JP6767150B2 - 防錆塗膜付き鋼板の製造方法 - Google Patents
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[1]
鋼板温度と露点温度との温度差(鋼板温度−露点温度)(℃)が(−12Ln(絶対湿度(g/m3))+25)℃または1℃のいずれか低くない方の温度以上である温度条件下で、鋼板に、重量平均分子量(Mw)が5,000以上であるシロキサン系結合剤(a)と亜鉛粉末および/または亜鉛合金粉末(b)とを含有する防錆塗料組成物を塗布し、次いで硬化させる、防錆塗膜付き鋼板の製造方法。
前記防錆塗膜付き鋼板が前記防錆塗料組成物の塗布後20分以内に屋外に曝される防錆塗膜付き鋼板である、上記[1]に記載の防錆塗膜付き鋼板の製造方法。
前記防錆塗膜が前記防錆塗料組成物の塗布後20分以内に液体の水と接触する防錆塗膜である、上記[1]または[2]に記載の防錆塗膜付き鋼板の製造方法。
5℃以下の気温の下で実施される上記[1]〜[3]のいずれかに記載の防錆塗膜付き鋼板の製造方法。
前記温度差が(−12Ln(絶対湿度(g/m3))+25)℃または10℃のいずれか低くない方の温度以上である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の防錆塗膜付き鋼板の製造方法。
前記シロキサン系結合剤(a)の重量平均分子量(Mw)が5,000〜10,000である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の防錆塗膜付き鋼板の製造方法。
前記シロキサン系結合剤(a)がアルキルシリケートおよびメチルトリアルコキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の化合物の縮合物である上記[1]〜[6]のいずれかに記載の防錆塗膜付き鋼板の製造方法。
前記防錆塗料組成物が一次防錆塗料組成物である上記[1]〜[7]のいずれかに記載の防錆塗膜付き鋼板の製造方法。
本発明に係る防錆塗膜付き鋼板の製造方法では、鋼板温度と露点温度との温度差(℃)(すなわち、鋼板温度(℃)から露点温度(℃)を引いた値)が、(−12Ln(絶対湿度(g/m3))+25)℃または1℃のいずれか低くない方の温度以上、好ましくは(−12Ln(絶対湿度(g/m3))+25)℃または10℃のいずれか低くない方の温度以上、さらに好ましくは(−12Ln(絶対湿度(g/m3))+25)℃または15℃のいずれか低くない方の温度以上である温度条件下で、鋼板に、後述する防錆塗料組成物を塗布し、次いで硬化させて、防錆塗膜付き鋼板を製造する。
なお、本発明において鋼板温度、露点温度、気温および絶対湿度とは、特に断りのない限り、鋼板に防錆塗料組成物を塗布し次いで硬化させる際の、温度ないし湿度である。
<温度差の条件>
前記温度差の条件は、以下の実験から導出したものである。
予め所定の鋼板温度に設定された冷間圧延鋼板(JIS G3141、SPCC−SB、寸法:150mm×70mm×0.8mm)に、所定の温度および湿度の条件下で、後述する実施例で製造した一次防錆塗料組成物(3)を、乾燥膜厚が15μmとなるように塗布し、塗布直後から各温度および湿度の条件を維持しながら静置して塗膜を硬化させ、防錆塗膜付き鋼板を製造した。防錆塗膜付き鋼板の製造は、温度および湿度の条件を以下の範囲で変化させ、様々な条件ごとに行った。
気温:0〜30℃
湿度:10〜90RH%
絶対湿度:0.5〜27.4g/m3
露点:−27.1〜28.2℃
鋼板温度:0〜30℃
鋼板温度−露点:1.3〜57.1℃
図1から、絶対湿度を固定すると、鋼板温度と露点温度との温度差(鋼板温度−露点温度)が大きいほど硬化乾燥時間が短い、すなわち硬化乾燥性が優れることがわかる。また、硬化乾燥時間が11分のデータの間には、
鋼板温度−露点温度(℃)=−12Ln(絶対湿度(g/m3))+25(℃)
で表される相関性が認められる。なお、Lnは自然対数を表す。そこで本発明においては、良好な硬化乾燥性で防錆塗膜を製造するために、前記温度差が(−12Ln(絶対湿度(g/m3))+25)℃以上となる温度条件下で、鋼板に、防錆塗料組成物を塗布し、次いで硬化させることとした。
なお、前記一次防錆塗料組成物(3)を他の防錆塗料組成物に変更しても、前記一次防錆塗料組成物(3)を用いた場合とほぼ同様の硬化乾燥性が発揮される。
前記温度差の上限は、造膜性の観点からは、たとえば40℃である。
前記温度差は、たとえば鋼板を加熱することによって大きくすることができる。
前記鋼板としては、船舶、海洋構造物、プラント、橋梁、陸上タンク等の大型構造物用の鋼板が挙げられる。前記鋼板には、大型構造物の建造工程の溶断、溶接などに支障を与えることなく、錆から守られることが求められる。さらに防錆塗膜が設けられた鋼板には、耐白化性も求められる。前記鋼板には、通常、ISO 8501−1における除錆度Sa2 1/2以上に相当する条件のブラスト処理が行われる。
塗装機としては、一般的に造船所、製鉄所等で塗装する場合、主にエアレススプレーやライン塗装機が用いられる。ライン塗装機は、ライン速度、塗装機内部に設置されたエアスプレー、エアレススプレー等の塗装圧力、スプレーチップのサイズ(口径)の塗装条件によって、膜厚の管理をする。
<シロキサン系結合剤(a)>
本発明においては、鋼板にシロキサン系結合剤と亜鉛系粉末とを含有する防錆塗料組成物を塗布する際に、前記シロキサン系結合剤として、重量平均分子量(Mw)が5,000以上であるシロキサン系結合剤(a)が使用される。前記シロキサン系結合剤(a)を使用すると、防錆塗膜の白化を抑制し易い。
なお、重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される標準ポリスチレン換算の値であり、測定条件の詳細は後述する実施例の欄に記載する。
前記シロキサン系結合剤(a)としては、これらの中でも、アルキルシリケートの縮合物が好ましく、テトラエチルオルトシリケートの縮合物がより好ましく、テトラエチルオルトシリケートの初期縮合物であるエチルシリケート40(商品名;コルコート(株)製)の部分加水分解縮合物が特に好ましい。
シロキサン系結合剤(a)は従来公知の方法を利用して製造することができ、たとえば、アルキルシリケートおよびメチルトリアルコキシシランから選択される少なくとも1種の化合物を溶剤中で、適量の水および触媒の存在下で重量平均分子量(Mw)が所望の値になるように部分加水分解縮合反応させることにより、シロキサン系結合剤(a)を含む後述する第1成分(A)の形で製造することができる。
前記防錆塗料組成物は、本発明の目的・効果を損わない範囲で、前記シロキサン系結合剤(a)以外の他の結合剤を含有してもよい。他の結合剤としては、たとえば、ポリビニルブチラール樹脂およびアクリル樹脂が挙げられる。ポリビニルブチラール樹脂としては、たとえば、エスレックBM−1、エスレックBL−1(商品名;積水化学(株)製)が挙げられ、アクリル樹脂としては、ダイヤナールBR−106(商品名;三菱レイヨン(株)製)が挙げられる。前記他の結合剤の含有量は、前記防錆塗料組成物の固形分量を100質量%とすると、好ましくは0.05〜4.0質量%、より好ましくは1.0〜3.0質量%である。
前記防錆塗料組成物は、塗装を容易にするなどの目的で、好ましくは溶剤を含む。
前記溶剤としては、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤、およびセロソルブ系溶剤等の塗料分野で通常使用されている有機溶剤が挙げられる。
また、前記溶剤は、好ましくはケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、および酢酸エステル系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種の溶剤を、たとえば1〜80質量%、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは6〜30質量%の割合で含有する。これらの溶剤が含まれると、ポットライフを向上させて塗装の作業性を向上させることができる。これは、前記シロキサン系結合剤(a)が、前記シロキサン系結合剤(a)が有することのあるシラノール基と前記ケトン系溶剤等の酸素原子との水素結合によって安定化され、その縮合反応が抑制されるためであると推測される。
これらの溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記防錆塗料組成物は、前記シロキサン系結合剤(a)を加水分解縮合反応により硬化させて塗膜を形成させるために、水を含んでいてもよい。水の量(後述する塩酸中の水の量を含む)は、従来技術を参酌するなどして適宜設定すればよく、たとえば前記シロキサン系結合剤(a)中のケイ素原子1molに対して0.1〜4.0molである。
前記防錆塗料組成物は、触媒を含有していてもよい。前記触媒としては、たとえば、塩酸、硫酸、シュウ酸、塩化第二鉄、および塩化亜鉛等が挙げられる。
触媒の含有量が前記範囲にあると、前記防錆塗料組成物のポットライフが長く、またこの防錆塗料組成物から形成される塗膜は耐白化性に優れている。
前記亜鉛粉末および/または亜鉛合金粉末(b)(以下「亜鉛系粉末(b)」ともいう。)は、鋼板の発錆を防止する防錆顔料として作用する。
亜鉛合金としては、たとえば、亜鉛とアルミニウム、マグネシウムおよび錫から選択される少なくとも1種との合金が挙げられ、好ましくは亜鉛−アルミニウム合金、亜鉛−錫合金が挙げられる。
粒子形状が球状である亜鉛粉末の市販品としては、たとえば、F−2000(商品名;本荘ケミカル(株)製)が挙げられる。
前記防錆塗料組成物は、様々な塗膜特性を確保する目的で、前記亜鉛系粉末(b)以外のその他の顔料を含有してもよい。その他の顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
防錆顔料としては、たとえば、リン酸亜鉛系化合物、リン酸カルシウム系化合物、リン酸アルミニウム系化合物、リン酸マグネシウム系化合物、亜リン酸亜鉛系化合物、亜リン酸カルシウム系化合物、亜リン酸アルミニウム系化合物、亜リン酸ストロンチウム系化合物、トリポリリン酸アルミニウム系化合物、シアナミド亜鉛系化合物およびホウ酸塩化合物が挙げられる。
その他の顔料の含有量は、防錆塗料組成物の固形分量を100質量%とすると、好ましくは5〜70質量%、さらに好ましくは20〜40質量%である。
前記防錆塗料組成物は、モリブデン(金属モリブデン)、モリブデン化合物の一方または双方を含有してもよい。これらは、亜鉛の酸化防止剤(いわゆる白錆抑制剤)として作用する。
モリブデンおよびモリブデン化合物の合計の含有量は、前記亜鉛系粉末(b)の量を100質量部とすると、好ましくは0.05〜5.0質量部、より好ましくは0.1〜3.0質量部である。
前記防錆塗料組成物は、ガラス粉末を含有してもよい。ガラス粉末は、特にガラス粉末が400〜800℃の軟化点を有する場合、塗膜が高温、たとえば400〜900℃で加熱された際に亜鉛の酸化防止剤として作用する。
ガラス粉末の含有量は、前記防錆塗料組成物の固形分量を100質量%とすると、好ましくは0.05〜26質量%、さらに好ましくは0.15〜20質量%、より好ましくは0.5〜15質量%である。
前記防錆塗料組成物は、塗膜に所望の色相を得ることを目的として、着色顔料を含有してもよい。着色顔料としては、たとえば、酸化チタン、弁柄、カーボンブラック、銅クロム系黒色顔料、フタロシアニングリーン、およびフタロシアニンブルーが挙げられる。着色顔料の市販品としては、たとえば、TITONE R−5N(堺化学工工業(株)製)、弁柄No.404(森下弁柄工業(株)製)、三菱カーボンブラック MA100(三菱化学(株)製)、ダイピロキサイドブラック #9510(大日精化工業(株)製)、Heliogen Green L8690(BASFジャパン(株)製)、およびFASTOGEN Blue 5485(DIC(株)製)が挙げられる。
着色顔料の含有量は、前記防錆塗料組成物の固形分量を100質量%とすると、好ましくは0.08〜8.0質量%、より好ましくは0.15〜7.0質量%である。
前記防錆塗料組成物は、添加剤を含有してもよい。添加剤とは、塗料や塗膜の性能を向上させ、または保持するために用いられる材料である。添加剤としては、たとえば、沈降防止剤、硬化促進剤、乾燥剤、流動性調整剤、消泡剤、分散剤、色分れ防止剤、皮張り防止剤、可塑剤、および紫外線吸収剤が挙げられる。添加剤は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
添加剤の含有量は、前記防錆塗料組成物中に、好ましくは0.1〜3.0質量%、より好ましくは0.3〜2.5質量%である。
本発明の防錆塗料組成物は、好ましくは一次防錆塗料組成物である。
前記防錆塗料組成物は、通常、互いに接触しないように収容された、前記シロキサン系結合剤(a)を含有する第1成分(A)(「主剤成分」ともいう。)、および前記亜鉛系粉末(b)を含有する第2成分(B)(「ペースト成分」ともいう。)を有する防錆塗料(すなわち、2液型の防錆塗料)を準備し、塗装前に前記第1成分(A)と前記第2成分(B)とを混合することによって調製される。
前記第1成分(A)中の前記シロキサン系結合剤(a)の量は、前記同様にSiO2の質量に換算して通常5〜20質量%、好ましくは10〜20質量%であり、この範囲であれば第1成分(A)の貯蔵安定性が優れる。
本発明の防錆塗料組成物は、塗装現場で調色の自由度を上げるために、前記第1成分(A)および前記第2成分(B)に加えて、さらに第3成分(C)を有してもよい。
上述のように、本発明の製造方法は、優れた硬化乾燥性で、白化の発生を抑制し易い防錆塗膜を備えた鋼板を製造することができるものであり、絶対湿度が低いことの多い、冬季などの気温が低い(たとえば5℃以下)状況下で防錆塗膜付き鋼板を製造する際に特に有用である。
実施例等で使用した原料は以下のとおりである。
・アルキルシリケート「エチルシリケート40」:コルコート(株)製
・球状亜鉛粉末「F−2000」:本荘ケミカル(株)製
・沈降防止剤「TIXOGEL MPZ」:BYK Additives GmbH製
・カリ長石「セラミックスパウダーOF−T」:キンセイマテック(株)製
・着色顔料「カーボンブラック MA−100」:三菱化学(株)製
13.20質量部のエチルシリケート40、2.40質量部のエタノール、1.90質量部の脱イオン水、0.020質量部の35%塩酸、0.020質量部の50%塩化亜鉛水溶液を容器に仕込み、得られた原料混合物を65℃で表1記載の時間攪拌した後、16.46質量部のイソプロピルアルコール、および6.00質量部のメチルエチルケトンを加えて、シロキサン結合剤(a)(アルキルシリケートの縮合物)を含む主剤成分(A−1)を調製した。
また、エチルシリケート40等を含む混合物の撹拌時間を表1に示すように変更したこと以外は前記同様の操作を行い、主剤成分(A−2)〜(A−4)を調製した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で主剤成分中のシロキサン結合剤(a)の重量平均分子量(Mw)を測定した。
GPCの測定条件は、以下のとおりである。主剤成分を少量取りテトラヒドロフランを加えて希釈し、得られた溶液をメンブレムフィルターで濾過して、GPC測定サンプルを得た。
・装置 :日本ウォーターズ社製 2695セパレーションモジュール
(Aliance GPC マルチシステム)
・カラム :東ソー社製 TSKgel Super H4000
TSKgel Super H2000
・溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
・流速 :0.6ml/分
・検出器 :Shodex RI−104
・カラム恒温槽温度:40℃
・標準物質 :ポリスチレン
測定結果を表1に示す。
有機溶剤として7.92質量部のキシレン、3.96質量部の酢酸ブチルおよび3.96質量部のイソブチルアルコール、着色顔料として0.12質量部のカーボンブラック MA−100、顔料として15.56質量部のカリ長石(セラミックスパウダーOF−T)、ならびに沈降防止剤として0.48質量部のTIXOGEL MPZをポリエチレン製容器に仕込み、ガラスビーズを加えてペイントシェーカーにて2時間振とうした。次いで、球状亜鉛粉末として28質量部のF−2000を加えて、さらに5分間振とうして顔料成分を分散させた。その後、80メッシュの網を用いてガラスビーズを除去してペースト成分を調製した。
40質量部の前記主剤成分(A−1)と60質量部の前記ペースト成分をポリエチレン製容器に仕込み、ハイスピードディスパーで10分間分散処理を行い、一次防錆塗料組成物(1)を調製した。
また、主剤成分(A−1)を40質量部の各主剤成分(A−2)〜(A−4)に変更して前記同様の操作を行い、一次防錆塗料組成物(2)〜(4)をそれぞれ調製した。
調製例3と同様の方法により調製した一次防錆塗料組成物を、開封系で室内(23℃)にて3日間静置した後、一次防錆塗料組成物内の皮張りの状態を確認し、その程度を下記3段階で評価した。
3点:皮張りは認められない。
2点:ごく僅かに皮張りが認められる。
1点:はっきりと皮張りが認められる。
(A)防錆塗膜付き鋼板の製造ならびに耐白化性および防錆性の評価
予め表2に示す鋼板温度に設定された鋼板(サンドブラスト処理板(JIS G3101,SS400、寸法:150mm×70mm×2.3mm))に、表2に示す気温、湿度、絶対湿度および露点温度の条件下で、各一次防錆塗料組成物を、乾燥膜厚が15μmとなるように塗布し、塗布直後から各温度および湿度の条件を維持しながら上述した硬化乾燥時間に達するまで塗膜を硬化させ、防錆塗膜付き鋼板を製造した。鋼板温度は、デジタル表面温度計(安立計器(株)製、製品名HFT−40)を使用して、前記鋼板に前記防錆塗料組成物を塗装塗布する直前に測定した。
各防錆塗膜付き鋼板の耐白化性および防錆性を、以下のように評価した。結果を表2に示す。
製造直後の各防錆塗膜付き鋼板の塗膜表面に水道水を数滴垂らし、次いで前記鋼板を12時間静置した後、水道水を垂らした箇所の塗膜の外観を目視で確認し、その箇所が白化した程度を以下の5段階で評価した。
5点:白化が認められない
4点:非常に僅かに白化が認められる
3点:僅かに白化が認められる
2点:白化が認められる
1点:はっきり白化が認められる
上述の耐白化性の評価を行った防錆塗膜付き鋼板を、屋外の暴露試験場に水平に設置し、塗膜に3ヶ月間、常時水道水をかけた。試験板表面において、上述の耐白化性の評価で水道水が接触した領域の面積に対する、その領域の中で発錆した部分の面積の比率(以下「発錆面積比率」という。)(%)を測定して、発錆の状態を評価した。評価基準は下記のとおりである。
10点:発錆無し、または発錆面積比率が0.01%以下
9点:発錆面積比率が0.01%を超え0.03%以下
8点:発錆面積比率が0.03%を超え0.1%以下
7点:発錆面積比率が0.1%を超え0.3%以下
6点:発錆面積比率が0.3%を超え1%以下
5点:発錆面積比率が1%を超え3%以下
4点:発錆面積比率が3%を超え10%以下
3点:発錆面積比率が10%を超え16%以下
2点:発錆面積比率が16%を超え33%以下
1点:発錆面積比率が33%を超え50%以下
表2に示す気温、湿度、絶対湿度および露点温度の条件で、各一次防錆塗料組成物を冷間圧延鋼板(JIS G3141、SPCC−SB、寸法:150mm×70mm×0.8mm)に、その乾燥膜厚が15μmとなるように塗布した後、上述した硬化乾燥時間を測定した。
前記硬化乾燥時間が短いほど硬化乾燥性が優れているものと評価した。結果を表2に示す。
Claims (9)
- 鋼板温度と露点温度との温度差(鋼板温度−露点温度)(℃)が(−12Ln(絶対湿度(g/m3))+25)℃または1℃のいずれか低くない方の温度以上である温度条件下で、鋼板に、重量平均分子量(Mw)が5,000以上であるシロキサン系結合剤(a)と亜鉛粉末および/または亜鉛合金粉末(b)とを含有する防錆塗料組成物を塗布し、次いで硬化させる、防錆塗膜付き鋼板の製造方法であって、
前記防錆塗膜付き鋼板が前記防錆塗料組成物の塗布後20分以内に屋外に曝される防錆塗膜付き鋼板である、
防錆塗膜付き鋼板の製造方法。 - 前記防錆塗膜付き鋼板を前記防錆塗料組成物の塗布後20分以内に屋外に曝す、請求項1に記載の防錆塗膜付き鋼板の製造方法。
- 前記防錆塗膜が前記防錆塗料組成物の塗布後20分以内に液体の水と接触する防錆塗膜である、請求項1または2に記載の防錆塗膜付き鋼板の製造方法。
- 5℃以下の気温の下で実施される請求項1〜3のいずれか一項に記載の防錆塗膜付き鋼板の製造方法。
- 前記温度差が(−12Ln(絶対湿度(g/m3))+25)℃または10℃のいずれか低くない方の温度以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の防錆塗膜付き鋼板の製造方法。
- 前記シロキサン系結合剤(a)の重量平均分子量(Mw)が5,000〜10,000である請求項1〜5のいずれか一項に記載の防錆塗膜付き鋼板の製造方法。
- 前記シロキサン系結合剤(a)がアルキルシリケートおよびメチルトリアルコキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の化合物の縮合物である請求項1〜6のいずれか一項に記載の防錆塗膜付き鋼板の製造方法。
- 前記防錆塗料組成物が一次防錆塗料組成物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の防錆塗膜付き鋼板の製造方法。
- 下記条件下で前記鋼板に前記防錆塗料組成物を塗布し次いで硬化させる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の防錆塗膜付き鋼板の製造方法。
気温:−10〜30℃
湿度:10〜90RH%
絶対湿度:0.5〜27.4g/m 3
露点:−27.1〜28.2℃
鋼板温度:0〜44.0℃
鋼板温度−露点:1.3〜57.1℃
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