JP6772446B2 - 熱転写シート、及び熱転写シートの製造方法 - Google Patents

熱転写シート、及び熱転写シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱転写シート、及び熱転写シートの製造方法に関する。
従来、顔料等の色材を熱溶融性のワックスや、樹脂等のバインダーに分散させた熱溶融インキ層を、基材に担持させた熱転写シートを用いて、サーマルヘッド等の加熱デバイスに画像情報に応じたエネルギーを印加し、紙やプラスチックシート等の被転写紙上に色材をバインダーとともに転写する熱溶融転写方式が知られている。溶融転写方式によって形成される画像は、高濃度で鮮鋭性に優れ、文字、線画等の2値画像の記録に適している。また、溶融転写方式を利用して金属光沢を有する印字物を簡便に得るという市場の要求も高く、例えば、特許文献1には、基材の一方の面に剥離層、蒸着アンカー層、金属蒸着層、接着層を順次設けてなる熱転写記録媒体が提示されている。特許文献1に提案がされている熱転写記録媒体によれば、輝度が高く視認性に優れた印画物を得ることができるとされている。
しかしながら、金属蒸着層を使用した上記構成においては、金属蒸着層を得るためにスパッタリング装置等の設備が必要である。また金属蒸着層自体には接着性がないため、剥離層と金属蒸着層との間に蒸着アンカー層を設ける必要があり、全体として製造工程が煩雑になるという問題がある。これに対し、特許文献2には、基材シート上に、剥離層、金属インキ層を積層してなる金属光沢層転写領域を設けた熱転写シートが提案されている。この熱転写シートは、基材シート上に、バインダー樹脂(例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂)、ポリエチレンワックス、及び溶剤(例えば、メチルエチルケトン、トルエン)を含む剥離層塗工液を塗工して剥離層を形成し、この剥離層上に、アルミニウム粉、バインダー樹脂(例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂)、及び溶剤(例えば、メチルエチルケトン、トルエン)を含む金属インキ層塗工液を塗工して金属インキ層を形成することで製造される。特許文献2に提案がされている製造方法によれば、比較的に簡便な方法で、金属インキ層を備える熱転写シートを製造することができる。
特開昭63−290789号公報 特開2009−83146号公報
ところで、金属インキ層を備える従来公知の熱転写シート(例えば、上記特許文献2の熱転写シート)を用いて得られる印画物の輝度は、金属蒸着層(例えば、特許文献1の金属蒸着層)を転写してなる印画物の輝度よりも低くなる傾向にあり、金属インキ層を備える熱転写シートを用いて得られる印画物の輝度を向上させることが望まれている。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、金属インキ層を備える従来公知の熱転写シートと比較して、輝度の高い印画物を得ることができる熱転写シートを提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、基材と、当該基材から剥離可能に設けられた転写層とを有する熱転写シートであって、前記転写層は、中間層と、当該中間層と直接的に接する金属インキ層とが積層されてなる積層構成を呈しており、前記金属インキ層が、有機溶剤、溶剤系樹脂、及び金属粉を含み、前記溶剤系樹脂が前記有機溶剤に溶解された溶剤系塗工液を用いて形成されたものであり、前記中間層が、水系樹脂と、水系溶媒を含み、前記水系樹脂が前記水系溶媒に分散、又は溶解された水系塗工液を用いて形成されたものであり、前記水系樹脂が、前記有機溶剤に不溶な、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エーテル系ウレタン樹脂、アクリル樹脂の何れかであり、前記水系溶媒が、水、又は水を主成分とする液体である。
また、上記熱転写シートにおいて、前記中間層は、剥離層とバリア層とがこの順で積層された積層構成を呈し、前記バリア層は、前記金属インキ層と直接的に接しており、前記バリア層が、前記水系塗工液を用いて形成されたものであってもよい。
また、上記課題を解決するための本発明は、基材と、当該基材から剥離可能に設けられた転写層とを有する熱転写シートの製造方法であって、基材上に、中間層と、前記中間層と直接的に接する金属インキ層が積層された転写層を形成する転写層形成工程を含み、前記転写層形成工程が、前記中間層を形成する中間層形成工程と、前記中間層上に前記金属インキ層を形成する金属インキ層形成工程を含み、前記中間層形成工程が、水系樹脂、水系溶媒を含み、前記水系樹脂が前記水系溶媒に分散、又は溶解された水系塗工液を用いて中間層を形成する工程であり、前記金属インキ層形成工程が、有機溶剤、溶剤系樹脂、及び金属粉を含み、前記溶剤系樹脂が前記有機溶剤に溶解された溶剤系塗工液を用いて金属インキ層を形成する工程であり、前記水系樹脂が、前記有機溶剤に不溶な、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エーテル系ウレタン樹脂、アクリル樹脂の何れかであり、前記水系溶媒が、水、又は水を主成分とする液体である。
また、上記熱転写シートの製造方法において、前記中間層形成工程が、前記基材上に剥離層を形成する工程と、前記剥離層上にバリア層を形成する工程を含み、前記バリア層形成工程が、前記水系塗工液を用いてバリア層を形成する工程であってもよい。
本発明の熱転写シートによれば、金属インキ層を備える従来公知の熱転写シートと比較して、輝度の高い印画物を得ることができる。
本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。 本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。
<<一実施形態の熱転写シート>>
以下に、本発明の一実施形態の熱転写シート100(以下、一実施形態の熱転写シートと言う)について説明する。図1、図2に示すように、一実施形態の熱転写シート100は、基材1の一方の面上に、当該基材1から剥離可能に転写層20が設けられており、当該転写層20は、中間層5と、当該中間層5と直接的に接する金属インキ層7とが積層されてなる積層構成を呈している。基材1、中間層5、金属インキ層7は、一実施形態の熱転写シート100における必須の構成である。転写層20を構成する中間層5は、図1に示すように1つの層からなる単層構成を呈していてもよく、図2に示すように2つ以上の層が積層されてなる積層構成を呈していてもよい。なお、図2に示す形態では、中間層5は、基材1側から剥離層3、バリア層4がこの順で積層されてなる積層構成を呈している。
そして、一実施形態の熱転写シート100は、金属インキ層7が、金属粉と、溶剤系樹脂とを含有しており、金属インキ層7と直接的に接している中間層5が、水系樹脂を含有していることを特徴としている。この場合において、中間層5が2つ以上の層からなる場合には、当該2つ以上の層のうち、金属インキ層7と直接的に接する層(図2に示す形態ではバリア層4)が、水系樹脂を含有している。上記特徴を有する一実施形態の熱転写シートによれば、金属インキ層を備える従来公知の熱転写シートと比較して、輝度の高い印画物を得ることができる。
本願明細書で言う「水系樹脂」とは、「水系溶媒」に溶解可能な水溶性樹脂、或いは「水系溶媒」に不溶性であるが、エマルジョンやディスパージョンのように、水系溶媒に分散可能な樹脂を意味する。
また、本願明細書で言う「水系溶媒」とは、水、或いは水を主成分とする液体を意味する。主成分である水と併用可能な溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等、水との共存下で容易に相分離しないものを挙げることができる。
また、本願明細書で言う「溶剤系溶媒」とは、上記「水系溶媒」以外の溶媒を意味し、水を含まない溶媒を「溶剤系溶媒」として扱うことができる。「溶剤系溶媒」としては、例えば、ヘキサン、ペンタン等の炭化水素系溶剤、キシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤、プロパノール、エタノール、メタノール等のアルコール系溶剤、又はこれらの混合溶剤等を挙げることができる。
上記特徴を有する一実施形態の熱転写シート100の優位性について、中間層、金属インキ層が、ともに溶剤系樹脂を含有している比較の熱転写シート(1)、中間層、金属インキ層が、ともに水系樹脂を含有している比較の熱転写シート(2)を例に挙げて説明する。なお、比較の熱転写シート(1)、(2)の金属インキ層は金属粉を含有している。
金属インキ層を備える熱転写シートの製造は、基材上に中間層を形成し、当該中間層上に、金属インキ層用塗工液を塗工して金属インキ層を形成することにより行われる。一実施形態の熱転写シート、及び比較の熱転写シート(1)の金属インキ層は、溶剤系樹脂、金属粉を含有していることから、この金属インキ層の形成には、溶剤系樹脂、金属粉、及び溶剤系樹脂を塗工液中に溶解させるための溶剤系溶媒を含有している金属インキ層用塗工液(以下、この金属インキ層用塗工液を「溶剤系塗工液」と言う)が用いられる。比較の熱転写シート(2)の金属インキ層は、水系樹脂、及び金属粉を含有していることから、この金属インキ層の形成は、水系樹脂、金属粉、及び水系樹脂を塗工液中に溶解、或いは分散させるための水系溶媒を含有している金属インキ層用塗工液(以下、この金属インキ層用塗工液を「水系塗工液」と言う)が用いられる。
上記の通り、比較の熱転写シート(1)の中間層は、溶剤系樹脂を含有していることから、比較の熱転写シート(1)の製造段階において、この中間層上に、上記「溶剤系塗工液」を塗工して金属インキ層を形成した場合には、「溶剤系塗工液」に含まれる溶剤系溶媒に、中間層が含有している溶剤系樹脂が溶解してしまい、中間層と金属インキ層とが混ざり合うこととなる。これにより、本来であれば、金属インキ層中に存在するべき金属粉の一部が、中間層側に移行することとなる。
また、上記の通り、比較の熱転写シート(2)の中間層は、水系樹脂を含有していることから、比較の熱転写シート(2)の製造段階において、この中間層上に、上記「水系塗工液」を塗工して金属インキ層を形成した場合には、「水系塗工液」に含まれる水系溶媒に、中間層が含有している水系樹脂が溶解してしまい、或いは分散してしまい、中間層と金属インキ層とが混ざり合うこととなる。これにより、上記比較の熱転写シート(1)と同様、本来であれば、金属インキ層中に存在するべき金属粉の一部が、中間層側に移行することとなる。
そして、中間層と金属インキ層とが混ざり合うことで、比較の熱転写シート(1)では、中間層と金属インキ層との間に、中間層の溶剤系樹脂と金属インキ層の溶剤系樹脂とが混ざり合った混合層が形成され、この混合層中に金属粉が含まれることとなる。また、比較の熱転写シート(2)では、中間層と金属インキ層との間に、中間層の水系樹脂と金属インキ層の水系樹脂とが混ざり合った混合層が形成され、この混合層中に金属粉が含まれることとなる。
一方で、一実施形態の熱転写シートにおいては、中間層が水系樹脂を含有しており、金属インキ層の形成には、上記「溶剤系塗工液」が用いられる。したがって、一実施形態の熱転写シートにおいては、製造段階において、中間層上に、上記「溶剤系塗工液」を塗工して金属インキ層を形成したときに、中間層と金属インキ層とが混ざり合うことや、金属インキ層が含有している金属粉が中間層側に移行してしまうことを抑制することができる。また、比較の熱転写シートのように、中間層と金属インキ層との間に混合層が形成されることもない。
詳細は明らかとはなっていないが、中間層と金属インキ層とが混ざり合うことで混合層が形成され、さらにこの混合層中に金属粉が含まれる比較の熱転写シート(1)、(2)は、一実施形態の熱転写シートと比較して、転写層を被転写体上に転写することで得られる印画物の輝度は低いものとなる。つまり、一実施形態の熱転写シートによれば、中間層が含有している樹脂として「水系樹脂」を採用し、金属インキ層が含有している樹脂として「溶剤系樹脂」を採用することで、金属粉が中間層側に移行することを抑制することができ、結果的に、輝度の高い印画物を得ることができる熱転写シートとすることができる。このことは、後述する実施例、及び比較例の結果からも明らかとなっている。
(基材)
基材1は一実施形態の熱転写シート100における必須の構成であり、基材1の一方の面上に設けられる転写層20、或いは、基材1と転写層20との間に設けられる任意の層(例えば、後述する任意の離型層)、及び基材1の他方の面上に任意に設けられる背面層を保持するために設けられる。基材1の材料については特に限定されないが、転写層20を、被転写体上に転写する際に加えられる熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが望ましい。このような基材1として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。また、基材1の厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜設定することができ、2.5μm以上100μm以下の範囲が一般的である。
(転写層)
転写層20は、基材1から剥離可能に設けられており、熱転写時に、基材上から剥離され被転写体上に転写される層である。本発明では、転写層20は、中間層5、金属インキ層7を必須の層として含んでおり、図1、図2に示すように転写層20は、基材1側から、中間層5、金属インキ層7がこの順で積層されてなる積層構成をとる。以下、中間層5、金属インキ層7について説明する。
<中間層>
転写層20を構成する中間層5は、基材1から剥離可能に設けられており、熱転写時に、金属インキ層7とともに被転写体上に転写される層である。また、中間層5は、金属インキ層7と直接的に接する層である。
中間層5は、図1に示すように1つの層から構成されてなる単層構成を呈していてもよく、図2に示すように、2つ以上の層から構成されてなる積層構成を呈していてもよい。例えば、図2に示す形態では、中間層5は、基材1側から、剥離層3、バリア層4がこの順で積層されてなる積層構成を呈しており、バリア層4は、金属インキ層7と直接的に接している。なお、中間層が積層構成を呈する場合には、中間層5を構成する層のうち、金属インキ層と直接的に接する層(図2に示す形態ではバリア層4)が、水系樹脂を含有している
中間層5が含有している水系樹脂は、水系溶媒に溶解或いは分散可能な樹脂であるとの条件を満たす樹脂であればよく、例えば、水溶性樹脂、水分散性樹脂等を挙げることができる。水溶性樹脂としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリメタクリル酸などの水溶性のアクリル樹脂、ゼラチン、澱粉、カゼインおよびそれらの変性物などを挙げることができる。
水分散性樹脂としては、塗工液中において、エマルジョン状態、或いはディスパージョン状態で存在する樹脂等を挙げることができる。このような樹脂としては、塩化ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル−アクリル樹脂エマルジョンなどの塩ビ系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョン、塩ビ系樹脂ディスパージョン、アクリル系樹脂ディスパージョン、ウレタン系樹脂ディスパージョン等を挙げることができる。ウレタン系樹脂エマルジョンや、ウレタン系樹脂ディスパージョンとしては、例えば、エステル系ウレタン樹脂エマルジョン、エーテル系ウレタン樹脂エマルジョン、エステル・エーテル系ウレタン樹脂エマルジョン、カーボネート系ウレタン樹脂エマルジョン、或いは、これらのウレタン樹脂のディスパージョン等を挙げることができる。なお、本願明細書で言うエマルジョン状態とは、一粒の樹脂の周囲に、乳化剤分子が疎水基を樹脂側に、親水基を塗工液側に配位してミセルを形成して塗工液中に存在する状態をいう。また、ディスパージョン状態とは、一粒の樹脂がその表面に存在する親水基の作用で塗工液中に安定して分散している状態を意味する。
これらの水系樹脂の中でも、水溶性樹脂であるポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンや、水分散性樹脂であるアクリル系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂ディスパージョン、エーテル系ウレタン樹脂エマルジョン、エーテル系ウレタン樹脂ディスパージョンは、耐溶剤性が良好な水系樹脂であり、これらの水系樹脂を含有する中間層5とすることで、当該中間層5を含む転写層20を被転写体上に転写することで得られる印画物の化学的耐久性を向上させることができる。さらに、これらの水系樹脂を含有する中間層5によれば、当該中間層5を含む転写層20を被転写体上に転写することで得られる印画物の光沢性のさらなる向上を図ることができる。
中間層5は、水系樹脂として1種を単独で含有していてもよく、2種以上を併用して用いることもできる。
上記の通り、中間層5は、単層構成を呈していてもよく、積層構成を呈していてもよいが、一実施形態の熱転写シート100は、中間層5が、基材1から剥離可能に設けられていることを必須の条件としている。したがって、単層構成とする場合における中間層5の一形態は、当該中間層5自体が、基材1から剥離可能な層として機能する。なお、このことは、単層構成の中間層5自体が基材からの剥離性の機能を備えていることを必要とするものではなく、例えば、基材1と中間層5との間に、離型層(図示しない)を設けることで、中間層5に基材1からの剥離性を付与することもできる。
任意の離型層等を設けることなく、単層構成の中間層5自体に、基材1からの剥離性の機能を付与する場合には、上記で例示した水系樹脂の中から、基材1からの剥離性を有する樹脂を選択すればよい。例えば、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂エマルジョン等は、基材1からの剥離性を有する水系樹脂として使用することができる。なお、一実施形態の熱転写シートの中間層5は、水系樹脂を含有していることを必須の条件としているが、一般的に、水系樹脂を含有する層の剥離性は、溶剤系樹脂を含有する層の剥離性よりも低い傾向にある。したがって、任意の離型層等を設けることなく、中間層5自体に基材1からの剥離性の機能を付与する場合には、図2に示すように、基材1側から、中間層5に剥離性を付与するための層(図2で示される剥離層3)、中間層5と金属インキ層7とが混ざり合うことを防止するための層(図2で示されるバリア層4)を積層させた中間層5とすることが好ましい。図2に示す形態の中間層5によれば、剥離層3の樹脂を適宜選択することで剥離性を有しつつも、金属インキ層7との混ざり合いを抑制することができる中間層5とすることができる。以下、中間層5として、基材1側から剥離層3、バリア層4がこの順で積層されてなる例を中心に説明をする。
「剥離層」
中間層5を構成する剥離層3は、基材1からの剥離性を有する樹脂であればよい。剥離性を有する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン変性樹脂等を挙げることができる。これらの成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いることができる。
また、図2に示す形態の熱転写シートでは、転写層20を被転写体上に転写して印画物を形成したときに、剥離層3が、印画物の最表面に位置する層となる。したがって、印画物の耐擦過性の向上を目的として、剥離層3に滑剤を含有してもよい。滑剤としては、例えば、変性シリコーンオイル、シリコーン変性樹脂などのシリコーン類、ステアリン酸亜鉛、ステアリルリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸類、脂肪酸アミド、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、などを挙げることができる。また、滑剤にかえて、剥離層3に、メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、紫外線吸収性樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線吸収性樹脂等を含有せしめてもよい。
紫外線吸収性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂又は上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基など)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものが挙げられる。
また、剥離層3には、上記で例示した任意の成分以外に、例えば、ヒンダードアミン系、Niキレート系などの光安定剤、ヒンダードフェノール系、硫黄系、リン系、ラクトン系などの酸化防止剤等の成分が含有されていてもよい。これら任意の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いることもできる。
剥離層3の形成方法としては、上記で例示した成分を適当な溶剤系溶媒に溶解或いは分散させた剥離層用塗工液を調製し、この剥離層用塗工液を、基材1上、又は基材1と中間層5との間に設けられる任意の層上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段を用い塗布、乾燥させて形成することができる。剥離層3の厚みは、0.1μm以上5μm以下の範囲が一般的であり、0.5μm以上5μm以下の範囲が好ましい。
「バリア層」
中間層5を構成するバリア層4は、溶剤系樹脂を含有している金属インキ層7との混ざり合いを抑制する機能を有する層であり、水系樹脂を含有している。水系樹脂は、上記で説明したものを適宜選択して用いることができ、ここでの説明は省略する。
バリア層4は、水系樹脂とともに、フィラーを含有していてもよい。中間層5を構成するバリア層4にフィラーを含有せしめることで、バリア層4のせん断性を向上させることができ、このせん断性の向上により、中間層5を含む転写層20を被転写体上に転写するときの、転写層20の箔切れ性を良好なものとすることができる。
フィラーとしては、有機フィラー、無機フィラー、有機−無機のハイブリッド型のフィラーを挙げることができる。これらのフィラーは粉体であってもよく、ゾル系であってもよい。粉体の有機フィラーとしては、例えば、非架橋アクリル系粒子、架橋アクリル系粒子等のアクリル系粒子、ポリアミド系粒子、フッ素系粒子、ポリエチレンワックス等を挙げることができる。粉体の無機フィラーとしては、たとえば、炭酸カルシウム粒子、シリカ粒子、酸化チタンなどの金属酸化物粒子等を挙げることができる。有機−無機のハイブリッド型のフィラーとしては、例えば、アクリル樹脂にシリカ粒子をハイブリッドしたものを挙げることができる。ゾル系のフィラーとしては、たとえば、シリカゾル系、アルミナゾル系、オルガノゾル系のものを挙げることができる。これらのフィラーは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。フィラーの含有量について特に限定はないが、バリア層4の固形分総量に対し、85質量%以下であることが好ましい。
フィラーの粒子径について特に限定はないが、3μm以下のフィラーであることが好ましい。粒子径が3μm以下のフィラーをバリア層4に含有せしめることで、箔切れ性の更なる向上を図ることができる。なお、フィラーの粒子径とは体積平均粒子径を意味する。フィラーの粒子径は、例えば、BET法や、電子顕微鏡観察結果を画像解析式粒度分布測定ソフトウェアによって解析することで測定可能である。後述する金属粉の粒子径についても同様である。
また、バリア層4にフィラーを含有せしめることにかえて、あるいはバリア層4にフィラーを含有せしめるとともに、上記で説明した剥離層3にフィラーを含有せしめてもよい。
バリア層4の形成方法としては、上記で説明した水系樹脂、必要に応じて添加される各種の成分を適当な水系溶媒に溶解或いは分散させたバリア層用塗工液を調製し、このバリア層用塗工液を、剥離層3、或いは剥離層3上に設けられる任意の層上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段を用い塗布、乾燥させて形成することができる。バリア層4の厚みは、0.01μm以上5μm以下の範囲が好ましく、0.02μm以上3μm以下の範囲がより好ましい。
以上、中間層5として、剥離層3、バリア層4が積層されてなる積層構成の中間層5について説明を行ったが、中間層5を単層構成とする場合には、上記で説明したバリア層4をそのまま中間層5とすればよい。この場合、上記で説明したように、中間層5の基材1からの剥離性を満足させるべく、剥離性を有する水系樹脂を含有する中間層5とする、或いは、基材1と中間層5との間に離型層を設ければよい。
また、剥離層3とバリア層4との間に、任意の層を設けることもできる。例えば、転写層20が転写された印画物の耐可塑剤性を向上させるための耐可塑剤性層を設けてもよい。
<金属インキ層>
金属インキ層7は、熱転写時に、中間層5とともに被転写体上に転写される層であり、被転写体上に転写層20が転写されることで得られる印画物に、金属光沢感を付与するための層である。この金属インキ層7は、必須の成分として、金属粉と、溶剤系樹脂とを含有している。
溶剤系樹脂とは、溶剤系溶媒に溶解する樹脂を意味する。溶剤系樹脂の一例としては、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びこれらの共重合体を挙げることができる。
図示する形態では、熱転写シートの最表面に金属インキ層7が位置しており、被転写体上に転写層20を転写したときに、被転写体と金属インキ層7は直接的に接することとなる。したがって、この形態においては、金属インキ層7は、被転写体との接着性を有していることが望ましい。上記で例示した溶剤系樹脂は、比較的接着性が高い樹脂であることから、これらの溶剤系樹脂を用いることで、被転写体との接着性を十分に満足させることができる。なお、被転写体側で、転写層20との接着性を満足させる対策をとる場合には、金属インキ層7自体が接着性を有していなくともよい。また、金属インキ層7上に接着層(図示しない)を設けてもよいが、この場合には、接着層と金属インキ層との混ざり合いを抑制するべく、接着層は、水系樹脂を含有していることが好ましい。
金属粉としては、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、およびこれらの合金類を挙げることができる。これら金属粉の中では、転写層20を被転写体上に転写することで得られる印画物の輝度やコストの点を考慮するとアルミニウム粉が好ましい。
金属粉の粒子は鱗片状、もしくは箔状のものが好ましく、厚さは、0.001μm以上3μm以下、平均直径が0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。
金属粉の含有量は、金属インキ層7が含有している溶剤系樹脂100質量部に対し、20質量部以上であることが好ましい。金属粉の含有量を好ましい範囲の含有量とすることで、金属インキ層7を含む転写層20を被転写体上に転写することで得られる印画物の輝度の更なる向上を図ることができる。含有量の上限値について特に限定はないが、金属インキ層7と被転写体との接着性等を考慮すると500質量部以下であることが好ましい。
なお、このことは、金属インキ層7が含有している金属粉の粒子径や、含有量を限定するものではない。例えば、一実施形態の熱転写シートと、上記の比較の熱転写シート(1)の金属インキ層が含有している金属粉として同一の金属粉を用い、且つこの金属粉の含有量を同一としたときには、中間層5と金属インキ層7とが混ざり合うことを抑制している分だけ、一実施形態の熱転写シートを用いて得られる印画物の方が、比較の熱転写シート(1)よりも、その輝度は高いものとなる。
また、金属インキ層7に、染料や顔料等の着色剤を含有せしめ、当該金属インキ層7の色相を変えることもできる。金属インキ層7の色相を変えることで、装飾性の更なる向上を図ることができる。着色剤としては、例えば、黄色、赤色、緑色、青色等の種々の色相のものを選択することができ、これらの色相の着色剤を選択することで、金属インキ層7に、金、銅、青銅等の金属の色相や、光沢を容易にもたせることができる。
金属インキ層7の形成方法について特に限定はないが、例えば、上記で説明した溶剤系樹脂を、適当な溶剤系溶媒に溶解し、これに金属粉、及び必要に応じて添加される各種の成分を添加した金属インキ層用塗工液を、中間層5上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段を用い塗布、乾燥させて形成することができる。金属インキ層7の厚みについて特に限定はないが、0.1μm以上3μm以下の範囲であることが好ましい。
(離型層)
基材1と中間層5との間に、離型層(図示しない)を設けてもよい。例えば、基材1上に、単層構成の中間層5を設ける場合において、この中間層5自体が基材1からの剥離性を有しない場合には、離型層を設けて、中間層5を基材1から剥離可能とすることができる。離型層は、一実施形態の熱転写シート100における任意の層である。
離型層を構成する樹脂としては、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂及び熱架橋性アルキッド−アミノ樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。離型層の厚みについて特に限定はないが、0.5μm以上5μm以下程度が一般的である。
また、図2に示す形態において、基材1と中間層5との間、換言すれば、基材1と剥離層3との間に離型層を設けてもよい。
(背面層)
また、基材1の転写層20が設けられている面とは異なる面上に、耐熱性、及び印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させるための背面層(図示しない)を設けてもよい。なお、背面層は、一実施形態の熱転写シート100における任意の構成である。
背面層は、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が挙げられる。
また、背面層には、上記熱可塑性樹脂に加え、スリップ性を向上させる目的で、ワックス、高級脂肪酸アミド、リン酸エステル化合物、金属石鹸、シリコーンオイル、界面活性剤等の離型剤、フッ素樹脂等の有機粉末、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子等の各種添加剤が含有されていることが好ましく、リン酸エステル又は金属石鹸の少なくとも1種が含有されていることが特に好ましい。
背面層は、例えば、上記熱可塑性樹脂、必要に応じて添加される各種添加剤を適当な溶媒に分散又は溶解させた塗工液を、基材1上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の公知の手段により、塗工し、乾燥することにより形成することができる。背面層の厚みは、耐熱性等の向上等の点から、0.1μm以上5μm以下の範囲が好ましく、0.3μm以上2μm以下の範囲がより好ましい。
<<他の実施形態の熱転写シート>>
次に、本発明の他の実施形態の熱転写シート100(以下、他の実施形態の熱転写シートと言う)について説明する。
他の実施形態の熱転写シートは、基材1の一方の面上に、当該基材1から剥離可能に転写層20が設けられており、当該転写層20は、中間層5と、当該中間層5と直接的に接する金属インキ層7とが積層されてなる積層構成を呈している。
そして、一実施形態の熱転写シート100は、金属インキ層7が、金属粉と、水系樹脂とを含有しており、金属インキ層7と直接的に接している中間層5が、溶剤系樹脂を含有していることを特徴としている。つまり、一実施形態の熱転写シートでは、金属インキ層7が溶剤系樹脂を含有しているのに対し、他の実施形態の熱転写シートは、金属インキ層7が水系樹脂を含有しており、また、一実施形態の熱転写シートでは、中間層5が水系樹脂を含有しているのに対し、他の実施形態の熱転写シートは、中間層5が溶剤系樹脂を含有している点で、両熱転写シートは相違している。他の実施形態の熱転写シートは、この相違点以外は、すべて一実施形態の熱転写シートと共通し、一実施形態の熱転写シートの中間層5において、水系樹脂とある記載を、溶剤系樹脂に、水系溶媒とある記載を溶剤系溶媒と読み替え、また、一実施形態の金属インキ層7において、溶剤系樹脂とある記載を水系樹脂と読み替え、溶剤系溶媒とある記載を水系溶媒と読み替えればよい。
他の実施形態の熱転写シートにおいても、上記一実施形態の熱転写シートと同じ理由により、中間層5と金属インキ層7とが混ざり合うことを抑制することができ、従来の熱転写シートと比較して、輝度の高い印画物を得ることができる。
以上、本発明の熱転写シート100について、一実施形態、及び他の実施形態の熱転写シートを例に挙げ説明を行ったが、本発明の趣旨を妨げない範囲内での種々の態様をとることができる。例えば、基材1の転写層20が設けられた面と同一面上に、染料層を面順次に設けた染料層一体型の熱転写シート(図示しない)とすることもできる。この染料層は単一の染料層であってもよく、例えば、イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層がこの順で面順次に設けられた構成とすることもできる。
また、金属インキ層7上に受容層(図示しない)を設けた熱転写シートとしてもよい。なお、金属インキ層7上に受容層を設ける場合において、金属インキ層7が、水系樹脂を含有している場合には、受容層は、溶剤系樹脂を含有していることが好ましく、金属インキ層7が、溶剤系樹脂を含有している場合には、受容層は、水系樹脂を含有していることが好ましい。このような構成とすることで、受容層と金属インキ層7とが混ざり合うことを抑制することができ、輝度の高い印画物を得ることができる。受容層については、熱転写受像シートや、中間転写媒体等の分野で従来公知の受容層を適宜選択すればよい。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、部または%は質量基準である。また、固形分比率を有する成分については固形分に換算した質量の値を示している。
(実施例1)
基材として厚さ5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その一方の面に、下記組成の剥離層用塗工液を、乾燥状態で1.2g/m2となるように塗工し剥離層を形成した。次いで、剥離層上に、下記組成のバリア層用塗工液1を、乾燥状態で0.2g/m2となるように塗工しバリア層を形成した。次いで、バリア層上に、下記組成の金属インキ層用塗工液を乾燥状態で0.5g/m2となるように塗工し金属インキ層を形成した。また、基材の他方の面に、下記組成の背面層用塗工液を、乾燥状態で1.0g/m2となるように塗工し背面層を形成することで実施例1の熱転写シートを得た。
<剥離層用塗工液>
・アクリル樹脂 27部
(ダイヤナールBR−87 三菱レイヨン(株))
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 3部
(ソルバインCNL 日信化学工業(株))
・メチルエチルケトン 35部
・トルエン 35部
<バリア層用塗工液1>
・ポリビニルアルコール樹脂(水溶性樹脂として) 5部
(クラレポバール PVA105 クラレ(株))
・水 47.5部
・イソプロピルアルコール 47.5部
<金属インキ層用塗工液>
・アルミニウム粉 20部
(アルミニウムペースト0670TS 東洋アルミニウム(株))
・アクリル樹脂(溶剤系樹脂として) 10部
(ダイヤナールBR−83 三菱レイヨン(株))
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 10部
(ソルバインCNL 日信化学工業(株))
・メチルエチルケトン 20部
・トルエン 40部
<背面層用塗工液>
・ポリビニルアセタール樹脂 60.8部
(エスレック KS−1 積水化学工業(株))
・ポリイソシアネート 4.2部
(バーノックD750 大日本インキ化学工業(株))
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株))
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株))
・ポリエチレンワックス 3部
(ポリワックス3000 東洋ペトロライト(株))
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
(実施例2)
バリア層用塗工液1を下記組成のバリア層用塗工液2に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例2の熱転写シートを得た。
<バリア層用塗工液2>
・ポリビニルピロリドン樹脂(水溶性樹脂として) 5部
(PVP K−60 ISPジャパン(株))
・水 47.5部
・イソプロピルアルコール 47.5部
(実施例3)
バリア層用塗工液1を下記組成のバリア層用塗工液3に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例3の熱転写シートを得た。
<バリア層用塗工液3>
・エーテル系ウレタン樹脂(水分散樹脂として) 5部
(スーパーフレックス130 第一工業製薬(株))
・水 47.5部
・イソプロピルアルコール 47.5部
(実施例4)
バリア層用塗工液1を下記組成のバリア層用塗工液4に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例4の熱転写シートを得た。
<バリア層用塗工液4>
・水系アクリル樹脂(水分散樹脂として) 5部
(バリアスターB4100 三井化学(株))
・水 47.5部
・イソプロピルアルコール 47.5部
(実施例5)
バリア層用塗工液1を下記組成のバリア層用塗工液5に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例5の熱転写シートを得た。
<バリア層用塗工液5>
・ポリビニルピロリドン樹脂(水溶性樹脂として) 3.5部
(PVP K−60 ISPジャパン(株))
・アルミナゾル(フィラーとして) 1.5部
(アルミナゾル200、日産化学工業(株)製、固形分10.5%)
・水 47.5部
・イソプロピルアルコール 47.5部
(実施例6)
バリア層用塗工液1を下記組成のバリア層用塗工液6に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例6の熱転写シートを得た。
<バリア層用塗工液6>
・カーボネート系ウレタン樹脂(水分散樹脂として) 5部
(スーパーフレックス460 第一工業製薬(株))
・水 47.5部
・イソプロピルアルコール 47.5部
(実施例7)
剥離層を形成しなかった以外は全て実施例1と同様にして実施例7の熱転写シートを得た。
(比較例1)
バリア層用塗工液1を下記組成のバリア層用塗工液Aに変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例1の熱転写シートを得た。
<バリア層用塗工液A>
・ポリエステル樹脂(溶剤系樹脂として) 5部
(バイロン220 東洋紡(株))
・メチルエチルケトン 47.5部
・トルエン 47.5部
(比較例2)
バリア層用塗工液1を下記組成のバリア層用塗工液Bに変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例2の熱転写シートを得た。
<バリア層用塗工液B>
・アクリル樹脂(溶剤系樹脂として) 5部
(BR−83 三菱レイヨン(株))
・メチルエチルケトン 47.5部
・トルエン 47.5部
(比較例3)
バリア層用塗工液1を塗工しなかった以外は、全て実施例1と同様にして比較例3の熱転写シートを得た。
(印画物の形成)
昇華型転写プリンター(株式会社DNPフォトルシオ製 DS−40)の純正リボンの保護層部を切り抜き、その部分に上記で得られた各実施例、及び比較例の熱転写シートを切り貼りして、DS−40純正受像紙に、白ベタ画像(切り貼りした保護層部の転写あり)を印画することで、転写層(剥離層/バリア層/金属インキ層)を受像紙へ転写して、各実施例及び比較例の印画物を得た。
(光沢性評価)
上記印画物の形成によって得られた各実施例、及び比較例の印画物の光沢度を、Gloss Meter VG7000(日本電色社製)を用いて、測定角度45°で測定し、比較例3の光沢度を基準とし、以下の評価基準に基づいて光沢性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
◎・・・光沢度の測定結果が基準値+100以上である。
○・・・光沢度の測定結果が基準値+50以上100未満である。
×・・・光沢度の測定結果が基準値+50未満である。
(耐溶剤性評価)
上記印画物の最表面に位置しているバリア層の耐溶剤性を評価すべく、各実施例の熱転写シートの形成に用いた各バリア層用塗工液を用い、この塗工液を乾燥させることで得られる固形物1gを、メチルエチルケトン/トルエン混合溶液に、24時間浸漬させたときの固形物の状態を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて耐溶剤性の評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。なお、耐溶剤性評価は実施例の熱転写シートについてのみ行った。
<評価基準>
○・・・固形分が溶解しなかった。
×・・・固形分が溶解した。
Figure 0006772446
1…基材
3…剥離層
4…バリア層
5…中間層
7…金属インキ層
20…転写層
100…熱転写シート

Claims (4)

  1. 基材と、当該基材から剥離可能に設けられた転写層とを有する熱転写シートであって、
    前記転写層は、中間層と、当該中間層と直接的に接する金属インキ層とが積層されてなる積層構成を呈しており、
    前記金属インキ層が、有機溶剤、溶剤系樹脂、及び金属粉を含み、且つ前記溶剤系樹脂が前記有機溶剤に溶解された溶剤系塗工液を用いて形成されたものであり、
    前記中間層が、水系樹脂と、水系溶媒を含み、且つ前記水系樹脂が前記水系溶媒に分散、又は溶解された水系塗工液を用いて形成されたものであり、
    前記水系樹脂が、前記有機溶剤に不溶な、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エーテル系ウレタン樹脂、アクリル樹脂の何れかであり、前記水系溶媒が、水、又は水を主成分とする液体である、熱転写シート。
  2. 前記中間層は、剥離層とバリア層とがこの順で積層された積層構成を呈し、
    前記バリア層は、前記金属インキ層と直接的に接しており、
    前記バリア層が、前記水系塗工液を用いて形成されたものである、請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 基材と、当該基材から剥離可能に設けられた転写層とを有する熱転写シートの製造方法であって、
    基材上に、中間層と、前記中間層と直接的に接する金属インキ層が積層された転写層を形成する転写層形成工程を含み、
    前記転写層形成工程が、前記中間層を形成する中間層形成工程と、前記中間層上に前記金属インキ層を形成する金属インキ層形成工程を含み、
    前記中間層形成工程が、水系樹脂、水系溶媒を含み、且つ前記水系樹脂が前記水系溶媒に分散、又は溶解された水系塗工液を用いて中間層を形成する工程であり、
    前記金属インキ層形成工程が、有機溶剤、溶剤系樹脂、及び金属粉を含み、且つ前記溶剤系樹脂が前記有機溶剤に溶解された溶剤系塗工液を用いて金属インキ層を形成する工程であり、
    前記水系樹脂が、前記有機溶剤に不溶な、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エーテル系ウレタン樹脂、アクリル樹脂の何れかであり、前記水系溶媒が、水、又は水を主成分とする液体である、熱転写シートの製造方法。
  4. 前記中間層形成工程が、前記基材上に剥離層を形成する工程と、前記剥離層上にバリア層を形成する工程を含み、
    前記バリア層形成する工程が、前記水系塗工液を用いてバリア層を形成する工程である、請求項3に記載の熱転写シートの製造方法。
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