JP5618210B2 - 冷間圧延機における出側形状制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多スタンドを備えた冷間圧延機により圧延されるストリップの出側形状制御方法に関するものである。
冷間圧延工程通板後のストリップの形状は、後工程である連続焼鈍工程の通板性を左右する重大な要素である。形状不良の場合には蛇行が発生することがあり、最悪の場合には蛇行したストリップが構造物に接触して破断を引き起こす可能性がある。このため従来から特許文献1に示されるように、冷間圧延機の出側に形状計を設置してストリップ形状を測定し、それに応じて形状制御を行っている。使用される形状計はストリップ幅方向の伸び率の変化を検出できる公知の装置である。
特許文献1に示されるように形状評価値Λは、ストリップ幅方向の伸び率分布を四次近時した関数λ1x+λ+λ+λの係数を用いて導出される。ここでxはストリップの板幅方向の位置を、両端を−1と+1として正規化した値である。形状評価値のうち、Λ1とΛは非対称形状を示し、ΛとΛは対称形状を示す。これら形状評価値に基づいて冷間圧延機のワークロールベンディングや圧下レベリングなどのフィードバック制御を行い、形状制御を行ってきた。
しかし、上記のような冷間圧延機出側に設置された形状計の測定値に基づいて圧下レベリング等をフィードバック制御する方法には、不可避的な応答遅れがある。このため、外乱によって急激に生ずる形状の乱れを即座に修正することができないという問題があった。そこで、原板の材質変動・蛇行などによって形状の乱れが生じる状況下においても形状を乱さずに圧延を継続することができる冷間圧延機における出側形状制御方法が求められていた。
特開平2−84211号公報
本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、原板の材質変動などの急激な外乱があった場合にも、形状を乱さずに圧延することができる冷間圧延機における出側形状制御方法を提供することである。
本発明者は上記の課題を解決するために検討を重ねた結果、冷間圧延機の各スタンド間の差張力と出側形状評価値との間に強い相関があることを見出し、この差張力を用いたフィードフォワード制御を行うことにより、形状の乱れを効果的に防ぐことができることを確認した。ここで、差張力とは第iスタンド出側の張力検出手段(一般的にはテンションメータロール)の両端に配置されている圧力検出手段(例えば圧電素子)にて検出される幅方向WS端、DS端の張力の差、即ちストリップ両端の幅方向張力差をいう。
本発明は上記の知見に基づいて完成されたものであり、多スタンドを備えた冷間圧延機の第iスタンド出側の差張力Tdiを求め、圧延板幅をw、第iスタンド出側板厚をh 、第iスタンド変換係数をα として、下記の(数1)の式により推定形状評価値Λ´を演算し、その値を後段スタンドにフィードフォワードしてその圧下レベリング量を変更することを特徴とすることを特徴とするものである。なお、多スタンドとは2以上のスタンドを意味する。
また、フィードフォワード対象スタンドのレベリング変更量ΔSlの演算を、下記の(数2)の式により行うことが好ましい。
さらに、冷間圧延機出側に設置された形状計の測定値に基づく冷間圧延機のフィードバック制御を併せて行うことが好ましい。
本発明の冷間圧延機における出側形状制御方法によれば、冷間圧延機の最終スタンドよりも手前側において検出される差張力に基づいて演算を行い、任意の後段スタンドにフィードフォワードしてその圧下レベリング量を調整する。このようにフィードフォワード制御を行うことによって、原板起因の形状乱れが生じる状況下でも、形状を乱さずに圧延することが可能となった。なお、従来から行われていた冷間圧延機出側に設置された形状計の測定値に基づく冷間圧延機のフィードバック制御を組み合わせれば、さらに安定した形状制御が可能となる。このため従来よりも片伸び形状の発生を抑制することができその経済的効果も大きい。
形状評価値Λ1と、各スタンド間の差張力とを示すグラフである。 本発明の制御概要の説明図である。 推定形状評価値Λ1´と出側形状評価値Λ1との関係を示すグラフである。 最終スタンド圧下レベリング変更量が出側形状評価値Λ1に及ぼす影響を示すグラフである。 制御内容を示すブロック線図である。
以下に本発明の実施形態を説明する。
まず、本発明において用いられている形状評価値について説明する。ストリップの形状を測定する形状計の代表的なものはロール型で、そのロール幅方向に多数の圧電素子を配置したものである。これらの圧電素子によりストリップの幅方向の張力分布を測定することができる。ストリップの伸びている部分は張力が低く、伸びていない部分は張力が高いため、ストリップの幅方向の伸び率の分布、すなわち形状を測定することができる。
ストリップ幅方向の伸び率の分布はλ1x+λ+λ+λの四次関数で近似される。ここでxはストリップの板幅方向の位置を、左右両端を−1と+1として正規化した値である。この四次関数の係数を用いて次の各式のように形状評価値Λが定義される。
Λ1=λ1+λ、 Λ=(1/√3)λ1+(1/3√3)λ
Λ=λ2+λ4、 Λ=(1/2)λ2+(1/4)λ4
ここでΛ1,Λ3は非対称形状を表し、Λ,Λ4は対象形状を表す。本実施形態ではこれらの形状評価値のうち、蛇行可能性の評価に適したΛ1を用いて形状制御を行なう。しかしその他の形状評価値を用いることも可能である。
図1は6スタンドの冷間圧延機について、最終スタンドの出側に配置された形状測定器により測定された形状評価値Λ1と、各スタンド間の差張力とを調査して示したグラフであり、横軸は各スタンドの圧下率を用いて算出した出側換算長さである。図1から明らかなように、形状評価値Λ1と、各スタンド間の差張力との間には強い相関があることが認められる。そこで本発明では、この関係を利用して形状制御を行なう。
図2は本発明の制御概要の説明図である。本発明では、多スタンドを備えた冷間圧延機の第iスタンド出側の差張力Tdiを求める。図2では、6スタンドを備えた冷間圧延機の各スタンド出側にテンションメータ1、2が設置され、張力を測定している。なお、従来と同様に最終スタンド出側には形状検出器3が設置され、形状測定を行っている。
第iスタンド出側のテンションメータにより測定された差張力Tdiと圧延板幅wと第iスタンド出側の板厚hとを用い、前記した数1の式により推定形状評価値Λ1´を計算する。なおこの式中のαは第iスタンド出側差張力から形状評価値への変換係数である。このようにして求められた推定形状評価値Λ1´は、最終スタンド出側の形状検出器3の測定値に基づいて得られた形状評価値Λ1と、図3のグラフに示すように強い相関をもつことを確認した。
本発明ではこの推定形状評価値Λ1´を最終スタンドにフィードフォワードして、その圧下レベリング量を変更する。このためには、制御対象となる冷間圧延機において圧下レベリング変更量が形状評価値Λ1に及ぼす影響を予め調査して置く必要がある。この実施形態では、図4のグラフに示すように両者間に一次関数で示すことができる関係が成立することが確認された。そこでその勾配を∂Λ1/∂Sで表わせば、数2の式によって推定形状評価値Λ1´から、形状評価値Λ1の変動をゼロとするために必要な圧下レベリング量を演算することができる。その演算結果に基づいて最終スタンドの圧下レベリング量を制御すれば、形状の乱れを生じることなく圧延を維持することが可能となる。総合的な制御内容は図5に示すとおりである。
このように本発明においては、冷間圧延機の最終スタンドより手前側において検出された差張力に基づいてその後段スタンドの圧下レベリング量をフィードフォワード制御するので、従来のような応答遅れが生ずることがない。このため、原板の材質変動などの急激な外乱があった場合にも、形状を乱さずに圧延することが可能となる。
なお、最終スタンド出側に配置された形状検出器3の形状検出結果に基づく従来からのフィードバック制御を併用すれば、形状をより安定させることができることはいうまでもない。
出願人会社の実際の冷間圧延ラインにおいて本発明を実施したところ、形状評価値Λ1の平均値が実施前の8割にまで減少し、標準偏差も7割にまで抑えることができた。十分な実用的効果があることを確認することができた。
1 テンションメータ
2 テンションメータ
3 形状検出器

Claims (3)

  1. 多スタンドを備えた冷間圧延機の第iスタンド出側の差張力Tdiを求め、圧延板幅をw、第iスタンド出側板厚をh 、第iスタンド変換係数をα として、下記の(数1)の式により推定形状評価値Λ´を演算し、その値を後段スタンドにフィードフォワードしてその圧下レベリング量を変更することを特徴とする冷間圧延機における出側形状制御方法。
  2. 最終スタンドのレベリング変更量ΔS l の演算を、下記の(数2)の式により行うことを特徴とする請求項1に記載の冷間圧延機における出側形状制御方法。
  3. 冷間圧延機出側に設置された形状計の測定値に基づく冷間圧延機のフィードバック制御を併せて行うことを特徴とする請求項1に記載の冷間圧延機における出側形状制御方法。
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