の反射光の色濃度が薄くなってしまう。
本発明では、色濃度の低下を防止するために、着色層の下に電磁波吸収層を設ける。電磁波吸収層は、例えば、特定領域の電磁波を吸収する顔料、染料等の色材、カーボンブラックの顔料や、モスアイ構造に類似の電磁波吸収構造であってもよい。
本発明の光学素子は、各層表面での反射や散乱を抑えるために反射防止構造を設けることや、意匠向上のために各層を着色することによって、意匠性や偽造防止性を向上させてもよい。これに加え、本発明の光学素子は、印字層の代わりに公知の偽造防止用光学素子を組み合わせることや、レリーフに既存の偽造防止光学素子を組み込むことによって、意匠性や偽造防止性を向上させてもよい。
以下に、実施例を示す。
<実施例1>
「第一層2」を形成するための「第一層インキ組成物」としてハイパーテック(商標登録)UR−108Nを使用した。第一層インキ組成物を塗布した後に、鋸刃状の凹凸構造を形成する方法として、ロールフォトポリマー法を利用した。
厚さ23μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる支持体上に、「第一層インキ組成物」を、膜厚10μmとなる様にグラビア印刷法によって塗工する。その後、塗工面に対して、鋸刃状凹凸構造を有する円筒状の原版を、プレス圧力を2Kgf/cm、プレス温度を80℃、プレススピードを10m/minにて押し当てて、成形加工を実施した。
成形と同時に、PETフィルム越しから、高圧水銀灯で300mJ/cmの紫外線露光を行い、原版の凹凸形状が「第一層2」に形状転写されたと同時に硬化させた。成形後の第一層2における「鋸刃状凹凸構造」は、深さ5μm、周期5μmの第一領域4と、深さ0.5μm、周期2μmの回折格子構造の第二領域5とを有する凹凸構造であった。なお、凹凸構造が成型された第一層2の屈折率は、1.76であった。
次に、第三層6である高屈折透明反射層として、硫化亜鉛(屈折率2.39,膜厚0.54μm)を500Å蒸着した。
次に、第一層2の凹凸表面上に第二層3を設置するため、「第二層3」を形成するための「第二層インキ組成物」として、ディフェンサ(商標登録)OP−38Zを塗布し、窒素パージ環境下にて高圧水銀灯で300mJ/cmの紫外線露光を行い乾燥させた。OP−38Zは、硬化後屈折率が1.38である。
このようにして、実施例1の光学素子を得た。
<実施例2>
実施例1の光学素子を得た後に、第二層3の第三層6と対向する面と反対側の面に、干渉パールインク(株式会社セイコーアドバンス社製ミラクルカラーV741パール)を乾燥膜厚で5μm塗布して、実施例2の光学素子を得た。
<実施例3>
実施例2と同様の光学素子を作成した後に、干渉パールインクの第二層3と対向する面と反対側の面に、黒色インクを、乾燥膜厚5μmで「A」の文字パターンで塗布し、実施例3の光学素子を得た。
<比較例>
実施例1と同様の作成方法で、第三層6である高屈折透明反射層を設置せずに、実施例1と同様の方法で第二層3を設け、比較例の光学素子を得た。
<実施例及び比較例にて作成した光学素子の評価方法>
[光学効果の評価]
実施例1〜3で作成した光学素子と、比較例で作成した光学素子を、表裏から観察した。
表裏で明確に異なる光学効果が確認可能である場合を「OK」とし、表裏の光学効果がほぼ同一である場合は「NG」とした。
[透明性の評価]
インクジェットプリンターを使用し、上質印刷紙上に、サイズ16のMS明朝フォントで「TP」を黒字で全面印刷して、印字層を作成する。その後、実施例1〜3で作成した光学素子と、比較例で作成した光学素子の下に印字済みの上質紙を敷き、表示体越しの印字視認性について評価した。
特定角度領域からの観察にて、印字を明確に読み取ることが可能であるとともに、それ以外の特定角度領域からの観察にて、印字が明確に読み取れない場合を「OK」と評価した。また、どの角度からも印字が鮮明に確認出来なかった場合と、どの角度からも印字が鮮明に確認可能である場合は「NG」と評価した。
上述した評価方法を用いて、各実施例及び比較例を評価し、結果を表1にまとめた。
Figure 0006777101
表1の通り、実施例においては光学効果と透明性が両立しているが、比較例は、光学効果も透明性も不十分であった。
実施例1は、第一層2側から光学素子平面に対して垂直に観察した場合では、第一領域4では非常に透明性が高く、第二領域5では回折光が観察された。また、実施例1は、光学素子垂線に対して20°の角度から観察した場合に第一領域4では透明性が無く、第二領域5では回折光が観察された。
実施例2は、第一領域4を透過する角度から観察すると、パールインクの色調が観察された。また、実施例2は、光学素子垂線に対して20°の角度から観察した場合に、第一領域4では透明性が無く、第二領域5では回折光が観察された。
実施例3は、第一領域4を透過する角度から観察すると、パールインクの色調と、黒色インクの文字パターンが観察された。また、実施例3は、光学素子垂線に対して20°の角度から観察した場合に、第一領域4では透明性が無く、第二領域5では回折光が観察された。
さらに、実施例3には、下地に部分的に黒色インクを設けてあり、この部分のパールインクの発色が、実施例2と比べて、より強く観察された。
一方、比較例では、レリーフに沿って透明高屈折膜が存在しないために、第二領域5では、表裏のどちら側からも回折光を確認することは不可能であった。
本発明によると、表示体越しに物品の固有情報を記載した印字層を確認した場合であっても、容易に確認可能である透明性を有し、コントラストが高く視認性の高い特殊な光学効果を得ることが可能な光学素子を提供することが可能となる。また、情報記録媒体を提供することが可能となる。これにより、高い偽造防止効果を必要とするIDカードやパスポート、紙幣への利用が可能である。
1,40,50,60,70,71,72,80,81,82,85,90,91,100,110,200,210,220 光学素子
83 第3の光学素子
2 第一層
3 第二層
4 第一領域
5 第二領域
6 第三層
41 背景層
51 着色層
52 電磁波吸収層
61 着色層
62 電磁波吸収層
74 金属反射層
76 平滑面
92 周期構造
93 周期性印刷パターン
94 印刷基材
104 第三領域
105 第四領域
114 第五領域
116 第六領域
117 第七領域
300 IDカード
IMG 視差立体像

Claims (18)

  1. 表面にレリーフ構造を有する第二層と、
    前記第二層の表面側に配置された第一層と、
    前記第二層と前記第一層との間に介挿され、且つ前記レリーフ構造の表面に沿って形成された第三層と、を有し、
    前記第二層の屈折率は前記第一層の屈折率よりも低く、
    前記第三層の屈折率は前記第一層の屈折率よりも高く、
    平面視で、少なくとも第一領域と第二領域とを有する偽造防止用の光学素子であって、
    前記第一領域に配置された前記レリーフ構造は、光学素子平面に対して傾斜した複数の斜面の並びを有し、
    前記第二領域に配置された前記レリーフ構造は、断面矩形形状または断面波形形状の凹凸の繰り返しを有し、且つ電磁波の回折、干渉、散乱、屈折及び吸収のうち少なくとも一つを生じ、
    前記第一領域においては、前記第一層側から予め設定した特定の角度範囲で入射する電磁波が、前記第一層の屈折率に対する前記第二層の屈折率の比及び前記第一領域に配置された前記レリーフ構造のうち少なくとも一方に起因して全反射するように構成され、
    前記第二領域においては、前記第一層側から入射する電磁波が第一層と前記第三層との屈折率差によって反射するように構成されていることを特徴とした偽造防止用の光学素子。
  2. 前記第一層と前記第三層との界面で少なくとも一部の可視光を反射し、
    前記第三層を透過した可視光の少なくとも一部は、前記第三層と前記第二層との界面で臨界角よりも大きい入射角で全反射し、
    前記第三層の屈折率をn とし、前記第二層の屈折率を前記屈折率n 未満のn とし、前記臨界角をθ とした場合に、(1)式を満足することを特徴とする請求項1に記載した偽造防止用の光学素子。
    sinθ /n ・・・(1)式
  3. 前記第一領域に配置された前記レリーフ構造は、光学素子平面に対して傾斜した複数の斜面を有し、
    観察点側に光源を置いて任意の観察点から観察した際に、
    前記第一領域に配置された前記レリーフ構造が有する斜面への入射角をθf1とし、
    前記第一領域における前記第一層の屈折率をNとし、
    前記第一領域における前記第二層の屈折率をNとした場合に、
    )式を満足することを特徴とする請求項1または請求項に記載した偽造防止用の光学素子。
    θf1 ≧ arcsin(N/N) ・・・()式
  4. 前記第一層、前記第二層及び前記第三層のうちいずれかの層に接するように配置された第四層を有し、
    前記第四層は、文字、画像パターン及びコードのうち少なくとも1つが記載されている印字層であることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載した偽造防止用の光学素子。
  5. 前記第二層の前記レリーフ構造を有する面とは反対側の面側に配置された第五層を有し、
    前記第五層は、着色層であることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載した偽造防止用の光学素子。
  6. 前記第五層の前記第二層と対向する面と反対側の面に配置された第六層を有し、
    前記第六層は、電磁波吸収層であることを特徴とする請求項に記載した偽造防止用の光学素子。
  7. 前記第一層の前記第二層と対向する面と反対側の面に配置され、且つ着色層である第七層と、
    前記第二層の前記第一層と対向する面と反対側の面に配置され、且つ電磁波吸収層である第八層と、を有することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載した偽造防止用の光学素子。
  8. 前記レリーフ構造は、少なくとも一部が周期性構造を有するとともに、前記周期性構造とモアレを生じ得る第九層を更に有し、
    前記第九層は、予め設定したパターニングで着色された着色層であることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載した偽造防止用の光学素子。
  9. 前記第一領域及び前記第二領域のうち少なくとも一方の領域は、光学素子平面に対して垂直方向から観察した場合に、両眼と光学素子の位置により定まる輻輳角によって視差画像を生じることを特徴とした請求項1〜請求項のいずれか1項に記載した偽造防止用の光学素子。
  10. 前記第三層は、前記第二層と前記第一層との間のうち少なくとも一部分に介挿されて前記レリーフ構造と接することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載した偽造防止用の光学素子。
  11. 前記第三層は、前記第二層と前記第一層との間の一部分のみに介挿されて前記レリーフ構造と接し、
    前記レリーフ構造のうち前記第三層が接していない部分の少なくとも一部分に、金属反射層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載した偽造防止用の光学素子。
  12. 前記第一領域及び前記第二領域のうち少なくとも一方の一部分に、前記レリーフ構造に接する金属反射層が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項1のいずれか1項に記載した偽造防止用の光学素子。
  13. 前記第一領域内、前記第二領域内及び前記第一領域と第二領域との間のいずれかに、平滑面が配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項1のいずれか1項に記載した偽造防止用の光学素子。
  14. 複数の前記第一領域を有し、
    少なくとも一つの前記第一領域を囲む金属反射層が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項1のいずれか1項に記載した偽造防止用の光学素子。
  15. 請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載した偽造防止用の光学素子が2つ以上積層されていることを特徴とした偽造防止用の光学素子積層体
  16. 前記積層された各光学素子のうち少なくとも2つの光学素子が有する前記レリーフ構造は、周期性レリーフ構造であり、
    前記少なくとも2つの周期性レリーフ構造は、モアレを生じる構成となっていることを特徴とした請求項15に記載した偽造防止用の光学素子積層体
  17. 請求項1〜請求項1のいずれか1項に記載した偽造防止用の光学素子を備えることを特徴とする情報記録媒体。
  18. 請求項15または請求項16に記載した偽造防止用の光学素子積層体を備えることを特徴とする情報記録媒体。
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