JP2008107241A - 金属ストリップの板形状測定方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】設備空間及び設備費用が低減されて従来よりも経済性に優れ、且つ非常に簡便な金属ストリップの板形状測定方法及び装置を提供する。
【解決手段】搬送ライン上で搬送される搬送方向に沿って板幅の3倍以上の間隔をあけて2つの金属ストリップ支持手段を設置し、前記2つの支持手段間の所定の計測位置で板幅方向に沿った金属ストリップ(鋼板)Iの反り量を計測し、当該計測結果に基づいて簡単な所定の式から金属ストリップIの板幅方向の張力差Tを算出し、当該算出した金属ストリップIの板幅方向の張力差Tに基づいて別の簡単な所定の式から金属ストリップの板形状の急峻度fを求める。
【選択図】図1
【解決手段】搬送ライン上で搬送される搬送方向に沿って板幅の3倍以上の間隔をあけて2つの金属ストリップ支持手段を設置し、前記2つの支持手段間の所定の計測位置で板幅方向に沿った金属ストリップ(鋼板)Iの反り量を計測し、当該計測結果に基づいて簡単な所定の式から金属ストリップIの板幅方向の張力差Tを算出し、当該算出した金属ストリップIの板幅方向の張力差Tに基づいて別の簡単な所定の式から金属ストリップの板形状の急峻度fを求める。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば熱延鋼板又は冷延鋼板等の金属ストリップの板形状を搬送ライン上で搬送する際に測定する金属ストリップの板形状測定方法及び装置に関する。
金属ストリップは、コイルに巻かれた状態では板形状の詳細が分からないため、金属ストリップが圧延ライン等の搬送ライン上を搬送される際に、その板形状の状態を把握する必要がある。特に、冷延鋼板又は熱延鋼板を製造する際には、圧延ラインで被圧延対象物としての鋼板を圧延した後、さらに圧延する場合がある。この場合には、鋼板の板形状が分かっていないと、最終板厚精度が高く、形状が平坦である圧延鋼板製品を得ることができないことがある。
鋼板の板形状を搬送ライン上で搬送する際に測定する方法は、数多く開発されている。鋼板の板形状を測定する方法としては、大きく分けて、鋼板の張力を測定する方法と、鋼板の板形状を直接測定する方法とが存在する。特許文献1には、搬送ライン上を搬送される鋼板に対してルーパローラを用いて搬送方向の張力を加え、鋼板の板形状を平坦化して潜在化し、この潜在化した状態で鋼板の板幅方向の各位置における張力を測定し、その張力分布に基づいて鋼板の板形状を求める方法が開示されている。
一方、特許文献2には、搬送ライン上の測定領域の入側及び出側に設けた拘束ロール、押さえロール及びピンチロールを用いて、測定領域を搬送される鋼板を張力が加わっていない無張力状態にすることによって、鋼板の板形状を顕在化させて直接的に測定する方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、搬送ライン上を搬送される鋼板の張力及び形状を測定し、潜在化した板形状及び顕在化した板形状の両方を求め、最終的な鋼板の板形状を精度よく測定する方法が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の測定技術を用いる場合には、金属ストリップである鋼板に搬送方向の張力を加える張力印加装置と、鋼板の張力分布を測定する張力分布測定装置とを搬送ライン上に設置する必要がある。このように、搬送ライン上に張力印加装置及び張力分布測定装置を設置すると、張力分布測定装置は金属ストリップの引張る方向を変える際に測定されるので、設備空間が嵩んでしまう。また、張力分布測定装置は非常に高価であるため、設備費用が嵩んでしまう。
また、上記特許文献2に記載の測定技術を用いる場合には、鋼板の張力をなくして無張力状態にする無張力化装置と、鋼板の板形状を測定する板形状測定装置とを搬送ライン上に設置する必要がある。この場合にも、搬送ライン上にこれら無張力化装置及び板形状測定装置を設置する空間を確保すると、設備空間が嵩んでしまう。特に、無張力化装置は、非常に大規模な装置であり多大な空間を占有してしまう。
さらに、上記特許文献3に記載の測定技術を用いる場合には、上記特許文献1、2に記載の測定技術で用いる装置を両方とも用いるため、設備空間及び設備費用が嵩むという上記特許文献1、2の両方の欠点が包含されてしまう。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、設備空間及び設備費用が低減されて従来よりも経済性に優れ、且つ非常に簡便な金属ストリップの板形状の測定方法及び装置を提供することをその目的とする。
本発明者らが、従来公知の金属ストリップの板形状の測定技術について、特に鋼板において設備空間及び設備費用の低減化を図るために広く研究を行った結果、以下の知見を得た。
[1]金属ストリップとしての鋼板が搬送ライン上を搬送される際に、搬送ラインにおいて搬送方向に沿って板幅の3倍以上の長さの間隔をあけた2つの支持位置で支持され、カテナリー状態になった部分(以下、カテナリー部分と呼ぶ)では、金属ストリップの板形状が板幅方向の反りという形で現れることが分かった。この反りが現れるカテナリー部分も張力が付加された状態になっている。また、カテナリー部分は、従来公知の搬送ライン上の各所で普通に見ることができ、意図的に作り出す必要はない。
[2]金属ストリップのカテナリー部分での板幅方向の反りは、金属ストリップの板形状が耳波(耳延びとも呼ばれる)である場合には、板幅方向両端部が板幅方向中央部よりも下がった上に凸形状の反りになり、板形状が中波(中延びとも呼ばれる)である場合には、板幅方向中央部が板幅方向両端部よりも下がった下に凸形状の反りになる。
[3]金属ストリップのカテナリー部分の2つの支持位置間の例えば中央の計測位置で、板幅方向に沿って金属ストリップの反り量を計測し、金属ストリップの板厚、板幅及び張力を一定とした条件下で成立する下記式(1)を用いて、得られた計測結果から金属ストリップの張力差を求めることができる。このようにして、求めた張力差から金属ストリップの板形状を容易に推定することができる。
T=α×C・・・・・・・・式(1)
[但し、T:金属ストリップの板幅方向の張力差、α:金属ストリップの板厚、板幅及び平均張力によって定まる定数、C:計測位置における板幅方向の所定位置での金属ストリップの相対的な反り量]
T=α×C・・・・・・・・式(1)
[但し、T:金属ストリップの板幅方向の張力差、α:金属ストリップの板厚、板幅及び平均張力によって定まる定数、C:計測位置における板幅方向の所定位置での金属ストリップの相対的な反り量]
[4]板形状の急峻度は、伸び率差Δεに対してf=β×√Δε、β=2/π=0.636619・・・≒0.637で求められることは公知である。また、伸び率差Δε=T/Eである。したがって、板形状の急峻度は金属ストリップの板幅方向の張力差Tを下記式(2)に代入することによって求められることが分かる。
f=0.637×√(T/E)・・・式(2)
[ただし、f:金属ストリップの板形状の急峻度、E:金属ストリップの弾性係数]
f=0.637×√(T/E)・・・式(2)
[ただし、f:金属ストリップの板形状の急峻度、E:金属ストリップの弾性係数]
[5]さらに、上記式(1)の定数αの値は、金属ストリップの板厚、板幅及び張力に基づく下記式(3)を用いて補間することができることが分かった。
α={(S0/S)×(t0/t)2×(w/w0)2.5}×α0・・・・・式(3)
[但し、t:板厚、w:板幅、S:張力、t0:参照用板厚、w0:参照用板幅、S0:参照用張力、α0:板厚、板幅及び張力が各々t0、w0及びS0である場合の定数α]
α={(S0/S)×(t0/t)2×(w/w0)2.5}×α0・・・・・式(3)
[但し、t:板厚、w:板幅、S:張力、t0:参照用板厚、w0:参照用板幅、S0:参照用張力、α0:板厚、板幅及び張力が各々t0、w0及びS0である場合の定数α]
[6]金属ストリップを通板するカテナリー部分は上記[1]の鋼板以外の金属ラインでも見ることができる。また、上記[2]、[3]及び[5]は弾性力学的現象であるので、鋼以外の金属でも同様な現象を見ることができる。さらに、上記[4]は幾何学的知見であるので、特に鋼に限定されるものではない。これらのことより、本発明の対象は鋼板に限定されることなく、広く金属ストリップに応用され得るものであることがわかる。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものである。即ち、本発明によれば、金属ストリップの板形状を以下の手順で測定する金属ストリップの板形状測定方法が提供される。まず、搬送ライン上で搬送される搬送方向に沿って板幅の3倍以上の間隔をあけて2つの金属ストリップ支持手段を設置し、前記2つの支持手段間の所定の計測位置で板幅方向に沿った金属ストリップの反り量を計測する。前記計測結果に基づいて下記式(1)から金属ストリップの板幅方向の張力差Tを算出する。当該算出した金属ストリップの板幅方向の張力差Tに基づいて下記式(2)から金属ストリップの板形状の急峻度fを求めることを特徴とする。
T=α×C・・・・・・・・式(1)
f=0.637×√(T/E)・・・式(2)
[但し、T:金属ストリップの板幅方向の張力差、α:金属ストリップの板厚、板幅及び平均張力によって定まる定数、C:計測位置における板幅方向の所定位置での金属ストリップの相対的な反り量、f:金属ストリップの板形状の急峻度、E:金属ストリップの弾性係数]
T=α×C・・・・・・・・式(1)
f=0.637×√(T/E)・・・式(2)
[但し、T:金属ストリップの板幅方向の張力差、α:金属ストリップの板厚、板幅及び平均張力によって定まる定数、C:計測位置における板幅方向の所定位置での金属ストリップの相対的な反り量、f:金属ストリップの板形状の急峻度、E:金属ストリップの弾性係数]
本発明によれば、従来公知の搬送ライン上の各所で普通に見ることができる金属ストリップのカテナリー部分で反り量を板幅方向に沿って計測し、その計測結果から簡単な関係式を用いて金属ストリップの板幅方向の張力差を算出し、さらに、この張力差に基づいて簡単な関係式を用いて金属ストリップの板形状の急峻度を簡単に求めることができる。
上記板形状測定方法において、前記定数αの値を、金属ストリップの板厚、板幅及び張力に基づく下記式(3)を用いて補間してもよい。
α={(S0/S)×(t0/t)2×(w/w0)2.5}×α0・・・・・式(3)
[但し、t:板厚、w:板幅、S:張力、t0:参照用板厚、w0:参照用板幅、S0:参照用張力、α0:板厚、板幅及び張力が各々t0、w0及びS0である場合の定数α]
α={(S0/S)×(t0/t)2×(w/w0)2.5}×α0・・・・・式(3)
[但し、t:板厚、w:板幅、S:張力、t0:参照用板厚、w0:参照用板幅、S0:参照用張力、α0:板厚、板幅及び張力が各々t0、w0及びS0である場合の定数α]
上記板形状測定方法において、金属ストリップが鋼板であってもよい。
上記板形状測定方法において、前記計測位置で金属ストリップの反り量を計測する際に、金属ストリップの表面に斜め方向からスリット光を照射し、前記スリット光によって金属ストリップの表面上に形成される光切断線の像に基づいて計測してもよい。
また、本発明によれば、金属ストリップの板形状を測定する金属ストリップの板形状測定装置が提供される。この板形状測定装置は、搬送ライン上で搬送される搬送方向に沿って板幅の3倍以上の間隔をあけた2つの金属ストリップ支持手段と、前記2つの支持手段間の所定の計測位置で板幅方向に沿った金属ストリップの反り量を計測する計測手段を有する。また、この板形状測定装置は、前記計測手段が計測した計測結果に基づいて下記式(4)から金属ストリップの板幅方向の張力差Tを算出し、当該算出した金属ストリップの板幅方向の張力差Tに基づいて下記式(5)から金属ストリップの板形状の急峻度fを求める計算装置と、を有することを特徴とする。
T=α×C・・・・・・・・式(4)
f=0.637×√(T/E)・・・式(5)
[但し、T:金属ストリップの板幅方向の張力差、α:金属ストリップの板厚、板幅及び平均張力によって定まる定数、C:計測位置における板幅方向の所定位置での金属ストリップの相対的な反り量、f:金属ストリップの板形状の急峻度、E:金属ストリップの弾性係数]
T=α×C・・・・・・・・式(4)
f=0.637×√(T/E)・・・式(5)
[但し、T:金属ストリップの板幅方向の張力差、α:金属ストリップの板厚、板幅及び平均張力によって定まる定数、C:計測位置における板幅方向の所定位置での金属ストリップの相対的な反り量、f:金属ストリップの板形状の急峻度、E:金属ストリップの弾性係数]
本発明によれば、従来公知の搬送ライン上の各所で普通に見ることができる金属ストリップのカテナリー部分で反り量を板幅方向に沿って計測し、その計測結果から金属ストリップの板幅方向の張力差を算出し、さらに、この張力差に基づいて簡単な関係式を用いて金属ストリップの板形状の急峻度を簡単に求めることができる。これにより、測定装置を搬送ライン上に容易に設置することができる。また、従来公知の測定装置よりも設備空間及び設備費用を低減化することができ、経済性が向上する。
上記板形状測定装置において、前記定数αの値を、金属ストリップの板厚、板幅及び張力に基づく下記式(6)を用いて補間計算する補間計算手段を有してもよい。
α={(S0/S)×(t0/t)2×(w/w0)2.5}×α0・・・・・式(6)
[但し、t:板厚、w:板幅、S:張力、t0:参照用板厚、w0:参照用板幅、S0:参照用張力、α0:板厚、板幅及び張力が各々t0、w0及びS0である場合の定数α]
α={(S0/S)×(t0/t)2×(w/w0)2.5}×α0・・・・・式(6)
[但し、t:板厚、w:板幅、S:張力、t0:参照用板厚、w0:参照用板幅、S0:参照用張力、α0:板厚、板幅及び張力が各々t0、w0及びS0である場合の定数α]
上記板形状測定装置において、前記計測手段は、金属ストリップの表面に斜め方向からスリット光を照射し、前記スリット光によって金属ストリップの表面上に形成される光切断線の像に基づいて金属ストリップの反り量を計測してもよい。
本発明によれば、金属ストリップの板形状の測定を、従来よりも非常に安価に且つ搬送ライン上のより小さな空間で簡単に行うことができ、経済性が向上する。さらに、既存の搬送ラインへの適用が非常に容易である。また、金属ストリップの板厚、板幅及び張力に依存する関係式を用いて、金属ストリップの形状を求めるようにしたことによって、張力の付加によって金属ストリップの板形状の一部が潜在化している場合にも金属ストリップの板形状を適切に測定することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明をする。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る板形状測定装置1が適用された搬送ラインの一例としての鋼板製造用のスキンパスライン2を示す構成図である。図1に示すように、スキンパスライン2の最上流(図1中、最も左側)には、コイルに巻かれた金属ストリップとしての鋼板Iを取付けるペイオフリール5が設けられている。本実施の形態では、熱間圧延ライン(図示せず)で圧延処理されてコイルに巻かれた鋼板Iがペイオフリール5に取付けられている。スキンパスライン2は、ペイオフリール5に取付けたコイルから鋼板Iを巻出して図1の矢印方向(図1中、右向き)に搬送し、この鋼板Iをスキンパスミル6及びサイドトリマ7を順に経由させて鋼板Iの精整処理を行うように構成されている。
スキンパスミル6は、鋼板Iをスキンパス圧延し、その形状を矯正する圧延機である。サイドトリマ7は、欠陥部の除去及び板幅の調整を目的として鋼板Iの板幅方向における端部を切除する装置である。スキンパスミル6及びサイドトリマ7で精整処理された鋼板Iは、さらに下流に搬送されてスキンパスライン2の最下流(図1中、最も右側)にあるテンションリール10で再度コイルに巻取られるようになっている。
スキンパスライン2には、搬送される鋼板Iに張力を付与するピンチロール11が複数設けられている。本実施の形態では、ペイオフリール5とスキンパスミル6との間、スキンパスミル6とサイドトリマ7との間及びサイドトリマ7とテンションリール10との間の各位置に、それぞれ1つずつのピンチロール11が設けられている。
また、スキンパスライン2には、図1に示すように、スキンパスミル6の出側にあるピンチロール11とサイドトリマ7との間に2つのガイドロール12(12a、12b)が設けられている。これらのガイドロール12(12a、12b)は、その軸方向が鋼板Iの搬送方向に直交して配置され、ピンチロール11からサイドトリマ7に搬送される鋼板Iを各々支持して中継するようになっている。鋼板Iの搬送方向の上流側にあるガイドロール12aから下流側にあるガイドロール12bまでの間隔は、鋼板Iの板幅の長さの3倍以上の値に設定されている。また、2つのガイドロール12a、12bは同じ大きさであり、同じ高さに設けられている。
図2は、図1に示すスキンパスライン2上を搬送される鋼板Iが金属ストリップ支持手段としての2つのガイドロール12a、12bの間を通過している状態を拡大して示した斜視図である。図2に示すように、ガイドロール12aとガイドロール12bとの間には、搬送される鋼板Iを支持する他の装置は介在していない。このため、鋼板Iはガイドロール12aによる支持位置とガイドロール12bによる支持位置との間の部分が重力により鉛直方向下側に垂下し、カテナリー状態になっている(以下、鋼板Iのカテナリー状態になった部分をカテナリー部分と呼ぶ)。
本実施の形態では、カテナリー状態の鋼板Iの平均張力は5MPa以上且つ50MPa以下に設定されている。平均張力は50MPaより高くすると反りが現れなくなることがあり、5MPaより低いと鋼板がたるみすぎて通板の都合上好ましくないことがある。したがって、好ましくは鋼板Iの平均張力は5MPa以上且つ50MPa以下に設定されることが望ましい。なお、本明細書中における用語「カテナリー」は、一般的にイメージされるスパン4.8mに対し深さが0.5〜2mも有るような深いカテナリーではなく、極めて浅いカテナリーを意味している。例えば、本実施の形態では、鋼板Iの平均張力が4.9MPaである場合には撓みの深さが45mmであり、鋼板Iの平均張力が39.2MPaである場合においても撓みの深さが6mmになっている。
本実施の形態において、鋼板Iの板厚と板幅はそれぞれ、0.5mm〜6mm、500mm〜2000mmである。板厚は厚ければ張力差があっても形状に現れなくなるので板厚6mmを越えるものは適さない。板幅も実際のところ大きくなるとスパンを大きく取らなければならず、装置が大規模になり、メリットが出なくなる。板幅は小さくなりすぎると幅方向の反りが検出されなくなるので、好ましくないが、板厚が0.5mm未満であれば500mm以下の幅でも反り量の検出ができる。例えば板厚が0.1〜0.5mmである場合には、板幅が100mm〜500mmであっても本発明は適用できる。したがって、本発明の板厚と板幅の適用範囲の小さい方には相関関係が見られる。
鋼板Iのカテナリー部分は、図2に示すように、ガイドロール12aによる支持位置とガイドロール12bによる支持位置との間の中央が最も下がっている。本実施の形態では、このように最も下がった支持位置間の中央を計測位置Uに設定し、後述するようにしてこの計測位置Uでの計測結果に基づいて鋼板Iの板形状の測定を行っている。
本実施の形態に係る板形状測定装置1は、計測位置Uの上方の所定位置に設けた計測手段としての距離計15を備えている。本実施の形態では、測定対象物にレーザーを照射して反射光が戻るまでの時間を測定することによって測定対象物までの距離を計測するレーザー式の距離計15を用いている。この距離計15は、鉛直方向の所定位置(例えば距離計15の下面の高さ)から計測位置Uにおける鋼板Iの上面までの距離を、鋼板Iの板幅方向に沿った複数の位置(例えば鋼板Iの板幅方向の両端部K、L及び板幅方向の中央部M)について測定できるようになっている。距離計15には、計算装置16が接続されており、計測した計測結果をこの計算装置16に入力することができるようになっている。
計算装置16は、距離計15から入力された計測結果を用いて計測位置Uにおける鋼板Iの板幅方向の各位置(例えば、K、L及びM)同士の鉛直方向の相対的な距離差を反り量として求め、求めた反り量から鋼板の板幅方向の張力差を算出することができるようになっている。さらに、求めた張力差を用いて、例えば鋼板Iの板幅方向の各位置での搬送方向の伸び率差を計算し、鋼板Iの板形状を求めることができるようになっている。計算装置16が距離計15による計測結果から鋼板Iの板形状を求める際の具体的な手順は後で詳述する。計算装置16には、表示装置17が接続されており、計算装置16で計算した伸び率差の計算結果等を表示できるようになっている。
以上のように構成されたスキンパスライン2上を搬送される鋼板Iに対して、本発明の実施の形態に係る鋼板Iの板形状測定方法を用いてその板形状を測定する手順を説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る板形状測定方法のフロー図である。
図3に示すように、鋼板Iの板形状測定方法が開始される(ステップ0)と、スキンパスライン2上の計測位置Uにおいて、搬送される鋼板Iのカテナリー部分の反り量が、距離計15によって板幅方向に沿って計測される(ステップ1)。本実施の形態では、距離計15の下面から鋼板Iの上面までの鉛直方向の距離が、所定値の上乗せされた反り量として板幅方向に沿って複数の位置で計測される。本実施の形態では、鋼板Iの板幅方向に沿った断面形状が下に凸の湾曲した形状(C反り)であり且つ最も低い幅方向中央部の両側が対称的な形状になっている。このため、上述した複数の位置として、少なくとも鋼板Iの板幅方向の両端部K、L及び板幅方向の中央部Mが含まれるように設定するのが好ましい。しかしながら、任意の複数の位置で計測し、得られた値を補間するようにしてもよい。
次に、距離計15で計測した計測結果を用いて、鋼板Iの板幅方向の張力差を算出する(ステップ2)。本実施の形態では、距離計15で計測した計測結果が計算装置16に入力されると、計算装置16によって板幅方向における各位置同士の相対的な反り量が計算される。具体的に説明すると、計測結果の距離計から金属ストリップまでの距離のうちの1つを基準にして他の距離とこの基準になる距離との差分をとることによって相対的な反り量が計算される。この際に基準に設定する反り量としては、板幅方向の位置における距離の差分が最大になる値が選択される。
本実施の形態では、鋼板Iは板幅方向の断面形状が下に凸形状になっているため、計測位置Uにおける鋼板Iの板幅方向の両端部K、Lのいずれかの反り量が基準に設定される。一方、鋼板Iは板幅方向の断面形状が上に凸形状になっている場合には、計測位置Uにおける鋼板Iの板幅方向の中央部Mの反り量が基準に設定される。上述したようにして相対的な反り量を測定することによって、上乗せされている所定値が除去され、計測位置Uでの板幅方向の各位置同士の相対的な反り量が求められる。図4及び図5は、入力された計測結果から上乗せした所定値を除去した相対的な反り量の測定結果の例を示す図である。
図4は、鋼板Iの計測位置Uでの板幅方向に沿った断面形状が下に凸形状のC反りである場合の測定結果を示している。図4に示すように、鋼板Iの板幅方向の両端部K、Lの相対的な反り量が基準値として0に設定され、板幅方向の中央部Mの相対的な反り量C1が負の値になっている。一方、図5は、鋼板Iの計測位置Uでの板幅方向に沿った断面形状が上に凸形状のC反りである場合を示している。図5の場合には、鋼板Iの板幅方向の中央部Mの相対的な反り量が基準値である0に設定され、板幅方向の両端部K、Lの相対的な反り量の値が負の値C2で示されている。
本実施の形態では、距離計15の計測による計測結果は、鋼板Iの板幅方向において離散的な値になっているため、相対的な反り量も板幅方向において離散的に得られるが、適宜補間処理を行うことにより図4及び図5に示すように連続的な測定結果を求めている。また、以下では、図4に示す測定結果が得られた場合について説明するが、図5に示す測定結果が得られた場合についても同様の手順により鋼板Iの板形状を求めることができる。
計算装置16によって、上述のようにして求めた板幅方向の相対的な反り量が下記式(7)に適用され、鋼板Iの板幅方向の各位置における板幅方向の張力差が算出される。
T=α×C・・・・・・・・式(7)
[但し、T:鋼板の板幅方向の張力差、α:鋼板の板厚、板幅及び平均張力によって定まる定数、C:計測位置における板幅方向の所定位置での鋼板の相対的な反り量]
T=α×C・・・・・・・・式(7)
[但し、T:鋼板の板幅方向の張力差、α:鋼板の板厚、板幅及び平均張力によって定まる定数、C:計測位置における板幅方向の所定位置での鋼板の相対的な反り量]
具体的に説明すると、例えば、図4に示す板幅方向の中央部Mの相対的な反り量はC1であるので、上式(7)から両端部K、Lに対する張力差Tがα×C1と算出される。同様にして、鋼板Iの板形状を求めるために板幅方向の任意の位置における張力差を算出することができる。
なお、本実施の形態では、計算装置16は、上式(7)から張力差Tを算出する前に、スキンパスライン2上を搬送される鋼板Iの板厚t、板幅w及び張力Sの値を用いて下記の補間式(8)から定数αの値を補間している。定数αの値を補間するのに必要な鋼板Iの板厚t、板幅w及び張力Sの値は、計算装置16が予め保持していてもよいし、必要に応じて計算装置16に入力されるようにしてもよい。一方、下記式(8)の計算で用いる定数(即ち、参照用板厚t0、参照用板幅w0、参照用張力S0及び定数α0)は、計算装置16によって予め保持されている。
α={(S0/S)×(t0/t)2×(w/w0)2.5}×α0・・・・・式(8)
[但し、t:板厚、w:板幅、S:張力、t0:参照用板厚、w0:参照用板幅、S0:参照用張力、α0:板厚、板幅及び張力が各々t0、w0及びS0である場合の定数α]
α={(S0/S)×(t0/t)2×(w/w0)2.5}×α0・・・・・式(8)
[但し、t:板厚、w:板幅、S:張力、t0:参照用板厚、w0:参照用板幅、S0:参照用張力、α0:板厚、板幅及び張力が各々t0、w0及びS0である場合の定数α]
次に、計算装置16は、算出された鋼板Iの板幅方向の各位置における板幅方向の張力差Tを用いて、下記のように鋼板Iの板幅方向の各位置での搬送方向の伸び率差Δεを計算し、計算した伸び率差Δεを用いて鋼板Iの急峻度fを求め、鋼板Iの板形状を求める(ステップ3)。
張力差Tを弾性係数Eで除するとそのまま伸び率差Δεとなる(Δε=T/E)。また、急峻度fと伸び率差Δεとの関係は公知であり、f=β×√Δε、β=2/π=0.636619・・・≒0.637であるので下記式(9)が得られる。
f=0.637×√(T/E)・・・式(9)
[但し、T:鋼板の板幅方向の張力差、f:鋼板の板形状の急峻度、E:鋼板の弾性係数]
この式は、板形状が長手方向に正弦波形状であると仮定すると簡単に導くことができる。従って、算出した鋼板の板幅方向の張力差Tに基づいて上式(9)から鋼板Iの板形状の急峻度fを求めることができる。
f=0.637×√(T/E)・・・式(9)
[但し、T:鋼板の板幅方向の張力差、f:鋼板の板形状の急峻度、E:鋼板の弾性係数]
この式は、板形状が長手方向に正弦波形状であると仮定すると簡単に導くことができる。従って、算出した鋼板の板幅方向の張力差Tに基づいて上式(9)から鋼板Iの板形状の急峻度fを求めることができる。
なお、本発明の実施の形態に係る板形状測定方法及び装置によって求められる鋼板の板形状とは、オフラインで静止した状態における急峻度や伸び率差等で把握される板形状のことを意味している。本実施の形態では、計算装置16は、各位置の搬送方向の伸び率を計算した後に、その計算結果を表示装置17に入力して表示させるようになっている(ステップ4)。以上の手順により鋼板Iの板形状測定方法が終了する(ステップ5)。
以上の実施の形態によれば、スキンパスライン2上を搬送される金属ストリップとしての鋼板Iのカテナリー部分(即ち、計測位置U)の反り量を板幅方向に沿って計測することによって、鋼板Iの板形状の測定を非常に簡単に行うことが可能になる。また、搬送ラインの各所で普通に見ることができる鋼板Iのカテナリー部分における鋼板Iの反り量の測定に基づいてその板形状を測定するようにしたことよって、測定に必要な空間が小さくて済むうえに、例えばスキンパスライン2等の既存の搬送ラインに容易に適用することができる。これにより、設備費用が軽減され、従来の測定技術よりも非常に安価に鋼板Iの板形状の測定を行うことができ、経済性が向上する。
さらに、鋼板Iの反り量の計測結果から板形状を求める際に、鋼板Iの板厚t、板幅w及び張力Sに依存する関係式(上式(7)、(8))を用いて鋼板Iの形状を求めるようにしたことによって、鋼板Iに張力が付加されて鋼板Iの板形状の一部が潜在化している場合にも鋼板Iの板形状を適切に測定することが可能になる。これにより、鋼板Iの板形状の測定を正確に行うことが可能になる。
さらに、鋼板Iの板形状を測定する際に、搬送方向に沿って板幅の3倍以上の間隔をあけた2つの支持位置で各々支持された鋼板Iの反り量を計測するようにしたことによって、これら2つの支持位置間の間隔の大きさが計測結果に与える影響が一定になる。これにより、計測結果を支持位置間の間隔の大きさの値に応じて補正する等の作業が不要になる。
本発明の第2の実施形態として、図6に示すように、板形状測定装置1が備える計測手段として距離計15に代えて、レーザー照射装置20、カメラ21及び演算装置22を有する計測装置23を用いてもよい。図6は、2つのガイドロール12a、12bの間を搬送される鋼板Iを計測装置23で計測している状態を拡大して示した斜視図である。
図6に示すように、レーザー照射装置20は、鋼板Iの上方に計測位置Uよりも搬送方向下流側に設けられており、計測位置Uにある鋼板Iの表面(上面)に向けて斜め方向からスリット光を照射することができるようになっている。なお、レーザー照射装置20を計測位置Uより搬送方向上流側に設けるようにしてもよい。レーザー照射装置20から照射されるスリット光は、水平面を鋼板Iの板幅方向に切断するようにして進行する。このスリット光によって、鋼板Iの表面上に幅方向の一端部から他端部まで横断する光断面線の像が形成されるようになっている。
計測位置Uの鋼板Iの表面が平坦(即ち、水平)でない場合には、図6に示すように、スリット光によって鋼板Iの表面上に形成される光切断線の像は非直線形状になる。図6に示す場合には、計測位置Uの鋼板Iは反りによって板幅方向の断面形状が下に凸形状になっているため、鋼板Iの表面に形成される光切断線の像は鋼板Iの板幅方向両端部よりも板幅方向中央部が搬送方向上流側に湾曲した凸形状になっている。これに対して板幅方向の断面形状が上に凸形状になっている場合には、鋼板Iの表面に形成される光切断線の像は鋼板Iの板幅端部方向両端部よりも板幅方向中央部が搬送方向下流側に湾曲した凸形状になる。
カメラ21は、レーザー照射装置20から照射されたスリット光が、鋼板Iの表面上に形成する光切断線の像を撮像することができるように、計測位置Uにおいて鋼板Iの鉛直方向上方に設けられている。また、カメラ21が撮像した撮像データは、カメラ21に接続された演算装置22に入力されるようになっている。演算装置22は、入力された撮像データを解析することにより鋼板Iの反り量を板幅方向の各位置について演算できるように構成されている。このように演算装置22の演算により得られた結果が、計測装置23の計測結果となる。
本発明の第2の実施形態によれば、計測位置Uで鋼板Iの反り量を計測する際に、鋼板の表面に斜め方向からスリット光を照射し、前記スリット光によって鋼板の表面上に形成される光切断線の像に基づいて計測するようにしたことによって、鋼板Iの表面上に形成される光切断線の像やカメラ21によって撮像された撮像データを肉眼で確認することができ、実感のある計測結果を得ることができるため、計測結果が誤っている場合に容易に気付き易い。これにより、鋼板Iの板形状を測定する際の信頼性を向上させることが可能になる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上述した実施形態においては、金属ストリップが鋼板Iである場合について説明したが、鋼板I以外の金属ストリップが用いられてもよい。
上述した実施形態においては、金属ストリップとしての鋼板Iが搬送される搬送ラインがスキンパスライン2である場合について説明したが、搬送ラインはスキンパスライン2以外のラインであってもよい。
上述した実施形態においては、金属ストリップ支持手段がガイドロール12a、12bである場合について説明したが、金属ストリップ支持手段としてガイドロール12a、12b以外を用いてもよい。
上述した実施形態においては、鋼板Iのカテナリー部分の反り量を板幅方向に沿って計測する計測位置Uが2つのガイドロール12の間である場合について説明したが、搬送ライン上において鋼板Iがカテナリー状態になる任意の位置を計測位置Uに設定するようにしてもよい。
上述した実施形態においては、上式(7)から張力差Tを算出する前に、スキンパスライン2上を搬送される鋼板Iの板厚t、板幅w及び張力Sの値を用いて上記補間式(8)から定数αの値を補間する場合について説明したが、補間式(8)を用いずに、鋼板Iの板厚t、板幅w及び張力Sによって定まる定数αの値を予め計算装置16が保持するようにしてもよい。例えば、鋼板Iの板厚t、板幅w及び張力Sを各々2種類ずつ想定する場合には、合計(2×2×2=)8パターンに対応する8つの定数αを予め準備して計算装置16に保持しておき、計算装置16が上式(7)から張力差を算出する際には、測定対象である鋼板Iの板厚t、板幅w及び張力Sの組合わせに最も近いパターンに対応する定数αを保持する8つの定数αの中から選択して用いるようにするとよい。
上述した実施形態においては、レーザー式の距離計15が用いられている場合について説明したが、その他の距離計15が用いられてもよい。
上述した実施形態においては、計測装置23がレーザー照射装置20、カメラ21及び演算装置22を有する場合について説明したが、計測装置23は、鋼板Iの表面に斜め方向からスリット光を照射し、スリット光によって鋼板Iの表面上に形成される光切断線の像に基づいて鋼板Iの反り量を計測する計測装置23であればその他の機器構成であってもよい。
本発明の実施の形態に係る板形状測定装置で用いる計算式(上式(7)、(8))を数値解析によって検証する。
図7は、搬送ライン上を搬送される鋼板が搬送方向に沿って2つの支持位置で各々支持されてカテナリー状態になっている場合において、2つの支持位置間の中央の計測位置にて鋼板の板幅方向の両端部と中央部との相対的な反り量を変化させたときのこの相対的な反り量と張力差との関係を数値解析により計算した計算結果を示す説明図である。なお、鋼板の板幅方向の両端部は同じ高さに設定されている。
図7において、縦軸は鋼板の相対的な反り量を示し、横軸は鋼板の張力差を示している。鋼板の相対的な反り量及び張力差は、鋼板の両端部の値から中央部の値を減じることによって計算されている。なお、鋼板の板厚は3mm、板幅は1000mm、2つの支持位置間(即ち、2つの金属ストリップ支持手段間、以下同様)のスパン(間隔)は4800mmに固定して計算を行った。また、鋼板の平均張力が19.6MPaである場合の計算結果を実線で示し、鋼板の平均張力が39.2MPaである場合の計算結果を点線で示した。
図7に示すように、鋼板の板幅方向の張力差と計測位置における板幅方向の所定位置での鋼板の相対的な反り量は比例していることが分かる。これにより、上式(7)の関係式が成り立つことが検証された。
図8は、上述した条件のうちで板厚を変化させたときの相対的な反り量との関係を数値解析により計算した計算結果を示す説明図である。なお、図8では、張力差は58.8MPa、板幅は1000mm、鋼板の平均張力は19.6MPa、2つの支持位置間の間隔は4800mmに各々固定して計算が行われている。
図9は、上述した条件のうちで板幅を変化させたときの相対的な反り量との関係を数値解析により計算した計算結果を示す説明図である。図9では、張力差は58.8MPa、板厚は3mm、鋼板の平均張力は19.6MPa、2つの支持位置間の間隔は4800mmに固定して計算が行われている。
図10は、上述した条件のうちで平均張力を変化させたときの相対的な反り量との関係を数値解析により計算した計算結果を示す説明図である。図10では、板厚は3mm、板幅は1000mm、2つの支持位置間の間隔は4800mmに各々固定して計算が行われている。なお、鋼板の張力差が58.8MPaである場合の計算結果を実線で示し、鋼板の張力差が−58.8MPaである場合の計算結果を点線で示した。
図8に示すように、計測位置における板幅方向の所定位置での鋼板の相対的な反り量は、鋼板の板厚の2乗に比例していることが分かる。図9に示すように、計測位置における板幅方向の所定位置での鋼板の相対的な反り量は、鋼板の板幅の2.5乗に反比例していることが分かる。さらに、図10に示すように、計測位置における板幅方向の所定位置での鋼板の相対的な反り量は、鋼板の張力(平均張力)に反比例していることが分かる。これらの結果により、上式(8)の関係式が成り立つことが検証された。例えば、この実施形態の場合、S0=19.6MPa、t0=3mm、w0=1000mmのとき、α0=24.7MPaとすればよい。
本発明の実施の形態に係る板形状測定装置で鋼板の板形状を測定する際に、測定する鋼板の搬送方向に沿った2つの支持位置間(即ち、2つの金属ストリップ支持手段間、以下同様)の間隔について検証する。
図11は、板厚が3mm、板幅が1000mmである鋼板の搬送方向に沿った2つの支持位置間の間隔を変化させた際に、この間隔と計測される鋼板の反り量との関係を数値解析により計算した計算結果を示す説明図である。なお、鋼板の反り量は、計測位置で板幅方向において最も高い位置(即ち、最も張力が大きい位置)を基準に設定し、この基準との鉛直方向の相対的な距離差を求めたものである。
図11に示すように、搬送方向に沿って板幅の3倍以上の間隔(即ち、3m以上の間隔)をあけた場合には、2つの支持位置で各々支持された鋼板の反り量が一定になっていることが分かる。これにより、鋼板の測定を行う際に、搬送方向に沿って板幅の3倍以上の間隔をあけた支持位置間で測定を行うと、支持位置間の間隔の値を測定の際に考慮しなくてよいことが分かる。
本発明の実施の形態に係る板形状測定装置によって搬送ラインを搬送される鋼板の板形状を測定した場合の測定結果を、オフラインの状態で鋼板の板形状を実際に測定した測定結果と比較して検証する。
図12は、種々の板厚、板幅、反り量及び張力の鋼板に対して、本発明の実施の形態に係る板形状測定装置により算出した張力差と、この張力差から計算した伸び率差の結果とを示した図である。全てのデータ1〜3の場合において、鋼板を支持する2つの支持位置間の間隔は4800mmに設定されている。なお、算出した張力差から伸び率差を計算する際には、張力差を鋼板の弾性係数(=205.8Gpa)で除算することによって計算を行った。
図13は、図12に示す各データ1〜3の鋼板の板形状をオフラインの状態で実際に測定した測定結果を示す図である。図13には、各データの鋼板について実際に測定した鋼板の急峻度と、この急峻度から計算した伸び率差の結果が示されている。
図12及び図13に示すように、いずれのデータ(1〜3)についても本発明の実施の形態に係る板形状測定装置によって求めた伸び率差と、オフラインの状態で実際に測定した測定結果の伸び率差が一致している。これにより、本発明の板形状測定装置及び方法を用いることによって鋼板の板形状を適切に得られていることが分かる。
本発明は、例えば鋼板等の金属ストリップを搬送する例えばスキンパスライン等の搬送ライン等に有用である。
1 板形状測定装置
2 スキンパスライン
5 ペイオフリール
6 スキンパスミル
7 サイドトリマ
10 テンションリール
11 ピンチロール
12、12a、12b ガイドロール
15 距離計
16 計算装置
20 レーザー照射装置
21 カメラ
22 演算装置
23 計測装置
I 鋼板
K、L 計測位置Uの鋼板の板幅方向の両端部
M 計測位置Uの鋼板の板幅方向の中央部
U 計測位置
2 スキンパスライン
5 ペイオフリール
6 スキンパスミル
7 サイドトリマ
10 テンションリール
11 ピンチロール
12、12a、12b ガイドロール
15 距離計
16 計算装置
20 レーザー照射装置
21 カメラ
22 演算装置
23 計測装置
I 鋼板
K、L 計測位置Uの鋼板の板幅方向の両端部
M 計測位置Uの鋼板の板幅方向の中央部
U 計測位置
Claims (7)
- 金属ストリップの板形状を測定する方法において、
搬送ライン上で搬送される搬送方向に沿って板幅の3倍以上の間隔をあけて2つの金属ストリップ支持手段を設置し、前記2つの支持手段間の所定の計測位置で板幅方向に沿った金属ストリップの反り量を計測し、当該計測結果に基づいて下記式(1)から金属ストリップの板幅方向の張力差Tを算出し、当該算出した金属ストリップの板幅方向の張力差Tに基づいて下記式(2)から金属ストリップの板形状の急峻度fを求めることを特徴とする、金属ストリップの板形状測定方法。
T=α×C・・・・・・・・式(1)
f=0.637×√(T/E)・・・式(2)
[但し、T:金属ストリップの板幅方向の張力差、α:金属ストリップの板厚、板幅及び平均張力によって定まる定数、C:計測位置における板幅方向の所定位置での金属ストリップの相対的な反り量、f:金属ストリップの板形状の急峻度、E:金属ストリップの弾性係数] - 前記定数αの値を、金属ストリップの板厚、板幅及び張力に基づく下記式(3)を用いて補間することを特徴とする、請求項1に記載の金属ストリップの板形状測定方法。
α={(S0/S)×(t0/t)2×(w/w0)2.5}×α0・・・・・式(3)
[但し、t:板厚、w:板幅、S:張力、t0:参照用板厚、w0:参照用板幅、S0:参照用張力、α0:板厚、板幅及び張力が各々t0、w0及びS0である場合の定数α] - 金属ストリップが鋼板であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属ストリップの板形状測定方法。
- 前記計測位置で金属ストリップの反り量を計測する際に、金属ストリップの表面に斜め方向からスリット光を照射し、前記スリット光によって金属ストリップの表面上に形成される光切断線の像に基づいて計測することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の金属ストリップの板形状測定方法。
- 金属ストリップの板形状を測定する装置において、
搬送ライン上で搬送される搬送方向に沿って板幅の3倍以上の間隔をあけた2つの金属ストリップ支持手段と、
前記2つの支持手段間の所定の計測位置で板幅方向に沿った金属ストリップの反り量を計測する計測手段と、
前記計測手段が計測した計測結果に基づいて下記式(4)から金属ストリップの板幅方向の張力差Tを算出し、当該算出した金属ストリップの板幅方向の張力差Tに基づいて下記式(5)から金属ストリップの板形状の急峻度fを求める計算装置と、を有することを特徴とする、金属ストリップの板形状測定装置。
T=α×C・・・・・・・・式(4)
f=0.637×√(T/E)・・・式(5)
[但し、T:金属ストリップの板幅方向の張力差、α:金属ストリップの板厚、板幅及び平均張力によって定まる定数、C:計測位置における板幅方向の所定位置での金属ストリップの相対的な反り量、f:金属ストリップの板形状の急峻度、E:金属ストリップの弾性係数] - 前記定数αの値を、金属ストリップの板厚、板幅及び張力に基づく下記式(6)を用いて補間計算する補間計算手段を有することを特徴とする、請求項5に記載の金属ストリップの板形状測定装置。
α={(S0/S)×(t0/t)2×(w/w0)2.5}×α0・・・・・式(6)
[但し、t:板厚、w:板幅、S:張力、t0:参照用板厚、w0:参照用板幅、S0:参照用張力、α0:板厚、板幅及び張力が各々t0、w0及びS0である場合の定数α] - 前記計測手段は、金属ストリップの表面に斜め方向からスリット光を照射し、前記スリット光によって金属ストリップの表面上に形成される光切断線の像に基づいて金属ストリップの反り量を計測することを特徴とする、請求項5又は6に記載の金属ストリップの板形状測定装置。
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JP2006291429A JP2008107241A (ja) | 2006-10-26 | 2006-10-26 | 金属ストリップの板形状測定方法及び装置 |
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- 2006-10-26 JP JP2006291429A patent/JP2008107241A/ja not_active Withdrawn
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