JP6776938B2 - 嵩高糸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鞘糸および芯糸からなり、複数のループを有する合成繊維からなる嵩高糸の製造方法に関するものである。
ポリエステルやポリアミドなどの熱可塑性ポリマーからなる合成繊維は、力学特性や寸法安定性等の基本特性が高く、そのバランスに優れるという特徴がある。これらを活用した繊維素材は、紡糸により得られる繊維を高次加工することにより様々な構造形態とすることで、衣料用途のみならずインテリアや車両内装、産業用途等幅広く利用されている。合成繊維に関する新規技術の開発は、天然素材の模倣をモチベーションとして技術革新がなされてきたといっても過言ではない。そこで天然の複雑な構造形態に由来した機能を合成繊維により発現させるために様々な技術的提案がなされている。例えば、シルクの断面を模倣することによって、キシミ、柔軟性など特別な風合い)を発現させている。モルフォ蝶などを模倣することにより特別な発色をさせている。またハスの葉を模倣することにより布帛に撥水性能を持たせている。そして天然羽毛が有するソフトな風合いと軽量・保温性などの機能を有する繊維構造体を得ようとする取り組みが存在する。
天然羽毛からは、一般に水鳥の胸部から少量採取されるダウンボール(粒綿状)とフェザー(羽状)とが混合されて使用される。これらは、そのケラチン繊維からなる特異的な構造形態に由来し、ソフトな風合いに富み、体に沿いやすく優れた軽量・保温性を発現する。このため、天然羽毛を詰め綿として用いた製品は一般ユーザーまでもがその機能を認知しており、寝装具やジャケット等の衣料品など幅広く適用されている。しかしながら、自然保護の観点から水鳥の捕獲には制限があり、天然羽毛の総生産量には制約がある。更には、昨今の異常気象や疫病の発生によって、その供給量が大きく変動するという問題があり、価格の高騰も問題となった。また、天然羽毛の使用には、採毛、選別、消毒、脱脂等多くの工程を経るにもかかわらず特有の臭い、動物アレルギーがしばしば問題になっていた。また動物愛護の観点から欧州等では天然羽毛の使用を排除する動きも出ている。このため、安定供給等が可能な合成繊維による中綿素材に注目が集まっている。
合成繊維からなる中綿素材は、古くから多数のものが提案されているが、嵩高性や圧縮回復、またソフトな風合いといった基本特性という点で天然羽毛に到達した事例はない。
従来から繊維の高付加価値化等を目的として用いられる糸加工技術は、例えば、繊維に実撚りをかけた後に開撚し、あるいは1種類または2種類以上の繊維を流体加工ノズル等により混繊させることで、嵩高性を有した加工糸が製造可能であることが一般に知られている。このような嵩高性を有した加工糸は基本的には長繊維であるため、様々な形態に加工することができ、加工糸の嵩高性とソフトな風合いを活かし、中綿素材に適用することも考えられる。
特許文献1では以下の加工糸が開示されている。まず2種類の繊維を用いて、一方の繊維にだけ糸揺れ等を付与しながらウエストゲージに供給し、まとめて実撚りをかけることで、糸揺れ等を付与した繊維によりループを形成させる。この後更に2枚のディスク等で擦過させることによって開撚し、嵩高性の加工糸を得る。開撚工程以後に熱処理を加え、あるいは鞘糸の固定を強固にするために鞘糸同士をバインダーにより融着させる。確かに、特許文献1が開示する方法は、従来の手法に則り、糸揺れ等の程度を調整することで鞘糸からなるループを有した嵩高糸が得られる可能性がある。
特許文献2では、交絡ノズル内で走行糸条に対して垂直方向から圧空を噴射し、開繊、絡ませることにより、過剰に供給している鞘糸が糸長差をもって固定される技術を開示している。特許文献2では、特許文献1と同様にループ形状を有した鞘糸が存在する嵩高性を有した加工糸を得ることができる。
このようなループを持った嵩高糸は繊維間同士の絡み合いが起き、これは一般にはファスナー現象として認知されているものであり、高次加工における解舒不良や繊維製品の風合いの悪化や耐久性に影響を与えるものとされている。このため、流体加工糸を起点として、改善を試みる取り組みもある。
特許文献3では、流体噴射加工糸において、ループ部をポリトリメチレンテレフタレート(3GT)で構成することにより、3GT繊維の有する弾性を利用してファスナー現象が生じにくい嵩高加工糸となる旨の開示がある。
特開2011−246850号公報 特開2012−67430号公報 特開平11−100740号公報
上記の従来技術の特許文献1では、バインダーを予め混繊しておき、加工後に融着させてループを固定することで中綿素材として適用できる可能性がある。ただし、鞘糸が部分的に突出したループヤーンに実撚りをかけ、機械的揉み機のゴムなどによる擦過で開撚する場合には、ループは部分的に破断されるか劣化したものとなる。この加工糸を中綿として使用する場合には、最終的には数本から数十本を束ねるなどして充填することになる。その結果、鞘糸が多くの部分で破断され毛羽となり、近くにある加工糸の鞘糸と絡み合うことで成形加工における解舒不良や工程通過性を悪化させる場合があった。更には、加工糸間で鞘糸同士が顕著に絡み合うことにより、加工糸を充填した際に、異物感を生み、風合いを損ねるという問題があった。また、絡み合った箇所が融着固定されることで異物感がさらに顕著になるという問題もあった。
特許文献2の技術によれば、ノズル内で走行糸条を撹乱し、繊維を開繊して交絡処理する場合には、非常に短周期で糸が揺れて走行糸条の絡み合いを発生させることとなる。このため、自ずとノズル形状に影響を受けた小さいループが高頻度で過剰に形成されることになる。また、鞘糸がランダムに芯糸と交絡することでループの大きさは繊維軸方向で変動し、嵩高性は不十分なものであった。また、ノズル内で形成されたループヤーンはノズル内部で滞留した後に、噴射エアーによりノズル外に排出されることとなる。このため、加工糸の繊維軸方向でループの大きさやループを形成する鞘糸の長さが変動してたるみを形成することとなる。この場合、特にたるみを持った鞘糸は他方の鞘糸と絡まり易く、やはり、高次加工における工程通過性や鞘糸が絡み合った箇所が異物感に繋がるなど課題が残るものであった。
特許文献3の技術では、弾性的な伸長変形をする3GTを利用することで、鞘糸が適度な反発性を持ちながらも、糸長差をつけた場合でもループがコンパクトにまとまることでファスナー現象を抑制する可能性がある。しかしながら、ループは高々0.6mm程度と小さく、嵩高性を狙うためにループ個数を増加すると、鞘糸の密度が増加するため、鞘糸同士で絡み合いを起こしやすくなりファスナー現象を抑制できなくなる場合がある。
従来の課題を解決し、天然羽毛に匹敵する高い嵩高性と圧縮回復性を有しながらも加工糸間の絡み合いが抑制された中綿用素材が所望され、本発明は、高次加工における取扱性が良好であり、ソフトな風合いに加え、軽量・保温性等に優れる嵩高糸の製造方法を提供するものである。
上記課題は、以下の手段により達成される。
1.長繊維からなる嵩高糸の製造方法であって、糸長差を有した糸条を、交絡を付与することなく気流と共にノズルから噴射し、噴射気流によって糸条を旋回させて嵩高加工を行う嵩高糸の製造方法。
そして上記嵩高糸の製造方法の好ましい態様として以下のものがある。
2.噴射気流の速度が100〜700m/sであり、気流速度と糸速度の比(気流速度/糸速度)が100〜3000である上記の嵩高糸の製造方法。
3.嵩高加工を施した糸条に、糸条の(結晶化温度−30℃)以上の温度で熱処理を施す上記の嵩高糸の製造方法。
4.糸条が中空率20%以上の中空糸を含む上記の嵩高糸の製造方法。
5.嵩高加工を施した糸条に、シリコーンを0.1〜5.0質量%付着させる上記の嵩高糸の製造方法。
本発明による嵩高糸は、ループ形状を有しながらも嵩高糸間での絡み合い等が抑制されたものであり、高次加工における取扱性が良好であり、ソフトな風合を有し、軽量で保温性に優れる。
本発明による嵩高糸の一例の概略側面図 加工糸中心線測定方法を説明するための模擬図 3次元的な捲縮構造を説明するための模擬図 本発明の嵩高糸の製造方法の一例を模式的に示す概略工程図 本発明の嵩高糸の製造方法に用いるサクションノズルを説明するための概略側面図 本発明の嵩高糸の製造方法に用いる中空断面用紡糸口金の吐出孔を説明するための概略断面図
以下発明を実施するための形態を説明する。なお本発明による嵩高糸はマルチフィラメントを加工して得られうるものなので、嵩高糸および嵩高糸製造への途中の材料を「加工糸」と表現することがある。
本発明による嵩高糸は、合成繊維からなり嵩高となる構造を有している。この構造は、ループを形成する鞘糸と、該鞘糸と交錯することで実質的に鞘糸を固定する芯糸とから構成される。そして鞘糸が3次元的な捲縮構造を有していることが特徴である。また、本発明においては、鞘糸が実質的に破断していない。すなわち鞘糸は嵩高糸でほぼ連続している。そして鞘糸は連続的に複数のループを形成している。
ここで言う合成繊維とは、高分子ポリマーからなる繊維である。この合成繊維は、溶融紡糸や溶液紡糸などで製造した繊維を採用することができる。高分子ポリマーのうち、溶融成形が可能な熱可塑性ポリマーは生産性が高い溶融紡糸法を採用して、本発明に用いる繊維を製造することができるため本発明に用いるには好適である。
ここで言う熱可塑性ポリマーとは、例えば、ポリエチレンテレフタレートあるいはその共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ乳酸、熱可塑性ポリウレタンなどの溶融成形可能なポリマーが挙げられる。これ等の熱可塑性ポリマーのうち、ポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系ポリマーは結晶性ポリマーであり、融点が高いため後工程、成形加工及び実使用の際に比較的高い温度で加熱された場合でも劣化やヘタリがなく好適である。この耐熱性という観点では、ポリマーの融点が165℃以上であると好ましい。
本発明に用いる合成繊維は、酸化チタン、シリカ、酸化バリウムなどの無機質、カーボンブラック、染料や顔料などの着色剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、あるいは紫外線吸収剤などの各種添加剤を含んでいても良い。
本発明による嵩高糸は、図1に例示されるように、ループを形成している鞘糸1と鞘糸と交錯することで実質的に鞘糸を固定している芯糸2から構成されている。
図2を参照する。芯糸は、フィラメントであって、加工糸中心線3から0.6mmまでの範囲に存在するものであることが好ましい。この加工糸中心線とは一対の糸道ガイド4の間に定長で加工糸を糸かけした場合の糸道ガイド4を結んだ直線を意味する。該加工糸中心線からの距離5が0.6mm以下に存在するフィラメントが本発明で言う芯糸になり、鞘糸のループの支持糸となるものである。また、鞘糸は、フィラメントであって、加工糸中心線からの距離が1.0mm以上にループ状に突出していることが好ましい。鞘糸は、糸の嵩高性をつかさどるものである。本発明では、芯糸が、ループを形成する鞘糸を固定している。この交錯点は、鞘糸からなるループを支えるという役割があり、ある程度の周期で存在した方が好適である。この観点から嵩高糸における芯糸と鞘糸の交錯点が嵩高糸1mmあたり1個/mmから30個/mmで存在することが好ましい。係る範囲であれば、鞘糸に3次元捲縮を発現させた後でも、適度な間隔を有してループが存在することとなる。この観点を推し進めると、該交錯点は5個/mmから15個/mmで存在することがより好ましい。
この芯糸や鞘糸の確定や、交錯点や単位長さあたりのループの個数を嵩高糸の糸長手方向に連続的に評価するには、光電型の毛羽検知装置を活用することができる。例えば、光電型毛羽測定機(TORAY FRAY COUNTER)を用い、糸速度10m/分、走行糸張力0.1cN/dtexの条件で、加工糸中心線からの距離0.6mmならびに1.0mmを評価する。
本発明のループを有する鞘糸は、嵩高糸の糸長手方向から見た嵩高糸の断面において突出した形態を有しており、一般のインターレース加工糸やタスラン加工糸と比べて大きなループを形成している。
ここで言うループの大きさとは、図2に示す加工糸中心線3から各ループの頂点までの距離5を指す。ループの大きさは、一対の糸道ガイド4に定長で糸掛けした嵩高糸を側面から観察し、この観察した画像から測定する。無作為に選んだ1本の嵩高糸について、嵩高糸に形成されている10個以上のループが観察できるように撮影し、画像中のループ10箇所で加工糸中心線からループ頂点までの距離5を測定する。この作業を嵩高糸1本について画像撮影を計10箇所行い、嵩高糸1本あたり合計100個のループの大きさを、ミリメートル単位で小数点第2位までを測定する。この数値の平均値を算出し、小数点第2位以下を四捨五入した値を嵩高糸におけるループの大きさとした。
発明者の検討によれば、ループの大きさは加工糸中心線から1.0mm以上100.0mm以下の範囲で突出していることが好ましく、係る範囲であれば、鞘糸の捲縮構造と相まって、本発明の目的とする嵩高性と絡み合い抑制の効果が向上する。また、後述する嵩高糸への加工性を考慮すると、3.0mm以上70.0mm以下がより好ましい。また、スポーツ衣料など過酷な環境下で繰り返しの圧縮回復変形が加わることを考慮すると、5.0mm以上60.0mm以下とすることが特に好ましい。
ここで言う鞘糸からなるループの形状は、一般的な交絡により形成されるアーチ型ループよりも、クルノーダル型ループ(涙滴形状)であることが好ましい。アーチ型ループの場合には、芯糸と鞘糸の交錯点が固定されておらずループがある程度自由に移動するという特徴を有ので、この糸に圧縮変形を加えた場合には、交錯点が移動することとなる。このため、圧縮変形後には元の形状に戻りにくいため、嵩高性の耐久性という観点では不利になる場合がある。一方、クルノーダル型ループの場合には、芯糸との交錯点において、ループがほぼ固定されているため、圧縮変形後も鞘糸のループが元の形状に復帰しやすく、そもそも反発性を持った嵩高性を発揮するには、この形状が好適である。しかしながらこのクルノーダル型ループは、鞘糸同士の絡み合いを抑制するという観点では、鞘糸が固定されているため、不利な形状とされてきた。本発明では3次元捲縮した鞘糸が鞘糸の絡み合いを抑制する。また3次元捲縮していること、ループ形状であることにより高い嵩高性の発現が可能であることを見出したのである。
鞘糸からなるループが途中で破断し、あるいは部分的に劣化している場合には、前述した効果が低下する傾向にあることが分かった。このため、従来にはない嵩高性と絡み合いの抑制という相反する特性を両立させるために、本発明では鞘糸が実質的に破断されていない。特にループの途中で実質破断されていないことが好ましい。
本発明におけるループの破断の判定は、鞘糸および芯糸からなる加工糸1本から無作為に選出した10箇所において、それぞれ芯糸と鞘糸の交錯点から次の交錯点まで(すなわちひとつのループ)が加工糸の長手方向に10箇所以上確認できる倍率で撮影、観察して判定する。すなわち、該撮影画像10枚において、各々10個のループについて嵩高糸1ミリメートル当たりの鞘糸の破断点をカウントした。カウントされたループの破断点を平均し、小数点第2位を四捨五入することでループの破断点(個/mm)とした。ここで計100個のループの平均で破断している箇所が0.2個/mm以下であることが鞘糸が実質的に破断していない、換言すると嵩高糸の長さにおいて、鞘糸がほぼ連続している状態である。係る範囲であれば、糸端が自由になった鞘糸が実質的に存在しないものであり、他の鞘糸と絡み合うことないループを形成することができる。
従来の実撚りを加えた後に開撚工程を加えたり、強力なエアー噴射によりノズル内で撹乱、開繊したりする場合には、高周波で金属からなるノズル内部に走行糸条が叩きつけられ、破断や劣化する場合がある。更にループを形成しようとした場合には、ラバーディスク等の間で擦過し、開撚する必要があるため、鞘糸は破断し、または力学特性が大きく低下したりする。このため、破断した鞘糸が他の鞘糸に巻きついたり、あるいは絡み合うことでファスナー効果を助長することになり、糸の構造形態や高次加工に制約をつける結果になったと考える。本発明の製造方法においては、後述する手法により、この従来技術で課題となっていた鞘糸の破断が大きく改善されたものとなり、前述したように、3次元捲縮を有した鞘糸が織り成す効果を十分に発揮することができる。
嵩高性をつかさどる鞘糸は3次元的な捲縮構造を有しており、実質的に破断することなく、連続的にループを形成している。本発明における3次元的な捲縮構造とは、図3に例示されるようにフィラメントの単糸がスパイラルな構造を有していることである。
この3次元的な捲縮の評価は、嵩高糸から無作為に選出した10箇所において、各々10本以上の鞘糸を選定し、それぞれの鞘糸をデジタルマイクロスコープ等で捲縮形態が確認できる倍率で観察することで評価する。この画像において、観察される鞘糸がらせん状に旋回した形態を有している場合には、3次元的な捲縮構造を有していると判定し、そうでない場合には捲縮構造を有していないと判定する。
ばねに類似したこのような3次元的な捲縮構造を有した繊維は伸長変形及び圧縮変形に対して、回復力を有している。本発明による嵩高糸は鞘糸がこの構造を有していることにより、心地よい反発性を有するものとなる。本発明による嵩高糸を合糸して糸束として布帛の間に充填する場合には、本発明による嵩高糸が織り成す特有の反発性が充填物の良好な触感を発現するとともに、繰り返しの圧縮回復を加えた場合にもこれを支える鞘糸がばねのように回復するため、ヘタリ抑制という観点からも好適なのである。従来のサイドバイサイド複合繊維や中空繊維のような一般的な製法で得られる潜在捲縮糸もつ3次元的な捲縮のサイズは一般的にはミクロンオーダー(10−6m)である。本発明では、その効果を高めるために、それよりも大きいミリオーダー(10−3m)であることが好ましい。本発明においては、この3次元的な捲縮のサイズによって、嵩高糸の糸長手方向から見た嵩高糸の断面の嵩高性や反発性を自在に制御することができ、当然この反発性を利用して、本発明の目的の一つである鞘糸同士の絡み合いを抑制することも可能となる。特に、捲縮のサイズをミリオーダーとすることにより、主に鞘糸の嵩高性と圧縮性の両立しながらも、鞘糸間の絡み合いが抑制されたものとなる。
本発明の鞘糸では、らせん状に旋回しているスパイラル構造の曲率半径が1.0から30.0mmの範囲にあることが好ましい。ここで言うスパイラル構造の曲率半径とは、前述した3次元的な捲縮の有無を判定するのと同じ方法で、デジタルマイクロスコープ等によって2次元的に観察される画像を用いる。図3に示すように、スパイラル構造を有した繊維が形成する湾曲6の半径を曲率半径とする。嵩高糸から無作為に選出した10箇所において、各々10本以上の鞘糸を採取し、それぞれの鞘糸をデジタルマイクロスコープ等で捲縮形態が確認できる倍率で観察することで計100本の鞘糸をミリメートル単位で小数点第2位までを測定する。これらの測定値の単純平均を算出し、小数点第2位以下を四捨五入した値を、3次元的な捲縮構造の曲率半径とした。
この曲率半径は、2.0から20.0mmであることがより好ましい。係る範囲であれば、嵩高糸の糸長手方向から見た断面への圧縮に対して、適度な反発感を有しつつも、鞘糸同士が点で接触することになり、適度な反発性のある嵩高性を奏することとなる。更に、3.0から15.0mmであることが特に好ましい。係る範囲においては、長期的な耐久性についても問題なく、繰り返し圧縮回復が加わる衣料用途、特に過酷な環境下で使用されるスポーツ衣料に適用すると本発明の効果が有効に作用する。これは、機械的な押し込みで付与できる単糸の2次元的な屈曲ではなく、単糸自体が3次元的な立体形状を有し、スパイラルもしくはそれに類似した構造を有しているためである。これらの捲縮形態は、ミクロンオーダーと微細な捲縮であるため、微細なスパイラル構造同士がお互いにかみ込むことで、ファスナー効果を助長しやすくなる。
一方、発明者らは、課題のひとつである嵩高糸同士の絡み合い抑制を達成するため、単繊維の形態に着目し検討を推し進めた。その結果、鞘糸がミリオーダーの3次元的な捲縮を有する単糸で構成された場合では、従来の認識とは全く逆の現象が起こることを発見したのである。これは、鞘糸がミリオーダーの3次元的な捲縮を有していることで、糸束にした場合でも、嵩高糸同士が好適な排除体積を持っており、鞘糸同士のかみ込みが大きく抑制されたためと考える。すなわち、本発明による嵩高糸の鞘糸はそのループの大きさに依存して移動可能な空間を有しており、本発明の定義に従えば、ループはその交錯点を中心として半径1.0mm以上の半球状の比較的大きな可動空間を有していることになる。この場合、繊維径に対して圧倒的に大きいサイズの3次元的な捲縮を有した鞘糸同士はお互いに点で接触し、反発しあうため、ひとつの鞘糸は絡み合うことなく単独で存在することができる。また、3次元的な捲縮を有した鞘糸においては、前述した移動空間に加えて、更に鞘糸自体が繊維軸方向にばねの様に伸長できるため、鞘糸同士が交差した場合、振動を加えることにより簡単に解舒することができるのである。
更には、この鞘糸の3次元的な捲縮は本発明の基本特性である嵩高性という観点でも有効に作用する。前述した鞘糸同士の点接触は、1本の嵩高糸内でも、鞘糸が互いに反発する効果を生み、初期の嵩高性はもとより、鞘糸からなるループが放射状に開繊した状態を時間が経過しても維持できるのである。本発明の鞘糸のばねのような挙動は、従来の単にストレートな鞘糸によるものでは達成が難しい。
本発明の鞘糸がループを形成し、かつ3次元的な捲縮構造を有するという形態的特徴は、摩擦係数の低下にも効果を与える。これは前述した通り、その他との接触が、点で接触することの効果であり、本発明の特異構造を有した嵩高糸の奏でる効果の一つである。本発明者等の検討では、嵩高性を有しつつも、嵩高糸間の絡み合いが抑制されるには、繊維間静摩擦係数が0.3以下であることが好ましい。ここで言う繊維間静摩擦係数とは、レーダー式摩擦係数試験機により、JIS L 1015(2010年)「化学繊維ステープル試験方法」の「摩擦係数」に記載された方法に準じて測定するものである。なお、当該JISはステープルを目的としているため、測定にあたっては開繊等の前作業を行うことを規定しているが、本発明での測定では、開繊等の処理は行わず、嵩高糸を円筒スライバーに平行に並べることで評価できる。
本発明による嵩高糸を繊維製品にした場合には、圧縮時に繊維が適度に滑って移動すると風合いが高まるため、繊維間静摩擦係数は低い方が好ましい。繊維間静摩擦係数は0.2以下であることがより好ましく、0.1以下であることが特に好ましい。
また、本発明による嵩高糸で、より優れた触感を訴求するという観点では、鞘糸と芯糸の単糸繊度比(鞘/芯)は0.5から2.0の範囲が好ましい。係る範囲であれば、鞘糸と芯糸の繊度が近く、圧縮した際の異物感等を感じることなく使用することができる。また、効率的に嵩高加工可能な範囲としては、単糸繊度比(鞘/芯)が0.7から1.5を挙げることができる。また、本発明による嵩高糸においては、様々な繊維を組み合せることも可能であるが、前述した効率的な流体加工及び圧縮した際の異物感を全く感じさせないという点で、芯糸及び鞘糸が、単糸繊度及び力学特性が同じものであることが好適である。具体的には、本発明においては、同じ製糸条件で製造した繊維を2つ以上用意しておき、これを芯糸と鞘糸に用いることが好適であり、特にこれらが1種類(単独)の樹脂からなる繊維であることが好ましい。
このような嵩高糸における摩擦係数の低下や絡み合いの抑制という観点では、鞘糸に加えて芯糸においても、ミリオーダーの3次元的な捲縮構造を有していることが好ましい。この芯糸のスパイラル構造の曲率半径は1.0から30.0mmの範囲にあることが好ましい。係る範囲であれば、鞘糸を実質的に固定する芯糸の交錯点において、芯糸の3次元捲縮に由来するフィラメント間空隙が存在することとなる。この場合、嵩高糸に張力が付与されていない場合には、ループの支点が長手方向にも限られたスペースで移動できるため、鞘糸の移動空間が拡がり、本発明の絡み合い抑制やソフトな風合いという効果がより顕著になるためである。一方、嵩高糸に張力が付与された場合には、芯糸が伸長することにより、芯糸と鞘糸の交錯点における拘束力が高まり、ループの解け、鞘糸の脱落を防ぐなど、実用面において有効な効果を発揮する。この芯糸の3次元的な捲縮に関しても、前述した鞘糸の3次元捲縮の評価方法に準じて無作為に採取した芯糸の観察から確認することができる。芯糸のスパイラル構造の曲率半径は3.0から15.0mmであることがより好ましい。係る範囲においては、長期的な耐久性が良好であり、嵩高糸に繰り返し伸長変形が加わる衣料用途やスポーツ衣料に適用すると本発明の効果が有効に作用する。
本発明に用いる芯糸および/または鞘糸が中空断面繊維であることが好ましい。さらに3次元的な捲縮構造を有する繊維が、中空断面繊維であることがより好ましい。これは3次元的な捲縮のサイズを大きいものから小さいものまで比較的自由に製造できるという利点があるからである。
またループの突出という観点からも中空断面繊維が好適である。その理由を以下説明する。本発明による嵩高糸では、鞘糸からなるループは芯糸との交錯点を起点とし、鞘糸の剛性により突出を可能としている。さらにヘタリ防止を考えると、鞘糸自身の質量も小さいことが好ましい。このため、この鞘糸の軽量性という観点では、中空率20%以上の中空断面繊維であることが好ましい。ここで言う中空率とは、繊維中に材料が存在していない部分の体積率である。
例えば以下の方法で測定できる。鞘糸または芯糸を断面が観察できるように切削した後、その繊維断面を電子顕微鏡(SEM)にて10本以上の繊維の断面が観察できる倍率で撮影する。撮影した画像から無作為に選定した10本の繊維を抽出し、画像処理ソフトを用いて繊維及び中空部分の円相当径を測定し、そこから中空部の面積比率を算出して求める。以上の操作を撮影した10画像について行い、10画像の平均値を本発明の中空断面繊維の中空率とする。
円形中空繊維の場合には、簡便な中空率の評価方法として以下のものがある。
中空断面繊維の側面を顕微鏡等の拡大手段で観察し、その画像から丸断面換算の繊維径を測定する。この繊維径と繊維の素材の密度から、中空でない繊維としたときの繊度に対する実測した繊度との比率を中空率として算出することも可能である。
中空率は、本発明の目的である軽量・保温性という観点では、本発明による嵩高糸がより空気を含んでいることが好適であり、中空率が30%以上であることがより好ましい。係る範囲であれば、嵩高糸を束で持った際により良好な軽量性を実感できることもできる。また、より多くの熱伝導率が低い空気を内部に有していることを意味するため、更に保温性を高めることができる。このような観点から、この中空率の値はより高いほど好適であるといえるが、製糸工程や後述する流体加工工程において、中空部がつぶれず安定的に製造可能の範囲として、本発明における中空率の上限値は50%である。
本発明による嵩高糸は、優れた嵩高性を有したものであり、これを構成する糸は適度な反発性を有していることが好適である。本発明が解決しようとする課題を鑑みると、嵩高糸を構成する合成繊維の単糸繊度は3.0dtex以上であることが好ましい。また、詰め物とした場合には、繰り返し圧縮回復等の変形を加えられることとなるため、構成するフィラメントは適度な剛性を有することがよく、単糸繊度が6.0dtex以上であることがより好ましい。ここで言う繊度とは、求めた繊維径、フィラメント数および密度から算出した値、または繊維の単位長さの重量を複数回測定した単純な平均値から、10000m当たりの質量を算出した値を意味する。
本発明による嵩高糸は、破断強度が0.5〜10.0cN/dtexで、伸度が5%〜700%であることが好ましい。ここで言う、強度とは、JIS L1013(1999年)に示される条件で糸の荷重−伸長曲線を求め、破断時の荷重値を初期の繊度で割った値である。伸度とは、破断時の伸長を初期試長で割った値である。また、本発明による嵩高糸の破断強度は、高次加工工程の工程通過性や実使用に耐えうるものとするためには、0.5cN/dtex以上とすることが好ましく、実施可能な上限値は10.0cN/dtexである。また、伸度についても、後加工工程の工程通過性も考慮すれば、5%以上であることが好ましく、実施可能な上限値は700%である。破断強度および伸度は、目的とする用途に応じて、製造工程における条件を制御することにより、調整が可能である。本発明による嵩高糸をインナーやアウターなどの一般衣料用途や布団や枕などの寝装具に用いる場合には、破断強度が0.5〜4.0cN/dtexとすることが好ましい。また、比較的使用状況が過酷になる、スポーツ衣料用途などでは、破断強度が1.0〜6.0cN/dtexとすることが好ましい。
本発明による嵩高糸は、繊維巻き取りパッケージやトウ、カットファイバー、わた、ファイバーボール、コード、パイル、織編、不織布など多様な繊維構造体とし、様々な繊維製品とすることが可能である。ここで言う繊維製品は、一般衣料から、スポーツ衣料、衣料資材、カーペット、ソファー、カーテンなどのインテリア製品、カーシートなどの車輌内装品、化粧品、化粧品マスク、ワイピングクロス、健康用品などの生活用途やフィルター、有害物質除去製品などの環境・産業資材用途に使用することができる。特に本発明による嵩高糸は、その嵩高性と絡み合いが抑制されるなどの効果から、中綿として活用することが好適である。この場合、中綿は側地に充填することから、数本から数十本の糸束としたり不織布などのシート状物にするとよい。特にシート化した際には、側地への充填が簡易であり、充填量を用途に応じて調整しやすい。このため、薄地の軽量・保温素材になり、更には側地から抜ける出る心配もなく、不必要に縫製を施す必要がないため、繊維製品の形態に制約がなく、複雑なデザイン等も可能となる。
以下、本発明の嵩高糸の製造方法の一例を説明する。
本発明に用いられる芯糸及び鞘糸は熱可塑性ポリマーを溶融紡糸方法によって繊維化した合成繊維を用いればよい。
本発明に用いる合成繊維への紡糸温度は、用いられるポリマーが流動性を示す温度とする。この流動性を示す温度としては、分子量によっても異なるが、該ポリマーの融点が目安となり、融点以上、融点+60℃以下で設定すればよい。融点+60℃以下であれば、紡糸ヘッドあるいは紡糸パック内でポリマーが熱分解等することなく、分子量低下が抑制されるため、好ましい。また、吐出量は、安定して吐出できる範囲として、吐出孔当たり0.1g/min/hole〜20.0g/min/holeが一般的である。この際、吐出の安定性を確保できる吐出孔における圧力損失を考慮することが好ましい。圧力損失の目安は、0.1MPa〜40MPaの範囲にすることが好ましく、使用するポリマーの溶融粘度、吐出孔の仕様及び吐出量によって調整することができる。
このように吐出された溶融ポリマーは、冷却固化されて、油剤を付与されてローラによって引き取られることで繊維となる。ここで、この引取速度は、吐出量および目的とする繊維径から決定すればよいが、安定に製造するには、100〜7000m/minの範囲とすることが好ましい。この合成繊維は、高配向とし力学特性を向上させるという観点から、一旦巻き取られた後で延伸を行うことも良いし、一旦、巻き取ることなく、引き続き延伸を行っても良い。この延伸条件としては、例えば、一対以上のローラからなる延伸機において、一般に溶融紡糸可能ポリマーであれば、ガラス転移温度以上に設定された第1ローラと結晶化温度程度にした第2ローラとの周速比(第2ローラ/第1ローラ)によって延伸を施された後に巻取り機によって巻き取られる。また、ガラス転移を示さないポリマーの場合には、複合繊維の動的粘弾性測定(tanδ)を行い、温度/tanδ曲線のピーク(複数ある場合には最も高い温度のもの)の温度以上を予備加熱温度として、第1ローラ温度として採用すればよい。ここで、延伸倍率を高め、力学物性を向上させるという観点から、この延伸工程を多段で施すことも好適な手段である。
本発明の合成繊維の断面形状に関しては、特に限定される必要もなく、紡糸口金における吐出孔の形状を変更することで、一般的な丸断面、三角断面、Y型、八葉型、偏平型などや多様型や中空型など不定形なものにすることができる。また、単独のポリマーなからなる必要もなく、2種類以上のポリマーからなる複合繊維であってもよい。ただし、本発明の重要な要件である鞘糸の3次元的な捲縮を発現するという観点では、上記のうち、中空断面や2種類のポリマーが貼り合わされたサイドバイサイド型の複合繊維を用いるのが適当である。これら繊維においては、製糸及び糸加工を施した後に熱処理を施すことにより、単繊維の断面において異物質の存在により3次元的な捲縮を発現することができる。このため、後述する流体加工時においては、いわゆるストレートな繊維であるものの、鞘糸によるループ形成工程を経た後に、熱処理を施すことによって3次元的な捲縮が発現する。
嵩高加工時に繊維がストレートであると、ノズル等で糸詰まりなどを起こすことなく糸条が安定的に走行しやすい。また本発明のループを形成させることにおいても、芯糸と鞘糸の旋回が効率的に行われることとなり、加工糸の繊維軸方向において、各ループが極めて近い形状となる。このループを有する加工糸をポリマーの結晶化温度を目安に熱処理することで、鞘糸は3次元的な捲縮を発現し、嵩高糸となる。この鞘糸の3次元的な捲縮は、加工糸の円周方向及び断面方向のいずれにも良好な嵩高性を発現するものであり、求める特性に応じて、適度に制御することが好適である。
この熱処理後の捲縮発現の程度を制御する観点からは、用いる繊維は、単成分のポリマーからなる中空断面繊維とすることがより好ましい。中空断面繊維の場合には、繊維の中心に熱伝導率が低い空気層を有している。このため、例えば、中空断面が形成できる紡糸口金から吐出後、過剰な冷却風等で強制的に片側を冷却する、あるいは延伸時に加熱ローラ等で過剰に片側を熱処理することで、繊維の断面方向で構造差が生まれる。単成分ポリマーからなる中空断面繊維の場合には、単独紡糸機で製糸が可能であることに加えて、前述した操作により、3次元的な捲縮を大サイズから小サイズまで比較的簡単に得ることが可能である。このため、本発明に用いるには好適であり、前述した操作による捲縮制御という観点でも、上で説明したとおり中空率20%以上、さらに30%以上であることが特に好ましい。
次に、紡糸して得られた繊維から嵩高糸へ製造する方法の例を説明する。
ここで例示する嵩高糸の製造方法は、大きく2つの工程からなる。第1工程が流体により芯糸と鞘糸を交錯させ、鞘糸からなるループを形成させる嵩高加工である。第2工程が嵩高加工された糸条を熱処理することにより鞘糸に3次元的な捲縮を発現させる熱処理工程である。
本発明の嵩高糸の製造方法の一例を、図4の概略工程図に基づいて説明する。この第1工程では、原料となる合成繊維8はニップローラなどを有した供給ローラ7により規定量引き出され、圧空の噴射が可能なサクションノズル9によって、芯糸及び鞘糸として吸引される。
このサクションノズル9において、ノズルから噴射する圧縮空気の流量は、供給ローラからノズルに挿入する糸条が必要最低限の張力を有して供給ローラ−ノズル間及びノズル内で糸揺れ等を起こさず安定的に走行する流量を噴射すればよい。この流量は、使用するサクションノズルの孔径により最適量が変化するが、糸張力を付与でき、後述するループの形成が円滑にできる範囲としては、ノズル内での気流速度が100m/s以上であることが目安となる。この気流速度の上限値の目安は、700m/s以下とすることであり、係る範囲であれば、過剰に噴射された圧空により、走行糸条が糸揺れ等を起こすことなく、安定的にノズル内を走行することになる。
また、このサクションノズル内での走行糸条の撹乱、開繊を予防するという観点から、圧縮空気の噴射角度(図5の16)は、走行糸条に対して60°未満で噴射する推進ジェット流とすることが好ましい。これは高い生産性で、鞘糸によるループ形成を均質に行うことができるからである。当然、走行糸条に対して90°に流体を噴射する垂直ジェット流による加工も本発明の嵩高糸を製造することは不可能ではないが、垂直方向からジェット流の噴射による走行糸条の開繊、及びノズル内の狭い空間で単糸同士の絡み合いを抑制するという観点から推進ジェット流による加工が好ましい。この推進ジェット流による加工は、垂直ジェット流の場合には形成しやすいアーチ型の小ループが短周期で形成することも抑制できる。
本発明の嵩高糸に必要となる鞘糸からなるループの形成には、サクションノズル内で撹乱や開繊を施さないことが好適である。一桁本数から二桁本数の糸からなるマルチフィラメントをノズル内では開繊させずに走行させるという観点では、圧縮空気の噴射角度が、走行糸条に対して45°以下であることがより好ましい。更に、後述するノズル外でのループを形成させるには、ノズル直後の噴射気流の安定性及び推進力が高いことが好適であり、この観点では、噴射角度が走行糸条に対して20°以下であることが特に好ましい。
このサクションノズルに導く糸条は、1フィードで行う場合と2フィードで行う場合があるが、本発明の嵩高糸を製造するには、2フィードによる加工を行うことが好適である。ここで言う2フィードとは、芯糸と鞘糸を別々の供給ローラなどで供給速度(量)に差をつけて、ノズルに供給する手法を意味する。後述する気流による旋回力を利用することで過剰に供給された側の糸が鞘糸となりループを形成することになる。
この2フィードを活用する場合には、ノズル内で走行糸条に撹乱、開繊及び交絡の効果を付与するインターレース加工ノズルやタスラン加工ノズルを使用することで、ノズル内でループを形成させることも不可能ではない。ただし、これらの加工ノズルで得られる加工糸では、本発明による特徴的な嵩高糸の形態を形成しにくい上に、ループが短周期で形成されやすいことに加えて、そのサイズも小さくなりやすい。
このため、本発明の目的を満足する嵩高糸を製造するには、多数存在するパラメータを緻密に制御する必要が生じる。また、多錘化した場合に、錘毎に嵩高糸の嵩高性が異なるものになるという可能性があるため、品質の安定性という観点からも後述するノズル外の気流制御を活用した手法を採用することが好適である。この点に関して、ノズル内での撹乱、開繊処理は積極的に付与しないことを考えた。
次に圧縮空気が付与された糸条をノズル外で旋回させ、鞘糸によるループを形成させる工程となる。これはノズルから離れた位置で供給された2本の糸を旋回させることでループが形成可能になるというコンセプトを着想したものである。気流速度と糸速度の比(気流速度/糸速度)が100から3000にある場合に、ノズル外で鞘糸が開繊しながら旋回するという特異的な現象が見出された。
ここでの気流速度とは、サクションノズル出口から走行糸条と伴に噴射された気流の速度を意味する。この速度はノズルの吐出径と圧縮空気の流量により制御可能である。また、糸速度は流体加工ノズル後に糸を引き取るローラの周回速度等により制御することが可能である。この走行糸条の旋回力は気流と糸との速度比に依存して増減するため、目的とする嵩高糸の交錯点を強固にする場合には、この速度比を3000に近づければよいし、交錯点を緩慢にしたい場合には逆に100に近づければよい。この速度比は、例えば、圧縮空気の流量を間歇的に変化させ、あるいは引取ローラの速度を変動させることで、交錯点の度合いに変化を持たせることも可能である。一方、本発明の嵩高糸を詰め物など圧縮回復の変形が繰り返し付与される用途に使用する場合には、気流速度/糸速度を200から2000にすることが好ましい。特に、高頻度で変形が加わるジャケット等の衣料用に用いる嵩高糸を製造する場合には、適度な拘束と柔軟性を付与するという観点から、気流速度/糸速度が400から1500とすることが特に好ましい。
この旋回力が発現するのは、随伴していた気流が走行糸条を離脱したところである。そこで糸道を変更する旋回点10を配置する。具体的には、バーガイド等で糸道を変更することでも良い。そして糸条を規定の速度で引き取ることにより芯糸の周りを鞘糸が旋回し、ループを形成する。この旋回を起こすためのスペースとノズルから噴射された気流の拡散を利用した鞘糸の振動によるほぐれを得るという観点から、走行糸条の旋回点は、ノズル吐出口から離れた位置にあることが好適である。ただし、本発明の嵩高糸を製造するために適したノズル−旋回点間の距離は噴出した気流速度により変化するものであり、噴出気流が1.0×10−5から1.0×10−3秒間走行する間に旋回点10が存在することが好ましい。気流の拡散とのバランスで適度な周期で芯糸と鞘糸との交錯点を形成させるためには、ノズル−旋回点間の距離は噴出気流が2.0×10−5から5.0×10−4秒間走行する間に存在することがより好ましい。
この旋回点の位置を調整することで、本発明の嵩高糸の交錯点の周期を制御することもできる。交錯点は、本発明の特徴である鞘糸からなるループの自立を支えるという役割があり、ある程度の周期で存在した方が好適である。この観点から嵩高糸における芯糸と鞘糸の交錯点を1個/mmから30個/mmで存在するように旋回点を調整することが好ましい。係る範囲であれば、鞘糸の3次元捲縮を発現させた後でも、適度な間隔を有してループが存在することとなるため、好ましいのである。この観点を推し進めると、該交錯点は5個/mmから15個/mmで存在するように旋回点を調整することがより好ましい。
鞘糸からなるループが形成された加工糸11(図4)は、形態固定や3次元的な捲縮を発現させるために、一旦巻き取った後あるいは嵩高加工に引き続いて熱処理を施すことが好ましい。図4においては、ループ形成工程に引き続き熱処理を行う加工工程を例示している。
この熱処理は、例えばヒータ13(図4)によって行うものである。温度は使用するポリマーの結晶化温度±30℃がその目安となる。この温度範囲での処理であれば、ポリマーの融点から処理温度が離れているため、鞘糸間や芯糸間で融着して硬化した箇所はなく、異物感がなく、良好な触感を損ねることはない。この熱処理工程に用いるヒータは一般的な接触式あるいは非接触式のヒータを採用することができるが、熱処理前の嵩高性や鞘糸の劣化抑制という観点では、非接触式のヒータの使用が好ましい。ここで言う非接触式のヒータとは、スリット型ヒータやチューブ型ヒータ等の空気加熱式ヒータ、高温蒸気により加熱するスチームヒータ、輻射加熱を利用したハロゲンヒータやカーボンヒータ、マイクロ波ヒータ等が該当する。
ここで加熱効率という観点から、輻射加熱を利用したヒータが好ましい。加熱時間に関しては、例えば、結晶化が進み加工糸を構成する繊維の繊維構造の固定、加工糸の形態固定及び鞘糸の捲縮発現が完了する等ための時間などを考慮することになり、処理温度及び時間を求められる特性に応じて調整するのがよい。熱処理工程が完了した加工糸はローラ14(図4)を介して速度を規制し、張力制御機能を具備したワインダ15で巻き取ればよい。この巻き形状に関しては、特に限定されるものではなく、いわゆるチーズ巻きやボビン巻きとすることが可能である。また、最終的な製品への加工を考慮して、複数本を予め合糸し、トウとすることやそのままシート化することも可能である。
本発明の嵩高糸は、熱処理工程前後でシリコーン系油剤を散布するなどしてシリコーンを均一に付着させることが好ましい。ここで付着させるシリコーンは、熱処理などによって適度にシリコーンを架橋させることで、鞘糸及び芯糸にシリコーンの皮膜を形成させると良い。ここで言うシリコーンとは、ジメチルポリシロキサン、ハイドロジエンメチルポリシロキサン、アミノポリシロキサン、エポキシポリシロキサン等が例示され、これらを単独または混合して使用できる。また、嵩高糸の表面に均一に皮膜を形成するために、シリコーン付着の目的を損なわない範囲で、油剤に分散剤、粘度調整剤、架橋促進剤、酸化防止剤、防燃剤及び静電防止剤を含有させることができる。このシリコーンは無溶剤でも、溶液や水性エマルジョンの状態でも使用することもできる。均一付着という観点では、水性エマルジョンを使用することが好ましい。シリコーン系油剤は、油剤ガイド、オイリングローラーまたはスプレーによる散布を利用して、質量比で嵩高糸に対してシリコーン成分が0.1〜5.0質量%付着できるように処理することが好適である。その後任意の温度及び時間で乾燥し、架橋反応させることが好ましい。このシリコーンは、複数回に分けて付着させることも可能であり、同じ種類のシリコーンあるいは種類の異なるシリコーンを分けて付着さて、強固なシリコーン皮膜を積層させることも好適である。前述した処理により、嵩高糸にシリコーンの皮膜を形成させることで、嵩高糸の滑り性、触感が増し、本発明の効果を更に引き立たせることができる。
以下実施例を挙げて、本発明の嵩高糸およびその効果について具体的に説明する。
実施例および比較例では、下記の評価を行った。
A.繊度
繊維の100mの質量を測定し、100倍することで繊度を算出した。これを10回繰り返し、その単純平均値の小数点第2位を四捨五入した値をその繊維の繊度(dtex)とした。単糸繊度とは、繊度をその繊維を構成するフィラメント数で除することにより、算出した。この場合も、小数点第2位を四捨五入した値を単糸繊度とした。
B.繊維の力学特性
繊維をオリエンテック社製引張試験機“テンシロン”(登録商標) UCT−100型を用い、試料長20cm、引張速度100%/minの条件で引張り、応力−歪曲線を求める。破断時の荷重を読みとり、その荷重を初期繊度で除することで破断強度(cN/dtex)を算出する。また、破断時の歪を読みとり、試料長で除した値を100倍することで、破断伸度(%)を算出した。いずれの値も、この操作を水準毎に5回繰り返し、得られた結果の単純平均値を求め、小数点第2位を四捨五入した値である。
C.ループ評価(大きさ、交錯点、破断点)
試料となる糸にたるみが出ないように0.01cN/dtexの荷重をかけ、図2に例示されるように定長で一対の糸道ガイド4に糸掛けする。糸掛けした嵩高糸の側面を(株)キーエンス社製マイクロスコープVHX−2000にてループを10箇所以上が観察できる倍率で撮影した。この画像から無作為に選定したループ10箇所について、画像処理ソフト(WINROOF)を用いてループ先端の加工糸中心線3からのループ頂点までの距離5(図2)を測定した。この作業を加工糸1本について画像を計10箇所撮影し、加工糸1本あたり合計100箇所のループをミリメートル単位で小数点第2位までを測定する。この数値の平均値を算出し、小数点第2位以下を四捨五入した値を嵩高糸におけるループの大きさとした。
前記と同じ10画像において、加工糸中心線3から1.0mm以上にループの頂点を形成する鞘糸が、加工糸中心線3から0.6mmに位置した直線と交差する点を交錯点とし、加工糸1ミリメートル当たりでカウントした。計10画像の交錯点(個/mm)を測定し平均値の小数点以下を四捨五入した。
前記と同じ10画像において、ループを10個の破断点を加工糸1ミリメートル当たりでカウントした。嵩高糸1本あたり合計100個のループの破断点(個/mm)を測定し、平均値の小数点第2位以下を四捨五入した。ここで破断点が0.2個/mm未満のサンプルは、鞘糸が実質的に破断していない(各実施例、比較例の説明ならびに表1、表2および表3においては「無し」と記載)0.2個/mm以上のものは、破断有り(各実施例、比較例の説明および各表においては「有り」と記載)と評価した。
D.捲縮形態評価(3次元捲縮の有無、曲率半径)
加工糸から無作為に選んだ10箇所において、(株)キーエンス社製マイクロスコープVHX−2000にて、単糸の捲縮形態が確認できる倍率で観察した。この10画像において、芯糸10本、鞘糸10本を観察してらせん状に旋回した形態(スパイラルな構造)を有している場合には、3次元的な捲縮構造有り(各実施例、比較例の説明ならびに表1、表2および表3においては「有り」と記載)と判定し、そうでない場合には捲縮構造無し(各実施例、比較例の説明および各表においては「無し」と記載)と判定した。また、同じ画像から、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて、捲縮した単糸の湾曲6(図3)の半径を測定した。前述の通り無作為に選んだ芯糸100本、鞘糸100本をミリメートル単位で小数点第2位までを測定し、この単純平均の小数点第2位を四捨五入した値を、3次元的な捲縮構造の曲率半径とした。
E.繊維間静摩擦係数
レーダー式摩擦係数試験機により、JIS L 1015(2010年)に準じた方法で測定した。なお、開繊等の前処理は行わず、試料を円筒に平行に並べることで評価するものである。
F.解舒性(ファスナー現象の抑制効果)
加工糸を500m以上巻き付けたドラムをクリールに仕掛け、ドラムの断面方向に30m/min速度で5分間解除し、ファスナー現象による糸の踊り、引っ掛かり等を目視により確認し、下記の4段階で評価した。
A:糸の踊りが見られず、良好に解舒できる。
B:わずかに糸の踊りが見られる問題なく解舒できる。
C:糸の踊り及びわずかに引っ掛かりが見られるが解舒はできる。
D:糸の踊り及び引っ掛かりが起こり解舒できない。
G.触感
加工糸を500m以上巻き付けたドラムをクリールに仕掛け、ドラムの断面方向に検尺機を用いて、糸を解舒して巻き形態とすることで10mの糸カセとした。糸カセの一箇所を固定して風合い評価用サンプルを作成した。このサンプルを握った場合の触感を下記の4段階で評価した。
A:嵩高性及び柔軟性に優れ、異物感を感じない優れた風合い。
B:嵩高性及び柔軟性を有した良好な風合い。
C:嵩高性を有し、かつ異物感を感じない程度の良好な風合い。
D:嵩高性がなく、異物感を感じる不良な風合い。
H.ポリマーの固有粘度(IV)
25℃の温度の純度98%以上のo−クロロフェノール10mL中に、評価するポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度でオストワルド粘度計を用いて固有粘度(IV)を求めた。
実施例1
ポリエチレンテレフタレート(PET:IV=0.65dl/)を290℃で溶融後、計量し、紡糸パックに流入させ、図6に示す3つのスリット17(幅0.1mm)が同心扇状に配置された中空断面用吐出孔から吐出した。吐出された糸条に20℃の冷却風を100m/minの流れで片側から吹き付けて冷却固化した。糸条に非イオン系の紡糸油剤付与し、紡糸速度1500m/minで未延伸糸を巻き取った。引き続き、巻き取った未延伸糸を90℃と140℃に加熱したローラ間で延伸速度800m/minで3.0倍延伸し、繊度78dtex、フィラメント数12、中空率30%の延伸糸を得た。
得られた中空断面糸を図4に示すように、2個の供給ローラにそれぞれ1本ずつ中空断面糸を供給し、一方の供給ローラを速度50m/min、他方を速度1000m/minとして、サクションノズルへ吸引した。サクションノズルでは走行糸条に対して20°で気流速度を400m/sになるように圧縮空気を噴射し、芯糸と鞘糸が交錯しないように随伴気流とともにノズルから糸条を噴出させた。ノズルから噴射した糸条を気流と共に1.0×10−4秒間走行させ、セラミックガイドを利用して走行糸条を旋回させ、鞘糸からなるループが形成された加工糸とし、引取ローラで50m/minで引き取った。
引き続き、ローラを介して加工糸をチューブヒータに導き、150℃の加熱空気で10秒間熱処理し、嵩高糸の形態をセットするとともに、鞘糸に3次元的な捲縮を発現させた。該嵩高糸は、チューブヒータ後に設置された張力制御式巻取り機により、52m/minでドラムに巻き取った。
実施例1で採取した嵩高糸は加工糸中心線から鞘糸からなるループが平均で23.0mm突出した構造であり、該ループが13個/mmの頻度で形成されたものであった。実施例1では、ノズル内で走行糸条に交絡を付与しないため、微細なループはほとんど確認されず、突出したループはサイズ、周期の均一性に優れるものであった。
鞘糸はループを形成し、芯糸と鞘糸が互いに巻き付いた交錯点により固定されていた。芯糸及び鞘糸は曲率半径5.0mmのミリメートルオーダーの3次元的な捲縮構造を有していた。また、ノズル内壁等への糸条の接触がないため、鞘糸には破断箇所が見られず、連続的にループを形成していた(破断箇所:0.0個)。
該嵩高糸では連続的なループを形成する鞘糸が3次元的な捲縮構造を有しており、繊維間静摩擦係数0.3であり、嵩高糸の解舒性は問題なく、引っ掛かりなどを起こすことなくスムーズに巻き取ったドラムから解舒することができた(解舒性:B)。また、本発明の特異的な構造に由来した嵩高性を有した良好な風合いを有したものであった(風合い:B)。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1で採取した嵩高糸に、ポリシロキサンが濃度8質量%で含まれたシリコーン系油剤を、最終的なポリシロキサン付着量が嵩高糸に対して1質量%になるようにスプレーで均一に散布し、165℃の温度で20分間熱処理しで嵩高糸を採取した。
実施例2においては、シリコーンによる皮膜を形成したことにより、実施例1の嵩高糸と比較して、触感が滑らかになり、嵩高糸の嵩高性と相まって心地よいヌメリ感を有したものであった。この嵩高糸の繊維間静摩擦係数は0.1であり、実施例1と比較して更に低下したものであることが分かった。シリコーン処理したことによる嵩高糸の形態に対する影響を調べたところ、実施例1の形態特性と概ね一致しており、その他機能は維持されていた。解舒性及び風合いも優れたものであった。
解舒性に加えて、この嵩高糸を50cmの長さで10本切り出して1束とし、両端を持って揉みや擦りを加えたものの、鞘糸同士が絡まることなく、嵩高糸1本が糸束から簡単に取り出せるように糸離れが良好なものであった。結果を表1に示す。
比較例1および2
本発明の嵩高加工の効果を検証するため、圧縮空気の噴射角度を90°に変更したノズルを用い、セラミックガイドによる旋回点を設けないこと以外は全て実施例1と同様に実施した。ただし、比較例1においては、実施例1と同様の圧縮空気流量では、芯糸と鞘糸の絡み合いが過剰で、ノズル詰まりにより、安定した糸加工が困難であったため、気流速度を実施例1の半分の200m/sに低下させたところ、糸の走行が可能となったため、得られた加工糸を採取し、特性を評価することとした(比較例1)。
比較例1の加工糸にでは、熱処理前の時点で鞘糸によるループサイズが実施例1と比較して小さく、非常に短周期で形成されているものであったため、熱処理することで鞘糸を捲縮加工した場合には、鞘糸がループを形成しているものの、嵩高性に乏しいものであった。鞘糸からなるループの詳細を確認すると、各ループ大きさにむらが見られ、熱処理前に抜き出した加工糸では認識できなかった破断点が比較的多く見られた(破断「有り」:破断点0.5)。
比較例1で得られた加工糸を用いて、一対のラバーディスクにより擦過して開撚処理を行った(比較例2)。嵩高性は向上されたように見えたが、ループの破断が比較例1と比較して更に多く、鞘糸同士の絡み合いが助長され、圧縮した際には異物感が感じられるものであった。また、比較例1と比べても解舒の際には、糸の引っ掛かりが多く、解舒性も低下したものであった。結果を表2に示す。
比較例3
比較例1の加工糸を用いて、実施例2で行った処理と同様にシリコーン処理を行い、加工糸を得た。
比較例1と比較して、シリコーンによる滑りのため、解舒性に関しては改善傾向にあるものの、得られた加工糸の形態は大きく変化がなく、短周期でサイズの小さなループが形成されたものであるため、実施例2と比較して膨らみ感に乏しく、風合いが劣るものであった。結果を表2に示す。
比較例4
本発明の嵩高加工の効果を検証するため、圧縮空気の噴射角度を60°に変更したノズルを用い、ノズルの吐出孔直後に糸が排出できるようにセラミックガイドを配置したこと以外は全て比較例3にしたがい実施した。
比較例4では、熱処理前でサイズの小さなループとサイズの比較的大きいループが入り混じった形態であった。熱処理を行うことで芯糸及び鞘糸が収縮し、3次元的な捲縮構造を発現するものの、実施例1と比較すると、全体的な嵩高性は大きく低下したものであった。更に、熱処理前のループの斑が助長され、部分的にループがたるんだ箇所が見られるものであった。また、圧縮空気の噴射角度が大きいため、ノズル内で糸が撹乱・開繊し、ノズル内壁に単糸が高周波で擦過されることで劣化したものであった。このため、熱処理後には、比較例3と比較すると若干の改善傾向にはあるものの、ループの破断点が部分的に見られるものであった。結果を表2に示す。
実施例3および4
供給速度を、実施例3では芯糸50m/min、鞘糸500m/min、実施例4では芯糸20m/min、鞘糸1000m/minと変更したこと以外は全て実施例2と同様に実施した。
実施例3ではノズル内で交絡を付与しないことにより、ノズル詰まり等は発生せず、流体加工等の加工性において遜色ないものであった。また、実施例2と比較して、芯糸と鞘糸の糸長差を低下させたことから嵩高糸のループのサイズが12mmと若干小さくなったが、解舒性は優れたものであり、風合いは良好なものであった。
実施例4では、実施例2と比較して、鞘糸を過剰供給したものの、ノズル内での詰まりも無く、問題のない加工性であった。一方、糸長差を高めたことにより、実施例4で採取した嵩高糸はループのサイズが59mmと大きく、ループのたるみはほとんどないものであった。風合いに関しては、柔軟性を有した優れた嵩高性を有したものであるものの、鞘糸の切断や、たるみも抑制された構造であったため、解舒性も良好なものであった。結果を表3に示す。
実施例5
用いる紡糸口金を6ホールに変更して、中空率20%になるように製糸し、単糸繊度及び中空率を変更した延伸糸を採取した(繊度78dtex、フィラメント数6(単糸繊度13dtex)、中空率20%)。該延伸糸を鞘糸として使用したこと以外は全て実施例1にと同様に実施した。
実施例5では、鞘糸を太くしたことにより、ループの剛性が向上し、反発感に優れた嵩高糸となった。柔軟性としては実施例1と比較して低下したが、十分な嵩高性を有しており、実使用にでは合糸する本数で調整することで製品としての触感は調整が可能であり、問題ないレベルであった。結果を表3に示す。
実施例6
幅0.1mmのスリットが4つ同心円状に配置された中空断面用吐出孔が24ホール穿設された紡糸口金に変更して製糸し、単糸繊度及び中空率を変更した延伸糸を採取した(繊度78dtex、フィラメント数24(単糸繊度3.3dtex)、中空率40%)。該延伸糸を鞘糸として使用したこと以外は全て実施例1にと同様に実施した。
実施例6では、芯糸と鞘糸が互いに巻き付いた交錯点により鞘糸からなるループは自立したものであり、実施例1と比べて鞘糸が細くなったため、柔軟性に優れた嵩高糸となった。鞘糸のフィラメント数増加及び捲縮の曲率半径が縮小(1.5mm)したことで、ドラムからの解舒の際に若干の糸の踊りが見られるものであったが、ドラムへの巻き張力を調整することで解消できるものであり、実使用には問題ないレベルであった。結果を表3に示す。
実施例7
一般的な丸断面繊維となるように用いる丸孔が12ホール穿設された紡糸口金に変更し、実施例1と同様に20℃の冷却風で片側から過剰に冷却して紡糸し、その他の条件は同様にして延伸糸を採取した。採取した延伸糸の熱処理後の捲縮形態は実施例1と比較して緩やかな形態となり、捲縮の曲率半径は28mmであった。該延伸糸を鞘糸として使用したこと以外は全て実施例2にしたがい実施した。
実施例7においては、鞘糸の捲縮形態が緩やかになったことにより、鞘糸のループが房状の形態となり、適度な反発性を有した優れた風合いを奏でるものであった。結果を表4に示す。
実施例8
実施例7で用いた丸断面繊維を鞘糸に加えて芯糸にも用いたこと以外は全て実施例7にしたがって実施した。
実施例8でも、鞘糸の緩やかな捲縮形態の発現により、鞘糸からなるループが房状の構造を形成するものであった。また、芯糸の捲縮形態が緩やかになったことで、芯糸と鞘糸の交錯点における拘束が弱まり、嵩高糸を繊維軸方向に荷重した場合でも、鞘糸が横移動できるものであった。解舒の際にはこの横移動により、実施例7と比較して低頻度ではあるものの糸が引っ掛かる場合があったが、実用に特に問題のならないレベルであった。結果を表4に示す。
比較例5
芯糸及び鞘糸の3次元的な捲縮形態の効果を検証するため、実施例2の条件から、芯糸及び鞘糸を変更して、糸加工を実施した。
まず、芯糸においては、実施例7で使用した一般的な丸断面繊維用の紡糸口金とし、鞘糸においては、実施例1で使用した幅0.1mmのスリットが3つ同心円状に配置された中空断面用吐出孔を具備した紡糸口金とし、冷却風の速度は20m/minに変更した。それ以外の条件は実施例1と同様にして延伸糸を採取した。芯糸用及び鞘糸用の延伸糸は、繊度78dtex、フィラメント数12であり、いずれも熱処理後にも本発明で言う3次元的な捲縮形態を発現しないものであった。これらの延伸糸を利用したこと以外は、全て実施例1にしたがい、加工糸を採取した。
比較例5では、ノズル外に旋回点を設けることにより、ループの形成が可能であるものの、熱処理後も鞘糸の捲縮は発現せず、ストレートな状態を維持しているものであった。また、鞘糸による捲縮がないために、比較例1と比較すると、ループサイズに斑が見られるものであり、部分的にたるんだループとなっているものであった。
比較例5では、鞘糸が3次元的な捲縮を発現しないにもかかわらず、ループを形成していることもあって、実施例1と比べると鞘糸同士の絡み合いが起こりやすく、解舒の際には糸の引っ掛かりが多数見られるものであった。また、ドラムから解除した加工糸は、圧縮変形を受けたことで、ループがヘタリ、且つ横にスライド移動されたまま、固定されたことで嵩高性は低下したものであった。結果を表4に示す。
比較例6
IV=0.51dl/gの低粘度PETとIV=1.20dl/gのポリトリメチレンテレフタレート(3GT)を準備し、280℃で溶融後、低粘度PET/3GT=50/50に複合されるように計量し、貼り合せ型複合口金が組み込まれた紡糸パックに流入さて、複合ポリマー流を吐出した。その後、糸条に20℃の冷却風を20m/min吹き付けて、冷却固化し、油剤を付与した後に紡糸速度1500m/minで未延伸糸を巻き取った。引き続き、巻き取った未延伸糸を90℃と130℃に加熱したローラ間で延伸速度800m/minで3.0倍延伸し、繊度78dtex、フィラメント数12、サイドバイサイド複合繊維の延伸糸を採取した。該延伸糸を鞘糸、比較例5で用いた丸断面繊維を芯糸として用いたこと以外はいずれも比較例1にしたがって加工糸を採取した。
比較例6のサンプルにおいては、熱処理後に鞘糸が3次元的な捲縮形態を発現するものであったが、曲率半径が数十ミクロンメートルの非常に微細なものであり、且つところどころで鞘糸の破断が見られた(破断有り:0.4個/mm)。また、この捲縮形態を発現することで、鞘糸のループは熱処理前と比較して、大きく縮小したものであり、加工糸中心線から0.6mmを超えるものは少ないものであった。このため、加工糸の触感はラバーライクなユニークなものであるものの、本発明の目的とする嵩高性と柔軟性を有したものではなかった。また、ミクロンメートルオーダーの微細捲縮、鞘糸の破断且つループの突出に斑があることで、繊維間静摩擦係数は比較的高く(0.4)、ドラムの解舒性は良好とはいいがたいものであった。結果を表4に示す。
1 鞘糸
2 芯糸
3 加工糸中心線
4 糸道ガイド
5 加工糸中心線からループ頂点までの距離
6 3次元的な捲縮の湾曲
7 供給ローラ
8 合成繊維
9 サクションノズル
10 旋回点
11 加工糸
12 引取ローラ
13 ヒータ
14 デリバリーローラ
15 ワインダ
16 圧空の噴射角度
17 スリット状吐出孔

Claims (5)

  1. 長繊維からなる嵩高糸の製造方法であって、糸長差を有した糸条を、交絡を付与することなく気流と共にノズルから噴射し、噴射気流によって糸条を旋回させて嵩高加工を行う嵩高糸の製造方法。
  2. 噴射気流の速度が100〜700m/sであり、気流速度と糸速度の比(気流速度/糸速度)が100〜3000である請求項1に記載の嵩高糸の製造方法。
  3. 嵩高加工を施した糸条に、糸条の(結晶化温度−30℃)以上の温度で熱処理を施す請求項1または2記載の嵩高糸の製造方法。
  4. 糸条が中空率20%以上の中空糸を含む請求項1〜3のいずれかに記載の嵩高糸の製造方法。
  5. 嵩高加工を施した糸条に、シリコーンを0.1〜5.0質量%付着させる請求項1〜4のいずれかに記載の嵩高糸の製造方法。
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