JP6836721B2 - 非水系二次電池用のリン酸三リチウムの製造方法 - Google Patents

非水系二次電池用のリン酸三リチウムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、非水系二次電池に使用されるリン酸三リチウムの製造方法に関する。
非水系二次電池では、電池性能の向上等を目的として、電池内に無機リン酸塩を含ませることがある。例えば特許文献1には、正極にリン酸三リチウム(LiPO)を含有させた電池が開示されている。このような電池の正極は、例えば、正極活物質とLiPOと結着剤とを適当な溶媒中で混練してなる正極ペーストを、正極集電体に塗工し乾燥することによって作製される。
特許文献1等によれば、正極中のLiPOは、例えば、(a)正極活物質の表面を被覆する;(b)非水電解質の酸化分解(典型的には、該非水電解質に含まれる支持塩の加水分解)を抑制する;(c)フッ素含有支持塩、例えばフッ素含有リチウム塩の加水分解によって生成されるフッ酸(HF)を捕捉あるいは消費して、非水電解質の酸性度(pH)を緩和する;(d)対向する負極の表面に安定な皮膜を形成する;のうち少なくとも1つの作用を奏する。LiPOは、かかる作用によって、正極活物質からの金属元素の溶出を抑制して、電池の通常使用時の特性、例えば耐久性を向上する効果を奏する。また、過充電時には、電池温度の上昇を抑制して、過充電耐性を向上する効果を奏する。
特開2014−103098号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、LiPOの性状(例えば、比表面積やD50粒径、タップ密度、DBP吸油量、不純物の濃度)が適切でない場合、正極の生産性が低下したり、上記したようなLiPOの添加の効果を十分に得られずに、電池性能が低下したりすることがあった。一例として、LiPOの比表面積が大きすぎる場合には、正極作製時に正極ペーストの粘度が増大して、塗工性や取扱性が低下することがあった。一方、LiPOの比表面積が小さすぎる場合には、低SOC領域でIV抵抗が高くなり、出力特性が低下することがあった。また、他の一例として、LiPOに含まれる不純物の濃度が高いと、電池の耐久性、例えば高温保存特性が低下することがあった。加えて、市販品のLiPOを適切な性状に調整しようとすると、歩留まりが低下して、生産コストが増大する問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、非水系二次電池への使用に適したリン酸三リチウムの製造方法を提供することにある。
本発明により、水酸化リチウムとリン酸とを用意する用意工程;上記水酸化リチウムと上記リン酸とを反応させて、反応物を得る反応工程;を包含する、非水系二次電池用のリン酸三リチウムの製造方法が提供される。上記用意工程において、上記水酸化リチウムは、レーザー回折・光散乱法に基づく体積基準の粒度分布が、以下の条件:(1)粒径の小さい方から累積10%に相当するD10粒径が45μm以上;(2)粒径の小さい方から累積50%に相当するD50粒径が95〜1200μm;(3)粒径の小さい方から累積90%に相当するD90粒径が2000μm以下;を満たし、かつ、上記水酸化リチウムと上記リン酸とに含まれる不純物の合計濃度が400ppm以下であり、上記不純物は、Si,Na,K,Cl,Fe,Cu,Zn,Cr,Al,Mg,CaおよびSbのなかから選択される1種以上の元素である。
上記の製造方法では、水酸化リチウムの粒度分布と、水酸化リチウムおよびリン酸の不純物の合計濃度とを所定の範囲としている。このことにより、例えば、比表面積、D50粒径、タップ密度、DBP吸油量の各性状が適切に調整され、かつ、不純物の濃度が低く抑えられたLiPOを好適に製造することができる。上記の製造方法で製造されたLiPOを非水系二次電池に使用することで、正極の生産性を安定して維持すると共に、上述のようなLiPOの添加の効果をいかんなく発揮させることができる。
なお、本明細書において「不純物の合計濃度」とは、水酸化リチウムの全量(質量)に占める不純物の含有量(質量)と、リン酸の全量(質量)に占める不純物の含有量(質量)と、の合計をいう。単位は、ppm(質量/質量)である。
不純物のうち、アルカリ金属元素(Na,K)の各含有量については、原子吸光法(AAS:Atomic Absorption Spectrometry)で測定することができる。また、Si,Fe,Cu,Zn,Cr,Al,Mg,Ca,Sbの各含有量については、ICP発光分光分析法(ICP−AES:Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectrometry)で測定することができる。また、Clの含有量については、比色法(典型的には吸光光度法)で測定することができる。
一実施形態に係るリン酸三リチウムの製造方法を示すフローチャートである。
以下、ここで開示される製造方法の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、本明細書において数値範囲をA〜B(ここでA,Bは任意の数値)と記載している場合は、A以上B以下を意味するものである。
図1は、一実施形態に係るリン酸三リチウム(LiPO)の製造方法を示すフローチャートである。図1に示す製造方法は、液相法を採用している。図1に示す製造方法は、次の3つの工程:(ステップS1)水酸化リチウムとリン酸とを用意する用意工程;(ステップS2)水酸化リチウムとリン酸とを反応させて、反応物を得る反応工程;(ステップS3)反応物を乾燥させる乾燥工程を包含する。なお、液相法以外(例えば固相法や気相法)の製造方法を採用する場合、乾燥工程は必須ではなく、省略することも可能である。以下、各工程について説明する。
<(ステップS1)用意工程>
本工程では、原料化合物として、水酸化リチウムとリン酸とを用意する。
水酸化リチウム(LiOH)は、LiPOのリチウムイオン(Li)源である。水酸化リチウムは、粉末状である。粉末状の水酸化リチウムは、溶媒に分散された状態であってもよい。本発明者らが新たに得た知見によれば、水酸化リチウムの粒度分布は、生成物としてのLiPOの性状、具体的には、比表面積、D50粒径、タップ密度、DBP吸油量に大きな影響を及ぼす。ひいては、非水系二次電池の諸特性にも影響を及ぼす。したがって、非水系二次電池への使用に適したLiPOを製造するためには、水酸化リチウムの粒度分布を調整することが重要である。
そこで、ここに開示される製造方法では、水酸化リチウムとして、レーザー回折・光散乱法に基づく体積基準の粒度分布が、以下の条件:(1)D10粒径が45μm以上;(2)D50粒径が95〜1200μm;(3)D90粒径が2000μm以下;を満たすものを用いる。なお、D10粒径とD50粒径とD90粒径との関係が、D10粒径≦D50粒径≦D90粒径を満たすことは、その定義からも明白である。
10粒径およびD50粒径を所定値以上とすることで、正極作製時に正極ペーストの粘度が増大することを抑制して、正極の生産性を安定して維持することができる。また、D50粒径およびD90粒径を所定値以下とすることで、非水系二次電池のIV抵抗の増大を抑制することができる。このことにより、例えば、低SOC領域(典型的にはSOC30%以下の領域、例えばSOC20%以下の領域)においても、安定した出力特性を実現することができる。なお、SOCとは、「State of Charge」の略称で、電池が通常使用される電圧範囲を基準とする充電状態をいう。
ここに開示される技術の効果をより高いレベルで発揮する観点からは、D10粒径が、例えば、50μm以上、100μm以上、200μm以上であってもよく、800μm以下、700μm以下、500μm以下であってもよい。また、D50粒径は、例えば、100μm以上、200μm以上、400μm以上であってもよく、1000μm以下、800μm以下、700μm以下であってもよい。また、D90粒径は、例えば、300μm以上、400μm以上、500μm以上であってもよく、1500μm以下、1200μm以下、1000μm以下であってもよい。また、D90粒径に対するD10粒径の比(D10粒径/D90粒径)は、例えば、0.03以上、0.15以上であって、0.44以下、0.40以下であってもよい。また、D90粒径からD10粒径を引いた差分(D90粒径−D10粒径)は、200μm以上、250μm以上、300μm以上であってもよく、1200μm以下、1000μm以下、800μm以下、600μm以下であってもよい。なお、上記比(D10粒径/D90粒径)や上記差分(D90粒径−D10粒径)は、粒度分布の広がり、言い換えれば粉末の均質性を表す1つの指標となり得る。
上記のような粒度分布の水酸化リチウムは、例えば、市販の試薬を購入し、適宜粉砕や分級を行うことによって用意することができる。
リン酸(HPO)は、LiPOのリン酸イオン(PO 3−)源である。リン酸は、固体状(粉末状)であってもよいし、液体状であってもよい。一好適例では、保存安定性にも優れたリン酸水溶液を用いる。リン酸水溶液は、例えば、リン酸の濃度が10〜50質量%であってもよい。このようなリン酸水溶液としては、例えば市販の試薬を購入してそのまま使用してもよいし、粉末状のリン酸を純水に溶解させて調製することもできる。
原料化合物(すなわち、水酸化リチウムおよびリン酸)には、典型的には、不純物が含まれる。なお、ここでいう「不純物」とは、ケイ素(Si),ナトリウム(Na),カリウム(K),塩素(Cl),鉄(Fe),銅(Cu),亜鉛(Zn),クロム(Cr),アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),アンチモン(Sb)のうちの1種または2種以上の元素である。本発明者らの知見によれば、例えば試薬を購入したメーカーや、試薬の純度、ロット等によって、原料化合物に含まれる不純物の量は大きく異なり得る。そして、原料化合物に含まれる不純物は、そのまま生成物としてのLiPOに引き継がれる。LiPOの不純物の濃度が400ppmを超えると、本発明者らの先願である特願2017−159902号にも記載される通り、電池の耐久性(例えば高温保存特性)が低下する傾向にある。したがって、非水系二次電池への使用に適したLiPOを製造するためには、原料化合物の不純物の合計濃度を調整することが重要である。
そこで、ここに開示される製造方法では、原料化合物に含まれる不純物の合計濃度を、400ppm以下とする。このことにより、電池の耐久性(例えば高温保存特性)を安定して維持することができる。例えば、高温環境下(典型的には50℃以上、例えば60〜80℃の温度環境下)に長期間曝された後にも、電池容量が低下し難く、安定した電池容量を実現することができる。
ここに開示される技術の効果をより高いレベルで発揮して、電池の耐久性をより良く向上する観点からは、原料化合物に含まれる不純物の合計濃度が、概ね300ppm以下、例えば200ppm以下であってもよい。また、本発明者らの検討によれば、原料化合物に含まれる不純物があまりに少ないと、正極ペーストの長期保存性が低下したり、製造コストが膨大になったりする傾向がある。そのため、正極ペーストの保存安定性を向上する観点や、低コストの観点からは、原料化合物に含まれる不純物の合計濃度が、概ね3ppm以上、典型的には10ppm以上、例えば50ppm以上、さらには100ppm以上であってもよい。
<(ステップS2)反応工程>
本工程では、水酸化リチウムとリン酸とを混合する。一好適例では、水酸化リチウムとリン酸とを溶媒中で撹拌混合して、反応液を調製する。本工程は、典型的には室温環境下(例えば25℃±5℃)で行われる。撹拌混合の手段としては、例えばスターラーが挙げられる。撹拌時間は、例えば反応液のpHが6〜8となるまでとするとよい。特に限定されるものではないが、具体的には、例えば0.2〜3時間とするとよい。これにより、非水系二次電池への使用に適した性状の反応物(LiPO)を、反応液中に生成させることができる。
<(ステップS3)乾燥工程>
本工程では、反応液の溶媒を除去して、反応物(LiPO)を乾燥させる。一好適例では、まず、得られた反応物を脱水して、大まかに水分を低減する。脱水の手段としては、例えば遠心分離が挙げられる。遠心分離の時間は、例えば2〜30分間とするとよい。これにより、湿潤状態のLiPOが得られる。次いで、湿潤状態のLiPOを乾燥して、さらに水分を除去する。乾燥の手段としては、例えば加熱乾燥が挙げられる。加熱乾燥温度は、例えば80〜150℃とするとよい。加熱乾燥時間は、例えば5〜50時間とするとよい。これにより、粉末状のLiPOを得ることができる。なお、得られたLiPOに対しては、従来公知の手法によって、粉砕、分級等の操作を適宜行ってもよい。
以上のように、ここに開示される製造方法によれば、比表面積、D50粒径、タップ密度、DBP吸油量の各性状が適切に調整されたLiPOを安定的に製造することができる。例えば、比表面積が、概ね0.5〜30m/g、典型的には1〜20m/g、例えば1.5〜6m/g;D50粒径が、概ね0.1〜30μm、典型的には0.5〜25μm、例えば2〜10μm、好ましくは2〜5μm;タップ密度が、概ね0.4〜1.2g/cm、典型的には0.5〜1g/cm、例えば0.6〜0.9g/cm;DBP吸油量が、概ね30〜60ml/100g、典型的には35〜54ml/100g、例えば38〜45ml/100g;に調整されたLiPOを安定的に製造することができる。また、ここに開示される製造方法によれば、不純物の濃度が400ppm以下に抑えられたLiPOを安定的に製造することができる。
本実施形態の製造方法によって製造されたLiPOは、非水系二次電池の構築に際して好適に用いることができる。特には、非水系二次電池の正極に好適に使用することができる。上記LiPOを用いて非水系二次電池を構築することにより、正極の生産性を安定して維持すると共に、LiPOの添加の効果をいかんなく発揮させることができる。
以下、本発明に関する試験例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
本試験例では、原料化合物として、以下の表1に示すように粒度分布の異なる5種類の水酸化リチウムを用意し、それぞれLiPOを製造した。そして、得られたLiPOを用いてリチウムイオン二次電池を構築し、電池特性(IV抵抗)を評価した。
〔LiPOの製造〕
まず、原料化合物として、表1に示す粒度分布の水酸化リチウム(LiOH、例1〜例5)と、リン酸の水溶液と、を用意した。なお、例2〜例4では、不純物の濃度の合計を400ppm以下とした。次に、リン酸水溶液に水酸化リチウムを添加し、撹拌混合して反応させた。これにより、反応液中にLiPOを生成させた。次に、反応液を遠心分離して上澄みを除去し、沈殿物(湿潤状態のLiPO)を得た。次に、この沈殿物を加熱乾燥して、粉砕、篩分けすることにより、粉末状のLiPO(例1〜例5)を得た。このようにして得られたLiPOについて、以下の物性を測定した。結果を、表1に示す。なお、物性の測定結果は、平均的な粒度分布を有する水酸化リチウムを使用した例3のLiPOの結果を基準(100%)として、相対的に表している。
〔LiPOの物性の測定〕
・比表面積
比表面積測定装置を用いて、窒素吸着法でLiPOの比表面積を測定し、測定された比表面積をBET法で解析することにより、BET比表面積を算出した。
・D50粒径
レーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定装置を用いて、LiPOの体積基準の粒度分布を測定し、粒径の小さい方から累積50%に相当するD50粒径を算出した。
・タップ密度
タッピング式の密度測定装置を用いて、付属のタッピングセルにLiPOを自然落下させた後、30分間のタッピングを行って、タッピング後の体積と試料の質量とからタップ密度を算出した。
・DBP吸油量
吸収量測定装置を用いて、試薬液体としてDBP(ジブチルフタレート)を使用し、JIS K6217−4:2008年に準拠してLiPOのDBP吸油量を測定した。
〔正極ペーストの調製〕
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)と、上記製造したLiPOと、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)とを混合して、正極ペースト(例1〜例5)を調製した。
〔リチウムイオン二次電電池の構築〕
上記得られた正極ペーストをアルミニウム箔(正極集電体)の表面に塗布し、乾燥させることによって、正極を作製した。上記作製した正極と、負極活物質としての天然黒鉛を含んだ負極とを、樹脂製のセパレータ(ポリオレフィン樹脂製)を介して積層し、電極体を作製した。また、非水電解液として、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを含む混合溶媒中に、リチウム塩としてのLiPFを1mol/Lの濃度となるように溶解させたものを用意した。そして、上記電極体と上記非水電解液とを電池ケースに収容し、4V級のリチウムイオン二次電池(例1〜例5)を構築した。
〔初期充放電〕
上記構築したリチウムイオン二次電池に対して、25℃の温度環境下で、以下の充放電操作:(i)電池電圧が4.1Vとなるまで0.2Cのレートで定電流充電した後、電流が0.01Cのレートになるまで定電圧充電する;(ii)電池電圧が3.0Vになるまで0.2Cのレートで定電流放電した後、電流が0.01Cのレートになるまで定電圧放電する;を行った。
〔25℃、SOC20%でのIV抵抗の測定〕
25℃の温度環境下で、上記作製したリチウムイオン二次電池をSOC20%の状態に調整した。次に、SOC20%に調整した電池に対して、25℃の温度環境下で、10Cのハイレートで10秒間の定電流放電を行った。次に、放電開始から10秒後の電圧値と電流値とからIV抵抗を算出した。そして、例3のIV抵抗を基準(100%)として、各例のIV抵抗をIV抵抗上昇率として相対的に表した。結果を表1に示す。
〔正極ペーストの粘度測定〕
上記調製した正極ペーストの一部を採取しておき、E型粘度計(回転速度:20rpm)を用いて、25℃の温度環境下で粘度を測定した。そして、例3の正極ペーストの粘度を基準(100%)として、各例の正極ペーストの粘度を粘度上昇率として相対的に表した。結果を表1に示す。
Figure 0006836721
表1に示すように、原料化合物としての水酸化リチウムの粒度分布と、生成されるLiPOの性状とには、高い相関関係が認められた。そして、水酸化リチウムの粒度分布が平均値(センター)としての例3から遠いものほど、LiPOの性状も例3から大きく外れていた。
評価結果の欄について見てみると、例1では、正極作製時に正極ペーストの粘度上昇が大きく、正極ペーストの塗工性や取扱性が低下していた。この理由としては、LiPOの物性の測定結果から、比表面積が大きくなり過ぎたこと;D50粒径が小さくなり過ぎたこと;タップ密度が大きくなり過ぎたこと;DBP吸油量が大きくなり過ぎたこと;が考えられる。また、例5のリチウムイオン二次電池では、低SOC領域においてIV抵抗の上昇が大きかった。この理由としては、LiPOの物性の測定結果から、比表面積が小さくなり過ぎたこと;D50粒径が大きくなり過ぎたこと;タップ密度が小さくなり過ぎたこと;DBP吸油量が小さくなり過ぎたこと;が考えられる。
これに対して、例2〜例4では、正極作製時に正極ペーストの粘度上昇が抑えられると共に、低SOC領域でのIV抵抗の上昇も抑制されていた。
以上のことから、水酸化リチウムとして、レーザー回折・光散乱法に基づく体積基準の粒度分布が、以下の条件:(1)D10粒径が45μm以上;(2)D50粒径が95〜1200μm;(3)D90粒径が2000μm以下;を満たすものを用いることで、正極の生産性を安定して維持すると共に、上述のようなLiPOの添加の効果がいかんなく発揮された非水系二次電池を実現することができるとわかった。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここに開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (1)

  1. 非水系二次電池用のリン酸三リチウムの製造方法であって、
    水酸化リチウムとリン酸とを用意する用意工程;
    前記水酸化リチウムと前記リン酸とを反応させて、反応物を得る反応工程;
    を包含し、
    前記用意工程において、
    前記水酸化リチウムは、レーザー回折・光散乱法に基づく体積基準の粒度分布が、以下の条件:
    (1)粒径の小さい方から累積10%に相当するD10粒径が45μm以上;
    (2)粒径の小さい方から累積50%に相当するD50粒径が95〜1200μm;
    (3)粒径の小さい方から累積90%に相当するD90粒径が2000μm以下;
    を満たし、かつ、
    前記水酸化リチウムと前記リン酸とに含まれる不純物の合計濃度が400ppm以下であり、前記不純物は、Si,Na,K,Cl,Fe,Cu,Zn,Cr,Al,Mg,CaおよびSbのなかから選択される1種以上の元素である、
    非水系二次電池用のリン酸三リチウムの製造方法。
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