JP6772756B2 - 鋼板形状の矯正装置、矯正方法、および、鋼板の連続酸洗装置 - Google Patents
鋼板形状の矯正装置、矯正方法、および、鋼板の連続酸洗装置 Download PDFInfo
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Description
Δε=ΔL/L …(1)
λ=δ/P …(2)
λ=(2/π)(|Δε|)1/2×100 …(3)
Δεe=Δε0 − T/E (Δε0−T/E≧0のとき)
Δεe=0 (Δε0−T/E<0のとき) …(4)
λ0=(2/π)(Δε0)1/2×100、λe=(2/π)(Δεe)1/2×100…(5)
(i)低コスト化を図るために、光学的に鋼板の形状を測定する形状測定装置をスキンパスミルとテンションレベラとの間に配置し、この形状測定装置により、鋼板の形状を測定する。
(ii)形状測定装置による測定結果に基いて、スキンパスミルの形状制御アクチュエータを動作制御することにより、張力付与下において顕在化している形状不良を、スキンパスミルで矯正する。
(iii)張力付与下において潜在化している形状不良は、形状測定装置で検出しえないため、スキンパスミルによる矯正後も残存する。一方、テンションレベラは、形状不良を引き起こしている伸び率よりも大きい塑性伸びを加えることで、鋼板形状を平坦に矯正することができる装置である。このため、テンションレベラにより加えられる伸び率εTLとして、鋼板に付与されている張力T[kgf/mm2]、鋼板の縦弾性係数E[kgf/mm2]としたときに、εTL>T/Eを満たすように設定することで、潜在化している形状不良を、テンションレベラで矯正する。なお、実際の操業においては、(3)式から明らかなように、急峻度1.5%は伸び差率にして0.055%(=(π/2×0.015)2×100)であるため、この伸び率はテンションレベラで容易に達成可能である。
以下、本発明について説明する。
光学的に鋼板の形状を測定する形状測定装置を用いることにより、低コスト化を図ることが可能になる。また、本発明では、形状測定装置で測定した顕在化している鋼板の形状不良をスキンパスミルで矯正することにより、テンションレベラ入側の形状が見掛け上フラットになるように矯正し、且つ、形状測定装置で測定しえない潜在化している鋼板の形状不良を、εTL>T/Eを満たすように設定されたテンションレベラで矯正する。これにより、張力付与下において顕在化している形状不良のみならず、潜在化している形状不良も自動制御で矯正することができるので、自動制御且つ高精度に鋼板形状を矯正することが可能になる。すなわち、本発明の第1の態様によれば、自動制御且つ、低コスト、高精度に鋼板形状を矯正することが可能な、鋼板形状の矯正装置を提供できる。
安定測定阻害の要因は、水膜層による光の屈折と、水膜表面からの正反射光の影響である。水膜層による光の屈折の影響を受けない形状測定方法としては、鋼板表面に周期的な明暗パターンを投影して、その明暗パターンをカメラにて撮像し、画像処理により明暗パターンピッチ(間隔)を測定し、形状を測定する、周期パターン投影法を用いることができる。一般に使用されるレーザー距離計等のビームスポット位置を検出する三角測距法は、水膜中の光の屈折により誤差が生じるが、周期パターン投影法においては、水膜の有無に観察されるピッチは影響されないため、誤差を生じない。また、正反射部においては、水膜表面からの反射光が強く観察されるため、細波等より水膜表面が乱れるとパターンの周期性が消失する。このためパターン投影法においては、正反射部分が視野内に入らないように、即ち撮像範囲内に入らないように、パターン投影機とカメラの設置角度を調整する。これにより、鋼板形状を高精度に測定することが可能なので、鋼板形状の矯正精度を高めやすくなる。
図2は、本発明の1つの実施形態にかかる鋼板形状の矯正装置10(以下において、単に「矯正装置10」と称することがある。)の形態例を簡略化して示す図である。図2に示した矯正装置10によって形状を矯正される鋼板1は、図2の右側から左側へと向かって進む。
図2に示した矯正装置10は、湿式圧延方式で鋼板1を圧延するスキンパスミル11と、その下流に配置されたテンションレベラ12と、これらの間に配置された形状測定装置13と、を有し、これらを挟むように配置された張力付与装置14、15(入側ブライドルロール14、出側ブライドルロール15)によって鋼板1に張力を付与しながら、鋼板1の形状を矯正する装置である。
形状測定装置による表面角度測定原理を図9および図10に示す。鋼板に対して斜め上方から、角度βで投影部から周期的なパターンを投影し、その鋼板上の周期的なパターンを異なった角度αに設置された撮像部で撮影する。鋼板平坦形状が変化すると、鋼板表面に傾きθが生じ、撮像部で撮影された線状パターンのピッチpmは鋼板表面の傾きに応じて、平坦な時(傾きがない時)の周期的なパターンのピッチpsに対して変化する。このように、鋼板表面の傾きをθとすると、角度α、β、傾き発生時の周期的なパターンのピッチpm、および、平坦な時の周期的なパターンのピッチpsとの間には、幾何学的に下記(6)式の関係が成立する。
tanθ={(pm/ps)−1}/{tanα+(pm/ps)・tanβ} …(6)
この式を用いてパターンピッチから鋼板表面の傾きθを求め、積分することにより、三次元形状を計算することができる。実際には、予め傾きのない平坦なサンプルを測定してpsの分布を求めて校正しておく必要がある。ここで周期的なパターンのピッチは、明部から明部までの距離(画素)を示している。(6)式から、形状測定線に沿った鋼板表面の傾斜角度の分布θ(x)と、pm(x)およびps(x)との間には、(7)式の関係が成立する。
ε(x)=εSx2 + εASx …(8)
例えば、板幅方向におけるドライブサイド(DS)およびワークサイド(WS)の両エッジならびに板幅方向中央の3ヶ所の伸び率を測定する場合は、センター基準に計算した値をεWS、εDSとおくと、WS側がx=+1、DS側がx=−1に相当し、
εWS=εS+εAS、 εDS=εS−εAS
となるので、
εS=(εWS+εDS)/2、εAS=(εWS−εDS)/2 …(9)
と簡便に求めることができる。このようにして得られた伸び率分布の対称成分εSおよび非対称成分εASに関する情報は、制御装置11yからスキンパスミルの形状制御アクチュエータ11xへと送られて、スキンパスミルの動作が制御される。より具体的には、伸び率分布の対称成分εSをスキンパスミル11のロールベンダー装置および/またはVC装置の動作制御に、同非対称成分εASをレベリングの動作制御に、それぞれフィードバックすることで、テンションレベラ12の入側で鋼板1が平坦になるように形状を矯正する。これにより、鋼板1の蛇行も修正することができる。矯正装置10では、このようにして、張力が付与されている鋼板1に顕在化している形状不良を、スキンパスミル11で矯正する。
なお、本実施態様では、スキンパスミル11の制御装置11yで、対称成分εSと非対称成分εASとが算出される例で説明しているが、形状測定装置13の画像解析装置13cにおいて算出し、その後、結果をスキンパスミル11に送信するようにすることも可能である。
図4は、本発明の他の1実施形態にかかる鋼板形状の矯正方法S10(以下において、単に「矯正方法S10」と称することがある。)の流れを説明する図である。図4に示した矯正方法S10は、形状測定工程S11と、分離工程S12と、第1矯正工程S13と、第2矯正工程S14と、を有している。矯正方法S10は、矯正装置10を用いて実施することができる。そこで、図2および図4を適宜参照しつつ、矯正装置10を用いる矯正方法S10について、以下に説明する。
S11は、スキンパスミル11とテンションレベラ12との間に配置された、光学的に形状を測定する形状測定装置13によって、鋼板1の形状を測定する工程である。より具体的には、S11では、投影部13aから鋼板1へ向けて周期的な明暗パターンを投影し、その明暗パターンが撮像部13bで撮像される。撮像部13bによって撮像された明暗パターンは、画像処理されることにより、明暗パターンピッチが特定される。このようにして得られた明暗パターンピッチから、鋼板1の表面の角度分布が特定され、この角度分布を積分することにより、鋼板1の表面形状を測定する。S11では、パターン投影光の正反射光が入らない部分を撮像範囲とし、鋼板1の幅方向の複数箇所の形状を測定することにより、鋼板1の幅方向の伸び率分布を測定することができる。
S12は、S11で測定された鋼板1の幅方向の伸び率分布を、板幅中心に対する対称成分εSと非対称成分εASとに分離する工程である。S11で測定された鋼板の幅方向の伸び率分布を、板幅中心に対する対称成分εSと非対称成分εASとに分離する方法については上述したため、ここでは説明を省略する。
S13は、湿式圧延方式で鋼板1を圧延するスキンパスミル11の動作を制御し、テンションレベラ入側の形状が見掛け上フラットになるように矯正し、鋼板1の形状不良を矯正する工程である。また、S13は、S12で分離された対称成分εSにより、湿式圧延方式で鋼板1を圧延するスキンパスミル11のロールベンダー装置および/またはVC装置の動作を制御し、且つ、S12で分離された非対称成分εASにより、湿式圧延方式で鋼板1を圧延するスキンパスミル11のレベリングの動作を制御することにより、鋼板1の形状不良を矯正する工程である。ここで、見掛け上フラットであるか否かの情報や、対称成分εSおよび非対称成分εASは、形状測定装置13による測定結果から得られる。つまり、S13は、形状測定装置13によって測定された、張力を付与されている鋼板1に顕在化している形状不良を矯正することにより、テンションレベラ12の入側で鋼板1が平坦になるようにする工程である。
S14は、張力付与装置14により鋼板1に付与される張力をT[kgf/mm2]、鋼板1の縦弾性係数をE[kgf/mm2]とするとき、テンションレベラの伸び率εTLがεTL>T/Eを満たすように設定されたテンションレベラ12により、S13で矯正されなかった鋼板1の形状不良を矯正する工程である。
上述のように、S13は、張力を付与されている鋼板1に顕在化している形状不良を矯正する工程であるため、張力を付与されている鋼板1に潜在化している形状不良は、S13では矯正されない。S14は、この潜在化している形状不良を矯正する工程である。
図5は、本発明のさらなる他の1実施形態にかかる連続酸洗装置100の形態例を簡略化して示す図である。図5に示したように、連続酸洗装置100は、上流側から、ペイオフリール20、切断機30、溶接機40、矯正装置10、酸洗槽50、切断機60、および、テンションリール70を順に備えている。さらに、矯正装置10の入側、および、酸洗槽50の出側には、連続的に通される鋼板を一時的に貯蔵するとともに随時払い出するためのルーパーが備えられている。
図6に使用した形状測定装置の構成を示す。明部及び暗部から構成される明暗パターンを鋼板の表面に投影する投影部と、熱延鋼板の表面に投影された明暗パターンを撮像しパターン画像を取得する撮像部と、撮像部で取得したパターン画像を解析する不図示の画像解析装置とを備えている。図6に示したαは、鉛直方向と、圧延方向に平行な方向および鉛直方向を含む平面に撮像部の光軸を射影した直線とが成す角度を意味し、βは、鉛直方向と、圧延方向に平行な方向および鉛直方向を含む平面に投影部の光軸を射影した直線とが成す角度を意味する。今回の評価試験ではα=13.5°、β=25°とした。図8にパターン撮像画像例を示している。この角度条件の場合、視野中下流側(図8の上側)が正反射部となるため、鋼板表面の水膜の影響により、パターンが乱れていることがわかる。このため、この正反射部を外した部分を形状測定範囲に設定した。
上記の平坦度解析プログラムにより、(a)鋼板エッジ線の検出処理、(b)形状測定線の設定処理、(c)形状測定線に沿った平均画素濃度分布の算出処理、(d)形状測定線に沿った鋼板表面の傾斜角度分布および表面形状の算出処理、(e)平坦度(急峻度)の演算処理、(f)溶接点検知等が実行され、平坦度が算出される。この処理は画像を採取する毎に行われ、毎秒10枚程度の画像が処理される。
平坦度解析プログラムとしては、特許第4666272号公報や特許第4666273号公報に記載の公知の構成を種々適用可能であるため、ここではその概要を説明するに留め、その詳細な説明は省略する。
本処理では、撮像部によって取得したパターン画像において、通板方向2箇所においてDSとWSの鋼板エッジ位置座標を検出する。DS、WSそれぞれの2箇所のエッジ位置を結んで画面上の板エッジ線を推定するとともに、予め求めておいた画素分解能と中心座標を用いて、板幅、蛇行量を算出する。蛇行量は形状測定結果とともにスキンパスミルのコントローラへと伝送されて、異常蛇行発生時のライン減速処理等の操業監視に利用される。
本処理では、撮像部によって取得したパターン画像において、パターン画像の横方向(板材の幅方向に相当)に所定のピッチで、パターン画像の縦方向(板材の長手方向に相当)に延びる形状測定線を設定する。
本処理では、撮像部によって取得したパターン画像について、図7に示されるように、千鳥状パターンの縦方向(板材の長手方向)に沿って延びる形状測定線L1上の画素を通って千鳥状パターンの横方向(板材の幅方向)に延び、明部の横方向設定ピッチの2倍以上の長さを有する直線L2上の画素濃度を平均化して、平均画素濃度を算出する。図7のWは、平均画素濃度分布算出領域の板材の幅方向の幅である。
本処理では、平坦度を測定する対象である鋼板について前述のように算出した形状測定線に沿った平均画素濃度分布に基づき、形状測定線に沿った周期的な明暗パターン(千鳥状パターン)の明部の縦方向ピッチの分布pm(x)を算出する。一方、鋼板の通板ルート上に平坦な表面形状を有する基準板について取得したパターン画像における形状測定線に沿った平均画素濃度分布に基づき、形状測定線に沿った周期的な明暗パターン(千鳥状パターン)の明部の縦方向ピッチの分布ps(x)を算出する。pm(x)及びps(x)を算出する方法としては、特許第4666272号公報や特許第4666273号公報に記載のような位相解析法を適用することが可能である。その説明については上述したため、ここでは省略する。
撮像部で撮影した画像からパターンピッチの変化を求めるためには、形状測定対象ライン上での1次元輝度分布波形からパターンピッチ、即ち、空間周波数分布を計算する必要がある。この計算には、元の信号波形データ列から、元信号波形に対して位相がπ/2遅れた波形データ列への変換する離散ヒルベルト変換を用いた。元の輝度分布波形から投影パターンピッチに対応する周波数成分を抽出した波形をg1(x)とし、その振幅をa(x)、空間周波数をf(x)とすると、g1(x)は(10)式で表すことができる。
g1(x)=a(x)cos{φ(x)} …(10)
f(x)=1/(2π)dφ(x)/dx …(11)
元波形g1(x)を離散ヒルベルト変換して得られた、位相がπ/2遅れた波形をg2(x)とする。
g2(x)=a(x)cos{φ(x)−π/2}=a(x)sin{φ(x)} …(12)
ここで、実数部にg1(x)、虚数部にg2(x)を持つ複素信号gan(x)を考える。
gan(x)=a(x)cos{φ(x)}+i・a(x)sin{φ(x)} …(13)
複素信号gan(x)を用いれば、以下の(14)(15)式により、元の輝度分布波形g1(x)での振幅の絶対値|a(x)|、位相角φ(x)を得ることができ、得られた位相角φ(x)を(11)式に代入することにより、空間周波数分布f(x)を求めることができる。
|a(x)|={ Re[gan(x)]2 + Im[gan(x)]2 }1/2 …(14)
φ(x) =arctan{ Re[gan(x)] / Im[gan(x)] } …(15)
一方、(13)式はオイラーの公式により、(16)式の様に変形できる。
gan(x)=a(x)exp{iφ(x)} …(16)
(16)式に含まれるφ(x)は正の値であるため、複素信号gan(x)は負の周波数域に値を持たない。つまり、複素信号gan(x)は、元の信号波形データ列g1(x)に対して離散フーリエ変換を行い、負の周波数に対応する係数をゼロに置き換え、逆離散フーリエ変換した結果に等しいことになる。この離散フーリエ変換を用いる方法は、FFTを用いることにより高速で計算することが可能、且つ、高精度である。今回使用した線状パターンピッチ計算の処理手順を図11に、パターンピッチ計算の処理例を図12に、それぞれ示す。周波数パターン周波数域の制限によるS/Nの向上を行っている。なお、図12の一番上のグラフが図11における1)の処理例、上から2番目のグラフが同2)、同3)の処理例、上から3番目のグラフが同4)の処理例、下から2番目のグラフが同5)の処理例、一番下のグラフが同6)、同7)の処理例である。
本処理では、前述のようにして算出した各形状測定線に沿った鋼板の表面形状に基づき、急峻度を演算する。この急峻度の演算に際しては、まず、各形状測定線に沿った一定の対象区間における表面長さと、その間の直線距離とに基づき、各形状測定線での伸び率を算出する。計算された伸び率は、板幅中央付近の伸び率との差分を計算して相対値にとした後に、移動平均化処理と急峻度換算を行い、スキンパスミルの制御装置へ出力される。ここで、移動平均処理では板幅の3倍以上、即ち4.8m以上(最大板幅1.6m×3)の区間のデータを用いて計算される。
異なるコイルが溶接されている溶接部においては形状の特性が変わるため、溶接部を検知すると移動平均をリセットして、前コイルの測定結果が含まれないようにする必要がある。これらのことは溶接部の段差等によりロール疵が発生すること防止する効果も得られる。溶接点の検出については、上位ラインコントローラの信号から判断するか、形状測定を行う画像処理により判定しても良い。
鋼板表面に水膜が形成された状態で測定した急峻度が正しいかを確認するために、ライン横に板エッジを観察するカメラを設置して、想像された映像から鋼板エッジ部の急峻度を算出して比較を行った結果を図13に示す。両者の差は2σ=0.33%であった。この差にはライン横カメラによる急峻度の測定誤差も含んでいることを考慮すると、今回試験したパターン投影式平坦度計(形状測定装置)の測定精度は2σ=0.2%程度であると推定される。これは、スキンパスミルのロールベンダー装置のフィードバック制御に十分適用可能な測定精度である。
本発明の効果を確認するための試験では、図1に概略を示した形態の矯正装置10を用いた。今回の試験では張力を把握するため、さらに、スキンパスミル11の入側(スキンパスミル11と入側ブライドルロール14との間)とテンションレベラ12の入側(形状測定装置13とテンションレベラ12との間)に接触ロール式の張力計(不図示)を配置し、入側と出側のブライドルロール(張力付与装置)14、15により、矯正される鋼板1に単位断面積当たり約10kgf/mm2の張力を付与した。また、今回使用したスキンパスミル11は4段の圧延機であり、最大90ton/チョックのワークロールベンダー(ロールベンダー装置)を備えており、ロール疵防止のため鋼板上に水を吹き付けながら圧延する湿式圧延を行った。また、テンションレベラ12としては、直径40mmのロールが7本配置された、最大1%の塑性伸びを付与可能なものを使用した。今回の試験では、スケール表面のクラック生成と潜在化した急峻度1.5%以下の形状不良をテンションレベラ12で矯正することを考慮して、スキンパスミル11とテンションレベラ12の伸び率は、それぞれ0.7%と0.3%に設定した。
図14に中伸び発生時の制御結果を示す。図14の上側が急峻度の実績を示す結果であり、図14の下側が和荷重およびベンダー力の実績を示す結果である。図中のDSとWS急峻度は、鋼板中央部を基準としており、エッジ部の伸び率が中央部よりも大きい場合に正、小さい場合に負となるように符号を付与している。図14に示したように、コイル溶接部を通過し、荷重がかかり圧延が開始されると、DSとWSそれぞれの急峻度が負になり、中伸び傾向であることが分かる。そこで、ベンダー圧を自動で減少させて端伸び傾向に制御することで、形状はほぼフラットに制御されている。
10…鋼板形状の矯正装置
11…スキンパスミル
11x…形状制御アクチュエータ
11y…制御装置
12…テンションレベラ
13…形状測定装置
13a…投影部
13b…撮像部
13c…画像解析装置
14、15…張力付与装置
20…ペイオフリール
30、60…切断機
40…溶接機
50…酸洗槽
70…テンションリール
100…連続酸洗装置
Claims (7)
- 鋼板の形状を矯正する矯正装置において、
前記鋼板に張力を付与する張力付与装置と、
制御装置により動作が制御されるスキンパスミルであって、前記張力を付与された鋼板を圧延するスキンパスミルと、
前記圧延された鋼板に塑性伸びを加えるテンションレベラと、
前記スキンパスミルと前記テンションレベラとの間に配置され、前記圧延された鋼板表面に周期的な明暗パターンを投影する投影部と、前記明暗パターンを撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像された前記明暗パターンから前記圧延された鋼板の形状を光学的に測定する画像解析装置と、を備えた、形状測定装置と、
を有し、
前記撮像部は、前記明暗パターンの正反射光が入らない部分を撮像範囲とし、
前記スキンパスミルの制御装置は、前記画像解析装置が測定した前記圧延された鋼板の形状が見掛け上フラットになるように、前記スキンパスミルの動作を制御し、
前記張力付与装置により前記鋼板に付与される単位断面積当たりの張力をT[kgf/mm2]、前記鋼板の縦弾性係数をE[kgf/mm2]とするとき、前記テンションレベラにより加えられる伸び率εTLが
εTL > T/E
を満たすことを特徴とする、鋼板形状の矯正装置。 - 前記スキンパスミルが、湿式圧延方式の圧延機であることを特徴とする、請求項1に記載の鋼板形状の矯正装置。
- 前記形状測定装置により、前記鋼板の幅方向の伸び率分布が測定され、
前記鋼板の幅方向の伸び率分布が、前記鋼板の板幅中心に対する対称成分と非対称成分とに分離され、
前記対称成分により、前記スキンパスミルのロールベンダー装置及びVC装置のうち少なくとも一つの動作が制御され、
前記非対称成分により、前記スキンパスミルのレベリングが制御される
ことを特徴とする、請求項1又は2のいずれか一項に記載の鋼板形状の矯正装置。 - 鋼板の形状を矯正する矯正方法において、
前記鋼板に張力付与装置を用いて張力を付与する張力付与工程と、
制御装置により動作が制御されるスキンパスミルを用いて、前記張力を付与された鋼板を圧延する第1矯正工程と、
前記圧延された鋼板にテンションレベラを用いて塑性伸びを加える第2矯正工程と、
前記スキンパスミルと前記テンションレベラとの間に配置され、前記圧延された鋼板表面に周期的な明暗パターンを投影する投影部と、前記明暗パターンを撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像された前記明暗パターンから前記圧延された鋼板の形状を光学的に測定する画像解析装置と、を備えた、形状測定装置を用いて、前記圧延された鋼板の形状を光学的に測定する形状測定工程と、
を有し、
前記撮像部は、前記明暗パターンの正反射光が入らない部分を撮像範囲とし、
前記スキンパスミルの制御装置は、前記画像解析装置が測定した前記圧延された鋼板の形状が見掛け上フラットになるように、前記スキンパスミルの動作を制御し、
前記張力付与装置により鋼板に付与される単位断面積当たりの張力をT[kgf/mm2]、前記鋼板の縦弾性係数をE[kgf/mm2]とするとき、前記テンションレベラにより加えられる伸び率εTLが
εTL > T/E
を満たす
ことを特徴とする、鋼板形状の矯正方法。 - 前記スキンパスミルが、湿式圧延方式の圧延機であることを特徴とする、請求項4に記載の鋼板形状の矯正方法。
- 前記形状測定装置により、前記鋼板の幅方向の伸び率分布が測定され、
前記鋼板の幅方向の伸び率分布が、前記鋼板の板幅中心に対する対称成分と非対称成分とに分離され、
前記対称成分により、前記スキンパスミルのロールベンダー装置及びVC装置のうち少なくとも一つの動作が制御され、
前記非対称成分により、前記スキンパスミルのレベリングが制御されることを特徴とする、請求項4又は5のいずれか一項に記載の鋼板形状の矯正方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の鋼板形状の矯正装置と、その下流に配置された鋼板表面のスケールを除去する酸洗槽とを有することを特徴とする鋼板の連続酸洗装置。
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