JP2002154759A - エレベーターの非常電力制御装置 - Google Patents

エレベーターの非常電力制御装置

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Hiroyuki Ikejima
宏行 池島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 停電時蓄電池の電力でエレベーターを走行さ
せる場合、運転が確実にでき、かつ蓄電池の蓄積電力量
の減少によるかごの階間停止を防止する。 【解決手段】 かご7を駆動する電動機5の回生運転時
は、インバータ4の直流側に回生電力が発生する。蓄電
池13はこの回生電力を双方向電力変換装置14を介し
て蓄電し、力行運転時は電力を放電してインバータ4に
供給する。また、停電時は蓄電池13の電力によりかご
7を走行させる。このとき、充放電制御装置15は、蓄
電池13の蓄積電力量が停電時にかご7が走行可能な電
力量よりも大になるように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、停電時にエレベ
ーターを運転する電源となる蓄電装置の電力を制御する
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電圧形インバータで電動機を駆動
するエレベーターにおいて、蓄電池に電動機が回生運転
するときの帰還電力を蓄電し、電動機が力行運転すると
きにこの電力を利用することにより、省エネルギー化を
図り、更には停電時にこの蓄電された電力によりエレベ
ーターを駆動し、停電により停止したかごを最寄り階ま
で走行させる装置が実用化されてきている。
【0003】図5は例えば特開昭61−267675号
公報に示された従来のエレベーターの非常電力制御装置
を示す全体構成図である。次に、この装置の動作を説明
するが、その詳細については後述するので、ここではそ
の要点について説明する。三相交流電源1の交流はコン
バータ2で直流に変換され、平滑コンデンサ3で平滑さ
れ、インバータ4で可変電圧・可変周波数の交流に変換
されて電動機5が駆動され、かご7が昇降する。
【0004】電動機5の回生運転時(例えば、かご7の
無負荷上昇時)には、充放電制御装置18が動作して、
双方向電力変換装置14を制御して、回生電力は蓄電池
13に蓄電される。また、電動機5の力行運転時(例え
ば、かご7の無負荷下降時)には、交流電源1からイン
バータ4に電力が供給されると同時に、双方向電力変換
装置14により、蓄電池13からも電力が供給され、エ
レベーターの消費電力が低減される。
【0005】また、交流電源1の停電時には、蓄電池1
3の電力によりかご7が運転され、かご7を最寄り階ま
で走行させる停電時救出運転に移行する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のエ
レベーターの非常電力制御装置では、蓄電池13に電動
機5からの回生電力を蓄電し、電動機5の力行運転時に
この電力を利用するようにしているため、蓄電池13の
蓄積電力量(SOC,State of Charg
e)が少ないと、停電時の運転ができないという問題点
がある。また、上記蓄積電力量が運転中に減少し、所定
階に到着できずにかご7が階間で停止し、かご7内に乗
客を閉じ込める事態が発生するという問題点がある。
【0007】この発明は上記問題点を解消するためにな
されたもので、停電時の運転が確実にでき、かつ蓄電池
の蓄積電力量の減少によるかごの階間停止を防止できる
ようにしたエレベーターの非常電力制御装置を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の第1発明に係
るエレベーターの非常電力制御装置は、停電時にインバ
ータに直流電力を供給する蓄電装置の蓄積電力量が、停
電時にかごが走行可能な電力量よりも大になるように制
御するものである。
【0009】また、第2発明に係るエレベーターの非常
電力制御装置は、第1発明のものにおいて、インバータ
の直流側と蓄電装置との間に双方向電力変換装置を接続
し、これを充放電制御装置により制御して、停電時に蓄
電装置の電力によりかごを走行させるようにしたもので
ある。
【0010】また、第3発明に係るエレベーターの非常
電力制御装置は、第2発明のものにおいて、停電時のか
ごの走行に必要な電力量を計算し、蓄電装置の蓄積電力
量がかごの走行に必要な電力量よりも大のとき、停電時
のかごの走行を許可するようにしたものである。
【0011】また、第4発明に係るエレベーターの非常
電力制御装置は、第3発明のものにおいて、停電時のか
ご走行の可否を、かご内又は乗場に設置された報知器に
より報知するようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1及び図2はこ
の発明の第1及び第2発明の一実施の形態を示す図で、
図1は全体構成図、図2は充放電制御装置の動作フロー
チャートである。
【0013】図1において、1は三相交流電源、2は三
相交流電源1に接続され交流を直流に変換するコンバー
タ、3はコンバータ2の直流側に接続された平滑用のコ
ンデンサ、4はコンデンサ3の両端に接続され直流を可
変電圧・可変周波数の三相交流に変換する電圧形のイン
バータ、5はインバータ4の交流側に接続された電動
機、6は電動機5により駆動される巻上機、7は巻上機
により昇降されるかご、8は同じくつり合おもりであ
る。
【0014】9はかご7内に設けられたかご内操作盤
(図示しない)から出力される行先呼び信号、10は各
階の乗場に設けられた乗場ボタン、11はインバータ4
に接続されかご7の運転を制御するエレベーター制御装
置、12は電力蓄積装置で、蓄電装置を構成する蓄電池
13、双方向電力変換装置14及び充放電制御装置15
により構成され、双方向電力変換装置14及び充放電制
御装置15はそれぞれ蓄電池13とインバータ4の直流
電圧との間に接続されている。
【0015】双方向電力変換装置14は、例えば特開昭
61−267675号公報に示されているように、昇圧
チョップ部14a及び降圧チョップ部14b及びリアク
トル14cにより構成され、更に蓄電池13の充放電電
流を検出する電流検出器14d及び平滑用コンデンサ1
4eを有している。充放電制御装置15はコンピュータ
で制御され、蓄電池13の充放電を制御するとともに、
蓄電池13の蓄積電力量が、停電時に必要とする蓄電池
13の最低蓄積電力量以下にならないように管理する機
能を有している。
【0016】次に、この実施の形態の動作を説明する。
三相交流電源1の交流はコンバータ2で直流に変換さ
れ、平滑用コンデンサ3で平滑されてインバータ4に供
給される。インバータ4は入力された直流を可変電圧・
可変周波数の三相交流に変換して電動機5に供給する。
これで、電動機5は回転し、巻上機6を介してかご7及
びつり合おもり8が昇降する。かご7内の行先呼び信号
9及び乗場ボタン10からの乗場呼び信号はエレベータ
ー制御装置11へ入力され、制御装置11はこれらの呼
び情報に応じてインバータ4を制御し、かご7の走行速
度が精度高く制御される。
【0017】例えば、かご7内が無負荷で上昇時のよう
な電動機5の回生運転時には、充放電制御装置15は降
圧チョップ部14bを動作させる。これで、回生電力は
蓄電池13に蓄電される。また、かご7内が無負荷で下
降時のような電動機5の力行運転時には、交流電源1か
らインバータ4に電力が供給される。
【0018】同時に、電動機5の力行運転時には、充放
電制御装置15は昇圧チョップ部14aを動作させる。
これで、蓄電池13からも電力が供給され、エレベータ
ーの消費電力が低減される。また、交流電源1の停電時
には、交流電源1からの電力供給が断たれ、巻上機6に
設けられたブレーキ(図示しない)により、いったんか
ご7は急停止する。しかし、蓄電池13の電力により、
かご7の運転は再開され、停電により階間に停止したか
ご7を最寄り階まで走行させ、乗客の閉込めを防ぐ停電
時救出運転動作に移行する。
【0019】また、停電時にかご7を最寄り階に走行さ
せるのではなく、停電前に登録された階や、あらかじめ
停電時に停止する階として指定された階までかご7を運
転したいという要求や、更には停電後も相当の時間、エ
レベーターを使用したいという顧客からの要求がある場
合は、蓄電池13の電力により要求を満たす運転を続行
する。
【0020】次に、通常運転時における充放電制御装置
15による蓄電池13の蓄積電力量制御動作を、図2を
参照して説明する。ステップS1で制御装置17により
かご7が停止中か走行中かを判断し、走行中であればス
テップS2で電動機5が力行運転か回生運転かを判断す
る。回生運転であればステップS5へ進み、蓄電池13
を充電制御する。力行運転であればステップS3へ進
み、蓄電池13の蓄積電力量が所定値よりも大である
か、すなわち蓄電池13に、停電後に必要とされる電力
が残っているかを判断する。
【0021】蓄電池13の蓄積電力量が所定値以下のと
きは、ステップS1へ戻り、蓄電池13の充放電制御は
実施されず、電動機5は交流電源1の電力で力行運転す
る。蓄電池13の蓄積電力量が所定値よりも大であれ
ば、ステップS4へ進み、蓄電池13を放電制御して、
インバータ4へ電力を供給する。なお、停電時運転とし
て、かご7を最寄り階まで走行させるか、又は精々停電
前にかご7で既に登録された階や、あらかじめ停電時に
停止させる階として指定された階まで運転させる場合、
蓄電池13に停電後に必要とされる電力量は、蓄電池1
3の蓄積電力量に比べれば多くない。
【0022】したがって、蓄電池13の最低蓄積電力量
は、一例として全蓄積電力量の50%程度に設定してお
けば十分である。ここで、ステップS3は蓄電量制御手
段を構成している。このようにして、蓄電池13の蓄積
電力量を、停電時にかご7が走行可能な電力量よりも大
になるように制御しているため、停電後の救出運転を確
実にすることが可能となる。
【0023】実施の形態2.図3及び図4はこの発明の
第3発明の一実施の形態を示す図で、図3は全体構成
図、図4はエレベーター制御装置の動作フローチャート
である。なお、図2は実施の形態2にも共用する。この
実施の形態は、停電後も蓄電池13によって相当時間運
転したい場合に用いるのに適するものである。この場
合、停電前に蓄積された蓄電池13の蓄積電力量をでき
る限り使い込み、長時間運転することを目的とするが、
停電時運転中に蓄積電力量が減少し、所定の階に到着で
きずに階間でかご7が停止し、乗客をかご7内に閉じ込
めるようなことを防止する必要がある。
【0024】図3において、16は原理的には図1の充
放電制御装置15と同様の充放電制御装置であるが、通
常運転時、蓄電池13の蓄積電力量が、停電後に必要と
される蓄電池13の最低蓄積電力量以下にならないよう
に、常に管理するとともに、蓄電池13の蓄積電力量を
少なくとも停電後に、制御装置17へ伝送している。制
御装置17では、蓄電池13の蓄積電力量に基づいて、
かご7の運転を管理している。
【0025】次に、この実施の形態の動作を説明する。
充放電制御装置16の通常時の蓄電池13の蓄積電力量
制御動作は図2と同様である。ただし、長時間運転を考
慮し、最低蓄積電力量は一例として、蓄電池13の全蓄
積電力量の70%程度に設定される。
【0026】ここで、制御装置17の停電後の動作を図
4を参照して説明する。ステップS11で制御装置17
は、登録された一つの呼び(かご又は乗場)が示す階に
走行するのに必要な電力量aを計算する。これは、かご
7に設けられたかご内負荷検出器(図示しない)からの
かご7内負荷状況や、目的階までの走行距離に基づいて
計算される。そして、ステップS12で、この走行に必
要な電力量aが、充放電制御装置16から伝送されてき
た蓄電池13の蓄積電力量以上であるかを比較する。
【0027】その結果、走行電力量aが蓄電池13の蓄
積電力量未満である場合は、ステップS13へ進み、か
ご7の走行が許可され、目的階まで走行する。走行電力
量aが蓄電池13の蓄積電力量以上である場合は、この
処理は終了する。ここで、ステップS11は走行電力量
計算手段を、ステップS12,S13は走行許可手段を
構成している。
【0028】このようにして、交流電源1の停電後、呼
びに応答するための走行電力量aを計算し、これが蓄電
池13の蓄積電力量未満であれば、かご7の走行を許可
するようにしているため、停電後、長時間蓄電池13に
よる運転をする場合、蓄電池13の蓄積電力量低下によ
るかご7の階間停止を防止することが可能となる。
【0029】実施の形態3.この発明の第4発明の一実
施の形態を示す。この実施の形態は、図3のかご7内又
は乗場若しくは両方に、視覚又は聴覚に訴えて報知する
報知器(図示しない)を設けて、これを制御装置17に
接続する。また、図4の一部を変更して、蓄電池13に
よる走行の可否を上記報知器に出力する走行可否報知手
段(図示しない)を設けることにより実現できる。
【0030】また、走行不可の場合、かご7内又は乗場
若しくは両方の呼びボタンに内蔵された呼び登録灯を点
灯させないようにしてもよい。これで、走行可否を乗客
及び待客に知らせることが可能となる。
【0031】実施の形態4.上記各実施の形態では、蓄
電装置として蓄電池13を用いるものとしたが、これに
限るものではなく、他の蓄電装置、例えば電気2重層コ
ンデンサを使用してもよく、同等の効果が得られる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したとおりこの発明の第1発明
では、インバータの直流側に蓄電装置を接続し、第2発
明では、更にインバータの直流側と蓄電装置との間に双
方向電力変換装置を接続し、これを充放電制御装置によ
り制御して、それぞれ蓄電装置の蓄積電力量が停電時に
かごが走行可能な電力量よりも大になるように制御する
ものとしたので、停電後の救出運転を確実にすることが
できる。
【0033】また、第3発明では、停電時のかごの走行
に必要な電力量を計算し、蓄電装置の蓄積電力量がかご
の走行に必要な電力量よりも大のとき、停電時のかごの
走行を許可するようにしたので、停電後、長時間蓄電池
による運転をする場合、蓄電装置の蓄積電力量低下によ
るかごの階間停止を防止することができる。
【0034】また、第4発明では、停電時のかご走行の
可否を、かご内又は乗場に設置された報知器により報知
するようにしたので、走行可否を乗客及び待客に知らせ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示す全体構成図。
【図2】 この発明の実施の形態1を示す充放電制御装
置の動作フローチャート。
【図3】 この発明の実施の形態2を示す全体構成図。
【図4】 この発明の実施の形態2を示すエレベーター
制御装置の動作フローチャート。
【図5】 従来のエレベーターの非常電力制御装置を示
す全体構成図。
【符号の説明】
1 三相交流電源、2 コンバータ、4 インバータ、
5 電動機、7 かご、11 エレベーター制御装置、
12 電力蓄積装置、13 蓄電装置(蓄電池)、14
双方向電力変換装置、15,16 充放電制御装置、
17 エレベーター制御装置。S3 蓄電量制御手段、
S11 走行電力量計算手段、S12,S13 走行許
可手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H02J 9/06 504 H02J 9/06 504A

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 交流電源の電力をコンバータで直流に変
    換し、これをインバータで可変電圧・可変周波数の交流
    に変換して、電動機を駆動してかごを走行させ、上記交
    流電源の停電時上記交流電源の電力を蓄電池の電力に切
    り換え、上記インバータに供給して上記かごを走行させ
    る装置において、上記蓄電装置の蓄積電力量が上記停電
    時に上記かごが走行可能な電力量よりも大になるように
    上記蓄電装置を制御する蓄電量制御手段を備えたことを
    特徴とするエレベーターの非常電力制御装置。
  2. 【請求項2】 交流電源を直流に変換するコンバータ
    に、この直流を可変電圧・可変周波数の交流に変換する
    インバータを接続し、このインバータの交流側にかごを
    駆動する電動機を接続し、上記インバータの直流側に上
    記電動機が力行運転時は電力を放電し、回生運転時は回
    生電力を蓄電する蓄電装置を接続し、この蓄電装置と上
    記インバータの直流側との間に、上記蓄電装置の充放電
    回路を形成する双方向電力変換装置を接続し、この双方
    向電力変換装置に、上記蓄電装置の充放電を制御する充
    放電制御装置を接続し、上記交流電源の停電時上記充放
    電制御装置により上記充放電制御装置を制御して、上記
    蓄電装置の電力により上記かごを走行させる装置におい
    て、上記蓄電装置の蓄積電力量が上記停電時に上記かご
    が走行可能な電力量よりも大になるように上記蓄電装置
    を制御する蓄電量制御手段を備えたことを特徴とするエ
    レベーターの非常電力制御装置。
  3. 【請求項3】 交流電源停電時のかごの走行に必要な電
    力量を計算する走行電力量計算手段と、蓄電装置の蓄積
    電力量が上記かごの走行に必要な電力量よりも大のと
    き、上記停電時のかごの走行を許可する走行許可手段と
    を設けたことを特徴とする請求項2記載のエレベーター
    の非常電力制御装置。
  4. 【請求項4】 かご内又は乗場に報知器を設置し、停電
    時のかご走行の可否の報知を上記報知器に指令する走行
    可否報知手段を設けたことを特徴とする請求項3記載の
    エレベーターの非常電力制御装置。
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