JP2006276170A - 真偽判別形成体 - Google Patents

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Abstract

【課題】カード、パスポート、商品タグ、ブランドプロテクション等の偽造防止、改ざん防止が必要とされる貴重製品に適用する真偽判別形成体において、特別な真偽判別装置を用いることなく、判別することのできる真偽判別形成体を提供する。
【解決手段】光透過性の基材1の表面に複数の領域4,5,6を有し、前記領域のうち少なくとも一つの領域は、万線状に形成された複数の溝3を有する真偽判別形成体であって、前記万線状に形成された複数の溝における、該溝の長手方向に直交する断面は、一定角度に傾斜された傾斜面を有する凹凸構造として形成されている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、カード、パスポート、商品タグ、ブランドプロテクション等の偽造防止、改ざん防止が必要とされる貴重製品に適用する真偽判別形成体に関するものである。
カード、パスポート、商品タグ、ブランドプロテクション等の偽造防止、改ざん防止が必要とされる貴重製品は、その性質上、偽造、変造されにくいことが要求される。この防止策として、これら貴重製品を傾けて観察することにより潜像画像の出現又は色彩の変化をさせて真偽判別を行う技術は公知であり、凹版印刷物の画線構成を利用して潜像画像を出現させるもの、凹凸基材と印刷画線を利用するもの等が挙げられる。
前記凹版印刷物の画線構成を利用し、潜像を出現させるもの、例えば、凹版印刷された万線に潜像画像となる画線部を高い画線で構成し、その他の万線を潜像画像となる画線部より低い画線で構成している。印刷物は、真上から観察した場合に潜像画像は視認できないが、傾けて観察すると潜像画像が発現するものが開示されている(特許文献1参照)。
前記凹凸基材と印刷物画線を利用するもの、例えば、各種万線模様又はレリーフ模様、及びそれら双方の模様のいずれかの凹凸形状を有する素材と、前記素材の色及び無色透明以外の異なった他の色による一定な間隔を持つ各種万線画線又は網点画線、及びそれら双方の画線のいずれかを組み合わせることによって、印刷物の角度を変えて観察する時にのみ、特定の文字、図柄などが認識できるようにした潜像模様形成体とその作成方法が開示されている(特許文献2参照)。
特公昭56−19273号公報 特許第2615401号公報
上記従来技術は、総じて潜像領域を形成する画像部とその周辺の背景領域を形成する画像部との基材の凹凸(エンボス等)又はインキの盛り(凹版画線等)による凹凸を異ならせることにより、基材を傾けて観察した場合に潜像領域が始めて視認されるものであるが、インキの盛り量及び基材の高低さには、限度があり、基材を観察する方向、又は基材を傾ける角度が限定され、傾ける角度が浅い角度では潜像領域を視認することが困難であった。
また、観察角度及び方向により、潜像領域の色彩の変化及び光輝性が変化するようなものはなかった。
本発明は、このような従来の問題を解決することを目的としたもので、情報領域を中心に、透過光下で基材を回転及び角度を変えて観察すると、領域毎に明暗及び色彩の少なくとも一つ以上が連続的に変化し、前記情報領域がネガ画像からポジ画像又はポジ画像からネガ画像に変化し、また、反射光で真上から観察すると、光の反射の影響をうけにくいため、各情報領域は区分けしにくく、ベタに近い画像として視認され、垂直方向から徐々に水平方向に傾けて観察した場合に、立体感のある画像として視認される真偽判別形成体を提案するものである。
本発明は、光透過性の基材の表面に複数の領域を有し、前記領域のうち少なくとも一つの領域は、万線状に形成された複数の溝を有する真偽判別形成体であって、前記万線状に形成された複数の溝における、該溝の長手方向に直交する断面は、一定角度に傾斜された傾斜面を有する凹凸構造として形成されていることを特徴とする真偽判別形成体である。
本発明は、光透過性の基材の表面に複数の領域を有し、前記領域のうち少なくとも二つの領域は、それぞれ万線状に形成された複数の溝を有する真偽判別形成体であって、前記万線状に形成された複数の溝における、該溝の長手方向に直交する断面は、一定角度に傾斜された傾斜面を有する凹凸構造として形成されており、前記万線状に形成された複数の溝の延びる向きは、前記複数の領域毎に互いに異なるように形成されていることを特徴とする真偽判別形成体である。
本発明は、光透過性の基材の表面に複数の領域を有し、前記領域のうち少なくとも二つの領域は、それぞれ万線状に形成された複数の溝を有する真偽判別形成体であって、前記万線状に形成された複数の溝における、該溝の長手方向に直交する断面は、一定角度に傾斜された傾斜面を有する凹凸構造として形成されており、前記万線状に形成された複数の溝の幅は、前記複数の領域毎に互いに異なるように形成されていることを特徴とする真偽判別形成体である。
本発明は、光透過性の基材の表面に複数の領域を有し、前記領域のうち少なくとも二つの領域は、それぞれ万線状に形成された複数の溝を有する真偽判別形成体であって、前記万線状に形成された複数の溝における、該溝の長手方向に直交する断面は、一定角度に傾斜された傾斜面を有する凹凸構造として形成されており、前記万線状に形成された複数の溝のピッチは、前記複数の領域毎に互いに異なるように形成されていることを特徴とする真偽判別形成体である。
本発明の真偽判別形成体を透過光で回転または揺動させて観察すると、領域毎に明暗及び色彩の少なくとも一つ以上が連続的に変化し、前記情報領域がネガ画像からポジ画像又はポジ画像からネガ画像に変化し、ネガポジの変化の有無によって真偽判別が可能となる。よって、特別な真偽判別装置等を用いることなく、誰でもその場で上記効果が得られるか否かによって真偽判別することができる。
さらに、本発明の真偽判別形成体は、反射光で真上から観察すると、光の反射の影響をうけにくいため、各情報領域は区分けしにくく、ベタに近い画像として視認される。また、垂直方向から徐々に水平方向に傾けて観察した場合、立体感のある画像として視認される。
以上のことから、本発明の真偽判別形成体は、真偽判別効果が高く、微細な形状で形成すため改ざん,複製防止効果のあり、カード、パスポート、商品タグ、ブランドプロテクション等の偽造防止、改ざん防止が必要とされる貴重製品に適用することができる。
(基本的原理)
次に図面を参照して本発明の基本的な原理を説明する。
図1に媒質の異なる境界面での光の屈折と反射を示す。
光透過性基材(1)に向う入射光(I)は、光透過性基材(1)の平面境界(X−X’)で内部へと屈折し屈折光(R)となる。このとき入射光(I)の一部は、平面境界(X−X’)で反射され反射光(I’)となる。
また、光の入射点(Xa)に立てた法線(Px)と入射光(I)とのなす角を入射角(i)、法線(Px)と反射光(I’)のなす角を反射角(i’)といい、入射角(i)と反射角(i’)は等しい。また、法線(Px)と屈折光(R)とのなす角を屈折角(r)という。
平面境界(X−X’)の法線(Px)、入射光(I)、屈折光(R)は同一平面内にあって、入射角(i)のsinと屈折角(r)のsinの比は入射角によらず一定である。これを「スネルの法則」といい、空気の屈折率(n)、光透過性媒質の屈折率(n’)とした場合、次式(a)として表すことができる。
Figure 2006276170
図2に、媒質の異なる境界面における光の臨界角(r)と全反射を示す。
光透過性基材(1)の内部から、平面境界(Y−Y’)の入射点(Ya)に向かう光波(12a)〜(12d)の様に、法線(Py)とのなす角をだんだんと大きくして行く。
光透過性基材(1)の平面境界(Y−Y’)で外部へと屈折し,屈折光となるのは光波(12a)、(12b)のような場合である。このとき光波(12a)、(12b)の一部は、平面境界(Y−Y’)で光透過性基材(1)内部へと反射される。
臨界角(r)と呼ばれる、平面境界(Y−Y’)に対し特別な入射角である光波12cは、平面境界(Y−Y’)における外部への屈折が90°となり、屈折角はこれ以上大きくなりえない。
また臨界角(r)は、空気の屈折率(n)=1.0、光透過性基材の屈折率(n’)=1.5とした場合、屈折角は90°であるため「スネルの法則」より次のように求めることができる。
Figure 2006276170
さらに、光波(12d)のように平面境界(Y−Y’)に対し臨界角(r)より入射角を大きくすると、屈折はもはや起こらず光透過性基材(1)の表裏の境界面で全反射し光透過性基材(1)の外には出ることはできない。
本発明の真偽判別形成体の特徴は、上記の基本的な原理を応用したものである。
図3は真偽判別形成体(2)の基本的な構成を示す正面図である。光透過性基材(1)上に、レーザ加工や射出成型(型押し)等によって複数の万線状の溝(3)を形成し、この複数の万線状の溝(3)の配列方向の角度を徐々に異ならせた第1の情報領域(4)、第2の情報領域(5)、及び第3の情報領域(6)で特定画像(A)が構成される。また、図4(a)は図3における真偽判別形成体(2)のX1−X1’断面図及を示す図であり、図4(b)は図3における真偽判別形成体(2)のX2−X2’断面図を示す図である。図5は、光透過性基材(1)上に複数の万線状の溝(3)を形成した真偽判別形成体(2)を斜視拡大した図である。
図6は、真偽判別形成体(2)における光源(7)からの透過光路を表した図である。真偽判別形成体(2)の平面境界(Y−Y’)に対し、同一方向から入射した光波(12e)、(12f)、(12g)は、該真偽判別形成体(2)の情報領域毎に異なって出射される(観察視点(8)が異なることによって情報領域毎にネガ画像及びポジ画像として視認される)。
図7は、真偽判別形成体(2)における光源(7)からの反射光路を表した図である。情報領域外から入射した光波(12h)は平面境界(Y−Y’)で臨界角(r)より小さいため、そのほとんどが透過してしまう(視認することができない)。
しかし、第3の情報領域(6)から入射した光波(12i)及び第2の情報領域(5)から入射した光波(12j)は、平面境界(Y−Y’)で臨界角(r)より大きくなるために全反射され、同一情報領域内である第1の情報領域(4)から異なった
方向へ出射する(異なった光路は、観察視点(8a)では視認されづらく、観察視点(8b)では明度差として視認される)。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の内容は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
(実施例1)
光透過性基材(1)である厚さ約0.8mmのPET〔ポリエチレン‐テレフタレート〕樹脂板に、レーザ加工機によって幅100μm、深さ40μmのV型の溝を、ピッチ幅120μmで万線状に形成した。また、このPET樹脂版に、第1の情報領域(4)を形成する万線状の溝(3)の配列方向の角度を0度としたときに、第2の情報領域(5)を形成する万線状の溝(3)の配列方向の角度を5度、第3の情報領域(6)を形成する万線状の溝(3)の配列方向の角度を10度とし、特定画像(A)を構成し真偽判別形成体(2)得た。
真偽判別形成体(2)の特定画像(A)を中心に、透過光で回転させて観察すると、領域毎に明暗及び色彩の少なくとも一つ以上が連続的に変化し、前記情報領域がネガ画像からポジ画像又はポジ画像からネガ画像に変化して出現した(図8(a)〜8(c)へ又は図8(c)〜8(a)に変化した)。(図8参照)
真偽判別形成体(2)の特定画像(A)を、透過光で揺動させて観察すると、領域毎に明暗及び色彩の少なくとも一つ以上が連続的に変化し、前記情報領域がネガ画像からポジ画像又はポジ画像からネガ画像に変化して出現した(図9(a)〜9(c)へ又は図9(c)〜9(a)に変化した)。(図9参照)
真偽判別形成体(2)の特定画像(A)を反射光で観察視点(8a)ように真上から観察すると、光の反射の影響をうけにくいため、各情報領域は区分けしにくく、ベタに近い視認画像9(a)として視認された(図10参照)。また、観察視点(8b)のように垂直方向から徐々に水平方向に傾けて観察した場合、立体感のある視認画像9(b)として視認された(図11参照)。
(実施例2)
光透過性基材(1)である厚さ約0.5mmのPET樹脂板に、レーザ加工機によって幅100μm、深さ40μmのV型の溝を、ピッチ幅120μmの万線状の溝に形成した。
また、このPET樹脂版に、背景画像部(10)を形成する万線状の溝(3)の配列方向の角度を0度としたときに、メッセージ画像部(11)を形成する万線状の溝(3)の配列方向の角度を10度とし、特定画像(B)を構成し真偽判別形成体(2)得た(図12参照)。
真偽判別形成体(2)の特定画像(B)を、透過光で特定の角度で観察すると、背景画像部(10)及びメッセージ画像部(11)の明暗及び色彩の少なくとも一つ以上がネガ画像もしくはポジ画像として変化して出現した。図13(a)は背景画像部(10)がポジ画像、メッセージ画像部(11)がネガ画像として視認された図であり、図13(b)は背景画像部(10)がネガ画像、メッセージ画像部(11)がポジ画像として視認されたことを示す図である。
真偽判別形成体(2)の特定画像(B)を反射光で真上から観察すると、光の反射の影響をうけにくいため、各情報領域は区分けしにくく、ベタに近い画像として視認された(図14参照)。
また、垂直方向から徐々に水平方向に傾けて観察した場合、立体感のある画像として視認された。15(a)は上層画像がポジ画像、下層画像がネガ画像の立体画像として視認された図であり、15(b)は上層画像がネガ画像、下層画像がポジ画像の立体画像として視認された図である。

最後に、万線状の溝(3)の形状は、先に述べたV型の連続に範囲を限定されるものではなく、図16(a)の溝幅、図16(b)の深度、図16(c)のピッチを変えた構成(V型と平坦の連続)のほかに、図16(d)に示す台形型の溝や図16(e)に示す楕円形においても、発明の効果を視認することはできる。
媒質の異なる境界面での光の屈折と反射を示す図である。 媒質の異なる境界面における光の臨界角(r)と全反射を示す図である。 真偽判別形成体(2)の基本的な構成を示す正面図である。 図3における真偽判別形成体(2)のX1−X1’断面図及びX2−X2’断面図を示す図である。 真偽判別形成体(2)の各情報領域を形成する複数の万線状の溝(3)を斜視拡大した図である。 真偽判別形成体(2)における光源(7)からの透過光路を表した図である。 真偽判別形成体(2)における光源(7)からの反射光路を表した図である。 真偽判別形成体(2)の特定画像(A)を中心に、透過光で回転させて観察した図 真偽判別形成体(2)の特定画像(A)を揺動させ、透過光で観察した図 真偽判別形成体(2)の特定画像(A)を、反射光で真上から観察した図 真偽判別形成体(2)の特定画像(A)を、反射光で斜め方向から観察した図である。 特定画像(B)の基本的な構成を示す正面図である。 真偽判別形成体(2)の特定画像(B)を、透過光で観察した図である。 真偽判別形成体(2)の特定画像(B)を、反射光で真上から観察した図である。 真偽判別形成体(2)の特定画像(B)を、反射光で斜め方向から観察した図である。 万線状の溝(3)の形状の一例を示した図である。
符号の説明
1 光透過性基材
2 真偽判別形成体
3 万線状の溝
4 第1の情報領域
5 第2の情報領域
6 第3の情報領域
7 光源
8、8a、8b、8c、8d、8e、8f 観察視点
9 視認画像
10 背景画像部
11 メッセージ画像部
12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h、12i、12j 光波
A、B 特定画像
I 入射光
I’ 反射光
Px,Py 法線
R 屈折光
Xa、Ya 入射点
i 入射角
i’ 反射角
r 屈折角
臨界角

Claims (4)

  1. 光透過性の基材の表面に複数の領域を有し、前記領域のうち少なくとも一つの領域は、万線状に形成された複数の溝を有する真偽判別形成体であって、
    前記万線状に形成された複数の溝における、該溝の長手方向に直交する断面は、一定角度に傾斜された傾斜面を有する凹凸構造として形成されていることを特徴とする真偽判別形成体。
  2. 光透過性の基材の表面に複数の領域を有し、前記領域のうち少なくとも二つの領域は、それぞれ万線状に形成された複数の溝を有する真偽判別形成体であって、
    前記万線状に形成された複数の溝における、該溝の長手方向に直交する断面は、一定角度に傾斜された傾斜面を有する凹凸構造として形成されており、
    前記万線状に形成された複数の溝の延びる向きは、前記複数の領域毎に互いに異なるように形成されていることを特徴とする真偽判別形成体。
  3. 光透過性の基材の表面に複数の領域を有し、前記領域のうち少なくとも二つの領域は、それぞれ万線状に形成された複数の溝を有する真偽判別形成体であって、
    前記万線状に形成された複数の溝における、該溝の長手方向に直交する断面は、一定角度に傾斜された傾斜面を有する凹凸構造として形成されており、
    前記万線状に形成された複数の溝の幅は、前記複数の領域毎に互いに異なるように形成されていることを特徴とする真偽判別形成体。
  4. 光透過性の基材の表面に複数の領域を有し、前記領域のうち少なくとも二つの領域は、それぞれ万線状に形成された複数の溝を有する真偽判別形成体であって、
    前記万線状に形成された複数の溝における、該溝の長手方向に直交する断面は、一定角度に傾斜された傾斜面を有する凹凸構造として形成されており、
    前記万線状に形成された複数の溝のピッチは、前記複数の領域毎に互いに異なるように形成されていることを特徴とする真偽判別形成体。
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