JP7115459B2 - 厚鋼板の圧延方法及び圧延装置 - Google Patents

厚鋼板の圧延方法及び圧延装置 Download PDF

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Description

本発明は、厚鋼板の製品歩留まりを決定する圧延における平面形状を制御する厚鋼板の圧延方法及び圧延装置に関する。
一般に、厚鋼板の圧延は、所定の板厚まで調整するために行う調整圧延工程と、当該調整圧延工程から平面上で圧延方向を90度回転して所定の製品幅を得るために行う幅出圧延工程とを備えている。また、厚鋼板の圧延は、当該幅出圧延工程から再び圧延方向を90度回転して元の方向に戻し所定の製品板厚を得るために行う仕上圧延工程を備えている。厚鋼板の圧延は、1機あるいは2機以上の圧延機にてリバース圧延で行われており、被圧延材(スラブ)に対してこれら調整圧延工程、幅出圧延工程、及び仕上圧延工程で所定のパス回数繰り返して行うことにより、所望の板厚、板幅、板長を有する矩形形状の厚鋼板が得られる。
しかしながら、この厚鋼板の圧延においては、被圧延材において生じる非定常変形により、圧延後の被圧延材の形状が、本来製品に求められる矩形形状にならないことがある。特に、被圧延材の平面形状が長手方向の先端及び尾端に対して中央部がより幅広である、いわゆる太鼓形状になったり、先端部及び尾端部がより幅広となる、いわゆる鼓形状になったりする。あるいは、被圧延材の先端部及び尾端部に、フィッシュテール形状のクロップや、板端部が板厚方向に折れ込むメタルフローに起因して生じる括れが形成される場合がある。従って、圧延後の被圧延材に対しては、製品の要求寸法から外れるロス(クロップロスや幅異形ロス)を切り落とし、矩形の製品を切り出す処理が行われる。当該切り出し処理において、切り落とされる不要な部位が多ければ、製品歩留まりの低下につながる。
ここで、厚鋼板の圧延において、製品歩留まりの低下につながる不要な部位が生じないように被圧延材の平面形状を制御する技術として、従来、例えば、特許文献1~3に示すものが知られている。
特許文献1に示す厚板圧延方法は、圧延材を水平面内で90°転回して圧延を続行する工程の直前における先行圧延の最終パスでロール間隙に変化を与えることにより、最終パスを通る圧延材の圧延方向前後各端で圧延方向に沿う傾斜を付与して前後端部を厚くするか、または薄くする圧下修正を行う。そして、圧延材の前後各端に傾斜を付与する圧下修正につき、圧延方向と直角な圧延ロールの軸方向における圧下修正量にも偏差を与えて当該軸方向に傾斜を付与するとともに、圧延材の中央部の厚みに対する軸方向厚み偏差が大きい側を、続く90°転回後の圧延の第一パスの噛み込み端として圧延するものである。
また、特許文献2に示す厚板の圧延方法は、任意のスラブ加熱条件(初期値)より計算された圧延開始前のスラブの3次元温度分布と所定の圧延パススケジュールに基づいて圧延形状演算手段を用いて圧延後の板先後端部の括れ量とクロップ量を計算する。そして、括れ量とクロップ量の少なくとも一方が許容値を超えたときにはスラブ加熱条件を修正して一連の計算を繰り返し、括れ量及びクロップ量がともに許容値以下になったときのスラブ加熱条件でスラブを加熱するものである。
更に、特許文献3に示す厚鋼板の圧延方法は、厚鋼板の調整圧延および幅出圧延の最終パスで圧延長手方向の両端部に厚肉部を付与し、その後仕上圧延する厚鋼板の圧延方法である。そして、この厚鋼板の圧延工程において、最終パス前に走間幅長さ計によって厚鋼板の幅方向と長さ方向に走間で走査し、走間幅長さ計で検出した厚鋼板のそれぞれの両端部座標のデータから厚鋼板の平面形状を得る。そして、この平面形状に基づいて、仕上圧延後の厚鋼板が矩形となるように、最終パスで圧延長手方向両端部に付与する厚肉部の形状を決定する。
特開昭60-231505号公報 特開2002-59207号公報
しかしながら、これら従来の特許文献1~3に示す圧延方法にあっては、以下の問題点があった。
即ち、特許文献1及び2に示す圧延方法にあっては、実験室レベルでの実験回帰式や材料速度一定則に基づいてモデルが構築され、その構築されたモデルに基づいて制御量が決定されているため、非定常なメタルフローが生じた場合の予測精度に劣るという問題があった。
また、特許文献3に示す圧延方法の場合、調整圧延及び幅出圧延の最終パス前に走間幅長さ計によって厚鋼板の幅方向と長さ方向に走間で走査しているが、厚鋼板の圧延では圧延時にロールバイトに供給される冷却水がヒュームとなって飛散している。このため、飛散した冷却水によって走間幅長さ計が汚れ、劣化し、その汚れ・劣化に伴う測定誤差の上昇が経時的に発生し、定期的なメンテナンスを要する問題があった。
従って、本発明はこれら従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、厚鋼板の圧延後の平面形状を適切に予測し、その予測された平面形状が要求される製品形状に漸近するように圧延条件を逐次変更して調整圧延および幅出圧延のそれぞれの最終パスで圧延長手方向両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された圧延条件を決定することで、圧延後に形成されるロスを最小化することができる厚鋼板の圧延方法及び圧延装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決し、厚鋼板の圧延後の平面形状を外部測定機器や実験回帰式を用いずに適切に予測し、圧延後に形成されるロスを最小化して製品歩留まりを高くすることができる圧延方法及び圧延装置について検討を重ね、その結果、以下のような知見を得た。
先ず、過去の厚鋼板の圧延条件実績と当該過去の厚鋼板の圧延条件実績に対応する過去の厚鋼板の平面形状実績とを結び付ける機械学習手法による予測モデルを作成する。そして、作成された予測モデルに基づいて、仕上圧延後の厚鋼板の平面形状を予測し、その予測された仕上圧延後の厚鋼板の平面形状が、要求される製品形状である目標形状に漸近するように、圧延条件を逐次変更することで圧延後に形成されるロスを最小化して製品歩留まりを高くすることができる圧延方法及び圧延装置を見出した。
即ち、本発明の一態様に係る厚鋼板の圧延方法は、厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延で圧延長手方向の両端部に厚肉部を付与し、その後、仕上圧延する厚鋼板の圧延方法であって、前記厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの少なくとも最終パスの前に、過去の厚鋼板の圧延条件実績と当該過去の厚鋼板の圧延条件実績に対応する過去の厚鋼板の仕上圧延後の平面形状実績とを結び付ける機械学習手法による予測モデルに対し、圧延対象の厚鋼板の圧延条件を入力して仕上圧延後の厚鋼板の平面形状を予測するとともに、予測された前記仕上圧延後の厚鋼板の平面形状が、要求される製品形状である目標形状に漸近するように、前記圧延対象の厚鋼板の圧延条件を逐次変更して前記厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの最終パスで圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された圧延条件を決定し、最適化された圧延条件で以降の圧延を実施することを要旨とする。
また、本発明の別の態様に係る厚鋼板の圧延装置は、厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延で圧延長手方向の両端部に厚肉部を付与し、その後、仕上圧延する厚鋼板の圧延装置であって、前記厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの少なくとも最終パスの前に、過去の厚鋼板の圧延条件実績と当該過去の厚鋼板の圧延条件実績に対応する過去の厚鋼板の仕上圧延後の平面形状実績とを結び付ける機械学習手法による予測モデルに対し、圧延対象の厚鋼板の圧延条件を入力して仕上圧延後の厚鋼板の平面形状を予測するとともに、予測された前記仕上圧延後の厚鋼板の平面形状が、要求される製品形状である目標形状に漸近するように、前記圧延対象の厚鋼板の圧延条件を逐次変更して前記厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの最終パスで圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された圧延条件を決定する最適化圧延条件決定部を備え、最適化された圧延条件で以降の圧延を実施することを要旨とする。
本発明に係る厚鋼板の圧延方法及び圧延装置によれば、厚鋼板の圧延後の平面形状を適切に予測し、その予測された平面形状が要求される製品形状に漸近するように圧延条件を逐次変更して調整圧延および幅出圧延のそれぞれの最終パスで圧延長手方向両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された圧延条件を決定することで、圧延後に形成されるロスを最小化することができる厚鋼板の圧延方法及び圧延装置を提供できる。
本発明の一実施形態に係る厚鋼板の圧延方法を示す圧延工程の全体の流れを説明するための図である。 図1に示す圧延方法に用いられる圧延装置の概略構成図である。 図2に示す圧延装置における演算装置の概略構成ブロック図である。 図3に示す演算装置における演算処理部の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 図4に示す演算処理部のフローチャートにおけるステップS2(予測モデル作成ステップ)の詳細な流れを説明するためのフローチャートである。 予測モデルとしてのニューラルネットワークモデルの処理フロー図である。 図4に示す演算処理部のフローチャートにおけるステップS4(最適化圧延条件決定ステップ)の詳細な流れを説明するためのフローチャートである。 図4に示す演算処理部のフローチャートにおけるステップS6(最適化圧延条件決定ステップ)の詳細な流れを説明するためのフローチャートである。 厚鋼板の幅方向のクロップ位置とクロップ長との関係につき、実施例と比較例1、2とを対比して示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
図1には、本発明の一実施形態に係る厚鋼板の圧延方法を示す圧延工程の全体の流れが示されている。
図1に示す厚鋼板の圧延工程において、被圧延材としてのスラブSを所定の板厚まで調整する調整圧延工程と、調整圧延工程から平面上で圧延方向を90度回転してスラブSを所定の製品幅にする幅出圧延工程とを備えている。また、厚鋼板の圧延工程は、幅出圧延工程から再び圧延方向を90度回転して元の方向に戻してスラブSを所定の製品板厚にする仕上圧延工程を備えている。そして、厚鋼板の圧延は、図2に示す1機の圧延機3にてリバース圧延で行われており、スラブSに対してこれら調整圧延工程、幅出圧延工程及び仕上圧延工程で所定のパス回数繰り返して行うことにより、所望の板厚、板幅、板長を有する矩形形状の厚鋼板が得られる。
そして、調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの最終パスで圧延長手方向の両端部に厚肉部を付与する。これにより、仕上圧延後の厚鋼板における矩形形状にならない部分のロス(圧延長手方向両端部のクロップロスや幅異形ロス、図1において、タイコ形状やツヅミ形状となった厚鋼板のうち製品採取可能領域からはみ出した領域)を軽減する。
図2には、図1に示す圧延方法に用いられる圧延装置の概略構成が示されており、調整圧延工程、幅出圧延工程及び仕上圧延工程において、圧延機3で搬送ロール2によって搬送されるスラブSを所定のパス回数繰り返してリバース圧延する。圧延機3は、スラブSを上下から圧延する上下一対のワークロール3aと、これらワークロール3aを支持する上下一対のバックアップロール3bとを備えている。
そして、圧延機3には、圧下装置4が設けられ、圧下装置4にはその圧下装置4を制御する圧下制御装置5が設けられている。圧下制御装置5は、上位計算機6から送信される圧延スケジュールの圧下条件に従って圧下装置4による圧延機3の圧下量を制御する。
また、圧下制御装置5及び上位計算機6には、調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの最終パスで圧延長手方向の両端部に付与される厚肉部の形状を含む最適化された圧延条件を決定するための演算装置7が接続されている。
演算装置7は、図3に示すように、演算装置本体71と、入力装置88と、記憶装置89と、出力装置90とを備えている。演算装置本体71と、入力装置88、記憶装置89、及び出力装置90とは、バス87を介して有線により接続されている。演算装置本体71と、入力装置88、記憶装置89、及び出力装置90とは、この接続の態様に限らず、無線により接続されてもよく、あるいは有線と無線とを組み合わせた態様で接続されてもよい。演算装置本体71の構成は後に詳細に説明する。
入力装置88は、例えば、キーボード、ペンタブレット、タッチパッド、マウス等、本システムの管理者の操作を検出可能な任意の入力インターフェースであるが、上位計算機6からの指令及び情報を入力可能となっている。入力装置88により演算装置本体71への各種処理の指示に係る操作を受け付ける。
記憶装置89は、例えばハードディスクドライブ、半導体ドライブ、光学ドライブ等であり、本システムにおいて必要な情報を記憶する装置である。記憶装置89は、例えば、過去の厚鋼板の圧延条件実績に関する情報、過去の厚鋼板の圧延条件実績に対応する過去の厚鋼板の仕上圧延後の平面形状実績に関する情報、上位計算機6から入力される圧延対象の厚鋼板の圧延条件に関する情報、上位計算機6から入力される、要求される製品形状である目標形状に関する情報、及び後述する予測モデル作成部77によって作成された予測モデルとしてのニューラルネットワークモデル等が記憶される。
また、出力装置90は、出力されたデータ、例えば、後述する最適化圧延条件決定部82によって決定された厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの最終パスで圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された圧延条件を圧下制御装置5に送信する。出力装置90は、例えば、液晶ディスプレイや有機ディスプレイ等の任意のディスプレイを備えることで、出力データ及び信号に基づく画面を表示可能である。
演算装置本体71は、RAM72と、ROM73と、演算処理部76とを備えている。ROM73は、予測モデル作成プログラム74と、最適化圧延条件決定プログラム75とを記憶している。また、演算処理部76は、演算処理機能を有し、RAM72及びROM73とバス87により接続されている。また、RAM72、ROM73、及び演算処理部76は、バス87を介して入力装置88、記憶装置89、及び出力装置90に接続されている。
演算処理部76は、機能ブロックとして、予測モデル作成部77と、厚肉部形状決定部82とを備えている。
演算処理部76の予測モデル作成部77は、過去の厚鋼板の圧延条件実績と当該過去の厚鋼板の圧延条件実績に対応する過去の厚鋼板の仕上圧延後の平面形状実績とを結び付ける機械学習手法による予測モデルを作成するものであり、情報読込部78、前処理部79、モデル作成部80、及び結果保存部81を備えている。機械学習手法による予測モデルとして、本実施形態では、ニューラルネットワークモデルを用いる。この予測モデル作成部77は、入力装置88から予測モデルの作成の指示を受けた際に、ROM73に記憶されている予測モデル作成プログラム74を実行し、情報読込部78、前処理部79、モデル作成部80、及び結果保存部81の各機能を実行する。
また、演算処理部76の最適化圧延条件決定部82は、厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの最終パスの前に、予測モデル作成部77で作成された予測モデルに対し、圧延対象の厚鋼板の圧延条件を入力して仕上圧延後の厚鋼板の平面形状を予測する。そして、最適化圧延条件決定部82は、予測された仕上圧延後の厚鋼板の平面形状が、要求される製品形状である目標形状に漸近するように、圧延対象の厚鋼板の圧延条件を逐次変更して厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの最終パスで圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された圧延条件を決定する。このため、最適化圧延条件決定部82は、情報読込部83、平面形状予測部84、圧延条件決定部85、及び結果出力部86を備えている。この最適化圧延条件決定部82は、上位計算機6から入力装置88を介して調整圧延及び幅出圧延における最終パス前のパスが終了したことを知らせる信号を受けたときに、ROM73に記憶されている最適化圧延条件決定プログラム75を実行し、情報読込部83、平面形状予測部84、圧延条件決定部85、及び結果出力部86の各機能を実行する。
次に、演算処理部76の処理の流れを、図4乃至図8を参照して説明する。
先ず、図4に示すように、演算処理部76の予測モデル作成部77は、ステップS1において、入力装置88から予測モデルの作成の指示があるかないかを判定する。判定結果がYESのときはステップS2に移行し、判定結果がNoのときはステップS1を繰り返す。本システムの管理者は、圧延装置1による厚鋼板の圧延を行う前に、入力装置88から予測モデルの作成の指示を出す。
そして、予測モデル作成部77は、ステップS2において、過去の厚鋼板の圧延条件実績と当該過去の厚鋼板の圧延条件実績に対応する過去の厚鋼板の仕上圧延後の平面形状実績とを結び付ける機械学習手法による予測モデルとしてニューラルネットワークモデルを作成する(予測モデル作成ステップ)。
このステップS2(予測モデル作成ステップ)の詳細な流れを図5を参照して説明する。
先ず、予測モデル作成部77の情報読込部78は、ステップS21において、記憶装置89に記憶されている過去の厚鋼板の圧延条件実績を読み込む。ここで、「圧延条件」は、スラブSの寸法、圧延後の製品寸法、目標の幅出し量、調整圧延及び幅出圧延の最終パスで圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部のための圧下量、圧延方向、ワークロール3aの寸法、摩耗、及びサーマルクラウンについての情報等を意味する。
次いで、予測モデル作成部77の情報読込部78は、ステップS22において、記憶装置89に記憶されている、ステップS21で読込まれた過去の厚鋼板の圧延条件実績に対応する過去の厚鋼板の仕上圧延後の平面形状実績を読み込む。ここで、「平面形状」は、仕上圧延後の厚鋼板における平面の矩形形状と矩形形状にならない部分である圧延長手方向両端部のクロップ形状及び幅方向の異形形状とを含む形状を意味する。
次いで、予測モデル作成部77の前処理部79は、ステップS23において、ステップS21で読み込まれた過去の厚鋼板の圧延条件実績情報を、予測モデル作成用に加工する。具体的には、前処理部79はステップS21で読み込まれた圧延条件実績情報をニューラルネットワークモデルに読み込ませるために0~1の間で標準化する。
続いて、予測モデル作成部77のモデル作成部80は、ステップS24において、ステップS23で予測モデル作成用に加工された過去の厚鋼板の圧延条件実績とステップS22で読み込まれた過去の厚鋼板の仕上圧延後の平面形状実績とを結び付ける予測モデルとしてのニューラルネットワークモデルを作成する。具体的には、モデル作成部80は、ニューラルネットワークモデルに用いられるハイパーパラメータの設定を行うとともに、それらハイパーパラメータを用いたニューラルネットワークモデルによる学習を行う。
ハイパーパラメータの最適化計算として、モデル作成部80は、まず学習用データ(数万程度の圧延条件実績データ)に対して、ハイパーパラメータ内のいくつかを段階的に変更したニューラルネットワークモデルを作成し、検証用データに対する予測精度が最も高くなるようなハイパーパラメータが選択される。
ハイパーパラメータとして通常、隠れ層の数、各々の隠れ層におけるニューロン数、各々の隠れ層におけるドロップアウト率(ニューロンの伝達をある一定の確率で遮断する)、各々の隠れ層における活性化関数が設定されるがこれに限定されない。
ハイパーパラメータの最適化手法は特に限定されないが、パラメータを段階的に変更するグリッドサーチや、パラメータをランダムに選択するランダムサーチ、あるいはベイズ最適化による探索を用いることができる。
図6には、本システムにおけるニューラルネットワークモデルの処理フローが示されている。本実施形態における予測モデルとしてのニューラルネットワークモデルは、入力側から順に、入力層101と、中間層102と、出力層103とを含んでいる。
ハイパーパラメータを用いたニューラルネットワークモデルによる学習に際し、入力層101には、ステップS23で加工され過去の厚鋼板の圧延条件実績情報、即ち、0~1の間で標準化された過去の厚鋼板の圧延条件実績情報が格納される。格納される圧延条件実績情報の説明変数は厚鋼板の変形に関わる変数が選択されることが望ましいが、その数及び変形との相関の高さには限定されない。
中間層102は複数の隠れ層で構成され、各々の隠れ層には複数のニューロンが配置されている。中間層102内に構成される隠れ層の数は特に限定されないが、経験的に隠れ層の数が多すぎると予測精度が低下することから、望ましくは5層以下であることが好ましい。また、各隠れ層に配置されるニューロンの数は、好ましくは入力される説明変数の1倍~10倍の範囲の数とすることが好ましい。
中間層102において、あるニューロンから続く隠れ層へのニューロンの伝達は、重み係数による変数の重み付けとともに、活性化関数を介して行われる。活性化関数にはシグモイト関数やハイパボリックタンジェント関数、あるいはランプ関数を用いることができる。
出力層103は、中間層102により伝達されたニューロンの情報が結合され、最終的な合仕上圧延後の平面形状の値として出力される。この出力された結果と、ステップS22で読み込まれた過去の厚鋼板の仕上圧延後の平面形状実績とに基づき、ニューラルネットワークモデル内の重み係数が徐々に最適化されることで学習が行われる。
ニューラルネットワークモデルの重み係数が学習された後、モデル作成部80は、ステップS23で作成した評価用データを、この重み係数が学習されたニューラルネットワークモデルに入力して、評価用データに対する推定結果を得る。
次いで、予測モデル作成部77の結果保存部81は、ステップS25において、学習用データ、評価用データ、ニューラルネットワークモデルのパラメータ(重み係数)、学習用データに対するニューラルネットワークモデルの出力結果、及び評価用データに対するニューラルネットワークモデルの出力結果を、記憶装置89に記憶させるとともに、出力装置90に伝達して表示させる。
これにより、予測モデル作成部77によるステップS2(予測モデル作成ステップ)が終了する。
その後、演算処理部76の最適化圧延条件決定部82は、図4に示すように、ステップS3において、厚鋼板の調整圧延において、最終パス前のパスが終了したか否かを判定する。この判定は、最適化圧延条件決定部82が、上位計算機6から入力装置88を介して調整圧延における最終パス前のパスが終了したことを知らせる信号を受けたときに、YES(終了した)と判定し、ステップS4に移行する。また、厚肉部形状決定部82が、上位計算機6から入力装置88を介して調整圧延における最終パス前のパスが終了したことを知らせる信号を受けていないときには、No(終了せず)と判定し、ステップS3を繰り返す。
そして、最適化圧延条件決定部82は、ステップS4において、厚鋼板の調整圧延の最終パスの前に、ステップS2で作成された予測モデルとしてのニューラルネットワークモデルに対し、圧延対象の厚鋼板の圧延条件を入力し、仕上圧延後の厚鋼板の平面形状を予測する。そして、最適化圧延条件決定部82は、予測された仕上圧延後の厚鋼板の平面形状が、要求される製品形状である目標形状に漸近するように、圧延対象の厚鋼板の圧延条件を逐次変更して厚鋼板の調整圧延の最終パスで圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された圧延条件を決定する(最適化圧延条件決定ステップ)。
このステップS4(最適化圧延条件決定ステップ)の詳細な流れを図7を参照して説明する。
先ず、厚肉部形状決定部82の情報読込部83は、ステップS41において、ステップS2で作成された予測モデルとしてのニューラルネットワークモデルを記憶装置89から読み込む。
次いで、情報読込部83は、ステップS42において、上位計算機6から入力装置88を介して記憶装置89に記憶されている要求される製品形状である目標形状を読み込む。
次いで、情報読込部83は、ステップS43において、上位計算機6から入力装置88を介して記憶装置89に記憶されている圧延対象の厚鋼板の圧延条件を読み込む。
その後、最適化圧延条件決定部82の平面形状予測部84は、ステップS44において、ステップS41で読み込まれた予測モデルとしてのニューラルネットワークモデルにより、ステップS43で読み込まれた圧延対象の厚鋼板の圧延条件に対応する仕上圧延後の厚鋼板の平面形状を予測する。ニューラルネットワークモデルによる予測結果は、出力層103に出力され、出力層103に出力される仕上圧延後の厚鋼板の平面形状は、矩形形状をよく判定できるように、仕上圧延後の厚鋼板の平面形状のうち、周囲四辺の内2辺以上を含んでいることが好ましい。
続いて、最適化圧延条件決定部82の圧延条件決定部85は、ステップS45において、ステップS44で予測された仕上圧延後の厚鋼板の平面形状と、ステップS42で読み込まれた要求される製品形状である目標形状との差異が所定の閾値以内か否かを判定する。この閾値は、厚鋼板の平面形状ロス(圧延後の鋼板面積-製品採取可能な矩形面積)や平面形状バランスにより定められる。
そして、ステップS45における判定結果がYESのときはステップS46に移行し、判定結果がNoのときはステップS48に移行する。
そして、ステップS48では、圧延条件決定部85は、ステップS43で読み込まれた圧延対象の厚鋼板の圧延条件の一部を変更し、ステップS43に戻す。このとき、ステップS43において、平面形状予測部84は、圧延条件の一部が変更された圧延対象の厚鋼板の圧延条件を読み込む。また、ステップS44において、平面形状予測部84は、予測モデルとしてのニューラルネットワークモデルにより、ステップS43で読み込まれた圧延条件の一部が変更された圧延対象の厚鋼板の圧延条件に対応する仕上圧延後の厚鋼板の平面形状を予測する。そして、ステップS45において、圧延条件決定部85は、ステップS44で予測された仕上圧延後の厚鋼板の平面形状と、ステップS42で読み込まれた要求される製品形状である目標形状との差異が所定の閾値以内か否かを判定する。そして、その判定結果がYESになるまでステップS48、ステップS43、ステップS44、ステップS45を繰り返す。
そして、ステップS45における判定結果がYESとされたステップS46では、ステップS48で圧延条件の一部が変更されていないときは、圧延条件決定部85は、ステップS43で読み込まれた圧延対象の厚鋼板の圧延条件を、厚鋼板の調整圧延の最終パスで圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された厚鋼板の圧延条件として決定する。
一方、ステップS48で圧延条件の一部が変更されているときは、ステップS46では、圧延条件決定部85は、ステップS48で圧延条件の一部が変更された圧延対象の厚鋼板の圧延条件を、厚鋼板の調整圧延の最終パスで圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された厚鋼板の圧延条件として決定する。
次いで、ステップS47において、最適化圧延条件決定部82の結果出力部86は、決定された最適化された厚鋼板の圧延条件を出力装置90を介して圧下制御装置5へ伝送する。
これにより、最適化圧延条件決定部82によるステップS4(最適化圧延条件決定ステップ)が終了する。
そして、圧下制御装置5は、結果出力部86から伝送された最適化された圧延条件に基づき、圧下装置4によるワークロール3aの圧下位置を制御し、以降の圧延を実施する。
そして、図4に示すように、ステップS4が終了した後、演算処理部76の最適化圧延条件決定部82は、ステップS5において、厚鋼板の幅出圧延において、最終パス前のパスが終了したか否かを判定する。この判定は、最適化圧延条件決定部82が、上位計算機6から入力装置88を介して幅出圧延における最終パス前のパスが終了したことを知らせる信号を受けたときに、YES(終了した)と判定し、ステップS6に移行する。また、最適化圧延条件決定部82が、上位計算機6から入力装置88を介して調整圧延における最終パス前のパスが終了したことを知らせる信号を受けていないときには、No(終了せず)と判定し、ステップS5を繰り返す。
そして、最適化圧延条件決定部82は、ステップS6において、厚鋼板の幅出圧延の最終パスの前に、ステップS2で作成された予測モデルとしてのニューラルネットワークモデルに対し、圧延対象の厚鋼板の圧延条件を入力し、仕上圧延後の厚鋼板の平面形状を予測する。そして、最適化圧延条件決定部82は、予測された仕上圧延後の厚鋼板の平面形状が、要求される製品形状である目標形状に漸近するように、圧延対象の厚鋼板の圧延条件を逐次変更して厚鋼板の幅出圧延の最終パスで圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された圧延条件を決定する(最適化圧延条件決定ステップ)。
このステップS6(厚肉部形状決定ステップ)の詳細な流れを図8を参照して説明する。
先ず、最適化圧延条件決定部82の情報読込部83は、ステップS61において、ステップS2で作成された予測モデルとしてのニューラルネットワークモデルを記憶装置89から読み込む。
次いで、情報読込部83は、ステップS62において、上位計算機6から入力装置88を介して記憶装置89に記憶されている要求される製品形状である目標形状を読み込む。
次いで、情報読込部83は、ステップS63において、上位計算機6から入力装置88を介して記憶装置89に記憶されている圧延対象の厚鋼板の圧延条件を読み込む。
その後、最適化圧延条件決定部82の平面形状予測部84は、ステップS64において、ステップS61で読み込まれた予測モデルとしてのニューラルネットワークモデルにより、ステップS63で読み込まれた圧延対象の厚鋼板の圧延条件に対応する仕上圧延後の厚鋼板の平面形状を予測する。ニューラルネットワークモデルによる予測結果は、出力層103に出力され、出力層103に出力される仕上圧延後の厚鋼板の平面形状は、矩形形状をよく判定できるように、仕上圧延後の厚鋼板の平面形状のうち、周囲四辺の内2辺以上を含んでいることが好ましい。
続いて、最適化圧延条件決定部82の圧延条件決定部85は、ステップS65において、ステップS64で予測された仕上圧延後の厚鋼板の平面形状と、ステップS62で読み込まれた要求される製品形状である目標形状との差異が所定の閾値以内か否かを判定する。この閾値は、厚鋼板の平面形状ロス(圧延後の鋼板面積-製品採取可能な矩形面積)や平面形状バランスにより定められる。
そして、ステップS65における判定結果がYESのときはステップS66に移行し、判定結果がNoのときはステップS68に移行する。
そして、ステップS68では、圧延条件決定部85は、ステップS63で読み込まれた圧延対象の厚鋼板の圧延条件の一部を変更し、ステップS63に戻す。このとき、ステップS63において、平面形状予測部84は、圧延条件の一部が変更された圧延対象の厚鋼板の圧延条件を読み込む。また、ステップS64において、平面形状予測部84は、予測モデルとしてのニューラルネットワークモデルにより、ステップS63で読み込まれた圧延条件の一部が変更された圧延対象の厚鋼板の圧延条件に対応する仕上圧延後の厚鋼板の平面形状を予測する。そして、ステップS65において、圧延条件決定部85は、ステップS64で予測された仕上圧延後の厚鋼板の平面形状と、ステップS62で読み込まれた要求される製品形状である目標形状との差異が所定の閾値以内か否かを判定する。そして、その判定結果がYESになるまでステップS68、ステップS63、ステップS64、ステップS65を繰り返す。
そして、ステップS65における判定結果がYESとされたステップS66では、ステップS68で圧延条件の一部が変更されていないときは、圧延条件決定部85は、ステップS63で読み込まれた圧延対象の厚鋼板の圧延条件を、厚鋼板の幅出圧延の最終パスで圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された厚鋼板の圧延条件として決定する。
一方、ステップS68で圧延条件の一部が変更されているときは、ステップS66では、圧延条件決定部85は、ステップS68で圧延条件の一部が変更された圧延対象の厚鋼板の圧延条件を、厚鋼板の幅出圧延の最終パスで圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された厚鋼板の圧延条件として決定する。
次いで、ステップS67において、最適化圧延条件決定部82の結果出力部86は、決定された最適化された厚鋼板の圧延条件を出力装置90を介して圧下制御装置5へ伝送する。
これにより、最適化圧延条件決定部82によるステップS6(最適化圧延条件決定ステップ)が終了する。
そして、圧下制御装置5は、結果出力部86から伝送された最適化された圧延条件に基づき、圧下装置4によるワークロール3aの圧下位置を制御し、以降の圧延を実施する。
このように、本実施形態に係る厚鋼板の圧延方法及び圧延装置1によれば、過去の厚鋼板の圧延条件実績と当該過去の厚鋼板の圧延条件実績に対応する過去の厚鋼板の仕上圧延後の平面形状実績とを結び付ける機械学習手法による予測モデルを作成する(ステップS2:予測モデル作成ステップ、予測モデル作成部77)。そして、厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの最終パスの前に、過去の厚鋼板の圧延条件実績と当該過去の厚鋼板の圧延条件実績に対応する過去の厚鋼板の仕上圧延後の平面形状実績とを結び付ける機械学習手法による予測モデルに対し、圧延対象の厚鋼板の圧延条件を入力して仕上圧延後の厚鋼板の平面形状を予測する。また、予測された仕上圧延後の厚鋼板の平面形状が、要求される製品形状である目標形状に漸近するように、圧延対象の厚鋼板の圧延条件を逐次変更して厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの最終パスで圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された圧延条件を決定する(ステップS4、ステップS6:最適化圧延条件決定ステップ、最適化圧延条件決定部82)。そして、最適化された圧延条件で以降の圧延を実施する。
これにより、厚鋼板の圧延後の平面形状を適切に予測し、その予測された平面形状が要求される製品形状に漸近するように圧延条件を逐次変更して調整圧延および幅出圧延の最終パスで圧延長手方向両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された圧延条件を決定することで、圧延後に形成されるロスを最小化することができる厚鋼板の圧延方法及び圧延装置を提供できる。
また、本実施形態に係る厚鋼板の圧延方法及び圧延装置1によれば、機械学習手法による予測モデルを、ニューラルネットワークモデルとしてあるので、厚鋼板の圧延後の平面形状をより的確に予測することができる。
更に、本実施形態に係る厚鋼片の圧延方法及び圧延装置1によれば、仕上圧延後の厚鋼板の平面形状の予測は、仕上圧延後の厚鋼板の平面形状の周囲4辺のうち2辺以上の予測である。これにより、仕上圧延後の厚鋼板の平面矩形形状を的確に予測することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、機械学習手法による予測モデルとしてニューラルネットワークモデル以外の決定木などを用いても良い。
また、仕上圧延後の厚鋼板の平面形状の予測及び最適化された圧延条件の決定を行う最適化された圧延条件の決定プログラムの実行は、本実施形態では、調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの最終パス前に行っているが、厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの少なくとも最終パスの前に行えばよく、調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの最終パス以前の全てのスケジュール計算時に実行するようにしてもよい。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明する。実施例では、図2に示す圧延装置1を用い、厚みが約250mmのスラブを、製品板厚12mm、製品板幅4000mmの製品にまで圧延する圧延する厚鋼板の圧延を行った。事前学習として、まず、学習用データ(4万程度の過去の厚鋼板の圧延条件実績のデータ)に対して、ニューラルネットワークモデルによる学習を実施し、過去の厚鋼板の圧延条件実績と過去の厚鋼板の平面形状実績とを結び付け、平面形状の予測に用いるニューラルネットワークモデルを作成した。過去の厚鋼板の圧延条件実績として、スラブの寸法、スラブの圧延寸法、目標の幅出し量、調整圧延及び幅出圧延における最終パスで厚鋼板の圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部のための圧下量、圧延方向、ワークロールの寸法、摩耗、サーマルクラウン情報が考慮された。過去の厚鋼板の平面形状実績として、仕上圧延後の厚鋼板の圧延長手方向の先尾端のクロップ形状が学習された。
実施例では、調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの最終パスの1パス前のパスが終了した段階で、作成されたニューラルネットワークモデルによる仕上圧延後の厚鋼板の平面形状の予測を行った。そして、予測された平面形状が製品形状である目標形状に漸近するように、圧延条件を逐次変更して調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの最終パスで厚鋼板の圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された圧延条件を決定し、その決定された最適化された圧延条件に基づき以降の圧延を行った。
比較例1でも実施例と同様に、厚みが約250mmのスラブを、製品板厚12mm、製品板幅4000mmの製品にまで圧延する圧延する厚鋼板の圧延を行った。そして、比較例1では、ニューラルネットワークモデルを用いずに実験回帰式と材料速度一定則から構成される従来の平面形状予測に基づいて調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの最終パスで厚鋼板の圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部の形状を含む圧延条件を決定し、その決定された圧延条件でワークロールの圧下位置を設定した以外は実施例と同様にして圧延を行った。
また、比較例2でも実施例と同様に、厚みが約250mmのスラブを、製品板厚12mm、製品板幅4000mmの製品にまで圧延する圧延する厚鋼板の圧延を行った。そして、比較例2では、ニューラルネットワークモデルを用いずに過去の類似圧延実績から線形回帰でワークロールの圧下位置を設定した以外は実施例と同様にして圧延を行った。
実施例、比較例1,2の圧延の結果である厚鋼板の幅方向のクロップ位置とクロップ長との関係につき図9に示す。
図9に示すように、実施例の場合、クロップ長(先端部及び尾端部のクロップ長の合計)が比較例1、2と比較して減少しており、歩留まりを悪化させることなく圧延を行うことができた。
これに対して、比較例1の場合、実験回帰式と材料速度一定則から構成される従来の平面形状予測に基づいてワークロールの圧下位置を設定しているため、非定常なメタルフローが考慮できず、クロップ長を低減することが困難であった。
また、比較例2の場合、過去の類似圧延実績から線形回帰でワークロールの圧下位置を設定しているものの、クロップ長を最小化する最適化処理が行われていないためにクロップ長の低減量はわずかに留まっている。
実施例より、本発明に係る厚鋼板の圧延方法及び圧延装置を用いることで、厚鋼板の圧延後の平面形状を適切に予測し、その予測された平面形状が要求される製品形状に漸近するように圧延条件を逐次変更して調整圧延および幅出圧延の最終パスで圧延長手方向両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された圧延条件を決定し、その最適化された圧延条件で以降の圧延を実施する。これにより、圧延後に形成されるクロップ長を最小化できるだけでなく、良好な形状の厚鋼板を得ることができ、ひいては、生産性の向上や品質の向上に大いに寄与することができることがわかる。
1 圧延装置
2 搬送ロール
3 圧延機
3a ワークロール
3b バックアップロール
4 圧下装置
5 圧下制御装置
6 上位計算機
7 演算装置
71 演算装置本体
72 RAM
73 ROM
74 予測モデル作成プログラム
75 最適化圧延条件決定プログラム
76 演算処理部
77 予測モデル作成部
78 情報読込部
79 前処理部
80 モデル作成部
81 結果保存部
82 最適化圧延条件決定部
83 情報読込部
84 平面形状予測部
85 圧延条件決定部
86 結果出力部
87 バス
88 入力装置
89 記憶装置
90 出力装置
S スラブ

Claims (6)

  1. 厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延で圧延長手方向の両端部に厚肉部を付与し、その後、仕上圧延する厚鋼板の圧延方法であって、
    前記厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの少なくとも最終パスの前に、過去の厚鋼板の圧延条件実績と当該過去の厚鋼板の圧延条件実績に対応する過去の厚鋼板の仕上圧延後の平面形状実績とを結び付ける機械学習手法による予測モデルに対し、圧延対象の厚鋼板の圧延条件を入力して仕上圧延後の厚鋼板の平面形状を予測するとともに、予測された前記仕上圧延後の厚鋼板の平面形状が、要求される製品形状である目標形状に漸近するように、前記圧延対象の厚鋼板の圧延条件を逐次変更して前記厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの最終パスで圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された圧延条件を決定し、
    最適化された圧延条件で以降の圧延を実施するものであり、
    前記過去の厚鋼板の圧延条件実績における圧延条件及び前記圧延対象の厚鋼板の圧延条件における圧延条件は、スラブの寸法、圧延後の製品寸法、目標の幅だし量、調整圧延及び幅出圧延の最終パスで圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部のための圧下量、圧延方向、ワークロールの寸法、摩耗、及びサーマルクラウンについての情報であることを特徴とする厚鋼板の圧延方法。
  2. 前記機械学習手法による予測モデルは、ニューラルネットワークモデルであることを特徴とする請求項1に記載の厚鋼板の圧延方法。
  3. 前記仕上圧延後の厚鋼板の平面形状の予測は、仕上圧延後の厚鋼板の平面形状の周囲4辺のうち2辺以上の予測であることを特徴とする請求項1又は2に記載の厚鋼板の圧延方法。
  4. 厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延で圧延長手方向の両端部に厚肉部を付与し、その後、仕上圧延する厚鋼板の圧延装置であって、
    前記厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの少なくとも最終パスの前に、過去の厚鋼板の圧延条件実績と当該過去の厚鋼板の圧延条件実績に対応する過去の厚鋼板の仕上圧延後の平面形状実績とを結び付ける機械学習手法による予測モデルに対し、圧延対象の厚鋼板の圧延条件を入力して仕上圧延後の厚鋼板の平面形状を予測するとともに、予測された前記仕上圧延後の厚鋼板の平面形状が、要求される製品形状である目標形状に漸近するように、前記圧延対象の厚鋼板の圧延条件を逐次変更して前記厚鋼板の調整圧延及び幅出圧延のそれぞれの最終パスで圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部の形状を含む最適化された圧延条件を決定する最適化圧延条件決定部を備え、
    最適化された圧延条件で以降の圧延を実施するものであり、
    前記過去の厚鋼板の圧延条件実績における圧延条件及び前記圧延対象の厚鋼板の圧延条件における圧延条件は、スラブの寸法、圧延後の製品寸法、目標の幅だし量、調整圧延及び幅出圧延の最終パスで圧延長手方向の両端部に付与する厚肉部のための圧下量、圧延方向、ワークロールの寸法、摩耗、及びサーマルクラウンについての情報であることを特徴とする厚鋼板の圧延装置。
  5. 前記機械学習手法による予測モデルは、ニューラルネットワークモデルであることを特徴とする請求項4に記載の厚鋼板の圧延装置。
  6. 前記最適化圧延条件決定部による仕上圧延後の厚鋼板の平面形状の予測は、仕上圧延後の厚鋼板の平面形状の周囲4辺のうち2辺以上の予測であることを特徴とする請求項4又は5に記載の厚鋼板の圧延装置。
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