JP6773257B1 - エレベータ - Google Patents

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Abstract

複数のコイルを備えたワイヤレス給電システムを稼働させる際に、一部のコイルを用いて電力を伝送する場合でも効率よく電力を伝送することができるワイヤレス給電システムおよびワイヤレス給電システムを備えたエレベータを提供する。ワイヤレス給電システムおよびエレベータは、主電源に接続された送電コイルと、送電コイルから送電される電力を受電し負荷へ電力を供給する受電コイルと、主電源と送電コイルの間に設けられ主電源から供給される電力を予め定められた周波数の電力に変換して送電コイルに供給するインバータと、を含む送受電装置であって、主電源と負荷の間で並列に接続された複数の送受電装置を備えたものである。個々の送電コイルにそれぞれインバータが接続されているため、一部の送電コイルを用いる場合であっても、効率よく負荷へ電力を供給することができる。

Description

本発明は、非接触で電力を伝送するワイヤレス給電システムおよびワイヤレス給電システムを備えたエレベータに関する。
送電コイルに交流の電力を供給して、送電コイルから離れた位置に配置された受電コイルに電力を伝送するワイヤレス給電システムがある。例えば、下記の特許文献1のワイヤレス給電システムは、複数の送電コイルを備えており、受電コイルと正対している送電コイルだけに電力を供給して、電力を伝送する。
特開2015−19551号公報
上記の特許文献1のワイヤレス給電システムは、複数の送電コイルに対して電力を供給する一つのインバータを備えており、一部の送電コイルを用いて電力を伝送する場合であっても同じインバータが用いられる。しかし、通常、このようなインバータは、ある特定の電力(例えば、定格電力)を伝送する場合にワイヤレス給電システムの送電効率(主電源から出力される電力と負荷に入力される電力の比)が最も高くなるように設計されるため、この特定の電力と異なる電力(例えば、定格電力より小さい電力)を伝送する場合、送電効率が低下するという問題があった。
また、特許文献1のワイヤレス給電システムをエレベータに設置して、エレベータに電力を供給する場合にも、同様の問題が生じる。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、一部のコイルを用いて電力を伝送する場合でも効率よく電力を伝送することができるワイヤレス給電システムおよびワイヤレス給電システムを備えたエレベータを提供することを目的とする。
本発明に係るエレベータは、負荷を有するかごと、かごが上下動する昇降路と、かごの停止位置である複数の停止階にそれぞれ対応するように各停止階に一つ設けられ、昇降路全体として複数設けられた送電ユニットと、かごに設けられ、負荷に並列に接続された複数の受電装置と、を備えたエレベータであって、各送電ユニットは、少なくとも一つの送電装置を含み、各送電装置は、主電源に接続された送電コイルと、主電源と送電コイルとの間に設けられ主電源から供給される電力を予め定められた周波数の電力に変換して送電コイルに供給するインバータと、を含み、各受電装置は、いずれかの送電コイルから送電される電力を受電し負荷へ電力を供給する受電コイルを含み、各送電ユニットの送電装置の送電コイルは、対応する停止階にかごが停止した場合に、複数の受電装置の受電コイルの少なくとも一つと対向するように設けられ、さらに、各送電ユニットの送電効率が最大となる電力は、対応する停止階における負荷への電力要求に基づいて設定されることを特徴とするものである。
本発明に係るエレベータは、かごと、かごが上下動する昇降路と、ワイヤレス給電システムと、を備えたものであり、ワイヤレス給電システムは、主電源に接続された送電コイルと、送電コイルから送電される電力を受電し負荷へ電力を供給する受電コイルと、主電源と送電コイルとの間に設けられ主電源から供給される電力を予め定められた周波数の電力に変換して送電コイルに供給するインバータと、を含む送受電装置であって、主電源と負荷との間で並列に接続された複数の送受電装置を備え、ワイヤレス給電システムは、かごの少なくとも二つの停止位置にそれぞれ、かごに設置された複数の受電コイルと、昇降路に設置された複数の送電コイルとが対向するように設けられ、少なくとも二つの停止位置のうち、かごの戸開時間が短い停止位置ほど、伝送する電力を少なくする制御部をさらに備えたことを特徴とするものである。
本発明に係るワイヤレス給電システムおよびエレベータは、個々の送電コイルにそれぞれインバータが接続されているため、一部の送電コイルを用いる場合であっても、効率よく負荷へ電力を供給することができる。
本発明の実施の形態1に係るワイヤレス給電システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係るワイヤレス給電システムの送電コイルおよび受電コイルの構成を示す概略図である。 ワイヤレス給電システムの送電電力と送電効率の関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係るワイヤレス給電システムの制御部および通信部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係るワイヤレス給電システムの電力伝送を行う際の処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係るワイヤレス給電システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2に係るワイヤレス給電システムの送電装置の異常検出を行う際の処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3に係るエレベータの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3に係るエレベータに設けられたワイヤレス給電システムを示す概略図である。 本発明の実施の形態1から実施の形態3の変形例に係るワイヤレス給電システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1から実施の形態3の変形例に係るワイヤレス給電システムの送電コイルおよび受電コイルを示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。図中の同一の符号は、同一または相当する部分を表す。
実施の形態1
本発明の実施の形態1に係るワイヤレス給電システム100の構成について図1および図2を用いて説明する。
ワイヤレス給電システム100は、主電源1からの電力を予め定められた周波数の電力へ変換するインバータ2a、2b、2c、電力を送電する送電コイルユニット3a、3b、3c、電力を受電する受電コイルユニット5a、5b、5c、および受電した電力を整流する整流回路6a、6b、6cを備えており、これらの構成、主電源1および負荷9は、リード線10によって接続されている。インバータ2a、2b、2cと、送電コイルユニット3a、3b、3cは送電装置4a、4b、4cを構成しており、受電コイルユニット5a、5b、5cと、整流回路6a、6b、6cは受電装置7a、7b、7cを構成している。また、送電装置4a、4b、4cと受電装置7a、7b、7cは送受電装置8a、8b、8cを構成している。
また、ワイヤレス給電システム100は、負荷9の電力要求に応じて稼働させる送受電装置8a、8b、8cを選択する制御部11、および制御部11が選択した送受電装置8a、8b、8cを稼働させる信号を送信する通信部12、13を備え、これらがケーブル14で接続されている。
以下、ワイヤレス給電システム100の各構成要素について説明する。
インバータ2aは、主電源1の出力端子とリード線10を介して接続されており、主電源1からリード線10を介して供給される直流の電力を、あらかじめ定められた周波数の交流の電力に変換する回路である(図1ではINVと表記)。予め定められた周波数とは、送受電装置8aの共振周波数付近の周波数である。インバータ2aには、ハーフブリッジ回路またはフルブリッジ回路が用いられる。また、インバータ2aの出力端子には、送電コイルユニット3aの入力端子へ接続されたリード線10が接続されている。
なお、インバータ2b、2cは、インバータ2aと同様の構成である。
ここで、インバータ2aに接続される主電源1は、負荷9へ送電される電力を供給する直流電源である。
次に、インバータ2a、2b、2cと接続された送電コイルユニット3a、3b、3c、および送電コイルユニット3a、3b、3cと対向する位置に設置された受電コイルユニット5a、5b、5cについて、図2を参照して説明する
送電コイルユニット3aは、図2に示されているとおり、送電コイル30a、磁性体31a、防磁板32aにより構成されており、さらに送電コイルユニット3aに供給される電力を共振させるための共振用キャパシタ(不図示)を備えている。図2中の、左上の図面が送電コイルユニット3aの側面図であり、中央の上の図面が正面図である。
送電コイル30aは、図中のy軸方向を中心軸として銅線を複数回巻いて形成されたものであり、インバータ2aからリード線10を介して供給される交流の電力によって送電コイル30aの周辺に磁界を発生させる。
磁性体31aは、フェライト等で構成される板状の部材であり、送電コイル30aにおける受電コイルユニット5aと対抗する面とは反対側の面に設置される。磁性体31aは、送電コイル30aのインダクタンスを高めてコイルを小型化するとともに、送電コイル30aから生じる漏洩磁界を低減する。
防磁板32aは、アルミ等の非磁性金属等で構成される板状の部材であり、磁性体31aにおける送電コイル30aと対抗する面とは反対側の面に設置される。防磁板32aは、送電コイル30aから生じる漏洩磁界を遮断し、ワイヤレス給電システム100の周辺に位置する装置などの誤作動、および周辺の金属の加熱を抑制する。
共振用キャパシタは、インバータ2aと送電コイル30aの間に設けられており、送電装置4aの共振周波数を調整するために、所定の静電容量を備えている。
なお、送電コイルユニット3b、3cは、送電コイルユニット3aと同様の構成である。図2では、送電コイルユニット3b(送電コイル30b、磁性体31b、防磁板32b)は中段の左および中央の図面に示されており、送電コイルユニット3c(送電コイル30c、磁性体31c、防磁板32c)は下段の左および中央の図面に示されている。
受電コイルユニット5aは、図2に示されているとおり、受電コイル50a、磁性体51a、防磁板52aにより構成されており、さらに受電コイルユニット5aに供給される電力を共振させるための共振用キャパシタ(不図示)を備えている。図2では、上段の左および右の図面が受電コイルユニット5aの側面図および正面図である。上記の構成は、送電コイルユニット3aと概ね同様であり、異なる点を以下に説明する。
受電コイルユニット5aの出力端子は、整流回路6aの入力端子に接続されたリード線10と接続されており、受電コイルユニット5aは、送電コイルユニット3aから伝送される電力を受電コイル50aで受電し、整流回路6aへ供給する。
なお、受電コイルユニット5b、5cは、受電コイルユニット5aと同様の構成である。図2では、受電コイルユニット5b(受電コイル50b、磁性体51b、防磁板52b)は中段の左および右の図面に示されており、受電コイルユニット5c(受電コイル50c、磁性体51c、防磁板52c)は下段の左および右の図面に示されている。
ここで、図2を用いて、送電コイルユニット3a、3b、3cと受電コイルユニット5a、5b、5cの位置関係について説明する。
図2の左側の図面に示されているとおり、送電コイルユニット3a、3b、3cと受電コイルユニット5a、5b、5cは、z軸方向に並ぶように設置されている。送電コイルユニット3a、3b、3cと受電コイルユニット5a、5b、5cはそれぞれ、コイルの中心が同軸上に位置するように設置され、送電コイル30a、30b、30cと受電コイル50a、50b、50cとがそれぞれ対面している。例えば、送電コイルユニット3aと受電コイルユニット5aは、x=Xa、z=Zaの位置に中心軸が位置し、左側から防磁板32a、磁性体31a、送電コイル30aが並び、一定の間隔を空けて、受電コイル50a、磁性体51a、防磁板52aが配置されている。コイル間の間隔は、電力伝送が可能な距離である。
なお、送電コイルユニット3a、3b、3cと受電コイルユニット5a、5b、5cの少なくともいずれか一方は、移動可能であってもよく、電力伝送を行う際に、図2のようにコイルが対面する位置に配置されればよい。
図1に示されているように、受電コイルユニット5aの出力端子に接続されたリード線10には、整流回路6a(図1ではDと表記)の入力端子が接続されている。整流回路6aは、具体的にはダイオードブリッジ整流器であり、その出力端子は、負荷9の入力端子に接続されたリード線10に接続されている、整流回路6aは、受電コイルユニット5aから供給される交流の電力を直流の電力に変換し負荷9へ供給する。
なお、整流回路6b、6cは、整流回路6aと同様の構成である。
ここで、負荷9は、ワイヤレス給電システムが設置される対象物によって異なるが、例えば、エレベータであれば、かご内の空調装置、照明装置、表示パネル、扉を開閉するモータ、それらに電力を供給するためのバッテリーなどである。本実施の形態では、負荷9には、電流計および電圧計が設けられている。
リード線10は、有線で電力を伝送する銅線であり、送受電装置8a、8b、8c内でコイルやインバータなどの回路を接続するとともに、送受電装置8a、8b、8cを、主電源1と負荷9の間で並列に接続している。
この並列に接続された送受電装置8a、8b、8cは、それぞれ定格電力が異なり、定格電力付近で送電効率が最大となるように設計されている。すなわち、送受電装置8a、8b、8cには、送電効率が最大となる電力が異なる三種類の送受電装置が含まれている。ここで、送電効率とは、主電源1が供給する電力と負荷9が受け取る電力の比であり、送電効率が高いほど、主電源1が供給する電力が効率的に負荷9で受け取られることを示す。
送受電装置8a、8b、8cの送電効率が最大となる電力(定格電力)の合計は、負荷9の最大電力要求と略一致するように設計されており、さらに送受電装置8a、8b、8cの一つは、送電効率が最大となる電力が負荷9の平均電力要求と略一致するように設計されている。具体例をあげると、負荷9の最大電力要求が6kWで、平均電力要求が3kWの場合、送受電装置8aは定格電力が3kW、送受電装置8bは定格電力が2kW、送受電装置8cは定格電力が1kWとなるように設計される。なお、最大電力要求とは、負荷9に含まれる空調装置などに設定された消費電力の上限値と、負荷9に含まれるバッテリーを充電する際に必要な電力(以下、充電電力という)の上限値との和であり、これらの上限値は、負荷9の設計時、製造時などに定められた値である。平均電力要求とは、一定期間、負荷9に含まれる空調装置などを稼働させた際の消費電力の平均値と、同期間にバッテリーを充電するために必要な充電電力の平均値の和であり、すでに設置されている同種の負荷9から推算された値である。
送受電装置8a、8b、8cを上記のように設計する理由は次の通りである。
一般的なワイヤレス給電システムは、定格電力で最大の送電効率を得られるように設計されると、図3のグラフに示すように、定格電力以外の送電電力では最大効率で稼働できず、特に送電電力が小さい場合には送電効率が悪化する。本発明の実施の形態1のワイヤレス給電システム100では、負荷9の空調装置などが最大出力で稼働しバッテリー残量も少ない場合、すなわち最大電力要求に対応する電力が必要な場合に、高い送電効率で電力を伝送できるように、送受電装置8a、8b、8cの定格電力の合計を最大電力要求と略一致させている。また、負荷9が平均的な出力で稼働しバッテリーも平均的な残量である場合、すなわち平均電力要求に対応する電力が必要な場合に、高い送電効率で電力を伝送できるように、送受電装置8a、8b、8cの一つの定格電力を平均電力要求と略一致させている。また、送受電装置8a、8b、8cの定格電力をそれぞれ異ならせることで、複数の電力要求に対して高い送電効率で電力を伝送できるようにしている。
なお、送受電装置8a、8b、8cの定格電力の情報は、ワイヤレス給電システム100の製造時または設置時に、後述する制御部11のメモリ111または記憶装置112に記憶され、制御部11が稼働させる送受電装置を選択する際に用いられる。
次に、図1に戻って、ワイヤレス給電システム100に含まれる制御部11および通信部12、13について説明する。
制御部11は、負荷9の消費電力および必要な充電電力を算出し、電力要求を決定する機能を有する。また、決定した電力要求に基づいて送受電装置8a、8b、8cまたはその組み合わせを選択し稼働させる機能を有する。
制御部11の詳細な構成は図4に示されている。制御部11は、マイクロコンピュータであり、プロセッサ110、メモリ111、記憶装置112、インタフェース113、およびデータバス114を備えている。
プロセッサ110は、負荷9の電力要求を決定するためのプログラム、稼働させる送受電装置8a、8b、8cを選択するためのプログラムなど各種プログラムを記憶装置112から読み出し、メモリ111に展開して、当該プログラムを実行する。
メモリ111は、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記録媒体であり、プロセッサ110がプログラムを実行する際にプログラムを展開する領域、各種キャッシュおよびバッファとして用いられる。
記憶装置112は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Disk)などの大容量の不揮発性の記録媒体であり、プロセッサ110が実行する各種プログラムなどを記憶している。
インタフェース113は、負荷9に備えられた電流計、電圧計などから電流値、電圧値を示す信号を受信するものである。また、選択された送受電装置8a、8b、8cへ、送受電装置を稼働させるための信号を送信するものである。
データバス114は、プロセッサ110、メモリ111、記憶装置112およびインタフェース113を通信可能に接続する伝送路である。
図1および図4に示されるように、通信部12、13は、Wi−fi(Wireless Fidelity、登録商標)またはBluetooth(登録商標)などの無線通信を用いて互いに通信を行う通信装置であり、また、通信部12は制御部11および受電装置7a、7b、7cとケーブル14で接続され、通信部13は、送電装置4a、4b、4cとケーブル14で接続されている。
通信部12は、制御部11から送受電装置を稼働させるための信号を受信すると、受電装置7a、7b、7cへ送受電装置を稼働させるための信号を送信し、対応する受電装置を稼働させる。
また、通信部12は、送受電装置を稼働させるための信号を受信すると、無線通信で当該信号を通信部13へ送信し、通信部13は、送電装置4a、4b、4cへ送受電装置を稼働させるための信号を送信し、対応する送電装置を稼働させる。
通信部12と制御部11、通信部12と受電装置7a、7b、7c、および通信部13と送電装置4a、4b、4cをつなぐケーブル14は、制御部11から出力される信号を送信する有線のケーブルである(図1および図4)。
ここまで、ワイヤレス給電システム100の構成について説明した。次に、図5を用いて、ワイヤレス給電システム100の動作について説明する。
図5のフローチャートの処理は、ワイヤレス給電システム100が稼働するとともに開始される。
制御部11は、ワイヤレス給電システム100が設置された機器(例えば、エレベータ)からの給電要求に基づいて給電を開始すべきか否かを判定する(ステップS101)。
具体的には、エレベータであれば、プロセッサ110は、昇降路の最上部に設置されたエレベータの主制御装置から、給電を行う停止位置にエレベータが停止したことを示す信号(停止時に給電を行うことから給電要求に当たる)を受信し、給電を開始すると判定する。信号を受信していない場合は、給電を開始しないと判定する。
制御部11(プロセッサ110)は、給電を開始しないと判定した場合(ステップS101でNOの場合)、給電要求があったか否かの判定を繰り返す(ステップS101)。
制御部11は、給電を開始すると判定した場合(ステップS101でYESの場合)、負荷9に設けられた電流計および電圧計から取得した電流値および電圧値に基づいて負荷9の消費電力および必要な充電電力を算出し、これらに基づいて電力要求を決定する(ステップS102)。
具体的には、負荷9の電流計および電圧計は適宜、電流値および電圧値を制御部11に送信しており、電流値および電圧値は順次、メモリ111または記憶装置112(以下、メモリ111等という)に記憶されている。プロセッサ110は、メモリ111等から現在時刻に最も近い電流値および電圧値を読み出し、これらを積算して負荷9の消費電力を算出する。また、プロセッサ110は、給電開始前のバッテリーの開放電圧をメモリ111等から読み出し、別途メモリ111等に記憶されているバッテリーのSOC(State Of Charge)特性と比較して放電量を概算する。もしくは、バッテリーの放電電流を積算して放電量を求めてもよい。この放電量またはその一部を、必要な充電電力とする。この消費電力と必要な充電電力は、負荷9が現在必要としている電力と概ね一致するので、消費電力と必要な充電電力の和を負荷9の電力要求として算出する。負荷9へ電力を供給する際のロスなどを考慮して、消費電力と必要な充電電力の和に予め定められた係数を乗算するなどして電力要求としてもよい。
制御部11は、定格電力が負荷9の電力要求以上の送受電装置8a、8b、8c、または定格電力の和が負荷9の電力要求以上となる少なくとも二つの送受電装置8a、8b、8cの組み合わせを選択する(ステップS103)。
具体的には、プロセッサ110は、メモリ111等から送受電装置8a、8b、8cの定格電力を読み出し、負荷9の電力要求から各定格電力を減算し、差分値を算出する(差分値が正の場合、電力要求は定格電力より大きい)。そして、プロセッサ110は、差分値がゼロまたは負の値となる送受電装置のうち、差分値が最もゼロに近い送受電装置を選択する。差分値がゼロまたは負の値である場合は、選択した送受電装置の定格電力は電力要求より大きく、その送受電装置だけで負荷9の電力要求を賄えるため、選択処理(ステップS103)を終了する。
また、プロセッサ110は、差分値がゼロまたは負の値となる送受電装置がなく正の値となる送受電装置のみである場合、差分値が最もゼロに近い送受電装置を選択するが、選択した送受電装置だけでは供給できる電力が不足するため、当該差分値からほかの各送受電装置の定格電力を減算し、第2の差分値を算出する。そして、この第2の差分値がゼロまたは負の値となる送受電装置がある場合、ゼロまたは負の値となった送受電装置のうち、第2の差分値が最もゼロに近い送受電装置を選択し、選択処理(ステップS103)を終了する。第2の差分値がゼロまたは負の値となると、選択した二つの送受電装置で負荷9の電力要求を賄えるからである。
さらに、第2の差分値が正の値となる送受電装置のみである場合、残った送受電装置を選択する。なお、残った送受電装置は一つのため、差分値を用いずに選択を行っているが、一つ目、二つ目の送受電装置を選択する場合と同様に、第3の差分値を求めて選択を行ってもよい。また、ワイヤレス給電システム100が四つ以上の送受電装置を備えている場合は、選択した送受電装置で電力要求が賄えるまで同様の処理を繰り返す。
上記の選択処理は、要するに、一つずつ送受電装置を選択していき、負荷9の電力要求を賄えるようになった時点で、ほかの送受電装置は選択しないものである。したがって、制御部11は、送受電装置8a、8b、8cの中から、定格電力または定格電力の和が負荷9の電力要求以上となる送受電装置だけを選択する。
ここで、上述した具体例を用いて、制御部11が選択する送受電装置について説明する。上述の例は、負荷9の最大電力要求が6kWで、平均電力要求が3kWの場合であり、送受電装置8aの定格電力が3kW、送受電装置8bの定格電力が2kW、送受電装置8cの定格電力が1kWである。
負荷9の電力要求が平均電力要求である3kWである場合、制御部11は、3kWと各送受電装置8a、8b、8cの定格電力とを比較する。差分値がゼロまたは負の値となるのは送受電装置8aだけであり、最も近い定格電力の送受電装置として、送受電装置8aが選択される。また、この段階で、差分値はゼロとなるから、これ以上の送受電装置の選択は行われない。この場合、3kWを負荷9に供給するために、送受電装置8aが、定格電力と一致する3kWで電力を伝送することになるので、高い送電効率で電力を伝送できる。
負荷9の電力要求が最大電力要求である6kWである場合、制御部11は、6kWと各送受電装置8a、8b、8cの定格電力とを比較する。差分値は、送受電装置8aが3、送受電装置8bが4、送受電装置8cが5となり、すべての差分値は正の値となる。送受電装置8aの差分値が最もゼロに近いから、送受電装置8aが選択される。そして、引き続き、制御部11は、差分値である3と各送受電装置8b、8cの定格電力とを比較する。第2の差分値は送受電装置8bが1、送受電装置8cが2となり、すべての第2の差分値は正の値となる。送受電装置8bの差分値が最もゼロに近いから、送受電装置8bが選択される。さらに、制御部11は、第2の差分値がすべて正の値であったから、送受電装置8cを選択する。最終的に、制御部11は、送受電装置8a、8b、8cすべてを選択する。この場合、6kWを負荷9に供給するために、送受電装置8a、8b、8cそれぞれが定格電力と一致する3kW、2kW、1kWで電力を伝送することになるので、高い送電効率で電力を伝送できる。
また、負荷9の電力要求が1kWの場合は、上記と同様の処理を行い、送受電装置8cが選択され、負荷9の電力要求が2kWの場合は、送受電装置8bが選択され、負荷9の電力要求が4kWの場合は、送受電装置8aおよび8cが選択され、負荷9の電力要求が5kWの場合は、送受電装置8aおよび8bが選択される。
さらに、差分値または第2の差分値などがゼロとならない場合、例えば電力要求が3.5kWの場合は、まず、差分値が最も小さくなる送受電装置8aが選択され、次に、第2の差分値が負の値であり、かつ最も小さくなる送受電装置8cが選択される。この場合は、送受電装置8aと8cの電力を調整して、3.5kWを出力するようにするが、差分値が小さい送受電装置を選択しているので、調整幅は小さく、送電効率の悪化は小さくて済む。
次に、制御部11は、選択した送受電装置を示す信号を生成し、通信部12、13を介して送電装置4a、4b、4cおよび受電装置7a、7b、7cへ送信し、選択した送受電装置を稼働させる(ステップS104)。なお、稼働させる際、選択されていない送受電装置は稼働させない。
具体的には、プロセッサ110は、予め定められている送受電装置8a、8b、8cを稼働させるための信号のうち、選択した送受電装置を稼働させるための信号を生成し、インタフェース113を介して通信部12へ送信する。通信部12は、当該信号を受信すると、ケーブル14を介して受電装置7a、7b、7cへ当該信号を送信するとともに、無線通信で当該信号を通信部13へ送信する。通信部13は、当該信号を受信すると、ケーブル14を介して送電装置4a、4b、4cへ当該信号を送信する。送電装置4a、4b、4および受電装置7a、7b、7cは、当該信号が、自身が属する送受電装置を稼働させるための信号である場合、稼働して電力の伝送を行う。
なお、上述のように電力を調整する必要がある場合、制御部11は、先の選択した送受電装置を稼働させるための信号とともに、いずれかの送受電装置に対して電力調整を行うための信号を送信する。電力調整を行うための信号は、インバータ2a、2b、2cの駆動周波数を変更する信号、または、フェーズシフト制御を行う信号である。
次に、制御部11は、ワイヤレス給電システム100が設置された機器(例えば、エレベータ)からの給電停止要求に基づいて給電を停止すべきか否かを判定する(ステップS105)。
具体的には、エレベータであれば、プロセッサ110は、昇降路の最上部に設置されたエレベータの主制御装置から、給電を行う停止位置からエレベータを移動させることを示す信号(移動時には給電を行わないので給電停止要求に当たる)を受信し、給電を停止すると判定する。信号を受信していない場合は、給電を停止しないと判定する。
制御部11は、給電を停止しないと判定した場合(ステップS105でNOの場合)、給電停止要求があったか否かの判定を繰り返す(ステップS105)。
制御部11は、給電を停止すると判定した場合(ステップS105でYESの場合)、給電を停止することを示す信号を生成し、通信部12、13を介して送電装置4a、4b、4cおよび受電装置7a、7b、7cへ送信し、送受電装置8a、8b、8cを停止させる(ステップS106)。
具体的には、プロセッサ110は、予め定められている給電を停止すること示す信号を生成し、インタフェース113を介して通信部12へ送信する。通信部12は、当該信号を受信すると、ケーブル14を介して受電装置7a、7b、7cへ当該信号を送信するとともに、無線通信で当該信号を通信部13へ送信する。通信部13は、当該信号を受信すると、ケーブル14を介して送電装置4a、4b、4cへ当該信号を送信する。送電装置4a、4b、4cおよび受電装置7a、7b、7cは、当該信号を受信すると、電力の伝送を停止する。
その後、制御部11は、再び、ステップS101の判定処理を行い、本フローチャートの処理を繰り返す。
本発明の実施の形態1に係るワイヤレス給電システム100は、以上のように構成されており、次のような効果を奏する。
ワイヤレス給電システム100は、インバータ2a、2b、2c、送電コイルユニット3a、3b、3c、受電コイルユニット5a、5b、5c、整流回路6a、6b、6cで構成される送受電装置8a、8b、8cを備えており、送受電装置8a、8b、8cが主電源1と負荷9の間で並列に接続されている。すなわち、送受電装置8a、8b、8cそれぞれに、インバータ2a、2b、2cが設けられている。そのため、インバータ2a、2b、2cは、各送受電装置8a、8b、8cの定格電力に合わせて設計することが可能である。よって、送受電装置8a、8b、8cの一部の送受電装置だけを稼働する場合であっても、高い送電効率で電力を伝送することができる。
ワイヤレス給電システム100を構成する送受電装置8a、8b、8cはそれぞれ、定格電力、すなわち、送電効率が最大となる電力が異なっている。そのため、3つの送受電装置8a、8b、8cの定格電力、送受電装置8a、8bの定格電力の和、送受電装置8a、8cの定格電力の和、送受電装置8b、8cの定格電力の和、送受電装置8a、8b、8cの定格電力の和である7種類の電力を、高い送電効率で電力伝送できる。よって、負荷9の電力要求の幅が広く、変化する場合でも、高い送電効率で電力伝送が可能である。
ワイヤレス給電システム100は、送受電装置8a、8b、8cのうち、一つの送受電装置の定格電力が負荷9の平均電力要求と等しくなるように設計されている。よって、負荷9の電力要求として最も多い平均電力要求に一つの送受電装置の定格電力で対応することができ、多くの場合で高い送電効率で電力を伝送することができる。
ワイヤレス給電システム100は、一部の送受電装置で負荷9の電力要求を賄える場合は、すべての送受電装置を選択、稼働しない。
負荷9の電力要求が小さくすべての送受電装置8a、8b、8cを稼働させる必要がない場合に、すべての送受電装置を稼働させると、定格電力の和と電力要求との差が大きいため、電力を大きく調整しなければならず、送電効率は悪化する。ワイヤレス給電システム100は、電力要求を賄うために必要な定格電力の送受電装置だけを稼働させるため、すべての送受電装置を稼働させて電力調整を行うよりも、電力の調整幅が小さくなり、送電効率を向上させることができる。
ワイヤレス給電システム100は、負荷9の消費電力と必要な充電電力の和に基づいて電力要求を決定し、電力を伝送する送受電装置8a、8b、8cを選択する。よって、人の手を介さずに、自動的に送受電装置8a、8b、8cを選択することができる。
ワイヤレス給電システム100は、送受電装置8a、8b、8cを組み合わせることで、電力要求が高い場合でも対応が可能である。そのため、個々の送受電装置8a、8b、8cには低出力の送受電装置を用いることができ、低耐性の部品、低電流用の部品を使用可能であり、コストを低減することができる。また、電力伝送時の損失発生個所を分散することができるので、冷却構造を簡易化し、コストを低減することができる。
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1で説明した構成および動作と同様の部分については説明を省略し、実施の形態1と異なる部分について、以下に説明する。
実施の形態2のワイヤレス給電システム200は、送受電装置208a、208b、208cの異常を検出し、異常のある送受電装置を主電源1、負荷9および他の送受電装置から切り離すとともに、残りの送受電装置から負荷9の電力要求に対応できる送受電装置を選択し、稼働する。
実施の形態2では、インバータ202a、202b、202cおよび整流回路206a、206b、206cは、その内部に電流計および電圧計を備えている。また、制御部211は、異常のない送受電装置から電力を伝送する送受電装置を選択する機能を有している。さらに、図6に示されるように、各送電装置204a、204b、204cが、主電源1とインバータ202a、202b、202cの間に設けられた送電スイッチ212a、212b、212c(図6ではSWと表記)と、送電装置異常検出部213a、213b、213cを備えており、各受電装置207a、207b、207cが、整流回路206a、206b、206cと負荷9の間に設けられた受電スイッチ214a、214b、214c(図6ではSWと表記)と、受電装置異常検出部215a、215b、215cを備えている。そのほかの構成については実施の形態1(図1)と同様である。
インバータ202a、202b、202cおよび整流回路206a、206b、206cに設けられた電流計は、ホール素子またはシャント抵抗器である。電圧計は、電圧検出用トランスまたは分圧抵抗器である。
制御部211は、メモリ等に、異常のない送受電装置から電力を伝送する送受電装置を選択するプログラムを記憶しており、プロセッサが当該プログラムを実行することで、異常のない送受電装置から電力を伝送する送受電装置を選択する機能が実現される。
送電スイッチ212aは、半導体スイッチまたは機械スイッチであり、主電源1とインバータ202aの接続のON、OFFを切り替える。送電スイッチ212aがOFFとなっている場合は、主電源1からインバータ202aへの電力の供給は遮断される。
送電装置異常検出部213aは、インバータ202aとケーブル14を介して接続され、インバータ202a内の電流値や電圧値を監視する機能を有する。また、送電装置異常検出部213aは、送電スイッチ212aとケーブル14を介して接続されている。インバータ202a内の電流値や電圧値に異常があると判断した場合に、送電スイッチ212aをOFFにするための信号を送電スイッチ212aへ送信する機能を有する。送電スイッチ212aは、送電装置異常検出部213aから当該信号を受信すると接続をOFFにする。
また、送電装置異常検出部213aは、送電装置204aに接続された通信部13および受電装置207aに接続された通信部12を介して、異常検出信号を受電装置207aへ送信する機能を有する。受電スイッチ214aは、送電装置異常検出部213aから当該信号を受信すると接続をOFFにする。異常検出信号には、異常を示す信号と、異常が検出された送電装置が送電装置204aであることを示す信号が含まれる。
なお、送電スイッチ212b、212cおよび送電装置異常検出部213b、213cも、送電スイッチ212aおよび送電装置異常検出部213aと同様の構成である。
受電スイッチ214aは、半導体スイッチまたは機械スイッチであり、整流回路206aと負荷9の接続のON、OFFを切り替える。受電スイッチ214aがOFFとなっている場合は、整流回路206aから負荷9への電力の供給は遮断される。
受電装置異常検出部215aは、整流回路206aとケーブル14を介して接続され、整流回路206a内の電流値や電圧値を監視する機能を有する。また、受電装置異常検出部215aは、受電スイッチ214aとケーブル14を介して接続されている。整流回路206a内の電流値や電圧値に異常があると判断した場合に、受電スイッチ214aをOFFにするための信号を受電スイッチ214aへ送信する機能を有する。受電スイッチ214aは、受電装置異常検出部215aから当該信号を受信すると接続をOFFにする。
また、受電装置異常検出部215aは、受電装置207aに接続された通信部12および送電装置204aに接続された通信部13を介して、異常検出信号を送電装置204aへ送信する機能を有する。送電スイッチ212aは、受電装置異常検出部215aから当該信号を受信すると接続をOFFにする。
なお、受電スイッチ214b、214cおよび受電装置異常検出部215b、215cも、受電スイッチ214aおよび受電装置異常検出部215aと同様の構成である。
また、送電装置異常検出部213a、213b、213cと受電装置異常検出部215a、215b、215cを総称して、異常検出部と呼ぶ。
ここで、送電装置異常検出部213a、213b、213cおよび受電装置異常検出部215a、215b、215cは、マイクロコンピュータにより構成されており、制御部11同様、プロセッサ、メモリ、記憶装置、インタフェース、およびデータバスを備えている。記憶装置には、電流値および電圧値を監視するためのプログラム、スイッチをOFFにするための信号および異常検出信号を生成するためのプログラム、電流値および電圧値と比較する閾値などが記憶されており、プロセッサがこれらのプログラムをメモリ上に展開して実行することで、送電装置異常検出部213a、213b、213cおよび受電装置異常検出部215a、215b、215cの機能が実現されている。
ここまで、ワイヤレス給電システム200の構成について説明した。次に、図7を用いて、ワイヤレス給電システム200の動作について説明する。
図7のフローチャートの処理は、送電装置204aにおける送電装置異常検出部213aの処理を示したものであり、ワイヤレス給電システム200が稼働するとともに開始される。
まず、送電装置異常検出部213aは、受電装置異常検出部215aから異常検出信号を受信したか否かを判定する(ステップS201)。
具体的には、受電装置異常検出部215aが受電装置207a内の整流回路206aの異常を検出すると、通信部12、13を介して異常検出信号を送電装置204aへ送信するので、送電装置異常検出部213aのプロセッサは当該信号を受信したか否かを判定する。
送電装置異常検出部213aは、異常検出信号を受信している場合(ステップS201でYESの場合)、送電スイッチ212aをOFFにする(ステップS205)。
具体的には、送電装置異常検出部213aのプロセッサは、送電スイッチ212aをOFFにするための信号を生成し、ケーブル14を介して送電装置異常検出部213aへ送信する。この信号を受信した送電装置異常検出部213aは、送電スイッチ212aをOFFにするための信号を送電スイッチ212aへ送信し、送電スイッチ212aをOFFにし、主電源1とインバータ202aの間の接続を遮断する。
また、送電装置異常検出部213aは、異常検出信号を受信していない場合(ステップS201でNOの場合)、送電装置204aの異常検出を行う。まず、送電装置204aの電流値および電圧値(図7ではまとめて状態量と表記)を検出する(ステップS202)。
具体的には、送電装置異常検出部213aのプロセッサは、インバータ202aに設けられた電流計および電圧計から出力される電流値および電圧値を取得する。
次に、送電装置異常検出部213aは、検出した電流値および電圧値が正常範囲であるか判定を行う(ステップS203)。
具体的には、送電装置異常検出部213aのプロセッサは、電流値および電圧値を、メモリから読み出した閾値と比較する。この閾値は、正常範囲の上限値と下限値を示すものである。電流値または電圧値が上限値と下限値の間の値でなければ、送電装置204aに異常が発生していることとなる。
送電装置異常検出部213aは、電流値および電圧値が正常範囲でないと判定した場合(ステップS203でNOの場合)、異常検出信号を受電装置207aへ送信する(ステップS204)。さらに、送電装置異常検出部213aは、送電スイッチ212aをOFFする(ステップS205)。
具体的には、送電装置異常検出部213aのプロセッサは、異常検出信号を生成し、通信部12、13を介して、受電装置207aへ送信する。受電装置207a側では、この異常検出信号を受けて、受電スイッチ214aをOFFにして、整流回路206aと負荷9の間の接続を遮断する。また、送電スイッチ212aをOFFにする処理については、上述のとおりである。
一方、送電装置異常検出部213a(プロセッサ)は、電流値および電圧値が正常範囲であると判定した場合(ステップS203でYESの場合)、ステップS201の処理へ戻り、本フローチャートの処理を繰り返す。
送電装置異常検出部213b、213cの処理も、この図7のフローチャートの処理と同様である。また、受電装置異常検出部215a、215b、215cの処理は、図7のフローチャートの処理と同様であるが、ステップS201において異常検出信号を送信するのは、送電装置異常検出部213a、213b、213cである。また、ステップS202においては、受電装置207a、207b、207cの電流値および電圧値が検出される。ステップS204においては、異常検出信号の送信先は送電装置204a、204b、204cである。ステップS205においてOFFにするのは受電スイッチ214a、214b、214cである。
ワイヤレス給電システム200は、図7の異常検出処理を行い、一部の送受電装置に異常があった場合、異常のあった送受電装置を除いて、電力を伝送する送受電装置の選択を行う。その処理について、以下に説明する。
送電装置異常検出部213a213b、213cまたは受電装置異常検出部215a、215b、215cが送受電装置の異常を検出すると、異常検出信号を通信部12、13を介して送信するが、この際、当該異常検出信号は制御部211へも送信される。制御部211は、異常検出信号を受信すると、異常のある送受信装置をメモリ等へ記憶する。
その後の電力を伝送する送受電装置の選択の処理は、図5と同様であるが、ステップS103で稼働させる送受電装置を選択する際に、異常検出信号の示す異常のある送受電装置は選択肢から除外される。
本発明の実施の形態2に係るワイヤレス給電システム200は、以上のように構成されており、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、次のような効果を奏する。
ワイヤレス給電システム200は、送電装置204a、204b、204cと受電装置207a、207b、207cのいずれか一方で異常が発生した場合に、送電スイッチ212a、212b、212cおよび受電スイッチ214a、214b、214c双方をOFFとする。そのため、送電装置側で異常が発生した場合に、対応する受電装置も接続が遮断され、ほかの遮断されていない受電装置からリード線10を介して電力が流入し故障することを抑制できる。また、受電装置側で異常が発生した場合に、対応する送電装置から継続して電力が伝送され続けて故障が発生することを抑制できる。
また、ワイヤレス給電システム200は、一部の送受電装置が利用できなくなった場合であっても、残りの送受電装置の中から送受電装置またはその組み合わせを選択し、稼働することができ、異常発生時であっても効率のよい電力伝送を行うことができる。
ここで、実施の形態2のワイヤレス給電システム200の変形例の説明および補足説明を行う。
送電装置異常検出部213a、213b、213cは、インバータ202a、202b、202c内の電流値および電圧値に基づいて、送電装置204a、204b、204cの異常を検出しているが、送電コイルユニット3a、3b、3cに電流計および電圧計を設けて、それらの出力する電流値および電圧値に基づいて異常を検出してもよい。
また、受電装置異常検出部215a、215b、215cも同様に、受電コイルユニット5a、5b、5cに電流計および電圧計を設けて、それらの出力する電流値および電圧値に基づいて異常を検出してもよい。
送電装置異常検出部213a、213b、213cおよび受電装置異常検出部215a、215b、215cはそれぞれ、送電装置204a、204b、204cおよび受電装置207a、207b、207cに設けているが、制御部211とともに一つのマイクロコンピュータで構成してもよい。
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態1で説明した構成および動作と同様の部分については説明を省略し、実施の形態1と異なる部分について、以下に説明する。なお、実施の形態3は、実施の形態1、実施の形態2またはその変形例と組み合わせて実施することができる。
実施の形態3では、エレベータ320のかご321に受電ユニット312が設けられており、また、エレベータの320の昇降路322に送電ユニット313a、313d、313eが設けられている。受電ユニット312と送電ユニット313a、313d、313eの一つは、かご321が所定の停止位置に停止した際に対向し、かご321に電力を供給する。
以下、実施の形態3のワイヤレス給電システム300を備えたエレベータ320の各構成について図8および図9を用いて説明する。
図8に示されるように、エレベータ320は、建物内部に設けられ、上下方向に延びる昇降路322と、昇降路322内で上下動するかご321とで構成されている。
かご321には受電ユニット312が設けられており、受電ユニット312は、負荷9にリード線10を介して接続されている複数の受電装置307a、307b、307c、稼働させる送受電装置を選択する制御部11、および送受電装置を稼働させるための信号を送信する通信部12を備えている。
受電ユニット312の構成は、実施の形態1の受電装置7a、7b、7c、制御部11、通信部12と概ね同様の構成であるため、異なる点について以下に説明する。
受電装置307a、307b、307cは、かご321の側壁に設けられ、昇降路322の側壁と対向している。
また、エレベータ320は、主電源1に接続された複数の送電ユニット313a、313d、313eを備えており、送電ユニット313aは送電装置304a、304b、304c、および通信部13aを備え、送電ユニット313dは送電装置304dおよび通信部13dを備え、送電ユニット313eは送電装置304e、304f、304g、および通信部13eを備えている。送電ユニット313a、313eの構成は、実施の形態1の送電装置4a、4b、4c、通信部12と概ね同様の構成であるため、異なる点について以下に説明する。
送電ユニット313a、313d、313eは、かご321の停止位置で受電ユニット312の受電装置(より具体的には受電コイル)と送電ユニット313a、313eのいずれかの送電装置(より具体的には受電コイル)が対向するように、昇降路322の側壁に設けられている。ここで、かご321の停止位置とは、建物の各階で乗り降りが行われる位置である。受電ユニット312と送電ユニット313aが対向する位置でかご321が停止した場合、受電装置307a、307b、307cと送電装置304a、304b、304cそれぞれが、実施の形態1における送受電装置と対応する。受電ユニット312と送電ユニット313eが対向する位置でかご321が停止した場合、受電装置307a、307b、307cと送電装置304e、304f、304gそれぞれが、実施の形態1における送受電装置と対応する。
また、送電ユニット313dについては、送電装置304dを一つだけ備えた構成となっており、送電装置304dの構成は、実施の形態1の送電装置の一つの構成と同様である。送電ユニット313dの送電効率が最大となる電力(定格電力)は、送電ユニット313a、313eの送電効率が最大となる電力(定格電力)の和よりも小さく設計されている。すなわち、送電ユニット313dはほかの送電ユニット313a、313eより低出力である。受電ユニット312と送電ユニット313dが対向する位置でかご321が停止した場合、受電装置307a、307b、307cのいずれかと送電装置304dが対向する。この対向した組み合わせは、実施の形態1における送受電装置と対応する。
送電ユニット313dをほかの送電ユニット313a、313eより低出力とする理由は次のとおりである。かご321の停止位置では、乗員の乗り降りが行われるため、戸開動作が行われる。戸開すると、かご321内部の空気と外部の空気が入れ替わるが、外部の空気の流入量は戸開時間に比例して多くなる。そのため、戸開時間が長い停止位置では、負荷9の一つである空調装置を高出力にしなければならず、電力要求が高くなる。反対に、戸開時間が短い停止位置では、空調装置は低出力でよいため、電力要求が低くなる。したがって、平均的に乗員の乗り降りが少ない、すなわち、平均的に戸開時間が短い停止位置では、送受電ユニットは低出力のもので対応できるので、戸開時間の短い停止位置に、低出力の送電ユニット313dを設置している。
なお、平均的な戸開時間は、類似の立地、類似の用途、および類似の高さの建物で、各階の平均的な戸開時間を求めておけばよい。
また、送電ユニット313aまたは313eに含まれる送電コイルを第1の送電コイルといい、送電ユニット313dに含まれる送電コイルを第2の送電コイルといい、第2の送電コイルを含む送電ユニット313dと受電ユニット312で構成される送受電装置の送電効率が最大となる電力は、第1の送電コイルを含む送電ユニット313aと受電ユニット312で構成される送受電装置の送電効率が最大となる電力の和とは異なり、小さい。
図9(a)は、かご321が戸開時間の長い停止位置、具体的には1階などの主要階に停止して、送電ユニット313aと受電ユニット312が対向している様子を示している。図9(a)に示されるように、送電装置304a、304b、304cは、かご321の移動方向に一定の間隔を空けて配置されており、受電装置307a、307b、307cも、同じ間隔で配置されている。したがって、かご321が停止した際に、送電装置304a、304b、304cと受電装置307a、307b、307cがそれぞれ対向し、電力の伝送が可能となる。
また、図9(b)は、かご321が戸開時間の短い停止位置、具体的には2階や3階などの乗員の乗り降りが少ない階に停止して、送電ユニット313dと受電ユニット312が対向している様子を示している。図9(b)に示されるように、送電ユニット313dを構成する送電装置304dが受電ユニット312を構成する受電装置のうち、一番下の受電装置307aと対向し、電力の伝送が可能となる。なお、送電装置304dが一番下の受電装置307aと対向するとしたが、受電装置307bまたは307cと対向するように、送電装置304aを設置してもよい。
ワイヤレス給電システム300の動作は、実施の形態1と同様であるが、受電ユニット312の通信部12が、送受電装置を稼働させるための信号を送信する先は、停止位置によって異なる。実施の形態3では、通信部12は、停止位置に最も近い送電ユニットの通信部13へ信号を送信して、停止位置で対向する送電ユニットと受電ユニットを稼働して電力の伝送を行う。また、送電ユニット313dと対抗する停止位置でかご321が停止している場合は、送電装置304dは一つしかないので、制御部11は、送受電装置の選択処理を行わずに、送受電装置を稼働させる。
本発明の実施の形態3に係るワイヤレス給電システム300を備えたエレベータ320は、以上のように構成されており、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、次のような効果を奏する。
エレベータ320は、ワイヤレス給電システム300を用いて負荷9に電力を供給する。そのため、主電源1と負荷9とをつなぐ電源ケーブルが必要ない。高層ビルにエレベータ320を設置する場合、電源ケーブルは非常に長くなり、かご321に加わる重量は大きくなり、かご321を移動させる吊り上げ装置が大型化するが、実施の形態3のエレベータ320のようにワイヤレス給電システム300を備えることで、吊り上げ装置の大型化を抑制することができる。
また、エレベータの負荷9には、かご内の空調装置だけでなく、照明装置、表示パネル、扉を開閉するモータ、それらに電力を供給するためのバッテリーなど複数の負荷9が含まれる。戸開時間の違い、乗員の数、外気温などの違いによって、これらの負荷9の電力要求は大きく変化するが、ワイヤレス給電システム300は電力要求に応じて送受電装置を選択して電力を伝送できるので、エレベータ320の使用状況、環境に合わせて適切に、高い送電効率で電力を供給することができる。
エレベータ320は、平均戸開時間の短い停止位置ほど、設置する送電ユニットの出力を小さくしている。平均戸開時間が短い停止位置ではかご321の戸開時に流入する外気が少なく、空調装置は低出力で済む。そのため、低出力の送電ユニットでも電力を供給することができる。低出力の送電ユニットは、低コスト、省スペースで設置できるため、戸開時間に合わせて低出力の送電ユニットを設置することで、エレベータ320を設置するコスト、スペースを低減することができる。
ここで、実施の形態3のエレベータ320の変形例の説明および補足説明を行う。
エレベータ320は、実施の形態1同様、負荷9の消費電力および必要な充電電力に基づいて電力要求を決定し、送受電装置を稼働させているが、制御部11が停止位置の情報をエレベータ320の主制御装置(不図示)から取得して、停止位置の情報に基づいて電力要求を決定してもよい。上述のとおり、エレベータ320の停止位置には、主要階とそれ以外の階があるが、主要階では戸開時間が長く、それ以外の階では戸開時間が短いので、戸開時間が短い階ほど電力要求は少なくなる。そのため、制御部11は、戸開時間の短い階ほど伝送する電力が少なくなるよう送受電装置を制御してもよい。具体的には、制御部11のメモリ111等に停止位置と、予測される電力要求のテーブルを記憶しておき、制御部11が停止位置の情報を取得した際にこのテーブルを参照して電力要求を決定する。このようにすることで、電流計および電圧計が設けられていない負荷9がエレベータ320に設置されていても、電力要求を決定することができる。
また、負荷9の消費電力および必要な充電電力と戸開時間とを併用して電力要求を決定してもよい。このようにすることで、より精度よく電力要求を決定することができる。
エレベータ320は、三つの送電ユニット313a、313d、313eを備えているが、これは一例であり三つには限られない。各停止位置に送電ユニットを設けてもよいし、一部の停止位置にだけ設けてもよい。
また、エレベータ320は、低出力の送電ユニット313dを一つ備えているが、これは一例であり一つには限られない。戸開時間の短い複数の階すべてに低出力の送電ユニット313dを設けてもよい。
また、送電ユニット313a、313eは三つの送電装置を備えており、送電ユニット313dは一つの送電装置を備えており、受電ユニット312は三つの受電装置を備えているが、これらの数は、伝送する電力の大きさ、コスト、スペースなどを考慮して変更してもよい。送電ユニット313dに複数の送電装置を設置する場合、実施の形態1、実施の形態2またはその変形例で示される送電装置を用いてもよい。
また、エレベータ320は、停止位置である停止階で電力を伝送することとしているが、乗員の乗り降りする停止階以外で電力を伝送してもよく、そのような位置に送電ユニットを設けてもよい。
以下、実施の形態1から実施の形態3のワイヤレス給電システム100、200、300またはエレベータ320の変形例について説明する。
実施の形態1から実施の形態3では、主電源1は、直流電源としたが、商用電源などの交流電源としてもよい。この場合、図10に示すとおり、交流電源である主電源401とインバータ2a、2b、2cの間にAC/DCコンバータ402a、402b、402c(図10ではCNVと表記)を設置すればよい。AC/DCコンバータ402a、402b、402cは、主電源1の相数に対応する構成とすればよい。また、AC/DCコンバータ402a、402b、402cに力率改善機能を追加した構成としてもよい。
このように構成することで、主電源401が交流電源であっても、実施の形態1から実施の形態3と同様の効果を得ることができる。また、電力を調整するためにインバータ2a、2b、2cの駆動周波数を変更する必要がなくなり、高周波ノイズ対策が容易となるという効果を奏する。
なお、図10の構成を実施の形態2に適用する際には、主電源401とAC/DCコンバータ402a、402b、402cの間に送電スイッチ212a、212b、212cを設ければよい。また、AC/DCコンバータ402a、402b、402cに電流計および電圧計を設け、送電装置異常検出部213a、213b、213cと接続して、送電装置204a、204b、204cの異常検出を行えばよい。
実施の形態1から実施の形態3のワイヤレス給電システム100、200、300は、受電装置7a、7b、7c、207a、207b、207cそれぞれに整流回路6a、6、b、6c、206a、206b、206cを設けていたが、受電装置7a、7b、7c、207a、207b、207cと負荷9の間に共通する整流回路を一つ設けてもよい。
また、整流回路6a、6b、6c、206a、206b、206cは、ダイオードブリッジ整流器としたが、電圧変換機能を備えたAC/DCコンバータとしてもよい。
実施の形態1および実施の形態2のワイヤレス給電システム100、200は、送受電装置8a、8b、8c、208a、208b、208cを三つ含む構成としたが、三つに限らない。
また、実施の形態1から実施の形態3のワイヤレス給電システム100、200、300は、送受電装置8a、8b、8c、208a、208b、208cの定格電力の合計が負荷9の最大電力要求となるように設計されているが、ワイヤレス給電システム100、200、300に含まれる一つの送受電装置8a、8b、8c、208a、208b、208cの定格電力が負荷9の最大電力要求となるように設計してもよいし、複数の送受電装置8a、8b、8c、208a、208b、208cの定格電力の和が負荷9の最大電力要求となるように設計してもよい。
また、実施の形態1から実施の形態3のワイヤレス給電システム100、200、300は、送受電装置8a、8b、8c、208a、208b、208cの一つの定格電力が負荷9の平均電力要求となるように設計されているが、複数の送受電装置8a、8b、8c、208a、208b、208cのうち、少なくとも二つの送受電装置の定格電力の和が負荷9の平均電力要求となるように設計してもよい。
また、実施の形態1から実施の形態3のワイヤレス給電システム100、200、300は、送受電装置8a、8b、8c、208a、208b、208cの定格電力が異なるように設計されているが、送受電装置8a、8b、8c、208a、208b、208cのうち複数またはすべての送受電装置を同じ定格電力で設計してもよい。すなわち、送受電装置8a、8b、8c、208a、208b、208cを一種類で構成してもよいし、少なくとも二種類以上のもので構成してもよい。このようにすることで、同じ定格電力の送受電装置を設計、製造して、それらを組み合わせることでワイヤレス給電システム100、200、300を構成できるので、設計、製造コストを低減することができる。
実施の形態1から実施の形態3のワイヤレス給電システム100、200、300は、銅線のコイルを用いているが、表皮効果による抵抗増加を低減するために、絶縁被膜を施した複数本の細い銅線を撚り合わせた、いわゆるリッツ線を用いてもよい。
また、送電コイルユニット3a、3b、3cと受電コイルユニット5a、5b、5cは、同様の構成としているが、コイル、磁性体、防磁板のサイズは異なっていてもよい。
また、送電コイルユニット3a、3b、3cと受電コイルユニット5a、5b、5cに含まれるコイルは、図2のy軸方向を中心に銅線を複数回巻いたものとしたが、図11に示すように、磁性体31a、31b、31cおよび磁性体51a、51b、51cの外周に銅線またはリッツ線を巻いたソレノイドコイルとしてもよい。
また、実施の形態1から実施の形態3のワイヤレス給電システム100、200、300は、送電コイルユニット3a、3b、3cが共振用キャパシタを備えていたが、これは磁界共鳴方式で電力を伝送するためであり、電磁誘導方式で電力を伝送する場合は、共振用キャパシタは不要である。
実施の形態1および2のワイヤレス給電システム100、200は、制御部11、211が、負荷9の消費電力および必要な充電電力に基づいて電力要求を決定し、電力を伝送する送受電装置を選択していたが、ワイヤレス給電システム100、200、300の設置された機器の消費電力およびバッテリーを充電するために必要な充電電力を状況に応じて予め推測できる場合は、その推測値を電力要求として制御部11、211のメモリ等へ記憶しておき、その状況に至った場合、電力を伝送する送受電装置を選択させてもよい。具体的には、実施の形態3で示したように、停止位置と電力要求を紐づけて記憶させておくことが考えられる。この場合、負荷9は電流計および電圧計を備えている必要はなく、制御部11、211は消費電力および必要な充電電力を算出する必要はない。
また、負荷9にバッテリーが含まれない場合、負荷9に含まれる空調装置などの機器の消費電力のみに基づいて電力要求を決定してもよい。負荷9に含まれる空調装置などの機器がバッテリーのみで稼働する場合、バッテリーの必要な充電電力のみに基づいて電力要求を決定してもよい。
さらに、負荷9が電力要求を決定する機能を有している場合、制御部11、211は、当該電力要求を負荷9から受信するようにしてもよい。
制御部11、211は、一つずつ送受電装置を電力需要と比較して選択していたが、各送受電装置8a、8b、8c、208a、208b、208cの定格電力およびそれらの組み合わせた定格電力の和を制御部11、211のメモリ等に記憶しておき、電力需要と記憶された定格電力および定格電力の和を比較して、その差分値が負の値であり、かつ最もゼロに近い送受電装置またはその組み合わせを選択してもよい。
通信部12、13は、Wi−Fiなどの無線通信を行うものとしたが、外乱対策を施した通信用ケーブルを用いた有線通信を行ってもよい。
また、制御部11、211は受電装置側に設置しているが、無線通信を行う場合、設置場所に制限はない。
また、送受電装置に特定の電力を伝送させることで、送電装置と受電装置を用いて通信を行うことも可能であり、この場合、別途、通信部12、13を設ける必要はない。
また、制御部11、211および異常検出部は、マイクロコンピュータではなく、FPGAなどの集積回路を用いて構成することが可能である。
本発明のワイヤレス給電システムは、有線で接続されていない主電源と負荷との間で電力を伝送する給電システムとして利用することができる。また本発明のエレベータは、建物内での昇降手段として利用することができる。
1 主電源、2 インバータ、3 送電コイルユニット、4 送電装置、5 受電コイルユニット、6 整流回路、7 受電装置、8 送受電装置、9 負荷、10 リード線、11 制御部、12 通信部、13 通信部、14 ケーブル、30 送電コイル、31 磁性体、32 防磁板、50 受電コイル、51 磁性体、52 防磁板、100 ワイヤレス給電システム、110 プロセッサ、111 メモリ、112 記憶装置、113 インタフェース、114 データバス、200 ワイヤレス給電システム、202 インバータ、204 送電装置、206 整流回路、207 受電装置、208 送受電装置、211 制御部、213 送電装置異常検出部、215 受電装置状検出部、300 ワイヤレス給電システム、304 送電装置、307 受電装置、312 受電ユニット、313 送電ユニット、320 エレベータ、321 かご、322 昇降路、401 主電源、402 AC/DCコンバータ

Claims (12)

  1. 負荷を有するかごと、
    前記かごが上下動する昇降路と、
    前記かごの停止位置である複数の停止階にそれぞれ対応するように各前記停止階に一つ設けられ、前記昇降路全体として複数設けられた送電ユニットと、
    前記かごに設けられ、前記負荷に並列に接続された複数の受電装置と、を備えたエレベータであって、
    各前記送電ユニットは、少なくとも一つの送電装置を含み、
    各前記送電装置は、主電源に接続された送電コイルと、前記主電源と前記送電コイルとの間に設けられ前記主電源から供給される電力を予め定められた周波数の電力に変換して前記送電コイルに供給するインバータと、を含み、
    各前記受電装置は、いずれかの前記送電コイルから送電される電力を受電し前記負荷へ電力を供給する受電コイルを含み、
    各前記送電ユニットの前記送電装置の前記送電コイルは、対応する前記停止階に前記かごが停止した場合に、前記複数の受電装置の前記受電コイルの少なくとも一つと対向するように設けられ、さらに、
    各前記送電ユニットの送電効率が最大となる電力は、対応する前記停止階における前記負荷への電力要求に基づいて設定される
    ことを特徴とするエレベータ。
  2. 前記複数の停止階は、主要階とそれ以外の階とを含み、
    前記主要階における電力要求は、前記それ以外の階における電力要求よりも大きく、
    前記主要階に対応するように設けられる前記送電ユニットの送電効率が最大となる電力は、前記それ以外の階に対応するように設けられる前記送電ユニットの送電効率が最大となる電力よりも大きい
    ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
  3. 前記主要階に対応するように設けられる前記送電ユニットに含まれる前記送電装置の数は、前記かごに設けられる前記受電装置の数と等しく、
    前記それ以外の階に対応するように設けられる前記送電ユニットに含まれる前記送電装置の数は、前記かごに設けられる前記受電装置の数よりも少ない
    ことを特徴とする請求項2に記載のエレベータ。
  4. 前記主要階は、前記それ以外の階よりも前記かごの戸開時間が長い
    ことを特徴とする請求項2または3に記載のエレベータ。
  5. 前記複数の送電ユニットの少なくとも一つは複数の前記送電装置を含み、
    前記複数の受電装置と、いずれかの前記送電ユニットに含まれる前記複数の送電装置と、から複数の送受電装置が構成され、
    各前記送受電装置は、一つの前記受電装置と一つの前記送電装置とからなり、
    前記複数の送受電装置は、送電効率が最大となる電力が異なる少なくとも二種類の送受電装置を含む
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のエレベータ。
  6. 前記複数の送電ユニットの少なくとも一つは複数の前記送電装置を含み、
    前記複数の受電装置と、いずれかの前記送電ユニットに含まれる前記複数の送電装置と、から複数の送受電装置が構成され、
    各前記送受電装置は、一つの前記受電装置と一つの前記送電装置とからなり、
    前記複数の送受電装置はそれぞれ、送電効率が最大となる電力が等しい
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のエレベータ。
  7. 前記複数の送電ユニットの少なくとも一つは複数の前記送電装置を含み、
    前記複数の受電装置と、いずれかの前記送電ユニットに含まれる前記複数の送電装置と、から複数の送受電装置が構成され、
    各前記送受電装置は、一つの前記受電装置と一つの前記送電装置とからなり、
    前記複数の送受電装置は、送電効率が最大となる電力が前記負荷の平均電力要求と等しい一つの送受電装置、または送電効率が最大となる電力の和が前記負荷の平均電力要求と等しい少なくとも二つの送受電装置を含む
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のエレベータ。
  8. 前記複数の送電ユニットの少なくとも一つは複数の前記送電装置を含み、
    前記複数の受電装置と、いずれかの前記送電ユニットに含まれる前記複数の送電装置と、から複数の送受電装置が構成され、
    各前記送受電装置は、一つの前記受電装置と一つの前記送電装置とからなり、
    送電効率が最大となる電力が前記負荷の電力要求以上である一つの送受電装置、または送電効率が最大となる電力の和が前記負荷の電力要求以上である少なくとも二つの送受電装置が前記複数の送受電装置の一部を構成する場合、前記複数の送受電装置の一部を構成する送受電装置に電力を伝送させ、それ以外の送受電装置に電力を伝送させない制御部をさらに備えた
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のエレベータ。
  9. 前記制御部は、前記負荷の電流値または電圧値に基づいて、前記負荷の電力要求を決定する
    ことを特徴とする請求項8に記載のエレベータ。
  10. 前記複数の送電ユニットの少なくとも一つは複数の前記送電装置を含み、
    前記複数の受電装置と、いずれかの前記送電ユニットに含まれる前記複数の送電装置と、から複数の送受電装置が構成され、
    各前記送受電装置は、一つの前記受電装置と一つの前記送電装置とからなり、
    前記複数の送受電装置はそれぞれ、
    前記主電源と前記インバータの間に設けられた送電スイッチ、
    前記負荷と前記受電コイルの間に設けられた受電スイッチ、
    前記送受電装置の異常を検出する異常検出部、を備えており、
    前記異常検出部は、異常を検出した場合、前記送電スイッチおよび前記受電スイッチをOFFにする
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のエレベータ。
  11. 送電効率が最大となる電力が前記負荷の電力要求以上である一つの送受電装置、または送電効率が最大となる電力の和が前記負荷の電力要求以上である少なくとも二つの送受電装置が前記複数の送受電装置の一部を構成する場合、前記複数の送受電装置の一部を構成する送受電装置に電力を伝送させ、それ以外の送受電装置に電力を伝送させない制御部をさらに備え、
    前記複数の送受電装置の一部を構成する送受電装置は、前記異常検出部が異常を検出していない送受電装置である
    ことを特徴とする請求項10に記載のエレベータ。
  12. かごと、
    前記かごが上下動する昇降路と、
    ワイヤレス給電システムと、を備えたエレベータであって、
    前記ワイヤレス給電システムは、主電源に接続された送電コイルと、前記送電コイルから送電される電力を受電し負荷へ電力を供給する受電コイルと、前記主電源と前記送電コイルとの間に設けられ前記主電源から供給される電力を予め定められた周波数の電力に変換して前記送電コイルに供給するインバータと、を含む送受電装置であって、前記主電源と前記負荷との間で並列に接続された複数の前記送受電装置を備え、
    前記ワイヤレス給電システムは、前記かごの少なくとも二つの停止位置にそれぞれ、前記かごに設置された複数の前記受電コイルと、前記昇降路に設置された複数の前記送電コイルとが対向するように設けられ、
    前記少なくとも二つの停止位置のうち、前記かごの戸開時間が短い停止位置ほど、伝送する電力を少なくする制御部をさらに備えた
    ことを特徴とするエレベータ。
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