JP2004043078A - エレベータの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】停電時においても乗客がかご内に閉じ込められることを防止し、且つ安価に構成できるエレベータの制御装置を得る。
【解決手段】速度制御回路21Aは、かご負荷とかごの現在位置から目的階までの残距離とに応じた必要電力量が設定されたテーブルと、停電検出時に、かご負荷計測値と残距離とに基づいてテーブルから必要電力量を求め、求められた必要電力量と電力蓄積装置11の放電可能電力量との比較に基づいて走行可能か否かを判定する走行可否判定手段とを有し、エレベータ制御回路10Aは、走行不可と判定された場合に、登録された呼びをキャンセルする。
【選択図】 図1
【解決手段】速度制御回路21Aは、かご負荷とかごの現在位置から目的階までの残距離とに応じた必要電力量が設定されたテーブルと、停電検出時に、かご負荷計測値と残距離とに基づいてテーブルから必要電力量を求め、求められた必要電力量と電力蓄積装置11の放電可能電力量との比較に基づいて走行可能か否かを判定する走行可否判定手段とを有し、エレベータ制御回路10Aは、走行不可と判定された場合に、登録された呼びをキャンセルする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、2次電池を応用した省エネルギー形のエレベータの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は、例えば特開2001−240336号公報に示された従来のエレベータの制御装置を示すもので、2次電池を応用してエレベータを制御する制御装置の基本構成図である。図8において、1は三相交流電源、2は三相交流電源1から出力される交流電力を直流電力に変換するダイオード等で構成されたコンバータを示し、コンバータ2で変換された直流電力は直流母線3に供給される。4はエレベータの速度位置制御を行う後述する速度制御装置により制御されるインバータであり、直流母線3を介して供給される直流を所望の可変電圧可変周波数の交流に変換して交流モータ5に供給することにより、交流モータ5に直結されたエレベータの巻上機6を回転駆動させることで、巻上機6に巻き掛けられたロープ7がその両端に接続されたかご8及び釣り合い錘9を昇降制御してかご8内の乗客を所定の階床に移動させるようになされている。
【0003】
ここで、かご8と釣り合い錘9の重量は、定員の半分の乗客がかご8内に乗車した時、ほぼ同じになるよう設計されている。すなわち、無負荷でかご8を昇降させる場合に、かご8の下降時は力行運転、上昇時は回生運転となる。逆に、定員乗車でかご8を下降させる場合に、かご8の下降時は回生運転、上昇時は力行運転となる。
【0004】
10はマイクロコンピュータ等で構成されたエレベータ制御回路で、エレベータ全体の管理・制御を行うもので、例えば乗場呼びまたはかご呼びの登録等を行いそれら呼びに応じた運転を行うべく後述する速度制御回路を制御する。11は、直流母線3間に設けられて、エレベータの回生運転時に電力を蓄積し、力行運転時にインバータ4にコンバータ2と共に蓄積された電力を供給する電力蓄積装置を示し、2次電池12と当該2次電池12を充放電制御するDC−DCコンバータ13とから構成される。
【0005】
ここで、DC−DCコンバータ13は、リアクトル13a、このリアクトル13aに直列接続された充電電流制御用ゲート13b、後述する放電電流制御用ゲート13dに逆並列接続されたダイオード13cでなる降圧型チョッパ回路と、リアクトル13a、このリアクトル13aに直列接続された放電電流制御用ゲート13d、前記充電電流制御用ゲート13bに逆並列接続されたダイオード13eでなる昇圧型チョッパ回路とを備えてなり、充電電流制御用ゲート13bと放電電流制御用ゲート13dは、電力蓄積装置11の充放電状態を計測する充放電状態計測器14からの計測値及び電圧計測器18からの計測値に基づいて充放電制御回路15により制御される。なお、この従来例での充放電状態計測器14としては、2次電池12とDC−DCコンバータ13との間に設けられる電流計測器が用いられる。
【0006】
16と17は、直流母線3間に設けられた回生電流制御用ゲートと回生抵抗、18は、直流母線3の電圧を計測する電圧計測器、19は、後述する速度制御回路からの回生制御指令に基づいて動作する回生制御回路を示し、回生電流制御用ゲート16は、回生運転時に、電圧計測器17による計測電圧が所定値以上の時に回生制御回路19の制御に基づいてONパルス幅が制御されるようになされ、回生電力は回生抵抗17で放電されて熱エネルギーに変換され消費される。
【0007】
20は巻上機6に直結されたエンコーダ、21はエレベータ制御回路10からの指令に基づき速度指令とエンコーダ22からの速度帰還出力とに基づいてインバータ4の出力電圧出力周波数を制御することによりエレベータを位置・速度制御する速度制御回路を示す。
【0008】
22は、三相交流電源1の停電を検出する停電検出器、23と24は、インバータ4の出力電流と出力電圧を計測する電流計測器と電圧計測器、25はかご8のかご室とかご枠底部との間に設けられてかご負荷を計測するかご負荷計測器を示す。
【0009】
ここで、充放電状態計測装置14は、電力蓄積装置11の充放電電流、充放電電圧、温度を計測する各計測器を備え、それらの各計測値及び充電度合い、つまり電力蓄積装置11のFULL充電状態を基準とし、充放電電流と充放電電圧との積を容量で正規化し累積した値であるSOC(:State Of Charge)を速度制御回路21に出力するようになされ、速度制御回路21は、停電検出器22または電圧計測器18からの停電検出信号、充放電状態計測装置14からの充放電状態、エンコーダ20からの速度帰還信号、電流計測器22及び電圧計測器23からの各計測値、かご負荷計測器からのかご負荷計測値に基づいて走行中停電検出時に、電力蓄積装置11の放電可能電力の範囲で速度制御する速度指令をインバータ4に出力する。
【0010】
次に、前記構成に係る動作について説明する。エレベータの力行運転時は、三相交流電源1および電力蓄積装置11の両方からインバータ4に電力が供給される。電力蓄積装置11は、2次電池12とDC−DCコンバータ13で構成され、充放電制御回路15により制御される。一般的に、装置を小型、安価に構成するため、2次電池12の個数は少なく押さえられ、2次電池12の出力電圧は直流母線3の電圧よりも低い。そして、直流母線3の電圧は、基本的に三相交流電源1を整流した電圧近辺で制御される。
【0011】
従って、2次電池12の充電時は直流母線3の母線電圧を下降し、放電時は直流母線3の母線電圧に昇降させる必要があり、この為、DC−DCコンバータ13が採用される。このDC−DCコンバータ13の充電電流制御用ゲート13b、放電電流制御用ゲート13dの制御を充放電制御回路15により行う。
【0012】
ここで、放電電流制御用ゲート13dのONパルス幅を長くすることにより、より多くの電流を2次電池12より流させ、その結果、供給電力を大きくするとともに、電力供給により直流母線3の母線電圧を上昇させる力行時運転で考えると、エレベータは電力供給を必要としており、この電力を前記2次電池12からの放電および三相交流電源1からの供給でまかなう。母線電圧を三相交流電源1からの供給によるコンバータ2の出力電圧よりも高く制御すると、すべての電力は2次電池12から供給される。しかし、安価な電力蓄積装置11を構成するため、すべての電力を2次電池12から供給せず、適切な割合で2次電池12からの供給と三相交流電源1からの供給を行うように設計されている。
【0013】
次に、充電制御時について説明する交流モータ5からの電力回生があった場合、直流母線3の母線電圧はその回生電力により上昇する。充放電制御回路15は、電圧計測器17による直流母線3の母線電圧の計測値が所定電圧を越えていれば、回生状態であることを検知し、充電電流制御用ゲート13bのONパルス幅を長くすることにより、2次電池12への充電電流を増大させる。やがて、エレベータからの回生電力が少なくなると、これに従って、直流母線3の電圧も低下し、電圧計測器17の計測値が所定電圧を超えなくなるので、充電電流制御用ゲート13bのONパルス幅を短く制御し、充電電力も小さく制御される。
【0014】
このように、直流母線3の母線電圧を監視し充電電力を制御することにより、母線電圧が適切な範囲に制御され、充電が行われる。また、回生電力で消費していた電力を蓄積し、再利用することにより、省エネが実現される。充電装置が故障等何らかの理由で電力消費がされない場合には、バックアップとして、前記回生制御回路19を作動させ回生電力を抵抗消費させエレベータに適切な減速を行わせるようにする。
【0015】
速度制御回路21は、停電検出器22の停電検出信号に基づいて停電時の速度制御を行うと共に、図9に示す如く、かご負荷と速度に応じて瞬時に必要な電力が設定されたテーブルを備えており、このテーブルを用いて現速度で一定速走行時の必要電力Wsを求めるようになされ、さらに、電力蓄積装置11からの放電可能電力Woが固定値として設定されている。
【0016】
次に、停電検出器22から停電検出信号が入力された場合には、電流計測器23及び電圧計測器24からのインバータ4の出力電流及び出力電圧の計測値に基づいて現在の出力電力Wcを計算する。また、速度制御回路21は、かご負荷計測器25からのかご負荷計測値とエンコーダ20からの速度帰還信号に基づいて図9に示す如くテーブルから現速度で一定速走行時の必要電力Wsを求める。そして、現在の出力電力Wcと放電可能電力Woを比較し、放電可能電力Woの範囲で収まるような速度パターンを選択する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のエレベータの制御装置において、目的階まで走行するのに必要な電力量に対して電力蓄積装置11の放電可能電力量(SOC)が小さい場合、目的階走行中に電力不足となり目的階へ停止できない。このとき、かごが階と階の間に停止すると戸を開くことができず、乗客はかご内に閉じ込められることになる。また、この場合は電力蓄積装置11の電力を使い切ることになり、2次電池12に負担をかけ寿命を縮める可能性がある。
【0018】
この発明は、上述したような課題を解決するためになされたもので、停電時においても乗客がかご内に閉じ込められることを防止し、且つ安価に構成できるエレベータの制御装置を得ることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るエレベータの制御装置は、交流電源からの交流電力を整流して直流電力に変換するコンバータと、前記コンバータからの直流電力を可変電圧可変周波数の交流電力に変換して電動機を駆動しエレベータを運転するインバータと、前記コンバータと前記インバータとの間の直流母線間に設けられて、エレベータの回生運転時に直流母線からの直流電力を蓄積し、力行運転時に蓄積された直流電力を直流母線に供給する電力蓄積装置と、前記電力蓄積装置の充放電状態を検出する充放電状態検出手段と、停電を検出する停電検出手段と、前記エレベータのかごに設置されてかご負荷を計測するかご負荷計測手段と、前記エレベータの運行速度及びかごの現在位置を検出する速度・かご位置検出手段と、前記充放電状態検出手段からの検出値に基づいて前記電力蓄積装置の放電可能電力量の範囲で、エレベータの速度指令と前記速度・かご位置検出手段による速度検出値に基づいて速度制御すべく前記インバータを制御する速度制御手段と、呼びに応じた運転を行うべく前記速度制御手段を制御するエレベータ制御手段とを備えたエレベータにおいて、前記速度制御手段は、かご負荷とかごの現在位置から目的階までの残距離とに応じた必要電力量が設定されたテーブルと、前記停電検出手段による停電検出時に、前記かご負荷計測手段によるかご負荷計測値と前記速度・かご位置検出手段により検出されるかごの現在位置から算出される目的階までの残距離とに基づいて前記テーブルから必要電力量を求め、求められた必要電力量と前記電力蓄積装置の放電可能電力量との比較に基づいて走行可能か否かを判定する走行可否判定手段とを有し、前記エレベータ制御手段は、前記走行可否判定手段により走行不可と判定された場合に、登録された呼びをキャンセルすることを特徴とするものである。
【0020】
また、前記エレベータ制御手段は、前記走行可否判定手段により走行不可と判定された場合に、走行不可である階への呼び登録を禁止することを特徴とするものである。
【0021】
さらに、前記テーブルには、かご負荷と残距離とに応じた必要電力量が速度指令毎に設定されていて、前記速度制御手段は、かご負荷計測値と残距離に基づいて求められた必要電力量に基づいて前記電力蓄積装置の放電可能電力量の範囲内で走行可能なエレベータ速度指令を前記テーブルから選択することを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係るエレベータの制御装置を示す全体構成図である。図1において、図8に示す従来例と同一部分は同一符号を付してその説明は省略する。新たな符号として、21Aと10Aは、この発明の速度制御回路とエレベータ制御回路を示し、速度制御回路21Aは、停電検出器22または電圧計測器18からの停電検出信号、充放電状態計測装置14からの充放電状態、エンコーダ20からの速度帰還信号とかご位置信号、電流計測器22及び電圧計測器23からの各計測値、かご負荷計測器からのかご負荷計測値に基づいて停電検出時に、電力蓄積装置11の放電可能電力量の範囲で速度制御する速度指令をインバータ4に出力する。
【0023】
また、この速度制御回路21A内には、走行可否を判定する走行可否判定手段(図示せず)を備えており、さらに、その走行可否判定手段は、図2に示す如く、かご負荷と残距離に応じた必要電力量WIsが設定されたテーブルT1を備え、停電検出器22による停電検出時に、かご負荷計測器25によるかご負荷計測値とエンコーダ20により検出されるかごの現在位置から算出される目的階までの残距離とに基づいて前記テーブルT1から必要電力量を求め、求められた必要電力量と電力蓄積装置11の放電可能電力量との比較に基づいて走行可能か否かを判定するようになされている。その判定結果に基づいて、エレベータ制御回路10Aは、走行可否判定手段により走行不可と判定された場合に、登録された呼びをキャンセルするようになされている。
【0024】
図3は、速度制御回路21Aにおける走行可否判定手段の動作フローチャートである。まず、ステップ301(以下、ステップを単にSと記載する)で停電検出したかを判定し、停電検出していればS302に移行する。停電検出していなければ本手段は動作させないのでS301へ戻る。S302でエンコーダ20からのかご位置信号から目的階階床までの残距離を算出し、S303でこの残距離とかご負荷計測値により、図2に示すテーブルから必要電力量WIsを算出する。ここで、目的階のかご位置はあらかじめ別に記憶されているものとする。
【0025】
次に、S304において充放電状態計測装置14から入力した放電可能電力量即ちSOCとS303により算出した必要電力量WISとを比較し、SOC≧WISであれば走行可能であるので、S305で“走行可”の判定結果をエレベータ制御回路10Aへ出力する。他方、SOC<WISであればS306で“走行不可”の判定結果をエレベータ制御回路10Aへ出力する。これは、2次電池12の一般的な特性として、SOC≒0となると永久に使用できなくなるので、所定のSOC値以下とならないように制御する必要があるためである。
【0026】
ここで、例えば、無負荷上昇運転は基本的に回生運転となり、電力蓄積装置11からの放電は必要ない。逆に、無負荷の下降運転では、力行運転となるため、消費電力が大きい。この様に、回生運転時は必要ないが、力行運転時に、図2に示すテーブルT1を用いて最適な速度で運転可能であることは言うまでもない。
【0027】
図4は、エレベータ制御回路10A内で実施される動作フローチャートを示す。S401において、停電検出している場合はS402へ移行し、S402で速度制御回路21Aへ走行可否判定階床即ち目的階階床を出力する。S403で速度制御回路21Aより走行判定結果を入力し、S404で走行可否判定手段により走行不可と判定された場合は、S405で走行不可と判定された階の呼びをキャンセルする。
【0028】
さらに、図5は、エレベータ制御回路10A内で実施される動作フローチャートを示すもので、ここでは、走行不可と判定された階床の呼びを禁止する場合を示す。S501において、停電検出している場合はS502へ移行し、S502で走行可否判定手段に走行可否を判定する階を1Fとし、速度制御回路21Aへ出力する。S503で速度制御回路21Aより走行判定結果を入力し、S504で走行可否判定手段により走行不可と判定された場合は、S505で判定階床に対する呼び登録を禁止する。走行可と判定された場合はS506で判定階床に対する呼び登録を許可する。S507、S508により全ての階に対して走行可否判定を行う。走行可否は、かごの現在位置により変化するため、全ての階に対して走行可否判定を終えたらS502に戻り、判定を続ける。
【0029】
従って、実施の形態1によれば、目的階までの残距離とかご負荷計測値により走行可能か否かを判定させるようにしたため、電力蓄積装置11の電力不足によりかご8を走行中に停止することがなくなり、停電時においても乗客がかご内に閉じ込められることを防止することができる。また、2次電池の寿命を著しく縮めることがなくなる。
【0030】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係るエレベータの制御装置について説明する。この発明の実施の形態2に係るエレベータの制御装置の構成は、図1に示す実施の形態1と同一の構成を備えるが、速度制御回路21Aにおける走行可否判定手段に備えられたテーブルと、速度制御回路21Aの動作内容が異なる。
【0031】
図6は、この実施の形態2における速度制御回路21Aにおける走行可否判定手段に備えられたテーブルT2を示す。このテーブルT2は、図2に示す実施の形態1に係るテーブルT1の代わりに用いられるもので、かご負荷と残距離とに応じた必要電力量が速度指令毎に設定されている。そして、この実施の形態2における速度制御回路21Aは、かご負荷計測値と残距離に基づいて求められた必要電力量に基づいて電力蓄積装置11の放電可能電力量の範囲内で走行可能なエレベータ速度指令を前記テーブルT2から選択する。
【0032】
次に、図7に示すフローチャートを参照して実施の形態2における速度制御回路21Aの動作を説明する。まず、S701で停電検出したかを判定し、停電検出していればS702に移行する。停電検出していなければ本手段は動作させないのでS701へ戻る。S702で、エンコーダ20からのかご現在位置信号から目的階まで残距離を算出し、S703で、この残距離とかご負荷計測値により、図6に示すテーブルT2から速度指令の最も高いテーブルより必要電力量WISを算出する。
【0033】
S704で、充放電状態計測装置から入力した放電可能電力量即ちSOCとS703により算出した必要電力量WISとを比較し、SOC≧WISであれば最も高い速度で走行可能であるので、S707で、選択した速度をインバータ4へ出力する。SOC<WISであればS706で、SOCの範囲内で走行できる速度を選択する。そして、S707で、選択した速度をインバータ4へ出力する。
【0034】
このように、力行運転時に、図6に示すテーブルT2を用いて最適な速度で運転可能であることは、実施の形態1でも述べた通り言うまでもない。
【0035】
尚、本実施の形態2では、S703において、最も高い速度指令を選択したが、低い速度を選択することで、より多くのエレベータサービスが可能である。また、S706においても、選択する速度をSOCの範囲内で更に低いものにすることでより多くのエレベータサービスが可能である。
【0036】
従って、実施の形態2によれば、目的階までの残距離とかご負荷計測値及び電力蓄積装置の放電可能電力量の範囲で走行可能なエレベータ速度指令を選択し走行するようにしたため、エレベータサービスが向上する。
【0037】
【発明の効果】
以上ように、この発明によれば、目的階までの残距離とかご負荷計測値により走行可能か否かを判定し、あらかじめ走行できない階への呼びをキャンセルするようにしたため、電力蓄積装置の電力不足によりかごを走行中に停止することがなくなり、停電時においても乗客がかご内に閉じ込められることを防止することができる。また、特別な装置を必要とせず安価に構成できる。
【0038】
また、走行不可である階への呼び登録を禁止するようにすることで、電力蓄積装置の電力不足によりエレベータが階と階の間に停止することがなくなる。
【0039】
さらに、目的階までの残距離とかご負荷計測値及び電力蓄積装置の放電可能電力量の範囲で走行可能なエレベータ速度指令を選択し走行するようににしたため、エレベータサービスが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータの制御装置を示す全体構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る速度制御回路21Aが備える残距離とかご負荷に応じた必要電力量が設定されたテーブルT1の説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る走行可否判定手段の動作フローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1に係るエレベータ制御回路10Aにおいて実施される動作フローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係るエレベータ制御回路10Aにおいて実施される動作フローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態2に係る速度制御回路21Aが備える残距離とかご負荷と速度に応じた必要電力量が設定されたテーブルT2の説明図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る走行可否判定手段の動作フローチャートである。
【図8】従来例を示す全体構成図である。
【図9】従来例におけるかご負荷と速度に応じた必要電力が設定されたテーブルの説明図である。
【符号の説明】
1 三相交流電源、2 コンバータ、3 直流母線、4 インバータ、5 交流モータ、6 巻上機、7 ロープ、8 かご、9 釣り合い錘、10,10Aエレベータ制御回路、11 電力蓄積装置、12 2次電池、13 DC−DCコンバータ、14 充放電状態計測装置、15 充放電制御回路、16 回生電流制御用ゲート、17 回生抵抗、18 電圧計測器、19 回生制御回路、20 エンコーダ、21,21A 速度制御回路、22 停電検出器、23 電流計測器、24 電圧計測器、25 かご負荷計測器。
【発明の属する技術分野】
この発明は、2次電池を応用した省エネルギー形のエレベータの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は、例えば特開2001−240336号公報に示された従来のエレベータの制御装置を示すもので、2次電池を応用してエレベータを制御する制御装置の基本構成図である。図8において、1は三相交流電源、2は三相交流電源1から出力される交流電力を直流電力に変換するダイオード等で構成されたコンバータを示し、コンバータ2で変換された直流電力は直流母線3に供給される。4はエレベータの速度位置制御を行う後述する速度制御装置により制御されるインバータであり、直流母線3を介して供給される直流を所望の可変電圧可変周波数の交流に変換して交流モータ5に供給することにより、交流モータ5に直結されたエレベータの巻上機6を回転駆動させることで、巻上機6に巻き掛けられたロープ7がその両端に接続されたかご8及び釣り合い錘9を昇降制御してかご8内の乗客を所定の階床に移動させるようになされている。
【0003】
ここで、かご8と釣り合い錘9の重量は、定員の半分の乗客がかご8内に乗車した時、ほぼ同じになるよう設計されている。すなわち、無負荷でかご8を昇降させる場合に、かご8の下降時は力行運転、上昇時は回生運転となる。逆に、定員乗車でかご8を下降させる場合に、かご8の下降時は回生運転、上昇時は力行運転となる。
【0004】
10はマイクロコンピュータ等で構成されたエレベータ制御回路で、エレベータ全体の管理・制御を行うもので、例えば乗場呼びまたはかご呼びの登録等を行いそれら呼びに応じた運転を行うべく後述する速度制御回路を制御する。11は、直流母線3間に設けられて、エレベータの回生運転時に電力を蓄積し、力行運転時にインバータ4にコンバータ2と共に蓄積された電力を供給する電力蓄積装置を示し、2次電池12と当該2次電池12を充放電制御するDC−DCコンバータ13とから構成される。
【0005】
ここで、DC−DCコンバータ13は、リアクトル13a、このリアクトル13aに直列接続された充電電流制御用ゲート13b、後述する放電電流制御用ゲート13dに逆並列接続されたダイオード13cでなる降圧型チョッパ回路と、リアクトル13a、このリアクトル13aに直列接続された放電電流制御用ゲート13d、前記充電電流制御用ゲート13bに逆並列接続されたダイオード13eでなる昇圧型チョッパ回路とを備えてなり、充電電流制御用ゲート13bと放電電流制御用ゲート13dは、電力蓄積装置11の充放電状態を計測する充放電状態計測器14からの計測値及び電圧計測器18からの計測値に基づいて充放電制御回路15により制御される。なお、この従来例での充放電状態計測器14としては、2次電池12とDC−DCコンバータ13との間に設けられる電流計測器が用いられる。
【0006】
16と17は、直流母線3間に設けられた回生電流制御用ゲートと回生抵抗、18は、直流母線3の電圧を計測する電圧計測器、19は、後述する速度制御回路からの回生制御指令に基づいて動作する回生制御回路を示し、回生電流制御用ゲート16は、回生運転時に、電圧計測器17による計測電圧が所定値以上の時に回生制御回路19の制御に基づいてONパルス幅が制御されるようになされ、回生電力は回生抵抗17で放電されて熱エネルギーに変換され消費される。
【0007】
20は巻上機6に直結されたエンコーダ、21はエレベータ制御回路10からの指令に基づき速度指令とエンコーダ22からの速度帰還出力とに基づいてインバータ4の出力電圧出力周波数を制御することによりエレベータを位置・速度制御する速度制御回路を示す。
【0008】
22は、三相交流電源1の停電を検出する停電検出器、23と24は、インバータ4の出力電流と出力電圧を計測する電流計測器と電圧計測器、25はかご8のかご室とかご枠底部との間に設けられてかご負荷を計測するかご負荷計測器を示す。
【0009】
ここで、充放電状態計測装置14は、電力蓄積装置11の充放電電流、充放電電圧、温度を計測する各計測器を備え、それらの各計測値及び充電度合い、つまり電力蓄積装置11のFULL充電状態を基準とし、充放電電流と充放電電圧との積を容量で正規化し累積した値であるSOC(:State Of Charge)を速度制御回路21に出力するようになされ、速度制御回路21は、停電検出器22または電圧計測器18からの停電検出信号、充放電状態計測装置14からの充放電状態、エンコーダ20からの速度帰還信号、電流計測器22及び電圧計測器23からの各計測値、かご負荷計測器からのかご負荷計測値に基づいて走行中停電検出時に、電力蓄積装置11の放電可能電力の範囲で速度制御する速度指令をインバータ4に出力する。
【0010】
次に、前記構成に係る動作について説明する。エレベータの力行運転時は、三相交流電源1および電力蓄積装置11の両方からインバータ4に電力が供給される。電力蓄積装置11は、2次電池12とDC−DCコンバータ13で構成され、充放電制御回路15により制御される。一般的に、装置を小型、安価に構成するため、2次電池12の個数は少なく押さえられ、2次電池12の出力電圧は直流母線3の電圧よりも低い。そして、直流母線3の電圧は、基本的に三相交流電源1を整流した電圧近辺で制御される。
【0011】
従って、2次電池12の充電時は直流母線3の母線電圧を下降し、放電時は直流母線3の母線電圧に昇降させる必要があり、この為、DC−DCコンバータ13が採用される。このDC−DCコンバータ13の充電電流制御用ゲート13b、放電電流制御用ゲート13dの制御を充放電制御回路15により行う。
【0012】
ここで、放電電流制御用ゲート13dのONパルス幅を長くすることにより、より多くの電流を2次電池12より流させ、その結果、供給電力を大きくするとともに、電力供給により直流母線3の母線電圧を上昇させる力行時運転で考えると、エレベータは電力供給を必要としており、この電力を前記2次電池12からの放電および三相交流電源1からの供給でまかなう。母線電圧を三相交流電源1からの供給によるコンバータ2の出力電圧よりも高く制御すると、すべての電力は2次電池12から供給される。しかし、安価な電力蓄積装置11を構成するため、すべての電力を2次電池12から供給せず、適切な割合で2次電池12からの供給と三相交流電源1からの供給を行うように設計されている。
【0013】
次に、充電制御時について説明する交流モータ5からの電力回生があった場合、直流母線3の母線電圧はその回生電力により上昇する。充放電制御回路15は、電圧計測器17による直流母線3の母線電圧の計測値が所定電圧を越えていれば、回生状態であることを検知し、充電電流制御用ゲート13bのONパルス幅を長くすることにより、2次電池12への充電電流を増大させる。やがて、エレベータからの回生電力が少なくなると、これに従って、直流母線3の電圧も低下し、電圧計測器17の計測値が所定電圧を超えなくなるので、充電電流制御用ゲート13bのONパルス幅を短く制御し、充電電力も小さく制御される。
【0014】
このように、直流母線3の母線電圧を監視し充電電力を制御することにより、母線電圧が適切な範囲に制御され、充電が行われる。また、回生電力で消費していた電力を蓄積し、再利用することにより、省エネが実現される。充電装置が故障等何らかの理由で電力消費がされない場合には、バックアップとして、前記回生制御回路19を作動させ回生電力を抵抗消費させエレベータに適切な減速を行わせるようにする。
【0015】
速度制御回路21は、停電検出器22の停電検出信号に基づいて停電時の速度制御を行うと共に、図9に示す如く、かご負荷と速度に応じて瞬時に必要な電力が設定されたテーブルを備えており、このテーブルを用いて現速度で一定速走行時の必要電力Wsを求めるようになされ、さらに、電力蓄積装置11からの放電可能電力Woが固定値として設定されている。
【0016】
次に、停電検出器22から停電検出信号が入力された場合には、電流計測器23及び電圧計測器24からのインバータ4の出力電流及び出力電圧の計測値に基づいて現在の出力電力Wcを計算する。また、速度制御回路21は、かご負荷計測器25からのかご負荷計測値とエンコーダ20からの速度帰還信号に基づいて図9に示す如くテーブルから現速度で一定速走行時の必要電力Wsを求める。そして、現在の出力電力Wcと放電可能電力Woを比較し、放電可能電力Woの範囲で収まるような速度パターンを選択する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のエレベータの制御装置において、目的階まで走行するのに必要な電力量に対して電力蓄積装置11の放電可能電力量(SOC)が小さい場合、目的階走行中に電力不足となり目的階へ停止できない。このとき、かごが階と階の間に停止すると戸を開くことができず、乗客はかご内に閉じ込められることになる。また、この場合は電力蓄積装置11の電力を使い切ることになり、2次電池12に負担をかけ寿命を縮める可能性がある。
【0018】
この発明は、上述したような課題を解決するためになされたもので、停電時においても乗客がかご内に閉じ込められることを防止し、且つ安価に構成できるエレベータの制御装置を得ることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るエレベータの制御装置は、交流電源からの交流電力を整流して直流電力に変換するコンバータと、前記コンバータからの直流電力を可変電圧可変周波数の交流電力に変換して電動機を駆動しエレベータを運転するインバータと、前記コンバータと前記インバータとの間の直流母線間に設けられて、エレベータの回生運転時に直流母線からの直流電力を蓄積し、力行運転時に蓄積された直流電力を直流母線に供給する電力蓄積装置と、前記電力蓄積装置の充放電状態を検出する充放電状態検出手段と、停電を検出する停電検出手段と、前記エレベータのかごに設置されてかご負荷を計測するかご負荷計測手段と、前記エレベータの運行速度及びかごの現在位置を検出する速度・かご位置検出手段と、前記充放電状態検出手段からの検出値に基づいて前記電力蓄積装置の放電可能電力量の範囲で、エレベータの速度指令と前記速度・かご位置検出手段による速度検出値に基づいて速度制御すべく前記インバータを制御する速度制御手段と、呼びに応じた運転を行うべく前記速度制御手段を制御するエレベータ制御手段とを備えたエレベータにおいて、前記速度制御手段は、かご負荷とかごの現在位置から目的階までの残距離とに応じた必要電力量が設定されたテーブルと、前記停電検出手段による停電検出時に、前記かご負荷計測手段によるかご負荷計測値と前記速度・かご位置検出手段により検出されるかごの現在位置から算出される目的階までの残距離とに基づいて前記テーブルから必要電力量を求め、求められた必要電力量と前記電力蓄積装置の放電可能電力量との比較に基づいて走行可能か否かを判定する走行可否判定手段とを有し、前記エレベータ制御手段は、前記走行可否判定手段により走行不可と判定された場合に、登録された呼びをキャンセルすることを特徴とするものである。
【0020】
また、前記エレベータ制御手段は、前記走行可否判定手段により走行不可と判定された場合に、走行不可である階への呼び登録を禁止することを特徴とするものである。
【0021】
さらに、前記テーブルには、かご負荷と残距離とに応じた必要電力量が速度指令毎に設定されていて、前記速度制御手段は、かご負荷計測値と残距離に基づいて求められた必要電力量に基づいて前記電力蓄積装置の放電可能電力量の範囲内で走行可能なエレベータ速度指令を前記テーブルから選択することを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係るエレベータの制御装置を示す全体構成図である。図1において、図8に示す従来例と同一部分は同一符号を付してその説明は省略する。新たな符号として、21Aと10Aは、この発明の速度制御回路とエレベータ制御回路を示し、速度制御回路21Aは、停電検出器22または電圧計測器18からの停電検出信号、充放電状態計測装置14からの充放電状態、エンコーダ20からの速度帰還信号とかご位置信号、電流計測器22及び電圧計測器23からの各計測値、かご負荷計測器からのかご負荷計測値に基づいて停電検出時に、電力蓄積装置11の放電可能電力量の範囲で速度制御する速度指令をインバータ4に出力する。
【0023】
また、この速度制御回路21A内には、走行可否を判定する走行可否判定手段(図示せず)を備えており、さらに、その走行可否判定手段は、図2に示す如く、かご負荷と残距離に応じた必要電力量WIsが設定されたテーブルT1を備え、停電検出器22による停電検出時に、かご負荷計測器25によるかご負荷計測値とエンコーダ20により検出されるかごの現在位置から算出される目的階までの残距離とに基づいて前記テーブルT1から必要電力量を求め、求められた必要電力量と電力蓄積装置11の放電可能電力量との比較に基づいて走行可能か否かを判定するようになされている。その判定結果に基づいて、エレベータ制御回路10Aは、走行可否判定手段により走行不可と判定された場合に、登録された呼びをキャンセルするようになされている。
【0024】
図3は、速度制御回路21Aにおける走行可否判定手段の動作フローチャートである。まず、ステップ301(以下、ステップを単にSと記載する)で停電検出したかを判定し、停電検出していればS302に移行する。停電検出していなければ本手段は動作させないのでS301へ戻る。S302でエンコーダ20からのかご位置信号から目的階階床までの残距離を算出し、S303でこの残距離とかご負荷計測値により、図2に示すテーブルから必要電力量WIsを算出する。ここで、目的階のかご位置はあらかじめ別に記憶されているものとする。
【0025】
次に、S304において充放電状態計測装置14から入力した放電可能電力量即ちSOCとS303により算出した必要電力量WISとを比較し、SOC≧WISであれば走行可能であるので、S305で“走行可”の判定結果をエレベータ制御回路10Aへ出力する。他方、SOC<WISであればS306で“走行不可”の判定結果をエレベータ制御回路10Aへ出力する。これは、2次電池12の一般的な特性として、SOC≒0となると永久に使用できなくなるので、所定のSOC値以下とならないように制御する必要があるためである。
【0026】
ここで、例えば、無負荷上昇運転は基本的に回生運転となり、電力蓄積装置11からの放電は必要ない。逆に、無負荷の下降運転では、力行運転となるため、消費電力が大きい。この様に、回生運転時は必要ないが、力行運転時に、図2に示すテーブルT1を用いて最適な速度で運転可能であることは言うまでもない。
【0027】
図4は、エレベータ制御回路10A内で実施される動作フローチャートを示す。S401において、停電検出している場合はS402へ移行し、S402で速度制御回路21Aへ走行可否判定階床即ち目的階階床を出力する。S403で速度制御回路21Aより走行判定結果を入力し、S404で走行可否判定手段により走行不可と判定された場合は、S405で走行不可と判定された階の呼びをキャンセルする。
【0028】
さらに、図5は、エレベータ制御回路10A内で実施される動作フローチャートを示すもので、ここでは、走行不可と判定された階床の呼びを禁止する場合を示す。S501において、停電検出している場合はS502へ移行し、S502で走行可否判定手段に走行可否を判定する階を1Fとし、速度制御回路21Aへ出力する。S503で速度制御回路21Aより走行判定結果を入力し、S504で走行可否判定手段により走行不可と判定された場合は、S505で判定階床に対する呼び登録を禁止する。走行可と判定された場合はS506で判定階床に対する呼び登録を許可する。S507、S508により全ての階に対して走行可否判定を行う。走行可否は、かごの現在位置により変化するため、全ての階に対して走行可否判定を終えたらS502に戻り、判定を続ける。
【0029】
従って、実施の形態1によれば、目的階までの残距離とかご負荷計測値により走行可能か否かを判定させるようにしたため、電力蓄積装置11の電力不足によりかご8を走行中に停止することがなくなり、停電時においても乗客がかご内に閉じ込められることを防止することができる。また、2次電池の寿命を著しく縮めることがなくなる。
【0030】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係るエレベータの制御装置について説明する。この発明の実施の形態2に係るエレベータの制御装置の構成は、図1に示す実施の形態1と同一の構成を備えるが、速度制御回路21Aにおける走行可否判定手段に備えられたテーブルと、速度制御回路21Aの動作内容が異なる。
【0031】
図6は、この実施の形態2における速度制御回路21Aにおける走行可否判定手段に備えられたテーブルT2を示す。このテーブルT2は、図2に示す実施の形態1に係るテーブルT1の代わりに用いられるもので、かご負荷と残距離とに応じた必要電力量が速度指令毎に設定されている。そして、この実施の形態2における速度制御回路21Aは、かご負荷計測値と残距離に基づいて求められた必要電力量に基づいて電力蓄積装置11の放電可能電力量の範囲内で走行可能なエレベータ速度指令を前記テーブルT2から選択する。
【0032】
次に、図7に示すフローチャートを参照して実施の形態2における速度制御回路21Aの動作を説明する。まず、S701で停電検出したかを判定し、停電検出していればS702に移行する。停電検出していなければ本手段は動作させないのでS701へ戻る。S702で、エンコーダ20からのかご現在位置信号から目的階まで残距離を算出し、S703で、この残距離とかご負荷計測値により、図6に示すテーブルT2から速度指令の最も高いテーブルより必要電力量WISを算出する。
【0033】
S704で、充放電状態計測装置から入力した放電可能電力量即ちSOCとS703により算出した必要電力量WISとを比較し、SOC≧WISであれば最も高い速度で走行可能であるので、S707で、選択した速度をインバータ4へ出力する。SOC<WISであればS706で、SOCの範囲内で走行できる速度を選択する。そして、S707で、選択した速度をインバータ4へ出力する。
【0034】
このように、力行運転時に、図6に示すテーブルT2を用いて最適な速度で運転可能であることは、実施の形態1でも述べた通り言うまでもない。
【0035】
尚、本実施の形態2では、S703において、最も高い速度指令を選択したが、低い速度を選択することで、より多くのエレベータサービスが可能である。また、S706においても、選択する速度をSOCの範囲内で更に低いものにすることでより多くのエレベータサービスが可能である。
【0036】
従って、実施の形態2によれば、目的階までの残距離とかご負荷計測値及び電力蓄積装置の放電可能電力量の範囲で走行可能なエレベータ速度指令を選択し走行するようにしたため、エレベータサービスが向上する。
【0037】
【発明の効果】
以上ように、この発明によれば、目的階までの残距離とかご負荷計測値により走行可能か否かを判定し、あらかじめ走行できない階への呼びをキャンセルするようにしたため、電力蓄積装置の電力不足によりかごを走行中に停止することがなくなり、停電時においても乗客がかご内に閉じ込められることを防止することができる。また、特別な装置を必要とせず安価に構成できる。
【0038】
また、走行不可である階への呼び登録を禁止するようにすることで、電力蓄積装置の電力不足によりエレベータが階と階の間に停止することがなくなる。
【0039】
さらに、目的階までの残距離とかご負荷計測値及び電力蓄積装置の放電可能電力量の範囲で走行可能なエレベータ速度指令を選択し走行するようににしたため、エレベータサービスが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータの制御装置を示す全体構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る速度制御回路21Aが備える残距離とかご負荷に応じた必要電力量が設定されたテーブルT1の説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る走行可否判定手段の動作フローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1に係るエレベータ制御回路10Aにおいて実施される動作フローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係るエレベータ制御回路10Aにおいて実施される動作フローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態2に係る速度制御回路21Aが備える残距離とかご負荷と速度に応じた必要電力量が設定されたテーブルT2の説明図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る走行可否判定手段の動作フローチャートである。
【図8】従来例を示す全体構成図である。
【図9】従来例におけるかご負荷と速度に応じた必要電力が設定されたテーブルの説明図である。
【符号の説明】
1 三相交流電源、2 コンバータ、3 直流母線、4 インバータ、5 交流モータ、6 巻上機、7 ロープ、8 かご、9 釣り合い錘、10,10Aエレベータ制御回路、11 電力蓄積装置、12 2次電池、13 DC−DCコンバータ、14 充放電状態計測装置、15 充放電制御回路、16 回生電流制御用ゲート、17 回生抵抗、18 電圧計測器、19 回生制御回路、20 エンコーダ、21,21A 速度制御回路、22 停電検出器、23 電流計測器、24 電圧計測器、25 かご負荷計測器。
Claims (3)
- 交流電源からの交流電力を整流して直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータからの直流電力を可変電圧可変周波数の交流電力に変換して電動機を駆動しエレベータを運転するインバータと、
前記コンバータと前記インバータとの間の直流母線間に設けられて、エレベータの回生運転時に直流母線からの直流電力を蓄積し、力行運転時に蓄積された直流電力を直流母線に供給する電力蓄積装置と、
前記電力蓄積装置の充放電状態を検出する充放電状態検出手段と、
停電を検出する停電検出手段と、
前記エレベータのかごに設置されてかご負荷を計測するかご負荷計測手段と、
前記エレベータの運行速度及びかごの現在位置を検出する速度・かご位置検出手段と、
前記充放電状態検出手段からの検出値に基づいて前記電力蓄積装置の放電可能電力量の範囲で、エレベータの速度指令と前記速度・かご位置検出手段による速度検出値に基づいて速度制御すべく前記インバータを制御する速度制御手段と、
呼びに応じた運転を行うべく前記速度制御手段を制御するエレベータ制御手段と
を備えたエレベータにおいて、
前記速度制御手段は、
かご負荷とかごの現在位置から目的階までの残距離とに応じた必要電力量が設定されたテーブルと、
前記停電検出手段による停電検出時に、前記かご負荷計測手段によるかご負荷計測値と前記速度・かご位置検出手段により検出されるかごの現在位置から算出される目的階までの残距離とに基づいて前記テーブルから必要電力量を求め、求められた必要電力量と前記電力蓄積装置の放電可能電力量との比較に基づいて走行可能か否かを判定する走行可否判定手段と
を有し、
前記エレベータ制御手段は、前記走行可否判定手段により走行不可と判定された場合に、登録された呼びをキャンセルする
ことを特徴とするエレベータの制御装置。 - 請求項1に記載のエレベータの制御装置において、
前記エレベータ制御手段は、前記走行可否判定手段により走行不可と判定された場合に、走行不可である階への呼び登録を禁止する
ことを特徴とするエレベータの制御装置。 - 請求項1または2に記載のエレベータの制御装置において、
前記テーブルには、かご負荷と残距離とに応じた必要電力量が速度指令毎に設定されていて、
前記速度制御手段は、かご負荷計測値と残距離に基づいて求められた必要電力量に基づいて前記電力蓄積装置の放電可能電力量の範囲内で走行可能なエレベータ速度指令を前記テーブルから選択する
ことを特徴とするエレベータの制御装置。
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