JP4873902B2 - 金属ストリップの連続処理設備における操業支援装置、操業支援方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

金属ストリップの連続処理設備における操業支援装置、操業支援方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、金属ストリップの連続処理設備における操業支援装置、操業支援方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、特に熱処理や表面処理を連続して行う金属ストリップの処理設備において、金属ストリップの形状不良に起因する金属ストリップの進行方向と直交する方向への蛇行量を評価し、更に蛇行に起因した生産障害の発生危険率を推定して、操業オペレータにガイダンス情報として提示し、安定操業を行う為に用いて好適な技術に関する。
鉄鋼の薄板製品等の金属ストリップ(以下ではストリップと記す)の製造プラントにおいては、ストリップについて、所望の加工特性を得る為の熱処理、或いは亜鉛メッキ等の表面処理を連続的に行うときに、ストリップを圧延した後に、多数の搬送ロールでストリップを支持しながら搬送して、熱処理や表面処理を施す連続処理設備が広く用いられている。
このようなストリップの連続処理設備においては、ストリップの不均一な伸び等の形状不良等に起因してストリップ進行方向と直交する方向に移動する現象、すなわち蛇行現象が生ずることがある。ストリップが蛇行すると、連続処理設備の通板ラインの構成部品に接触し、甚だしい場合はストリップ破断を引き起こしてライン停止に至る等トラブルを引き起こす要因となる。
ストリップの蛇行を抑制する方法として、幅広く採用されている方法には大別して2つある。第1の方法は、搬送ロールのストリップ幅方向中央部の半径が、エッジ部の半径よりも大きいクラウンロールを使用する方法である。クラウンが形成された搬送ロールにストリップが接触した場合、ロール径が徐々に変化するテーパ部では、幅方向の中央部に向かう力(復元力)が作用することが知られている。ストリップが蛇行した場合、この復元力が全体として搬送ロールの中央部に戻る力として作用するようクラウン形状を設計することで、蛇行を抑制することが可能である。
第2の方法は、搬送ロールの一部をステアリングロールと呼ばれる蛇行修正装置とする方法である。ステアリングロールは、搬送ロールとそれを旋回させる機構からなるもので、ストリップの蛇行検出器と共に設置される。この構成で、蛇行検出器による検出値がゼロとなるよう搬送ロールの旋回量を制御することで、蛇行量の修正を行う方法が広く用いられている。
また、特許文献1に開示された方法では、搬送ロール間を走行するストリップの横方向弾性変形を表す数式モデル、搬送ロール上でのストリップの横方向移動を表す数式モデル、及びストリップ形状を考慮したクラウンロールによる蛇行修正機構を表す数式モデルを用いて、ラインに設置された蛇行検出器の出力を境界条件として、蛇行検出器よりも下流側での蛇行量を所定の方程式を用いてオンラインで予測し、予測された蛇行量が所定の閾値を越えた場合に警報を発することで、装置の運転員に操業トラブル防止の為のアクションを取るよう注意を促す方法を実現している。
特開平7−188780号公報 特開2004−226240号公報
しかしながら、上述した第1の方法のクラウンロールや第2の方法のステアリングロールによる蛇行修正能力には限界があり、ストリップの著しい形状不良等に起因して過大な蛇行が発生した場合は、蛇行発生に気付いた操業オペレータが、ストリップ搬送速度の低減やライン張力アップ等の緊急アクションを実行する場合があった。このような緊急アクションによる修正が間に合わず、ストリップがサイドガイド等の構造物に衝突してエッジ部スリ疵のような品質トラブルが発生し、更に甚だしい場合はストリップ破断等の深刻な操業トラブルを引き起こすことがあった。
また、特許文献1に開示された手法では、蛇行検出器が設置されていないステアリングロール間での蛇行によって、上述の品質及び操業トラブルが発生する課題を解決するために、ステアリング上のストリップの蛇行挙動を数式でモデル化し、蛇行検出器での検出量を境界条件として蛇行量を予測することで、ステアリングロール間の蛇行を把握し、迅速に蛇行拡大防止の操業アクションを実施できるとしている。ここで、特許文献1で開示されている数式モデルにおいては、ストリップ形状の影響としてストリップ両エッジ部の耳波深さの差が、搬送ロール上でのストリップ横移動に寄与するとのモデルとなっている。
しかしながら、蛇行に影響を及ぼすストリップ形状は、単純にストリップ両エッジ部の耳波深さの差すなわち両エッジの形状指標の差分量で表現できるものではなく、例えばストリップ中央部とエッジ部の中間位置であるクォータ部における伸び率差の左右差も蛇行量に影響を及ぼす。一例として、図3に鉄鋼製品の連続焼鈍処理設備の加熱炉炉頂部に設置された蛇行検出器での出力と、その前工程である冷間圧延工程の出側で測定した伸び率差のエッジ部での差分量を散布図表示したものを示す。同図における各点は、測定された蛇行量と伸び率差のチャートデータをお互いに対応する位置関係に合せた上で、100m毎に分割し各分割区分で平均化した値をセットとしたものである。同図から、単にエッジ部の伸び率差の差分を取った指標と蛇行量の間には相関係数0.08と殆ど相関は見られず、従って特許文献1に開示されたストリップの両エッジの形状指標の差分量のみを考慮する数式モデルによる予測蛇行量は、上記の例と同様の精度であることがあり、操業支援をするための蛇行予測方法として十分ではない。
従来技術においては、ストリップの連続処理設備における蛇行の推定と制御には、以上に述べた難しさがある為、その運転に係るオペレータは、特に重大な生産障害に繋がる操業トラブルを極力回避しようとの考えから、過去に経験したトラブル事例に係わる種類のストリップや、或いは硬質である等の定性的な理由で良好な形状に製造することが難しいと予想される種類のストリップについては、ある程度の蛇行が発生することを前提として、一律に通板速度を低速にして操業を実行する。この結果、形状が良好であって本来全く低速にする必要がないストリップに対しても低速操業を行うこととなり、設備の処理能力が低下し、生産性が悪化する問題があった。
本発明は上記のような点に鑑みて為されたものであり、ストリップの蛇行量と生産障害につながる危険率を推定し、予め操業オペレータに提示することで、必要以上に処理能力を損なうことなく操業トラブルを回避して可及的に生産性を高くするように操業支援可能とすることを目的とする。
本発明による金属ストリップの連続処理設備における操業支援装置は、複数の金属ストリップを連続して処理する金属ストリップの連続処理設備の前工程の出側において金属ストリップの形状を連続的若しくは間欠的に測定し、定量的な形状指標を金属ストリップ通板方向位置と対応させて出力する形状検出手段と、前記形状指標に対して金属ストリップの幅方向センタを基準軸として、該金属ストリップの幅方向位置の所定の関数で重み付けを行い、重み付けした該金属ストリップの左右差の指標である重み付き形状指標左右差の実績データを算出する重み付き形状指標左右差算出手段と、前記連続処理設備内を前記金属ストリップが通過する際の進行方向と直交する方向への蛇行量を検出する蛇行検出手段と、複数の金属ストリップについての該蛇行量の実績データと、前記重み付き形状指標左右差の実績データから蛇行推定モデルを作成する蛇行量推定モデル作成手段と、新たな金属ストリップに対して得られた前記重み付き形状指標左右差に基づいて、前記蛇行推定モデルを用いて前記連続処理設備を前記新たな金属ストリップが通板する際の蛇行量を推定する蛇行量推定手段と、該蛇行量の推定値に基づいて、予め設定した種類の生産障害を前記新たな金属ストリップが発生させる危険率を推定する生産障害危険率推定手段と、前記危険率を連続処理設備の操業オペレータに提示する危険率表示手段とを備え
前記重み付き形状指標左右差算出手段は、前記幅方向位置の所定の関数を金属ストリップ幅方向重み係数A(x)として、下式を用いて、
Figure 0004873902
前記重み付き形状指標左右差を算出し、
前記金属ストリップ幅方向重み係数A(x)は、下式
Figure 0004873902
で表される点に特徴を有する。
本発明による金属ストリップの連続処理設備における操業支援方法は、複数の金属ストリップを連続して処理する金属ストリップの連続処理設備の前工程の出側において金属ストリップの形状を連続的若しくは間欠的に測定し、定量的な形状指標を金属ストリップ通板方向位置と対応させて出力する形状検出工程と、前記形状指標に対して、金属ストリップの幅方向センタを基準軸として、該金属ストリップの幅方向位置の所定の関数で重み付けを行い、重み付けした該金属ストリップの左右差の指標である重み付き形状指標左右差の実績データを算出する重み付き形状指標左右差算出工程と、前記連続処理設備内を前記金属ストリップが通過する際の進行方向と直交する方向への蛇行量を検出する蛇行検出工程と、複数の金属ストリップについての該蛇行量の実績データと、前記重み付き形状指標左右差の実績データから蛇行推定モデルを作成する蛇行量推定モデル作成工程と、新たな金属ストリップに対して得られた前記重み付き形状指標左右差に基づいて、前記蛇行推定モデルを用いて前記連続処理設備を前記新たな金属ストリップが通板する際の蛇行量を推定する蛇行量推定工程と、該蛇行量の推定値に基づいて、予め設定した種類の生産障害を前記新たな金属ストリップが発生させる危険率を推定する生産障害危険率推定工程と、前記危険率を連続処理設備の操業オペレータに提示する危険率表示工程とを有し、
前記重み付き形状指標左右差算出工程は、前記幅方向位置の所定の関数を金属ストリップ幅方向重み係数A(x)として下式を用いて、
Figure 0004873902
前記重み付き形状指標左右差を算出し、
前記金属ストリップ幅方向重み係数A(x)は、下式
Figure 0004873902
で表される点に特徴を有する。
本発明によるコンピュータプログラムは、本発明による金属ストリップの連続処理設備における操業支援方法の各工程をコンピュータに実行させる点に特徴を有する。
本発明によるコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明によるコンピュータプログラムを記録した点に特徴を有する。
本発明によれば、ストリップを連続処理設備にて処理する以前の時点で測定されたストリップの形状指標に基づいて、当該ストリップの蛇行量と生産障害につながる危険率を操業オペレータが予め認識することが可能となる。これにより、オペレータは、蛇行する危険率の高い金属ストリップに対してのみ低速操業を実施することとなり、必要以上に処理能力を損なうことなく操業トラブルを回避することが可能となる。また、品質トラブルやストリップ破断といった操業トラブルも低減するため、品質低下を招くことなく、生産性が高くなる。その結果、顧客への製品出荷の納期遅れ回避に資する。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
まず図8に、典型的なストリップ形状不良の事例を示す。形状不良は、ストリップの一部が通板方向に伸びること、すなわち他の部位よりも相対的に長くなることで発生する。伸びた部位が波状を呈することから、ストリップの両エッジ部が伸びた形態を耳波、中央部が伸びた場合を中伸び、エッジと中央部の間のクォータ部が伸びた形態をクォータ伸びと称する。このような伸びを定量化する指標には、例えば伸び率差や波高さがある。
図9は、伸び率差の定義を説明するための図で、伸びが発生して波状を呈したストリップを、通板方向に短冊状に仮想的に切断すると、元々のストリップ長さlに対する形状不良部の伸び量Δlとして表すことができる。この伸び量Δlを元々のストリップ長さlで除して、伸び率差を定義する。また、波高さは、ストリップ長手方向に伸びが断続的に生じることによって現れる波状の変形の振幅である。更に急峻率は、発生した波形状を正弦波で近似し、その長さ方向のピッチ、すなわち正弦波近似された波の波長で波高さを除することで定義される。
製造ライン中において実際にストリップの形状を測定するには、例えば、特許文献2に開示された光切断法を応用した手法を利用することができる。
本願発明者らは、連続処理設備において搬送ロールで支持されながら通板するストリップの蛇行量と、ストリップの形状指標やロールクラウン形状等の通板条件との相関を詳細に検討した。その結果、連続処理設備を通板するストリップの蛇行量は、ストリップの形状指標(伸び率差、波高さ等)の幅方向分布に、ストリップ幅方向中心からの位置に比例した重みを乗じ、更にロールクラウン形状や摩擦係数を反映した重みも乗じた指標の左右差をとったものと高い相関を有することを見出した。すなわち、鉄鋼薄板製品の連続処理設備である連続焼鈍処理設備における薄板ストリップについて、縦軸を蛇行量とし、横軸を重み付き形状指標の左右差(伸び率差の幅方向分布にストリップ幅方向中心からの位置に比例した重みを乗じ、更にロールクラウン形状を反映した重みを乗じて左右差を計算した指標)とした散布図を図2に示す。蛇行量は、連続焼鈍処理設備の加熱炉炉頂部に設置された蛇行検出器で測定した値を用いた。また、この測定例ではロールクラウン形状を反映して、ストリップの中心から左右それぞれ250mmの範囲を重み係数1とした。250mmから外部の領域は、250mm位置で重み1、1000mm位置で重み0となるように線形補間した重み係数を乗じている。
図2から理解されるように、蛇行量と上記重み付き形状指標左右差との間には相関があり、相関係数にして0.52と十分な相関が認められた。
一方、ストリップの両エッジ部の伸び率差から、単純にその差を取った差分量と蛇行量の相関を示す散布図を図3に示す。これと比較すると、図2に示す重み付き形状指標左右差は、蛇行量と相関が高いのみならず、同一の指標値における蛇行量のバラツキが少なく、蛇行量を推定する為の指標として、有効であることが判る。
図4に冷間圧延工程の出側で測定した薄板コイル全長の伸び率差の分布を輝度表示したものを示す。輝度の明るい部分が、相対的に伸びていることを示すが、ここでストリップの幅方向センタ位置を中心軸に左右の伸び率差分布に着目すれば、ストリップのエッジ部よりもクォータ部が伸びを呈しており、更にその左右差があることに起因して蛇行が生じている。実際に連続処理設備を通板するストリップの形状はクォータ伸びを呈する場合も多く、形状起因の蛇行量を推定する為には、重み付き形状指標左右差に基づいた推定が必要であると想到した。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図を参照して説明する。図1(a)は、ストリップの連続処理設備の一例の概略図、図1(b)は本実施の形態のストリップの連続処理設備における操業支援装置の概略を示すブロック図である。
図1において、101は重み付き形状指標左右差算出手段であり、ストリップの連続処理装置の入側、若しくは前工程の出側に設置された形状検出手段106によって測定された形状指標が入力される。入力された形状指標に対しては、下式(1)、(2)に基づいて重み付き形状指標左右差Mを算出して、102の蛇行量推定手段、及び蛇行量推定モデル作成手段105に出力する。
Figure 0004873902
ここで、形状検出手段106から出力される形状指標は、一般にストリップ幅方向に複数個配置された測定点での検出値として、幅方向に離散化された状態で出力される。このような離散化された形状指標に対して上式(1)、(2)を算出するには、例えば以下のように演算処理を行えば良い。
形状指標として伸び率差を使用する場合を例に説明する。伸び率差は、断面内で最も伸びが小さい位置で0値を取り、伸びが大きい位置ほど大きい値となる形状指標である。今、伸び率差が幅方向に2M+1(Mは1以上の整数)点に離散化されている場合、下式(3)で表すことができる。
Figure 0004873902
ここで、添え字1から2M+1は幅方向に付与された測定点番号であり、M+1がストリップ幅方向中心位置に対応する。iはストリップの通板方向の測定点を示すもので、式(3)は通板方向同一位置の伸び率差から構成されている。
また、測定点番号の各点と実際のストリップ幅方向の位置情報は、下式(4)で表される。
Figure 0004873902
図5に測定点番号と伸び率差を図示した例を示す。図5では、XM+1を幅方向座標の原点としているので、ストリップ幅がWの場合、X1が−W/2、X2M+1がW/2となる。
次にプロセスコンピュータ108より、クラウンロールの形状と表面粗度を反映した重み係数のストリップ幅方向分布関数R(x)が入力される。形状指標が、上式(3)の如く幅方向2M+1点に離散化されている場合、R(x)も同じ点での離散値が与えられれば良く、この場合は下式(5)で表すことができる。
Figure 0004873902
R(x)の値としては、例えばストリップ幅方向中心で最もロール径が大きいM+1番目の位置に対応するrMを重み1とし、両エッジ側に掛けて、クラウンロールのプロフィル形状を反映して重みを低減させる方法がある。また、ある程度のトン数の鋼板を処理した後では搬送ロールの摩耗が発生し、クラウンロール交換直後に比べて表面粗度やプロフィルが変化することを考慮して、R(x)の値を決定しても良い。具体的には、例えばプロセスコンピュータ108のメモリに、連続処理設備の鋼板通板量と重み係数R(x)の対応テーブルを記憶させ、更に前回のクラウンロール交換以降の累積処理トン数に基づいて、対応する重み係数分布を決定し、重み付き形状指標左右差算出手段101に入力する方法がある。
次に、上記の入力情報を用いて行う具体的な計算について説明する。上式(3)で表現された伸び率差ε ̄(本明細書において、a ̄という表記はaの上に ̄があることを意味するものとする)に対して、鋼板のセンタ位置に相当するM+1位置を対称軸にして、分布をグラフの左側1〜M+1の領域と、右側M+1〜2M+1の領域に二分割する。図5の例では前者が冷間圧延工程のドライブサイド(DS)側、後者がワークサイド(WS)側に相当するので、以降の説明では、1〜M+1の領域をDS側分布、M+1〜2M+1の領域をWS側分布と呼称する。
形状検出手段の各測定位置がカバーする測定範囲をhj(j=1〜2M+1)と記載するものとすると、まずDS側分布に対して、伸び率差と測定範囲を乗じた下式(6)の指標を算出する。これによって測定範囲の大小に比例した重みを乗ずることになる。
Figure 0004873902
次に、上式(6)に対して、ストリップ幅方向中心からの距離を重み係数として乗ずる処理を行う。測定点番号と幅方向の座標位置は上式(4)で表されるので、下式(7)に示すように、幅方向中心位置に対応するM+1の点から各測定点への距離を乗ずる計算を行えば良い。
Figure 0004873902
ここで、||は記号内の計算結果の絶対値を意味しており、座標の原点の取り方によって距離が負値となる不都合が無いように導入したものである。上式(7)によって、ストリップ幅方向中心より離れた位置の伸びがストリップの蛇行に大きく影響することを反映した重み付けを行っている。
次に、図5に示すように、クラウンロールの形状と表面粗度を反映した重み係数R(x)の内、DS側分布に対応する位置の係数を選択して、上式(7)の各成分に乗ずる処理を行う。下式(8)は、その演算結果を示す数式である。
Figure 0004873902
更に各測定位置からの蛇行への寄与分を合計して、重み付き形状指標のDS側成分、下式(9)を算出する。このようにストリップ幅方向中心位置から最エッジまでの伸び率差全てを考慮した指標とする事で、例えばストリップクォータ部の伸びも考慮した指標が実現できている。
Figure 0004873902
WS側分布に対しても、DS側分布と同様の演算処理を行って、下式(10)の重み付き形状指標のWS側成分を算出する。
Figure 0004873902
更に、下式(11)の演算を行って、重み付き形状指標左右差を算出し、結果を蛇行量推定手段102に引き渡す処理を行う。
Figure 0004873902
以上述べた実施の形態の説明では、形状検出手段106からの出力が上式(3)で表される幅方向に離散化されたデータの場合について説明したが、重み付き形状指標左右差算出手段101の実施の形態は、この説明に限定されるものではなく、上式(1)及び上式(2)で表される計算と本質的に等価な演算処理であれば、全て本発明の範疇に含まれる。
また、形状指標として、波高さや急峻率、或いは伸び率差に定数100000を乗じたI-unit指標等、伸び率差以外の指標を用いた場合も、本発明の範疇に入ることは言うまでもない。
図1において、102は蛇行量推定手段である。前記重み付き形状指標左右差算出手段101より出力された重み付き形状指標左右差Mi diffに基づいて、当該金属ストリップが連続処理設備を通板する時の蛇行量を推定する処理を行う。具体的な蛇行量推定処理としては、過去に連続処理設備で処理したストリップの重み付き形状指標左右差と蛇行量の実績データより、事例ベース推論手法を応用して推定を行う方法がある。すなわち蛇行量推定手段102に、重み付き形状指標左右差と蛇行量の実績をセットとしたデータを保存し、現在処理中のストリップの重み付き形状指標左右差が入力された際には、同じ値と見なせる範囲の重み付き形状指標左右差を有する実績データを抽出し、その実績データでの蛇行量に基づいて、前記現在処理中のストリップの蛇行量を推定する。
但し、図2からも推測できるように、重み付き形状指標左右差が同一の値であっても、蛇行量は数十mm程度の範囲にばらついて発生する。このようなバラツキを有する蛇行量の推定には、例えば蛇行量の実績データから度数分布を作成し、この度数分布に基づいて、ある確率を前提として蛇行量が発生し得る範囲を推定値とする方法がある。また、度数分布を正規分布等の適切な関数で近似して、この近似関数に対する逆累積確率分布関数を計算することで、推定に必要な計算時間を高速化する方法を用いても良い。
図6は上記の説明を模式的に表したもので、この例では、過去の実績データから重み付き形状指標差が−1近傍のデータを選択し、選択されたデータの度数分布に基づいて、重み付き形状指標差が−1の時の蛇行量を正規分布関数で近似した確率密度関数を決定する。具体的な決定方法としては、正規分布関数の中心値には、選択されたデータの蛇行量の平均値を採用し、標準偏差には、同じく選択されたデータの標準偏差量を用いれば良い。次に、推定を行う上で前提としたい確率α(例えばα=80%)を設定し、その確率値に対応する蛇行量の範囲Y1、Y2を、例えば逆累積確率分布関数を計算することで算出し、平均蛇行量Y0及び正規分布関数の標準偏差と共に生産障害危険率推定手段103に出力する。
なお、蛇行量推定モデルとしては、上述の事例ベース推論に基づくモデルに限定されるものではなく、実績データを元に重回帰、若しくは非線形回帰手法を応用して得られる統計数式モデルや、運動方程式をベースとした蛇行の力学モデルを蛇行量推定手段に用いても良い。
図1において、105は蛇行量推定モデル作成手段である。蛇行量の推定に前述の事例ベース推論を用いる場合、推定モデルは蛇行量と重み付き形状指標左右差の実績データセットである。重み付き形状指標左右差算出手段101と、蛇行検出器106から出力された実績データを紐付けして、例えば計算機の記憶装置やメモリに保存する。このとき、ストリップの幅方向サイズやストリップ厚、更には抗張力といった材質等蛇行量のばらつきに影響を及ぼす可能性がある因子の情報をプロセスコンピュータ108から受け取り、上記実績データセットを、これら影響因子別に保存・参照できるようにすることで、より高精度な推定モデルを実現する形態としても良い。
また、重み付き形状指標左右差と蛇行量の関連が、例えば搬送ロール摩耗や設備の状態変化に起因して経時変化を起こす可能性がある場合、新しい実績データが追加されるタイミングで、過去の実績データで最も古いデータを棄却し、更新を行っても良い。
また、蛇行量の推定に、統計数式モデルや力学モデルに基づいた手法を採用する場合は、事例ベース推論の場合と同様、実績データを保存する処理を行い、ある一定量のデータが蓄積された時点で、統計数式モデルの再学習や力学モデルのパラメータの調整を行うことでモデルを更新する。推定に、何れの手法を用いた場合でも、上記の手順で作成・更新された蛇行推定モデルを、蛇行量推定手段102に出力する。
図1において、103は生産障害危険率推定手段である。蛇行量推定手段102より出力された蛇行推定量に基づき、重大な生産障害の原因となる、ストリップと連続処理設備通板ラインの構造物の接触が発生する危険率を推定する。
以下には、事例ベース推論による蛇行量推定の場合を例として、危険率の推定方法を説明する。蛇行量推定手段102からは、ストリップの蛇行量推定量として、平均蛇行量Y0、確率α%での蛇行量の範囲Y1及びY2、更に蛇行量の発生度数が正規分布関数に従うと仮定した場合の標準偏差が入力される。
また、プロセスコンピュータ108からは、蛇行量を推定したストリップの幅サイズが入力される。
前記幅サイズを用いて、生産障害危険率推定手段103では、予め判明している連続処理設備通板ラインの構造物とストリップの距離を算出する。例えば通板ラインの幅方向両サイドにあるガイド間の距離がW2、ストリップ幅がWの場合、ストリップ幅方向中心がラインセンタに一致しているとの前提で、ストリップ両エッジとサイドガイド間の距離Dは、下式(12)で算出できる。
Figure 0004873902
次に、確率α%の前提で推定された蛇行量の範囲Y1及びY2を、前記ストリップ両エッジ−サイドガイド間距離Dと比較する処理を行い、Y1、Y2のいずれかが距離Dよりも大きい場合は、過去の事例から推定して確率α%でストリップがサイドガイドに衝突すると判定して、アラート信号と判定結果を危険率表示手段104に出力する。
また、蛇行量の範囲Y1、Y2の何れも±Dより小さい場合には、図7に示すように、蛇行量の正規分布関数の中心位置Y0と標準偏差の情報に基づいて、蛇行量がエッジ−サイドガイド間距離Dを越える確率βを推定する。このとき確率βは、(1−α)よりも小さな確率値であって、発生する可能性は低いものの、過去の事例から推定されたストリップとサイドガイドの衝突確率を定量的に表現する値である。この確率値βを危険率表示手段104に出力する。
危険率表示手段104においては、前記生産障害危険率推定手段103より出力されたストリップとサイドガイドの衝突アラート信号、或いは衝突確率βを連続処理設備の操業オペレータに提示する処理を行う。この提示された情報に基づいて、オペレータは、例えば危険率の高いストリップについてのみ搬送速度を低速に設定して操業する、といった危険回避の為のアクションをとることができる。
次に、図10に示すフローチャートを用いて、本実施の形態のストリップの連続処理設備における操業支援方法を説明する。ステップS201は形状検出工程であって、本実施の形態のストリップの連続処理設備における操業支援装置においては、図1の形状検出手段106での処理に対応する。ここでは、ストリップの連続処理装置の入側、若しくは前工程の出側でストリップの形状を連続的若しくは間欠的に測定し、定量的な形状指標として出力する処理を行う。
ステップS202は重み付き形状指標左右差算出工程であって、本実施の形態のストリップの連続処理設備における操業支援装置においては、図1の重み付き形状指標左右差算出手段101での処理に対応する。形状検出工程(ステップS201)より出力された形状指標に対して、上式(1)、(2)に基づいて重み付き形状指標左右差Mを算出する処理を行う。
次に、蛇行量推定モデルが既に作成されているか否かを判定する処理を行う。既に蛇行量推定モデルが作成されている場合は、重み付き形状指標左右差Mを蛇行量推定工程(ステップS205)に出力する。未だ蛇行量推定モデルが作成されていない場合は、重み付き形状指標左右差Mを蛇行検出工程(ステップS203)で出力された蛇行量実績データと共に、蛇行量推定モデル作成工程(ステップS204)に出力する。
蛇行量推定モデル作成工程(ステップS204)は、本実施の形態のストリップの連続処理設備における操業支援装置においては、図1の蛇行量推定モデル作成手段105での処理に対応する。蛇行量の推定に、例えば前述の事例ベース推論を用いる場合、重み付き形状指標左右差算出工程(ステップS202)と、蛇行検出工程(ステップS203)から出力された実績データを紐付けして、例えば計算機の記憶装置やメモリに保存する処理を行う。
ステップS205は蛇行量推定工程であって、本実施の形態のストリップの連続処理設備における操業支援装置においては、図1の蛇行量推定手段102での処理に対応する。蛇行量推定モデル作成工程(ステップS204)より出力された蛇行量推定モデル、及び前記重み付き形状指標左右差算出工程(ステップS202)で算出された重み付き形状指標左右差Mに基づいて、当該金属ストリップが連続処理設備を通板する時の蛇行量を推定する処理を行う。
ステップS206は生産障害危険率推定工程であって、本実施の形態のストリップの連続処理設備における操業支援装置においては、図1の生産障害危険率推定手段103での処理に対応する。蛇行量推定工程(ステップS205)より出力された蛇行推定量に基づき、重大な生産障害の原因となる、ストリップと連続処理設備通板ラインの構造物の接触が発生する危険率を推定する処理を行う。
次に、ストリップの全長に対する蛇行量推定、及び生産障害危険率推定が完了したか否かを判定する処理を行い、未だであれば形状検出工程(ステップS201)以降の処理を、再度実行する。全長に対する推定が完了している場合は、推定結果を危険率表示工程(ステップS207)に出力する。
ステップS207は危険率表示工程であって、本実施の形態のストリップの連続処理設備における操業支援装置においては、図1の危険率表示手段104での処理に対応するものである。
以上に述べた本実施の形態による金属ストリップの連続処理設備における操業支援装置及び操業支援方法によれば、処理設備入側の形状指標から重み付き形状指標左右差を算出するので、従来の技術よりも高精度で蛇行量を推定し、更には生産障害につながるストリップとライン構造物の衝突危険率を推定し、予め操業オペレータに提示することが可能である。この結果、オペレータは、蛇行する危険率の高いストリップに対してのみ低速操業を実施し、必要以上に処理能力を損なうことなく操業トラブルを回避することが可能である。
(実施例)
以下には、鉄鋼の薄板製品の連続焼鈍処理設備について、その前段階の工程である冷間圧延工程の出側に設置された形状指標に基づき、連続焼鈍処理設備の加熱炉内で発生する薄板の蛇行量、及び薄板が加熱炉内で構造物に接触する危険率を推定し、連続焼鈍処理設備の操業オペレータに提示することで、操業支援を行った実施例について述べる。今回の実施例は、操業支援装置はコンピュータ上のプログラムとして実現した。
冷間圧延工程にて測定された伸び率差は、逐次、形状指標を処理する計算機のメモリ上にバッファリングされ、コイル全長分の測定が完了した時点で、操業支援装置を実現したコンピュータに入力される。入力された伸び率差は、通板方向に10mピッチでサンプリングされ、コイル単位のファイルに加工された上で、更に検索に使用するためのコイル番号を付与された形式で、コンピュータ内のハードディスクに保存されるものとした。
次に、連続焼鈍処理設備で熱処理を行うロットが確定した時点で、上位計算機よりロットを構成するコイルの番号が、操業支援装置に送信される。引き渡されたコイル番号に基づいて、コンピュータ内のハードディスクより伸び率差のファイルを検索し、各コイルの重み付き形状指標左右差を10mピッチで算出するものとした。コンピュータのハードディスクには、図2と同様の重み付き形状指標左右差と蛇行量の実績データのセットを保存し、10mピッチで算出された重み付き形状指標左右差に基づいて、事例ベース推論を応用して蛇行量を推定する機能を実現した。
蛇行量の推定にあたっては、事前の操業試験テストの結果を踏まえ、確率80%を前提として蛇行量が取り得る範囲を操業オペレータに提示するものとした。また、生産障害危険率としては、焼鈍設備の加熱炉内の炉壁間隔2000mmを前提とし、ストリップ幅に応じて算出される薄板のエッジと炉壁間距離に基づいて、蛇行によるストリップと炉壁の衝突による生産障害危険率を算出するものとした。
操業オペレータに対しては、現在処理している薄板コイルも含めて、現時点以降処理予定のコイル50本について、全長の推定蛇行量と危険率を提示する機能とした。
上記の操業支援装置によって、連続焼鈍処理設備の操業オペレータに蛇行量と危険率の推定量を提示するシステムを実現し、運用を行った結果、炉壁と薄板の接触によるスリ疵の発生率低減、ストリップ破断による操業ライン停止トラブルの回数減少、更には製品歩留まりの向上、製品手入れの省力化、品質トラブルによる納期遅れの回避等の効果を得ることができた。一方、蛇行による操業トラブル発生懸念材に対する低速操業を実施したことで、生産量が低減することが予想されたが、実際には低速操業を必要とする懸念材の発生量は軽微であり、生産量への影響は見られなかった。
なお、今回の実施例では、コンピュータ上のプログラムとして操業支援装置を実現したが、演算装置、メモリ等を組み合わせたハードウェアによって構成されるものであっても良い。
また、本発明の金属ストリップの連続処理設備における操業支援装置は、複数の機器から構成されるものであっても、一つの機器から構成されるものであっても良い。
また、上述した実施の形態の操業支援装置は、コンピュータのCPU或いはMPU、RAM、ROM等で構成されるものであり、RAMやROMに記録されたプログラムが動作することで実施される。したがって、前記実施の形態の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムコードを格納した記憶媒体は本発明の範疇に含まれる。
更に今回の実施例では、鉄鋼の薄板製品の連続焼鈍処理設備について、その前段階の工程である冷間圧延工程出側の形状指標に基づきガイダンスを行う操業支援装置を実現したが、操業支援の対象となる設備、及びその前段階の工程である設備は、これらに限定されるものではない。例えば、亜鉛メッキ処理設備に対し、その前段階の工程である冷間圧延工程出側の形状指標に基づきガイダンスを行う操業支援装置、或いは錫メッキ処理設備に対し、その前段階の工程である連続焼鈍処理設備出側の形状指標に基づきガイダンスを行う操業支援装置等も、本発明の範疇に含まれる。
本発明の金属ストリップの連続処理設備における操業支援装置の実施の形態の概略構成を示す図であり、(a)はストリップの連続処理設備の一例の概略図、(b)は本実施の形態のストリップの連続処理設備における操業支援装置の概略を示すブロック図である。 金属ストリップの形状指標から算出した重み付き形状指標左右差と、金属ストリップ蛇行量の散布図である。 金属ストリップ両エッジ部の伸び率の差分量と、金属ストリップ蛇行量の散布図である。 冷間圧延工程の出側で測定した薄板コイル全長の伸び率差分布を表示した図である。 重み付き形状指標左右差を計算する処理を説明する図である。 蛇行量の度数分布を正規分布と仮定した場合に、蛇行量を推定する処理を模式的に説明する図である。 蛇行量の正規分布関数の情報に基づいて、蛇行量がエッジ−サイドガイド間距離Dを越える確率βを推定する処理を模式的に説明する図である。 金属ストリップの典型的な形状不良の例を説明する図である。 伸び率差の概念を説明するための図である。 本発明の金属ストリップの連続処理設備における操業支援方法の実施の一形態の処理を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
101:重み付形状指標左右差算出手段
102:蛇行量推定手段
103:生産障害危険率推定手段
104:危険率表示手段
105:蛇行量推定モデル作成手段
106:形状検出手段
107:蛇行検出手段
108:プロセスコンピュータ
109:クラウンロール

Claims (10)

  1. 複数の金属ストリップを連続して処理する金属ストリップの連続処理設備の前工程の出側において金属ストリップの形状を連続的若しくは間欠的に測定し、定量的な形状指標を金属ストリップ通板方向位置と対応させて出力する形状検出手段と、
    前記形状指標に対して金属ストリップの幅方向センタを基準軸として、該金属ストリップの幅方向位置の所定の関数で重み付けを行い、重み付けした該金属ストリップの左右差の指標である重み付き形状指標左右差の実績データを算出する重み付き形状指標左右差算出手段と、
    前記連続処理設備内を前記金属ストリップが通過する際の進行方向と直交する方向への蛇行量を検出する蛇行検出手段と、
    複数の金属ストリップについての該蛇行量の実績データと、前記重み付き形状指標左右差の実績データから蛇行推定モデルを作成する蛇行量推定モデル作成手段と、
    新たな金属ストリップに対して得られた前記重み付き形状指標左右差に基づいて、前記蛇行推定モデルを用いて前記連続処理設備を前記新たな金属ストリップが通板する際の蛇行量を推定する蛇行量推定手段と、
    該蛇行量の推定値に基づいて、予め設定した種類の生産障害を前記新たな金属ストリップが発生させる危険率を推定する生産障害危険率推定手段と、
    前記危険率を連続処理設備の操業オペレータに提示する危険率表示手段とを備え
    前記重み付き形状指標左右差算出手段は、前記幅方向位置の所定の関数を金属ストリップ幅方向重み係数A(x)として、下式を用いて、
    Figure 0004873902
    前記重み付き形状指標左右差を算出し、
    前記金属ストリップ幅方向重み係数A(x)は、下式
    Figure 0004873902
    で表されることを特徴とする金属ストリップの連続処理設備における操業支援装置。
  2. 前記蛇行量推定手段は、複数の金属ストリップについての前記重み付き形状指標左右差の実績データ及び前記蛇行量の実績データから、新たな金属ストリップの重み付き形状指標左右差に類似した実績データを選択し、選択された実績データの蛇行量の度数分布に基づいて、予め設定した確率値における前記新たな金属ストリップの蛇行量の発生する範囲を推定することを特徴とする請求項に記載の金属ストリップの連続処理設備における操業支援装置。
  3. 前記形状指標は、金属ストリップの通板方向伸び率差の幅方向分布、波高さの幅方向分布、金属ストリップ急峻率の幅方向分布、又はこれらの各指標を定数倍することで定義される指標であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属ストリップの連続処理設備における操業支援装置。
  4. 前記金属ストリップ連続処理装置は、鉄鋼薄板コイルの連続焼鈍設備、又は亜鉛メッキや錫メッキによる表面処理設備であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の金属ストリップの連続処理設備における操業支援装置。
  5. 複数の金属ストリップを連続して処理する金属ストリップの連続処理設備の前工程の出側において金属ストリップの形状を連続的若しくは間欠的に測定し、定量的な形状指標を金属ストリップ通板方向位置と対応させて出力する形状検出工程と、
    前記形状指標に対して、金属ストリップの幅方向センタを基準軸として、該金属ストリップの幅方向位置の所定の関数で重み付けを行い、重み付けした該金属ストリップの左右差の指標である重み付き形状指標左右差の実績データを算出する重み付き形状指標左右差算出工程と、
    前記連続処理設備内を前記金属ストリップが通過する際の進行方向と直交する方向への蛇行量を検出する蛇行検出工程と、
    複数の金属ストリップについての該蛇行量の実績データと、前記重み付き形状指標左右差の実績データから蛇行推定モデルを作成する蛇行量推定モデル作成工程と、
    新たな金属ストリップに対して得られた前記重み付き形状指標左右差に基づいて、前記蛇行推定モデルを用いて前記連続処理設備を前記新たな金属ストリップが通板する際の蛇行量を推定する蛇行量推定工程と、
    該蛇行量の推定値に基づいて、予め設定した種類の生産障害を前記新たな金属ストリップが発生させる危険率を推定する生産障害危険率推定工程と、
    前記危険率を連続処理設備の操業オペレータに提示する危険率表示工程とを有し、
    前記重み付き形状指標左右差算出工程は、前記幅方向位置の所定の関数を金属ストリップ幅方向重み係数A(x)として下式を用いて、
    Figure 0004873902
    前記重み付き形状指標左右差を算出し、
    前記金属ストリップ幅方向重み係数A(x)は、下式
    Figure 0004873902
    で表されることを特徴とする金属ストリップの連続処理設備における操業支援方法。
  6. 前記蛇行量推定工程は、複数の金属ストリップについての前記重み付き形状指標左右差の実績データ及び前記蛇行量の実績データから、新たな金属ストリップの重み付き形状指標左右差に類似した実績データを選択し、選択された実績データの蛇行量の度数分布に基づいて、予め設定した確率値における前記新たな金属ストリップの蛇行量の発生する範囲を推定することを特徴とする請求項に記載の金属ストリップの連続処理設備における操業支援方法。
  7. 前記形状指標は、金属ストリップの通板方向伸び率差の幅方向分布、波高さの幅方向分布、金属ストリップ急峻率の幅方向分布、又はこれらの各指標を定数倍することで定義される指標であることを特徴とする請求項5又は6に記載の金属ストリップの連続処理設備における操業支援方法。
  8. 前記金属ストリップの連続処理設備は、鉄鋼薄板コイルの連続焼鈍設備、又は亜鉛メッキや錫メッキによる表面処理設備であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の金属ストリップの連続処理設備における操業支援方法。
  9. 請求項5〜8のいずれか1項に記載の金属ストリップの連続処理設備における操業支援方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  10. 請求項に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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