JP6356425B2 - 組成変調されたリン酸コバルトリチウム化合物からなる正極材料、及び、その製造方法、並びに、高電圧リチウムイオン二次電池 - Google Patents

組成変調されたリン酸コバルトリチウム化合物からなる正極材料、及び、その製造方法、並びに、高電圧リチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、高電圧リチウムイオン二次電池を実現するための正極材料に関する。特に、組成変調されたリン酸コバルトリチウム化合物からなる正極材料及びその製造方法、並びに、この正極材料を正極活物質として用いた正極を含む高電圧リチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度、高出力密度、長寿命、安全性を兼ね備えた究極の二次電池である。しかし、その性能は正極・負極に用いる電極活物質、電解液または電解質によって大きく左右される。なかでも、正極活物質は電池の動作電圧・容量・サイクル安定性に最も大きな影響を及ぼすことが知られている。
電池のエネルギー密度は、動作電圧と容量の積であらわされ、動作電圧が高いほど、また、容量が大きいほど、高くなる。電池の電圧は、正極と負極の電位差で決まることから、正極の電位が高いほど、エネルギー密度も高く、また負極の選択の幅も広がる。
しかし、電位の高い正極を使用するということは、正極の表面で酸化能の高い状態が生成することを意味しており、耐酸化性の高い電解液が必要になるということである。これまでのリチウムイオン二次電池に用いられている正極は、いずれも4V程度の電位を示すものである。したがって、これまでに実績のある電解液の耐酸化性も4V程度と考えられている。これよりも高い電位の正極を用いると、電解液の酸化分解がおこり、充放電反応を繰り返すと電解液が劣化して、充放電できなくなる、すなわち電池の容量が急激に低下することが知られている。そこで、電解液に関しても耐酸化性の高いものが研究されている。
正極材料の研究においても同様に高い電位を示す材料が研究されているが、高い電位の電極を用いた電気化学特性を調べるためには、耐酸化性の高い電解液が必要であり、十分に研究が進んでいるとは言いがたい。
高電圧用の正極材料としては、マンガン酸化物をベースとして他の遷移金属イオンを固溶させたスピネル酸化物がもっとも広く研究されている。また、オリビン型化合物である燐酸鉄リチウムLiFePO、燐酸マンガンリチウムLiMnPO、燐酸コバルトリチウムLiCoPO等、及び、これらの固溶体も高電圧用の正極材料として研究が行われている(例えば、特許文献1−4参照。)。
前者のマンガン酸化物をベースとするスピネル酸化物については、わずかに0.1V程度電位が低いこともあって、また電解液の研究も進んだ結果もあって、安定した充放電サイクルを示す電池ができるようになってきている。
特開2009−286669号公報 特開2011−132095号公報 特開2002−117845号公報 特開2008−184346号公報
しかし、後者のオリビン型化合物のうち、燐酸コバルトリチウムLiCoPOにあっては、初期充放電時には、適当な容量を示すものの、図7に示すように充放電のサイクルを繰り返すにしたがって容量が著しく低下してしまうという問題があった。すなわち、この充放電サイクルを繰り返した際の放電容量劣化の問題点を解決し、燐酸コバルトリチウムを正極材料に用いた電池において、高い電圧を保ったまま、安定した充放電サイクル、及び、十分な容量を維持できるようにすることが課題である。
そこで、本発明は、高電圧下の充放電サイクルを繰り返した際の放電容量低下を抑制した正極材料を提供することを目的とする。
本発明に係る正極材料は、化学組成LiCoPOで表される化合物において、二価のCo2+の一部を三価の金属イオンM3+で置換した化学組成Li1−xCo1−xPO(Mは、Fe、Al、Ga、Inからなる群から選ばれた少なくとも1つである;xは、0.01≦x≦0.20を満たす)で表される。
本発明に係る化学組成Li1−xCo1−xPOで表される正極材料を製造する方法は、Liを含む化合物、Coを含む化合物、三価の金属イオンM3+となる金属元素Mを含む化合物、リンを含む化合物を化学量論比で、Li:Co:M:P=(1−x):(1−x):x:1(Mは、Fe、Al、Ga、Inからなる群から選ばれた少なくとも1つである;xは、0.01≦x≦0.20を満たす)となるように前記各化合物を混合する工程と、
前記混合された化合物を、400〜800℃の温度範囲で、空気中にて反応させて、化学組成Li1−xCo1−xPOで表される化合物を得る工程と
を含む。
本発明に係る高電圧リチウムイオン二次電池は、前記正極材料からなる正極活物質を含む正極を用いている。
本発明に係る正極材料は、化学組成LiCoPOで表される化合物中の、二価のCo2+の一部を三価の金属イオンM3+となる金属元素Mで置換したLi1−xCo1−xPOで表される化合物からなる。このようなLiイオン欠損が導入された化合物を正極材料に用いることで、高い電圧を保ったまま、安定した充放電サイクル、十分な容量が維持された電池を実現できる。
実施例1で得られた化合物の粉末X線回折パターンである。 実施例1で得られた化合物を正極材料に用いた電池の充放電プロファイルである。 実施例1で得られた化合物を正極材料に用いた電池の繰り返し充放電に伴う放電容量の変化を示すグラフである。 置換元素であるFeの置換量xと充放電サイクルを繰り返すことによる放電容量の変化との関係を示すグラフである。 比較例で得られた化合物の粉末X線回折パターンである。 比較例で得られた化合物を正極材料に用いた電池の充放電プロファイルである。 比較例で得られた化合物を正極材料に用いた電池の繰り返し充放電に伴う放電容量の変化を示すグラフである。
<本発明に至った経緯>
化学量論組成のリン酸コバルトリチウムLiCoPOを正極材料に用いたリチウム二次電池は、図6の充放電プロファイルに示されるように金属リチウム対比で4.8Vという高電圧で作動することは良く知られている。しかし、化学量論組成である化学組成LiCoPOを正極材料に用いたのでは、初期の数サイクルのみ高い電圧、十分な容量が得られるが、繰り返し充放電を行うと、容量が急激に減少してしまい、安定した充放電特性を有する二次電池を実現することができない。例えば、図7に示すように、充放電を繰り返すと電池容量が急速に低下してしまう。この点について、従来、動作電圧が高いために電解液の分解も発生することがその主な要因と考えられていた。この電池劣化の原因は未だ明確になっていない。
本発明者は、この高電圧用の正極材料として、リン酸コバルトリチウム化合物を三価の金属イオンとなる金属元素Mで組成変調して結晶中にLiイオン欠損を導入することによって、高電圧動作を保持したまま、充放電サイクルを繰り返しても容量が劣化しないことを見出し、本発明を完成させたものである。
(実施の形態1)
<正極材料>
実施の形態1に係る正極材料は、化学組成LiCoPOで表される化合物において、二価のCo2+の一部を三価の金属イオンM3+で置換した化学組成Li1−xCo1−xPOで表される。なお、三価の金属イオンM3+となる金属元素Mは、Fe、Al、Ga、Inから選ばれる少なくとも1つである。また、置換量xは、0.01〜0.20の範囲である。上記化合物中で、金属元素Mは三価の価数を有する。
この化学組成Li1−xCo1−xPO(Mは、Fe、Al、Ga、Inから選ばれる少なくとも1つ;xは、0.01≦x≦0.20を満たす)で表される正極材料は、図1のCu−Kα線による粉末X線回折パターンに示されるようにオリビン型構造を有する。オリビン型構造は、空間群Pmnbで表され、酸素の六方最密充填構造を有し、四配位四面体サイトにはリンが位置し、六配位八面体サイトにはリチウム、Co、及び、金属元素Mが位置する。なお、正極材料としては、化学組成Li1−xCo1−xPO単相であることが好ましいが、充放電特性に重大な影響を与えないかぎり、上記化学組成以外の異相を含んでいてもよい。
また、実施の形態1に係る正極材料は、BET比表面積が1〜30m/gの範囲であって、さらに、1〜10m/gの範囲が好ましく、5〜10m/gの範囲がより好ましい。
(本発明の特徴)
化学量論組成のリン酸コバルトリチウムは、化学組成LiCoPOで表され、図5の粉末X線回折パターンに示されるようにオリビン型構造を有する。このリン酸コバルトリチウムLiCoPOを正極材料に用いた場合、充電反応においては、上記化合物からLiイオンが電気化学的に引き抜かれると同時にCo2+イオンがCo3+イオンに酸化される。本発明者は、このときに電気化学的なLiイオンを引き抜く反応が十分に進行しないことが、電解液の酸化分解を誘発しているのではないかと考えている。
本発明に係る正極材料は、正極材料の化合物中のCo2+イオンの一部を三価の金属イオンM3+で置換し、その際の価数バランスによって化合物の結晶中のLiイオンの一部を欠損させることを特徴としている。このように結晶中のLiイオンの一部を欠損させることで、充放電サイクルにおけるLiイオンの引き抜き反応が変化して、充放電特性が安定するのではないかと考えている。
すなわち、本発明では、化学組成LiCoPOで表される化合物中の二価のCo2+の一部を三価の金属イオンM3+で置換したLi1−xCo1−xPOで表される化合物とすることで、上記Liイオン欠損を化合物中に導入することが最も重要な点である。このLiイオンの欠損の導入量は、金属イオンM3+の置換量xの値で0.01〜0.20の範囲にあるのが最も適当である。xが0.01未満では、欠損の導入量が十分でないため効果が十分でない。一方、xが0.20を超えても充放電サイクルにおける容量低下の抑制効果は認められるが、高電圧での容量を生み出しているのはCo2+/Co3+の酸化・還元電流であるので、置換量が多くなりすぎると実質的な容量が低下する。また、置換量が多くなった場合、異相が析出する場合がある。そのため、置換量xの有効な範囲としては0.20を超えない範囲である。放電容量の大きさと放電容量低下の抑制効果とのバランスを考慮すると、置換量xの値は、0.05〜0.15の範囲が好ましく、0.10〜0.15の範囲がさらに好ましい。
また、三価の金属イオンM3+となる金属元素Mに関しては、空気中で金属イオンの価数が3で安定なものであればよく、さらに、Co2+イオンを置換可能な金属元素であればよい。置換可能なイオン半径から考えて、例えば、イオン半径が0.04nm〜0.08nm(0.4Å〜0.8Å)の範囲であるFe、Al、Ga、Inが適当である。
なお、金属元素MがFeの場合には、化学組成Li1−xCo1−xFePOで表される化合物中における実質的に全てのFeは3価である。Feの価数は、例えば、メスバウアー分光法によってメスバウアースペクトルを観測することによって検出できる。あるいは化学的組成分析法によってFe2+およびFe3+を検出することによって検出してもよい。なお、「実質的に」とは、Fe2+イオンが検出されないこと、例えば、メスバウアースペクトルでFe2+に由来するピークが観測されないこと、あるいは、化学的組成分析法においてFe2+が検出されないことを意味する。
<製造方法>
実施の形態1に係る正極材料の製造方法は、以下の2つの工程を含む。
a)Liを含む化合物、Coを含む化合物、三価の金属イオンM3+となる金属元素Mを含む化合物、リンを含む化合物を化学量論比で、Li:Co:M:P=(1−x):(1−x):x:1(Mは、Fe、Al、Ga、Inからなる群から選ばれた少なくとも1つである;xは、0.01≦x≦0.20を満たす)となるように各化合物を混合する工程(以下、「混合工程」という。)
b)混合された化合物を、400〜800℃の温度範囲で、空気中にて反応させて、化学組成Li1−xCo1−xPOで表される化合物を得る工程(以下、「反応工程」という。)
以下に、上記正極材料の製造方法を構成する混合工程と反応工程とについて、それぞれ説明する。
<混合工程>
混合工程では、Liを含む化合物、Coを含む化合物、三価の金属イオンM3+となる金属元素Mを含む化合物、リンを含む化合物を化学量論比でLi:Co:M:P=(1−x):(1−x):x:1となるように各化合物を混合する。なお、三価の金属イオンM3+となる金属元素Mは、Fe、Al、Ga、Inから選ばれる1つ以上の元素である。また、金属元素Mの置換量xは、0.01〜0.20の範囲である。
なお、上記各化合物の比は、上記の比に厳密に限定されるものではなく、通常の測定における誤差等を含んでもよい。また、上記各化合物の比は、実質的に反応工程後の各元素の比に対応するものである。そこで、後の反応工程における反応条件に応じて、反応工程後の各元素の比として化学量論比でLi:Co:M:P=(1−x):(1−x):x:1となるように、原料となる各化合物の量を上記比の量から若干修正してもよい。例えば、反応工程で蒸発しやすいLiの量を混合工程においてあらかじめ若干増やしておいてもよい。
以下に、混合工程において使用する各原料について説明する。
Liを含んだ化合物として、炭酸リチウム、酢酸リチウム、硝酸リチウム、水酸化リチウム、塩化リチウム、及びこれらの無水物、水和物等を使用できる。
Coを含んだ化合物として、炭酸コバルト、シュウ酸コバルト、及びこれらの無水物、水和物等を使用できる。
三価の金属イオンM3+となる金属元素Mとしては、上述のように空気中で金属イオンの価数が3で安定なものであればよく、Fe、Al、Ga、Inから選ばれる1つ以上の元素であればよい。
金属元素MとしてFeを選択する場合、例えば、Feを含んだ化合物として、シュウ酸鉄、塩化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、酸化鉄、水酸化鉄、及びこれらの無水物、水和物等を使用できる。なお、Feの化合物には二価及び三価の化合物が存在するが、製造過程の反応工程において空気中で反応させるので、二価のFeも三価のFeとなる。そこで、Feを含んだ化合物として三価のFeを含む化合物だけでなく、二価のFeを含む化合物を原料として用いることができる。
金属元素MとしてAlを選択する場合、例えば、Alを含んだ化合物として、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、及びこれらの無水物、水和物等を使用できる。
金属元素MとしてGaを選択する場合、例えば、Gaを含んだ化合物として、硫酸ガリウム、硝酸ガリウム、水酸化ガリウム、水酸化酸化ガリウム、塩化ガリウム、及びこれらの無水物、水和物等を使用できる。
金属元素MとしてInを選択する場合、例えば、Inを含んだ化合物として、塩化インジウム、酸化インジウム、水酸化インジウム、硫酸インジウム、硝酸インジウム、及びこれらの無水物、水和物等を使用できる。
リンを含んだ化合物として、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、五酸化二リン、リン酸、及びこれらの無水物、水和物等を使用できる。
次に、混合工程における混合方法について説明する。混合方法としては、乾式混合法及び湿式混合法のいずれであってもよい。また、各原料を乳鉢、ボールミル等を用いて機械的に撹拌する方法、各原料として水に溶解する原料を選択して、各原料を水に溶解後、溶液から各原料を同時に沈殿させて混合する共沈法、各原料を溶解した溶液から出発して、加水分解、縮重合などの化学反応を経て、原料を混合させたゲル(ゼリー状の固体)を得るゾル−ゲル法、などを利用できる。
<反応工程>
次に、反応工程では、混合された化合物を、400〜800℃の温度範囲で、空気中にて反応させて、化学組成Li1−xCo1−xPOで表される化合物を得る。
反応工程における反応温度について検討する。反応させる温度が400℃未満では十分に化学反応が進行しないため、目的の化合物以外の化合物が混入するおそれがある。一方、800℃を超える温度では、Liの蒸発が顕著になるため、過剰量のLi化合物が必要となり効率的でない。また、各原料の粒径が比較的大きい場合や機械的混合法等のように混合性が低いと考えられる場合には、反応温度は、やや高めの500〜800℃の範囲であってもよく、さらに600〜800℃の範囲であってもよい。あるいは、ゾル−ゲル法によって混合した原料を用いた場合、各元素の混合性が高くなって反応性がよくなっていると考えられ、反応温度は、やや低めの400〜700℃の範囲であってもよい。
なお、反応工程における雰囲気は空気中であることが好ましい。窒素あるいはアルゴン気流中では、Coが還元されて金属となって析出してしまう。一方、酸素気流中では、Coが過剰に酸化されCo3+を含む化合物が混入する。
<高電圧リチウムイオン二次電池>
実施の形態1に係る高電圧リチウムイオン二次電池は、上記正極材料からなる正極活物質と、導電助剤と、結着剤とを含む正極を用いている。さらに、この高電圧リチウムイオン二次電池では、上記正極と、負極と、電解質とを備える。なお、ここでは動作電圧が4.5V以上の場合を高電圧と呼んでいる。
この高電圧リチウムイオン二次電池によれば、電池の動作電圧が4.5V以上の高電圧である。また、初期放電容量が120mAh/g以上であって、充放電サイクルを20回繰り返した後の放電容量が初期放電容量の70%以上である。そこで、実施の形態1に係る高電圧リチウムイオン二次電池は、高電圧リチウムイオン二次電池として有用である。
以下に、この高電圧リチウムイオン二次電池を構成する各構成部材について説明する。
<正極>
正極は、上記正極材料と、導電助剤と、結着剤とに対して、溶剤を添加して分散させて塗料を調整し、集電体上に塗布して形成される。なお、正極の上記正極材料以外の原料及び製造方法は、通常用いられる材料及び製造方法を用いてもよい。
正極材料としては、上記化学組成Li1−xCo1−xPO(Mは、Fe、Al、Ga、Inから選ばれる少なくとも1つ;xは、0.01≦x≦0.20を満たす)で表される化合物を用いる。
導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、金属繊維、アルミニウム粉、フッ化炭素、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化チタン、ポリフェニレン誘導体等を用いることができる。これらの導電助剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体またはそのNa+イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸共重合体またはそのNa+イオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体またはそのNa+イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体またはそのNa+イオン架橋体等を用いることができる。
溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の有機溶剤を用いることができる。
<負極>
負極は、例えば、負極活物質自体からなる場合、負極活物質と結着剤とからなる場合等のいずれで構成してもよい。
前者の場合、負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−スズ合金等を用いることができる。
後者の場合、負極活物質としては、リチウムを吸蔵・脱離可能な炭素物質、例えば、黒鉛、炭素繊維、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)等を用いることができる。また、結着剤としては、正極において用いた材料、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を用いることができる。
<電解液>
電解液は、溶媒に電解質を溶解させて構成する。
溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。これらの1種を単独で用いることも、また2種以上を混合させて用いることもできる。混合溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合溶媒を用いることができる。
電解質としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO 、LiAsF、LiN(CFSO、LiN(CSO等が挙げられる。これらのリチウム塩は、それぞれ単独で用いてもよく、また、これらのもののうち2種以上のものを併用することもできる。を用いることができる。
なお、高電圧リチウムイオン二次電池の各構成部材の上記各材料は例示であって、これらに限定されるものではない。また、上記構成部材では、集電体やセパレータ等を挙げていないが、これらを含めてもよいことは当然である。この高電圧リチウムイオン二次電池を構成する構成部材として、通常のリチウムイオン二次電池に用いられる構成部材及び各材料を用いることができる。
(実施例1)
<正極材料>
実施例1における正極材料となる化合物の試料粉末は以下のようにして作製した。
a)Liを含む化合物として炭酸リチウム、Coを含む化合物として炭酸コバルト、Feを含む化合物としてシュウ酸鉄、リン酸を含む化合物としてリン酸二水素アンモニウムを用いて、これらを化学組成Li0.9Co0.9Fe0.1POとなるように秤量した。この場合、三価の金属イオンM3+となる金属元素MはFeであって、その置換量xは、x=0.10となる。
b)これらの原料粉末をアセトン溶媒中に投入して、この懸濁液を機械的に十分に撹拌した。得られた懸濁液を乾燥させて溶媒であるアセトンを除去して、混合粉末を得た。
c)この混合粉末を、電気炉に入れて空気中500℃で10時間焼成した後、炉冷して試料粉末を作製した。
d)得られた試料粉末について、粉末X線回折法によって調べたところ、図1のCu−Kα線によるX線回折パターンに示すように、オリビン型化合物単相からなることを確認した。また、この試料粉末のBET比表面積は、およそ7〜8m/gであった。また、その化学組成は混合時と実質的に同じLi0.9Co0.9Fe0.1POであった。さらに、メスバウアー分光法によってメスバウアースペクトルを観測したところ、Fe2+に由来するピークが観測されず、含まれる実質的に全てのFeは3価であることを確認した。
<電池特性>
この試料粉末を、常法に従って、導電助剤アセチレンブラック粉末(7wt%)、結着剤PVDF(ポリフッ化ビニリデン)(7wt%)とともに、溶媒であるNMP(N−メチル−2ピロリドン)に分散させて塗料を調製し、これをアルミニウム集電体箔上に塗布して正極を作製した。負極に金属リチウム、1.0MのLiPF塩をEC(エチレンカーボネート)/DMC(ジメチルカーボネート)=1/2の混合溶媒に溶解した電解液を用いて、リチウムコインセルを作製した。このコインセルを用いて室温で充放電特性を測定した。充電は、上限電圧を5.0Vとし、10時間レート相当の定電流で上限電圧まで充電し、その後、定電圧で、充電電流が定電流時の1/10になるまで行うというCC−CVモードで行った。放電は、下限電圧を3.5Vとし、10時間レート相当の定電流で下限電圧まで放電するCCモードで行った。
図2は、実施例1の電池による初期充放電のプロファイルである。得られた初期充放電のプロファイルから、電池の動作電圧は4.8Vと高電圧であることが確認できた。また、初期の放電容量は約130mAh/gと高い値を示した。図3は、実施例1で得られた化合物を正極材料に用いた電池の繰り返し充放電に伴う放電容量の変化を示すグラフである。図3に示すように充放電サイクルを50回繰り返したが、充放電プロファイルは大きく変化することなく、放電容量も初期の約80%を維持しており、依然として高い容量を保持していることがわかった。
図4は、置換元素であるFeの置換量xと充放電サイクルを繰り返すことによる放電容量の変化との関係を示すグラフである。図4において、○は、x=0.15、つまりFe3+によって15%置換された場合であり、□は、x=0.10、つまりFe3+によって10%置換された場合であり、△は、x=0.05、つまりFe3+によって5%置換された場合である。図4に示すように、充放電サイクルを20回繰り返した場合の放電容量は、xが0.05の場合に初期の放電容量の72%であり、xが0.10の場合に初期の放電容量の87%、xが0.15の場合に初期の放電容量の95%となっている。つまり、置換量xが増えるにつれて充放電サイクルの繰り返しに対する放電容量の減少が抑制されることがわかる。なお、置換量xが増えるにつれて初期放電容量自体が減少するため、置換量xの値として、0.01〜0.20の範囲が最も適当である。放電容量及び放電容量低下の抑制効果とのバランスを考慮すると、置換量xの値は、0.05〜0.15の範囲がさらに好ましい。
(比較例)
<正極材料>
比較例では、原料としてFeを含んだ化合物としてシュウ酸鉄を使用しないこと、化学組成をLiCoPOの化学量論組成となるように混合した以外は、実施例1と同様にして試料化合物を作製した。
得られた化合物を、粉末X線回折法を用いて調べたところ、図5のX線回折パターンに示すようにオリビン型化合物単相であることを確認した。
この試料粉末を用いて、実施例1と同様の方法で正極を作製し、さらに実施例と同じ方法でリチウムコインセルを作製した。このコインセルをもちいて実施例と同じ条件で充放電特性を測定した。
<電池特性>
図6は、比較例の電池による初期充放電のプロファイルである。得られた初期充放電のプロファイルから、電池の動作電圧は4.8Vと高電圧であることが確認できた。また、初期の放電容量は約125mAh/gと高い値を示した。
図7は、比較例で得られた化合物を正極材料に用いた電池の繰り返し充放電に伴う放電容量の変化を示すグラフである。図7に示すように、比較例では充放電サイクルを繰り返すと、充放電プロファイルは大きく変化し、20サイクル後の放電容量は初期の60%まで低下しており、充放電のサイクル安定性に問題があることがわかった。
本発明に係る正極材料は、高エネルギー密度、高出力密度、長寿命、安全性を兼ね備えたリチウムイオン二次電池の正極材料として、大いに期待される材料である。特に電圧の高い電池を実現できること、負極材料の選択の幅を広げること、などの利点を有している。

Claims (3)

  1. 化学組成LiCoPOで表される化合物において、二価のCo2+の一部を三価の金属イオンFe 3+で置換した化学組成Li1−xCo1−x Fe PO (xは、0.01≦x≦0.20を満たす)で表される正極材料。
  2. Liを含む化合物、Coを含む化合物、三価の金属イオンFe 3+となる金属元素Feを含む化合物、リンを含む化合物を化学量論比で、Li:Co:Fe:P=(1−x):(1−x):x:1(xは、0.01≦x≦0.20を満たす)となるように前記各化合物を混合する工程と、
    前記混合された化合物を、400〜800℃の温度範囲で、空気中にて反応させて、化学組成Li1−xCo1−x Fe POで表される化合物を得る工程と
    を含む、化学組成Li1−xCo1−x Fe POで表される正極材料を製造する方法。
  3. 請求項1に記載の前記正極材料からなる正極活物質を含む正極を用いた高電圧リチウムイオン二次電池。
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