JP6774634B2 - 非水系二次電池 - Google Patents
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Description
また、本明細書において「不純物の合計濃度」とは、Li3PO4の全量(質量)に占める、不純物の含有量(質量)の合計をいう。単位は、ppm(質量/質量)である。
上記元素のうち、アルカリ金属元素(Na,K)の各含有量については、原子吸光法(AAS:Atomic Absorption Spectrometry)で測定することができる。また、Si,Fe,Cu,Zn,Cr,Al,Mg,Ca,Sbの各含有量については、ICP発光分光分析法(ICP−AES:Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectrometry)で測定することができる。また、Clの含有量については、比色法(典型的には吸光光度法)で測定することができる。
なお、本明細書において数値範囲をA〜B(ここでA,Bは任意の数値)と記載している場合は、A以上B以下を意味するものとする。
以下、各構成要素について順に説明する。
Li3PO4は、例えば、(a)正極活物質の表面を被覆する;(b)非水電解質の酸化分解(典型的には、該非水電解質に含まれる支持塩の加水分解)を抑制する;(c)フッ素含有支持塩(例えばフッ素含有リチウム塩)の加水分解によって生成されるフッ酸(HF)を捕捉あるいは消費して、非水電解質の酸性度(pH)を緩和する;のうち少なくとも1つの作用を奏する。Li3PO4は、かかる作用によって、正極活物質からの金属元素の溶出を抑制し、通常使用時の電池特性、例えば耐久性を向上する効果を奏する。また、過充電時には、電池温度の上昇を抑制して過充電耐性を向上する効果を奏する。
まず、正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)と、以下の表1に示す濃度で不純物を含んだリン酸三リチウム(Li3PO4)と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、導電助剤としてのアセチレンブラック(AB)と、有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)とを混合して、正極ペースト(例1〜10)を調製した。このとき、Li3PO4を除く固形分量全体(すなわち、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2とPVdFとABとの合計)に対するLi3PO4の含有割合は0.88〜8.8質量部とした。
上記調製した正極ペーストの一部を採取し、E型粘度計(回転速度:20rpm)を用いて、25℃の温度環境下で粘度を測定した。次に、これを25℃の温度環境下で3日間(72時間)保管した後、再び同じように粘度を測定した。そして、調製直後の正極ペーストの粘度を基準(100%)として、3日間保管後の正極ペーストの粘度減少率(減粘率)を算出した。結果を表1に示す。
表1および図1(A)に示すように、Li3PO4の不純物が3.5ppm未満である例1,2では、保管後の正極ペーストの粘度が、正極の作製が困難なレベルにまで低下していた。
これに対して、Li3PO4の不純物が3.5ppm以上である例3〜10では、保管後の正極ペーストに粘度の変化が認められず、減粘が抑制されていた。すなわち、Li3PO4の不純物を3.5ppm以上とすることで、正極ペーストの調製から時間が経過した後でも、正極を安定的に製造することができた。
まず、上記調製した正極ペーストをアルミニウム箔の表面に塗布し、乾燥させることによって正極を作製した。次に、上記作製した正極と、負極活物質としての天然黒鉛を含んだ負極とを、樹脂製のセパレータを介して積層し、電極体を作製した。また、非水電解液として、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを含む混合溶媒中に、リチウム塩としてのLiPF6を1mol/Lの濃度となるように溶解させたものを用意した。そして、上記電極体と上記非水電解液とを電池ケースに収容し、4V級のリチウムイオン二次電池(例1〜10)を構築した。
次に、各リチウムイオン二次電池に対して、25℃の温度環境下で、以下の充放電操作:(i)電池電圧が4.1Vとなるまで0.2Cのレートで定電流充電した後、電流が0.01Cのレートになるまで定電圧充電する;(ii)電池電圧が3.0Vとなるまで0.2Cのレートで定電流放電した後、電流が0.01Cのレートになるまで定電圧放電する;を、計3サイクル繰り返した。
25℃の温度環境下で、上記初期充放電後のリチウムイオン二次電池をSOC(State of Charge)60%の状態に調整した。次に、25℃の温度環境下で、SOC60%に調整した電池に対して10Cのレートで10秒間の定電流放電を行い、電圧降下量を測定した。次に、かかる電圧降下量を放電電流値で除して、初期のIV抵抗を算出した。
次に、25℃の温度環境下で、リチウムイオン二次電池をSOC80%の状態に調整した。次に、SOC80%に調整したリチウムイオン二次電池を、温度60℃の恒温槽内で30日間保存した。30日後、リチウムイオン二次電池を恒温槽から取り出し、初期の場合と同様にして、高温保存試験後のIV抵抗を算出した。
そして、初期のIV抵抗に対する高温保存試験後のIV抵抗の増加率(IV抵抗増加率)を算出した。結果を表1に示す。
表1および図1(B)に示すように、Li3PO4の不純物が400ppmを超える例9,10では、高温保存後の電池の抵抗が顕著に増大していた。この理由は定かではないが、電池を高温保存することで、Li3PO4から不純物が徐々に溶けだし、負極の表面等に析出したことが考えられる。
これに対して、Li3PO4の不純物が400ppm以下である例1〜8では、高温保存後の電池の抵抗に変化が認められなかった。すなわち、Li3PO4の不純物を400ppm以下とすることで、優れた高温耐久性を実現することができた。
Claims (1)
- 正極活物質層を有する正極と、負極と、非水電解質と、を備え、
前記正極活物質層は、正極活物質と、Li3PO4と、を含み、
前記Li3PO4は、Si,Na,K,Cl,Fe,Cu,Zn,Cr,Al,Mg,CaおよびSbのなかから選択される1種以上の不純物を含み、前記不純物の合計濃度が、3.5ppm以上400ppm以下であり、
前記Li3PO4を除く前記正極活物質層の固形分量の全体を100質量部としたときに、前記Li3PO4の含有割合が0.88質量部以上8.8質量部以下である、
非水系二次電池。
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