JP4302847B2 - エレベータの制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、2次電池を応用した省エネルギー形のエレベータの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11は、従来の2次電池を応用してエレベータを制御する制御装置の基本構成図である。
図11において、1は三相交流電源、2は三相交流電源1から出力される交流電力を直流電力に変換するダイオード等で構成されたコンバータを示し、コンバータ2で変換された直流電力は直流母線3に供給される。4はエレベータの速度位置制御を行う後述する速度制御装置により制御されるインバータであり、直流母線3を介して供給される直流を所望の可変電圧可変周波数の交流に変換して交流モータ5を供給することにより、交流モータ5に直結されたエレベータの巻上機6を回転駆動させることで、巻上機6に巻き掛けられたロープ7がその両端に接続されたかご8及び釣り合い錘9を昇降制御してかご8内の乗客を所定の階床に移動させるようになされている。
【0003】
ここで、かご8と釣り合い錘9の重量は、定員の半分の乗客がかご8内に乗車した時、ほぼ同じになるよう設計されている。すなわち、無負荷でかご8を昇降させる場合に、かご8の下降時は力行運転、上昇時は回生運転となる。逆に、定員乗車でかご8を下降させる場合に、かご8の下降時は回生運転、上昇時は力行運転となる。
【0004】
10はマイクロコンピュータ等で構成されたエレベータ制御回路で、エレベータ全体の管理・制御を行う。11は、直流母線3間に設けられて、エレベータの回生運転時に電力を蓄積し、力行運転時にインバータ4にコンバータ2と共に蓄積された電力を供給する電力蓄積装置を示し、2次電池12と当該2次電池12を充放電制御するDC−DCコンバータ13とから構成される。
【0005】
ここで、DC−DCコンバータ13は、リアクトル13a、このリアクトル13aに直列接続された充電電流制御用ゲート13b、後述する放電電流制御用ゲート13dに逆並列接続されたダイオード13cでなる降圧型チョッパ回路と、リアクトル13a、このリアクトル13aに直列接続された放電電流制御用ゲート13d、上記充電電流制御用ゲート13bに逆並列接続されたダイオード13eでなる昇圧型チョッパ回路とを備えてなり、充電電流制御用ゲート13bと放電電流制御用ゲート13dは、電力蓄積装置11の充放電状態を計測する充放電状態計測装置14からの計測値及び電圧計測器18からの計測値に基づいて充放電制御回路15により制御される。なお、この従来例での充放電状態計測装置14としては、2次電池12とDC−DCコンバータ13との間に設けられる電流計測器が用いられる。
【0006】
16と17は、直流母線3間に設けられた回生電流制御用ゲートと回生抵抗、18は、直流母線3の電圧を計測する電圧計測器、19は、後述する速度制御回路からの回生制御指令に基づいて動作する回生制御回路を示し、回生電流制御用ゲート16は、回生運転時に、電圧計測器17による計測電圧が所定値以上の時に回生制御回路19の制御に基づいてONパルス幅が制御されるようになされ、回生電力は回生抵抗17で放電されて熱エネルギーに変換され消費される。
【0007】
20は巻上機6に直結されたエンコーダ、21はエレベータ制御回路10からの指令に基づき速度指令とエンコーダ22からの速度帰還出力とに基づいてインバータ4の出力電圧・出力周波数を制御することによりエレベータを位置・速度制御する速度制御回路を示す。
【0008】
次に、上記構成に係る動作について説明する。
エレベータの力行運転時は、三相交流電源1および電力蓄積装置11の両方からインバータ4に電力が供給される。電力蓄積装置11は、2次電池12とDC−DCコンバータ13で構成され、充放電制御回路15により制御される。一般的に、装置を小型、安価に構成するため、2次電池12の個数は少なく押さえられ、2次電池12の出力電圧は直流母線3の電圧よりも低い。そして、直流母線3の電圧は、基本的に三相交流電源1を整流した電圧近辺で制御される。従って、2次電池12の充電時は直流母線3の母線電圧を下降し、放電時は直流母線3の母線電圧に昇降させる必要があり、この為、DC−DCコンバータ13が採用される。このDC−DCコンバータ13の充電電流制御用ゲート13b、放電電流制御用ゲート13dの制御を充放電制御回路15により行う。
【0009】
図12と図13は、充放電制御回路15の放電時と充電時の制御を示すフローチャートである。
最初に、図12に示す放電制御時について説明する。
制御系として、電圧制御に電流制御マイナーループ等を構成し、より安定性の高い制御をしてもよいが、ここでは、簡単化のため、母線電圧で制御する方式で説明する。
【0010】
まず、電圧計測器17により直流母線3の母線電圧が計測される(ステップS11)。充放電制御回路15は、その計測電圧を所望の電圧設定値と比較し、計測電圧が電圧設定値を超えているか否かを判定し(ステップS12)、計測電圧が設定値を超えていなければ、次に、充放電状態計測装置14による2次電池12の放電電流の計測値が所定値を越えたか否かを判定する(ステップS13)。
【0011】
これらの判定により、計測電圧が設定値を超えた時、または計測電圧が設定値を超えない場合であっても2次電池12の放電電流の計測値が所定値を越えた時には、放電電流制御用ゲート13dのONパルス幅を短くすべく、現在のON時間に対し調整時間DTを減算して新たなゲートON時間を求める(ステップS14)。
【0012】
他方、上記ステップS13において、電流検出器14による2次電池12の放電電流の計測値が所定値を越えていないと判定された場合には、放電電流制御用ゲート13dのONパルス幅を長くすべく、現在のON時間に対し調整時間DTを加算して新たなゲートON時間を求める(ステップS15)。このようにして求められたゲートON時間に基づいて放電電流制御用ゲート13dのON制御を行うと共に、求められたゲートON時間を現在のON時間として内蔵メモリに記憶する(ステップS16)。
【0013】
このように、放電電流制御用ゲート13dのONパルス幅を長くすることにより、より多くの電流を2次電池12より流させ、その結果、供給電力を大きくするとともに、電力供給により直流母線3の母線電圧を上昇させる。力行時運転で考えると、エレベータは電力供給を必要としており、この電力を上記2次電池12からの放電および三相交流電源1からの供給でまかなう。母線電圧を三相交流電源1からの供給によるコンバータ2の出力電圧よりも高く制御すると、すべての電力は2次電池12から供給される。しかし、安価な電力蓄積装置11を構成するため、すべての電力を2次電池12から供給せず、適切な割合で2次電池12からの供給と三相交流電源1からの供給を行うように設計されている。
【0014】
すなわち、図12中において、放電電流の計測値を供給分担相当電流(所定値)と比較し、所定値を越えていれば放電電流制御用ゲート13dのONパルス幅を長くし、さらに供給量を増大させるが、放電電流の計測値が所定値を越えていなければ、放電電流制御用ゲート13dのONパルス幅を短くし、電力供給をクリップする。このようにすれば、インバータ4が必要とする電力の内、2次電池12から供給する分はクリップされるから、直流母線3の母線電圧は低くなり、結果的にコンバータ2から供給が開始される。これらは、非常に短い時間で行われるので、実際は、エレベータの必要な電力を供給するために、適切な母線電圧に落ち着き、2次電池12と三相交流電源1から所望の比率で電力を供給することが可能となる。
【0015】
次に、図13に示す充電制御時について説明する。
交流モータ5からの電力回生があった場合、直流母線3の母線電圧はその回生電力により上昇する。この電圧がコンバータ2の出力電圧よりも高くなった場合には三相交流電源1からの電力供給は停止する。電力蓄積装置11が無い場合にこの状態が続くと直流母線3の電圧が上昇するため、直流母線3の母線電圧を検出する電圧計測器17の計測電圧値がある所定電圧まで達すると、回生制御回路19は作動し、回生電流制御用ゲート16を閉成させる。これにより、回生抵抗17に電力が流され、回生電力が消費されるとともに、電磁ブレーキ効果によりエレベータが減速される。しかし、電力蓄積装置11がある場合には、所定電圧以下の電圧で、充放電制御回路15の制御により、その電力が電力蓄積装置11に充電される。
【0016】
すなわち、図13に示すように、充放電制御回路15は、電圧計測器17による直流母線3の母線電圧の計測値が所定電圧を越えていれば、回生状態であることを検知し、充電電流制御用ゲート13bのONパルス幅を長くすることにより、2次電池12への充電電流を増大させる(ステップS21→S22→S23)。やがて、エレベータからの回生電力が少なくなると、これに従って直流母線3の電圧も低下し、電圧計測器17の計測値が所定電圧を超えなくなるので、充電電流制御用ゲート13bのONパルス幅を短く制御し、充電電力も小さく制御される(ステップS21→S22→S24)。
【0017】
このように、直流母線3の母線電圧を監視し充電電力を制御することにより、母線電圧が適切な範囲に制御され、充電が行われる。また、従来、回生電力で消費していた電力を蓄積し、再利用することにより、省エネが実現される。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電力蓄積装置11は、例えば1日に1回夜間等に2次電池12の均等充電を実施している。
図14は、均等充電を示す説明図で、縦軸に充電電流、横軸に経過時間を示している。この均等充電には長時間を必要とするため、一般的には夜間等の交通流の少ないときに実施される。均等充電は、電力蓄積装置11のFULL充電状態を基準とし、充放電電流と充放電電圧との積を容量で正規化し累積した値である充電度合いSOC(:State Of Charge)により、同じ充電電流で充電してもSOC上昇とともに、充電電圧が上昇することを利用し、一定電流で充電し、その充電を終了する終止電圧までの充電を、図14に示す段階で行うものである。
【0019】
すなわち、均等充電は、図14に示す如く、まず、充電電流A1で定電流充電を実施し、充電中の温度等によるが、第1の終止電圧まで2次電池12の電圧が上昇する時刻t1に達すれば、充電電流をA2まで落とし、さらに充電を実施し、同電流における第2の終止電圧まで2次電池12の電圧が上昇する時刻t2に達すれば、それ以降低い電流で過充電気味に時刻t3に達するまでの一定時間充電を行うものである。
【0020】
この均等充電は、2次電池12の充電の受入れ性をよくし、また、2次電池12が複数の電池で構成されている場合には、各電池間ばらつきを均等化する等のメリットはあるが、均等充電により過充電を行なう、均等充電直後には、SOCレベルが高いためエレベータの回生電力の受入れ性が悪い等省エネ効果を悪くする悪影響もある。
【0021】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、電力蓄積装置の状態を監視することにより、均等充電の実施回数を低減し、より省エネ効果の高いエレベータの制御装置を提供するものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るエレベータの制御装置は、交流電源からの交流電力を整流して直流電力に変換するコンバータと、上記コンバータからの直流電力を可変電圧可変周波数の交流電力に変換して電動機を駆動しエレベータを運転するインバータと、上記コンバータと上記インバータとの間の直流母線間に設けられて、エレベータの回生運転時に直流母線からの直流電力を蓄積し、力行運転時に蓄積された直流電力を直流母線に供給する電力蓄積装置と、上記直流母線に対する上記電力蓄積装置の充放電を制御する充放電制御手段と、上記電力蓄積装置の温度、充放電電流、充放電電圧の少なくとも1つを計測する充放電状態計測手段とを備え、上記充放電制御手段は、上記電力蓄積装置の充電電流に対する均等充電の判定値が設定されたテーブルを備え、上記充放電状態計測手段の出力と上記テーブルに基づいて上記電力蓄積装置の均等充電の実施を設定することを特徴とするものである。
【0023】
また、上記充放電制御手段は、上記電力蓄積装置の充電電流に対する均等充電の判定電圧が設定されたテーブルを有し、上記充放電状態計測手段からの充電電流計測値に基づいて上記テーブルから判定電圧を求め、上記充放電状態計測手段からの充電電圧計測値と上記判定電圧との比較に基づいて上記電力蓄積装置の均等充電の実施を設定することを特徴とするものである。
【0024】
また、上記充放電制御手段は、上記電力蓄積装置のFULL充電状態を基準とし、充放電電流と充放電電圧との積を容量で正規化し累積した値である充電度合いに応じてテーブルを複数備え、上記充電度合いに応じたテーブルを選択することを特徴とするものである。
【0025】
また、上記充放電制御手段は、上記電力蓄積装置の充電電流に対する均等充電の判定電圧変化分が設定されたテーブルを有し、上記充放電状態計測手段からの充電電流計測値に基づいて上記テーブルから判定電圧変化分を求め、上記充放電状態計測手段からの充電電圧計測値の電圧変化分と上記判定電圧変化分との比較に基づいて上記電力蓄積装置の均等充電の実施を設定することを特徴とするものである。
【0026】
また、上記充放電制御手段は、エレベータを速度制御する速度制御手段からの指令速度に基づいてエレベータの走行速度が一定速度であるか否かを判定し、一定速度と判定された場合に、上記充放電状態計測手段からの充電電圧計測値の電圧変化分と上記判定電圧変化分との比較に基づいて上記電力蓄積装置の均等充電の実施を設定することを特徴とするものである。
【0027】
また、上記充放電制御手段は、エレベータの運転時間を累積し、エレベータの休止中に、上記電力蓄積装置の均等充電が設定されている場合、またはエレベータの休止中に、エレベータの運転時間の累積時間が設定時間を越えた場合に、上記電力蓄積装置の均等充電の実施タイミングとして決定することを特徴とするものである。
【0028】
さらに、上記充放電制御手段は、上記充放電状態計測装置からの計測値に基づいて上記電力蓄積装置のFULL充電状態を基準とし、充放電電流と充放電電圧との積を容量で正規化し累積した値である充電度合いが所定値を越えた場合に、上記電力蓄積装置の均等充電の実施タイミングとして決定することを特徴とするものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
この発明においては、電力蓄積装置の状態を計測し、均等充電を実施する時期を判定することにより、均等充電の回数を減少させ、信頼性が高く、かつ省エネ効果の高い充放電制御装置をもつエレベータの制御装置を提供する。
【0030】
電力蓄積装置に備えられる2次電池の特性は、鉛電池、ニッケル水素電池等の電池の種類により異なるが、一般的には、同一温度で考えた場合、充電電流が大きいほど、その時の充電電圧は高い。充電受入れ性が悪くなってくると、特に大きな充電電流が流れた時に充電電圧の上昇の傾向が顕著になる。これを検出した場合、均等充電を実施し、その傾向を解消してやる必要がある。電気自動車のように一度均等充電を実施し、その後、放電の方が多く、次の夜間に再充電する場合は、この様な問題は、顕著にならない。エレベータでは、省エネ効果を大きくするために、上述の様に、均等充電の回数を少なくするので、上述した充電電圧の傾向をキャッチする必要がある。
【0031】
図1は、この発明に係るエレベータの制御装置の構成を示すブロック図である。図11に示す従来例と同一部分は同一符号を付してその説明は省略する。新たな符号として、14Aと15Aは、本発明に係る充放電状態計測装置と充放電制御回路を示し、充放電状態計測装置14Aは、電力蓄積装置11の充放電電流、充放電電圧、温度を計測する各計測器を備え、それらの各計測値及び充電度合いSOCを充放電制御回路15Aに出力するようになされている。充放電制御回路15Aは、上記充放電状態計測装置14Aからの計測値及び速度制御回路21からの指令速度に基づいて電力蓄積装置11の充放電を制御するようになされている。
以下、具体的な実施の形態について説明する。
【0032】
実施の形態1.
この実施の形態1において、充放電制御回路15Aは、図2に示す如く、電力蓄積装置11の2次電池12への充電電流に対し均等充電の実施を判定するための判定電圧が設定されたテーブルT1を備え、充放電状態計測装置14Aからの電力蓄積装置11の充電電流の計測値を入力し、入力された充電電流の計測値に対応する判定電圧を上記テーブルT1から求め、さらに、上記充放電状態計測装置14Aからの充電電圧の計測値と判定電圧の比較に基づいて電力蓄積装置11の均等充電の実施を設定することで、均等充電の実施タイミングを制御する。
【0033】
次に、この発明の実施の形態1に係る充放電制御回路15Aの制御を、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
充放電制御回路15Aは、まず、エレベータの回生運転における充電時に、充放電状態計測装置14Aからの充電電流の計測値に基づいて充電中か否かを判定し(ステップS101)、充電中である場合は、充放電状態計測装置14Aからの充電電流及び充電電圧の計測値を読み込み(ステップS102)、充電電流の計測値に基づいて図2に示すテーブルT1から均等充電の実施を判定するための判定電圧を読み取る(ステップS103)。
【0034】
そして、充電電圧の計測値と判定電圧とを比較し、計測された充電電圧が判定電圧を超えている場合には、均等充電が必要と判定することで均等充電を設定すると共に、その均等充電の設定を内蔵メモリに記憶し、夜間等の設定時間に均等充電を実施する(ステップS104,S105)。
【0035】
このように構成されたエレベータの制御装置においては、省エネ効率を悪化させる均等充電を必要な時にのみ実施することになるので、全体として均等充電の回数を減らすことにより、より省エネ効率の高い電力蓄積装置をもつエレベータを構成できる。
【0036】
実施の形態2.
電力蓄積装置11の2次電池12の特性は、鉛電池、ニッケル水素電池等の電池の種類により異なるが、一般的には、同一温度で考えた場合、同一充電電流で充電した場合、充電時の電池充電電圧は、充電度合いSOCの関数となる。すなわち充電度合いSOCが高い状態(満充電に近い状態)では、充電電圧が高く、充電度合いSOCが低いと充電電圧は低い。エレベータにおいて、回生電力による充電電流は、均等充電で使用する充電電流よりもエレベータの負荷状態時にかなり大きく変動する。そして、2次電池の充電受入れ性が悪くなってくると、特に大きな充電電流が流れた時にこの充電電圧の上昇の傾向が顕著になる。これを検出した場合、上述のように、均等充電を実施し、この傾向を解消してやる必要がある。
【0037】
この実施の形態2において、充放電制御回路15Aは、図3に示す如く、充電度合いSOC毎に、電力蓄積装置11の2次電池12への充電電流に対し均等充電の実施を判定するための判定電圧が設定された複数のテーブルT1a,T1b,・・・を備え、電力蓄積装置のFULL充電状態を基準とし、充放電電流と充放電電圧との積を容量で正規化し累積した値である充電度合いSOCに応じたテーブルを選択し、選択されたテーブルから実施の形態1と同様にして充電電流の計測値に対応する判定電圧を求め、充放電状態計測装置14Aからの充電電圧の計測値と判定電圧の比較に基づいて電力蓄積装置11の均等充電の実施を設定することで、均等充電の実施タイミングを制御する。
【0038】
次に、この発明の実施の形態2に係る充放電制御回路15Aの制御を、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
充放電制御回路15Aは、まず、エレベータの回生運転における充電時に、充放電状態計測装置14Aから充電電流の計測値に基づいて充電中か否かを判定し(ステップS201)、充電中である場合、充放電状態計測装置14Aからの充電電流及び充電電圧の計測値を読み込むと共に、充電電流、充電電圧、放電電流、放電電圧の計測値を累積して現在の充電度合いSOCを読み込む(ステップS202)(この充電度合いSOCの監視は、充放電制御回路15Aで実施してもよいが、同じ効果のため充放電状態計測装置14Aで実施する)。
【0039】
そして、図3に示す複数のテーブルから現在の充電度合いSOCに応じたテーブルを選択し、選択したテーブルから充電電流の計測値に対応した、均等充電を実施するための判定電圧を読み取る(ステップS203)。そして、充電電圧の計測値と判定電圧とを比較し、計測された充電電圧が判定電圧を超えていると判定された場合には、均等充電が必要と判定することで均等充電を設定すると共に、その均等充電の設定を内蔵メモリに記憶し、夜間等の設定時間に均等充電を実施する(ステップS204,S205)。
【0040】
この様に、均等充電の判定に充電度合いSOCを使えば、よりきめ細かく、均等充電のタイミングを捕らえることができ、省エネ効率を悪化させる均等充電を必要な時にのみ実施することにより、全体として回数を減らすことにより、より省エネ効率の高い電力蓄積装置をもつエレベータを構成できる。
【0041】
実施の形態3.
この実施の形態3において、充放電制御回路15Aは、図5に示す如く、電力蓄積装置11の2次電池12への充電電流に対し均等充電の実施を判定するための判定電圧変化分が設定されたテーブルT2を備え、テーブルT2から充電電流の計測値に対応する判定電圧変化分を求め、充放電状態計測装置14Aからの充電電圧の計測値の前回計測値との変化分と判定電圧変化分の比較に基づいて電力蓄積装置11の均等充電の実施を設定することで、均等充電の実施タイミングを制御する。
【0042】
次に、この発明の実施の形態3に係る充放電制御回路15Aの制御を、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
充放電制御回路15Aは、まず、エレベータの回生運転における充電時に、充放電状態計測装置14Aから充電電流の計測値に基づいて充電中か否かを判定し(ステップS301)、充電中である場合、充放電状態計測装置14Aからの充電電流の計測値を読み込むと共に、充電電流、充電電圧の計測値を読み込むと共に、内蔵メモリに記憶された前回計測時の充電電圧との変化分を計算し(ステップS302)、図5に示すテーブルから現在の充電電流にの計測値に対応した、均等充電を実施するための判定電圧変化分を読み取る(ステップS303)。
【0043】
そして、充電電圧変化分と判定電圧変化分とを比較し、計測された充電電圧の変化分が判定電圧変化分を超えていると判定された場合には、均等充電が必要と判定することで均等充電を設定すると共に、その均等充電の設定を内蔵メモリに記憶し、夜間等の設定時間に均等充電を実施すると共に、次回の計測時に備えて現在の充電電圧を内蔵メモリに記憶する(ステップS304,S305)。
【0044】
この様に、均等充電の判定に充電電圧変化分を用いることで、よりきめ細かく、均等充電のタイミングを捕らえることができ、省エネ効率を悪化させる均等充電を必要な時にのみ実施することにより、全体として回数を減らすことにより、より省エネ効率の高い電力蓄積装置をもつエレベータを構成できる。
【0045】
実施の形態4.
この実施の形態4において、充放電制御回路15Aは、実施の形態3と同様に、図5に示す如く、電力蓄積装置11の2次電池12への充電電流に対し均等充電の実施を判定するための判定電圧変化分が設定されたテーブルT2を備え、テーブルT2から充電電流の計測値に対応する判定電圧変化分を求め、速度制御回路21からの指令速度の入力に基づいてエレベータが一定速で運転しているかを判定し、一定速と判定された場合に、実施の形態3と同様にして、充電電圧変化分と判定電圧変化分の比較に基づいて電力蓄積装置11の均等充電の実施を設定することで、均等充電の実施タイミングを制御する。
【0046】
次に、この発明の実施の形態4に係る充放電制御回路15Aの制御を、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
充放電制御回路15Aは、まず、エレベータの回生運転における充電時に、充放電状態計測装置14Aから充電電流の計測値に基づいて充電中か否かを判定し(ステップS401)、充電中である場合、充放電状態計測装置14Aからの充電電流の計測値を読み込むと共に、充電電流、充電電圧の計測値を読み込むと共に、内蔵メモリに記憶された前回計測時の充電電圧との変化分を計算する(ステップS402)。
【0047】
そして、速度制御回路21から出力される指令速度の変化に基づいてエレベータが一定速で運転しているか否かの判定を行い(ステップS403)、一定速であれば、図5に示すテーブルから現在の充電電流にの計測値に対応した、均等充電を実施するための判定電圧変化分を読み取り(ステップS403、S404)、充電電圧変化分と判定電圧変化分とを比較する。計測された充電電圧の変化分が判定電圧変化分を超えていると判定された場合には、均等充電が必要と判定することで均等充電を設定すると共に、その均等充電の設定を内蔵メモリに記憶し、夜間等の設定時間に均等充電を実施すると共に、次回の計測時に備えて現在の充電電圧を内蔵メモリに記憶する(ステップS405,S406)。
【0048】
この様に、エレベータが一定速であることを検出すると共に、均等充電の判定に充電電圧変化分を用いることで、よりきめ細かく、均等充電のタイミングを捕らえることができ、省エネ効率を悪化させる均等充電を必要な時にのみ実施することにより、全体として回数を減らすことにより、より省エネ効率の高い電力蓄積装置をもつエレベータを構成できる。
【0049】
実施の形態5.
図9は、この発明の実施の形態5に係るもので、充放電制御回路15Aの均等充電を実施する制御内容を示したフローチャートである。
以下、図9に示すフローチャートに従って充放電制御回路15Aによる均等充電の実施タイミングの制御を説明する。
【0050】
充放電制御回路15Aは、まず、エレベータの運転時間を累積する(ステップS501)。この運転時間の累積は、例えば速度制御回路21から指令速度を送出している期間のカウントにより求まる。次に、例えば速度制御回路21から指令速度が出力されているか否かにより、エレベータが休止中であるか否かを判定する(ステップS502)。
【0051】
休止中であれば、前述した実施の形態1ないし4に示す均等充電の設定処理の如くして、均等充電が設定されているか否かを判定し、設定があれば直ちに均等充電を実施する(ステップS503,S504)。他方、均等充電の設定がなければ、ステップS501で求めた累積運転時間と設定時間とを比較し、累積運転時間が設定時間を越えた場合に、均等充電を実施する(ステップS503→S505)。
【0052】
この様に、エレベータの累積運転時間と均等充電の設定の有無に基づいて均等充電を実施することで、エネ効率を悪化させる均等充電を必要な時にのみ実施することにより、全体として回数を減らすことにより、より省エネ効率の高い電力蓄積装置をもつエレベータを構成できる。
【0053】
実施の形態6.
図10は、この発明の実施の形態6に係るもので、充放電制御回路15Aの均等充電を実施する制御内容を示したフローチャートである。
以下、図10に示すフローチャートに従って充放電制御回路15Aによる均等充電の実施タイミングの制御を説明する。
【0054】
充放電制御回路15Aは、エレベータの運転時間を累積する(ステップS601)。この運転時間の累積は、例えば速度制御回路21から指令速度を送出している期間のカウントにより求まる。また、充放電状態計測装置14Aからの充電度合いSOCを求める(ステップS602)。次に、例えば速度制御回路21から指令速度が出力されているか否かにより、エレベータが休止中であるか否かを判定する(ステップS603)。
【0055】
休止中であれば、前述した実施の形態1ないし4に示す均等充電の設定処理の如くして、均等充電が設定されているか否かを判定し、設定があれば直ちに均等充電を実施する(ステップS604,S605)。他方、均等充電の設定がなければ、ステップS501で求めた累積運転時間と設定時間とを比較し、累積運転時間が設定時間を越えた場合に、均等充電を実施する(ステップS604→S606)。累積運転時間が設定時間を越えてない場合であっても、上記ステップS602で求めた充電度合いSOCが設定値を超えた場合にも、均等充電を実施する(ステップS606、S607)。均等充電の処理後は、充電度合いSOC及び累積運転時間を次回の制御に備えて内蔵メモリに記憶して終了する(ステップS608)。
【0056】
この様に、エレベータの累積運転時間、充電度合いSOC、均等充電の設定の有無に基づいて均等充電を実施することで、エネ効率を悪化させる均等充電を必要な時にのみ実施することにより、全体として回数を減らすことにより、より省エネ効率の高い電力蓄積装置をもつエレベータを構成できる。
【0057】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、必要な均等充電のみを実施することにより、より省エネ効果の大きい電力蓄積装置をもつエレベータの構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係るエレベータの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係る速度制御回路21Aが備える充電電流に対する判定電圧が設定されたテーブルT1の説明図である。
【図3】 この発明の実施の形態1に係る速度制御回路21Aの制御を示すフローチャートである。
【図4】 この発明の実施の形態2に係る速度制御回路21Aが備える充電度合いSOC毎に複数備えられたテーブルT1a,T1b,・・・の説明図である。
【図5】 この発明の実施の形態2に係る速度制御回路21Aの制御を示すフローチャートである。
【図6】 この発明の実施の形態3に係る速度制御回路21Aが備える充電電流に対する判定電圧変化分が設定されたテーブルT2の説明図である。
【図7】 この発明の実施の形態3に係る速度制御回路21Aの制御を示すフローチャートである。
【図8】 この発明の実施の形態4に係る速度制御回路21Aの制御を示すフローチャートである。
【図9】 この発明の実施の形態5に係る速度制御回路21Aの制御を示すフローチャートである。
【図10】 この発明の実施の形態6に係る速度制御回路21Aの制御を示すフローチャートである。
【図11】 従来例に係るエレベータの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図12】 図11に示す充放電制御回路15の放電時の制御を示すフローチャートである。
【図13】 図11に示す充放電制御回路15の充電時の制御を示すフローチャートである。
【図14】 均等充電を示す説明図である。
【符号の説明】
1 三相交流電源、2 コンバータ、3 直流母線、4 インバータ、5 交流モータ、6 巻上機、7 ロープ、8 かご、9 釣り合い錘、10 エレベータ制御回路、11 電力蓄積装置、12 2次電池、13 DC−DCコンバータ、14,14A 充放電状態計測装置、15,15A 充放電制御回路、16 回生電流制御用ゲート、17 回生抵抗、18 電圧計測器、19 回生制御回路、20 エンコーダ、21 速度制御回路、22 停電検出器、23 電流計測器、24 電圧計測器、25 かご負荷計測器。

Claims (7)

  1. 交流電源からの交流電力を整流して直流電力に変換するコンバータと、
    上記コンバータからの直流電力を可変電圧可変周波数の交流電力に変換して電動機を駆動しエレベータを運転するインバータと、
    上記コンバータと上記インバータとの間の直流母線間に設けられて、エレベータの回生運転時に直流母線からの直流電力を蓄積し、力行運転時に蓄積された直流電力を直流母線に供給する電力蓄積装置と、
    上記直流母線に対する上記電力蓄積装置の充放電を制御する充放電制御手段と、
    上記電力蓄積装置の温度、充放電電流、充放電電圧の少なくとも1つを計測する充放電状態計測手段と
    を備え、
    上記充放電制御手段は、上記電力蓄積装置の充電電流に対する均等充電の判定値が設定されたテーブルを備え、上記充放電状態計測手段の出力と上記テーブルに基づいて上記電力蓄積装置の均等充電の実施を設定することを特徴とするエレベータの制御装置。
  2. 請求項1に記載のエレベータの制御装置において、
    上記充放電制御手段は、上記電力蓄積装置の充電電流に対する均等充電の判定電圧が設定されたテーブルを有し、上記充放電状態計測手段からの充電電流計測値に基づいて上記テーブルから判定電圧を求め、上記充放電状態計測手段からの充電電圧計測値と上記判定電圧との比較に基づいて上記電力蓄積装置の均等充電の実施を設定することを特徴とするエレベータの制御装置。
  3. 請求項2に記載のエレベータの制御装置において、
    上記充放電制御手段は、上記電力蓄積装置のFULL充電状態を基準とし、充放電電流と充放電電圧との積を容量で正規化し累積した値である充電度合いに応じてテーブルを複数備え、上記充電度合いに応じたテーブルを選択することを特徴とするエレベータの制御装置。
  4. 請求項1に記載のエレベータの制御装置において、
    上記充放電制御手段は、上記電力蓄積装置の充電電流に対する均等充電の判定電圧変化分が設定されたテーブルを有し、上記充放電状態計測手段からの充電電流計測値に基づいて上記テーブルから判定電圧変化分を求め、上記充放電状態計測手段からの充電電圧計測値の電圧変化分と上記判定電圧変化分との比較に基づいて上記電力蓄積装置の均等充電の実施を設定することを特徴とするエレベータの制御装置。
  5. 請求項4に記載のエレベータの制御装置において、
    上記充放電制御手段は、エレベータを速度制御する速度制御手段からの指令速度に基づいてエレベータの走行速度が一定速度であるか否かを判定し、一定速度と判定された場合に、上記充放電状態計測手段からの充電電圧計測値の電圧変化分と上記判定電圧変化分との比較に基づいて上記電力蓄積装置の均等充電の実施を設定することを特徴とするエレベータの制御装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載のエレベータの制御装置において、
    上記充放電制御手段は、エレベータの運転時間を累積し、エレベータの休止中に、上記電力蓄積装置の均等充電が設定されている場合、またはエレベータの休止中に、エレベータの運転時間の累積時間が設定時間を越えた場合に、上記電力蓄積装置の均等充電の実施タイミングとして決定することを特徴とするエレベータの制御装置。
  7. 請求項6に記載のエレベータの制御装置において、
    上記充放電制御手段は、上記充放電状態計測装置からの計測値に基づいて上記電力蓄積装置のFULL充電状態を基準とし、充放電電流と充放電電圧との積を容量で正規化し累積した値である充電度合いが所定値を越えた場合に、上記電力蓄積装置の均等充電の実施タイミングとして決定することを特徴とするエレベータの制御装置。
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