JP6726469B2 - 2液型一次防錆塗料、一次防錆塗料組成物の製造方法および基材の防錆方法 - Google Patents
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Description
[1]
重量平均分子量(Mw)が4,000〜10,000であるシロキサン系結合剤(a)と、
ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、および酢酸エステル系溶剤から選択される少なくとも1種の溶剤(b1)を含有する溶剤(b)と、
亜鉛粉末および/または亜鉛合金粉末(c)と、
前記シロキサン系結合剤(a)に含まれるケイ素原子1molに対して0.01〜5.0mmolの割合の塩化物イオンと
を含有することを特徴とする一次防錆塗料組成物。
前記溶剤(b1)の含有量が1〜20質量%である上記[1]に記載の一次防錆塗料組成物。
前記溶剤(b1)がメチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよび酢酸エチルからなる群から選択される少なくとも1種である上記[1]または[2]に記載の一次防錆塗料組成物。
前記シロキサン系結合剤(a)がアルキルシリケートおよびメチルトリアルコキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の化合物の縮合物である上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の一次防錆塗料組成物。
第1成分(A)および第2成分(B)から構成された2液型一次防錆塗料であって、
前記第1成分(A)が、重量平均分子量(Mw)が4,000〜10,000であるシロキサン系結合剤(a)、および前記シロキサン系結合剤(a)に含まれるケイ素原子1molに対して0.01〜5.0mmolの割合の塩化物イオンを含有し、
前記第2成分(B)が亜鉛粉末および/または亜鉛合金粉末(c)を含有し、
前記第1成分(A)および前記第2成分(B)の少なくとも一方が、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、および酢酸エステル系溶剤から選択される少なくとも1種の溶剤(b1)を含有する溶剤(b)を含有する
2液型一次防錆塗料。
上記[5]に記載の2液型一次防錆塗料を準備し、次いで前記第1成分(A)と、前記第2成分(B)とを混合する、請求項1に記載の一次防錆塗料組成物の製造方法。
基材上に上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の一次防錆塗料組成物の膜を形成し、次いで硬化させる基材の防錆方法。
[一次防錆塗料組成物]
本発明の一次防錆塗料組成物(以下、「防錆塗料組成物」、「塗料組成物」ともいう。)は、重量平均分子量(Mw)が4,000〜10,000であるシロキサン系結合剤(a)と、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、および酢酸エステル系溶剤から選択される少なくとも1種の溶剤(b1)を含有する溶剤(b)と、亜鉛粉末および/または亜鉛合金粉末(c)と、前記シロキサン系結合剤(a)に含まれるケイ素原子1molに対して0.01〜5.0mmolの割合の塩化物イオンとを含有する。
第3成分(C)は、後述する着色顔料を含有しており、必要に応じて、後述するその他の顔料、ガラス粉末、モリブデン、モリブデン化合物、添加剤、溶剤等から選択される1種または2種以上をさらに含有してもよい。
前記シロキサン系結合剤(a)の重量平均分子量(Mw)は、4,000〜10,000であり、好ましくは5,000〜8,000である。Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される標準ポリスチレン換算の値であり、測定条件の詳細は後述する実施例の欄に記載する。
シロキサン系結合剤の未硬化の塗膜(たとえば、アルキルシリケートおよびメチルトリアルコキシシランから選択される少なくとも1種の化合物の部分加水分解縮合物からなる塗膜)は、空気中の水分によって残存する加水分解性基における加水分解縮合反応が徐々に進行して硬化する。Mwが小さいシロキサン系結合剤の未硬化の塗膜は、Mwが大きいシロキサン系結合剤の未硬化の塗膜と比べて加水分解縮合反応による体積収縮が大きいため、空気中の水分ではなく雨水等に濡れるなどして急激に加水分解縮合反応が進行すると、体積収縮に伴う収縮応力が急激に発生して塗膜内に微細なクラックが多数生じ、このクラックでの光の乱反射により上記の白化が生じるものと推測される。
前記シロキサン系結合剤(a)としては、これらの中でも、アルキルシリケートの縮合物が好ましく、テトラエチルオルトシリケートの縮合物がより好ましく、テトラエチルオルトシリケートの初期縮合物であるエチルシリケート40(商品名;コルコート(株)製)の部分加水分解縮合物が特に好ましい。
シロキサン系結合剤(a)は、従来公知の方法を利用して製造することができ、たとえば、アルキルシリケートおよびメチルトリアルコキシシランから選択される少なくとも1種の化合物を後述する溶剤(b1)および/または溶剤(b2)中で(好ましくは溶剤(b1)を含む溶剤中で)、適量の水および触媒の存在下で重量平均分子量(Mw)が所望の値になるように部分加水分解縮合反応させることにより、シロキサン系結合剤(a)を含む前記第1成分(A)の形で製造することができる。
前記触媒が塩酸等の塩化物イオンを含有する触媒である場合、前記触媒の量は、シロキサン系結合剤(a)の原料(たとえば、アルキルシリケートおよびメチルトリアルコキシシランから選択される少なくとも1種の化合物)に含まれるケイ素1molに対して好ましくは0.01mmol以上、より好ましくは0.2mmol以上の割合となるような量である。触媒の量が上記範囲にあると、所望の重量平均分子量(Mw)を有するシロキサン系結合剤(a)を、過度に時間を費やすことなく製造することができる。また、前記触媒の量は、耐白化性に優れた塗膜を製造する観点からは、前記同様の基準で好ましくは5.0mmol以下、より好ましくは4.5mmol以下である。
前記防錆塗料組成物は、本発明の目的・効果を損わない範囲で、前記シロキサン系結合剤(a)以外の他の結合剤を含有してもよい。他の結合剤としては、たとえば、ポリビニルブチラール樹脂およびアクリル樹脂が挙げられる。ポリビニルブチラール樹脂としては、たとえば、エスレックBM−1、エスレックBL−1(商品名;積水化学(株)製)が挙げられ、アクリル樹脂としては、ダイヤナールBR−106(商品名;三菱レイヨン(株)製)が挙げられる。前記他の結合剤の含有量は、前記防錆塗料組成物の固形分量を100質量%とすると、好ましくは0.05〜4.0質量%、より好ましくは1.0〜3.0質量%である。
本発明の防錆塗料組成物は、希釈用、貯蔵安定性向上、ポットライフ向上のために、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、および酢酸エステル系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種の溶剤(b1)を含有する溶剤(b)を必須成分として含んでいる。前記防錆塗料組成物は、前記溶剤(b1)を含まない場合と比べてポットライフが向上している。また、前記第1成分(A)は、前記溶剤(b1)を含むと貯蔵安定性が向上する。これは、前記シロキサン系結合剤(a)が、前記シロキサン系結合剤(a)が有することのあるシラノール基と前記溶剤(b1)の酸素原子との水素結合によって安定化され、その縮合反応が抑制されるためであると推測される。
前記グリコールエーテル系溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられ、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
これらの中でも、ケトン系溶剤が好ましく、メチルエチルケトンがより好ましい。
アルコール系溶剤としては、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびブタノールが挙げられる。芳香族系溶剤としては、たとえば、ベンゼン、キシレン、およびトルエンが挙げられる。セロソルブ系溶剤としては、たとえば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、およびブチルセロソルブが挙げられる。
溶剤(b1)の含有量は、防錆塗料組成物の量を100質量%とすると、通常1〜20質量%、好ましくは2〜16質量%、より好ましくは3〜12質量%である。また、溶剤(b1)の含有量は、溶剤(b)全体の量を100質量%とすると、通常1〜80質量%、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは6〜30質量%である。溶剤(b1)の含有量が前記範囲にある防錆塗料組成物は、ポットライフが長い。
溶剤(b)の含有量は、前記防錆塗料組成物の量を100質量%とすると、通常10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%である。
前記防錆塗料組成物は、前記シロキサン系結合剤(a)を塗膜形成後にさらに加水分解縮合反応させて硬化塗膜を形成させるために、水を含んでいてもよい。水の量(後述する塩酸中の水の量を含む)は、従来技術を参酌するなどして適宜設定すればよく、たとえば前記シロキサン系結合剤(a)中のケイ素原子1molに対して0.1〜4.0molである。
前記防錆塗料組成物は、触媒を含有していてもよい。前記触媒としては、たとえば、塩酸、硫酸、シュウ酸、塩化第二鉄、および塩化亜鉛等が挙げられる。
前記防錆塗料組成物は、前記シロキサン系結合剤(a)に含まれるケイ素原子1molに対して0.01〜5.0mmol、好ましくは0.2〜4.5mmolの割合で、塩化物イオンを含んでいる。
塩化物イオンは、前記防錆塗料組成物中に、たとえば塩酸等の上述した塩化物イオンを含有する化合物として、あるいは遊離した塩化物イオンとして含まれている。
前記亜鉛粉末および/または亜鉛合金粉末(c)(以下「亜鉛系粉末(c)」ともいう。)は、鋼板の発錆を防止する防錆顔料として作用する。
粒子形状が球状である亜鉛粉末の市販品としては、たとえば、F−2000(商品名;本荘ケミカル(株)製)が挙げられる。
前記防錆塗料組成物は、様々な塗膜特性を確保する目的で、前記亜鉛系粉末(c)以外のその他の顔料を含有してもよい。その他の顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記防錆顔料としては、たとえば、リン酸亜鉛系化合物、リン酸カルシウム系化合物、リン酸アルミニウム系化合物、リン酸マグネシウム系化合物、亜リン酸亜鉛系化合物、亜リン酸カルシウム系化合物、亜リン酸アルミニウム系化合物、亜リン酸ストロンチウム系化合物、トリポリリン酸アルミニウム系化合物、シアナミド亜鉛系化合物およびホウ酸塩化合物が挙げられる。
前記防錆塗料組成物は、モリブデン(金属モリブデン)、モリブデン化合物の一方または双方を含有してもよい。これらは、亜鉛の酸化防止剤(いわゆる白錆抑制剤)として作用する。
モリブデンおよびモリブデン化合物の合計の含有量は、前記亜鉛系粉末(c)の量を100質量部とすると、好ましくは0.05〜5.0質量部、より好ましくは0.1〜3.0質量部である。
前記防錆塗料組成物は、ガラス粉末を含有してもよい。ガラス粉末は、特にガラス粉末が400〜800℃の軟化点を有する場合、塗膜が高温、たとえば400〜900℃で加熱された際に亜鉛の酸化防止剤として作用する。
ガラス粉末の含有量は、前記防錆塗料組成物の固形分量を100質量%とすると、好ましくは0.05〜26質量%、さらに好ましくは0.15〜20質量%、より好ましくは0.5〜15質量%である。
前記防錆塗料組成物は、塗膜に所望の色相を得ることを目的として、着色顔料を含有してもよい。着色顔料としては、たとえば、酸化チタン、弁柄、カーボンブラック、銅・クロム・マンガンの複合酸化物、フタロシアニングリーン、およびフタロシアニンブルーが挙げられる。着色顔料の市販品としては、たとえば、TITONE R−5N(堺化学工工業(株)製)、弁柄No.404(森下弁柄工業(株)製)、三菱カーボンブラック MA100(三菱化学(株)製)、ダイピロキサイドブラック #9510(大日精化工業(株)製)、Heliogen Green L8690(BASFジャパン(株)製)、およびFASTOGEN Blue 5485(DIC(株)製)が挙げられる。
着色顔料の含有量は、前記防錆塗料組成物の固形分量を100質量%とすると、好ましくは0.08〜8.0質量%、より好ましくは0.15〜7.0質量%である。
前記防錆塗料組成物は、添加剤を含有してもよい。添加剤とは、塗料や塗膜の性能を向上させ、または保持するために用いられる材料である。添加剤としては、たとえば、沈降防止剤、硬化促進剤、乾燥剤、流動性調整剤、消泡剤、分散剤、色分れ防止剤、皮張り防止剤、可塑剤、および紫外線吸収剤が挙げられる。添加剤は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明に係る2液型一次防錆塗料は、第1成分(A)および第2成分(B)から構成され、前記第1成分(A)が、前記シロキサン系結合剤(a)、および前記シロキサン系結合剤(a)に含まれるケイ素原子1molに対して0.01〜5.0mmolの割合の塩化物イオンを含有し、前記第2成分(B)が前記亜鉛系粉末(c)を含有し、前記第1成分(A)および前記第2成分(B)の少なくとも一方が、前記溶剤(b1)を含有する前記溶剤(b)を含有する2液型一次防錆塗料である。
前記第1成分(A)と前記第2成分(B)との比率は、前記第1成分(A)の前記シロキサン系結合剤(a)の含有量、前記第2成分(B)の亜鉛系粉末(c)の含有量等により一概には決定されないが、前記第1成分(A)と前記第2成分(B)との合計を100質量%とすると、第1成分(A)が通常10〜80質量%、好ましくは20〜70質量%、第2成分(B)が通常20〜90質量%、好ましくは30〜80質量%となる比率である。
前記第1成分(A)は、通常、前記溶剤(b1)を含む前記溶剤(b)を含有する。この場合、前記第1成分(A)中の溶剤(b1)の量は(前記第1成分(A)の量を100質量%とする。以下も同様。)、通常1〜50質量%、好ましくは2〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%であり、この範囲であれば第1成分(A)の貯蔵安定性が優れる。
前記第1成分(A)中の塩化物イオンの量は、前記シロキサン系結合剤(a)に含まれるケイ素原子1molに対して0.01〜5.0mmol、好ましくは0.2〜4.5mmolである。塩化物イオンの含量が上記上限値よりも大きいと、第1成分(A)の貯蔵安定性が劣る場合がある。
前記第2成分(B)は、各成分を従来公知の方法で混合することにより調製できる。
本発明の一次防錆塗料組成物は、好ましくは、主に船舶、海洋構造物、プラント、橋梁、陸上タンク等の大型構造物用鋼材の塗装において使用される。一次防錆塗料組成物は、大型構造物の建造工程の溶断、溶接などに支障を与えることなく、建造期間中の鋼材を錆から守ることが求められる。また一次防錆塗料組成物は、塗装後早期に、たとえば、5分以内に水と接触する場合があり、耐白化性が求められると共に防錆性も求められる。本発明の一次防錆塗料組成物は、前述の条件を解決する優れた耐白化性、防錆性を有する。
基材上に前記一次防錆塗料組成物の膜を形成する方法としては、前記基材上に前記一次防錆塗料組成物を塗布する、あるいは前記基材を前記一次防錆塗料組成物に含浸してから取り出す、という方法が挙げられる。
塗装機としては、一般的に造船所、製鐵所等で塗装する場合、主にエアレススプレーやライン塗装機が用いられる。ライン塗装機は、ライン速度、塗装機内部に設置されたエアスプレー、エアレススプレー等の塗装圧力、スプレーチップのサイズ(口径)の塗装条件によって、膜厚の管理をする。
実施例等で使用した原料は以下のとおりである。
・アルキルシリケート「エチルシリケート40」:コルコート(株)製
・球状亜鉛粉末「F−2000」:本荘ケミカル(株)製
・鱗片状亜鉛粉末「STANDART Zinc flake GTT」: CKART GmbH製
・沈降防止剤「TIXOGEL MPZ」:BYK Additives GmbH製
・カリ長石「セラミックスパウダーOF−T」:キンセイマテック(株)製
・着色顔料「カーボンブラック MA−100」:三菱化学(株)製
・酸化亜鉛「酸化亜鉛3種」:ハクスイテック(株)製
アルキルシリケートとして13.20質量部のエチルシリケート40、溶剤(b2)として2.40質量部のエタノール(工業用エタノール)、1.90質量部の脱イオン水、および触媒として0.020質量部の35%塩酸を容器に仕込み、65℃で表1記載の時間攪拌した後、溶剤(b2)として16.48質量部のイソプロピルアルコール、および溶剤(b1)として6.00質量部のメチルエチルケトンを加えて、シロキサン結合剤(a)(アルキルシリケートの縮合物)を含む第1成分(A−1)(固形分濃度:13.2質量%)を調製した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で第1成分(A−1)〜(A−16)中のシロキサン結合剤(a)の重量平均分子量(Mw)を測定した。
・装置 :日本ウォーターズ社製 2695セパレ−ションモジュール
(Aliance GPC マルチシステム)
・カラム :東ソー社製 TSKgel Super H4000
TSKgel Super H2000
・溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
・流速 :0.6ml/分
・検出器 :Shodex RI−104
・カラム恒温槽温度:40℃
・標準物質 :ポリスチレン
エルレンマイヤーフラスコに試料(第1成分(A−1))36.500gをはかり取り、エタノール50ml、トルエン50ml、指示薬としてメチルオレンジ数滴を加え、0.1mol/L水酸化カリウム溶液を液の色が赤色から燈黄色に変わるまで(弱酸性になるまで)滴下した。さらにMohr指示薬(7%クロム酸カリウム溶液)を数滴加え、0.1mol/L硝酸銀溶液で滴定を行った。液の色が黄色から赤色に変わったときを終点とした。試料ブランクを別途滴定しておき、塩化物イオン含有量を以下の式により求めた。第1成分(A−2)〜(A−16)の塩化物イオン含有量も同様に算出した。
磁性るつぼに試料(第1成分(A−1))を8.000gはかり取り、メタノール5ml、1N−塩酸2mlを加えて攪拌した。ガラス棒で攪拌しながら10%炭酸アンモニウムをゲル化するまで少しずつ加えた。得られたゲル状の物質を105℃で2時間加熱し、水分が完全に除去した。その後、800℃で1時間加熱し、室温まで冷却後、重さを量った。第1成分(A−2)〜(A−16)のSiO2量も同様に算出した。
上述の成分(A)中の塩化物イオン含有量及びSiO2含有量をモルに換算することで、ケイ素原子1molに対しての塩化物イオンの量(mmol)を算出した。
有機溶剤として7.92質量部のキシレン、3.96質量部の酢酸ブチルおよび3.96質量部のイソブチルアルコール、着色顔料として0.12質量部のカーボンブラック MA−100、顔料として15.56質量部のカリ長石(セラミックスパウダーOF−T)、ならびに沈降防止剤として0.48質量部のTIXOGEL MPZをポリエチレン製容器に仕込み、ガラスビーズを加えてペイントシェーカーにて2時間振とうした。次いで、球状亜鉛粉末として28質量部のF−2000を加えて、さらに5分間振とうして顔料成分を分散させた。その後、80メッシュの網を用いてガラスビーズを除去してペースト成分(B−1)を調製した。
有機溶剤として6.63質量部のキシレン、3.32質量部の酢酸ブチルおよび4.38質量部のイソブチルアルコール、顔料として4.24質量部の酸化亜鉛(酸化亜鉛3種)、ならびに沈降防止剤として1.33質量部のTIXOGEL MPZをポリエチレン製容器に仕込み、ガラスビーズを加えてペイントシェーカーにて2時間振とうした。次いで、球状亜鉛粉末として16.96質量部のF−2000および鱗片状亜鉛粉末として4.24質量部のStandart Zinc Flake GTTを加えて、さらに5分間振とうして顔料成分を分散させた。その後、80メッシュの網を用いてガラスビーズを除去してペースト成分(B−2)を調製した。
第1成分(A)および第2成分(B)を、表2に記載された割合(質量部)でポリエチレン製容器に仕込み、ハイスピードディスパーで10分間分散処理を行い、一次防錆塗料組成物を調製した。
(1)耐白化性
予め40℃に加温されたサンドブラスト処理板(JIS G3101,SS400、寸法:150mm×70mm×2.3mm)を、室内にて、各一次防錆塗料組成物で、電磁式膜厚計で測定される平均乾燥膜厚が15μm(実施例10のみ10μm)となるように塗装し、塗装直後に槽内温度が50℃に設定された乾燥炉内に5分間静置した後、塗膜が形成された処理板を乾燥炉から取り出した。
2点:僅かに白化が認められる
1点:はっきり白化が認められる
なお平均乾燥膜厚は、耐白化性の評価用に使用したサンドブラスト処理板とは別に準備した冷間圧延鋼板(JIS G3141、SPCC−SB、寸法:150mm×70mm×0.8mm)を耐白化性の評価と同条件で塗装し、塗膜を十分に硬化させた後、電磁式膜厚計((株)ケット科学研究所製)で四方1cm以内を均一に20点測定した平均値である。
上述の耐白化性の評価を行った防錆塗膜付き処理板を、屋外の暴露試験場に、水平に設置し、塗膜に3ヶ月間、常時水道水をかけた。上述の耐白化性の評価における白化部に対する、発錆した試験板表面の面積比率(%)を測定して、発錆の状態を評価した。評価基準は下記のとおりである。
10点:発錆無し、または発錆面積が白化部の全面積の0.01%以下
9点:発錆面積が白化部の全面積の0.01%を超え0.03%以下
8点:発錆面積が白化部の全面積の0.03%を超え0.1%以下
7点:発錆面積が白化部の全面積の0.1%を超え0.3%以下
6点:発錆面積が白化部の全面積の0.3%を超え1%以下
5点:発錆面積が白化部の全面積の1%を超え3%以下
4点:発錆面積が白化部の全面積の3%を超え10%以下
3点:発錆面積が白化部の全面積の10%を超え16%以下
2点:発錆面積が白化部の全面積の16%を超え33%以下
1点:発錆面積が白化部の全面積の33%を超え50%以下
第1成分(A)および第2成分(B)を、合計の重量が300gになるようにポリエチレン製容器に仕込み、ハイスピードディスパーで10分間撹拌して一次防錆塗料組成物を調製した。一次防錆塗料組成物をそのまま、開封系で室内(23℃)にて3日間静置し、3日後に一次防錆塗料組成物内の皮張りの状態を確認し、その程度を下記3段階で評価した。
2点:ごく僅かに皮張りが認められる。
1点:はっきりと皮張りが認められる。
Claims (6)
- 第1成分(A)および第2成分(B)から構成された2液型一次防錆塗料であって、
前記第1成分(A)が、重量平均分子量(Mw)が4,000〜10,000であるシロキサン系結合剤(a)、および前記シロキサン系結合剤(a)に含まれるケイ素原子1molに対して0.01〜5.0mmolの割合の塩化物イオンを含有し、
前記第2成分(B)が亜鉛粉末および/または亜鉛合金粉末(c)を含有し、
前記第1成分(A)が、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、および酢酸エステル系溶剤から選択される少なくとも1種の溶剤(b1)を含有する溶剤(b)を含有する
2液型一次防錆塗料。 - 前記第1成分(A)中の前記溶剤(b1)の含有量が1〜50質量%である請求項1に記載の2液型一次防錆塗料。
- 前記溶剤(b1)がメチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよび酢酸エチルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載の2液型一次防錆塗料。
- 前記シロキサン系結合剤(a)がアルキルシリケートおよびメチルトリアルコキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の化合物の縮合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の2液型一次防錆塗料。
- 重量平均分子量(Mw)が4,000〜10,000であるシロキサン系結合剤(a)と、
ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、および酢酸エステル系溶剤から選択される少なくとも1種の溶剤(b1)を含有する溶剤(b)と、
亜鉛粉末および/または亜鉛合金粉末(c)と、
前記シロキサン系結合剤(a)に含まれるケイ素原子1molに対して0.01〜5.0mmolの割合の塩化物イオンと
を含有する一次防錆塗料組成物の製造方法であって、
請求項1に記載の2液型一次防錆塗料を準備し、次いで前記第1成分(A)と、前記第2成分(B)とを混合する、一次防錆塗料組成物の製造方法。 - 請求項5に記載の製造方法によって一次防錆塗料組成物を製造し、基材上に前記一次防錆塗料組成物の膜を形成し、次いで硬化させる基材の防錆方法。
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