JP6766474B2 - 樹脂フィルム、及び放熱シート - Google Patents

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Description

この発明は、熱伝導性および耐電圧に優れ、放熱シートを構成する材料として適した樹脂フィルム、及び、この樹脂フィルムを用いた放熱シートに関するものである。
一般に、CPUやパワートランジスタなどの電子部品(発熱体)においては、発生した熱を放散するためにヒートシンク(放熱体)が配設される。
このような電子部品(発熱体)とヒートシンク(放熱体)は、例えば特許文献1−3に示すように、熱伝導性に優れたシート材(放熱シート)を介在させて積層されている。
例えば、特許文献1には、ポリイミド等の耐熱性、電気絶縁性及び機械的強度に富む樹脂フィルムを中間層とし、外層として酸化ベリリウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等を配合して熱伝導性及び電気特性を向上させたシリコーンゴム層を配した多層構造のシート材が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載された多層構造のシート材においては、外層のシリコーンゴム層と、中間層のポリイミド樹脂フィルムとの接着性が不安定で、経時的に層間剥離を生じやすく、耐久性に問題があった。
層間剥離を抑制するために、特許文献2には、外層として、エポキシ基、アルコキシ基、ビニル基、及び式Si−Hで表される基からなる群から選ばれた少なくとも1種の官能性基を有するケイ素化合物系接着性付与剤を含む組成物を硬化させてなる熱伝導性シリコーンゴム層を用いた多層構造のシート材が提案されている。
しかしながら、特許文献2に記載されたシート材においては、中間層となるポリイミド樹脂フィルムの熱伝導率が、外層である熱伝導性シリコーンゴム層に比べて顕著に低いため、シート材全体としての熱伝導特性が低くなるといった問題があった。
そこで、特許文献3には、中間層となるポリイミド層に無機粒子を配合することにより、ポリイミド層の熱伝導性を向上させたシート材が提案されている。
特公平02−24383号公報 特開2004−122664号公報 特許第5471868号公報
ところで、特許文献3に記載されたように、中間層となるポリイミド層に無機粒子を配合した場合、熱伝導性は向上するものの、ポリイミド層の耐電圧が低くなるといった問題があった。このため、シート材全体として十分な耐電圧を得るためには、外層として絶縁性で耐電圧が高いものを用いる必要があり、シート材全体として熱抵抗を十分に低くすることができなくなるといった問題があった。
また、絶縁性のフィラーは、導電性のフィラーと比較して熱伝導度が小さいため、外層の熱伝導度を十分高くしようとすると、大量にフィラーを添加せざるを得ず、その結果、外層が硬くなり、シート材の形状追従性が低下してしまうといった問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、熱伝導性および耐電圧に優れた樹脂フィルム、及び、この樹脂フィルムを備えた放熱シートを提供することを目的とする。
前述の課題を解決するために、本発明の樹脂フィルムは、少なくとも平行な2つの面を持つ形状のフィルム中に窒化ホウ素粒子が分散しており、前記フィルムに含まれる前記窒化ホウ素粒子の体積濃度が1vol%以上40vol%以下の範囲内とされ、前記フィルムは、ポリイミド樹脂で構成されており、平均粒径が0.01μm以上の前記窒化ホウ素粒子を含有するとともに、前記フィルムの厚さtと前記窒化ホウ素粒子の平均粒径dとの比t/dが4以上であり、前記フィルムの厚さ方向に沿った断面において、前記窒化ホウ素粒子の面積割合が前記フィルムの面方向に沿って変動しており、前記フィルムがなす長方形面の対角線の全長を均等に分割した50か所で測定した前記窒化ホウ素粒子の面積割合の変動係数CVが50%以上150%以下であることを特徴としている。
なお、本明細書中のフィルムの厚さ方向及び面方向は、図1に示すように、フィルム1の厚さに沿った方向とフィルム面に沿った方向を意味する。また窒化ホウ素とは六方晶窒化ホウ素を意味する。
この構成の樹脂フィルムによれば、フィルム中に窒化ホウ素粒子が分散しているので、熱伝導性に優れている。
さらに、少なくとも平行な2面を持つ形状のフィルムの厚さ方向に沿った断面において、窒化ホウ素粒子の面積割合が前記フィルムの面方向に沿って変動しており、前記面方向において均等に分割した50か所で測定した前記窒化ホウ素粒子の面積割合の変動係数CVが150%以下とされているので、窒化ホウ素粒子が樹脂フィルムの面方向における窒化ホウ素粒子の分布のバラつきが小さくなっている。ここで、ポリイミド層内の一部において厚さ方向で導通することで絶縁が破れることになるが、本発明では、上述のように、前記面方向における窒化ホウ素粒子の分布のバラつきが小さくなっているので、局所的に絶縁が破れることが抑えられ、耐電圧を大幅に向上させることが可能となる。
また、前記面方向において均等に分割した50か所で測定した前記窒化ホウ素粒子の面積割合の変動係数CVが50%以上とされているので、窒化ホウ素粒子の濃度が樹脂フィルムの面方向において適度にばらついており、この窒化ホウ素粒子によって熱伝導度を向上させることができる。
ここで、本発明の樹脂フィルムにおいては、前記フィルムの厚さ方向に沿った断面において、前記フィルムがなす長方形面の対角線の全長を均等に分割した50か所で測定した前記窒化ホウ素粒子の面積割合の最高値CMAXと平均値CAVEとの比CMAX/CAVEが6以下であることが好ましい。
この場合、前記面方向において均等に分割した50か所で測定した前記窒化ホウ素粒子の面積割合の最高値CMAXと平均値CAVEとの比CMAX/CAVEが小さく、窒化ホウ素粒子が局所的に集中しておらず、局所的に絶縁が破れることが確実に抑えられ、耐電圧を大幅に向上させることが可能となる。
また、本発明の樹脂フィルムにおいては、記フィルムの厚さtと前記窒化ホウ素粒子の平均粒径dとの比t/dが5以上であることが好ましい。
この場合フィルムの厚さtと前記窒化ホウ素粒子の平均粒径dとの比t/dが5以上とされているので、窒化ホウ素粒子に対してフィルムの厚さが確保され、耐電圧を確実に高くすることができる。
さらに、本発明の樹脂フィルムにおいては、前記フィルムに含まれる前記窒化ホウ素粒子の体積濃度が2vol%を超えて30vol%未満の範囲内であることが好ましい。
この場合、前記フィルムに含まれる前記窒化ホウ素粒子の体積濃度が2vol%を超えているので、熱伝導性を確実に向上させることができる。また、前記フィルムに含まれる前記窒化ホウ素粒子の体積濃度が30vol%未満とされているので、必要以上に硬くならず、可撓性が確保される。
本発明の放熱シートは、上述の樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、伝熱層が形成されていることを特徴としている。
この構成の放熱シートにおいては、上述した熱伝導性および耐電圧に優れた樹脂フィルムを備えているので、放熱シート全体としても熱伝導性および耐電圧に優れている。また、伝熱層に導電性フィラーを使用しても、全体として耐電圧を高くすることができる。さらに、伝熱層に導電性フィラーを用いることで、伝熱層が硬くなることを抑制でき、形状追従性に優れた放熱シートを得ることができる。
本発明によれば、熱伝導性および耐電圧に優れた樹脂フィルム、及び、この樹脂フィルムを備えた放熱シートを提供することができる。
本発明におけるフィルムの厚さ方向及び面方向の説明図である。 本実施形態である樹脂フィルムを用いた放熱シートの概略説明図である。 本実施形態である樹脂フィルムの厚さ方向に沿った断面における窒化ホウ素粒子の面積割合の面方向に関する濃度分布の一例である。
以下、本発明の一実施形態である樹脂フィルムおよび放熱シートについて、添付した図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
本実施形態である放熱シート10は、図1に示すように、少なくとも平行な2面を持つ形状の樹脂フィルム11と、この樹脂フィルムの平行な2面の両面に配設された伝熱層18,18と、を有している。
樹脂フィルム11は、図3(a)に示すように、フィルム中に窒化ホウ素粒子12が分散しており、前記フィルムの厚さ方向に沿った断面において、窒化ホウ素粒子12の面積割合が面方向に沿って変動しており、フィルムの面方向において均等に分割した50か所で測定した窒化ホウ素粒子の面積割合の変動係数CVが50%以上150%以下とされている。なお、変動係数CVの下限は60%以上であることが好ましく、変動係数CVの上限は110%以下であることが好ましい。
さらに、本実施形態では、前記フィルムの厚さ方向に沿った断面において、前記面方向において均等に分割した50か所で測定した前記窒化ホウ素粒子の面積割合の最高値CMAXと平均値CAVEとの比CMAX/CAVEが6以下とされていることが好ましい。
ここで、窒化ホウ素粒子12の面積割合の面方向に関する濃度分布は、次のようにして求めることができる。
まず、樹脂埋めしたフィルムを厚さ方向に沿った断面が出るように研磨する。次にEDXによって窒化ホウ素の面積割合を計測する。装置としては、例えば日立ハイテク社製の電界放射型走査電子顕微鏡 S−4300SEとEDAX社製EDSを用いる。本装置によって試料断面を観察する際、拡大倍率を調整し、観察画像の短いほうの一辺が、フィルムの厚さよりも大きく、フィルムの厚さに一番近くなる拡大倍率にする。その拡大倍率において、ソフトウェアTEAM Ver.2を用い、加速電圧15kV、ワーキングディスタンス15mm、時定数 12.8 μs、分解能256×200、Dwell Time 200msの条件を用いて、フィルム内の窒化ホウ素粒子12の濃度分布を、フィルムの面方向を均等に分割する間隔において50か所測定する。
本実施形態では、窒素濃度を元に窒化ホウ素粒子12の濃度を測定した。測定結果の画像(図3(a))を画像解析(例えば、ImageJ)によりBinary(図3(b))に変換した。これにより、元の画像は557列×443行の二値化されたデータとなる。本明細書上、元画像の左上を1行1列目のデータとし、元画像の右下に向かって行、列ともに数えるとする。つまり正のX軸方向とは、列数が増加する方向に対応する。その後、スケールバー表示の部分の行データ(各列における391行から443行までのデータ)を削除し、557列×390行のデータとする。
窒化ホウ素の部分の面積割合を、画像のX軸に沿って計算し、図3(c)に示すような、窒化ホウ素粒子12の面積割合の面方向に関する濃度分布(N(列)という列に依存する関数として記載する)を得る。より具体的には、各列における窒化ホウ素部分に対応するセル数/行数(この場合390)×100によって計算できる。
この分布:N(列)から、X軸方向(行方向)における濃度分布の平均(CAVE)と標準偏差、また最高値CMAXを算出する。CAVEはN(列)のすべての列に対応する値の総和を列数で割ったもの、標準偏差は(N(列)−CAVEのすべての列に対応する値の総和を列数で割ったものの平方根で求められる。ここから変動係数CV、及び、最高値CMAXと平均値CAVEとの比CMAX/CAVEを求めることができる。
さらに、本実施形態である樹脂フィルム11は、粒径が0.01μm以上の窒化ホウ素粒子12を含有するとともに、フィルムの厚さtと窒化ホウ素粒子12の平均粒径dとの比t/dが5以上とされていることが好ましい。また、t/dは10以上300以下であることがより好ましい。
なお、窒化ホウ素粒子12の粒径は、0.1μm以上5μm以下の範囲内とすることが好ましい。
ここで、本実施形態における窒化ホウ素粒子12の粒径は、レーザー回折式粒度分布装置によって測定されたメディアン径D50である。
また、本実施形態では、フィルムに含まれる窒化ホウ素粒子12の体積濃度が2vol%を超えて30vol%未満の範囲内とされていることが好ましい。
ここで、本実施形態におけるフィルム中の窒化ホウ素粒子12の体積濃度は、フィルムを熱重量測定(TG)によって測定し、室温から700℃までの重量減を樹脂分とし、700℃の時点での残さ分を窒化ホウ素の重量とすることで、フィルム中の窒化ホウ素粒子の重量濃度を求め、窒化ホウ素粒子と樹脂の密度を用いて体積濃度を算出した。具体的には窒化ホウ素粒子の密度は2.1g/cm、樹脂の密度は1.4g/cmとした。
伝熱層18は、特に限定はないが、例えばシリコーンゴムに無機フィラーを分散させた熱伝導性シリコーンゴム層としてもよい。この場合、無機フィラーとしては、例えば、炭素繊維、アルミナ等を用いることができる。
本実施形態である樹脂フィルム11によれば、フィルム中に窒化ホウ素粒子12が分散しているので、熱伝導性に優れている。
さらに、前記フィルムの厚さ方向に沿った断面において、窒化ホウ素粒子の面積割合が面方向に沿って変動しており、前記面方向において均等に分割した50か所で測定した前記窒化ホウ素粒子の面積割合の変動係数CVが150%以下とされているので、窒化ホウ素粒子12の濃度が局所的に高くなりすぎることがなく、樹脂フィルム11の厚さに依存せずに耐電圧に優れる。
また、前記面方向において均等に分割した50か所で測定した前記窒化ホウ素粒子の面積割合の変動係数CVが50%以上とされているので、窒化ホウ素粒子12の濃度が均一になりすぎず、樹脂フィルム11の厚さに依存せずに熱伝導度に優れる。
よって、樹脂フィルム11の厚さが変わっても耐電圧の低下を最小限に抑えながら、熱伝導度を向上させることができる。なお、上述の変動係数CVを60%以上、あるいは、110%以下とすることで、上述の作用効果をさらに確実に奏功せしめることができる。
さらに、本実施形態である樹脂フィルム11によれば、厚さ方向に沿った断面において、前記面方向において均等に分割した50か所で測定した前記窒化ホウ素粒子の面積割合の最高値CMAXと平均値CAVEとの比CMAX/CAVEが6以下とされているので、面方向において窒化ホウ素粒子12が局所的に集中しておらず、局所的に絶縁が破れることが確実に抑えられ、耐電圧を大幅に向上させることが可能となる。
また、本実施形態である樹脂フィルム11によれば、粒径が0.01μm以上の窒化ホウ素粒子12を含有しているので、窒化ホウ素粒子12と樹脂間での界面熱抵抗の寄与が小さくなり、全体としての伝熱抵抗が小さく熱伝導度に優れる。なお、窒化ホウ素粒子12の粒径を0.1μm以上5μm以下の範囲内とすることにより、上述の作用効果をさらに確実に奏功せしめることができる。
さらに、フィルムの厚さtと窒化ホウ素粒子12の平均粒径dとの比t/dが5以上とされているので、窒化ホウ素粒子12に対してフィルムの厚さが確保され、耐電圧を確実に高くすることができる。
また、本実施形態である樹脂フィルム11によれば、フィルムに含まれる窒化ホウ素粒子12の体積濃度が2vol%を超えているので、フィルム中での窒化ホウ素粒子の占有体積が大きく更に高い熱伝導度を有する。さらに、フィルムに含まれる窒化ホウ素粒子12の体積濃度が30vol%未満とされているので、必要以上に硬くならず、可撓性が確保される。なお、フィルムに含まれる窒化ホウ素粒子12の体積濃度を5vol%以上25vol%以下とすることにより、上述の作用効果を確実に奏功せしめることができる。
そして、本実施形態である放熱シート10によれば、本実施形態である樹脂フィルム11を備えているので、熱伝導性および耐電圧に優れている。また、樹脂フィルム11が耐電圧に優れているので、伝熱層18に導電性フィラーを使用することができ、伝熱層18が硬くなることを抑制し、形状追従性に優れた放熱シート10を得ることができる。
以上、この発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
例えば、本実施形態では、伝熱層として熱伝導性シリコーンゴム層を形成するものとして説明したが、これに限定されることはなく、伝熱層の構成に特に制限はない。
以下、本発明の効果を本発明例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<本発明例1>
(ポリアミック酸の合成)
300mL容セパラブルフラスコに所定量の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、およびN−メチルピロリドン(NMP)を仕込んだ。NMP量は、得られるポリアミック酸の濃度が40wt%になるように調整した。常温で撹拌し、ジアミンを完全に溶解させた後、内温が30℃を超えないよう、所定量のテトラカルボン酸2無水物を少量ずつ添加した。窒素雰囲気下で16時間の撹拌を続け、ポリアミック酸溶液として得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
粒径が0.1μmの窒化ホウ素粉末をNMP溶液中において、30分超音波処理することで分散させた。ここにポリアミック酸溶液を添加し、最終的に溶液中ポリアミック酸濃度が20wt%、またポリイミド膜中の窒化ホウ素濃度が10vol%となるように溶液を調整した。この溶液を3本ロールにて混連した。その後上記混合溶液を、離形フィルム(ユニチカ社製、ユニピール)上に40μm厚となるよう塗布した。その後、120℃で10分間加熱し、乾燥させた。その後、離形フィルムからはがし、自立性フィルムとした後、ステンレス製型枠にクリップで数箇所固定した後、250℃で1分間、400℃で1分間加熱することで硬化させ、長方形のフィルム面を有し、厚さが10μmの窒化ホウ素添加ポリイミドフィルム(樹脂フィルム)を得た。
<本発明例2〜8、比較例1〜8>
表1に示すように本発明例1に記載した窒化ホウ素粒子と異なる平均粒径を有する窒化ホウ素粒子を用い、また、表1に示すように、フィルムの厚さ、窒化ホウ素粒子の体積濃度を変更して、本発明例2〜30及び比較例1〜8とした。
<比較例9>
実施例1のポリアミック酸溶液に窒化ホウ素粒子を添加することなくポリイミドフィルム(樹脂フィルム)を作製した。
上述のようにして得られたポリイミドフィルム(樹脂フィルム)を、以下の項目についてように評価した。その結果を表1に示す。
(窒化ホウ素粒子の粒径)
窒化ホウ素粒子の粒径は、プローブ式超音波分散装置(Vibra cell社製 モデルVCX750)を用い、分散剤(コール酸ナトリウム:東京化成工業株式会社製)を窒化ホウ素粒子に対して5wt%添加した水に10分間強度50%にて分散処理を行った窒化ホウ素粒子分散液に対して、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA―960)を用いて測定した時のメディアン径とした。
フィルムをエポキシ樹脂マトリックス(Buehler社製:EpoxiCure2、製品番号20−3430−064と硬化材 Buehler社製:EpoxiCure2 Harderner、製品番号20−3432−016を100:34の重量割合で混ぜたもの)中に固定した。その後、厚さ方向に沿った断面が出るように鏡面研磨を行った。次に日立ハイテク社製の電界放射型走査電子顕微鏡 S−4300SEとEDAX社製EDSを用いて、ソフトウェアTEAM Ver.2を用い、加速電圧15kV、ワーキングディスタンス15mm、時定数 12.8 μs、分解能256×200、Dwell Time 200msの条件を用いてフィルム内の窒化ホウ素粒子12の濃度分布をフィルムの面方向(本実施例では、フィルム面がなす長方形の対角線方向)を均等に分割する間隔において、50か所測定した。なおその際の拡大倍率を調整し、観察画像の短いほうの一辺が、フィルムの厚さよりも大きく、フィルムの厚さに一番近くなる拡大倍率において測定した。またスキャンは500回行った。測定結果の画像を、ImageJを用いてスレッシュホールド等の調整を行わず、そのままBinaryに変換した。これにより、元の画像は557列×443行の二値化されたデータとなった。その後、スケールバー表示の部分の行データ(各列における391行から443行までのデータ)を削除し、557列×390行のデータとした。
その後、窒化ホウ素の部分の面積割合を画像のX軸に沿って計算し、フィルム中の窒化ホウ素濃度の濃度分布(N(列))を算出した。より具体的には、各列における窒化ホウ素部分に対応するセル数/390×100によって計算した。
この分布:N(列)から、X軸方向(行方向)における濃度分布の平均(CAVE)と標準偏差、また最高値CMAXを算出した。CAVEはN(列)のすべての列に対応する値の総和を列数で割ったもの、標準偏差は(N(列)−CAVEのすべての列に対応する値の総和を列数で割ったものの平方根で求めた。ここから変動係数CV、及び、最高値CMAXと平均値CAVEとの比CMAX/CAVEを求めた。
(窒化ホウ素粒子の体積濃度)
フィルムを熱重量測定(TG)によって測定し、室温から700℃までの重量減を樹脂分とし、700℃の時点での残さ分を窒化ホウ素の重量とすることで、フィルム中の窒化ホウ素粒子の重量濃度を求め、窒化ホウ素粒子と樹脂の密度を用いて体積濃度を算出した。具体的には、窒化ホウ素粒子の密度は2.1g/cm、樹脂の密度は1.4g/cmとした。
(耐電圧)
耐電圧は、株式会社計測技研の多機能安全試験器7440を用いて測定した。JIS C 2151に示される平板電極法に従って測定した。上部電極は直径25mmの真鍮製円柱、下部電極は直径75mmのアルミ製円柱を使用し、大気中にて直流6000Vまで30秒で昇圧し、両電極間に流れる電流が5000μAになった時点の電圧を絶縁皮膜の厚さで除算し、この値を耐電圧とした。測定は20点について行い、その算術平均値を測定値とした。
(絶縁皮膜の垂直方向の熱伝導度)
NETZSCH−GeratebauGmbH製のLFA477Nanoflashを用いたレーザーフラッシュ法で測定した。測定は室温、大気中雰囲気にて行った。ポリイミドフィルムの熱伝導度の計算には、窒化ホウ素の密度2.1g/cm、窒化ホウ素の比熱0.8J/gK、ポリイミド樹脂の密度1.4g/cm、ポリイミド樹脂の比熱1.13J/gKを用いた。
(可撓性)
可撓性評価用には、離形フィルム上ではなく、厚さ0.3mmの銅板上にポリアミック酸+窒化ホウ素溶液を塗布し、厚さ25μmのポリイミドフィルムでコーティングした銅板を作製した。このポリイミドフィルム付き銅板30cmを厚さ0.3mmの銅板2枚を重ね、2枚の銅板に沿ってポリイミドフィルム付き銅板を曲げた。曲げた長さ30cmのポリイミドフィルム付き銅板をフェノールフタレイン液中に浸漬し、これらのポリイミドフィルム付き銅板を負極として12Vで1分間印加し、紫色の反応生成物や気泡が出るか否か確認した(JIS C3216−5)。紫色の反応生成物や気泡が全く出ないときを「良好」とし、1、2か所からみられた場合のときを「可」と判定した。
比較例1−7においては、フィルムの面方向において均等に分割した50か所で測定した窒化ホウ素粒子の面積割合の変動係数CVが150%を超えており、耐電圧が低くなった。
比較例8においては、フィルムの面方向において均等に分割した50か所で測定した前記窒化ホウ素粒子の面積割合の変動係数CVが50%未満とされており、熱伝導度が不十分であった。
比較例9においては、窒化ホウ素粒子を配合しておらず、熱伝導度が不十分であった。
これに対して、本発明例においては、フィルムの面方向において均等に分割した50か所で測定した窒化ホウ素粒子の面積割合の変動係数CVが50%以上150%以下の範囲内とされており、耐電圧および熱伝導度に優れていることが確認された。
詳しく説明すると、本発明例1、5と、本発明例2〜4、6〜8を比較してみると、窒化ホウ素粒子の平均粒径を0.1μm以上にした場合、より耐電圧と熱伝導度のバランスの取れた樹脂フィルムを作製できることが判った。また、表1から明らかなように、本発明例2〜4、6〜8、11〜13、15〜22と本発明例5、9,10,14,23〜26を比較してみると、t/dの値を10〜300にした場合、より耐電圧と熱伝導度のバランスの取れた樹脂フィルムを作製できることが判った。
また、本発明例1〜27と本発明例29を比較してみると、CMAX/CAVEの値を6以下にした場合、より耐電圧と熱伝導度のバランスの取れた樹脂フィルムを作製できることがわかった。
さらに、本発明例1〜27と本発明例30を比較してみると、前記フィルムの厚さtと前記窒化ホウ素粒子の平均粒径dとの比t/dの値を5以上にした場合、より耐電圧と熱伝導度のバランスの取れた樹脂フィルムを作製できることがわかった。
また、本発明例1〜26と本発明例27を比較してみると、窒化ホウ素粒子の濃度を2体積%以上にした場合、より耐電圧と熱伝導度のバランスの取れた樹脂フィルムを作製できることが判った。また、本発明例1〜26と本発明例28を比較してみると、窒化ホウ素粒子の濃度を30体積%以下にした場合、可撓性のより優れた樹脂フィルムを作製できることが判った。
1 フィルム
10 放熱シート
11 樹脂フィルム
12 窒化ホウ素粒子
18 伝熱層

Claims (5)

  1. 少なくとも平行な2つの面を持つ形状のフィルム中に窒化ホウ素粒子が分散しており、
    前記フィルムに含まれる前記窒化ホウ素粒子の体積濃度が1vol%以上40vol%以下の範囲内とされ、
    前記フィルムは、ポリイミド樹脂で構成されており、
    平均粒径が0.01μm以上の前記窒化ホウ素粒子を含有するとともに、前記フィルムの厚さtと前記窒化ホウ素粒子の平均粒径dとの比t/dが4以上であり、
    前記フィルムの厚さ方向に沿った断面において、前記窒化ホウ素粒子の面積割合が前記フィルムの面方向に沿って変動しており、
    前記フィルムがなす長方形面の対角線の全長を均等に分割した50か所で測定した前記窒化ホウ素粒子の面積割合の変動係数CVが50%以上150%以下であることを特徴とする樹脂フィルム。
  2. 前記フィルムの厚さ方向に沿った断面において、前記フィルムがなす長方形面の対角線の全長を均等に分割した50か所で測定した前記窒化ホウ素粒子の面積割合の最高値CMAXと平均値CAVEとの比CMAX/CAVEが6以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂フィルム。
  3. 記フィルムの厚さtと前記窒化ホウ素粒子の平均粒径dとの比t/dが5以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂フィルム。
  4. 前記フィルムに含まれる前記窒化ホウ素粒子の体積濃度が2vol%を超えて30vol%未満の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、伝熱層が形成されていることを特徴とする放熱シート。
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