JP7187896B2 - リチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物、及びリチウムニッケル複合酸化物の製造方法 - Google Patents
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Description
得られたニッケル複合水酸化物:NixM1-x(OH)2とリチウム化合物とを、NiとMとの合計に対するLiのモル比:Li/(Ni+M)が1.00~1.15となるように混合し、さらに該混合物を、700℃以上1000℃以下の温度で焼成して、前記リチウムニッケル複合酸化物を得る焼成工程と、
得られたリチウムニッケル複合酸化物を水洗処理する水洗工程と、を有することを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法が開示されている。
レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における体積積算値50%での粒径である平均粒径が50μm以上250μm以下であり、かつ140meshよりも大きい粒子の含有割合が30質量%以上70質量%以下であるリチウム化合物を提供する。
[リチウム化合物]
本実施形態では、リチウム化合物の一構成例について説明する。
本実施形態のリチウム化合物は水分率、すなわち水分の含有割合が0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。これは水分率が0.5質量%以下の場合、焼成工程初期における水蒸気の発生が少なく、酸素分圧の低下が抑制されることにより、ニッケル複合酸化物との反応性が向上し、焼成の短時間化が可能となるからである。
なお、本実施形態のリチウム化合物の水分率の下限値は特に限定されないが、0とすることができる。すなわち、水分率は0以上とすることができる。
また、本実施形態のリチウム化合物が水酸化リチウムの場合、その炭素濃度、すなわち炭素の含有割合は0.2質量%以下であることが好ましい。これは、水酸化リチウムにおいて炭素濃度が0.2質量%以下の場合、ニッケル複合酸化物との反応性が高く、焼成の短時間化が可能となるからである。この場合、炭素濃度の下限値は特に限定されず、例えば0以上とすることができる。
本実施形態のリチウム化合物の水分率や、炭素濃度を所望の範囲とする方法は特に限定されないが、例えば、本実施形態のリチウム化合物を製造する際に粉砕等する場合には、粉砕時の雰囲気や、粉砕の程度等を調整することで、所望の水分率、炭素濃度とすることができる。上述のように、本実施形態のリチウム化合物は、水分率や、場合によっては炭素濃度が低いことが好ましいことから、本実施形態のリチウム化合物を製造する際に粉砕する場合、真空雰囲気や、脱炭酸エアー等、水分や、炭酸成分の含有割合が抑制された雰囲気下で粉砕処理を実施することが好ましい。なお、粉砕処理の際に脱炭酸エアーを用いる場合、露点が-50℃以上-30℃以下の脱炭酸エアーを用いることが好ましい。
本実施形態のリチウム化合物の水分率の測定方法は特に限定されるものではないが、例えば重量法(乾燥重量法)により測定を行うことができる。
本実施形態のリチウム化合物の炭素濃度の測定方法は特に限定されるものではないが、例えば試料中の炭素を高周波等で燃焼し分析する無機炭素分析装置により測定、評価を行うことができる。
[リチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物]
本実施形態では、リチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物の一構成例について説明する。
[リチウムニッケル複合酸化物の製造方法]
本実施形態では、リチウムニッケル複合酸化物の製造方法の一構成例について説明する。
リチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物を焼成する焼成工程。
(混合工程)
混合工程は、リチウム化合物と、ニッケル複合酸化物とを混合して、混合物(混合粉)であるリチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物を得る工程である。なお、混合工程では、既述のリチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物を得ることができるため、既に説明した事項については、一部説明を省略する。
(焼成工程)
焼成工程は、上記混合工程で得られたリチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物を焼成して、リチウムニッケル複合酸化物とする工程である。焼成工程において混合物を焼成すると、ニッケル複合酸化物に、リチウム化合物中のリチウムが拡散しリチウムニッケル複合酸化物が形成される。
[非水系電解質二次電池]
次に、本実施形態の非水系電解質二次電池の一構成例について説明する。
(正極)
まず正極について説明する。
(負極)
負極はシート状の部材であり、例えば銅などの金属箔集電体の表面に、負極合材ペーストを塗布、乾燥して形成することができる。
(セパレータ)
セパレータは、正極と負極との間に挟み込んで配置されるものであり、正極と負極とを分離し、電解液を保持する機能を有している。
(電解液)
電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。
ここまで非水系電解質として非水系電解液を用いた場合を例に非水系電解質二次電池の構成を説明したが、本実施形態の非水系電解質二次電池は係る形態に限定されるものではなく、例えば非水系電解質として固体電解質を用いた、いわゆる全固体電池とすることもできる。
固体電解質は、高電圧に耐えうる性質を有する。固体電解質としては、無機固体電解質、有機固体電解質が挙げられる。
無機固体電解質としては、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質等が挙げられる。
酸化物系固体電解質としては、特に限定されず、例えば酸素(O)を含有し、かつリチウムイオン伝導性と電子絶縁性とを有するものを好適に用いることができる。酸化物系固体電解質としては、例えば、リン酸リチウム(Li3PO4)、Li3PO4NX、LiBO2NX、LiNbO3、LiTaO3、Li2SiO3、Li4SiO4-Li3PO4、Li4SiO4-Li3VO4、Li2O-B2O3-P2O5、Li2O-SiO2、Li2O-B2O3-ZnO、Li1+XAlXTi2-X(PO4)3(0≦X≦1)、Li1+XAlXGe2-X(PO4)3(0≦X≦1)、LiTi2(PO4)3、Li3XLa2/3-XTiO3(0≦X≦2/3)、Li5La3Ta2O12、Li7La3Zr2O12、Li6BaLa2Ta2O12、Li3.6Si0.6P0.4O4等から選択された1種類以上が挙げられる。
硫化物系固体電解質としては、特に限定されず、例えば硫黄(S)を含有し、かつリチウムイオン伝導性と電子絶縁性とを有するものを好適に用いることができる。硫化物系固体電解質としては、例えば、Li2S-P2S5、Li2S-SiS2、LiI-Li2S-SiS2、LiI-Li2S-P2S5、LiI-Li2S-B2S3、Li3PO4-Li2S-Si2S、Li3PO4-Li2S-SiS2、LiPO4-Li2S-SiS、LiI-Li2S-P2O5、LiI-Li3PO4-P2S5等から選択された1種類以上が挙げられる。
なお、無機固体電解質としては、上記以外のものを用いてよく、例えば、Li3N、LiI、Li3N-LiI-LiOH等を用いてもよい。
有機固体電解質としては、イオン伝導性を示す高分子化合物であれば、特に限定されず、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、これらの共重合体などを用いることができる。また、有機固体電解質は、支持塩(リチウム塩)を含んでいてもよい。
そして、固体電解質を用いた全固体電池とする場合、正極活物質以外の構成は必要に応じて変更することができる。
[実施例1]
以下に示す手順によりリチウム化合物、リチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物、リチウムニッケル複合酸化物、非水系電解質二次電池を製造し、評価を行った。
(1)リチウム化合物の製造
水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)を真空乾燥機で無水化処理した後、ジェットミルで粉砕して本実施例のリチウム化合物である無水水酸化リチウムを得た。
また、得られた水酸化リチウム無水和物について、炭素濃度を無機炭素分析装置(LECOジャパン製 型式:CS600)により分析したところ、0.09質量%であることが確認できた。得られた水酸化リチウム無水和物について、水分計(新光電子社製 型式:MA-120)を用いて重量法により水分率を測定したところ、0.02質量%であった。なお、測定の際、評価を行う水酸化リチウム無水和物100gを120℃で4分間加熱し、重量減少分を水分量として水分率を算出した。
(2)ニッケル複合酸化物の製造
ニッケル複合水酸化物としてNi0.88Co0.09Al0.03(OH)2を用意し、係るニッケル複合水酸化物について、大気雰囲気下(酸素:21vol%)、700℃で酸化焙焼を行った(焙焼工程)。
(3)リチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物、リチウムニッケル複合酸化物の製造
上記ニッケル複合酸化物と、水酸化リチウム無水和物とを、リチウム(Li)の原子数と、リチウム以外の金属(Me)の原子数との比、すなわちモル比(Li:Me)が1.030:1.000となるように秤量、混合し、リチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物を得た(混合工程)。混合手段としてはジュリアミキサ(徳寿工作所社製 型式:JM900)を用いた。
なお、上述の滴定は第2中和点まで測定した。第2中和点までに塩酸で中和されたアルカリ成分を、水酸化リチウム(LiOH)および炭酸リチウム(Li2CO3)に由来するリチウム量として、第2中和点までに滴下した塩酸の量、及び塩酸の濃度から、ろ液内のリチウム量を算出した。
そして、ろ液を調製する際に用いたリチウムニッケル複合酸化物の試料の量で、算出したろ液内のリチウム量を割り、単位を質量%に換算してリチウムニッケル複合酸化物の余剰リチウムを求めた。
(非水系電解質二次電池の製造)
得られたリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いて、2032型コイン型電池を作製し、評価した。
得られたコイン型電池について、0.01Cで充放電容量を測定した。その放電容量は、213mAh/gであった。
[実施例2]
水酸化リチウム無水和物を、ジェットミルにより粉砕する際に、粉砕ガスの圧力を0.33MPaに変更した点以外は、実施例1と同様にしてリチウム化合物、リチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物、リチウムニッケル複合酸化物、非水系電解質二次電池を製造し、評価を行った。
[実施例3]
水酸化リチウム無水和物を、ジェットミルにより粉砕する際に、粉砕ガスの圧力を0.37MPaに変更した点以外は、実施例1と同様にしてリチウム化合物、リチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物、リチウムニッケル複合酸化物、非水系電解質二次電池を製造し、評価を行った。
なお、ジェットミルの粉砕後に得られた水酸化リチウムの平均粒径(D50)は142μmであり、140meshよりも大きい粒子の含有割合は56質量%であった。
その他の評価結果についても表1~表3に示す。
[比較例1]
水酸化リチウム無水和物を、ジェットミルにより粉砕する際に、粉砕ガスの圧力を0.30MPaに変更した点以外は、実施例1と同様にしてリチウム化合物、リチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物、リチウムニッケル複合酸化物、非水系電解質二次電池を製造し、評価を行った。
μmであり、140meshよりも大きい粒子の含有割合は75質量%であった。
[比較例2]
水酸化リチウム無水和物を、ジェットミルにより粉砕する際に、粉砕ガスの圧力を0.43MPaに変更した点以外は、実施例1と同様にしてリチウム化合物、リチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物、リチウムニッケル複合酸化物、非水系電解質二次電池を製造し、評価を行った。
[比較例3~比較例6]
水酸化リチウム無水和物を、ジェットミルにより粉砕する際に、粉砕ガスの圧力をそれぞれ0.42MPa(比較例3)、0.31MPa(比較例4)、0.38MPa(比較例5)、0.34MPa(比較例6)に変更した点以外は、実施例1と同様にしてリチウム化合物、リチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物、リチウムニッケル複合酸化物、非水系電解質二次電池を製造し、評価を行った。
評価結果を表1~表3に示す。
比較例4においても、得られたリチウムニッケル複合酸化物について、余剰リチウム、Li席占有率の標準偏差が非常に大きく、均一な組成の、すなわち目的組成のリチウムニッケル複合酸化物が得られていないことを確認できた。
また、比較例3、5、6においては、リチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物の嵩密度が実施例1よりは低く生産性の点では実施例1よりも劣ることが確認できた。特に、比較例5、6については得られたリチウムニッケル複合酸化物について、余剰リチウム、Li席占有率の標準偏差が非常に大きく均一な組成の、すなわち目的組成のリチウムニッケル複合酸化物が得られていないことを確認できた。
Claims (5)
- リチウム化合物と、ニッケル複合酸化物との混合物であり、
嵩密度が0.40g/cm3以上であって、
前記リチウム化合物は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における体積積算値50%での粒径である平均粒径が50μm以上250μm以下であり、かつ140meshよりも大きい粒子の含有割合が30質量%以上70質量%以下であるリチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物。 - 前記リチウム化合物が、水酸化リチウム、及び炭酸リチウムから選択された1種類以上である請求項1に記載のリチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物。
- 平均粒径が50μm以上250μm以下であり、かつ140meshよりも大きい粒子の含有割合が30質量%以上70質量%以下であるリチウム化合物と、ニッケル複合酸化物とを混合し、リチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物を調製する混合工程と、
前記リチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物を焼成する焼成工程とを有するリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。 - 前記ニッケル複合酸化物が、
一般式:Ni(1-y-z)CoyMzO1+α(式中、Mは、Al、Tiの中から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、y、zはそれぞれ、0.05≦y≦0.35、0.005≦z≦0.15、-0.2≦α≦0.2を満たす)で表される請求項3に記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。 - 前記リチウムニッケル複合酸化物前駆体混合物の嵩密度が0.40g/cm3以上である請求項3または請求項4に記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
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C21 | Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings |
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TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
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