JP2013147328A - 非常用電源で運転されるエレベータ - Google Patents

Abstract

【課題】停電時に乗りかご内に取り残された乗客を最低限の非常用電源で確実、かつ効率良く救出する。
【解決手段】商用電源１０あるいは非常用電源２０により乗りかごを駆動する電動機４３と、乗りかご速度を検出するエンコーダ４７と、を備え、商用電源の停電時に非常用電源に切替えて運転されるエレベータにおいて、乗りかご内の積載質量を検出する積載質量センサ４６と、予め必要電力と乗りかご内の積載質量に対応した少なくともかご速度及び加速度のいずれかを定めた電力データベース５４と、を備え、非常用電源で運転する場合、非常用電源の容量に基づいて必要電力を定め、電力データベースを参照して必要電力において、積載質量に対応した少なくとも乗りかご速度及び加速度のいずれかを決定する。
【選択図】 図１

Description

本発明は、商用電源の停電時に非常用電源によって運転されるエレベータに関し、特に、停電によって乗りかご内に取り残された乗客を救出するエレベータに好適である。

従来、停電時に電源容量に見合うようにエレベータを起動して避難すべき階（帰着階）へ帰着している。また、停電時の救出運転時間を短縮するため、エレベータの帰着運転速度を下げて、１台当たりの所要電力を抑え、一群のエレベータ全台数を一斉に帰着運転することが知られ、例えば、特許文献１に記載されている。

また、停電時に使用される自家発電電源容量をアップさせることなく、停電時の昇降サービスを可能とするため、積載荷重を制限して運転することが知られ、特許文献２に記載されている。さらに、エレベータ運転の効率向上と省エネルギーを図るため、次に停止するまでの昇降距離が短距離域内の場合は、低速度で運転することが知られ、特許文献３に記載されている。

特開平５−２４６６４１号公報 特開平７−１０９０８２号公報 特開２００６−１８２５５４号公報

上記従来技術においては、いずれも単に、消費電力を抑制するに過ぎず、非常用電源の容量次第では乗りかご内乗客の救出を円滑に行えない恐れがある。つまり、停電によって階床間に停止したかご内乗客を最低限の非常用電源で効率よく救出することが困難となる場合がある。

本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、停電時に乗りかご内に取り残された乗客を最低限の非常用電源で確実、かつ効率良く救出することにある。

上記目的を達成するために、本発明は、乗りかごと、商用電源あるいは非常用電源により前記乗りかごを駆動する電動機と、前記乗りかご速度を検出するエンコーダと、を備え、前記商用電源の停電時に前記非常用電源に切替えて運転されるエレベータにおいて、前記乗りかご内の積載質量と前記非常用電源の容量に基づいて前記積載質量に対応した少なくとも乗りかご速度及び加速度のいずれかを決定するものである。

また、本発明は、乗りかごと、商用電源あるいは非常用電源により前記乗りかごを駆動する電動機と、前記乗りかご速度を検出するエンコーダと、を備え、前記商用電源の停電時に前記非常用電源に切替えて運転されるエレベータにおいて、前記乗りかご内の積載質量を検出する積載質量センサと、予め必要電力と前記乗りかご内の積載質量に対応した少なくともかご速度及び加速度のいずれかを定めた電力データベースと、を備え、前記非常用電源で運転する場合、前記非常用電源の容量に基づいて前記必要電力を定め、前記電力データベースを参照して前記必要電力において、前記積載質量に対応した少なくとも乗りかご速度及び加速度のいずれかを決定するものである。

本発明によれば、非常用電源の容量に基づいて必要電力を定め、必要電力において、積載質量に対応した少なくともかご速度及び加速度のいずれかを定めるので、停電時に乗りかご内に取り残された乗客を限られた非常用電源で確実、かつ効率良く救出することができる。

本発明による一実施の形態による全体ブロック図。 図１における制御装置の詳細ブロック図。 一実施の形態による走行電力マップ（電力データベース）を示すグラフ。 他の実施の形態の複数台エレベータがある場合の制御系統を示すブロック図。 他の実施の形態による全体ブロック図。 図５における制御装置の詳細ブロック図。

図１は本発明の一実施例を示すブロック図である。図１において商用電源１０は、正常時に接点１１が閉路され、遮断器１２を通りコンバータ４０の交流側へ印加される。コンバータ４０は制御装置５０の指令により、商用電源１０を直流に変換して平滑コンデンサ４１で平滑し、インバータ４２の直流側へ印加する。インバータ４２は制御装置５０の指令により、平滑コンデンサ４１へ蓄えられた直流電源を可変電圧及び可変周波数の交流電源へ変換し、電動機４３、つまり乗りかご４４及び釣合い錘４５を駆動して、乗りかご４４を目的となる停止階６０ａ〜６０ｄへ運転する。４６は積載質量センサであり、現在の乗りかご内積載質量を検出して、その値を制御装置５０へ出力している。４７は電動機４３に取り付けられ回転角度を検出するエンコーダであり、電動機３３の回転数、エレベータの運転速度（乗りかご速度）及び加減速度、走行距離（乗りかご位置）、運転方向等を算出する。６０ａ〜６０ｄは乗りかご４４が停止する停止階を示している。なお、エンコーダ４７は、電動機４３に取り付けられたものでなく、乗りかご４４の速度を検出するものであれば良い。

停電時には、商用電源１０からの供給がなくなるので、接点１１を開路及び接点２１を閉路して非常用電源２０をコンバータ４０の交流側へ印加させる。この時、接点２１と同時に閉路される接点２２は、制御装置５０へ非常用電源２０に切替わったことを知らせることになる。

図２は、制御装置５０の詳細を示すブロック図であり、以下の式
乗りかご内積載質量(＝電動機トルク)×乗りかご速度(＝電動機回転数)＝必要電力
…（１）
で必要電力を算出し、図３に示すような電力（矢印方向に増加）をパラメータに速度及び加速度の関係を示す走行電力マップ５４（予め必要電力毎に少なくとも乗りかご内積載質量に対応した速度及び加速度のいずれかを定めた電力データベース）を予め作成しておく。

非常用電源２０に切替わり、接点２２の閉路信号が入力されると、速度指令発生回路５５は、積載質量センサ４６で検出された現在の乗りかご内積載質量（積載質量データ５３）、エンコーダ４７による乗りかご位置データ５６、行先階指示による目的階となる停止階データ５２、より非常用電源の容量５１を超えない範囲の必要電力において、乗りかご内積載質量に対応した乗りかご速度と加減速度及び運転方向とを走行電力マップ５４（電力データベース）を参照して決定する。

非常用電源の容量は、商用電源よりも小さいので、エレベータの定格速度よりも小さく設定され、選択される乗りかご速度は定格速度よりも低速度として運転条件が制限されたことになる。また、制限するエレベータの運転条件は、少なくともエレベータの運転速度（乗りかご速度）及び加減速度、走行距離、運転方向（上昇か下降、つまり回生方向か力行方向）のいずれかとすれば良い。

その後、コンバータ４０及びインバータ４２へ選択された乗りかご速度と加減速度及び運転方向となるように制御信号を出力し、乗りかご４４を目的となる停止階まで走行させる。

非常用電源の容量５１は、書換え可能なＲＯＭ等に記憶し、ビル設備の更新により非常用電源の容量が変化した場合、記憶された非常用電源の容量５１を更新する。これにより、非常用電源の容量の変化に対応して運転条件を決定することになるので、より確実かつ効率の良い救出運転が可能となる。

図４はエレベータが複数台の場合による制御系統を示し、図は３台の場合を示している。
各々のエレベータは上記（１）式により走行電力マップ５４を作成する。このとき、各エレベータは現在の乗りかご位置データ５６と停止階データ５２から、以下の式
｜(停止階データ) − (乗りかご位置データ)｜＝必要走行距離 …（２）
により算出される必要走行距離及び積載質量データ５３を、複数台エレ監視装置６０へ伝達する。

複数台エレ監視装置７０は、非常用電源の容量を必要とされる走行距離の長いエレベータに多く割り当てる。又は、複数台エレ監視装置７０は、非常用電源の容量を積載質量の多いエレベータに多く割り当てる。あるいは、走行距離と積載質量とを組み合わせて、走行距離が長く、積載質量の多いエレベータに最も非常用電源の容量を割り当てる。これにより、非常用電源の容量の割り当てが負荷の大きさに対応するので、複数台のエレベータを効率よく、より確実に救出運転することが可能となる。

次に、非常用電源を複数台とした場合を説明する。乗りかご内に取り残された乗客を比較的に速やかに切替えることが可能な小容量で小型の非常電源を用いて救出し、その後、切替え、準備等に時間が掛かるが、より大容量で大型の非常用電源により一定条件下の運転を継続する。

図５において商用電源１０が停電すると、まず小型非常用電源２０ａを接点２１ａにより接続し、同時に信号接点２２ａを閉路する。図６は、図５における制御装置５０の詳細を示すブロック図であり、図６において接点２２ａが閉路されると、図１、図２の説明と同様に、速度指令発生回路５５は、非常用電源ａ容量５１ａと予め作成された走行電力マップ５４（予め必要電力毎に少なくとも乗りかご内積載質量に対応した速度及び加速度のいずれかを定めた電力データベース）に基づいて、少なくともエレベータの運転速度（乗りかご速度）及び加減速度、走行距離、運転方向（上昇か下降、つまり回生方向か力行方向）のいずれかを決定し、早急に乗客の救出運転を開始する。

その後、大型非常用電源２０ｂへ切替えるため、接点２１ａ、接点２２ａを消勢（開路）、接点２１ｂ、接点２２ｂを付勢（閉路）する。

速度指令発生回路５５は、積載質量センサ４６で検出された現在の乗りかご内積載質量（積載質量データ５３）、エンコーダ４７による乗りかご位置データ５６、行先階指示による目的階となる停止階データ５２、より非常用電源ｂ容量５１ｂを超えない範囲の必要電力において、乗りかご速度と加減速度及び運転方向とを走行電力マップ５４（電力データベース）を参照して決定する。これにより、建物に設置された大型非常用電源２０ｂへ切替えるのに時間、準備が掛かる場合でも、より速やかに切替え易い小型の非常用電源を追加することで、乗客の速やかな救出が可能となる。

以上の説明において、走行電力マップ５４より運転条件を決定しているが、速度指令発生回路５５はコンバータ４０及びインバータ４２の制御信号、例えば電源電流指令やモータ４３へのトルク指令等より現在の消費電力を算出し、その値と非常用電源の容量５１を逐次比較して、速度を調整しても良く、この場合、限られた非常用電源設備でも、停電時に乗りかご内に取り残された乗客を確実に救出することができる。

１０ 商用電源
１２ 遮断器
２０ 非常用電源
２０ａ 小型非常用電源
２０ｂ 大型非常用電源
４０ コンバータ
４１ 平滑コンデンサ
４２ インバータ
４３ 電動機
４４ 乗りかご
４５ 釣合い錘
４６ 積載質量センサ
５０ 制御装置
５４ 走行電力マップ（電力データベース）
５５ 速度指令発生回路
６０ａ〜６０ｄ 停止階

Claims (8)

1. 乗りかごと、商用電源あるいは非常用電源により前記乗りかごを駆動する電動機と、前記乗りかご速度を検出するエンコーダと、を備え、前記商用電源の停電時に前記非常用電源に切替えて運転されるエレベータにおいて、
   前記乗りかご内の積載質量と前記非常用電源の容量に基づいて前記積載質量に対応した少なくとも乗りかご速度及び加速度のいずれかを決定することを特徴とする非常用電源で運転されるエレベータ。
2. 乗りかごと、商用電源あるいは非常用電源により前記乗りかごを駆動する電動機と、前記乗りかご速度を検出するエンコーダと、を備え、前記商用電源の停電時に前記非常用電源に切替えて運転されるエレベータにおいて、
   前記乗りかご内の積載質量を検出する積載質量センサと、
   予め必要電力と前記乗りかご内の積載質量に対応した少なくともかご速度及び加速度のいずれかを定めた電力データベースと、
   を備え、前記非常用電源で運転する場合、前記非常用電源の容量に基づいて前記必要電力を定め、前記電力データベースを参照して前記必要電力において、前記積載質量に対応した少なくとも乗りかご速度及び加速度のいずれかを決定することを特徴とする非常用電源で運転されるエレベータ。
3. 請求項１又は２に記載の非常用電源で運転されるエレベータにおいて、前記非常用電源で運転する場合、エレベータの運転条件として、少なくとも乗りかご速度及び加減速度、走行距離、運転方向が制限されることを特徴とする非常用電源で運転されるエレベータ。
4. 請求項２に記載の非常用電源で運転されるエレベータにおいて、前記電力データベースを参照する前記乗りかご速度は、定格速度よりも小さく決定されることを特徴とする非常用電源で運転されるエレベータ。
5. 請求項１又は２に記載の非常用電源で運転されるエレベータにおいて、前記非常用電源の容量を記憶する書換え可能な記憶装置を備えたことを特徴とする非常用電源で運転されるエレベータ。
6. 請求項１又は２に記載の非常用電源で運転されるエレベータにおいて、該エレベータの台数が複数とされ、前記乗りかごを目的階まで走行するのに必要とされる走行距離が長い前記エレベータに前記非常用電源の容量を多く割り当てることを特徴とする非常用電源で運転されるエレベータ。
7. 請求項１又は２に記載の非常用電源で運転されるエレベータにおいて、該エレベータの台数が複数とされ、前記非常用電源の容量を前記積載質量の多い前記エレベータに前記非常用電源の容量を多く割り当てることを特徴とする非常用電源で運転されるエレベータ。
8. 請求項１又は２に記載の非常用電源で運転されるエレベータにおいて、前記非常用電源は小容量と大容量のものを備え、前記商用電源の停電時には小容量の前記非常用電源が大容量の前記非常用電源よりも先に用いられることを特徴とする非常用電源で運転されるエレベータ。