しかし、ハンダ付けを行う場合、ハンダが必要になるため、材料コストが掛かってしまう。また、フロー方式及びリフロー方式の何れにおいても、多数の工程が必要になるため、作業時間が長くなってしまう。更に、ハンダは導体部と異なる材料であるため、電気的な接続の信頼性をあまり高くすることができない。
プレスフィット端子を用いることで、材料コスト及び作業時間を低減することができる。しかし、この方法では、プレスフィット端子とスルーホールの内壁との接触面積が小さくなり易いため、電気抵抗が増大するとともに、電気的な接続の信頼性があまり高くない。更に、プレスフィット端子の弾性力のみによって接続が行われているため、機械的接続の信頼性も低くなる(機械的強度が低くなる)。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、基板接続構造において、材料コストを抑えるとともに、電気的接続及び機械的接続の信頼性が高い構成を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の第1の観点によれば、回路基板に形成されたスルーホールと、電子部品に接続されるとともに前記スルーホールに挿入される導体部と、の接続構造である基板接続構造において、以下の構成が提供される。即ち、前記導体部と前記スルーホールとが直接接続された融着部により、前記導体部と前記スルーホールとが電気的に接続されている。前記導体部には、基部と、前記スルーホールの軸方向に垂直な方向で切った断面の断面積が前記基部より大きい大径部と、が形成されている。前記大径部が前記スルーホールと接続されている。前記大径部が球体又は楕円体である。
これにより、導体部とスルーホールとが直接(別部材を介することなく)接続されているので、材料コストを抑えることができるとともに、電気的接続の信頼性を向上させることができる。また、スルーホールと導体部とが直接接続されているため、電気的接続及び機械的接続の信頼性を一層向上させることができる。また、導体部を溶融させることで導体部がスルーホールと接続されるため、ハンダ等の別部材を介して接続する場合と比較して、作業時間を短くすることができる。また、溶融により径が大きくなることを利用して導体部をスルーホールに接続させることができる。また、大径部が球体又は楕円体であることにより、大径部が略均一に広がっているため、導体部とスルーホールの接続箇所である融着部の強度(接続強さ)を径方向で均一にすることができる。そのため、様々な方向の力に対してバランス良く耐性持たせることができる。
本発明の別の観点によれば、回路基板に形成されたスルーホールと、電子部品に接続されるとともに前記スルーホールに挿入される導体部と、の接続構造である基板接続構造において、以下の構成が提供される。即ち、前記導体部と前記スルーホールとが直接接続された融着部により、前記導体部と前記スルーホールとが電気的に接続されている。前記導体部を前記スルーホールの軸方向に垂直なある面で切った断面において、当該導体部が前記スルーホールの孔部を分割している。
これにより、導体部とスルーホールとが直接(別部材を介することなく)接続されているので、材料コストを抑えることができるとともに、電気的接続の信頼性を向上させることができる。また、スルーホールと導体部とが直接接続されているため、電気的接続及び機械的接続の信頼性を一層向上させることができる。また、導体部を溶融させることで導体部がスルーホールと接続されるため、ハンダ等の別部材を介して接続する場合と比較して、作業時間を短くすることができる。また、導体部が熱膨張により膨らんだ場合であっても、その膨らみをスルーホールの孔部で吸収することができる。
前記の基板接続構造においては、前記スルーホールと前記導体部との接続部分である前記融着部が合金化していることが好ましい。
これにより、スルーホールと導体部との接続部分が合金化しているため、電気的接続及び機械的接続の信頼性をより一層向上させることができる。
前記の基板接続構造においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記導体部には、基部と、前記スルーホールの軸方向に垂直な方向で切った断面の断面積が前記基部より大きい大径部と、が形成されている。前記大径部が前記スルーホールと接続されている。
これにより、溶融により径が大きくなることを利用して導体部をスルーホールに接続させることができる。
前記の基板接続構造においては、前記大径部が球体又は楕円体であることが好ましい。
これにより、大径部が略均一に広がっているため、導体部とスルーホールの接続箇所である融着部の強度(接続強さ)を径方向で均一にすることができる。そのため、様々な方向の力に対してバランス良く耐性持たせることができる。
前記の基板接続構造においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記導体部は、前記スルーホールから軸方向の外側に突出する部分である突出部を有している。前記突出部は、前記軸方向で見たときに前記スルーホールの孔部よりも大きい部分を有している。前記突出部は、前記スルーホールのうち前記回路基板と平行な面に接続されている。
これにより、導体部が、スルーホールの内壁だけでなく別の面にも接続されるので、機械的接続の信頼性を一層向上させることができる。
前記の基板接続構造においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記突出部には、前記スルーホールの軸方向で見たときに、前記スルーホールの孔部よりも径方向の外側へ局所的に広がる1又は複数の広がり部が形成されている。
これにより、広がり部がスルーホールの縁部に引っ掛かることで導体部の抜けを防止できる。また、複数の広がり部が形成されることで導体部の抜けをより確実に防止できる。
前記の基板接続構造においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記導体部は、前記スルーホールから軸方向の外側に突出する部分である突出部を有している。前記突出部は、前記軸方向で見たときに前記スルーホールの孔部よりも大きい部分を有している。前記スルーホールの径方向における、前記スルーホールの内壁から前記突出部の端までの距離が0mmより大きく0.5mm以下である。
これにより、導体部が回路基板の表面を占める面積が小さくなるので、電子部品を高密度に配置することができる。
前記の基板接続構造においては、前記導体部は、前記スルーホールから軸方向の外側に突出する部分である突出部を有しており、前記突出部は、前記軸方向で見たときに前記スルーホールの孔部よりも小さいことが好ましい。
これにより、導体部がスルーホールより径方向の外側に位置しないので、当該スルーホールに隣接して他の導体部を配置することができる。従って、回路基板に電子部品等を高密度に配置することができる。
前記の基板接続構造においては、前記スルーホールの軸方向における前記導体部の端部が前記スルーホールに接続されていることが好ましい。
これにより、基板からの導体部の突出長さを抑えることができる。
前記の基板接続構造においては、前記スルーホールの軸方向における前記導体部の端部は、前記スルーホールの内部に位置していることが好ましい。
これにより、電子部品の実装後の回路基板の厚みを抑えるとともに、電子部品等を高密度に配置することができる。
前記の基板接続構造においては、前記スルーホールの軸方向における前記導体部の端部には、前記スルーホールの軸方向に凹んだ凹部が形成されていることが好ましい。
これにより、導体部の表面積が大きくなるため、温度変化への耐性を向上させることができる。また、レーザ照射により導体部が融解されるが、その際、気泡が生じることがあり、レーザ照射の際に、凹部を設けておくことで、気泡が外部に出易くなり、ボイドの発生を防止できる。また、導体部に凹部を形成することで、導体部の断面積を広げることができるので、導体部とスルーホールとの接触面積を大きくすることができる。そのため、電気的接続及び機械的接続の信頼性をより一層向上させることができる。
前記の基板接続構造においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記導体部は、第1層と、当該第1層の外側に設けられており前記融着部を含んでいる第2層と、を含む。前記第1層と前記第2層の成分の組合せは、ある金属元素の純金属と、当該金属元素を主成分とする合金と、の組合せであるか、又は、主成分の金属元素が同じであるとともに主成分以外の元素が異なる合金同士の組合せである。前記第2層の融点が前記第1層の融点よりも低い。
これにより、スルーホールと接続させる部分である第2層を優先的に溶融させることができるので、導体部とスルーホールとの接触面積を大きくすることができる。そのため、電気的接続及び機械的接続の信頼性をより一層向上させることができる。
前記の基板接続構造においては、前記スルーホールの軸方向で見たときに、前記スルーホールの輪郭は略平行に配置された2本の輪郭直線を含んでおり、前記導体部の輪郭は略平行に配置された2本の輪郭直線を含んでおり、前記スルーホールの2本の輪郭直線と、前記導体部の2本の輪郭直線と、が接触していることが好ましい。
これにより、導体部とスルーホールとの接触面積を大きくすることができる。そのため、電気的接続及び機械的接続の信頼性をより一層向上させることができる。
前記の基板接続構造においては、前記導体部を前記スルーホールの軸方向に垂直なある面で切った断面において、当該導体部が前記スルーホールの孔部を隙間無く埋めていることが好ましい。
これにより、導体部とスルーホールとの接触面積が大きくなるので、電気的接続及び機械的接続の信頼性を一層向上させることができる。
本発明の第2の観点によれば、以下の導体部接続方法が提供される。即ち、この導体部接続方法は、挿入工程と、接続工程と、を含む。前記挿入工程では、回路基板に形成されたスルーホールに、電子部品に接続される導体部を挿入する。前記接続工程では、前記導体部にレーザを照射して当該導体部を溶かすことで、前記スルーホールの内壁と前記導体部とを直接接続する融着部を形成する。前記接続工程では、前記スルーホールの軸方向で見たときに、当該スルーホールの孔部の中央から一側に寄っている位置に前記導体部を配置することで当該一側の反対側に空間を設け、当該反対側から、前記スルーホールの軸方向に対して傾斜した角度で前記導体部にレーザを照射する。
これにより、導体部とスルーホールとが直接(別部材を介することなく)接続されているので、材料コストを抑えることができるとともに、電気的接続の信頼性を向上させることができる。また、レーザで導体部を溶融させることで、溶融していない部分よりも断面積が大きい部分が形成される。更に、スルーホールの内壁と導体部とが一体化するため、電気的接続及び機械的接続の信頼性を一層向上させることができる。更に、レーザの照射時間は非常に短時間で良いため、作業時間を短くすることができる。また、導体部の端部に垂直にレーザを照射する構成と比較して、レーザが導体部に照射され易くなるため、接続工程を簡単にすることができる。
前記の導体部接続方法においては、前記接続工程では、前記挿入工程で前記導体部を前記スルーホールに挿入する側とは反対側から前記導体部にレーザを照射することが好ましい。
これにより、合理的な方法で、導体部の端部にレーザを照射することができる。
前記の導体部接続方法においては、前記接続工程では、前記回路基板と前記導体部のうち前記導体部のみにレーザを照射することが好ましい。
これにより、回路基板が過剰に溶融することを防止できる。
前記の導体部接続方法においては、前記接続工程では、前記導体部のうち前記スルーホールと接続される側の端部にレーザを照射することが好ましい。
これにより、通常の溶接とは異なり、接合部分ではなく導体部の端部のみにレーザを照射するだけで良いので、作業が簡単になる。
前記の導体部接続方法においては、前記接続工程では、前記スルーホールの軸方向で見たときに、前記導体部が前記スルーホールの空間を隙間無く埋めている状態でレーザを照射することが好ましい。
これにより、導体部とスルーホールとの接触面積を大きくすることができる。そのため、電気的接続及び機械的接続の信頼性をより一層向上させることができる。
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
初めに、図1を参照して、自動車に搭載される部品実装回路基板1について簡単に説明する。図1は、基板接続構造100を有する部品実装回路基板1の斜視図である。また、本明細書では、位置関係、大きさ、又は形状を説明する用語を用いる際には、その用語の意味が完全に成立している(例えば2本の直線が完全に平行)構成だけでなく、その用語の意味が略成立している(例えば2本の直線が略平行)構成も含むものとする。
図1に示すように、部品実装回路基板1は、回路基板10に電子部品30を実装する(電気的及び機械的に接続する)ことで製造される。なお、回路基板10の構成は任意であり、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)、メタルコア基板、セラミックス基板、射出成形基板等である。回路基板10には、複数のスルーホール11が形成されている。なお、図1に示す回路基板10には、実際にはより多くのスルーホール11、及び、所定のスルーホール11同士を繋ぐ回路が形成されているが、図1では記載を省略している。
スルーホール11は、回路基板10を一側の面(裏面10b)から他側の面(部品実装面10a)まで貫通するように形成されている。スルーホール11を構成する部分(縁部)は金属製であり、メッキ等によって形成されている。スルーホール11の縁部の金属は、例えば、銅、銅合金、銀等である。本明細書では、「スルーホール」には、孔部だけでなく縁部も含まれるものとする。スルーホール11の縁部のうち、内側の面を内壁11a(図2を参照)と称する。
回路基板10には、複数の電子部品30が接続される。電子部品30は、例えば、抵抗器、キャパシタ、ダイオード、トランジスタ、集積回路、リレー、コネクタである。電子部品30には、当該電子部品30をスルーホール11に接続するための導体部31が接続されている。
導体部31は、例えば、電子部品30に形成された端子(バスバー端子又は圧着端子等)、又は、電子部品30(基板用端子、コネクタ、リード部品等)に接続されたリード線である。導体部31は、棒状(線状)の部材である。導体部31の材料は、例えば、銅、銅合金(真鍮及びリン青銅等)、アルミ、アルミ合金、金である。導体部31の材料は、スルーホール11と同じであっても良いし、異なっていても良い。導体部31を回路基板10(部品実装面10a)に平行な面で切った断面形状は矩形であっても良いし、円形であっても良い。
次に、図2を参照して、導体部31とスルーホール11の接続構造である基板接続構造100、及び、導体部31とスルーホール11とを電気的かつ機械的に接続する方法(導体部接続方法)について説明する。図2は、回路基板10のスルーホール11に導体部31を接続する工程を示す水平断面図である。なお、本明細書では、基板接続構造100をスルーホール11の軸方向に平行に切った断面図を水平断面図と称し、基板接続構造100をスルーホール11の軸方向に垂直に切った断面図を垂直断面図と称する。
図2(a)は、導体部31の挿入前のスルーホール11等を示す水平断面図である。図2(a)に示すように、本実施形態では、導体部31の裏面10bを上側に向けて作業を行う。なお、回路基板10の向きは任意であり、例えば、部品実装面10aを上側に向けても良いし、部品実装面10aを横側に向けても良い(後述の図6を参照)。
次に、図2(b)に示すように、スルーホール11に部品実装面10a側から裏面10b側に向けて導体部31を挿入する(挿入工程)。回路基板10には複数の電子部品30が接続されるので、複数の導体部31が、対応するスルーホール11に挿入される。
導体部31の下側(部品実装面10a側)は、図略の電子部品30に接続されている。従って、導体部31の反対側の端部31b(裏面10bから突出している側の端部31b)は、「導体部31のうちスルーホール11と接続される側の端部31b」に相当する。また、スルーホール11に導体部31を挿入しただけでは、導体部31がスルーホール11から抜けてしまうので、例えば治具等によって、導体部31を固定する。なお、導体部31を固定する方法は任意であり、例えば導体部31を弾性変形させてスルーホール11からの抜けを防止しても良い。
次に、図2(c)に示すように、レーザ照射装置50を用いて、回路基板10の裏面10b側から(即ち導体部31を挿入する側とは反対側から)導体部31の端部31bに向けてレーザを照射して融着部20(詳細は後述)を形成する(接続工程)。レーザ照射装置50は、導体部31の端部31bにレーザの焦点が合うように調整されている。本実施形態では、レーザ照射装置50は、回路基板10に垂直(換言すればスルーホール11の軸方向と同方向)にレーザを照射する。導体部31の色は任意であるが、本実施形態では、導体部31の少なくとも端部31b及びその近傍は、黒又は黒系統の色で塗装されている。これにより、レーザの反射率を下げることができる(照射効率を上げることができる)。レーザの照射方向は任意であり、スルーホール11の軸方向に対して傾斜した角度で照射しても良い。
また、本実施形態では、レーザは導体部31の上面に照射されるが、導体部31の側面に照射されても良い。また、レーザは、回路基板10(スルーホール11)と導体部31のうち導体部31のみに照射されることが好ましいが、導体部31に当たらなかった一部のレーザが回路基板10(スルーホール11)に照射されても良い。また、導体部31とスルーホール11が接触している場合は(例えば後述の図12)、導体部31とスルーホール11の間に(即ち、導体部31とスルーホール11の両方に)レーザを照射しても良い。
また、本実施形態では、レーザの照射中はレーザの照射位置は変わらない。この構成に代えて、レーザを照射しながらレーザ照射装置50又は回路基板10を移動させる等して、照射位置を変えながらレーザを照射しても良い。これにより、レーザの照射後の導体部31の形状を調整することができる。
上述のように回路基板10には、複数の導体部31が挿入されている。従って、ある導体部31にレーザを照射した後、別の導体部31がレーザ照射装置50の下部に位置するように、回路基板10を移動させる。その後、レーザ照射装置50は、当該別の導体部31にレーザを照射する。この作業を繰り返して、全ての導体部31にレーザを照射する。なお、回路基板10を移動させる代わりにレーザ照射装置50を移動させても良い。
次に、図3を参照して、レーザの照射後の基板接続構造100について説明する。図3(a)は、スルーホール11に導体部31を接続した後の断面図であり、図3(b)はその平面図である。なお、以下では、「スルーホール11の軸方向」を単に「軸方向」と称する。
導体部31にレーザを照射することで、導体部31の上面に凹部31dが形成される。凹部31dは、レーザによって導体部31が外側に押しのけられることで形成される部分である。従って、凹部31dの深さ方向は、レーザの照射方向(本実施形態では軸方向)と略一致している。また、平面図において凹部31dは円形であり、深くなるに従って径が小さくなっている。凹部31dが形成されることにより、導体部31のスルーホール11の径方向の大きさが大きくなる。また、レーザの熱が伝わることで導体部31が溶融することによっても、導体部31のスルーホール11の径方向の大きさが大きくなる。従って、別の観点から説明すると、導体部31は、溶融後に固化した部分であって、かつ、スルーホール11の軸方向に垂直な方向で切った断面の断面積が溶融していない部分(基部31a)よりも大きい部分である大径部が形成されている。本実施形態では、端部31bに大径部が形成されているが、基部31aのみに大径部が形成されていても良いし(詳細は段落0102を参照)、基部31aと端部31bにわたって大径部が形成されていても良い。
導体部31の端部31bは、レーザの照射により膨らむ。これにより、端部31bは、スルーホール11内に位置する導体部31の端部31b以外の部分よりも、スルーホール11の軸方向に垂直な方向で切った断面の断面積が大きくなる。また、導体部31のうち、スルーホール11よりも軸方向の外側に位置している部分を突出部31cとする。本実施形態では、端部31bの一部がスルーホール11よりも軸方向の外側に突出している(即ち、端部31bの一部が突出部31cに相当する)。なお、端部31bの全てがスルーホール11よりも軸方向の外側に突出していても良い(即ち、端部31bの全てが突出部31cに相当する構成であっても良い)。
端部31bは、スルーホール11から外側(裏面10b側)に突出せずに、スルーホール11の内部に位置している部分(以下、非突出部31i)を含んでいる。端部31bの非突出部31iは、スルーホール11の内壁11aに沿うように膨らんでいる。スルーホール11は円形の孔なので、端部31bの非突出部31iは円柱形となる(換言すれば内壁11aに平行な面で切った断面形状が円形となる)。本実施形態では、図3(b)に示すように、内壁11aと端部31bの非突出部31iの外表面とは一致している(換言すれば、端部31bの非突出部31iがスルーホール11の空間を隙間無く埋めている)。なお、内壁11aの一部のみに接触するように端部31bの非突出部31iが構成されていても良い。この場合、例えばスルーホール11の空間を2つに分けることもできる。
端部31bの非突出部31iの外表面は、溶融した後に固化することで、スルーホール11の内壁11aに電気的かつ機械的に接続されている。具体的に説明すると、端部31bの非突出部31iが溶融しつつ外側(内壁11a側)に膨らむことで、内壁11aに押し付けられて、端部31bの非突出部31iの外表面が内壁11aに略一致する。この状況では導体部31からの熱が伝わることでスルーホール11が一部溶融し、溶融した導体部31と合わさって合金化する。この状態で、導体部31が固化することで、導体部31が内壁11aに接続される。なお、スルーホール11と導体部31の接続部分が合金化しない場合であっても、溶融した導体部31が内壁11aに押し付けられて固化することで、導体部31(端部31bの非突出部31i)が内壁11aに接続される。このように、導体部31とスルーホール11の境界部分には、溶融した後に固化することで導体部31とスルーホール11とを接続している部分(融着部20)が存在する。融着部20は、導体部31のみが溶融して固化している部分であっても良いし、導体部31及びスルーホール11の両方が溶融して固化している部分(上記の合金化している部分)であっても良い。上述のように本実施形態の端部31bは、基部31aより大きい大径部であるが、この大径部の一部又は全部に融着部20が存在する。
本実施形態では、導体部31とスルーホール11とはこのように接続されているため、プレスフィット端子における接続原理とは全く異なる。具体的に説明すると、プレスフィット端子とスルーホールは、弾性力によって外れなくなっているだけであり、結晶レベルで連続性を有する訳ではない。これに対し、本実施形態では、導体部31とスルーホール11は結晶レベルで連続性を有することで一体化されている。
また、プレスフィット端子では、最も径が大きい箇所としかスルーホールが接触しないため、接触面積が小さくなる(接触面積を大きくするためには非常に高い寸法精度が要求される)。これに対し、本実施形態では、スルーホール11の内壁11aの形状に合わせて導体部31が膨らむため、寸法精度を抑えつつ、接触面積を大きくすることができる。
以上により、本実施形態では、プレスフィット端子を用いる方法と比較して、電気抵抗を抑えつつ、電気的接続及び機械的接続の信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態では、ハンダ付けと比較して、以下の利点を有する。即ち、ハンダ付けを行う場合、導体部とスルーホールの間にハンダが介在するため、電気的接続の信頼性が低くなる。この点、本実施形態では、導体部31とスルーホール11とが直接接続されるので、電気的接続の信頼性を向上させることができる。また、ハンダ付けを行う場合、上述したように作業時間が長くなる。しかし、本実施形態では、レーザを照射するだけで良く、レーザの照射時間も通常は数ミリ秒程度で良いので、作業時間を短くすることができる。なお、鉛ハンダを用いる場合は環境対策が必要となり、鉛フリーのハンダを用いる場合は融点の高さ等から作業が困難となるという事情も存在する。
なお、大径部は、スルーホール11の軸方向の一部(詳細には中央よりも裏面10b側)のみに形成されているが、スルーホール11の軸方向の全体にわたって形成されていても良い。
突出部31cは、導体部31の端部31bが溶けて固化し塊となって球体又は楕円体の一部のような形状となった部分である。突出部31cは、図3(a)に示すように、スルーホール11から軸方向の外側(裏面10b側)に突出している。また、突出部31cは、図3(b)に示すように、軸方向で見たときに(即ち平面視において)スルーホール11の孔部よりも大きい。なお、突出部31cの下面は、導体部31が溶融した後に固化することで、スルーホール11の裏面(回路基板10と平行な面)に電気的かつ機械的に接続されている。なお、導体部31とスルーホール11の接続原理については、端部31bの非突出部31iと同様である。導体部31が端部31bの非突出部31iだけでなく突出部31cでもスルーホール11と接続されることで、電気的接続及び機械的接続の信頼性を一層向上させることができる。
次に、上記実施形態の変形例を説明する。図4は、導体部31の形状が異なる変形例を示す水平断面図である。なお、本変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
図4(a)の導体部31には、本実施形態と同様の形状の突出部31cが形成されるが、突出部31cが形成される範囲が異なる構成の変形例である。この変形例では、本実施形態と比較して、スルーホール11の径方向における、突出部31cの大きさが小さい。例えば、スルーホール11の径方向における、スルーホール11の内壁11aから突出部31cの端までの距離L1は、0mmより大きく0.5mm以下であることが好ましい。このような導体部31が形成されることにより、導体部31が回路基板10の裏面10bを占める面積が小さくなるので、電子部品30を高密度に配置することができる。
図4(b)の導体部31には、スルーホール11の軸方向の外側に突出している突出部31cが形成されているが、この突出部31cが、当該軸方向で見たときにスルーホール11の孔部よりも小さい構成の変形例である。この変形例に係る突出部31cは、導体部31の太さ及び軸方向の突出量、レーザの出力及び照射時間等を変えることで実現される。この構成により、スルーホール11の孔部よりも径方向の外側に導体部31が位置しない。従って、このスルーホール11に隣接して他の導体部31を配置することができる。従って、回路基板10に電子部品30を高密度に配置することができる。
図4(c)の導体部31には、導体部31の端部31bがスルーホール11の軸方向の外側に突出しておらず(即ち突出部31cが形成されておらず)、スルーホール11の内部に位置する構成の変形例である。この変形例に係る端部31bは、導体部31の太さ及び軸方向の突出量、レーザの出力及び照射時間等を変えることで実現される。この構成により、部品実装回路基板1の厚みを抑えるとともに、図4(b)の変形例と同様に、電子部品30を高密度に配置することができる。
図5は、凹部31dが形成されていない変形例を示す水平断面図である。図5に示すように、レーザが照射された場合であっても凹部31dが形成されるとは限らない。また、凹部31dが形成されない場合であっても、溶融することにより、上記の断面積が基部31aよりも大きい大径部が端部31bに形成される。凹部31dが形成されていない端部31bは、図4に示す変形例と同様に、スルーホール11から突出していても良いし、スルーホール11の内部に位置していても良い。このように、本明細書では、何れか1つの変形例又は上記実施形態に記載された特徴の1つを、他の変形例又は上記実施形態に適用することもできる。
また、図5(a)から図5(c)に示す端部31bは、楕円体(楕円面により囲まれる立体図形であり、楕円を長軸又は短軸を回転中心として回転させた立体図形等である)となっている。これにより、導体部31とスルーホール11の接続箇所である融着部20の強度(接続強さ)を径方向で均一にすることができる。そのため、様々な方向の力に対してバランス良く耐性持たせることができる。なお、端部31bは楕円体に限られず球体であっても良い。
図6は、レーザの照射方向が水平方向である変形例を示す水平断面図である。上述したように、回路基板10をセットする向きは任意であり、図6に示すように、回路基板10の厚み方向と水平方向が一致するように回路基板10をセットしても良い。この場合、図6(a)に示すようにレーザを照射することで、溶融した導体部31は重力により、スルーホール11の内壁11aのうち、鉛直方向下側に接続される(図6(b))。この場合、溶融した導体部31(端部31b)は重力でスルーホール11の内壁11aに押し付けられるので、導体部31と、スルーホール11の内壁11aと、の密着性を向上させることができる。更には、導体部31がスルーホール11のどこに接続されるかを予め把握することができるので、導体部31とスルーホール11の接続位置を制御することもできる。
図7は、スルーホール11に規制部11bが形成される変形例を示す水平断面図である。規制部11bとは、スルーホール11の所定の位置に接続された部材であり、例えば導電性を有することが好ましい。
図7(a)の変形例では、スルーホール11のうち裏面10b側の表面に規制部11bが形成されている。図7(a)の規制部11bは、スルーホール11の孔部を囲むように形成されている。図7(a)は、端部31bをスルーホール11から突出させる(即ち、突出部31cが形成される)場合の変形例であり、スルーホール11の上部に、スルーホール11より径が大きい孔部が構成されるように規制部11bを形成する。具体的には、スルーホール11の裏面10b側から更に上側に遠ざかるに従って、スルーホール11の軸から離れるように傾斜又は湾曲する部分を有する規制部11bが形成される。これにより、レーザの照射後において、端部31bを規制部11bに載せるように接続することができる。同時に、溶融した導体部31が裏面10bに流れることを防止できる。
図7(b)の変形例は、端部31bをスルーホール11の端部近傍に位置させる場合の変形例であり、スルーホール11の上部に、スルーホール11と同じ径の孔部が構成されるように規制部11bを形成する。具体的には、図7(b)の断面図において、内壁11aを上側に延出したような形状の規制部11bを形成する。これにより、溶融した導体部31が裏面10bに流れることを防止できる。
図7(c)の変形例は、端部31bをスルーホール11の内部に位置させる場合の変形例であり、スルーホール11の内壁11aに、スルーホール11より径が小さい孔部が構成されるように規制部11bを形成する。具体的には、裏面10bから部品実装面10a側に近づくに従って、径が小さくなるように傾斜する部分を有する規制部11bを形成する。これにより、レーザの照射後において、端部31bを規制部11bに載せるように接続することができる。同時に、溶融した導体部31が部品実装面10a側に流れることを防止できる。なお、図7を参照して説明した規制部11bの形状、位置、及び個数は一例であり、適宜変更できる。例えば、スルーホール11の内壁11aに形成する規制部11bを凸状又はそれ以外の形状としつつ、表面粗さを他の面に比べて粗くすることで、溶融した導体部31が留まり易くしても良い。また、導体部31の表面に凸状等の規制部を形成したり、導体部31の表面粗さを粗くしたりすることで、導体部31自身に溶融物が留まり易くしても良い。また、スルーホール11を、導体部31の挿入方向に進むに従って径が大きくなるように傾斜させて、導体部31の溶融物が留まり易くしても良い。
図8は、導体部31の形状が異なる別の変形例を示す平面図である。図8(a)及び図8(b)は、レーザを照射して導体部31が固化した後の状態において、導体部31に凹部31dが形成されない構成の変形例である。
また、図8(b)は、凹部31dが形成されない場合において、レーザの照射により突出部31c(端部31b)に切欠き部31eが形成される構成の変形例である。切欠き部31eは、平面視において扇形状の切欠きである。切欠き部31eは、導体部31の中心からズレた位置にレーザを照射した場合、又は、スルーホール11の軸方向に対して傾斜させてレーザを照射した場合等に形成される。切欠き部31eが形成されることにより、レーザの照射を続ける際において導体部31が外側へ膨らみ易くなる。なお、切欠き部31eは、凹部31dが形成される場合に形成されても良い。
なお、本実施形態では、スルーホール11は円形であるが、他の形状であっても良い。例えば、矩形(長方形又は正方形)であっても良い。又は、図9に示すように長円形であっても良い。図9(a)は、平面視において、長円形の突出部31c(端部31b)が形成される構成の変形例である。図9(b)は、長円形の非突出部31iが形成されるとともに円形の突出部31c(非突出部31iと突出部31cを合わせたものが端部31bに相当)が形成される構成の変形例である。
図9(c)は、基板接続構造100を径方向に水平な平面で切った水平断面図である。図9(c)に示すスルーホール11は、図9(a)及び図9(b)に示すスルーホール11と同様に、長円形である。従って、図9(c)の断面図において、スルーホール11の輪郭を示す線である輪郭線は、2本の円弧と、それらの円弧を接続する2本の直線(以下、輪郭直線)と、から構成されている。また、この2本の輪郭直線は、は略平行に配置されている。また、図9(c)の断面図において導体部31も長円形である。従って、導体部31も略平行に配置された2本の輪郭直線を含んでいる。図9(c)に示すように、スルーホール11の2本の輪郭直線と、導体部31の2本の輪郭直線と、は接触している(スルーホール11の一方の輪郭直線が導体部31の一方の輪郭直線に接触するとともに、スルーホール11の他方の輪郭直線が導体部31の他方の輪郭直線に接触している)。従って、スルーホール11と導体部31とは2箇所において面接触していることとなる。これにより、スルーホール11と導体部31の接触面積(融着部20が形成される面積)が大きくなるため、スルーホール11と導体部31の電気的接続及び機械的接続の信頼性をより一層向上させることができる。
また、図9(c)に示す変形例では、導体部31は、スルーホール11の孔部を2つに分割するように配置されている。言い換えれば、導体部31の両側に空間が形成されている。これにより、導体部31が熱膨張により膨らんだ場合であっても、その膨らみをスルーホール11の孔部で吸収することができる。そのため、導体部31及びスルーホール11等の破損を防止できる。
図10は、導体部31に広がり部31hが形成される変形例を示す平面図である。上述のように導体部31にレーザが照射されることで、導体部31の突出部31cは、基部31aから径方向に広がるように形成される。このとき、図8(a)等に示すように均一に広がる場合もあるが、条件によっては、図10に示すように局所的に広がる部分である広がり部31hが形成されることがある。ここで、局所的に広がるとは、径方向のうち一部が他と比較して大きく広がっていることを示している。図10(a)の導体部31には、広がり部31hが1つ形成されている。図10(b)の導体部31には、広がり部31hが2つ形成されている。広がり部31hは、スルーホール11の孔部から遠い位置に形成されることとなるので、導体部31に軸方向の力が掛かった場合でも、導体部31がスルーホール11の縁部と干渉することで、導体部がスルーホール11から抜けにくくなる。なお、広がり部31hがスルーホール11の孔部より外側に1つでも形成されていれば、抜け方向への耐性が向上する。また、広がり部31hが2つ形成されていれば(特にスルーホール11を挟んで対向するように広がり部31hが形成されていれば)、更に、安定的に導体部31を保持することができる。なお、広がり部31hは、3つ以上形成されていても良い。
図11は、導体部31が2層構造である変形例を示す水平断面図である。図11に示すように、本変形例の導体部31は、第1層31fと、第2層31gと、から構成されている。導体部31の少なくとも一部(具体的には端部31bを除いた部分)において、第1層31fの外側に第2層31gが設けられている。また、本変形例では、第1層31f及び第2層31gは異なる成分で構成されており、両方とも銅合金から構成されている。ここで、銅合金とは、銅を主成分とし、他の元素を添加した金属である。また、第2層31gの銅合金(例えば黄銅)の融点は、第1層31fの銅合金(例えば燐青銅)の融点よりも低い。本変形例の導体部31は、例えば、溶融させた黄銅を入れた容器に燐青銅性の芯部材を入れて引き上げることで製造される。なお、第1層31f及び第2層31gの一方を銅(純金属)としても良い。更には、第1層31fと第2層31gは、同じ金属元素を主成分とする合金同士の組合せ、又は、その金属元素の純金属と合金の組合せであれば、銅以外の金属(上述のアルミニウム等)であっても良い。
ここで、図11(a)に示すように、第1層31fからなる端部31bにレーザを照射すると、この熱が第1層31fを介して第2層31gに伝わる。ここで、第2層31gは第1層31fよりも融点が低く溶融し易いため、第1層31fが完全に溶融して軟化する前に第2層31gが溶融する程度の熱を第2層31gに伝えることができる。これにより、第2層31gの溶融範囲を大きくすることができる。これにより、スルーホール11と導体部31の接触面積(融着部20が形成される面積)が大きくなるため、スルーホール11と導体部31の電気的接続及び機械的接続の信頼性をより一層向上させることができる。
なお、本変形例では端部31bは2層構造ではないが、端部31bを2層構造としても良い。また、本変形例では、基部31aの全体を2層構造としているが、基部31aの一部のみを2層構造としても良い。このとき、融着部20が形成される部分である、端部31bの近傍(レーザが照射される位置の近傍)を2層構造とすることが好ましい。また、第1層31fは伝熱を主たる目的とし、第2層31gは溶融による融着を主たる目的とするため、第1層31fの厚みは第2層31gの厚みよりも大きいことが好ましい。
図12は、レーザの照射前に導体部31がスルーホール11の孔部を隙間無く埋めている変形例を示す水平断面図及び垂直断面図である。なお、図12(b)は図12(a)のA−A断面図である。上記では、レーザによる溶融後に導体部31がスルーホール11の孔部を隙間無く埋めている例を説明したが、本変形例では、図12に示すように、レーザの照射前において、導体部31がスルーホール11の孔部を隙間無く埋めている。言い換えれば、スルーホール11の孔部の大きさと、溶融前の導体部31の大きさと、が同じである。例えば、スルーホール11の孔部の大きさに合わせた導体部31を用いても良いし、導体部31を加工してスルーホール11の孔部の大きさに合わせても良い。本変形例の構成により、スルーホール11と導体部31の接触面積(融着部20が形成される面積)が大きくなるため、スルーホール11と導体部31の電気的接続及び機械的接続の信頼性をより一層向上させることができる。なお、レーザの照射前において、後述の図13のように、導体部31の一部のみがスルーホール11の内壁11aの一部のみと接触している場合であっても接触面積が大きくなるという効果をある程度発揮することができる。
図13は、導体部31がスルーホール11の一側に寄って配置される変形例を示す水平断面図及び垂直断面図である。なお、図13(b)は図13(a)のA−A断面図である。図13に示すように、本変形例の導体部31は、スルーホール11の軸方向で見たときに(図13(b)において)、スルーホール11の孔部の中央から一側(左側)に寄って配置されている。本変形例では、導体部31の一側(左側)の側面がスルーホール11の内壁11aと接触しているが、隙間が生じていても良い。このように導体部31を配置することで、スルーホール11の他側(右側)に大きな隙間を生じさせることができる。
本変形例では、この隙間を活用してレーザを照射する。つまり、図13(a)に示すように、レーザ照射装置50は、スルーホールの軸方向に対して傾斜した角度で(詳細には導体部31に近づくに従って一側(左側)に近づくような角度で)レーザを照射する。また、レーザの照射位置は、導体部31の端部31bのうち他側(右側)の側面近傍である。なお、レーザの照射位置は基部31aのうち他側(右側)の側面であっても良い。これにより、レーザの照射位置が少しズレた場合であっても、レーザが導体部31に照射される。これにより、レーザの照射位置についてあまり高い精度が必要とならないので、製造装置のコストを下げることができる。また、導体部31とスルーホール11とを予め近づけておく(接触させておく)ことで、レーザの照射後に導体部31とスルーホール11の接触面積が大きくなり易いので、スルーホール11と導体部31の電気的接続及び機械的接続の信頼性をより一層向上させることができる。
なお、レーザを基部31aに照射する構成は、本変形例以外にも適用できる。例えば、図2(c)において、導体部31の端部31bではなく基部31aにレーザを照射しても良い。この場合、端部31bではなく基部31aの一部に大径部が形成されることとなる。
以上に説明したように、上記の基板接続構造100において、導体部31とスルーホール11とが直接接続された融着部20により、導体部31とスルーホール11とが電気的に接続されている。
これにより、ハンダ付けを行う方法と比較して、材料コストを抑えることができるとともに作業時間を短くすることができる。また、電気的接続及び機械的接続の信頼性を向上させることができる。
上記の基板接続構造100において、スルーホール11の内壁11aと端部31bとの接続部分が合金化している。
これにより、スルーホール11の内壁11aと導体部31とが合金化しているため、電気的接続及び機械的接続の信頼性をより一層向上させることができる。
上記の基板接続構造100において、導体部31のうちスルーホール11と接続される側の端部31bには、スルーホール11の軸方向に凹んだ凹部31dが形成されている。
これにより、導体部31の表面積が大きくなるため、温度変化への耐性を向上させることができる。
上記の基板接続構造100において、端部31bをスルーホール11の軸方向に垂直なある面で切った断面において、端部31bが前記スルーホール11の空間を隙間無く埋めている。
これにより、導体部31とスルーホール11との接触面積が大きくなるので、電気的接続及び機械的接続の信頼性を一層向上させることができる。
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
上記実施形態では、1つのスルーホール11に1つの導体部31が接続される構成であるが、1つのスルーホール11に複数の導体部31が接続される構成であっても良い。また、上記実施形態では、導体部31は、スルーホール11の内壁11aのみに接続されるか、あるいは、内壁11aと裏面10b側の表面の両方に接続されるかであるが、導体部31は、スルーホール11のうち裏面10b側(又は部品実装面10a側)の表面のみに接続される構成であっても良い。
上記では、レーザを照射した後の導体部31の形状について様々な例を挙げて説明したが、上記で説明した形状は一例であり、他の形状であっても良い。
上記では、レーザの照射方法について様々な例を挙げて説明したが、上記で説明した方法は一例であり、他の方法であっても良い。
上記では、自動車に搭載される部品実装回路基板1に本発明を適用する例を示したが、自動車以外で用いられる部品実装回路基板に本発明を適用することもできる。
上記では、回路が片面のみに形成される回路基板10に本発明を適用する例を示したが、回路が両面に形成される回路基板又は多層基板に本発明を適用することもできる。