JP7468190B2 - 絶縁性放熱材料、絶縁膜及び絶縁膜の製造方法 - Google Patents

絶縁性放熱材料、絶縁膜及び絶縁膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、絶縁性放熱材料、絶縁膜及び絶縁膜の製造方法に関する。
絶縁性放熱材料は、例えば、金属ベース基板の絶縁膜の材料として用いられる。金属ベース基板は、半導体素子やLEDなどの電子部品を実装するための基板の一つである。金属ベース基板は、金属基板と、絶縁膜と、回路層とがこの順で積層された積層体である。電子部品は、回路層の上にはんだを介して実装される。このような構成とされた金属ベース基板では、電子部品にて発生した熱は、絶縁膜を介して金属基板に伝達され、金属基板から外部に放熱される。このため、絶縁膜は、耐電圧性に優れ、かつ熱伝導性が高いことが要求される。このような絶縁膜の材料として用いられる絶縁性放熱材料は、一般に、絶縁性や耐電圧性に優れる樹脂と、熱伝導性に優れるフィラーとを含む。
絶縁性放熱材料に含まれるフィラーとしては、アルミナ、窒化アルミニウム、マグネシア、炭化珪素、結晶シリカなどの無機物粒子が利用されている。また、絶縁性放熱材料に含まれる無機物粒子として平均粒径が異なるものを使用することが検討されている(特許文献1~3)。
特開2012-31402号公報 特開2014-189701号公報 特開2015-207669号公報
ところで、近年の電子機器の高集積化や小型化にともなって、金属ベース基板はさらなる耐電圧性と熱伝導性の向上が望まれている。このため、金属ベース基板の絶縁膜の材料として用いられる絶縁性放熱材料に対してもさらなる耐電圧性と熱伝導性の向上が要求されている。しかしながら、フィラーは絶縁性放熱材料の熱伝導性の向上に対しては有効であるが、フィラーの含有量を多くして、樹脂の含有量を少なくすると、絶縁性放熱材料内の耐電圧性が低下することがある。このため、耐電圧性と熱伝導性の両者をバランスよく向上させることは難しい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、耐電圧性と熱伝導性の両者がバランスよく向上した絶縁性放熱材料及び絶縁膜を提供することを目的とする。本発明はまた、耐電圧性と熱伝導性の両者がバランスよく向上した絶縁膜の製造方法を提供することもその目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の絶縁性放熱材料は、樹脂とフィラーとを含む絶縁性放熱材料であって、前記フィラーは、平均粒径が1.0μm以上3.0μm以下の範囲内にある窒化アルミニウム粒子と、粒径が0.3μm超え1.0μm以下のアルミナ粒子と、粒径が0.3μm以下のアルミナ粒子とを含み、前記窒化アルミニウム粒子の含有量が前記絶縁性放熱材料中の体積濃度で25体積%以上40体積%以下の範囲内にあって、前記粒径が0.3μm超え1.0μm以下のアルミナ粒子の含有量が前記絶縁性放熱材料中の体積濃度で11体積%以上17体積%以下の範囲内にあり、前記粒径が0.3μm以下のアルミナ粒子の含有量が前記絶縁性放熱材料中の体積濃度で12体積%以上17体積%以下の範囲内にある。
本発明の絶縁性放熱材料によれば、平均粒径が1.0μm以上3.0μm以下の範囲内にある窒化アルミニウム粒子と、粒径が1.0μm以下のアルミナ粒子と、粒径が0.3μm以下のアルミナ粒子とを含み、窒化アルミニウム粒子の粒子間に微細なアルミナ粒子を効率よく介在させることができる。よって、無機物粒子の添加による耐電圧性の低下を抑えつつ、絶縁性放熱材料の熱伝導性を向上させることができる。特に、本発明の絶縁性放熱材料によれば、窒化アルミニウム粒子の含有量が上記の範囲内とされ、粒径が1.0μm以下であるアルミナ粒子と、さらに微細な粒子径が0.3μm以下のアルミナ粒子の含有量が上記の範囲内とされているので、耐電圧性を低下させずに、熱伝導性をより向上させることができる。
ここで、本発明の絶縁性放熱材料においては、前記フィラーは、前記フィラーの粒度分布が、0.01μm以上1.0μm未満の範囲内において、少なくとも2つのピークを有することが好ましい。
この場合、相対的に粒子径が大きいアルミナ粒子と相対的に粒子径が小さいアルミナ粒子との差が明確になるので、相対的に粒子径が大きいアルミナ粒子の粒子間に、相対的に粒子径が小さいアルミナ粒子をより効率よく介在させることができる。よって、絶縁性放熱材料の熱伝導性をより向上させることができる。なお、粒度分布は、体積基準の度数分布である。体積基準の度数分布は、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
また、本発明の絶縁性放熱材料において、前記樹脂は、ポリイミド、又はポリアミドイミド、もしくはこれらの混合物であることが好ましい。
この場合、絶縁性放熱材料の絶縁性、耐電圧性、化学的耐性及び機械特性を向上させることができる。
また、本発明の絶縁性放熱材料においては、前記窒化アルミニウム粒子の体積濃度が、前記粒径が1.0μm以下のアルミナ粒子の体積濃度よりも高いことが好ましい。
この場合、フィラーに含まれる相対的に粒径が大きい窒化アルミニウム粒子の粒子間を、相対的に粒径が小さい1.0μm以下のアルミナ粒子が埋めて、ボイド(気孔)の発生を抑制するため、熱伝導性と絶縁性をより向上させることができる。
本発明の絶縁膜は、上述の絶縁性放熱材料を含む。
本発明の絶縁膜は、上述の絶縁性放熱材料を含むので、耐電圧性と熱伝導性の両者をバランスよく向上させることができる。
本発明の絶縁膜の製造方法は、平均粒径が1.0μm以上3.0μm以下の範囲内にある窒化アルミニウム粒子を固形分中の体積濃度で25体積%以上40体積%以下の範囲内、平均粒径が0.01μm以上1.0μm未満の範囲内にあるアルミナ粒子を固形分中の体積濃度で20体積%以上40体積%以下の範囲内、残部が樹脂となる割合で含有する固形分と、溶媒とを含む液状組成物であって、前記窒化アルミニウム粒子の含有量が固形分中の体積濃度で25体積%以上40体積%以下の範囲内にあって、粒径が0.3μm超え1.0μm以下のアルミナ粒子の含有量が固形分中の体積濃度で11体積%以上17体積%以下の範囲内にあり、粒径が0.3μm以下のアルミナ粒子の含有量が固形分中の体積濃度で12体積%以上17体積%以下の範囲内にある液状組成物を用いて、基板の上に、湿潤絶縁性組成物膜を形成する工程と、前記湿潤絶縁性組成物膜を加熱して絶縁膜を形成する工程と、を有する。
上記の本発明の絶縁膜の製造方法によれば、相対的に平均粒径が大きい窒化アルミニウム粒子と相対的に平均粒径が小さいアルミナ粒子を、固形分中の体積濃度が上記の範囲内となる割合で使用するので、相対的に粒子径が大きい窒化アルミニウム粒子の粒子間に、相対的に粒子径が小さいアルミナ粒子を効率よく介在させることができる。よって、耐電圧性と熱伝導性の両者がバランスよく向上した絶縁膜を製造することができる。なお、平均粒径は、体積平均粒径を意味する。体積平均粒径は、粒子の全体積を100%とした体積基準の累積度数分布曲線において、体積50%に相当する点の粒径である。体積基準の累積度数分布曲線は、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置で測定することができる。
また、本発明の絶縁膜の製造方法は、平均粒径が1.0μm以上3.0μm以下の範囲にある窒化アルミニウム粒子を固形分中の体積濃度で25体積%以上40体積%以下の範囲内、平均粒径が0.01μm以上0.3μm未満の範囲内にあるアルミナ粒子を固形分中の体積濃度で10体積%以上20体積%以下の範囲内、平均粒径が0.3μm以上1.0μm未満 の範囲内にあるアルミナ粒子を固形分中の体積濃度で10体積%以上20体積%以下の範囲内、残部が樹脂となる割合で含有する固形分と、溶媒とを含む液状組成物であって、前記窒化アルミニウム粒子の含有量が固形分中の体積濃度で25体積%以上40体積%以下の範囲内にあって、粒径が1.0μm以下のアルミナ粒子の含有量が固形分中の体積濃度で20体積%以上40体積%以下の範囲内にあり、粒径が0.3μm以下のアルミナ粒子の含有量が固形分中の体積濃度で10体積%以上20体積%以下の範囲内にある液状組成物を用いて、基板の上に、湿潤絶縁性組成物膜を形成する工程と、前記湿潤絶縁性組成物膜を加熱して絶縁膜を形成する工程と、を有する。
上記の本発明の絶縁膜の方法によれば、平均粒径が異なる2種類のアルミナ粒子を、固形分中の体積濃度が上記の範囲内となる割合で使用するので、相対的に粒子径が大きい窒化アルミニウム粒子の粒子間に、相対的に粒子径が小さいアルミナ粒子を効率よく介在させることができる。よって、耐電圧性と熱伝導性の両者がバランスよく向上した絶縁膜を製造することができる。
本発明によれば、耐電圧性と熱伝導性の両者がバランスよく向上した絶縁性放熱材料及び絶縁膜を提供することが可能となる。また、本発明によれば、耐電圧性と熱伝導性の両者がバランスよく向上した絶縁膜の製造方法を提供することも可能となる。
本発明の一実施形態に係る絶縁性放熱材料の概略断面図である。
以下に、本発明の一実施形態について添付した図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る絶縁性放熱材料の概略断面図である。
図1において、絶縁性放熱材料1は、樹脂2とフィラー3とを含む。
樹脂2は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はこれらの混合物を含むことが好ましい。これらの樹脂は、絶縁性、耐電圧性、化学的耐性及び機械特性などの特性に優れるので、絶縁性放熱材料1のこれらの特性が向上する。
フィラー3は、樹脂2に分散されている。フィラー3は、平均粒径が1.0μm以上3.0μm以下の範囲内にある窒化アルミニウム粒子と、粒径が1.0μm以下のアルミナ粒子と、粒径が0.3μm以下のアルミナ粒子とを含む。すなわち、フィラー3は、窒化アルミニウム粒子4と、粒径が1.0μm以下で0.3μmを超える中径アルミナ粒子5aと、粒径が0.3μm以下の小径アルミナ粒子5bとを含む。窒化アルミニウム粒子4の粒子間に中径アルミナ粒子5aと小径アルミナ粒子5bとが介在し、窒化アルミニウム粒子4と中径アルミナ粒子5aの間及び中径アルミナ粒子5aの粒子間に小径アルミナ粒子5bが介在する。相対的に粒径が大きい粒子間に、相対的に粒径が小さい粒子を介在させることによって、粒子間の熱伝導性が向上する。
窒化アルミニウム粒子4は、粒子形状に特に制限ない。窒化アルミニウム粒子4は、例えば、球状、楕円球状、柱状、板状などの形状を有していてもよいし、均一な形状を持たない不定形であってもよい。
中径アルミナ粒子5a及び小径アルミナ粒子5bは、例えば、球状、楕円球状、柱状、板状などの形状を有していてもよいし、均一な形状を持たない不定形であってもよい。樹脂2に対する分散性や凝集のしにくさ、充填のしやすさなどの観点から、中径アルミナ粒子5a及び小径アルミナ粒子5bは、球状又は楕円球状であることが好ましい。
窒化アルミニウム粒子4の含有量は、絶縁性放熱材料1中の体積濃度で25体積%以上40体積%以下の範囲内にある。粒径が1.0μm以下のアルミナ粒子(中径アルミナ粒子5aと小径アルミナ粒子5bの合計)の含有量が絶縁性放熱材料1中の体積濃度で20体積%以上40体積%以下の範囲内にある。粒径が0.3μm以下のアルミナ粒子(小径アルミナ粒子5b)の含有量が絶縁性放熱材料1中の体積濃度で10体積%以上20体積%以下の範囲内にある。すなわち、中径アルミナ粒子5aの含有量は、10体積%以上20体積%以下の範囲内にある。フィラー3の含有量(窒化アルミニウム粒子4、中径アルミナ粒子5a及び小径アルミナ粒子5bの合計量)は、絶縁性放熱材料1中の体積濃度で50体積%以上80体積%以下の範囲内にあることが好ましい。
窒化アルミニウム粒子4、中径アルミナ粒子5a及び小径アルミナ粒子5bの含有量が上記の範囲内にあると、絶縁性放熱材料1の耐電圧性の低下を抑えつつ、絶縁性放熱材料1の熱伝導性を向上させることができる。フィラー3は、粒径が1.0μmを超える粗大アルミナ粒子を含んでいてもよい。粒径が1.0μmを超える粗大アルミナ粒子は絶縁性放熱材料1中の体積濃度で5体積%以上含まないことが好ましい。
中径アルミナ粒子5a及び小径アルミナ粒子5bの含有量が上記の範囲内にあると、窒化アルミニウム粒子4の粒子間に、十分に中径アルミナ粒子5a及び小径アルミナ粒子5bを介在させることができる。このため、絶縁性放熱材料1の耐電圧性の維持しつつ、絶縁性放熱材料1の熱伝導性を向上させることができる。
絶縁性放熱材料1の窒化アルミニウム粒子4の平均粒径、及び窒化アルミニウム粒子4とアルミナ粒子(中径アルミナ粒子5a及び小径アルミナ粒子5b)の含有量(体積濃度)は、次のようにして求めることができる。
絶縁性放熱材料1を大気中で加熱して、樹脂2を除去し、残分のフィラー3を回収する。加熱温度は、樹脂2が熱分解し、かつフィラー3が熱分解しない温度であれば特に制限はない。加熱時間は、例えば、12時間である。回収したフィラー3の重量を測定して、加熱前の絶縁性放熱材料1の重量とから、フィラー3の重量ベースの含有量(重量濃度)を算出する。
具体的には、加熱して回収したフィラー3の重量をWa(g)、加熱前の絶縁性放熱材料1の重量をWf(g)、フィラー3の密度をDa(g/cm)、樹脂2の密度をDr(g/cm)として、フィラー3の含有量(重量%)を下記の式より算出する。
フィラー3の含有量(重量%)=Wa/Wf×100
=Wa/{Wa+(Wf-Wa)}×100
次に、フィラー3のアルミナ粒子と窒化アルミニウム粒子の粒度分布を測定する。
加熱回収したフィラー3に対して、SEM-EDX(走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光器)を用いて、元素マッピングを実施して、アルミナ粒子と窒化アルミニウム粒子を判別する。次いで、SEM画像を用いて、アルミナ粒子と窒化アルミニウム粒子の粒径をそれぞれ計測する。粒径を計測したアルミナ粒子と窒化アルミニウム粒子を球形近似することにより、体積基準の粒度分布を求める。窒化アルミニウム粒子の粒度分布から窒化アルミニウム粒子の平均粒径を算出する。また、アルミナ粒子の粒度分布から粒径が1.0μm以下の粒子の体積濃度(体積%)をVxとし、粒径が0.2μm以下の粒子の体積濃度(体積%)をVyとして算出する。
フィラー3の酸素と窒素の含有量を、酸素・窒素分析装置を用いて計測する。得られた窒素含有量を窒化アルミニウム粒子量に、酸素含有量をアルミナ粒子にそれぞれ換算して、窒化アルミニウム粒子に対するアルミナ粒子の質量比(アルミナ粒子/窒化アルミニウム粒子)をCとして算出する。上記の粒度分布から窒化アルミニウム粒子に対するアルミナ粒子の質量比(アルミナ粒子/窒化アルミニウム粒子)をC’として算出する。酸素・窒素分析装置を用いて求めた質量比Cと粒度分布から求めた質量比C’との差[(X-Y)/X×100]が3%未満であることを確認する。質量比Cと質量比C’との差が3%以上である場合は、その差が3%未満となるように、アルミナ粒子と窒化アルミニウム粒子の粒度分布について重みづけを実施する。
フィラー3の密度Daを、質量比Cと、窒化アルミニウム粒子の密度Dn(g/cm)、アルミナ粒子の密度Dо(g/cm)を用いて、下記の式より算出する。
Da(g/cm)=Dn×{1/(1+C)}+Do×{C/(1+C)}
次に、フィラー3の含有量Va(体積%)を、加熱回収したフィラー3の重量Wa(g)と、フィラー3の密度Da(g/cm)と、加熱前の絶縁性放熱材料1の重量Wf(g)と、樹脂2の密度Dr(g/cm)を用いて、下記の式より算出する。
Va(体積%)=(Wa/Da)/{(Wa/Da)+(Wf-Wa)/Dr}×100
窒化アルミニウム粒子の体積濃度Vn(体積%)を、下記の式より算出する。
Vn(体積%)=Va×{1/(1+C×Dn/Dо)
粒径が1.0μm以下のアルミナ粒子の体積濃度Vo1.0(体積%)を、下記の式より算出する。
Vo1.0(体積%)=(Va-Vn)×Vx/100
粒径が0.2μm以下のアルミナ粒子の体積濃度Vo0.2(体積%)を、下記の式より算出する。
Vo0.2(体積%)=(Va-Vn)×Vy/100
フィラー3は、フィラー3の粒度分布が0.01μm以上1.0μm未満の範囲内において、少なくとも2つのピークを有していてもよい。
粒径が相対的に大きいピークは、0.5μm以上0.9μm以下の範囲内にあることが好ましい。粒径が相対的に小さいピークは、0.05μm以上0.3μm未満の範囲内にあることが好ましい。大径側のピークと小径側のピークとの差は、0.2μm以上0.8μm以下の範囲内にあることが好ましく、0.3μm以上0.7μm以下の範囲内にあることがより好ましい。
本実施形態の絶縁性放熱材料1は、例えば、金属ベース基板などの回路基板において、金属箔(回路パターン)と基板の間に配置する絶縁膜として用いることができる。また、電子部品や回路基板の表面を保護する保護膜として用いることができる。さらに、単独のシート又はフィルムとして、例えば、フレキシブルプリント基板などの回路基板用の絶縁膜として用いることができる。またさらに、エナメル線のエナメル膜のように、コイルやモータに利用される絶縁導体の絶縁膜として用いることができる。
次に、本実施形態の絶縁性放熱材料1を含む絶縁膜の製造方法を説明する。
本実施形態の絶縁膜の製造方法は、例えば、固形分と溶媒とを含む液状組成物を用いて、基板の上に、湿潤絶縁性組成物膜を形成する工程と、得られた湿潤絶縁性組成物膜を加熱して絶縁膜を形成する工程と、を有する。
液状組成物に含まれる固形分は、液状組成物を加熱して溶媒を除去したときに固体として残留する成分である。固形分は、窒化アルミニウム粒子、アルミナ粒子及び樹脂である。液状組成物中の樹脂は、溶媒に溶解していてもよい。
窒化アルミニウム粒子は、平均粒径が1.0μm以上3.0μm以下の範囲にある。窒化アルミニウム粒子は、粒径が1.0μm未満の粒子の含有量が40体積%以下であることが好ましく、3.0μm以上の粒子の含有量が5体積%以下 であることが好ましい。
アルミナ粒子は、一種のアルミナ粒子もしくは平均粒径が異なる二種のアルミナ粒子を含む。アルミナ粒子が一種のアルミナ粒子である場合、アルミナ粒子の平均粒径は、0.01μm以上1.0μm未満の範囲内、より好ましくは0.01μm以上0.8μm以下範囲内にある。窒化アルミニウム粒子とアルミナ粒子の平均粒径の差は、0.5μm以上1.3μm以下の範囲内にあることが好ましく、0.5μm以上1.0μm以下の範囲内にあることがより好ましい。アルミナ粒子は、1.0μmを超える粒子の含有量が5体積%以下であることが好ましい。
液状組成物の固形分の配合割合は、窒化アルミニウム粒子が体積濃度で25体積%以上40体積%以下の範囲内にあって、アルミナ粒子が体積濃度で20体積%以上40体積%以下の範囲内にあり、残部が樹脂となる割合である。また、液状組成物の固形分の組成は、窒化アルミニウム粒子の含有量が体積濃度で25体積%以上40体積%以下の範囲内にあって、粒径が1.0μm以下のアルミナ粒子の含有量が体積濃度で20体積%以上40体積%以下の範囲内にあり、粒径が0.3μm以下のアルミナ粒子の含有量が体積濃度で10体積%以上20体積%以下の範囲内にある。
窒化アルミニウム粒子と、アルミナ粒子と、樹脂との混合方法は特に制限はない。例えば、窒化アルミニウム粒子とアルミナ粒子と溶媒を含む粒子混合物分散液と、樹脂溶液とを混合してもよい。また、窒化アルミニウム粒子分散液と、アルミナ粒子分散液と、樹脂溶液とを同時に混合してもよい。
アルミナ粒子が二種のアルミナ粒子を含む場合、平均粒径が相対的に小さい第1アルミナ粒子は、平均粒径が0.01μm以上0.3μm未満の範囲内にある。第1アルミナ粒子は、粒径が0.01μm未満の粒子の含有量が1体積%以下であることが好ましく、粒径が0.3μm以上の粒子の含有量が20体積%以下であることが好ましい。また、平均粒径が相対的に大きい第2アルミナ粒子は、平均粒径が0.3μm以上1.0μm未満の範囲内にある。第2アルミナ粒子は、粒径が0.3μm未満の粒子の含有量が3体積%以下であることが好ましく、1.0μmを超える粒子の含有量が30体積%以下であることが好ましい。
液状組成物の固形分の配合割合は、窒化アルミニウム粒子が固形分中の体積濃度で25体積%以上40体積%以下の範囲内にあって、第1アルミナ粒子が固形分中の体積濃度で10体積%以上20体積%以下の範囲内にあり、第2アルミナ粒子が固形分中の体積濃度で10体積%以上20体積%以下の範囲内にあって、残部が樹脂となる割合である。また、液状組成物の固形分の組成は、窒化アルミニウム粒子の含有量が体積濃度で25体積%以上40体積%以下の範囲内にあって、粒径が1.0μm以下のアルミナ粒子の含有量が体積濃度で20体積%以上40体積%以下の範囲内にあり、粒径が0.3μm以下のアルミナ粒子の含有量が体積濃度で10体積%以上20体積%以下の範囲内にある。
窒化アルミニウム粒子と、第1アルミナ粒子と、第2アルミナ粒子と、樹脂との混合方法は特に制限はない。例えば、窒化アルミニウム粒子と第1アルミナ粒子と第2アルミナ粒子と溶媒を含む粒子混合物分散液と、樹脂溶液とを混合してもよい。また、窒化アルミニウム粒子分散液と、第1アルミナ粒子分散液と、第2アルミナ粒子分散液と、樹脂溶液とを同時に混合してもよい。
上記の液状組成物を用いて、基板の上に、湿潤絶縁性組成物膜を形成する方法としては、塗布法又は電着法を用いることができる。
塗布法は、基板の上に、液状組成物を塗布して塗布層を形成する方法である。液状組成物を塗布する方法としては、スピンコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ディップコート法などを用いることができる。
電着法は、樹脂粒子と無機物粒子とを含む液状組成物(電着液)に金属基板を浸漬して、金属基板の表面に樹脂粒子と無機物粒子とを電着させて電着層を形成する方法である。電着液としては、無機物粒子混合物が分散された分散液と樹脂が溶解した樹脂溶液とを混合して得られた無機物粒子分散樹脂溶液に、樹脂の貧溶媒を加えて樹脂を粒子として析出させることによって調製したものを用いることができる。
湿潤絶縁性組成物膜を加熱して絶縁膜を形成する方法としては、特に制限はなく、溶媒の揮発温度以上の温度で加熱すればよい。加熱温度は、通常は、200℃以上であり、好ましくは250℃以上である。
以上のような構成とされた本実施形態の絶縁性放熱材料1によれば、平均粒径が1.0μm以上3.0μm以下の範囲内にある窒化アルミニウム粒子4と、粒径が1.0μm以下で0.3μmを超える中径アルミナ粒子5aと、粒径が0.3μm以下の小径アルミナ粒子5bとを含み、窒化アルミニウム粒子4の粒子間に微細なアルミナ粒子(中径アルミナ粒子5aと小径アルミナ粒子5b)を効率よく介在させることができる。よって、無機物粒子の添加による耐電圧性の低下を抑えつつ、絶縁性放熱材料の熱伝導性を向上させることができる。特に、本実施形態の絶縁性放熱材料1によれば、窒化アルミニウム粒子4、中径アルミナ粒子5aおよび小径アルミナ粒子5bの含有量がそれぞれ上記の範囲内とされているので、耐電圧性を低下させずに、熱伝導性をより向上させることができる。
本実施形態の絶縁性放熱材料1において、フィラー3の粒度分布が、0.01μm以上1.0μm未満の範囲内において、少なくとも2つのピークを有する場合は、相対的に粒子径が大きいアルミナ粒子と相対的に粒子径が小さいアルミナ粒子との差が明確になるので、相対的に粒子径が大きいアルミナ粒子の粒子間に、相対的に粒子径が小さいアルミナ粒子をより効率よく介在させることができる。よって、絶縁性放熱材料の熱伝導性をより向上させることができる。また、本実施形態の絶縁性放熱材料1において、樹脂2がポリイミド、又はポリアミドイミド、もしくはこれらの混合物である場合は、絶縁性放熱材料1の絶縁性、耐電圧性、化学的耐性及び機械特性を向上させることができる。さらに、本実施形態の絶縁性放熱材料1において、フィラー3に含まれる相対的に粒径が大きい窒化アルミニウム粒子4の体積濃度が、相対的に粒径が小さい粒径が1.0μm以下のアルミナ粒子(中径アルミナ粒子5aと小径アルミナ粒子5bの合計)の体積濃度よりも高い場合は、フィラー3と樹脂2との界面での熱抵抗を低くできるので、熱伝導性をより向上させることができる。
また、本実施形態の絶縁膜は、上述の絶縁性放熱材料を含むので、耐電圧性と熱伝導性の両者をバランスよく向上させることができる。
さらに、本実施形態の絶縁膜の製造方法によれば、平均粒径が相対的に大きい窒化アルミニウム粒子と平均粒径が相対的に小さいアルミナ粒子とを、固形分中の体積濃度が上記の範囲内となる割合で使用するので、相対的に粒子径が大きい無機物粒子の粒子間に、相対的に粒子径が小さい無機物粒子を効率よく介在させることができる。よって、耐電圧性と熱伝導性の両者がバランスよく向上した絶縁膜を製造することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
実施例では、樹脂として、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミドイミドとポリイミドを質量比で50:50の割合で含む混合物(PI+PAI)を用い、フィラーとして、平均粒径が5.0μm、1.5μmの窒化アルミニウム粒子と、平均粒径が0.7μm、0.1μmのアルミナ粒子を用いた。平均粒径0.7μmのアルミナ粒子に含まれる2.5μm以下の粒子の含有率は100体積%、0.6μm以下の粒子の含有率は43体積%、平均粒径0.1μmのアルミナ粒子に含まれる0.6μm以下の粒子の含有率は100体積%、0.2μm以下の粒子の含有率は79体積%であった。
[本発明例1]
樹脂を体積濃度で33体積%、平均粒径が1.5μmの窒化アルミニウム粒子を体積濃度で35体積%、平均粒径が0.7μmのアルミナ粒子を体積濃度で20体積%、平均粒径が0.1μmのアルミナ粒子を体積濃度12体積%の割合で含むフィラー分散樹脂溶液を、次のようにして調製した。樹脂としては、ポリアミドイミドを用いた。
先ず、平均粒径が1.5μmの窒化アルミニウム粒子と、平均粒径が0.7μmのアルミナ粒子と、平均粒径が0.1μmのアルミナ粒子とを上記の割合で混合してフィラー混合物を作成した。得られたフィラー混合物1.0gを、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)を62.5g、1M2P(1-メトキシ-2-プロパノール)を10g、AE(アミノエーテル)を0.22gの割合で含む混合溶媒に投入し、30分間超音波処理して、フィラー分散液を調製した。また、ポリアミドイミドをNMPに溶解して樹脂溶液を調製した。
上記のフィラー分散液と上記の樹脂溶液とを、樹脂とフィラーの含有量が上記の割合となるように、かつ樹脂の濃度が5質量%となるように混合して、フィラー分散樹脂溶液を調製した。このフィラー分散樹脂溶液を用いて、電着法により絶縁性樹脂材料からなる絶縁膜を、次のようにして成膜して、絶縁膜付き銅基板を作製した。
上記のフィラー分散樹脂溶液を、5000rpmの回転速度で撹拌しながら、そのフィラー分散樹脂溶液に水を21g滴下して、樹脂を析出させることによって、フィラー分散電着液を調製した。得られたフィラー分散電着液に、厚み0.3mmで30mm×20mmの銅基板と、ステンレス電極とを浸漬し、銅基板を正極、ステンレス電極を負極として、100Vの直流電圧を印加して、銅基板の表面に電着膜を形成した。なお、銅基板の裏面は保護テープを貼り付けて、電着膜が形成されないように保護した。電着膜の膜厚は、加熱によって生成する絶縁膜の膜厚が20μmとなる厚みとした。次いで、電着膜を形成した銅基板を、大気雰囲気下、250℃で3分間加熱して、電着膜を乾燥させて、絶縁膜付き銅基板を作製した。
[本発明例2、比較例1~2]
樹脂の種類とフィラー分散樹脂溶液の組成を、下記の表1に示すとおりに代えたこと以外は、本発明例1と同様にして絶縁膜付き銅基板を作製した。なお、表1の樹脂の種類におけるPIはポリイミド、PAIはポリアミドイミドを示す。
[本発明例3]
樹脂を体積濃度で42体積%、平均粒径が1.5μmの窒化アルミニウム粒子を体積濃度で27体積%、平均粒径が0.7μmのアルミナ粒子を体積濃度で18体積%、平均粒径が0.1μmのアルミナ粒子を体積濃度13体積%の割合で含むフィラー分散樹脂溶液を、次のようにして調製した。樹脂としては、ポリアミドイミドとポリイミドの混合物を用いた。
先ず、平均粒径が1.5μmの窒化アルミニウム粒子と、平均粒径が0.7μmのアルミナ粒子と、平均粒径が0.1μmのアルミナ粒子とを上記の割合で混合してフィラー混合物を作成した。得られたフィラー混合物1.0gをシクロヘキサン10gに投入し、30分間超音波処理して、フィラー分散液を調製した。また、ポリアミドイミドをシクロヘキサンに溶解して樹脂の樹脂溶液を調製した。
上記のフィラー分散液と上記の樹脂溶液とを、樹脂とフィラーの含有量が上記の割合となるように、かつ樹脂の濃度が5質量%となるように混合して、フィラー分散樹脂溶液を調製した。
得られたフィラー分散樹脂溶液を、スギノマシン社製スターバーストを用い、圧力50MPaの高圧噴射処理を10回繰り返すことにより分散処理を行なって、フィラー分散樹脂塗布液を調製した。得られたフィラー分散樹脂塗布液を、厚み0.3mmで30mm×20mmの銅基板の表面に、加熱後の膜厚が20μmとなるように塗布して塗布膜を形成した。次いで塗布膜を形成した銅基板をホットプレート上に配置して、3℃/分の昇温速度で室温から60℃まで昇温し、60℃で100分間加熱した後、さらに1℃/分の昇温速度で120℃まで昇温し、120℃で100分間加熱して、乾燥して乾燥膜とした。その後、乾燥膜を250℃で1分間、次いで400℃で1分間加熱して、絶縁膜付き銅基板を作製した。
[本発明例4~5、比較例3~5]
樹脂の種類とフィラー分散樹脂溶液の組成を、下記の表1に示すとおりに代えたこと以外は、本発明例3と同様にして絶縁膜付き銅基板を作製した。
Figure 0007468190000001
[評価]
本発明例1~5及び比較例1~5で得られた絶縁膜付き銅基板について、下記の評価を行なった。その結果を、下記の表2に示す。
(絶縁膜中の窒化アルミニウム粒子とアルミナ粒子の体積濃度)
絶縁膜付き銅基板を塩化ナトリウム水溶液中にて通電し、銅基板から気体を発生させることにより、銅基板と絶縁膜とを分離した。得られた絶縁膜を用いて、前述の方法により絶縁膜中の窒化アルミニウム粒子とアルミナ粒子の体積濃度を測定した。次いで、前述の方法により粒径が1.0μm以下のアルミナ粒子と粒径が0.3μm以下のアルミナ粒子の体積濃度を測定した。
(膜厚当たりの耐電圧)
耐電圧は、株式会社計測技術研究所の多機能安全試験器7440を用いて測定した。絶縁膜付銅基板の絶縁膜の表面に電極(φ6mm)を配置した。絶縁膜付銅基板の銅基板と絶縁膜の表面に配置した電極をそれぞれ電源に接続し、6000Vまで30秒で昇圧した。銅基板と電極との間に流れる電流値が5000μAになった時点の電圧を絶縁膜の耐電圧とした。
(絶縁膜の熱伝導率)
熱伝導率(絶縁膜の厚さ方向の熱伝導率)は、NETZSCH-GeratebauGmbH製のLFA477 Nanoflashを用いて、レーザーフラッシュ法により測定した。熱伝導率は、界面熱抵抗を考慮しない2層モデルを用いて算出した。なお、銅基板の厚みは既述したように0.3mm、銅基板の熱拡散率は117.2mm/秒とした。絶縁膜の熱伝導率の計算には、窒化アルミニウム粒子の密度3.40g/cm、窒化アルミニウム粒子の比熱0.72J/gK、アルミナ粒子の密度3.89g/cm、アルミナ粒子の比熱0.78J/gK、ポリアミドイミド樹脂の密度1.41g/cm、ポリアミドイミド樹脂の比熱1.09J/gK、ポリイミドの密度1.4g/cm、ポリイミドの比熱1.13J/gKを用いた。
(性能値)
下記の式より得られた値を性能値とした。
性能値=膜厚当たりの耐電圧(kW/mm)×絶縁膜の熱伝導率(W/mK)
(ボイドの有無)
絶縁膜付き銅基板を樹脂埋めし、機械研磨によって断面を露出させた。次いで、露出した絶縁膜付き銅基板の絶縁膜の断面を、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察した。絶縁膜の断面積100μmに対して、最大径が0.3μm以上のボイド(気孔)が1個以上見られた場合を、ボイド有りとした。
Figure 0007468190000002
窒化アルミニウム粒子とアルミナ粒子の粒子径及び体積濃度がそれぞれ本発明の範囲内にある本発明例1~5は、性能値がいずれも高いことから、耐電圧性と熱伝導性とがバランスよく向上していることが確認された。特に、窒化アルミニウム粒子の体積濃度が粒径1.0μm以下のアルミナ粒子の体積濃度よりも高い本発明例1~2、4~5は、性能値が特に向上した。
窒化アルミニウム粒子の平均粒径が本発明の範囲を超える比較例1は、耐電圧性が低下する傾向が見られた。界面で絶縁破壊は進行しやすく、相対的に粒径の大きな粒子を利用すると、界面に沿った絶縁破壊経路が形成しやすくなるためである。
窒化アルミニウム粒子の体積濃度が本発明の範囲を超える比較例2は、耐電圧性が低下する傾向が見られた。これは、窒化アルミニウム粒子の粒子間を埋めるのに十分なアルミナ粒子が存在せず、絶縁膜中にボイド(気孔)が形成されたためである。
粒径が1.0μm以下(特に、粒径が0.3μm以下)のアルミナ粒子の体積濃度が本発明の範囲を超える比較例3は、耐電圧が低下する傾向が見られた。これは、相対的に粒径が小さいアルミナ粒子の割合が多くなったことによって、フィラーと樹脂との界面での熱抵抗が高くなったためである。
粒径が1.0μm以下のアルミナ粒子の体積濃度が本発明の範囲よりも少ない比較例4は、熱伝導率が低下する傾向が見られた。これは、窒化アルミニウム粒子の粒子間に介在する粒径が0.3μm以下のアルミナ粒子の量が低減したことによって、窒化アルミニウム粒子の粒子間にボイドが形成されたためである。
窒化アルミニウム粒子の体積濃度が本発明の範囲よりも低い比較例5は、熱伝導率が低くなる傾向が見られた。これは、絶縁膜中の窒化アルミニウム粒子の含有量が少なくなりすぎたことにより、熱を伝えるパスが充分に形成されなかったためである。
1 絶縁性放熱材料
2 樹脂
3 フィラー
4 窒化アルミニウム粒子
5a 中径アルミナ粒子
5b 小径アルミナ粒子

Claims (7)

  1. 樹脂とフィラーとを含む絶縁性放熱材料であって、
    前記フィラーは、平均粒径が1.0μm以上3.0μm以下の範囲内にある窒化アルミニウム粒子と、粒径が0.3μm超え1.0μm以下のアルミナ粒子と、粒径が0.3μm以下のアルミナ粒子とを含み、
    前記窒化アルミニウム粒子の含有量が前記絶縁性放熱材料中の体積濃度で25体積%以上40体積%以下の範囲内にあって、前記粒径が0.3μm超え1.0μm以下のアルミナ粒子の含有量が前記絶縁性放熱材料中の体積濃度で11体積%以上17体積%以下の範囲内にあり、前記粒径が0.3μm以下のアルミナ粒子の含有量が前記絶縁性放熱材料中の体積濃度で12体積%以上17体積%以下の範囲内にある絶縁性放熱材料。
  2. 前記フィラーは、前記フィラーの粒度分布が、0.01μm以上1.0μm未満の範囲内において、少なくとも2つのピークを有する請求項1に記載の絶縁性放熱材料。
  3. 前記樹脂は、ポリイミド、又はポリアミドイミド、もしくはこれらの混合物である請求項1又は2に記載の絶縁性放熱材料。
  4. 前記窒化アルミニウム粒子の体積濃度が、前記粒径が1.0μm以下のアルミナ粒子の体積濃度よりも高い請求項1から3のいずれか一項に記載の絶縁性放熱材料。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の絶縁性放熱材料を含む絶縁膜。
  6. 平均粒径が1.0μm以上3.0μm以下の範囲内にある窒化アルミニウム粒子を固形分中の体積濃度で25体積%以上40体積%以下の範囲内、平均粒径が0.01μm以上1.0μm未満の範囲内にあるアルミナ粒子を固形分中の体積濃度で20体積%以上40体積%以下の範囲内、残部が樹脂となる割合で含有する固形分と、溶媒とを含む液状組成物であって、前記窒化アルミニウム粒子の含有量が固形分中の体積濃度で25体積%以上40体積%以下の範囲内にあって、粒径が0.3μm超え1.0μm以下のアルミナ粒子の含有量が固形分中の体積濃度で11体積%以上17体積%以下の範囲内にあり、粒径が0.3μm以下のアルミナ粒子の含有量が固形分中の体積濃度で12体積%以上17体積%以下の範囲内にある液状組成物を用いて、基板の上に、湿潤絶縁性組成物膜を形成する工程と、
    前記湿潤絶縁性組成物膜を加熱して絶縁膜を形成する工程と、を有する絶縁膜の製造方法。
  7. 平均粒径が1.0μm以上3.0μm以下の範囲にある窒化アルミニウム粒子を固形分中の体積濃度で25体積%以上40体積%以下の範囲内、平均粒径が0.01μm以上0.3μm未満の範囲内にあるアルミナ粒子を固形分中の体積濃度で10体積%以上20体積%以下の範囲内、平均粒径が0.3μm以上1.0μm未満の範囲内にあるアルミナ粒子を固形分中の体積濃度で10体積%以上20体積%以下の範囲内、残部が樹脂となる割合で含有する固形分と、溶媒とを含む液状組成物であって、前記窒化アルミニウム粒子の含有量が固形分中の体積濃度で25体積%以上40体積%以下の範囲内にあって、粒径が1.0μm以下のアルミナ粒子の含有量が固形分中の体積濃度で20体積%以上40体積%以下の範囲内にあり、粒径が0.3μm以下のアルミナ粒子の含有量が固形分中の体積濃度で10体積%以上20体積%以下の範囲内にある液状組成物を用いて、基板の上に、湿潤絶縁性組成物膜を形成する工程と、
    前記湿潤絶縁性組成物膜を加熱して絶縁膜を形成する工程と、を有する絶縁膜の製造方法。
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