JP2024003856A - 鋼板の矯正機への通板可否判定方法、矯正方法、製造方法、及び矯正機への通板可否判定モデルの生成方法 - Google Patents

鋼板の矯正機への通板可否判定方法、矯正方法、製造方法、及び矯正機への通板可否判定モデルの生成方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2024003856000001
【課題】鋼板の先端部における反り形状に応じて鋼板の矯正機への通板可否を判定可能な鋼板の矯正機への通板可否判定方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る鋼板の矯正機への通板可否判定方法は、少なくとも1対のロールを備える矯正機と、鋼板を矯正機に装入する搬送装置と、鋼板の先端部の反り形状を測定する反り形状測定装置と、を含む鋼板の製造設備における鋼板の矯正機への通板可否判定方法であって、反り形状測定装置を用いて、鋼板が矯正機に装入される前に鋼板の先端部の反り高さ及び反り曲率を測定する反り形状測定ステップと、反り形状測定ステップにおいて測定された鋼板の先端部の反り高さ及び反り曲率に基づいて、鋼板の矯正機への通板可否を判定する通板可否判定ステップと、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼板の矯正機への通板可否判定方法、矯正方法、製造方法、及び矯正機への通板可否判定モデルの生成方法に関する。
鋼板の製造工程において、熱間圧延後の鋼板を冷却する際に鋼板に冷却ムラが発生すると、鋼板製品の平坦度の悪化、残留応力に起因するキャンバーの発生、機械特性のばらつき等の原因となるため、可能な限り均一な冷却が行われるのが好ましい。そのため、熱間圧延後の鋼板を冷却する前に鋼板の平坦度を矯正する場合がある。例えば厚鋼板の製造工程で熱間圧延後の鋼板を加速冷却する場合、冷却ムラの発生を抑制するために、ローラーレベラ等の矯正機によって鋼板の平坦度を矯正してから加速冷却を行うことがある。また、熱延鋼板の製造工程においてラインパイプ素材等の比較的厚物材を製造する場合、粗圧延後の鋼板(シートバー)に反りが生じていると仕上圧延における通板が不安定となるため、粗圧延後の鋼板の平坦度を矯正してから仕上圧延を行うこともある。しかしながら、熱間圧延後の鋼板は、厚み方向の温度差によって先端部に反りを有することが多い。鋼板の先端部に大きな反りがあると、矯正機に鋼板が噛み込まないという問題が生じることがある。また、鋼板の先端部にフィッシュテール形状やタング形状といった不均一な平面形状が形成されている場合、鋼板が矯正機に通板される際、鋼板が矯正ロールと衝突し、鋼板の先端部に折れ曲がりが発生して通板不良となることがある。このような鋼板の矯正機への噛み込みの不具合や通板不良が発生すると、後続の冷却工程や仕上圧延工程の能率が阻害され、大きな機会損失が生じる。
これに対して、従来は鋼板が矯正機に通板される前に目視により先端部の反りが大きいと判断された場合、鋼板の矯正機への通板を中止し、鋼板を一旦熱間圧延機に逆送し、熱間圧延機により反りを矯正してから再び矯正機に通板するような操業がなされていた。また、矯正機の入側に配置されるノックダウンロールを用いて、鋼板の先端部に曲げ変形を付与してから鋼板を矯正機に通板する場合もあった。しかしながら、鋼板を矯正機に通板する前に追加的な工程が加えられると、その間に鋼板の温度が低下し、加速冷却における冷却開始温度を確保できない等、鋼板製品の材質不良の原因となる。そこで、特許文献1には、矯正機の入側に鋼板誘導ガイドを配置する方法が開示されている。これにより、鋼板の先端部に反りがあっても、安定的に鋼板を矯正機に噛み込ませることができるとされている。また、特許文献2には、鋼板の搬送方向に沿って分割された2つの誘導ガイドを矯正機の入側に備え、下流側の誘導ガイドの位置が矯正機の矯正ロールの昇降に同期する装置が開示されている。これにより、鋼板の先端部の反りや板厚が異なる場合であっても、鋼板の矯正機への噛み込みを安定的に行うことができるとされている。また、特許文献3には、鋼板の先端部が矯正機に噛み込まれる際は矯正機のロール押し込み量を所望のロール押し込み量よりも小さくした状態に維持し、その後、所望のロール押し込み量までロール押し込み量を増加させる方法が開示されている。これにより、矯正機への噛み込み時において鋼板に作用する抵抗力を低減し、鋼板の噛み止まりを抑制できるとされている。
特許第5007697号公報 特許第5531772号公報 特開2003-117606号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、鋼板の先端部に反りが発生している場合であっても矯正機への鋼板の噛み込みを可能にするためのものであり、鋼板の先端部の反りが過大になると通板不良の発生を抑制できない。また、特許文献1には、鋼板誘導ガイドの設置角度の好適な条件が記載されているものの、鋼板の先端部の通板不良を完全に防止することは困難である。また、特許文献2に記載の方法も同様であり、通板不良を防止するための誘導ガイドの設置角度の好適範囲の記載はあるものの、通板が可能な鋼板の反り量は開示されていない。また、鋼板の先端部に反りがある場合に鋼板の矯正機への通板可否を事前に判定することはできない。一方、特許文献3には、鋼板の先端部の噛み込みが可能な矯正機のロール押し込み量は、矯正機の設備仕様や鋼板の寸法等をパラメータとして用いて実験や操業実績データから設定することが記載されている。しかしながら、鋼板の先端部の反り量の大小によらず初期のロール押し込み量を設定するため、鋼板の先端部の通板不良を完全に防止することは困難である。また、通板が可能な鋼板の反り量は開示されておらず、鋼板の先端部に反りがある場合に鋼板の矯正機への通板可否を事前に判定することはできない。
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、鋼板の先端部における反り形状に応じて鋼板の矯正機への通板可否を判定可能な鋼板の矯正機への通板可否判定方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、鋼板の矯正機への通板不良の発生を抑制可能な鋼板の矯正方法を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、材質の均一性に優れる鋼板を製造可能な鋼板の製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、鋼板の先端部における反り形状に応じて鋼板の矯正機への通板可否を判定する通板可否判定モデルを生成可能な鋼板の矯正機への通板可否判定モデルの生成方法を提供することにある。
本発明の第一の態様に係る鋼板の矯正機への通板可否判定方法は、少なくとも1対のロールを備える矯正機と、鋼板を前記矯正機に装入する搬送装置と、前記鋼板の先端部の反り形状を測定する反り形状測定装置と、を含む鋼板の製造設備における鋼板の矯正機への通板可否判定方法であって、前記反り形状測定装置を用いて、前記鋼板が矯正機に装入される前に前記鋼板の先端部の反り高さ及び反り曲率を測定する反り形状測定ステップと、前記反り形状測定ステップにおいて測定された鋼板の先端部の反り高さ及び反り曲率に基づいて、前記鋼板の前記矯正機への通板可否を判定する通板可否判定ステップと、を含む。
前記通板可否判定ステップは、前記反り形状測定ステップにおいて測定された鋼板の先端部の反り高さ及び反り曲率に加え、前記鋼板の板厚、板幅、板長さ、重量、及び前記搬送装置による前記矯正機への鋼板の装入速度の中から選択した1つ以上の操業パラメータに基づいて、前記鋼板の前記矯正機への通板可否を判定するステップを含むとよい。
前記鋼板の製造設備は、前記鋼板の先端部の平面形状を測定する平面形状測定装置を備え、前記通板可否判定ステップは、さらに前記平面形状測定装置を用いて前記鋼板が矯正機に装入される前に測定された前記鋼板の先端部の平面形状を用いて前記鋼板の矯正機への通板可否を判定するステップを含むとよい。
本発明の第二の態様に係る鋼板の矯正機への通板可否判定方法は、少なくとも1対のロールを備える矯正機と、鋼板を前記矯正機に装入する搬送装置と、前記鋼板の先端部の反り形状を測定する反り形状測定装置と、を含む製造設備における鋼板の矯正機への通板可否判定方法であって、前記反り形状測定装置によって前記矯正機に装入される前に測定された鋼板の先端部の反り高さ及び反り曲率を入力データとして含み、前記鋼板の前記矯正機への通板可否情報を出力データとした、機械学習により学習された通板可否判定モデルを用いて、前記鋼板の前記矯正機への通板可否を判定するステップを含む。
本発明に係る鋼板の矯正方法は、本発明に係る鋼板の矯正機への通板可否判定方法を用いて、鋼板が前記矯正機に装入される前に前記鋼板の通板可否を判定し、通板不可と判定された場合には、前記鋼板の製造設備の操業条件を再設定するステップを含む。
本発明に係る鋼板の製造方法は、本発明に係る鋼板の矯正方法を用いて鋼板を製造するステップを含む。
本発明に係る鋼板の矯正機への通板可否判定モデルの生成方法は、少なくとも1対のロールを備える矯正機と、鋼板を前記矯正機に装入する搬送装置と、前記鋼板の先端部の反り形状を測定する反り形状測定装置と、を含む鋼板の製造設備における鋼板の矯正機への通板可否を判定するために使用される通板可否判定モデルを生成する鋼板の矯正機への通板可否判定モデルの生成方法であって、前記反り形状測定装置によって前記矯正機に装入される前に測定された鋼板の先端部の反り高さ及び反り曲率を入力実績データとして含み、該入力実績データに対応する前記矯正機への前記鋼板の通板可否情報を出力実績データとした、複数の学習用データを取得し、取得した複数の学習用データを用いた機械学習によって、前記通板可否判定モデルを生成するステップを含む。
本発明に係る鋼板の矯正機への通板可否判定方法によれば、鋼板の先端部における反り形状に応じて鋼板の矯正機への通板可否を判定することができる。また、本発明に係る鋼板の矯正方法によれば、鋼板の矯正機への通板不良の発生を抑制することができる。また、本発明に係る鋼板の製造方法によれば、材質の均一性に優れる鋼板を製造することができる。また、本発明に係る鋼板の矯正機への通板可否判定モデルの生成方法によれば、鋼板の先端部における反り形状に応じて鋼板の矯正機への通板可否を判定する通板可否判定モデルを生成することができる。
図1は、本発明の一実施形態である鋼板の製造設備の構成を示す模式図である。 図2は、図1に示す反り形状測定装置の構成例を示す模式図である。 図3は、図2に示す反り形状解析部の機能を説明するための図である。 図4は、図1に示す反り形状測定装置の他の構成例を示す模式図である。 図5は、平面形状解析部の機能を説明するための図である。 図6は、鋼板の先端部の通板不良を説明するための図である。 図7は、鋼板の矯正機への通板不良が発生する条件を調査した結果の一例を示す図である。 図8は、矯正機への鋼板の通板不良に対する搬送装置による鋼板の装入速度と鋼板の板長さの影響を調べた結果の一例を示す図である。 図9は、機械学習を用いた通板可否判定モデルの生成方法を説明するための図である。 図10は、ニューラルネットワークの構成を示す模式図である。 図11は、実施例及び従来例における誤判定率を示す図である。 図12は、実施例及び比較例における材質不良発生率を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である鋼板の矯正機への通板可否判定方法、矯正方法、製造方法、及び矯正機への通板可否判定モデルの生成方法について詳しく説明する。
〔鋼板の製造設備〕
まず、図1~図5を参照して、本発明が適用される鋼板の製造設備の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である鋼板の製造設備の構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である鋼板の製造設備は、上下方向に配置された少なくとも1対のロールを備える矯正機1、矯正機1に鋼板Sを装入する搬送装置2、及び鋼板Sの先端部の反り形状を測定する反り形状測定装置3を備えている。また、本実施形態の鋼板の製造設備は、鋼板Sの先端部の平面形状を測定する平面形状測定装置4を備えている。但し、平面形状測定装置4はなくてもよい。また、本実施形態の鋼板の製造設備は、鋼板の製造設備の操業条件を設定して制御するための制御用計算機5を備えている。本実施形態の鋼板の製造設備は熱間圧延ラインの一部として配置され、鋼板の製造設備の上流側に配置された1又は2基の圧延機によってリバース圧延が行われた鋼板Sが鋼板の製造設備に搬送される。鋼板の製造設備の下流側には鋼板Sを冷却する冷却設備が配置されてよい。圧延機によって熱間圧延が行われた鋼板Sに対して冷却設備を用いて加速冷却を行うことにより、優れた材質特性を有する厚鋼板を製造することができる。
矯正機1において矯正される鋼板Sは、例えば板厚6~30mm、板幅2000~4500mm、板長さ10~50m、重量8~25tonである。矯正機1に装入される鋼板Sの温度は限定されないが、熱間圧延ラインに配置される矯正機の場合には、650~950℃程度となる。矯正機1は、上下方向(鋼板Sの厚み方向)に配置された少なくとも1対のロールを備え、鋼板Sの形状を矯正する機能を有する。矯正機1は例えばローラーレベラである。ローラーレベラは、上下方向に千鳥状に配置された複数本の矯正ロールを用いて鋼板Sに対して繰り返し曲げ曲げ戻し変形を付与することによって、鋼板Sの形状を平坦化する。矯正ロールは、例えば上側に4~6本、下側に4~6本配置される。一般的なローラーレベラでは、上側の矯正ロールが上フレームに保持され、下側の矯正ロールが下フレームに保持される。そして、下フレームの位置を固定して上フレームを傾動させることにより、鋼板Sの搬送方向において順次異なる曲率の曲げ変形を鋼板Sに付与する。その場合、図1に示す例では、傾動圧下を行う上側の矯正ロールの中で最も上流側の矯正ロール6_1の押し込み量と最も下流側の矯正ロール6_i(i=4~6)の押し込み量が鋼板Sの材質や寸法に応じて予め設定される。但し、矯正ロールの押し込み方式は、傾動式の押し込み方式ではなく、個々の矯正ロールの押し込み量を任意に設定可能な方式としてもよい。また、矯正機1は上下方向に対向配置された1対のロールを備えるものであってよい。これはいわゆる圧延機と同様、上下方向に対向配置された1対のロールによって鋼板Sを押圧し、鋼板Sの形状を矯正するものである。本実施形態では、矯正機1の入側に鋼板誘導ガイド7が配置されている。鋼板誘導ガイド7により鋼板Sの先端部が矯正機1に装入される際の通板不良を低減できるからである。
搬送装置2は、矯正機1の上流側から鋼板Sを搬送し、鋼板Sの先端部を矯正機1に装入するように動作する。搬送装置2は、鋼板の製造設備の搬送テーブルであってよい。その場合、搬送テーブルは複数のゾーンに分割され個別に制御されることがあるが、本実施形態では、矯正機1の上流側にあって、最も矯正機1に近いゾーンの搬送テーブルを搬送装置2という。搬送装置2による鋼板Sの矯正機1への装入速度は、制御用計算機5によって設定される。制御用計算機5は、矯正機1の矯正ロールの押し込み量の設定と共に、矯正ロールの回転速度を設定する。搬送装置2による鋼板Sの装入速度は、矯正ロールの回転速度VLに対して、0.5~0.8VL程度に設定されることが多い。搬送装置2による鋼板Sの装入速度を矯正ロールの回転速度VLよりも小さく設定することにより、鋼板Sが矯正機1に噛み込まれる際の衝撃力を緩和して設備破損を抑制するためである。
反り形状測定装置3は、鋼板Sの先端部の反り形状を測定する。鋼板Sの先端部とは、鋼板Sの搬送方向の先端側となる部分をいう。鋼板Sの先端部は、例えば鋼板Sの先端から1~3mの範囲をいう。鋼板Sの先端部が矯正機1に装入される際に、矯正ロールとの間でスリップ等が発生して通板不良となる場合が多い。反り形状測定装置3は、鋼板Sの先端部の反り量を定量的に特定できる任意の測定装置でよい。例えば反り形状測定装置3は、鋼板Sの先端部を撮像した画像から鋼板Sの輪郭形状を抽出し、画像処理によって鋼板Sの先端部の反り量を特定する画像処理法を用いてよい。また、反り形状測定装置3は、鋼板Sの上方又は下方から所定距離離れた位置に距離計を設置し、鋼板Sの長手方向における高さ分布の情報から鋼板Sの先端部の反り量を特定する距離測定法を用いてもよい。
図2に示すように、画像処理法を用いる反り形状測定装置3は、鋼板Sの先端部の画像を撮像する撮像部(エリアカメラ)3aと、撮像部3aが撮像した画像データから鋼板Sの反り形状を特定する反り形状解析部3bと、を備えている。撮像部3aとして用いるエリアカメラは、カラー方式でも白黒方式でも構わない。撮像素子もCCDやCMOS等の任意の撮像素子を用いることができる。撮像部3aは、赤外線方式のエリアカメラ等、光の波長の中で特定の波長信号を選択的に画像に変換するものであってもよい。撮像部3aとしては、有効画素数が640×480ピクセルのものから4872×3248ピクセル程度のものまで、鋼板Sの先端部の反り形状を画像処理によって特定するために必要な解像度や撮像部3aと鋼板Sの先端部までの距離等に応じて適宜選択できる。本実施形態では、撮像部3aによる鋼板Sの撮像範囲(視野)V1は、鋼板Sの先端部(先端から1~3mの範囲)が1枚の画像に収まるように設定するとよい。撮像部3aは、鋼板Sの搬送方向の側方側から搬送装置2よりもやや上方の位置であって、斜め下に向いて鋼板Sの先端部を撮影するように配置するのが好ましい。但し、搬送装置2とほぼ同一の高さから鋼板Sの側面方向に向けて、概ね水平方向で鋼板Sの先端部を撮影するようにしてもよい。鋼板Sの一方の端面の輪郭を判別しやすいからである。
反り形状解析部3bは、撮像部3aによって撮像された鋼板Sの先端部の画像データから鋼板Sの反り形状を特定する。図3は、反り形状解析部3bの機能を説明するための図である。反り形状解析部3bは、鋼板Sの先端部の画像データの範囲内で画像処理によって鋼板Sの幅方向端部の輪郭を検出(エッジ検出)する。そして、反り形状解析部3bは、鋼板Sの幅方向端部の輪郭から鋼板Sの先端部の反り高さと反り曲率を反り形状として算出する。具体的には、図3に示すように、反り形状解析部3bは、鋼板Sの先端から予め設定された距離Lの位置を基準位置として、基準位置における鋼板Sの高さHと先端の高さとの差を反り高さとして算出する。また、反り形状解析部3bは、基準位置と鋼板Sの先端とを結ぶ近似曲線上の座標を近似する近似円TLを最小二乗法等の近似手法により算出し、その半径の逆数を反り曲率として算出する。画像データの撮像倍率に従って画像データ上の高さや曲率を実際の高さや曲率に換算しておくとよい。鋼板Sの反りが上反りである場合に正、下反りである場合を負として、反り高さや反り曲率の方向を区別できるように算出してもよい。一方、距離測定法を用いて鋼板Sの先端部の反り形状を特定する場合には、図4に示すように、反り形状解析部3bは、鋼板Sの上方から所定距離離れた基準位置に配置された距離計3cを用いて、基準位置から鋼板Sの先端部の高さ情報を取得し、鋼板Sの先端部の高さ情報から鋼板Sの反り形状を特定する。距離計3cの高さ情報の取得方法としては、レーザー光やマイクロ波等の公知技術による手法を用いることができる。また、反り形状解析部3bは、速度計3dを用いて鋼板Sの搬送速度に関する情報を取得する。これにより、鋼板Sの先端からの距離と鋼板Sの先端部の高さ情報とが対応付けられ、上記と同様に、鋼板Sの先端部の反り高さと反り曲率を反り形状として算出することができる。
平面形状測定装置4は、鋼板Sが矯正機1に装入される前に鋼板Sの先端部の平面形状を測定する。平面形状測定装置4としては、鋼板Sの先端部の平面形状を定量的に特定できる測定装置を用いる。例えば平面形状測定装置4は、鋼板Sの先端部を上面から撮像した画像に基づき鋼板Sの輪郭形状を抽出し、画像処理によって鋼板Sの先端部の平面形状を特定する画像処理法を用いてよい。平面形状測定装置4は、鋼板Sの搬送方向の上部から鋼板Sの先端部の上面を撮像する撮像部(エリアカメラ)4a(図1参照)と、撮像部4aが取得した画像データから鋼板Sの平面形状を特定する平面形状解析部4b(図5参照)と、を備えている。撮像部4aとして用いるエリアカメラは、反り形状測定装置3に用いられるものと同様のものを用いてよい。平面形状解析部4bは、撮像部4aによって撮像された鋼板Sの先端部上面の画像データから鋼板Sの平面形状を特定する。図5は、平面形状解析部4bの機能を説明するための図である。図5に示すように、平面形状解析部4bは、鋼板Sの先端部上面の画像データの範囲V2内で画像処理によって鋼板Sの輪郭を検出する。そして、平面形状解析部4bは、鋼板Sの幅方向で最も突出している位置と最も凹んでいる位置との間の長手方向の距離(先端クロップ長)を平面形状の測定値として取得する。この場合、鋼板Sの幅方向で最も突出している位置が、鋼板Sの幅方向の端部側にある場合を正、幅方向の中央部側にある場合を負として、先端クロップ長を定義してよい。
〔鋼板の先端部の通板不良〕
次に、図6~図8を参照して、鋼板の先端部の通板不良について説明する。
鋼板Sの矯正機1への通板(噛み込み)とは、鋼板Sの先端部が矯正機1に到達し、鋼板Sの先端部が全ての矯正ロールの位置を通過する過程をいう。つまり、鋼板Sの先端部が上下方向に配置された矯正ロールの間を通過する前に、鋼板誘導ガイド7や矯正機1のハウジング等に衝突して鋼板Sが矯正ロールを通過しない場合だけでなく、鋼板Sの先端部が一部の矯正ロールの間を通過しているものの鋼板Sと矯正ロールとの間でスリップが生じ、鋼板Sが搬送されずに停止してしまう場合を含む。図6(a)~(c)は、鋼板誘導ガイド7を備える矯正機1に鋼板Sが装入される過程を模式的に示したものである。図6(a)に示すように、矯正機1に装入される際に鋼板Sの先端部の上反りが大きい場合、鋼板Sの先端部が鋼板誘導ガイド7に接触する。このとき、鋼板Sには搬送装置2によって慣性力(運動エネルギー)が付与されているので、鋼板Sが鋼板誘導ガイド7から受ける反力よりも鋼板Sが有する慣性力の方が大きい場合、図6(b)に示すように、鋼板Sの先端部が鋼板誘導ガイド7に誘導されて上下の矯正ロールの間に導かれる。そして、図6(c)に示すように、鋼板Sの先端部が上下の矯正ロールの間を通過する際には、鋼板Sに付与される曲げ仕事に対して、矯正ロールを回転させる駆動力のエネルギーが十分あれば、鋼板Sは矯正機1内を搬送方向に進行して、鋼板Sの先端部が全ての矯正ロールの位置を通過することになる。逆に、鋼板Sが鋼板誘導ガイド7から受ける反力よりも鋼板Sが有する慣性力の方が小さい場合や矯正ロールを回転させる駆動力のエネルギーが十分でない場合には、矯正機1内で鋼板Sの進行が停止して通板不良となる。
本発明者らは、このような矯正機1への鋼板Sの通板不良が発生する条件を検討した結果、以下の知見を得た。まず、先端部の反り高さが大きく板厚が厚い鋼板では、矯正機1への通板不良が発生しやすいことがわかった。これは、反りが大きく、板厚も厚い場合には、鋼板Sの先端部が鋼板誘導ガイド7に衝突した際、鋼板Sの先端部を曲げて矯正ロールを通過させる際の鋼板Sの慣性力による運動エネルギーを大きく消費するためであると考えられる。図7は、鋼板Sの矯正機1への通板不良が発生する条件を調査した結果の一例を示す。図7は、鋼板Sの板厚が25~30mm、板長さが30~32m、搬送装置2による矯正機1への鋼板Sの装入速度(噛み込み速度)が50m/minの操業条件において取得された通板不良の発生条件を示したものである。図7からは、鋼板Sの先端部の反り高さが同一でも鋼板の先端部の反り曲率が小さい場合には通板不良が発生せず、反り曲率が大きい場合に通板不良が発生していることがわかる。一方、図8は、同一の反り高さ及び反り曲率を有する鋼板Sについて、矯正機1への鋼板Sの通板不良に対する、搬送装置2による鋼板の装入速度と鋼板Sの板長さの影響を調べた例である。この場合の鋼板の板厚は25~30mm、先端反り高さは100~120mmである。図8からは、搬送装置2による矯正機1への鋼板Sの装入速度と鋼板Sの板長さが大きいほど、矯正機1への鋼板Sの通板性が向上していることがわかる。これは、鋼板Sが矯正機1に装入される際の慣性力(運動エネルギー)が増加することにより、矯正機1への鋼板Sの噛み込み不良を抑制できたものと考えられる。さらに、本発明者らは、鋼板Sの先端部の平面形状も矯正機1への鋼板Sの通板不良の発生に影響していることを知得した。図5に示すように、鋼板Sの先端部が不均一な形状になると、噛み込み時に局所的に前方に突き出ている部分(先端クロップ部)が折れこみやすい。この先端クロップ部の長さ(先端クロップ長)が長く幅が細いほど、鋼板Sが折れこみやすく鋼板Sの通板不良が発生しやすくなる。例えば板厚30mm、先端反り高さ100mmの鋼板について、先端クロップ長と通板不良の発生有無を調査したところ、先端クロップ長が50mmである鋼板Sについては通板可能であったが、先端クロップ長が200mmの鋼板Sについては通板不良が生じていた。なお、鋼板Sが矯正機1に装入される際の鋼板Sの温度やその温度における鋼板Sの降伏応力が、矯正機1への噛み込み性に影響を与える場合がある。鋼板Sの温度や降伏応力と鋼板Sの先端部が鋼板誘導ガイド7を通過する際の抵抗力との間に相関関係がみられるからである。
〔通板可否判定テーブル〕
次に、本実施形態の鋼板の矯正機への通板可否判定方法において用いる通板可否判定テーブルについて説明する。
本実施形態の鋼板の矯正機への通板可否判定方法では、鋼板Sの先端部の反り高さ及び反り曲率に基づいて矯正機1への鋼板Sの通板可否を判定するために、予め過去の操業実績データ等に基づき通板可否判定テーブルを生成する。具体的には、過去の操業実績を用いて、鋼板Sの先端部の反り高さ及び反り曲率についての実績データの区分毎に、鋼板の製造設備への鋼板Sの噛み込みが可能であったか否かについての実績データを収集して通板可否判定テーブルを生成する。鋼板の先端部の反り高さは4~10区分に分けることができる。例えば反り高さの区分は20~50mm毎に区分するようにしてよい。一方、鋼板の先端部の反り曲率は4~10区分に分けることができる。例えば反り曲率の区分は0.0001~0.0002/mm毎に区分するようにしてよい。それぞれの区分に対応する鋼板の製造設備への鋼板の通板可否に関する実績データについては、通板可否の確率を算出し、予め設定した確率の閾値により鋼板の通板可否情報(通板が可能か否かを判別する情報)を決定するようにしてよい。但し、同一の区分に属する鋼板の中で矯正機1への通板不良が1回でも発生した実績があれば「通板不可(噛み込み不良)」と判定し、全ての鋼板で通板不良が発生しなかった場合に「通板可(噛み込み良)」と判定するようにするのが好ましい。鋼板の製造設備における鋼板Sの通板不良が発生すると、鋼板の製造設備の破損や操業の長時間停止等が発生して操業への影響が大きいため、可能な限り通板不良が発生するリスクを低減するのが好ましいからである。
鋼板Sの先端部の反り高さ及び反り曲率だけでなく、他のパラメータにより細分化された区分で、鋼板の製造設備への鋼板Sの通板性に関する実績データを収集するのが好ましい。例えば鋼板Sの先端部の反り高さ及び反り曲率に加え、鋼板の板厚、板幅、板長さ、重量、及び搬送装置2による鋼板Sの矯正機1への装入速度の中から選択した1つ以上の操業パラメータを用いて区分するのが好ましい。これらの操業パラメータは、鋼板Sが矯正機1に装入される際の鋼板Sの質量又は搬送速度に影響を与え、鋼板Sの慣性力(運動エネルギー)により矯正機1への噛み込み性が変化するからである。一方、鋼板の製造設備が、鋼板Sの先端部の平面形状を測定する平面形状測定装置4を備える場合には、平面形状測定装置4によって測定される鋼板Sが矯正機1に装入される前の鋼板Sの先端部の平面形状を上記区分に加えてもよい。鋼板Sの先端部の平面形状は、鋼板Sの矯正機への噛み込み性に影響を与えるからである。
表1は、過去の操業実績に基づいて、鋼板の先端部の反り高さ、先端部の曲率、先端部の平面形状であるクロップ長さ(先端クロップ長)、鋼板の板長さ、搬送装置2による鋼板Sの矯正機1への装入速度(搬送速度)を区分として、鋼板の製造設備への鋼板Sの通板可否に関する実績データを収集して生成した通板可否テーブルを示す。通板可否を示す「〇」は「噛み込み可(噛み込み良)」を表し、「×」は「通板不可(通板不良)」を表す。そして通板不良が一度でも生じた区分は、通板不良との判定情報をラベリングする。通板可否に関する実績データは、同一区分内で通板不良が一度でも生じた場合に「×」としている。通板可否判定テーブルは、過去の操業実績データのみにより生成する必要はない。例えばそれぞれの区分に対応する操業条件に対して、有限要素法等の数値解析手法を用いて通板可否判定テーブルを生成してもよい。
Figure 2024003856000002
〔鋼板の矯正機への通板可否判定方法〕
次に、本実施形態の鋼板の矯正機への通板可否判定方法について説明する。
通板可否判定テーブルは制御用計算機5の内部の記憶装置等に記憶しておく。そして、操業時には、図1に示すように、鋼板Sが矯正機1に装入される前に反り形状測定装置3を用いて鋼板Sの先端部の反り高さ及び反り曲率を測定する反り形状測定ステップを実行する。反り形状測定ステップは、上記の通り、例えば撮像部3aと反り形状解析部3bを備える反り形状測定装置3により行うことができる。反り形状測定ステップにより特定された鋼板Sの先端部の反り高さ及び反り曲率は、反り形状測定装置3から制御用計算機5に送られる。制御用計算機5は、反り形状測定装置3から取得した鋼板Sの先端部の反り高さ及び反り曲率の測定値に基づいて、通板可否判定テーブルの対応する区分における通板可否に関する情報を参照することにより、鋼板の製造設備における鋼板Sの通板可否を判定する(通板可否判定ステップ)。
鋼板Sの板厚、板幅、板長さ、重量、及び搬送装置2による矯正機1への鋼板Sの装入速度の中から選択した1つ以上の操業パラメータが通板可否判定テーブルに区分として含まれる場合には、これらの操業パラメータは、鋼板の製造設備の操業条件として制御用計算機5の内部に生成される情報であるため、鋼板Sに対する操業パラメータを取得できる。一方、鋼板Sの先端部の平面形状を測定する平面形状測定装置4を備え、鋼板Sの先端部の平面形状が通板可否判定テーブルに区分として含まれる場合には、平面形状測定装置4によって特定される鋼板Sの先端部の平面形状についてのデータを制御用計算機5に送る。これにより、制御用計算機5の内部において通板可否判定テーブルを参照して鋼板の製造設備における鋼板Sの通板可否を判定することができる。
上記の鋼板の通板可否判定方法を用いて、鋼板Sが矯正機1に装入される前に、鋼板の製造設備における鋼板Sの通板可否を判定し、通板可(通板不良なし)と判定された場合には、鋼板の製造設備に対して制御用計算機5が予め設定している操業条件のまま、矯正機1による鋼板Sの矯正を行えばよい。一方、鋼板Sが矯正機1に装入される前に、鋼板の製造設備における鋼板Sの通板可否を判定し、通板不可(通板不良あり)と判定された場合には、鋼板の製造設備の操業条件を再設定する(再設定ステップ)。例えば制御用計算機5が予め設定している矯正機1への鋼板Sの装入速度を増加するように搬送装置2の操業条件を再設定する。また、特許文献3に記載されているように、鋼板Sの先端部が矯正機1に装入される際の矯正ロールの押し込み量を低減するように再設定してもよい。このような鋼板の矯正方法は、厚板製造ラインの圧延機と冷却装置(加速冷却装置)との間に配置されるホットレベラ(熱間矯正機)に適用されるのが好ましい。鋼板の製造設備において鋼板Sが平坦な形状に矯正されるので、冷却装置において鋼板Sの冷却ムラの発生を抑制できる。また、鋼板Sを矯正機1に装入する際に、通板不良によって鋼板Sの処理時間が増加することによる鋼板Sの温度低下を抑制でき、冷却設備において適切な冷却開始温度を確保できるため、所期の材質を確保することができる。
〔通板可否判定モデル〕
次に、図9,図10を参照して、本発明の一実施形態である通板可否判定モデルについて説明する。
上記の通板可否判定テーブルに代えて機械学習により生成した通板可否判定モデルを用いて鋼板Sの通板可否を判定してもよい。具体的には、入力データとして反り形状測定装置3によって矯正機1に装入される前に測定された鋼板Sの先端部の反り高さ及び反り曲率を含み、矯正機1への鋼板Sの通板可否情報を出力データとした、機械学習により学習された通板可否判定モデルを用いて、矯正機1への鋼板Sの通板可否を判定してもよい。また、入力データとして、鋼板Sの板厚、板幅、板長さ、重量、及び搬送装置2による矯正機1への鋼板Sの装入速度の中からから選択した1つ以上の操業パラメータを含むのが好ましい。さらに、入力データとして、平面形状測定装置4を用いて鋼板Sが矯正機1に装入される前に測定した鋼板Sの先端部の平面形状を用いて矯正機1への鋼板Sの通板可否を判定するようにするのが好ましい。これらの入力データは、上記の通り、矯正機1における鋼板Sの通板性と相関関係がみられるからである。
通板可否判定モデルは、過去の操業実績データを用いた機械学習により生成することができる。図9は、機械学習を用いた通板可否判定モデルの生成方法を説明するための図である。図9に示すように、本実施形態の通板可否判定モデル生成部11は、データベース部11aと機械学習部11bを備えている。
データベース部11aは、反り形状測定装置3によって測定された鋼板Sの先端部の反り高さ及び反り曲率の実績データと、鋼板の製造設備における鋼板Sの通板可否情報の実績データを蓄積する。データベース部11aは、必要に応じて、鋼板Sの板厚や板幅等の操業パラメータの実績データや平面形状測定装置4によって測定される鋼板Sの先端部の平面形状(先端クロップ長)の実績データを蓄積してもよい。この場合、通板可否判定モデルの入力実績データとして、鋼板の製造設備の動作を制御するための制御用計算機5に保存されている情報を適宜取得するようにするとよい。また、入力実績データを収集するためにデータ取得部12を設け、データ取得部12において実績データを一旦保存し、複数種の実績データを対応付けたデータセットを生成した後にデータベース部11aに蓄積するようにしてもよい。データベース部11aには、500個以上のデータセットが蓄積される。好ましくは2000個以上、より好ましくは10000個以上である。データベース部11aに蓄積されるデータについては、必要に応じてスクリーニングが行われる場合がある。反り形状測定装置3による反り高さや反り曲率の測定には測定誤差が生じる場合があり、信頼性の高いデータを蓄積することにより通板可否判定モデルの判定精度が向上するからである。一方、データベース部11aに蓄積されるデータセット数は、一定数を上限として、その上限内でデータベース部11aに蓄積されるデータセットを適宜更新してもよい。
機械学習部11bは、データベース部11aに蓄積されたデータセットを用いて、複数の学習用データを用いた機械学習により、鋼板の通板可否情報を予測する通板可否判定モデルMを生成する。学習用データは、鋼板Sの先端部の反り高さ及び反り曲率の実績データを入力実績データ、鋼板Sの通板可否情報の実績データを出力実績データとする。通板可否判定モデルMを生成するための機械学習モデルは、実用上十分な鋼板Sの通板可否情報の判定精度が得られれば、いずれの機械学習モデルでもよい。例えば一般的に用いられるニューラルネットワーク(深層学習や畳み込みニューラルネットワーク等を含む)、決定木学習、ランダムフォレスト、サポートベクター回帰等を用いればよい。また、複数のモデルを組み合わせたアンサンブルモデルを用いてもよい。また、k―近傍法やロジスティック回帰のような分類モデルを用いてもよい。例えば図10に示すような一般的なニューラルネットワークを用いた機械学習により通板可否判定モデルMを生成することができる。なお、図10中の符号L1,L2,L3はそれぞれ入力層、中間層、及び出力層を示す。特に深層学習を用いると、多重共線性の問題を考慮する必要なく、鋼板Sの通板可否情報と相関関係を有する他の操業パラメータも入力として自由に選択できるため、鋼板Sの通板可否判定の推定精度を高めることができる。例えばニューラルネットワークの中間層は2層、ノード数は3個ずつとし、活性化関数としてシグモイド関数を用いたものを用いることができる。出力層にはソフトマックス関数を用いて鋼板Sの通板可否情報を2値分類結果として出力するのが好ましい。
機械学習部11bは、データベース部11aに蓄積されたデータセットを訓練データとテストデータに分けて学習を行うことにより鋼板Sの通板可否情報の推定精度を向上させてもよい。例えば機械学習部11bは、訓練データを用いてニューラルネットワークの重み係数の学習を行い、テストデータでの鋼板Sの通板可否情報の正解率が高くなるようにニューラルネットワークの構造(中間層の数やノード数)を適宜変更しながら通板可否判定モデルMを生成してもよい。重み係数の更新には、誤差伝播法を用いることができる。通板可否判定モデルMは、例えば6ヶ月毎又は1年毎に再学習により新たなモデルに更新してもよい。データベース部11aに保存されるデータ数が増えるほど、精度の高い鋼板Sの通板可否情報の予測が可能となるからである。最新のデータに基づいて通板可否判定モデルMを更新することにより、鋼板の製造設備に装入される鋼板Sの製造条件の変化等を反映した通板可否判定モデルMを生成できる。
本発明の実施例として、図1に示す鋼板の製造設備を、厚板圧延ラインに配置されるリバース圧延機の下流側にローラーレベラとして配置した例について説明する。本実施例では、ローラーレベラの上流側に反り形状測定装置3及び平面形状測定装置4を配置した。これらはCCDカメラによって鋼板先端部の画像を撮影し、画像処理法により鋼板先端部の反り高さ、反り曲率、及び平面形状(先端クロップ長)を算出した。また、鋼板の製造設備の操業データとして、鋼板Sの板厚、板長さ、矯正機1に装入される際の鋼板温度及び装入速度を取得した。そして、約半年間の操業実績データを用いて通板可否判定テーブルを生成した。通板可否判定テーブルの区分は、鋼板Sの先端部の反り高さ、反り曲率、先端クロップ長、板厚、板長さ、鋼板温度、及び装入速度の7つのパラメータをそれぞれ10区分して、過去の操業において通板不良が発生したものがある区分を「×」、通板不良が発生しなかった区分を「〇」とした。そして、通板可否判定テーブルを制御用計算機5の記憶部に記憶させ、制御用計算機5の内部に通板可否判定部を備えるようにした。一方、図10に示すニューラルネットワークを用いた機械学習により、中間層を2層、出力層にソフトマックス関数を用いた通板可否判定モデルMを生成した。通板可否判定モデルMを生成する際の入力実績データには、通板可否判定テーブルの区分と同様、鋼板先端部の反り高さ、反り曲率、先端クロップ長さ、板厚、板長さ、鋼板温度、及び装入速度の7つのパラメータを用いた。また、過去の操業において通板不良が発生したものがある区分を「通板不良あり(×)」、通板不良が発生しなかった区分を「通板不良なし(〇)」とする出力実績データとした。そして、生成した通板可否判定モデルMも制御用計算機5の記憶部に記憶させ、制御用計算機5の内部に通板可否判定部を備えるようにした。
その後、操業時において、鋼板Sが矯正機1に装入される前に、鋼板の製造設備における鋼板Sの通板可否を判定した。但し、鋼板Sの通板可否についての判定結果にかかわらず、鋼板の製造設備の操業条件を再設定することなく、初期設定のまま矯正機1により鋼板Sの矯正を行った。実施例1では、予め生成した通板可否判定テーブルを用いて通板可(通板不良なし)と判定した場合であって、実際には鋼板Sの矯正機1への通板不良が発生したケースの割合を誤判定率とした。また、実施例2では、通板可否判定モデルMを用いた通板可否判定の結果についても同様に誤判定率を評価した。一方、従来例として、鋼板の製造設備の操業を担当するオペレータが目視により鋼板先端部の反り状態を確認し、オペレータが通板可と判定したものの実際には通板不良が発生した割合を評価した。図11は、板厚20~40mmである20000枚の鋼板に対して誤判定率を評価した結果である。図11に示すように、従来例に比べて、実施例1による誤判定率が低下していることがわかる。また、実施例2によれば、さらに誤判定率が低下することがわかった。
次に、実施例2で作成した通板可否判定モデルMをオンラインで使用して鋼板Sが矯正機1に装入される前に通板可否判定ステップにおいて鋼板の通板可否を判定した。そして、「通板不良なし(〇)」と判定した場合には、制御用計算機5が予め設定した操業条件のまま矯正機1によって矯正を行った。一方、「通板不良あり(×)」と判定した場合には、矯正機1の操業条件の中で矯正機1への鋼板Sの装入速度を当初の設定値に対して増加させて操業を行った。その結果、図12に示すように、鋼板の製造設備の操業条件を再設定した場合(実施例)には、再設定しない場合(比較例)に比べて材質不良(鋼板の機械的性質が目標範囲外となる不良)の発生率が低下した。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 矯正機
2 搬送装置
3 反り形状測定装置
3a,4a 撮像部(エリアカメラ)
3b 反り形状解析部
3c 距離計
3d 速度計
4 平面形状測定装置
4b 平面形状解析部
5 制御用計算機
11 通板可否判定モデル生成部
11a データベース部
11b 機械学習部
12 データ取得部
M 通板可否判定モデル
S 鋼板

Claims (7)

  1. 少なくとも1対のロールを備える矯正機と、鋼板を前記矯正機に装入する搬送装置と、前記鋼板の先端部の反り形状を測定する反り形状測定装置と、を含む鋼板の製造設備における鋼板の矯正機への通板可否判定方法であって、
    前記反り形状測定装置を用いて、前記鋼板が矯正機に装入される前に前記鋼板の先端部の反り高さ及び反り曲率を測定する反り形状測定ステップと、
    前記反り形状測定ステップにおいて測定された鋼板の先端部の反り高さ及び反り曲率に基づいて、前記鋼板の前記矯正機への通板可否を判定する通板可否判定ステップと、
    を含む、鋼板の矯正機への通板可否判定方法。
  2. 前記通板可否判定ステップは、前記反り形状測定ステップにおいて測定された鋼板の先端部の反り高さ及び反り曲率に加え、前記鋼板の板厚、板幅、板長さ、重量、及び前記搬送装置による前記矯正機への鋼板の装入速度の中から選択した1つ以上の操業パラメータに基づいて、前記鋼板の前記矯正機への通板可否を判定するステップを含む、請求項1に記載の鋼板の矯正機への通板可否判定方法。
  3. 前記鋼板の製造設備は、前記鋼板の先端部の平面形状を測定する平面形状測定装置を備え、
    前記通板可否判定ステップは、さらに前記平面形状測定装置を用いて前記鋼板が矯正機に装入される前に測定された前記鋼板の先端部の平面形状を用いて前記鋼板の矯正機への通板可否を判定するステップを含む、請求項1又は2に記載の鋼板の矯正機への通板可否判定方法。
  4. 少なくとも1対のロールを備える矯正機と、鋼板を前記矯正機に装入する搬送装置と、前記鋼板の先端部の反り形状を測定する反り形状測定装置と、を含む製造設備における鋼板の矯正機への通板可否判定方法であって、
    前記反り形状測定装置によって前記矯正機に装入される前に測定された鋼板の先端部の反り高さ及び反り曲率を入力データとして含み、前記鋼板の前記矯正機への通板可否情報を出力データとした、機械学習により学習された通板可否判定モデルを用いて、前記鋼板の前記矯正機への通板可否を判定するステップを含む、鋼板の矯正機への通板可否判定方法。
  5. 請求項1又は4に記載の鋼板の矯正機への通板可否判定方法を用いて、鋼板が前記矯正機に装入される前に前記鋼板の通板可否を判定し、通板不可と判定された場合には、前記鋼板の製造設備の操業条件を再設定するステップを含む、鋼板の矯正方法。
  6. 請求項5に記載の鋼板の矯正方法を用いて鋼板を製造するステップを含む、鋼板の製造方法。
  7. 少なくとも1対のロールを備える矯正機と、鋼板を前記矯正機に装入する搬送装置と、前記鋼板の先端部の反り形状を測定する反り形状測定装置と、を含む鋼板の製造設備における鋼板の矯正機への通板可否を判定するために使用される通板可否判定モデルを生成する鋼板の矯正機への通板可否判定モデルの生成方法であって、
    前記反り形状測定装置によって前記矯正機に装入される前に測定された鋼板の先端部の反り高さ及び反り曲率を入力実績データとして含み、該入力実績データに対応する前記矯正機への前記鋼板の通板可否情報を出力実績データとした、複数の学習用データを取得し、取得した複数の学習用データを用いた機械学習によって、前記通板可否判定モデルを生成するステップを含む、鋼板の矯正機への通板可否判定モデルの生成方法。
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