JP5233372B2 - 鋼板の反り検出システム及び方法 - Google Patents

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本発明は、熱間圧延設備に用いて好適な鋼板の反り検出システム及び方法に関する。
熱間圧延設備では、粗圧延機で中間板厚まで圧延した鋼板(粗バー)を、仕上圧延機で製品板厚まで圧延する。近年の熱間圧延設備では、加熱炉操業の高効率化から燃料原単位の削減が図られ、スラブ加熱温度の低下や均熱不足によって生じる粗バーの低温部を加熱して温度上昇させるために、仕上圧延機の入側に加熱装置を配置している。
ところで、粗バーの先端には、加熱炉でのスラブ表裏温度偏差、圧延中における鋼板の表裏の熱損失量の相違に起因する温度偏差等により、上反りが発生する。そのため、上反りの発生した粗バーの先端が加熱装置に衝突しないように、なんらかの回避策をとる必要がある。
上記のような課題に鑑みて、特許文献1には、エッジヒータの入側に板反りを矯正する平坦度矯正装置を配置するとともに、平坦度矯正装置の入側及び出側にそれぞれ板先端反り検出器を設置した熱間圧延設備が開示されている。
特開平5−329519号公報
鋼板の先端の上反りを検出する手法として、例えば図11に示すように、搬送ラインの上方に距離計を設置しておき、搬送される粗バーの先端が計測位置にきたときに、粗バーの表面との距離を計測して反りを検出するものがある。
しかしながら、この場合、粗バーの板幅方向(紙面の垂直方向)の一点でしか距離を計測することができない。一方、粗バーの先端の上反りは板幅方向にばらついて発生し、一つの距離計で検出した上反りが最大であるとは限らない。そのため、最大の反りを確実に検出するためには板幅方向に複数の距離計を設置しなければならず、コストアップの要因となってしまう。
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、複数の計測機器を設置しなくても、鋼板の先端の最大の反りを検出できるようにすることを目的とする。
本発明の鋼板の反り検出システムは、搬送される鋼板の側方で、かつ、撮影中心の高さ位置が搬送される鋼板の最小板厚の表面位置レベルから100mm上方までの範囲内となるように設置された撮像装置と、前記撮像装置により撮影した鋼板の先端を含む画像に基づいて、鋼板の先端の反りを検出する反り検出装置とを備え前記鋼板は熱間鋼板であり、前記反り検出装置は、前記撮像装置による撮影画像上で搬送方向の上流側に第1のエリアを、下流側に第2のエリアを設定し、前記各エリアにおいて画像を2値化し、白部分の面積が所定の閾値を超えていれば熱間鋼板が写っていると判定するものとして、前記第1のエリアに熱間鋼板が写っており、かつ、前記第2のエリアに熱間鋼板が写っていないと判定した場合に、該撮影画像上で明度に基づいて搬送方向における熱間鋼板の先端位置を検出する先端位置検出手段と、前記撮像装置による撮影画像上で、前記先端位置検出手段により検出された熱間鋼板の先端位置から、搬送方向と逆方向に複数の反り検出エリアを設定する反り検出エリア設定手段と、前記反り検出エリア設定手段により設定された各反り検出エリアで、明度に基づいて熱間鋼板の板厚方向の表面側エッジ位置を検出するエッジ位置検出手段と、前記エッジ位置検出手段により検出された各検出エリアの表面側エッジ位置のうち最大の表面側エッジ位置の、熱間鋼板のパスラインからの高さを最大反り量として求める最大反り量演算手段とを備えたことを特徴とする
本発明の鋼板の反り検出方法は、搬送される熱間鋼板を側方から撮影する撮像装置を用いた鋼板の反り検出方法であって、前記撮像装置による撮影画像上で搬送方向の上流側に第1のエリアを、下流側に第2のエリアを設定し、前記各エリアにおいて画像を2値化し、白部分の面積が所定の閾値を超えていれば熱間鋼板が写っていると判定するものとして、前記第1のエリアに熱間鋼板が写っており、かつ、前記第2のエリアに熱間鋼板が写っていないと判定した場合に、該撮影画像上で明度に基づいて搬送方向における熱間鋼板の先端位置を検出する先端位置検出手順と、前記撮像装置による撮影画像上で、前記先端位置検出手段により検出された熱間鋼板の先端位置から、搬送方向と逆方向に複数の反り検出エリアを設定する反り検出エリア設定手順と、前記反り検出エリア設定手順により設定された各反り検出エリアで、明度に基づいて熱間鋼板の板厚方向の表面側エッジ位置を検出するエッジ位置検出手順と、前記エッジ位置検出手順により検出された各検出エリアの表面側エッジ位置のうち最大の表面側エッジ位置の、熱間鋼板のパスラインからの高さを最大反り量として求める最大反り量演算手順とを有することを特徴とする。
本発明によれば、一台の撮像装置により鋼板の先端の最大の反りを確実かつ精度良く検出することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した鋼板の反り検出システム、鋼板の加熱システムを含む熱間圧延設備の一部を示す平面図である。本実施形態の熱間圧延設備では、上流側から順に粗圧延機600、仕上圧延機700が配置されており、仕上圧延機700の入側に加熱装置(均熱ヒータ)400が配置されている。
図1において、100は撮像装置(CCDカメラ)であり、搬送ローラ500により搬送される粗圧延後の熱間鋼板S(以下、単に鋼板Sと記する)を側方から撮影する。本実施形態では、撮像装置100による撮影は、高温となっている鋼板S自身の発光による自発光撮影としている。図10は、撮像装置100による実際の撮影画像をモニタに表示した状態を模式的に図示したものであるが、同図に示すように、撮像装置100による撮影画像は、鋼板Sが明るく(白く)、背景が暗い(黒い)画像となる。
撮像装置100は、図2にも示すように、搬送される鋼板Sの側方で、かつ、撮影中心(撮影光軸100a)の高さ位置が搬送される鋼板Sの最小板厚の表面位置レベルから100mm上方までの範囲内となるように設置されている。撮像装置100の中心位置を少なくとも鋼板Sの表面位置レベルか、そのレベルより上方にしないと鋼板Sの板幅方向にわたって撮影できなくなり、また、100mm以上になると撮影画像の分解能が悪くなり、いずれも精度良く反り判定できなくなる。
また、撮像装置100と鋼板Sとの距離Lは、鋼板Sの最大幅Wを考慮した上で、検出したい最大上反り量が含まれる視野範囲を確保するように設定する。熱間圧延設備において複数の板幅寸法の鋼板Sを取り扱う場合は、撮像装置100を撮影光軸100a方向の前後に移動可能としてもよい。
撮像装置100は、一定の周期t[s]で撮影を実行する。また、粗圧延後の鋼板Sは速度v[m/s]で搬送されるものとする。この場合、撮影周期t[s]で鋼板Sが進む距離はv×103×t[mm]である。反り検出に必要な長さをx[mm]とすると、図3に示すように、撮像装置100の搬送方向の撮影範囲が(v×103×t)+x[mm]以上となるようにしている。
200は反り検出装置であり、撮像装置100により撮影した鋼板Sの先端を含む画像に基づいて、鋼板Sの先端の上反りを検出する。反り検出装置200は、図4に示すように、先端画像判定部201、先端位置検出部202、反り検出エリア設定部203、エッジ位置検出部204、最大反り量演算部205を備える。また、撮像装置100による撮影画像等を表示する画像表示部(モニタ)206を備える。
以下、図9のフローチャートも参照して、反り検出装置200の各部の処理動作について説明する。先端画像判定部201は、撮像装置100による撮影画像が、鋼板Sの先端を含む画像(以下、「先端画像」と称する)であるか否かを判定する。図3に示すように、撮影画像上において、搬送方向の上流側にエリアE1を設定し、下流方向にエリアE2を設定する。エリアE1において、画像を2値化し、白部分の画素数を得て、白部分の面積が所定の閾値を超えていれば、エリアE1に鋼板Sが写っていると判定する。同様に、エリアE2において、画像を2値化し、白部分の画素数を得て、白部分の面積が所定の閾値を超えていれば、エリアE2に鋼板Sが写っていると判定する。そして、エリアE1に鋼板Sが写っており、かつ、エリアE2に鋼板Sが写っていないと判定したならば(すなわち、図3の状態)、該撮影画像は先端画像であると判定する。
先端画像判定部201により先端画像であると判定された場合のみ、以下の各部202〜205による処理を開始する(図9のステップS1)。これにより、各部202〜205で不要な処理を実行するのを避けることができる。
先端位置検出部202は、先端画像判定部201により先端画像であると判定された場合、この先端画像上で、明度に基づいて搬送方向における鋼板Sの先端位置を検出する(図9のステップS2)。図5に示すように、先端画像上において、先端位置検出エリアE3を設定する。先端位置検出エリアE3は、先端画像の全体から鋼板Sの先端が写ることのない領域を除いた領域である。このように先端画像の全体ではなく、先端位置検出エリアE3で鋼板Sの先端位置を検出することにより、画像処理の高速化を図ることができる。
具体的には、図6(a)に示すように、先端位置検出エリアE3において、まず搬送方向(水平方向)の各位置で、縦方向(上下方向)に明度を積算する。次に、図6(b)に示すように、明度の変化箇所を捉えやすくするために微分処理を施す。そして、図6(c)に示すように、所定の閾値と一致する位置を探し、搬送方向における鋼板Sの先端位置とする。
図6(c)において、所定の閾値と一致する位置(鋼板Sの先端位置)を探す場合に、x0側から(図6(c)の左側)から探す方法と、xend側(図6(c)の右側)から探す方法とが考えられる。すなわち、撮影画像上で色が白から黒に変わる位置を探す方法と、黒から白に変わる位置を探す方法である。いずれを採用するかは、実機に応じて予め決めておけばよい。本実施形態では、xend側から探す(撮影画像上で色が黒から白に変わる位置を探す)ようにしているが、この場合には、鋼板Sの模様(撮影画像では黒く写る)を先端位置と誤認するのを防ぐことができる。
反り検出エリア設定部203は、図7に示すように、先端位置検出部202により検出された鋼板Sの先端位置から、搬送方向と逆方向に複数の反り検出エリアE4を設定する(図9のステップS3)。各反り検出エリアE4は、所定の幅及び高さを有する縦長の矩形状をなし、搬送方向に一定のピッチで並べられる。
各反り検出エリアE4の高さは、基準高さ(パスライン)H0から設備保護に必要な高さを考慮して設定する。本実施形態では、鋼板Sの板厚方向の表面側エッジ位置を検出するので、各反り検出エリアE4の下辺位置を、基準高さH0+10[mm]の位置としている。なお、粗圧延後の鋼板Sの板厚は30[mm]前後である。
エッジ位置検出部204は、反り検出エリア設定部203により設定された各反り検出エリアE4で、明度に基づいて鋼板Sの板厚方向の表面側エッジ位置を検出する(図9のステップS4)。
具体的には、図8(a)、(b)に示すように、各反り検出エリアE4において、まず縦方向(上下方向)の各位置で、搬送方向(水平方向)に明度を積算する。次に、図8(c)に示すように、明度の変化箇所を捉えやすくするために微分処理を施す。さらに、図8(d)に示すように、波形をなまらせるために移動平均をとる。波形をなまらせるのは、鋼板Sの上方に水滴等が存在し(図10に示すように、撮影画像において白く写る)、こういった外乱の影響を抑えるためである。そして、図8(e)に示すように、所定の閾値と一致する位置を探し、鋼板Sの板厚方向の表面側エッジ位置を検出する。なお、所定の閾値と一致する位置を探す場合に、y0側(図8(e)の下側)から探す方法と、yend側(図8(e)の上側)から探す方法とが考えられるが、いずれを採用するかは、実機に応じて予め決めておけばよい。
最大反り量演算部205は、エッジ位置検出部204により検出された各検出エリアE4の表面側エッジ位置のうち最大のものが鋼板Sの最大上反りを表すとして、最大上反り量を演算する(図9のステップS5)。ここでは、最大上反り量を、基準高さH0からの高さとして求める。なお、演算した最大上反り量をログに残し、該先端画像も保存しておく。
以上述べたように、一台の撮像装置100により鋼板Sの先端の最大の反りを検出することができる。なお、CCDカメラでは、温度変化が大きいと、十分なダイナミックレンジを確保することが難しくなるが、測定したい部位の温度を調査した結果、略1000[℃]程度に安定しており、事前にCCDカメラを設置しオンラインテストした結果、高温材(1050[℃]以上)でブルーミングが発生しない程度にハレーション気味にF値を設定してやれば、低温材(900[℃]以下)においても明度30〜50(レンジ0〜255)程度で撮影可能であることが判明した。この場合は、CCD画像処理方式(自発光撮影)でも実現可能である。
本発明の反り検出装置は、具体的にはCPU、各種メモリを備えたコンピュータ装置により実現可能である。また、図1では、反り検出装置200を一つの機器として図示したが、複数の機器により構成してもよい。
また、本発明の目的は、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給することによっても達成される。この場合、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
本実施形態の熱間圧延設備の一部を示す平面図である。 撮像装置と鋼板との位置関係を説明するための図である。 撮像装置の搬送方向の撮影範囲を説明するための図である。 反り検出装置の機能構成を示すブロック図である。 撮影画像の一例を示す図である。 搬送方向における鋼板の先端位置を検出する処理例を説明するための図である。 撮影画像の一例を示す図である。 鋼板の板厚方向の表面側エッジ位置を検出する処理例を説明するための図である。 反り検出装置及び制御装置の処理動作を示すフローチャートである。 実際の撮影画像をモニタに表示した状態の模式図である。 従来の反り検出手法を説明するための図である。
符号の説明
100 撮像装置
200 反り検出装置
201 先端画像判定部
202 先端位置検出部
203 反り検出エリア設定部
204 エッジ位置検出部
205 最大反り量演算部
206 画像表示部

Claims (2)

  1. 搬送される鋼板の側方で、かつ、撮影中心の高さ位置が搬送される鋼板の最小板厚の表面位置レベルから100mm上方までの範囲内となるように設置された撮像装置と、
    前記撮像装置により撮影した鋼板の先端を含む画像に基づいて、鋼板の先端の反りを検出する反り検出装置とを備え、
    前記鋼板は熱間鋼板であり、
    前記反り検出装置は、
    前記撮像装置による撮影画像上で搬送方向の上流側に第1のエリアを、下流側に第2のエリアを設定し、前記各エリアにおいて画像を2値化し、白部分の面積が所定の閾値を超えていれば熱間鋼板が写っていると判定するものとして、前記第1のエリアに熱間鋼板が写っており、かつ、前記第2のエリアに熱間鋼板が写っていないと判定した場合に、該撮影画像上で明度に基づいて搬送方向における熱間鋼板の先端位置を検出する先端位置検出手段と、
    前記撮像装置による撮影画像上で、前記先端位置検出手段により検出された熱間鋼板の先端位置から、搬送方向と逆方向に複数の反り検出エリアを設定する反り検出エリア設定手段と、
    前記反り検出エリア設定手段により設定された各反り検出エリアで、明度に基づいて熱間鋼板の板厚方向の表面側エッジ位置を検出するエッジ位置検出手段と、
    前記エッジ位置検出手段により検出された各検出エリアの表面側エッジ位置のうち最大の表面側エッジ位置の、熱間鋼板のパスラインからの高さを最大反り量として求める最大反り量演算手段とを備えたことを特徴とす鋼板の反り検出システム。
  2. 搬送される熱間鋼板を側方から撮影する撮像装置を用いた鋼板の反り検出方法であって、
    前記撮像装置による撮影画像上で搬送方向の上流側に第1のエリアを、下流側に第2のエリアを設定し、前記各エリアにおいて画像を2値化し、白部分の面積が所定の閾値を超えていれば熱間鋼板が写っていると判定するものとして、前記第1のエリアに熱間鋼板が写っており、かつ、前記第2のエリアに熱間鋼板が写っていないと判定した場合に、該撮影画像上で明度に基づいて搬送方向における熱間鋼板の先端位置を検出する先端位置検出手順と、
    前記撮像装置による撮影画像上で、前記先端位置検出手段により検出された熱間鋼板の先端位置から、搬送方向と逆方向に複数の反り検出エリアを設定する反り検出エリア設定手順と、
    前記反り検出エリア設定手順により設定された各反り検出エリアで、明度に基づいて熱間鋼板の板厚方向の表面側エッジ位置を検出するエッジ位置検出手順と、
    前記エッジ位置検出手順により検出された各検出エリアの表面側エッジ位置のうち最大の表面側エッジ位置の、熱間鋼板のパスラインからの高さを最大反り量として求める最大反り量演算手順とを有することを特徴とする鋼板の反り検出方法。
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