以下、本発明のセンサー素子、物理量センサー、電子機器および移動体について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.センサー素子
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るセンサー素子を示す平面図である。図2は、図1中のD−D線断面図である。図3は、図1中のE−E線断面図である。
なお、各図には、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸としてx軸、y軸およびz軸が図示されている。また、以下では、x軸に平行な方向を「x軸方向」、y軸に平行な方向を「y軸方向」、z軸に平行な方向を「z軸方向」という。また、各軸を示す矢印の先端側を「+」、基端側を「−」とする。また、+z軸方向側を「上」、−z軸方向側を「下」という。また、図1では、説明の便宜上、各電極の図示を省略している。
図1に示すセンサー素子1は、y軸に平行な軸ayまわりの角速度を検出可能な角速度検出素子(ジャイロ素子)である。このセンサー素子1は、圧電基板4と、圧電基板4に形成された電極(図2および図3参照)と、を有している。
−圧電基板−
圧電基板4の構成材料としては、例えば、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料が挙げられる。これらの中でも、圧電基板4の構成材料としては、水晶を用いることが好ましい。水晶を用いることで、他の材料と比較して優れた周波数温度特性を有するセンサー素子1が得られる。なお、以下では、圧電基板4を水晶で構成した場合について説明する。
圧電基板4は、水晶基板の結晶軸であるY軸(機械軸)およびX軸(電気軸)で規定されるXY平面に広がりを有し、Z軸(光軸)方向に厚みを有する板状をなしている。すなわち、圧電基板4は、Zカット水晶板で構成されている。なお、Z軸は、圧電基板4の厚さ方向と必ずしも一致している必要はなく、常温近傍における周波数の温度による変化を小さくする観点から、厚さ方向に対して若干傾けてもよい。具体的には、Zカット水晶板とは、Z軸に直交した面をX軸およびY軸の少なくとも一方を中心に0度〜10度の範囲で回転させた面が、主面となるようなカット角の水晶板を含む。また、圧電基板4の厚さは、特に限定されないが、例えば、40.0〜300.0μm程度とされる。
この圧電基板4は、基部41と、駆動振動腕421、422と、検出振動腕431、432と、調整振動腕441、442と、支持部(枠体)45と、4つの連結部461、462、463、464とを有し、これらが一体的に形成されている。
駆動振動腕421、422は、それぞれ、基部41から−y軸方向に延出している。また、駆動振動腕421、422は、x軸方向に沿って並んで配置されている。
この駆動振動腕421は、基部41から延出している腕部4211と、腕部4211の先端側に設けられていて腕部4211よりも幅の広い幅広部4212と、腕部4211にその延出方向に並んで設けられている複数(図示では6つ)の貫通孔4213と、を有する。同様に、駆動振動腕422は、基部41から延出している腕部4221と、腕部4221の先端側に設けられていて腕部4221よりも幅の広い幅広部4222と、腕部4221にその延出方向に並んで設けられている複数(図示では6つ)の貫通孔4223と、を有する。
このような駆動振動腕421、422では、幅広部4212、4222(ハンマーヘッド)を設けることによって、角速度の検出感度を向上させたり、駆動振動腕421、422の長さを短くしたりすることができる。また、貫通孔4213、4223を設けることによって、熱弾性損失やCI値を低減し、駆動振動腕421、422を効率的に駆動振動させることができる。なお、幅広部4212、4222は、必要に応じて設ければよく、省略してもよい。また、駆動振動腕421、422の構成については、後に詳述する。
検出振動腕431および検出振動腕432は、それぞれ、基部41から+y軸方向に延出している。また、検出振動腕431および検出振動腕432は、x軸方向に沿って並んで配置されている。
この検出振動腕431は、基部41から延出している腕部4311と、腕部4311の先端側に設けられていて腕部4311よりも幅の広い幅広部4312と、腕部4311にその延出方向に並んで設けられている複数(図示では2つ)の貫通孔4313と、を有する。同様に、検出振動腕432は、基部41から延出している腕部4321と、腕部4321の先端側に設けられていて腕部4321よりも幅の広い幅広部4322と、腕部4321にその延出方向に並んで設けられている複数(図示では2つ)の貫通孔4323と、を有する。
このような検出振動腕431、432では、幅広部4312、4322を設けることによって、検出振動腕431、432の共振周波数(固有振動数)を低くしたり、検出振動腕431、432の長さを短くしたりすることができる。また、貫通孔4313、4323を設けることによって、検出振動を効率的に検出することができる。なお、幅広部4312、4322は、必要に応じて設ければよく、省略してもよい。また、検出振動腕431、432については、駆動振動腕421、422とともに、後に詳述する。
調整振動腕441および調整振動腕442は、それぞれ、基部41から+y軸方向に延出している。また、調整振動腕441および調整振動腕442は、前述した検出振動腕431、432を挟んで、x軸方向に沿って並んで配置されている。
この調整振動腕441は、基部41から延出している腕部4411と、腕部4411の先端側に設けられていて腕部4411よりも幅の広い幅広部4412と、を有する。同様に、調整振動腕442は、基部41から延出している腕部4421と、腕部4421の先端側に設けられていて腕部4421よりも幅の広い幅広部4422と、を有する。
このような調整振動腕441、442では、幅広部4412、4422を設けることによって、調整振動腕441、442の共振周波数(固有振動数)を低くしたり、調整振動腕441、442の長さを短くしたりすることができる。なお、幅広部4312、4322は、必要に応じて設ければよく、省略してもよい。また、調整振動腕441、442の主面に溝を設けてもよい。また、調整振動腕441、442を省略してもよい。
支持部45は、連結部461、462、463、464を介して基部41を支持する機能を有している。この支持部45は、基部41に対して−y軸方向側に配置されていてx軸方向に沿って延びている長尺状をなす部分451、部分451の両端部から+y軸方向に沿って延びている2つの部分452、453と、を有している。
連結部461は、長尺状をなし、一端部が部分452の+y軸方向側の端部に接続され、他端部が基部41の−x軸方向側の端部に接続されていて、基部41と支持部45とを連結している。同様に、連結部462は、長尺状をなし、一端部が部分453の+y軸方向側の端部に接続され、他端部が基部41の+x軸方向側の端部に接続されていて、基部41と支持部45とを連結している。
また、連結部463は、長尺状をなし、一端部が部分451の中央部に接続され、他端部が基部41の−x軸方向側の端部に接続されていて、基部41と支持部45とを連結している。同様に、連結部464は、長尺状をなし、一端部が部分451の中央部に接続され、他端部が基部41の+x軸方向側の端部に接続されていて、基部41と支持部45とを連結している。
このような連結部461、462、463、464は、それぞれ、途中に屈曲または湾曲した複数の部分を有する。具体的には、連結部461、462、463、464は、それぞれ、x軸方向に沿って延びている部分と、y軸方向に沿って延びている部分とが交互に複数連結されて構成されている。このような屈曲または湾曲した複数の部分を設けることによって、連結部461、462、463、464の様々な方向での柔軟性を高めることができる。そのため、センサー素子1の耐衝撃性を高めたり、連結部461、462、463、464の曲げ変形を伴う基部41の不要な振動の周波数を駆動振動や検出振動の周波数から遠ざけて検出特性を高めたりすることができる。また、センサー素子1の小型化を図ることができる。
−電極−
前述した圧電基板4の表面に設けられている電極は、図1、図2および図3に示すように、駆動信号電極511と、駆動接地電極512と、第1検出信号電極521と、第2検出信号電極522と、検出接地電極523と、駆動信号端子513と、駆動接地端子514と、第1検出信号端子525、第2検出信号端子526と、検出接地端子527と、を有している。
図2に示すように、駆動信号電極511は、駆動振動腕421の貫通孔4213の壁面と、駆動振動腕422の腕部4221の両側面とにそれぞれ設けられている。この駆動信号電極511は、駆動振動腕421、422の駆動振動を励起させるための電極である。
駆動接地電極512は、駆動振動腕421の腕部4211の両側面と、駆動振動腕422の貫通孔4223の壁面とにそれぞれ設けられている。この駆動接地電極512は、駆動信号電極511に対してグランドとなる電位を有する。
駆動信号端子513は、図1に示すように部分451の中央部よりも若干+x軸側に配置されており、連結部464に形成された駆動信号配線(図示せず)を介して、駆動信号電極511と電気的に接続されている。同様に、駆動接地端子514は、部分451の中央部よりも若干−x軸側に配置されており、連結部463に形成された駆動接地配線(図示せず)を介して、駆動接地電極512と電気的に接続されている。
図3に示すように、第1検出信号電極521は、検出振動腕431の腕部4311の上面左側部分、下面右側部分、左側面下側部分および右側面上側部分と、検出振動腕432の腕部4321の上面右側部分、下面左側部分、左側面上側部分および右側面下側部分と、調整振動腕442の腕部4421の左側側面、上面右側部分および下面右側部分とにそれぞれ設けられている。同様に、第2検出信号電極522は、検出振動腕431の腕部4311の上面右側部分、下面左側部分、左側面上側部分および右側面下側部分と、検出振動腕432の腕部4321の上面左側部分、下面右側部分、左側面下側部分および右側面上側部分と、調整振動腕441の腕部4411の右側側面、上面左側部分および下面左側部分とにそれぞれ設けられている。これら第1、第2検出信号電極521、522は、検出振動腕431、432の検出振動が励起されたときに、その検出振動によって発生する電荷を検出するための電極である。
検出接地電極523は、調整振動腕441の腕部4411の上面右側部分、下面右側部分および左側側面と、調整振動腕442の腕部4421の上面左側部分、下面左側部分および右側側面とにそれぞれ設けられている。この検出接地電極523は、第1検出信号電極521および第2検出信号電極522に対してグランドとなる電位を有する。
第1検出信号端子525は、図1に示すように部分453に形成されており、連結部462に形成された検出信号配線(図示せず)を介して、第1検出信号電極521と電気的に接続されている。同様に、第2検出信号端子526は、部分452に形成されており、連結部461に形成された検出信号配線(図示せず)を介して、第2検出信号電極522と電気的に接続されている。
検出接地端子527は、部分452および部分453のそれぞれに形成されており、連結部463、464に形成された検出接地配線(図示せず)を介して検出接地電極523と電気的に接続されている。
以上のような電極の構成としては、導電性を有していれば特に限定されないが、例えば、Cr(クロム)、W(タングステン)などのメタライズ層(下地層)に、Ni(ニッケル)、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)などの各被膜を積層した金属被膜で構成することができる。
以上、センサー素子1の構成について説明した。
以上説明したように構成されたセンサー素子1では、センサー素子1に角速度が加わらない状態において、駆動信号端子513に駆動信号を入力することで駆動信号電極511と駆動接地電極512との間に電界が生じると、駆動振動腕421、422は、図1中矢印dで示すようにx軸方向に互いに反対方向となるように屈曲振動(駆動振動)を行う。
また、この駆動振動に伴って、調整振動腕441、442も、x軸方向に互いに反対方向となるように屈曲振動(調整振動)を行う。
この駆動振動を行っている状態で、y軸方向に沿った中心軸ay周りの角速度ωyがセンサー素子1に加わると、駆動振動腕421、422にコリオリ力が作用し、このコリオリ力により、駆動振動腕421、422がz軸方向に互いに反対方向となるように屈曲振動する。これに伴い、検出振動腕431、432は、図1中矢印eで示すようにz軸方向に互いに反対方向となるように屈曲振動(検出振動)する。この検出振動により、第1検出信号電極521および第2検出信号電極522と検出接地電極523との間に発生した電荷を、第1検出信号端子525および第2検出信号端子526から検出信号として取り出し、この検出信号に基づいて角速度が求められる。
なお、このとき、調整振動腕441、442も、駆動振動腕421、422と同様に、z軸方向に互いに反対方向となるように屈曲振動するが、この屈曲振動による電荷は出力されない。すなわち、コリオリ力の作用の有無にかかわらず、調整振動腕441、442から出力される電荷は、基本的に、前述した調整振動によるもののみであって一定である。これにより、圧電基板2の製造バラツキ等に起因する漏れ出力を調整することができる。
(駆動振動腕および検出振動腕の詳細な説明)
以下、駆動振動腕421、422および検出振動腕431、432について詳述する。
図4は、図1に示すセンサー素子が備える駆動振動腕の拡大平面図である。図5は、図1に示すセンサー素子が備える検出振動腕の拡大平面図である。図6は、図5に示す貫通孔の基部側端部の効果を説明するための図(電極配置を示す図)である。なお、図4および図5には、説明の便宜上、前述した図と同様のx軸、y軸およびz軸が図示されており、また、電極の図示を省略している。
前述したように、センサー素子1は、基部41と、基部41から「第2方向」である−y軸方向に延出している「第2振動腕」である駆動振動腕421、422と、基部41から「第1方向」である+y軸方向に延出している「第1振動腕」である検出振動腕431、432と、を備える。
まず、駆動振動腕421について詳述する。なお、以下では、駆動振動腕421について代表的に説明するが、駆動振動腕422については、駆動振動腕421と同様である。また、前述した第1実施形態の駆動振動腕221と同様の事項については、その説明を適宜省略する。
駆動振動腕421(第2振動腕)には、図4に示すように、基部41の厚さ方向(z軸方向)に貫通している少なくとも1つ(図示では6つ)の貫通孔4213(第2貫通孔)が設けられている。これにより、駆動振動腕421に貫通孔を設けなかったり有底の溝を設けたりする場合に比べて、駆動振動腕421の駆動振動における熱弾性損失を低減するとともに駆動振動腕421における励振(駆動振動)の電界効率を高めることができ、駆動振動腕421の駆動振動のQ値を向上させることができる。
ここで、基部41の厚さ方向から見た平面視(以下、単に「平面視」ともいう)において、貫通孔4213のy軸方向に沿った長さをHLとし、貫通孔4213のy軸方向に直交する方向(x軸方向)に沿った長さ(幅)をHWとしたとき、HLがHWよりも大きい。また、HL/HWは、1.3以上3.0以下であることが好ましい。これにより、前述した効果(熱弾性損失の低減および電界効率の向上)を十分に発揮させつつ、駆動振動腕421の駆動振動の共振の鋭さが低下することによるQ値の低下を抑制することができる。そのため、駆動振動腕421の不要振動によるノイズを低減し、検出感度を十分に向上させることができる。
貫通孔4213は、駆動振動腕421(振動腕)の延出方向(y軸方向)に複数並んで設けられている。これにより、貫通孔4213の数に応じて駆動信号電極511と駆動接地電極512とが対向する面積を大きくすることができ、駆動振動腕421における励振(駆動振動)の電界効率をより高めることができる。ここで、複数の貫通孔4213は、駆動振動腕421の延出方向に並んでおり、互いに隣り合う2つの貫通孔4213の間の長さL1は、特に限定されないが、長さHWに対して、0.3倍以上1.5倍以下であることが好ましく、0.5倍以上1.0倍以下であることがより好ましい。これにより、貫通孔4213を複数備える場合において、駆動振動腕421の不要振動を的確に低減することができる。なお、複数の貫通孔4213のそれぞれの形状、寸法は、互いに等しいのが好ましいが、異なっていてもよい。
本実施形態では、貫通孔4213のx軸方向での幅(HW)は、貫通孔4213のy軸方向での両端側に向かうにしたがって小さくなっている。図示では、各貫通孔4213は、平面視で12角形をなしている。これにより、駆動信号電極511と駆動接地電極512との対向する面積を大きくしつつ、駆動振動腕421の駆動振動に伴って貫通孔4213の周辺部に生じる熱(弾性熱)を低減し、駆動振動腕421の駆動振動における熱弾性損失をより低減することができる。そのため、駆動振動腕421の駆動振動のQ値をより向上させることができる。また、このような平面視形状の貫通孔4213は、エッチングにより形成が容易であるという利点もある。なお、貫通孔4213の平面視形状は、12角形に限定されず、例えば、8角形以上の他の多角形、流線型、楕円形のうちのいずれかの形状であってもよく、この場合であっても、前述したのと同様の効果を得ることができる。また、貫通孔4213の平面視形状は、四角形または四角形の角部を丸めた形状等であってもよい。
このように、駆動振動腕421(第2振動腕)は、駆動振動する駆動振動腕であって、基部41の厚さ方向(z軸方向)に貫通している貫通孔4213(第2貫通孔)が設けられている。また、図2に示すように、駆動振動腕421は、y軸方向(第2方向)に垂直な断面で見たとき、貫通孔4213(第2貫通孔)により2分されている2つの壁部4211a、4211bを有する。この2つの壁部4211a、4211bは、それぞれ、貫通孔4213(第2貫通孔)の貫通方向(z軸方向)での一方側(図中上側)から他方側(図中下側)に向けて厚さが減少している。換言すると、貫通孔4213の長さHWは、z軸方向に沿って変化(減少または増加)している。これにより、駆動振動腕421に幅の狭い部分を有する壁部4211a、4211bを比較的簡単に(例えば貫通孔4213をエッチングにより形成する際のサイドエッチングを利用して)形成することができる。そのため、駆動振動腕421における励振の電界効率をより高めることができる。
ここで、図示では、各壁部4211a、4211bがz軸方向での一方側から他方側に向けて厚さW1が単調減少(連続的かつ一定の減少率で減少)しているが、その減少率がz軸方向での一方側から他方側に向けて変化していてもよいし、各壁部4211a、4211bがz軸方向での一方側から他方側に向けて厚さW1が段階的に変化していてもよい。また、図示では、貫通孔4213の内壁面がz軸方向に対して傾斜しているが、腕部4211の側面がz軸に対して傾斜していてもよい。また、かかる傾斜角度は、特に限定されないが、10°以下であることが好ましい。
また、前述したように、駆動振動腕421(第2振動腕)が貫通孔4213(第2貫通孔)を複数備えることに加えて、図4に示すように、駆動振動腕421の両側面のそれぞれには、隣り合う2つの貫通孔4213の間の部分に対応する位置に、壁部4211a、4211bがそれぞれ外方(−x軸方向および+x軸方向)へ突出して形成された突出部4216が設けられている。そのため、平面視において、互いに隣り合う2つの貫通孔4213(第2貫通孔)の間の位置における駆動振動腕421のy軸方向(第2方向)に直交する方向(x軸方向)に沿った幅W3(幅の値の平均値)は、貫通孔4213(第2貫通孔)の位置における駆動振動腕421のy軸方向(第2方向)に直交する方向(x軸方向)に沿った幅W4(幅の値の平均値)よりも大きい。これにより、駆動振動腕421における励振の電界効率を優れたものとしつつ、駆動振動腕421の耐衝撃性を高めることができる。
ここで、突出部4216のy軸方向での長さL2は、互いに隣り合う2つの貫通孔4213間の長さL1よりも大きい。これにより、駆動振動腕421の耐衝撃性を的確に高めることができる。なお、長さL2が長さL1よりも短くても、突出部4216がない場合に比べて、駆動振動腕421の耐衝撃性を高めることができる。
また、突出部4216のx軸方向での長さL3は、特に限定されないが、厚さW1に対して、0.05倍以上0.3倍以下であることが好ましく、0.1倍以上0.2倍以下であることがより好ましい。これにより、駆動振動腕421の必要以上の剛性の増加を抑えつつ、駆動振動腕421の耐衝撃性を高めることができる。
また、突出部4216は、y軸方向での一方側および他方側のそれぞれに向けて、x軸方向での長さが連続的に小さくなっている。これにより、駆動振動腕421が駆動振動したときに駆動振動腕421に不本意な応力が生じるのを低減することができる。なお、突出部4216の平面視形状は、図示の形状に限定されず、例えば、矩形をなしていてもよい。
また、駆動振動腕421は、腕部4211の基端部に設けられていて先端側から基端側に向かって幅が拡がるテーパー部4214と、腕部4211の先端部に設けられていて基端側から先端側に向けて幅が拡がるテーパー部4215と、を有する。テーパー部4214により腕部4211と基部41との間の応力を低減し、駆動振動腕421の耐衝撃性を高めることができる。また、テーパー部4215により腕部4211と幅広部4212との間の応力を低減し、この点でも、駆動振動腕421の耐衝撃性を高めることができる。
なお、図示では、貫通孔4213が基部41よりも駆動振動腕421側に配置されているが、後述する検出振動腕431の貫通孔4313と同様に、基部41に入り込んだ部分を有していてもよい。この場合、駆動信号電極511または駆動接地電極512で形成された導体パターンの断線リスクを低減することができ、その結果、センサー素子1の信頼性を向上させるとともに、駆動振動腕421における励振の電界効率をより高めることができる。
次に、検出振動腕431について詳述する。なお、以下では、検出振動腕431について代表的に説明するが、検出振動腕432については、検出振動腕431と同様である。
前述したように、センサー素子1は、基部41から+y軸方向に延出している検出振動腕431を備える。ここで、検出振動腕431には、図5に示すように、基部41の厚さ方向(z軸方向)に貫通している少なくとも1つ(図示では2つ)の貫通孔4313が設けられている。これにより、検出振動腕431に貫通孔を設けなかったり有底の溝を設けたりする場合に比べて、検出振動腕431における検出の電界効率を高めることができる。
ここで、センサー素子1では、平面視において、貫通孔4313のy軸方向に沿った長さをHL2とし、貫通孔4313のy軸方向に直交する方向(x軸方向)に沿った長さをHW2としたとき、HL2/HW2がHL/HWよりも大きいことが好ましい。これにより、検出振動腕431における検出の電界効率を高めるとともに、検出振動腕431の検出振動のQ値を小さくする(これにより、検出振動腕431が駆動振動腕421の駆動振動に伴って振動してしまう不要振動が低減され、検出振動腕431の検出振動を的確に励振させやすくする)ことができる。そのため、検出感度をより向上させることができる。なお、複数の貫通孔4313のそれぞれの形状、寸法は、互いに等しいのが好ましいが、異なっていてもよい。
このように、センサー素子1は、基部41と、基部41から延出し、基部41の厚さ方向(z軸方向)に貫通している貫通孔4313が設けられている「振動腕」である検出振動腕431と、を備える。さらに、図6に示すように、センサー素子1は、貫通孔4313の内壁面と基部41とに跨って設けられている少なくとも1つ(図示では2つ)の導体パターン501、502を備える。ここで、導体パターン501は、貫通孔4313の内壁面に配置されている部分を有する第1検出信号電極521である。また、導体パターン502は、貫通孔4313の内壁面に配置されている部分を有する第2検出信号電極522である。
特に、貫通孔4313は、基部41の厚さ方向から見た平面視において、検出振動腕431と基部41との接続部よりも基部41側に入り込んでいる基部側端部4313aを有する。そして、平面視において、2つの導体パターン501、502が基部側端部4313aに沿っている長さLb、Lcの合計が検出振動腕431の延出方向(y軸方向)に直交する方向(x軸方向)での貫通孔4313の長さW5(幅)よりも大きい。なお、長さW5は、平面視において検出振動腕431の延出方向に直交する方向での基部側端部4313aの長さ(幅)の値の平均値(平均幅)である。また、本実施形態では、基部41は平面視で矩形をなしており、基部側端部4313aは、平面視で基部41の一辺よりも基部41側に入り込んでいる部分である。
このように、貫通孔4313が基部41の厚さ方向から見た平面視において検出振動腕431と基部41との接続部よりも基部41側に入り込んでいる基部側端部4313aを有するため、貫通孔4313の内壁面と基部41とに跨って設けられている導体パターン501、502の幅を大きくすることができる。そのため、導体パターン501、502の断線リスクを低減することができ、その結果、センサー素子1の信頼性を向上させることができる。
ここで、「振動腕」である検出振動腕431は、コリオリ力またはそれに伴う力により検出振動する検出振動腕である。貫通孔4313を有する検出振動腕431では、検出振動腕431の検出振動を検出するために、貫通孔4313の内壁面に、前述したように分割された複数の第1検出信号電極521および第2検出信号電極522(図3に示す導体パターン501、502、505、506)を設け、それぞれの導体パターン501、502、505、506を貫通孔4313の内壁面と基部41とに跨って引き回す必要がある。このような場合において、仮に貫通孔4313の基部41側の端部が基部41よりも検出振動腕431側に位置していると、複数の導体パターン501、502、505、506が検出振動腕431の幅内に収まるように各導体パターン501、502、505、506の幅を極めて狭くしなければならず、導体パターン501、502、505、506の断線のリスクが高くなりやすい。したがって、このような場合において、貫通孔4313に前述したような基部側端部4313aを設けることで、導体パターン501、502、505、506の幅を大きくすることによる効果(導体パターン501、502、505、506の断線リスクを低減する効果)が顕著となる。また、基部側端部4313aに導体パターン501、502(第1検出信号電極521、第2検出信号電極522)を設けることで、検出振動腕431の基端部に生じた電荷を検出することができるため、検出振動腕431における検出の電界効率をより高めることができる。
なお、検出振動腕432に設けられた複数の第1検出信号電極521および第2検出信号電極522(図3に示す導体パターン503、504、507、508)についても、同様に断線リスクを低減することができる。
貫通孔4313は、検出振動腕431(振動腕)の延出方向(y軸方向)に複数並んで設けられている。これにより、貫通孔4313の数に応じて第1検出信号電極521と第2検出信号電極522とが対向する面積を大きくすることができ、検出振動腕431における検出の電界効率をより高めることができる。ここで、複数の貫通孔4313は、検出振動腕431の延出方向に並んでおり、互いに隣り合う2つの貫通孔4313の間の長さは、特に限定されないが、長さHW2に対して、0.3倍以上1.5倍以下であることが好ましく、0.5倍以上1.0倍以下であることがより好ましい。これにより、貫通孔4313を複数備える場合において、検出振動腕431の不要振動を的確に低減することができる。
また、本実施形態では、1つの検出振動腕431に設けられている貫通孔4313の数が、1つの駆動振動腕421に設けられている貫通孔4213の数よりも少ない。これにより、検出振動腕431に貫通孔4313を複数設けた場合においても、貫通孔4313のy軸方向での長さHL2を貫通孔4213のy軸方向での長さよりも長くすることができる。そのため、検出振動腕431における検出の電界効率をより高めることができる。また、貫通孔4313のy軸方向での長さHL2が長くなるほど、検出振動腕431の検出振動のQ値を小さくすることができるため、検出感度をより向上させることができる。
本実施形態では、貫通孔4313は、平面視で矩形の角部を丸めた形状をなしている。したがって、貫通孔4313は、平面視で、y軸方向に沿った2つの辺と、y軸方向に直交する方向(x軸方向)に沿った2つの辺とを有する形状である。これにより、第1検出信号電極521と第2検出信号電極522との対向する面積を大きくし、検出振動腕431における検出の電界効率をより高めることができる。なお、貫通孔4313の平面視形状は、矩形であってもよいが、矩形の角部を丸める(あるいは傾斜させる)ことで、検出振動腕431の機械的強度を優れたものとすることができ、また、エッチングにより貫通孔4313を形成しやすいという利点がある。
このように、検出振動腕431(第1振動腕)は、コリオリ力またはそれに伴う力により検出振動する検出振動腕であって、貫通孔4313(第1貫通孔)が設けられている。また、図3に示すように、検出振動腕431は、y軸方向(第1方向)に垂直な断面で見たとき、貫通孔4313(第1貫通孔)により2分されている2つの壁部4311a、4311bを有する。この2つの壁部4311a、4311bは、それぞれ、貫通孔4313(第1貫通孔)の貫通方向(z軸方向)での一方側(図中上側)から他方側(図中下側)に向けて厚さW2が減少している。換言すると、貫通孔4313の長さHW2は、z軸方向に沿って変化(減少または増加)している。これにより、検出振動腕431に幅の狭い部分を有する壁部4311a、4311bを比較的簡単に形成することができる。そのため、検出振動腕431における検出の電界効率をより高めることができる。
ここで、前述したように、駆動振動腕421(第2振動腕)は、駆動振動する駆動振動腕であって、基部41の厚さ方向(z軸方向)に貫通している貫通孔4213(第2貫通孔)が設けられている。そして、駆動振動腕421は、y軸方向(第2方向)に垂直な断面で見たとき、貫通孔4213(第2貫通孔)により2分されている2つの壁部4211a、4211bを有しているが、検出振動腕431が有する2つの壁部4311a、4311bの厚さW2の減少率は、それぞれ、駆動振動腕421が有する壁部4211a、4211bの厚さW1の減少率よりも大きいことが好ましい。すなわち、駆動振動腕421が有する2つの壁部4211a、4211bは、それぞれ、貫通孔4213(第2貫通孔)の貫通方向(z軸方向)での一方側(図2中上側)から他方側(図2中下側)に向けて厚さW1が、一定であるか、または、検出振動腕431が有する壁部4311a、4311bの厚さW2の減少率よりも小さい減少率で減少していることが好ましい。これにより、駆動振動腕421の不要振動を低減し、その結果、検出感度をより向上させることができる。
また、図示では、各壁部4311a、4311bがz軸方向での一方側から他方側に向けて厚さW2が単調減少(連続的かつ一定の減少率で減少)しているが、その減少率がz軸方向での一方側から他方側に向けて変化していてもよいし、各壁部4311a、4311bがz軸方向での一方側から他方側に向けて厚さW2が段階的に変化していてもよい。また、図示では、壁部4311a、4311bのそれぞれの両側面がz軸方向に対して傾斜しているが、両側面のうちの一方の側面(すなわち貫通孔4313の壁面または腕部4311の側面)がz軸に対して平行であってもよい。また、z軸方向に対する壁部4311a、4311bの側面の傾斜角度は、特に限定されないが、10°以下であることが好ましい。
また、前述したように、検出振動腕431(振動腕)は、貫通孔4313を複数備えているが、図5に示すように、検出振動腕431の両側面のそれぞれには、隣り合う2つの貫通孔4313の間の部分に対応する位置に、壁部4311a、4311bがそれぞれ外方(−x軸方向および+x軸方向)へ突出して形成された突出部4316が設けられている。そのため、平面視において、互いに隣り合う2つの貫通孔4313の間の位置における検出振動腕431の延出方向(y軸方向)に直交する方向(x軸方向)に沿った幅(幅の値の平均値)は、貫通孔4313の位置における検出振動腕431の延出方向(y軸方向)に直交する方向(x軸方向)に沿った幅(幅の値の平均値)よりも大きい。これにより、検出振動腕431における検出の電界効率を優れたものとしつつ、検出振動腕431の耐衝撃性を高めることができる。なお、検出振動腕431における突出部4316の構成は、前述した駆動振動腕421における突出部4216の構成と同様である。
また、検出振動腕431は、腕部4311の基端部に設けられていて先端側から基端側に向かって幅が拡がるテーパー部4314と、腕部4311の先端部に設けられていて基端側から先端側に向けて幅が拡がるテーパー部4315と、を有する。テーパー部4314により腕部4311と基部21との間の応力を低減し、検出振動腕431の耐衝撃性を高めることができる。また、テーパー部4315により腕部4311と幅広部4312との間の応力を低減し、この点でも、検出振動腕431の耐衝撃性を高めることができる。
以上のように、センサー素子1は、「第1方向」である+y軸方向に延出している第1振動腕(振動腕)である検出振動腕431と、+y軸方向(第1方向)とは逆方向である「第2方向」である−y軸方向に延出している「第2振動腕」である駆動振動腕421と、を備える。これにより、優れた信頼性を有する、いわゆるH型のセンサー素子1を実現することができる。
<第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態に係るセンサー素子を示す平面図である。図8は、図7中のA−A線断面図である。図9は、図7中のB−B線断面図である。図10は、図7中のC−C線断面図である。
なお、これらの各図においても説明の便宜上、前述した図と同様のx軸、y軸およびz軸が図示されている。また、図では、説明の便宜上、各電極の図示を省略している。
図7に示すセンサー素子1Aは、z軸に平行な軸azまわりの角速度ωzを検出可能な角速度検出素子(ジャイロ素子)である。このセンサー素子1Aは、圧電基板2(振動片)と、圧電基板2の表面に設けられている電極(図8、図9および図10参照)と、を有している。以下、まず、センサー素子1Aの概略構成について説明する。
−圧電基板−
圧電基板2は、前述した第1実施形態の圧電基板4と同様、Zカット水晶板で構成されている。この圧電基板2は、いわゆるダブルT型の形態をなしている。より具体的には、圧電基板2は、基部21と、基部21から延出している駆動振動腕221〜224および検出振動腕231、232と、固定部241、242と、固定部241と基部21とを連結している支持梁251、252と、固定部242と基部21とを連結している支持梁253、254と、を有している。なお、この圧電基板2は、図7に示すように、左右対称に形成されている。
基部21は、中心部に位置する本体部211と、本体部211から−x軸方向に延出している連結腕212と、本体部211から+x軸方向に延出している連結腕213と、を有している。
駆動振動腕221は、基部21の連結腕212の先端部から+y軸方向に延出している。また、駆動振動腕222は、連結腕212の先端部から−y軸方向に延出している。同様に、駆動振動腕223は、連結腕213の先端部から+y軸方向に延出している。また、駆動振動腕224は、連結腕213の先端部から−y軸方向に延出している。
駆動振動腕221は、基部21から延出している腕部2211と、腕部2211の先端側に設けられていて腕部2211よりも幅の大きい幅広部2212と、腕部2211に設けられている複数の貫通孔2213と、を有している。同様に、駆動振動腕222、223、224は、それぞれ、基部21から延出している腕部2221、2231、2241と、腕部2221、2231、2241の先端側に設けられていて腕部2221、2231、2241よりも幅の大きい幅広部2222、2232、2242と、腕部2221、2231、2241に設けられている複数の貫通孔2223、2233、2243と、を有している。
このような駆動振動腕221、222、223、224では、幅広部2212、2222、2232、2242(ハンマーヘッド)を設けることによって、角速度の検出感度を向上させたり、駆動振動腕221、222、223、224の長さを短くしたりすることができる。また、貫通孔2213、2223、2233、2243を設けることによって、熱弾性損失やCI値を低減し、駆動振動腕221、222、223、224を効率的に駆動振動させることができる。なお、幅広部2212、2222、2232、2242は、必要に応じて設ければよく、省略してもよい。また、駆動振動腕221、222、223、224については、後に詳述する。
検出振動腕231は、基部21の本体部211から+y軸方向に延出している。また、検出振動腕232は、本体部211から−y軸方向に延出している。
この検出振動腕231、232は、それぞれ、基部21から延出している腕部2311、2321と、腕部2311、2321の先端側に設けられていて腕部2311、2321よりも幅の大きい幅広部2312、2322と、腕部2311、2321に設けられている複数の貫通孔2313、2323と、を有している。
このような検出振動腕231、232では、幅広部2312、2322を設けることによって、検出振動腕231、232の共振周波数(固有振動数)を低くしたり、検出振動腕231、232の長さを短くしたりすることができる。また、貫通孔2313、2323を設けることによって、検出振動を効率的に検出することができる。なお、幅広部2312、2322は、必要に応じて設ければよく、省略してもよい。また、検出振動腕231、232については、駆動振動腕221〜224とともに、後に詳述する。
固定部241は、基部21に対して+y軸方向側に位置し、x軸方向に延在している。一方、固定部242は、基部21に対して−y軸方向側に位置し、x軸方向に延在している。
支持梁251は、駆動振動腕221と検出振動腕231との間を通って基部21の本体部211と固定部241とを連結している。また、支持梁252は、駆動振動腕223と検出振動腕231との間を通って基部21の本体部211と固定部241とを連結している。同様に、支持梁253は、駆動振動腕222と検出振動腕232との間を通って基部21の本体部211と固定部242とを連結している。また、支持梁254は、駆動振動腕224と検出振動腕232との間を通って基部21の本体部211と固定部242とを連結している。図示では、各支持梁251〜254は、長尺状をなし、その途中に屈曲または湾曲した複数の部分を有している。
−電極−
前述した圧電基板2の表面に設けられている電極は、図8、図9および図10に示すように、駆動信号電極311と、駆動接地電極312と、検出信号電極321と、検出接地電極322と、駆動信号端子313と、駆動接地端子314と、検出信号端子323と、検出接地端子324と、を有している。
図8および図9に示すように、駆動信号電極311は、駆動振動腕221の貫通孔2213の壁面と、駆動振動腕223の腕部2231の両側面とにそれぞれ設けられている。また、図示しないが、駆動信号電極311は、駆動振動腕222の腕部2221の貫通孔2223の壁面と、駆動振動腕224の腕部2241の両側面とにもそれぞれ設けられている。この駆動信号電極311は、駆動振動腕221〜224の駆動振動を励起させるための電極である。
駆動接地電極312は、駆動振動腕221の腕部2211の両側面と、駆動振動腕223の貫通孔2233の壁面とにそれぞれ設けられている。また、図示しないが、駆動接地電極312は、駆動振動腕222の腕部2221の両側面と、駆動振動腕224の貫通孔2243の壁面とにもそれぞれ設けられている。この駆動接地電極312は、駆動信号電極311に対してグランドとなる電位を有する。
駆動信号端子313は、図7に示すように固定部242の左側端部に配置されており、支持梁253に形成された駆動信号配線(図示せず)を介して、駆動信号電極311と電気的に接続されている。同様に、駆動接地端子314は、固定部241の左側端部に配置されており、支持梁251に形成された駆動接地配線(図示せず)を介して、駆動接地電極312と電気的に接続されている。
図10に示すように、検出信号電極321は、検出振動腕231の貫通孔2313の壁面に設けられている。また、図示しないが、検出信号電極321は、検出振動腕232の貫通孔2323の壁面にも設けられている。この検出信号電極321は、検出振動腕231、232の検出振動が励起されたときに、その検出振動によって発生する電荷を検出するための電極である。
検出接地電極322は、検出振動腕231の腕部2311の両側面に設けられている。また、図示しないが、検出接地電極322は、検出振動腕232の腕部2321の両側面にも設けられている。この検出接地電極322は、検出信号電極321に対してグランドとなる電位を有する。
検出信号端子323は、図7に示すように固定部241、242のそれぞれの右側端部に形成されており、支持梁252、254に形成された検出信号配線(図示せず)を介して、検出信号電極321と電気的に接続されている。
検出接地端子324は、固定部241、242のそれぞれの長手方向中央部に形成されており、支持梁251〜254に形成された検出接地配線(図示せず)を介して検出接地電極322と電気的に接続されている。
以上のような電極の構成としては、導電性を有していれば特に限定されないが、例えば、Cr(クロム)、W(タングステン)などのメタライズ層(下地層)に、Ni(ニッケル)、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)などの各被膜を積層した金属被膜で構成することができる。
以上、センサー素子1Aの概略構成について説明した。
以上説明したように構成されたセンサー素子1Aでは、センサー素子1Aに角速度が加わらない状態において、駆動信号端子313に駆動信号を入力することで駆動信号電極311と駆動接地電極312との間に電界が生じると、各駆動振動腕221〜224が図7中矢印aに示す方向に屈曲振動(駆動振動)を行う。このとき、駆動振動腕221、222と駆動振動腕223、224とが図7にて左右対称の振動を行っているため、基部21および検出振動腕231、232は、ほとんど振動しない。
この駆動振動を行っている状態で、z軸に沿った軸az(重心)周りの角速度ωzがセンサー素子1に加わると、検出振動(検出モードの振動)が励振される。具体的には、駆動振動腕221〜224および基部21の連結腕212、213に図7中矢印bで示す方向のコリオリの力が働き、新たな振動が励起される。これに伴い、この連結腕212、213の振動を打ち消すように、検出振動腕231、232に図7中矢印cに示す方向の検出振動が励起される。そして、この検出振動により検出信号電極321と検出接地電極322との間に発生した電荷を、検出信号端子323から検出信号として取り出し、この検出信号に基づいて角速度が求められる。
(駆動振動腕および検出振動腕の詳細な説明)
以下、駆動振動腕221〜224および検出振動腕231、232について詳述する。
図11は、図7に示すセンサー素子が備える駆動振動腕の拡大平面図である。図12は、図7に示すセンサー素子が備える検出振動腕の拡大平面図である。なお、各図には、説明の便宜上、前述した図と同様のx軸、y軸およびz軸が図示されている。
まず、駆動振動腕221について詳述する。なお、以下では、駆動振動腕221について代表的に説明するが、駆動振動腕222〜224については、駆動振動腕221と同様である。
駆動振動腕221には、図11に示すように、基部21の厚さ方向(z軸方向)に貫通している少なくとも1つ(図示では3つ)の貫通孔2213が設けられている。これにより、駆動振動腕221に貫通孔を設けなかったり有底の溝を設けたりする場合に比べて、駆動振動腕221の駆動振動における熱弾性損失を低減するとともに駆動振動腕221における励振(駆動振動)の電界効率を高めることができ、駆動振動腕221の駆動振動のQ値を向上させることができる。
ここで、基部21の厚さ方向から見た平面視(以下、単に「平面視」ともいう)において、貫通孔2213のy軸方向に沿った長さをHLとし、貫通孔2213のy軸方向に直交する方向(x軸方向)に沿った長さ(幅)をHWとしたとき、HLがHWよりも大きい。また、HL/HWは、1.3以上3.0以下であることが好ましい。これにより、前述した第1実施形態のセンサー素子1と同様、前述した効果(熱弾性損失の低減および電界効率の向上)を十分に発揮させつつ、駆動振動腕221の駆動振動の共振の鋭さが低下することによるQ値の低下を抑制することができる。そのため、駆動振動腕221の不要振動によるノイズを低減し、検出感度を十分に向上させることができる。なお、複数の貫通孔2213のそれぞれの形状、寸法は、互いに等しいのが好ましいが、異なっていてもよい。
本実施形態では、貫通孔2213のx軸方向での幅(HW)は、貫通孔2213のy軸方向での両端側に向かうにしたがって小さくなっている。図示では、各貫通孔2213は、平面視で12角形をなしている。これにより、前述した第1実施形態の駆動振動腕421と同様、駆動振動腕221の駆動振動のQ値をより向上させることができる。なお、貫通孔2213の平面視形状は、12角形に限定されず、例えば、8角形以上の他の多角形、流線型、楕円形のうちのいずれかの形状であってもよく、この場合であっても、前述したのと同様の効果を得ることができる。また、貫通孔2213の平面視形状は、四角形または四角形の角部を丸めた形状等であってもよい。
また、図8に示すように、駆動振動腕221は、y軸方向に垂直な断面で見たとき、貫通孔2213により2分されている2つの壁部2211a、2211bを有する。この2つの壁部2211a、2211bは、それぞれ、貫通孔2213の貫通方向(z軸方向)での一方側(図中上側)から他方側(図中下側)に向けて厚さW1(幅)が減少している。換言すると、貫通孔2213の長さHWは、z軸方向に沿って変化(減少または増加)している。これにより、駆動振動腕221に幅の狭い部分を有する壁部2211a、2211bを比較的簡単に(例えば貫通孔2213をエッチングにより形成する際のサイドエッチングを利用して)形成することができる。そのため、駆動振動腕221における励振の電界効率をより高めることができる。
ここで、図示では、各壁部2211a、2211bがz軸方向での一方側から他方側に向けて厚さW1が単調減少(連続的かつ一定の減少率で減少)しているが、その減少率がz軸方向での一方側から他方側に向けて変化していてもよいし、各壁部2211a、2211bがz軸方向での一方側から他方側に向けて厚さが段階的に変化していてもよい。また、図示では、壁部2211a、2211bのそれぞれの両側面がz軸方向に対して傾斜しているが、両側面のうちの一方の側面(すなわち貫通孔2213の壁面または腕部2211の側面)がz軸に対して平行であってもよい。また、z軸方向に対する壁部2211a、2211bの側面の傾斜角度は、特に限定されないが、10°以下であることが好ましい。
また、図11に示すように、駆動振動腕221の両側面のそれぞれには、隣り合う2つの貫通孔2213の間の部分に対応する位置に、壁部2211a、2211bがそれぞれ外方(−x軸方向および+x軸方向)へ突出して形成された突出部2216が設けられている。これにより、駆動振動腕221における励振の電界効率を優れたものとしつつ、駆動振動腕221の耐衝撃性を高めることができる。
また、駆動振動腕221は、腕部2211の基端部に設けられていて先端側から基端側に向かって幅が拡がるテーパー部2214と、腕部2211の先端部に設けられていて基端側から先端側に向けて幅が拡がるテーパー部2215と、を有する。テーパー部2214、2215により、駆動振動腕221の耐衝撃性を高めることができる。
なお、図示では、貫通孔2213が基部21よりも駆動振動腕221側に配置されているが、後述する検出振動腕231の貫通孔2313と同様に、基部21に入り込んだ部分を有していてもよい。この場合、駆動信号電極311または駆動接地電極312で形成された導体パターンの断線リスクを低減することができ、その結果、センサー素子1Aの信頼性を向上させるとともに、駆動振動腕221における励振の電界効率をより高めることができる。
次に、検出振動腕231について詳述する。なお、以下では、検出振動腕231について代表的に説明するが、検出振動腕232については、検出振動腕231と同様である。
前述したように、センサー素子1Aは、基部21(本体部211)からy軸方向に延出している検出振動腕231を備える。ここで、検出振動腕231には、図12に示すように、基部21の厚さ方向(z軸方向)に貫通している少なくとも1つ(図示では2つ)の貫通孔2313が設けられている。これにより、検出振動腕231に貫通孔を設けなかったり有底の溝を設けたりする場合に比べて、検出振動腕231における検出の電界効率を高めることができる。
ここで、平面視において、貫通孔2313のy軸方向に沿った長さをHL2とし、貫通孔2313のy軸方向に直交する方向(x軸方向)に沿った長さをHW2としたとき、HL2がHW2よりも大きい。また、HL2/HW2は、HL/HWよりも大きいことが好ましい。これにより、検出振動腕231における検出の電界効率を高めるとともに、検出振動腕231の検出振動のQ値を小さくする(これにより、検出振動腕231が駆動振動腕221の駆動振動に伴って振動してしまう不要振動が低減され、検出振動腕231の検出振動を的確に励振させやすくする)ことができる。そのため、検出感度をより向上させることができる。なお、複数の貫通孔2313のそれぞれの形状、寸法は、互いに等しいのが好ましいが、異なっていてもよい。
このように、センサー素子1Aは、基部21(連結腕212を含む)と、基部21(連結腕212の途中)から延出し、基部21の厚さ方向(z軸方向)に貫通している貫通孔2313が設けられている「振動腕」である検出振動腕231と、を備える。さらに、センサー素子1Aは、貫通孔2313の内壁面と基部21とに跨って設けられている少なくとも1つ(図示では1つ)の導体パターンである検出信号電極321を備える。
特に、貫通孔2313は、基部42の厚さ方向から見た平面視において、検出振動腕231と基部21との接続部よりも基部21側に入り込んでいる基部側端部2313aを有する。そして、平面視において、検出信号電極321が基部側端部2313aに沿っている長さ(長さの合計)が検出振動腕231の延出方向(y軸方向)に直交する方向(x軸方向)での長さよりも大きい。
このように、貫通孔2313が基部21の厚さ方向から見た平面視において検出振動腕231と基部21との接続部よりも基部21側に入り込んでいる基部側端部2313aを有するため、貫通孔2313の内壁面と基部21とに跨って設けられている検出信号電極321の幅を大きくすることができる。そのため、検出信号電極321の断線リスクを低減することができ、その結果、センサー素子1Aの信頼性を向上させることができる。なお、検出振動腕232においても同様に検出信号電極321の断線リスクを低減することができる。
また、図10に示すように、検出振動腕231は、y軸方向に垂直な断面で見たとき、貫通孔2313により2分されている2つの壁部2311a、2311bを有する。この2つの壁部2311a、2311bは、それぞれ、貫通孔2313の貫通方向(z軸方向)での一方側(図中上側)から他方側(図中下側)に向けて厚さが減少している。換言すると、貫通孔2313の長さHW2は、z軸方向に沿って変化(減少または増加)している。これにより、検出振動腕231に幅W2の狭い部分を有する壁部2311a、2311bを比較的簡単に形成することができる。そのため、検出振動腕231における検出の電界効率をより高めることができる。
ここで、前述したように、駆動振動腕221は、y軸方向に垂直な断面で見たとき、貫通孔2213により2分されている2つの壁部2211a、2211bを有しているが、検出振動腕231が有する2つの壁部2311a、2311bの厚さの減少率は、それぞれ、駆動振動腕221が有する壁部2211a、2211bの厚さの減少率よりも大きいことが好ましい。すなわち、駆動振動腕221が有する2つの壁部2211a、2211bは、それぞれ、貫通孔2213の貫通方向(z軸方向)での一方側から他方側に向けて厚さW1が、一定であるか、または、検出振動腕231が有する壁部2311a、2311bの厚さW2の減少率よりも小さい減少率で減少していることが好ましい。これにより、駆動振動腕221の不要振動を低減し、その結果、検出感度をより向上させることができる。
また、図示では、各壁部2311a、2311bがz軸方向での一方側から他方側に向けて厚さW2が単調減少(連続的かつ一定の減少率で減少)しているが、その減少率がz軸方向での一方側から他方側に向けて変化していてもよいし、各壁部2311a、2311bがz軸方向での一方側から他方側に向けて厚さW2が段階的に変化していてもよい。また、図示では、壁部2311a、2311bのそれぞれの両側面がz軸方向に対して傾斜しているが、両側面のうちの一方の側面(すなわち貫通孔2313の壁面または腕部2311の側面)がz軸に対して平行であってもよい。また、z軸方向に対する壁部2311a、2311bの側面の傾斜角度は、特に限定されないが、10°以下であることが好ましい。
また、検出振動腕231の両側面のそれぞれには、隣り合う2つの貫通孔2313の間の部分に対応する位置に、壁部2311a、2311bがそれぞれ外方(−x軸方向および+x軸方向)へ突出して形成された突出部2316が設けられている。これにより、検出振動腕231における検出の電界効率を優れたものとしつつ、検出振動腕231の耐衝撃性を高めることができる。
また、検出振動腕231は、腕部2311の基端部に設けられていて先端側から基端側に向かって幅が拡がるテーパー部2314と、腕部2311の先端部に設けられていて基端側から先端側に向けて幅が拡がるテーパー部2315と、を有する。テーパー部2314、2315により、検出振動腕231の耐衝撃性を高めることができる。
2.物理量センサー
次に、本発明の物理量センサーについて説明する。
図13は、本発明の物理量センサーの一例を示す斜視図である。図14は、図13に示す物理量センサーの断面図である。なお、図13では、説明の便宜上、リッド62の図示を省略している。
図13および図14に示すように、物理量センサー10は、3つのセンサー素子7X、7Y、7Zと、これらセンサー素子7X、7Y、7Zを収容するパッケージ6と、ICチップ8と、を有している。
パッケージ6は、凹部611を有する箱状のベース61と、凹部611の開口を塞いで接合された板状のリッド62とを有している。そして、凹部611がリッド62によって塞がれることにより形成された収容空間Sにセンサー素子7X、7Y、7Zが収納されている。収容空間Sは、減圧(真空)状態となっていてもよいし、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されていてもよい。
凹部611は、ベース61の上面に開放する第1凹部611aと、第1凹部611aの底面の中央部に開放する第2凹部611bと、を有している。
ベース61の構成材料としては、特に限定されないが、酸化アルミニウム等の各種セラミックスや、各種ガラス材料を用いることができる。また、リッド62の構成材料としては、特に限定されないが、ベース61の構成材料と線膨張係数が近似する部材であると良い。例えば、ベース61の構成材料を前述のようなセラミックスとした場合には、コバール等の合金とするのが好ましい。なお、ベース61とリッド62の接合方法は、特に限定されず、例えば、接着材やろう材を介して接合することができる。本実施形態では、リッド62は、シームリング、低融点ガラス、接着剤等の接合部材63を介してベース61に接合されている。
第1凹部611aの底面には、複数の接続端子641が形成されている。この接続端子641は、ベース61に設けられた配線層643、644を介して、ベース61の底面に設けられた端子642に電気的に接続されている。接続端子641等は、導電性を有していれば特に限定されないが、例えば、Cr(クロム)、W(タングステン)等のメタライズ層(下地層)に、Ni(ニッケル)、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)等の各被膜を積層した金属被膜で構成されている。
ICチップ8は、第2凹部611bの底面に接着剤等によって固定されている。ICチップ8は、複数の端子81を有し、各端子81が導電性ワイヤー101によって各接続端子641と電気的に接続されている。このICチップ8は、センサー素子7X、7Y、7Zを駆動振動させるための駆動回路と、角速度が加わったときにセンサー素子7X、7Y、7Zに生じる検出振動を検出する検出回路と、を有する。
また、ICチップ8の上面には、ポリイミド等の樹脂で構成された応力緩和層9が設けられており、この応力緩和層9上には、センサー素子7X、7Y、7Zに電気的に接続するための端子(図示せず)が露出して設けられている。
センサー素子7X、7Y、7Zは、応力緩和層9上に導電性接着材を介して固定されている。これにより、センサー素子7X、7Y、7Zが有する各端子が導電性接着剤を介して応力緩和層9上の各端子に電気的に接続されている。導電性接着材としては、導電性および接着性を有していれば特に限定されず、例えば、シリコーン系、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系、ビスマレイミド系等の接着材に銀粒子等の導電性フィラーを分散させたものを用いることができる。
ここで、センサー素子7X、7Yは、それぞれ、前述した第1実施形態のセンサー素子1である。そして、センサー素子7Xは、X軸周りの角速度ωXを検出するように配置され、センサー素子7Yは、Y軸周りの角速度ωYを検出するように配置されている。また、センサー素子7Zは、前述した第2実施形態のセンサー素子1Aであり、Z軸周りの角速度ωZを検出するように配置されている。
以上のような物理量センサー10は、センサー素子1、1Aを備える。これにより、センサー素子1、1Aの優れた効果を享受して、物理量センサー10のセンサー特性を向上させることができる。なお、物理量センサー10は、前述したセンサー素子1、1Aのうちの少なくとも1つを備えていればよい。
なお、本実施形態では、ICチップ8がパッケージ6の内部に設けられているが、ICチップ8は、パッケージ6の外部に設けられていてもよい。この場合、センサー素子7X、7Y、7Zを直接パッケージ6に固定すればよい。
3.電子機器
次いで、本発明の電子機器について、図15〜図17に基づき、詳細に説明する。
図15は、本発明の電子機器の一例であるモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1108を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、角速度検知手段(ジャイロセンサー)として機能するセンサー素子1が内蔵されている。
図16は、本発明の電子機器の一例である携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1208が配置されている。このような携帯電話機1200には、角速度検知手段(ジャイロセンサー)として機能するセンサー素子1が内蔵されている。
図17は、本発明の電子機器の一例であるディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。
このようなディジタルスチルカメラ1300には、角速度検知手段(ジャイロセンサー)として機能するセンサー素子1が内蔵されている。
以上のような電子機器は、センサー素子1を備える。これにより、センサー素子1の優れた効果を享受して、電子機器の特性を向上させることができる。なお、センサー素子1に代えて、センサー素子1Aを用いてもよい。
なお、本発明の電子機器は、図15のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図16の携帯電話機、図17のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、スマーフォン、タブレット端末、時計、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレーター等に適用することができる。
4.移動体
次いで、本発明の移動体について、図18に基づき、詳細に説明する。
図18は、本発明の移動体の一例である自動車の構成を示す斜視図である。
移動体1500は、自動車であり、この移動体1500には、角速度検知手段(ジャイロセンサー)として機能するセンサー素子1が内蔵されており、センサー素子1によって車体1501の姿勢を検出することができる。センサー素子1の検出信号は、車体姿勢制御装置1502に供給され、車体姿勢制御装置1502は、その信号に基づいて車体1501の姿勢を検出し、検出結果に応じてサスペンションの硬軟を制御したり、個々の車輪1503のブレーキを制御したりすることができる。その他、このような姿勢制御は、二足歩行ロボットやラジコンヘリコプターで利用することができる。以上のように、各種移動体の姿勢制御の実現にあたって、センサー素子1が組み込まれる。
以上のように移動体1500は、センサー素子1を備える。これにより、センサー素子1の優れた効果を享受して、移動体1500の特性を向上させることができる。なお、センサー素子1に代えて、センサー素子1Aを用いてもよい。
以上、本発明のセンサー素子、物理量センサー、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、前述した実施形態では、本発明のセンサー素子についてH型およびダブルT型を例に説明したが、貫通孔を有する駆動振動腕を有するものであれば、これに限定されず、例えば、二脚音叉、三脚音叉、直交型、角柱型等の種々の形態であってもよい。
また、駆動振動腕、検出振動腕および調整振動腕の数は、それぞれ、1つまたは3つ以上であってもよい。また、駆動振動腕は、検出振動腕を兼ねていてもよい。
また、駆動電極の数、位置、形状、大きさ等は、駆動振動腕を通電により振動させることができるものであれば、前述した実施形態に限定されるものではない。
また、検出電極の数、位置、形状、大きさ等は、物理量が加えられることによる検出振動腕の振動を電気的に検出することができるものであれば、前述した実施形態に限定されるものではない。