以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明、及び実質的に同一の構成に対する重複説明等を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成要素については同じ符号を付している。
(実施の形態1)
以下、図1〜図5を用いて、実施の形態1を説明する。
[1−1.構成]
図1は、実施の形態1における音声信号増幅装置1の一構成例を模式的に示すブロック図である。
本実施の形態における音声信号増幅装置1は、音声信号を増幅する音声信号増幅装置である。音声信号増幅装置1は、電源回路10と、クロック生成回路20と、増幅回路30と、を備える。
電源回路10は、交流電源又は直流電源等の電源(図示せず)から供給される入力電力を受けて、クロック生成回路20及び増幅回路30に供給する直流電力を生成する回路である。電源回路10の詳細は後述する。
クロック生成回路20は、音声信号を増幅する際の基準となるクロックを生成する回路である。クロック生成回路20は、後述する増幅回路30の動作に用いられるクロックを生成する。例えば、増幅回路30が備えるPWM(Pulse Width Modulation)処理部32では、所定の周波数のクロックを用いてPWM処理が行われる。PWM処理とは、音声信号が所定のパルス幅をもつパルス信号に変換される処理のことである。そして、クロック生成回路20は、その所定の周波数のクロックを生成する。クロック生成回路20は、クロックを生成する公知の回路で実現することができるので、詳細な説明は省略する。
増幅回路30は、A/D(Analog to Digital)変換器(図示せず)等でアナログ信号からデジタル信号に変換された音声信号(図1には、「入力音声信号」と記す)が入力され、入力された音声信号を増幅して出力する回路である。増幅回路30は、DSP(Digital Signal Processor)31と、PWM処理部32と、増幅部33と、LPF(Low Pass Filter)34と、を備える。
DSP31は、入力された音声信号に音響処理を施す。DSP31は、例えば、音声信号のサンプルレートの変換や周波数特性の調整、等の音響処理を行う。DSP31は、公知のデジタルシグナルプロセッサで実現することができるので、詳細な説明は省略する。また、DSP31で実行される音響処理も、公知の音響処理と実質的に同じ処理なので、詳細な説明は省略する。
PWM処理部32は、DSP31で音響処理された音声信号を、PWM処理により所定のパルス幅をもつパルス信号に変換する。具体的には、PWM処理部32は、音声信号の強度に応じたデューティ比をもつPWM信号を生成する。PWM処理部32で実行されるPWM処理は、公知のPWM処理と実質的に同じであるので、詳細な説明は省略する。
増幅部33は、例えば上下2段に接続されたスイッチング素子、及びこれらのスイッチング素子をそれぞれ駆動する駆動回路、等で構成される。スイッチング素子は、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であってもよく、あるいは、スイッチング機能を有する他の素子であってもよい。増幅部33は、上下2段のスイッチング素子が、駆動回路によって交互にオンオフを繰り返すことで、PWM処理部32から出力されたPWM信号の振幅を増幅する。増幅部33は、公知の信号増幅回路で実現することができるので、詳細な説明は省略する。
LPF34は、コイル及びコンデンサ等で構成される低域通過フィルタである。増幅部33で振幅が増幅されたパルス信号は、LPF34において高周波帯域がフィルタリングされることでPWM信号に含まれるキャリア周波数成分(高周波成分)が実質的に取り除かれて、アナログ信号に復調される。LPF34は、公知の低域通過フィルタ回路で実現することができるので、詳細な説明は省略する。
こうして、増幅部33で振幅が増幅されたPWM信号は、PWM信号のデューティ比に応じた信号強度のアナログ信号に復調される。LPF34でアナログ信号に復調された音声信号(図1には、「出力音声信号」と記す)は、例えばスピーカ(図示せず)等へ出力される。
このようにして、音声信号増幅装置1は、入力された音声信号(入力音声信号)を増幅する。
次に、電源回路10の詳細について、図2を用いて説明する。
図2は、実施の形態1における電源回路10の一構成例を模式的に示すブロック図である。なお、図2では、クロック生成回路20に供給される電力に関する構成を示し、増幅回路30に供給される電力に関する構成は省略する。
電源回路10は、定電圧生成回路11と、第1のコンデンサ12と、第1の充電回路13と、選択回路14と、制御回路15と、を備える。
定電圧生成回路11は、電源(図示せず)から供給される入力電力を安定化することによって、入力電力から定電圧の直流電力を生成する回路である。定電圧生成回路11は、例えば、レギュレータであってもよい。定電圧生成回路11は、後述する制御回路15から、定電圧生成回路11を動作させる指示を示す信号を受けて動作し、直流電力を生成する。また、定電圧生成回路11は、制御回路15から定電圧生成回路11を動作させる指示を示す信号を受けないとき、又は、動作を停止させる指示を示す信号を受けたときは、動作を停止し、直流電力を生成しない。定電圧生成回路11は、例えばレギュレータ等の公知の定電圧電力生成回路で実現することができるので、詳細な説明は省略する。
第1のコンデンサ12は、第1の充電回路13によって充電されるコンデンサを有する。第1のコンデンサ12が有するコンデンサは、例えば、電気二重層コンデンサであるが、他の種類のコンデンサであってもよい。
なお、本実施の形態では、第1のコンデンサ12が有するコンデンサが充電されることを、便宜的に「第1のコンデンサ12が充電される」と表記する。
第1の充電回路13は、電源(図示せず)から供給される入力電力を用いて第1のコンデンサ12を充電する回路である。第1のコンデンサ12及び第1の充電回路13の詳細は後述する。
選択回路14は、定電圧生成回路11で生成された直流電力、及び第1のコンデンサ12に充電された直流電力、の2つの直流電力から1つの直流電力を選択して出力する回路である。選択回路14から出力される直流電力は、例えばクロック生成回路20に供給される。選択回路14は、後述する制御回路15から、定電圧生成回路11及び第1のコンデンサ12のうちの1つを選択する指示を示す信号を受けると、その信号に基づき、定電圧生成回路11又は第1のコンデンサ12のいずれかの直流電力を選択して出力する。
例えば、選択回路14は、制御回路15から、第1のコンデンサ12を選択する指示を示す信号を受けたときは、第1のコンデンサ12に充電された直流電力をクロック生成回路20に供給する。また、選択回路14は、制御回路15から、定電圧生成回路11を選択する指示を示す信号を受けたときは、定電圧生成回路11で生成された直流電力をクロック生成回路20に供給する。選択回路14は、例えばトランジスタスイッチを用いた公知の2入力1出力回路(又は、多入力1出力回路)で実現することができるので、詳細な説明は省略する。
制御回路15は、定電圧生成回路11、第1の充電回路13、及び選択回路14、を制御するように構成された回路である。制御回路15は、例えば、公知のマイクロコンピュータと、そのマイクロコンピュータに、制御対象の各回路を後述のフローチャートに基づき制御する動作を実行させるように作成されたプログラム(マイクロコンピュータ用のソフトウエア)と、そのプログラムを記憶した公知の記憶媒体(又は、記憶装置)と、によって実現することができる。したがって、制御回路15の構成に関する詳細な説明は省略する。なお、制御回路15は、同様の動作を行うように構成された他の回路(例えば、半導体集積回路、等)によって実現されてもよい。
また、制御回路15は、A/D変換器(図示せず)を備えており、第1のコンデンサ12の充電電圧を、そのA/D変換器を用いてデジタル信号に変換して検出することができるように構成されている。なお、制御回路15は、A/D変換器を備えていなくてもよい。例えば、制御回路15は、制御回路15の外部に備えられたA/D変換器によって第1のコンデンサ12の充電電圧をデジタル信号に変換し、そのA/D変換器から出力されるデジタル信号を受け取ることで第1のコンデンサ12の充電電圧を検出するように構成されてもよい。
次に、第1のコンデンサ12及び第1の充電回路13の詳細について、図3を用いて説明する。
図3は、実施の形態1における第1の充電回路13及び第1のコンデンサ12の一構成例を示す回路図である。
図3に一例を示すように、第1の充電回路13は、抵抗3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h、トランジスタ7a、7b、7c、7d、及びダイオード9a、を備える。また、第1のコンデンサ12は、抵抗3i、3j、3k、3l、及びコンデンサ5a、5b、5c、を備える。そして、第1の充電回路13及び第1のコンデンサ12は、それらの回路素子が、図3に例示するように配置され、互いに接続されて、構成されている。
なお、トランジスタ7a、7bは、例えばPchMOSFET(P channel Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、トランジスタ7c、7dは、例えばNPNバイポーラトランジスタである。しかし、トランジスタ7a、7b、7c、7dは、何らこれらの構成に限定されるものではなく、他の種類のトランジスタであってもよい。
第1のコンデンサ12が備えるコンデンサ5a、5b、5cは、例えば電気二重層コンデンサである。電気二重層コンデンサは、蓄電量が相対的に大きいが、一方で、耐電圧が相対的に低く、さらに、充電可能な電圧も相対的に低い。しかし、複数の電気二重層コンデンサが直列に接続された回路では、耐電圧及び充電可能な電圧を相対的に高めることができる。そこで、電源回路10では、第1のコンデンサ12に、直列に接続された3つの電気二重層コンデンサ(すなわち、コンデンサ5a、5b、5c)を有する。なお、本実施の形態における「第1のコンデンサ12が充電される」とは、コンデンサ5a、5b、5cが充電されることである。
第1のコンデンサ12が備える抵抗3i、3j、3kは、第1のコンデンサ12に適切な充電電圧が印加されるように設けられた抵抗である。
第1の充電回路13には、電源(図示せず)から供給される入力電力(図3にはVinと示す)と、制御回路15から送信される信号Charge1及び信号Charge2と、が入力される。信号Charge1及び信号Charge2は、第1の充電回路13に第1のコンデンサ12を充電する指示を示す信号である。電源(図示せず)から供給される入力電力は、電圧Vinの電力である。
第1の充電回路13は、充電速度が異なる2種類の充電モードで第1のコンデンサ12を充電することができる。なお、以下の説明に用いる「充電速度」とは、充電用のコンデンサ(例えば、第1のコンデンサ12)に流れる充電用の電流量のことを表しており、「充電速度が速い(高速充電)」とは、充電用の電流量が相対的に多いことを表し、「充電速度が遅い(低速充電)」とは、充電用の電流量が相対的に少ないことを表す。
信号Charge1は、充電速度が相対的に遅い方の充電モード(以下、「低速充電モード」という)で第1のコンデンサ12を充電する指示、を示す信号である。信号Charge2は、充電速度が相対的に速い方の充電モード(以下、「高速充電モード」という)で第1のコンデンサ12を充電する指示、を示す信号である。本実施の形態では、信号Charge1を、「低速充電する指示を示す信号」ともいう。また、信号Charge2を、「高速充電する指示を示す信号」ともいう。本実施の形態に示す電源回路10では、第1の充電回路13に、低速充電モードと高速充電モードとの2つの充電モードを設けることで、その2つの充電モードを切り替えて第1の充電回路13に流れる電流量を調整しながら、第1のコンデンサ12を充電することができる。これにより、電源回路10では、第1の充電回路13にかかる負荷を抑制しながら、より高速に(すなわち、より短時間で)第1のコンデンサ12を充電することができる。
信号Charge1がH(High)レベルかつ信号Charge2がL(Low)レベルのとき、電源回路10は低速充電モードで第1のコンデンサ12を充電し、第1のコンデンサ12は低速充電(すなわち、相対的に少ない電流量で充電)される。
このときの動作を具体的に説明する。信号Charge1がHレベルのとき、トランジスタ7cは導通(以下、「オン」ともいう)する。トランジスタ7cがオンすることで、トランジスタ7aがオンする。一方、信号Charge2がLレベルのとき、トランジスタ7dは非導通状態(以下、「オフ」ともいう)となる。トランジスタ7dがオフになることで、トランジスタ7bはオフとなる。トランジスタ7aがオンし、トランジスタ7bがオフになることで、第1のコンデンサ12は、第1の充電回路13に入力される入力電力の電圧Vinと抵抗3aとに応じた電流量で、充電される。すなわち、第1のコンデンサ12は、抵抗3aの抵抗値の大きさに応じた電流量で充電される。第1の充電回路13において、抵抗3aは、後述する抵抗3bよりも大きい抵抗値に設定されている。これにより、第1のコンデンサ12に流れる電流量を相対的に小さくすることができる。したがって、第1の充電回路13は、信号Charge1がHレベルかつ信号Charge2がLレベルのとき、充電速度が相対的に遅い方の充電モード(低速充電モード)となり、第1のコンデンサ12は相対的に遅い充電速度(すなわち、相対的に少ない電流量)で充電される。
信号Charge2がHレベルかつ信号Charge1がLレベルのとき、電源回路10は高速充電モードで第1のコンデンサ12を充電し、第1のコンデンサ12は高速充電(すなわち、相対的に多い電流量で充電)される。
このときの動作を具体的に説明する。信号Charge2がHレベルのとき、トランジスタ7dはオンする。トランジスタ7dがオンすることで、トランジスタ7bがオンする。一方、信号Charge1がLレベルのとき、トランジスタ7cはオフとなる。トランジスタ7cがオフになることで、トランジスタ7aはオフとなる。トランジスタ7bがオンし、トランジスタ7aがオフになることで、第1のコンデンサ12は、第1の充電回路13に入力される入力電力の電圧Vinと抵抗3bとに応じた電流量で、充電される。すなわち、第1のコンデンサ12は、抵抗3bの抵抗値の大きさに応じた電流量で充電される。第1の充電回路13において、抵抗3bは、抵抗3aよりも小さい抵抗値に設定されている。これにより、第1のコンデンサ12に流れる電流量を相対的に大きくすることができる。したがって、第1の充電回路13は、信号Charge2がHレベルかつ信号Charge1がLレベルのとき、充電速度が相対的に速い方の充電モード(高速充電モード)となり、第1のコンデンサ12は相対的に速い充電速度(すなわち、相対的に多い電流量)で充電される。
信号Senseは、第1のコンデンサ12の充電電圧を示す信号である。制御回路15は、信号Senseの電圧を測定することで第1のコンデンサ12の充電電圧を検出する。なお、第1のコンデンサ12が備える抵抗3lは、一般的な電圧検出用の抵抗である。
このように、第1の充電回路13は、充電速度が異なる2種類の充電モードで第1のコンデンサ12を充電することができる。また、制御回路15は、第1のコンデンサ12の充電電圧を検出することができる。
しかしながら、一般的に、コンデンサを充電する回路では、コンデンサへの充電を開始した直後にコンデンサに相対的に大きな電流が流れやすく、電流量に大きな変化が生じることでノイズが発生することがある。そのため、第1の充電回路13では、第1のコンデンサ12を充電するときにノイズが発生することがある。
[1−2.動作]
以上のように構成された本実施の形態における音声信号増幅装置1について、その動作を以下に説明する。
まず、音声信号増幅装置1に電源が投入されたときの電源回路10の動作について説明する。
図4は、実施の形態1における音声信号増幅装置1に電源が投入されたときの電源回路10の一動作例を示すフローチャートである。
音声信号増幅装置1に電源が投入されると、制御回路15は、定電圧生成回路11によって生成された直流電力が選択回路14で選択されてクロック生成回路20に供給されるように、選択回路14を制御する(ステップS100)。
すなわち、電源回路10では、音声信号増幅装置1に電源が投入されると、定電圧生成回路11を動作させる指示を示す信号が、制御回路15から定電圧生成回路11に送信され、定電圧生成回路11において直流電力が生成される。そして、定電圧生成回路11を選択する指示を示す信号が、制御回路15から選択回路14に送信され、定電圧生成回路11で生成された直流電力が、選択回路14からクロック生成回路20に供給される。
なお、制御回路15は、例えば図2に破線で示すように、入力電力の電圧を監視し、入力電力の電圧が所定の電圧(例えば、電圧Vin)に達したときに、音声信号増幅装置1に電源が投入された、と判断するように構成されてもよい。あるいは、音声信号増幅装置1に電源が投入されたことを示す信号が制御回路15に入力されるように構成されてもよい。
次に、制御回路15は、第1の充電回路13が低速充電モードで第1のコンデンサ12を充電するように、第1の充電回路13を制御する(ステップS101)。
充電が開始される前の第1のコンデンサ12の充電電圧は、十分に充電された第1のコンデンサ12の充電電圧と比較して、低い。すなわち、音声信号増幅装置1に電源が投入された直後の第1のコンデンサ12の充電電圧と電圧Vinとの電圧差は相対的に大きい。そのため、充電が開始された直後の第1のコンデンサ12には、相対的に大きな電流が流れやすい。したがって、音声信号増幅装置1に電源が投入されたときに第1のコンデンサ12が高速充電モードで充電されると、第1の充電回路13に相対的に大きな電流が流れる可能性がある。しかし、第1のコンデンサ12が低速充電モードで充電されることで、第1の充電回路13に流れる電流量を抑制することができる。
そこで、制御回路15は、音声信号増幅装置1に電源が投入された直後は、第1の充電回路13が低速充電モードで第1のコンデンサ12を充電するように、第1の充電回路13を制御する。
具体的には、制御回路15は、音声信号増幅装置1に電源が投入された直後は、信号Charge1をHレベルにし、信号Charge2をLレベルにする。これにより、第1のコンデンサ12には、抵抗3bよりも抵抗値が大きい抵抗3aを通る経路で電流が流れ、第1のコンデンサ12は、相対的に小さい電流量で充電(すなわち、低速充電モードでの充電)される。これにより、第1の充電回路13にかかる負荷が抑制され、第1のコンデンサ12が有するコンデンサ5a〜5cの劣化が抑制される。
次に、制御回路15は、第1のコンデンサ12の充電電圧と予め定められた第1閾値とを比較し、第1のコンデンサ12の充電電圧が第1閾値以上か否かを判定する(ステップS102)。
ステップS102では、制御回路15は、信号Sense(図3参照)の電圧を測定することで、第1のコンデンサ12の充電電圧を検出する。なお、ステップS102で制御回路15が使用する第1閾値は、例えば4(V)に設定されているものとするが、本実施の形態は第1閾値を何らこの数値に限定するものではなく、他の数値に設定されてもよい。
ステップS102において、第1のコンデンサ12の充電電圧は第1閾値(例えば、4(V))未満であると判定された場合(ステップS102でNo)、制御回路15は、第1の充電回路13から第1のコンデンサ12への充電が低速充電モードに維持されるように、第1の充電回路13を制御する。すなわち、制御回路15は、信号Charge1をHレベルに維持し、信号Charge2をLレベルに維持する。そして、制御回路15は、第1のコンデンサ12の充電電圧が第1閾値(例えば、4(V))以上になるまで、ステップS102の判定を繰り返し行う。
ステップS102において、第1のコンデンサ12の充電電圧は第1閾値(例えば、4(V))以上であると判定された場合(ステップS102でYes)、制御回路15は、第1の充電回路13が高速充電モードで第1のコンデンサ12を充電するように、第1の充電回路13を制御する(ステップS103)。
具体的には、制御回路15は、信号Charge1をHレベルからLレベルに変更し、信号Charge2をLレベルからHレベルに変更する。これにより、第1のコンデンサ12には、抵抗3aよりも抵抗値が小さい抵抗3bを通る経路で電流が流れ、第1のコンデンサ12は、相対的に大きい電流量で充電(すなわち、高速充電モードでの充電)される。
次に、制御回路15は、第1のコンデンサ12の充電電圧と予め定められた第2閾値とを比較し、第1のコンデンサ12の充電電圧が第2閾値以上か否かを判定する(ステップS104)。
ステップS104では、制御回路15は、ステップS102と同様に、信号Sense(図3参照)の電圧を測定することで、第1のコンデンサ12の充電電圧を検出する。なお、ステップS104で制御回路15が使用する第2閾値は、例えば4.7(V)に設定されているものとするが、本実施の形態は第2閾値を何らこの数値に限定するものではなく、他の数値に設定されてもよい。なお、第2閾値は、第1閾値よりも大きい数値に設定されているものとする。
ステップS104において、第1のコンデンサ12の充電電圧は第2閾値(例えば、4.7(V))未満であると判定された場合(ステップS104でNo)、制御回路15は、第1の充電回路13から第1のコンデンサ12への充電が高速充電モードに維持されるように、第1の充電回路13を制御する。すなわち、制御回路15は、信号Charge1をLレベルに維持し、信号Charge2をHレベルに維持する。そして、制御回路15は、第1のコンデンサ12の充電電圧が第2閾値(例えば、4.7(V))以上になるまで、ステップS104の判定を繰り返し行う。
ステップS104において、第1のコンデンサ12の充電電圧は第2閾値(例えば、4.7(V))以上であると判定された場合(ステップS104でYes)、電源回路10では、第1のコンデンサ12への充電が完了する(ステップS105)。
このように、電源回路10では、第1のコンデンサ12の充電電圧が、第2閾値(例えば、4.7(V))に達すると、第1のコンデンサ12への充電は完了する。なお、電源回路10は、後述のステップS108を実行することで、第1のコンデンサ12への充電を停止する。
音声信号増幅装置1に電源が投入され、第1のコンデンサ12への充電が完了すると、制御回路15は、第1のコンデンサ12に充電された直流電力が選択回路14で選択されてクロック生成回路20に供給されるように、選択回路14を制御する(ステップS106)。
すなわち、電源回路10では、第1のコンデンサ12への充電が完了すると、第1のコンデンサ12を選択する指示を示す信号が、制御回路15から選択回路14に送信される。これにより、クロック生成回路20に供給される電力は、定電圧生成回路11で生成された直流電力から、第1のコンデンサ12に充電された直流電力に切り替わる。すなわち、第1のコンデンサ12に充電された直流電力が、選択回路14からクロック生成回路20に供給される。こうして、クロック生成回路20は、第1のコンデンサ12から直流電力を供給されるようになる。
ステップS106の後、制御回路15は、定電圧生成回路11を制御して定電圧生成回路11の動作を停止させる(ステップS107)。
具体的には、定電圧生成回路11を停止させる指示を示す信号が、制御回路15から定電圧生成回路11に送信されることで、定電圧生成回路11は動作を停止する。
なお、次に定電圧生成回路11が動作するのは、動作中の音声信号増幅装置1の動作が停止され、再度、音声信号増幅装置1に電源が投入された後になる。すなわち、電源回路10においては、クロック生成回路20に供給される電力が、定電圧生成回路11で生成された直流電力から、第1のコンデンサ12に充電された直流電力に切り替わり、定電圧生成回路11の動作が停止すると、クロック生成回路20に供給される電力は、音声信号増幅装置1の動作が停止されるまで、第1のコンデンサ12に充電された直流電力となる。
ステップS104においてYesと判定された後、制御回路15は、第1の充電回路13から第1のコンデンサ12への充電が停止するように、第1の充電回路13を制御する(ステップS108)。
具体的には、制御回路15は、信号Charge1をLレベルに維持したまま、Charge2をHレベルからLレベルに変更する。これにより、トランジスタ7a、7bはともにオフとなり、第1の充電回路13から第1のコンデンサ12への電流が停止されて、第1のコンデンサ12に対する充電は停止する。
このように、電源回路10においては、音声信号増幅装置1に電源が投入されると、まず、定電圧生成回路11からクロック生成回路20へ直流電力の供給が開始され、それとほぼ同時に、第1のコンデンサ12への充電が開始される。第1のコンデンサ12への充電が完了すると(すなわち、第1のコンデンサ12の充電電圧が第2閾値に達すると)、クロック生成回路20へ供給される電力は、定電圧生成回路11で生成された直流電力から、第1のコンデンサ12に充電された直流電力に変更される。これにより、クロック生成回路20は、第1のコンデンサ12から直流電力を供給される。
次に、第1のコンデンサ12への充電が完了した後の電源回路10の動作について説明する。
図5は、実施の形態1における第1のコンデンサ12の充電が完了した後の電源回路10の一動作例を示すフローチャートである。
ステップS108の後、制御回路15は、第1のコンデンサ12の充電電圧と予め定められた第3閾値とを比較し、第1のコンデンサ12の充電電圧が第3閾値以下か否かを判定する(ステップS200)。
ステップS200では、制御回路15は、ステップS102、S104と同様に、信号Sense(図3参照)の電圧を測定することで、第1のコンデンサ12の充電電圧を検出する。なお、ステップS200で制御回路15が使用する第3閾値は、例えば4.3(V)に設定されているものとするが、本実施の形態は第3閾値を何らこの数値に限定するものではなく、他の数値に設定されてもよい。なお、第3閾値は、第1閾値よりも大きく第2閾値よりも小さい数値に設定されているものとする。
ステップS200において、第1のコンデンサ12の充電電圧は第3閾値(例えば、4.3(V))より高いと判定された場合(ステップS200でNo)、制御回路15は、第1のコンデンサ12の充電電圧が第3閾値以下になるまで、ステップS200の判定を繰り返し行う。
ステップS200において、第1のコンデンサ12の充電電圧は第3閾値(例えば、4.3(V))以下であると判定された場合(ステップS200でYes)、制御回路15は、処理をステップS201に進める。
制御回路15は、第1のコンデンサ12の充電電圧と予め定められた第4閾値とを比較し、第1のコンデンサ12の充電電圧が第4閾値以下か否かを判定する。あわせて、制御回路15は、音声信号増幅装置1に入力された音声信号が無音を示す信号になっているか否かを判定する(ステップS201)。
なお、ステップS201で制御回路15が使用する第4閾値は、例えば3.8(V)に設定されているものとするが、本実施の形態は第4閾値を何らこの数値に限定するものではなく、他の数値に設定されてもよい。なお、第4閾値は、第1閾値よりも小さい数値に設定されているものとする。
なお、第2閾値及び第4閾値は、クロック生成回路20の仕様に応じて設定されてもよい。例えば、クロック生成回路20の仕様において、クロック生成回路20に供給される電力の電圧が3.8(V)〜4.7(V)に設定されていれば、第2閾値を4.7(V)に設定し、第4閾値を3.8(V)に設定してもよい。これにより、第1のコンデンサ12の充電電圧は3.8(V)〜4.7(V)の範囲内に維持されるので、クロック生成回路20を安定に動作させることができる。また、第1閾値及び第3閾値は、第2閾値、第3閾値、及び電源回路10の仕様等に基づき適切に設定されることが望ましい。
なお、制御回路15は、音声信号が無音を示す信号になっているか否かを判定するために、音声信号を検出する回路(図示せず)を備えてもよい。あるいは、制御回路15の外部に音声信号を検出するための音声信号検出回路(図示せず)を備え、制御回路15は、その音声信号検出回路から出力される検出結果を示す信号を受け取ることで、音声信号が無音を示す信号になっているか否かを判定するように構成されてもよい。
ステップS201において、第1のコンデンサ12の充電電圧は第4閾値(例えば、3.8(V))より高いと判定され、かつ、音声信号は無音を示す信号になっていないと判定された場合(ステップS201でNo)、制御回路15は、第1のコンデンサ12の充電電圧が第4閾値以下になるか、又は、音声信号が無音を示す信号になるまで、ステップS201の判定を繰り返し行う。
ステップS201において、第1のコンデンサ12の充電電圧は第4閾値(例えば、3.8(V))以下であると判定された場合、又は、音声信号は無音を示す信号になっていると判定された場合(ステップS201でYes)、制御回路15は、第1の充電回路13が高速充電モードで第1のコンデンサ12を充電するように、第1の充電回路13を制御する(ステップS202)。
すなわち、ステップS202の処理は、ステップS201において、第1のコンデンサ12の充電電圧が第4閾値(例えば、3.8(V))以下であるか否かの判定、及び、音声信号が無音を示す信号になっているか否かの判定、の少なくとも一方にYesの判定がなされた場合に、実行される。なお、ステップS202は、図4に示したステップS103の処理と実質的に同じであるので、繰り返しの説明を省略する。
電源回路10は、ステップS200〜S202の処理を実行することにより、以下のように動作する。
制御回路15は、第1のコンデンサ12の充電電圧が、充電完了時の電圧(例えば、4.7(V))からあまり低下していないと判断したとき、すなわち第1のコンデンサ12の充電電圧が第2閾値から第3閾値の範囲内(例えば、4.3(V)より高く4.7(V)以下)にあるときは、「第1の充電回路13が動作して第1の充電回路13にノイズが発生すること」を抑制するように動作する。すなわち、制御回路15は、第1のコンデンサ12の充電電圧が第2閾値から第3閾値の範囲内のときは、第1のコンデンサ12への充電を行わないように第1の充電回路13を制御する。
第1のコンデンサ12の充電電圧が、充電完了時の電圧(例えば、4.7(V))からさらに低下して第3閾値から第4閾値の範囲内(例えば、3.8(V)より高く4.3(V)以下)になったとき、制御回路15は、音声信号が無音を示す信号になっているか否かを判定する。
すなわち、制御回路15は、第1のコンデンサ12の充電電圧が低下して第3閾値(例えば、4.3(V))以下になったときは、第1のコンデンサ12の充電電圧が第3閾値から第4閾値の範囲内(例えば、3.8(V)より高く4.3(V)以下)であれば、音声信号が無音を示す信号になっているか否かを判断する。そして、音声信号が無音を示す信号になっていなければ、第1の充電回路13に第1のコンデンサ12への充電を指示しない。音声信号が無音を示す信号になっていれば、ステップS202を実行して、第1の充電回路13が第1のコンデンサ12を高速充電モードで充電するように第1の充電回路13を制御する。
そして、制御回路15は、第1のコンデンサ12の充電電圧がさらに低下して第4閾値(例えば、3.8(V))以下になれば、音声信号が無音を示す信号になっているか否かにかかわらず、ステップS202を実行して、第1のコンデンサ12を高速充電モードで充電するように第1の充電回路13を制御する。
ステップS202の実行後は、制御回路15は、第1のコンデンサ12の充電電圧と予め定められた第2閾値(例えば、4.7(V))とを比較し、第1のコンデンサ12の充電電圧が第2閾値以上か否かを判定する(ステップS203)。
ステップS203において、第1のコンデンサ12の充電電圧は第2閾値(例えば、4.7(V))未満であると判定された場合(ステップS203でNo)、制御回路15は、第1の充電回路13から第1のコンデンサ12への充電が高速充電モードに維持されるように、第1の充電回路13を制御する。すなわち、制御回路15は、信号Charge1をLレベルに維持し、信号Charge2をHレベルに維持する。そして、制御回路15は、第1のコンデンサ12の充電電圧が第2閾値(例えば、4.7(V))以上になるまで、ステップS203の判定を繰り返し行う。
ステップS203において、第1のコンデンサ12の充電電圧は第2閾値(例えば、4.7(V))以上であると判定された場合(ステップS203でYes)、電源回路10では、第1のコンデンサ12への充電が完了する(ステップS204)。
そして、制御回路15は、第1の充電回路13から第1のコンデンサ12への充電が停止するように、第1の充電回路13を制御する(ステップS205)。ステップS205の処理は、図4に示したステップS108の処理と実質的に同じであるので、繰り返しの説明を省略する。
ステップS205の後は、ステップS200に戻り、ステップS200以降の一連の処理が、音声信号増幅装置1の動作が停止されるまで、繰り返し実行される。
このように、制御回路15は、選択回路14が第1のコンデンサ12に充電された直流電力を選択してクロック生成回路20に供給するように選択回路14を制御した後に(ステップS106の実行後に)、第1のコンデンサ12の充電電圧が低下して第4閾値以下になった場合、ステップS202を実行して、第1の充電回路13が第1のコンデンサ12を高速充電モードで充電するように第1の充電回路13を制御する。このとき、クロック生成回路20には、定電圧生成回路11によって生成された直流電力は供給されない。
すなわち、本実施の形態において、制御回路15は、第1のコンデンサ12の充電電圧が低下して第3閾値(例えば、4.3(V))以下になり、かつ音声信号が無音を示す信号になった場合、又は、第1のコンデンサ12の充電電圧がさらに低下して第4閾値(例えば、3.8(V))以下になった場合、第1のコンデンサ12に充電された直流電力をクロック生成回路20に供給しながら、ステップS202〜S204を実行して、第1のコンデンサ12が高速充電モードで充電されるように第1の充電回路13を制御する。
[1−3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、音声信号増幅装置は、音声信号を増幅する音声信号増幅装置であって、音声信号の増幅に用いられるクロックを生成するクロック生成回路と、クロック生成回路に供給する直流電力を入力電力から生成する電源回路と、を備える。電源回路は、入力電力から定電圧の直流電力を生成する定電圧生成回路と、第1のコンデンサと、入力電力を用いて第1のコンデンサを充電する第1の充電回路と、選択回路と、を備える。選択回路は、定電圧生成回路で生成された直流電力及び第1のコンデンサに充電された直流電力のうちの1つの直流電力を選択してクロック生成回路に供給する。
また、本実施の形態において、電源装置は、入力電力から定電圧の直流電力を生成する定電圧生成回路と、第1のコンデンサと、入力電力を用いて第1のコンデンサを充電する第1の充電回路と、選択回路と、を備える。選択回路は、定電圧生成回路で生成された直流電力及び第1のコンデンサに充電された直流電力のうちの1つの直流電力を選択して出力する。
なお、音声信号増幅装置1は音声信号増幅装置の一例である。クロック生成回路20はクロック生成回路の一例である。電源回路10は電源回路の一例である。定電圧生成回路11は定電圧生成回路の一例である。第1のコンデンサ12は第1のコンデンサの一例である。第1の充電回路13は第1の充電回路の一例である。選択回路14は選択回路の一例である。電源回路10は電源装置の一例である。
例えば、実施の形態1に示した音声信号増幅装置1の動作例では、電源回路10からクロック生成回路20にノイズが伝播すると、クロック生成回路20は、そのノイズの影響を受けたクロックを生成する可能性がある。ノイズの影響を受けたクロックが増幅回路30に供給され、そのクロックに基づいて音声信号が増幅されると、出力音声信号の歪が増え、S/N比が悪化する可能性がある。そのため、電源回路10からクロック生成回路20へは、できるだけノイズの伝播を抑制して、安定な直流電力を供給することが望ましい。
電源回路10が備える定電圧生成回路11は、入力電力から直流電力を生成して出力する動作を連続的に行う。そのため、定電圧生成回路11はノイズの影響を受けやすい。したがって、定電圧生成回路11からクロック生成回路20へ直流電力が供給されているときに、例えば入力電力にノイズが発生したりすると、そのノイズの影響を受けた定電圧生成回路11からクロック生成回路20にノイズが伝播する可能性がある。
一方、第1のコンデンサ12では、第1のコンデンサ12が有するコンデンサ5a〜5cに充電された電力が直流電力として使用される。したがって、例えば入力電力にノイズが発生したとしても、第1のコンデンサ12から供給される直流電力は、そのノイズの影響を受けにくい。
これにより、電源回路10では、第1のコンデンサ12をノイズが発生しにくい電池のような電力源として扱うことができる。
また、電源回路10では、第1のコンデンサ12に充電された直流電力が選択回路14で選択されているとき、ノイズが発生しやすい定電圧生成回路11とクロック生成回路20とは電気的に切り離される。また、クロック生成回路20は、入力電力を供給している電源からも電気的に切り離される。したがって、電源回路10が、第1のコンデンサ12に充電された直流電力をクロック生成回路20に供給するときは、電源回路10からクロック生成回路20へのノイズの伝播を抑制し、安定した直流電力をクロック生成回路20へ供給することができる。
本実施の形態において、電源回路は、制御回路をさらに備えてもよい。制御回路は、音声信号増幅装置に電源が投入されると、定電圧生成回路で生成された直流電力が選択回路で選択されてクロック生成回路に供給されるように選択回路を制御し、かつ第1のコンデンサが第1の充電回路によって充電されるように第1の充電回路を制御してもよい。
本実施の形態において、制御回路は、音声信号増幅装置に電源が投入された後、第1のコンデンサの充電電圧が予め定められた閾値に達したときに、第1のコンデンサに充電された直流電力が選択回路で選択されてクロック生成回路に供給されるように選択回路を制御してもよい。
なお、制御回路15は制御回路の一例である。第2閾値は、予め定められた閾値の一例である。
これにより、例えば実施の形態1に示した音声信号増幅装置1の動作例では、音声信号増幅装置1に電源が投入された後は、第1の充電回路13による第1のコンデンサ12への充電が開始され、また、第1のコンデンサ12の充電電圧が第2閾値に達するまでは、クロック生成回路20へは、定電圧生成回路11によって生成された直流電力が供給される。
第1のコンデンサ12に備えられたコンデンサ5a〜5cが、例えば電気二重層コンデンサであれば、第1のコンデンサ12の充電が完了するまで(第1のコンデンサ12の充電電圧が第2閾値に達するまで)に、相対的に長い時間がかかる。すなわち、第1のコンデンサ12が直流電力を供給可能になるまでに、相対的に長い時間がかかる。しかし、実施の形態1に示した音声信号増幅装置1では、上述の動作により、音声信号増幅装置1に電源が投入された直後から、クロック生成回路20に直流電力を供給することができる。
また、電源回路10は、第1のコンデンサ12の充電電圧が第2閾値に達した後は、第1のコンデンサ12に充電された直流電力をクロック生成回路20に供給する。
すなわち、音声信号増幅装置1においては、定電圧生成回路11で生成された直流電力が電源回路10からクロック生成回路20へ供給される期間は、音声信号増幅装置1に電源が投入されてから、第1のコンデンサ12の充電電圧が第2の閾値に達するまでの期間だけであり、その期間以外は、第1のコンデンサ12に充電された直流電力がクロック生成回路20へ供給される。したがって、電源回路10は、クロック生成回路20へ電力を供給するときに、クロック生成回路20へのノイズの伝播を抑制することができる。
本実施の形態において、制御回路は、第1のコンデンサに充電された直流電力が選択回路で選択されてクロック生成回路に供給されるように選択回路を制御するときに、定電圧生成回路の動作が停止するように定電圧生成回路を制御してもよい。
これにより、例えば実施の形態1に示した音声信号増幅装置1の動作例では、クロック生成回路20が、第1のコンデンサ12に充電された直流電力を供給されるとき、定電圧生成回路11の動作は停止する。定電圧生成回路11の動作が停止することで、定電圧生成回路11でのノイズの発生が抑制されるため、クロック生成回路20へのノイズの伝播を抑制することができる。
本実施の形態において、制御回路は、第1のコンデンサに充電された直流電力が選択回路で選択されてクロック生成回路に供給されるように選択回路を制御するときには、第1のコンデンサへの充電を停止するように第1の充電回路を制御してもよい。
これにより、例えば実施の形態1に示した音声信号増幅装置1の動作例では、クロック生成回路20が、第1のコンデンサ12に充電された直流電力を供給されるとき、第1の充電回路13の動作は停止する。これにより、第1の充電回路13でのノイズの発生が抑制されるため、クロック生成回路20へのノイズの伝播を抑制することができる。
本実施の形態において、第1の充電回路は、充電速度が異なる2種類の充電モードを切り替えて第1のコンデンサを充電してもよい。制御回路は、音声信号増幅装置に電源が投入された後は、充電速度が遅い方の充電モードで第1のコンデンサが充電されるように第1の充電回路を制御してもよい。
本実施の形態において、制御回路は、音声信号増幅装置に電源が投入された後から、第1のコンデンサの充電電圧が予め定められた第1閾値に達するまでは、充電速度が遅い方の充電モードで第1のコンデンサが充電され、第1のコンデンサの充電電圧が第1閾値以上になった後は、第1のコンデンサの充電電圧が第1の閾値よりも数値が大きい第2閾値に達するまでは、充電速度が速い方の充電モードで第1のコンデンサが充電され、第1のコンデンサの充電電圧が第2閾値以上になったら第1のコンデンサへの充電を停止する、ように第1の充電回路を制御してもよい。
本実施の形態において、制御回路は、第1のコンデンサの充電電圧が、第1閾値よりも数値が大きく第2閾値よりも数値が小さい第3閾値以下になり、かつ、音声信号が無音を示す信号になっているときに、第1のコンデンサが第1の充電回路によって充電されるように、第1の充電回路を制御してもよい。
本実施の形態において、制御回路は、第1のコンデンサの充電電圧が、第1閾値よりも数値が小さい第4閾値以下になったときに、第1のコンデンサが第1の充電回路によって充電されるように、第1の充電回路を制御してもよい。
なお、低速充電モードは、充電速度が遅い方の充電モードの一例である。高速充電モードは、充電速度が速い方の充電モードの一例である。
例えば実施の形態1に示した音声信号増幅装置1の動作例では、第1のコンデンサ12への充電が開始された直後は、第1のコンデンサ12の充電電圧が相対的に低いため、第1の充電回路13から第1のコンデンサ12に相対的に大きな電流が流れる可能性がある。そして、第1の充電回路13から第1のコンデンサ12に大電流が流れると、第1の充電回路13にかかる負荷が増大するだけでなく、第1のコンデンサ12が有するコンデンサの劣化を早める恐れがある。また、第1の充電回路13に流れる電流量に大きな変化が生じることで、電源回路10にノイズが発生する可能性がある。
しかし、電源回路10においては、第1のコンデンサ12への充電が開始されてから第1のコンデンサ12の充電電圧が第1閾値に達するまでの期間は、低速充電モードで第1のコンデンサ12が充電されるので、第1の充電回路13から第1のコンデンサ12に流れる電流量を抑制できる。したがって、第1の充電回路13にかかる負荷を抑制し、第1のコンデンサ12が有するコンデンサの劣化を抑制することができる。さらに、電源回路10に発生するノイズを抑制することができる。
また、電源回路10においては、第1のコンデンサ12の充電電圧が第1閾値に達してから第2閾値に達するまでの期間は、第1のコンデンサ12は、低速充電モードから高速充電モードに切り替えて充電される。このとき、第1のコンデンサ12の充電電圧が第1の閾値に達することで、入力電力の電圧Vinと第1のコンデンサ12の充電電圧との電圧差は相対的に小さくなる。そのため、その期間に高速充電モードで第1のコンデンサ12が充電されても、第1のコンデンサ12へ流れる電流量は、相対的に抑制される。
そして、第1のコンデンサ12は、高速充電モードで(すなわち、より短時間で)充電されることで、低速充電のままで充電されるよりも短時間で充電が完了する。第1のコンデンサ12が充電されるときに、第1の充電回路13ではノイズが発生することがある。そして、第1のコンデンサ12を充電しながら、第1のコンデンサ12からクロック生成回路20に直流電力が供給されるときに、電源回路10からクロック生成回路20にノイズが伝播する可能性がある。しかし、第1のコンデンサ12が高速充電モードで充電されることで、クロック生成回路20がノイズの影響を受ける時間を相対的に短縮することができる。
また、電源回路10では、第1のコンデンサ12の充電電圧が低下して第3閾値以下になったときは、音声信号が無音を示す信号になっていれば、第1のコンデンサ12は高速充電モードで充電される。
上述したように、第1のコンデンサ12を充電しながら、第1のコンデンサ12からクロック生成回路20に直流電力が供給されるときは、電源回路10からクロック生成回路20にノイズが伝播する可能性がある。しかし、音声信号が無音を示す信号になっているので、仮に電源回路10からクロック生成回路20へノイズが伝播したとしても、その影響は、実質的には、問題ないと言える程度に小さい。
また、電源回路10では、第1のコンデンサ12の充電電圧が低下して第4閾値以下になったときは、第1のコンデンサ12は高速充電モードで充電されるので、第1のコンデンサ12の充電を相対的に早く完了することができる。
また、本実施の形態において、電源制御方法は、機器に電力を供給する電源装置を制御する方法である。その電源装置は、入力電力から定電圧の直流電力を生成する定電圧生成回路と、第1のコンデンサと、入力電力を用いて第1のコンデンサを充電する第1の充電回路と、定電圧生成回路で生成された直流電力及び第1のコンデンサに充電された直流電力のうちの1つの直流電力を選択して機器に供給する選択回路と、を備える。その電源制御方法は、電源装置に電源が投入されると、定電圧生成回路で生成された直流電力が選択回路で選択されて機器に供給されるように選択回路が制御され、かつ第1のコンデンサが第1の充電回路によって充電されるように第1の充電回路が制御される。電源装置に電源が投入された後、第1のコンデンサの充電電圧が予め定められた閾値に達すると、第1のコンデンサに充電された直流電力が選択回路で選択されて機器に供給されるように選択回路が制御される。
(実施の形態2)
以下、図6〜図8を用いて、実施の形態2を説明する。
[2−1.構成]
実施の形態2における音声信号増幅装置1aの構成及び動作は、実施の形態1で説明した音声信号増幅装置1と実質的に同じであるが、電源回路10に代えて電源回路10aを備える点が、音声信号増幅装置1と異なる。したがって、実施の形態2では、実施の形態1で説明した構成要素と実質的に同じ構成要素には同じ符号を付与して説明を省略し、また、音声信号増幅装置1aには符号のみ付与し構成に関する図示も省略する。以下では、実施の形態1と構成が異なる電源回路10aについて説明する。
図6は、実施の形態2における電源回路10aの一構成例を模式的に示すブロック図である。
電源回路10aは、定電圧生成回路11と、第1のコンデンサ12と、第1の充電回路13と、選択回路14aと、制御回路15aと、第2のコンデンサ16と、第2の充電回路17と、を備える。電源回路10aは、第2のコンデンサ16及び第2の充電回路17を備える点が、実施の形態1における電源回路10と異なる。なお、定電圧生成回路11、第1のコンデンサ12、及び第1の充電回路13は、実施の形態1で説明した同ブロックと実質的に同じ構成及び動作であるので、これらについての説明は省略する。
第2のコンデンサ16は、第2の充電回路17によって充電されるコンデンサを有する。第2のコンデンサ16が有するコンデンサは、例えば、電気二重層コンデンサである。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、第2のコンデンサ16が有するコンデンサが充電されることを、便宜的に「第2のコンデンサ16が充電される」と表記する。
第2の充電回路17は、交流電源又は直流電源等の電源(図示せず)から供給される入力電力を用いて第2のコンデンサ16を充電する回路である。
なお、第2のコンデンサ16及び第2の充電回路17は、図3に示した第1のコンデンサ12及び第1の充電回路13と実施的に同じ構成及び動作であるので、詳細な説明は省略する。
選択回路14aは、定電圧生成回路11で生成された直流電力、第1のコンデンサ12に充電された直流電力、及び第2のコンデンサ16に充電された直流電力、の3つの直流電力から1つの直流電力を選択して出力する回路である。選択回路14aから出力される直流電力は、例えばクロック生成回路20に供給される。選択回路14aは、制御回路15aから、定電圧生成回路11、第1のコンデンサ12、及び第2のコンデンサ16のうちの1つを選択する指示を示す信号を受けると、その信号に基づき、定電圧生成回路11、第1のコンデンサ12、又は第2のコンデンサ16のいずれかの直流電力を選択して出力する。
なお、選択回路14aは、例えばトランジスタスイッチを用いた公知の3入力1出力回路で実現することができるので、詳細な説明は省略する。
制御回路15aは、定電圧生成回路11、第1の充電回路13、選択回路14a、及び第2の充電回路17を制御するように構成された回路である。制御回路15aは、例えば、公知のマイクロコンピュータと、そのマイクロコンピュータに、制御対象の各回路を後述のフローチャートに基づき制御する動作を実行させるように作成されたプログラム(マイクロコンピュータ用のソフトウエア)と、そのプログラムを記憶した公知の記憶媒体(又は、記憶装置)と、によって実現することができる。したがって、制御回路15aの構成に関する詳細な説明は省略する。なお、制御回路15aは、同様の動作を行うように構成された他の回路(例えば、半導体集積回路、等)によって実現されてもよい。また、制御回路15aは、実施の形態1に示した制御回路15と同様に、第1のコンデンサ12の充電電圧及び第2のコンデンサ16の充電電圧を検出することができるように構成されている。
また、制御回路15aは、第2の充電回路17に、制御回路15aから第1の充電回路13へ入力される信号Charge1及び信号Charge2と同様の信号Charge1及び信号Charge2を入力する。そして、制御回路15aは、第1の充電回路13を制御するときと同様に、信号Charge1及び信号Charge2を用いて第2の充電回路17を制御する。
なお、制御回路15aは、例えば図6に破線で示すように、入力電力の電圧Vinを監視し、電圧Vinが所定の電圧に達したときに、音声信号増幅装置1aに電源が投入された、と判断するように構成されてもよい。あるいは、音声信号増幅装置1aに電源が投入されたことを示す信号が制御回路15aに入力されるように構成されてもよい。
また、制御回路15aは、実施の形態1に示した制御回路15と同様に、音声信号が無音を示す信号になっているか否かを判定するための音声信号検出回路(図示せず)を備えてもよい。あるいは、制御回路15aの外部に備えられた音声信号検出回路(図示せず)から出力される検出結果を示す信号を受け取ることで、音声信号が無音を示す信号になっているか否かを判定するように構成されてもよい。
[2−2.動作]
以上のように構成された実施の形態2における音声信号増幅装置1aについて、その動作を以下に説明する。
まず、音声信号増幅装置1aに電源が投入されたときの電源回路10aの動作について説明する。
図7は、実施の形態2における音声信号増幅装置1aに電源が投入されたときの電源回路10aの一動作例を示すフローチャートである。
なお、図7に示すステップS300〜S308の各動作は、制御回路15が制御回路15aに変更されている点を除き、図4に示したステップS100〜S108の各動作と実質的に同じであるので、説明を省略する。以下、ステップS309以降の動作について説明する。
制御回路15aは、ステップS308で、第1の充電回路13から第1のコンデンサ12への充電が停止するように第1の充電回路13を制御した後は、第2の充電回路17が低速充電モードで第2のコンデンサ16を充電するように、第2の充電回路17を制御する(ステップS309)。
第2の充電回路17は、第1の充電回路13と同様に、充電速度が異なる2種類の充電モード(すなわち、低速充電モードと高速充電モード)で第2のコンデンサ16を充電することができる。そして、ステップS309では、制御回路15aは、第2の充電回路17が低速充電モードで第2のコンデンサ16を充電するように、第2の充電回路17を制御する。これにより、ステップS301における第1の充電回路13と同様に、第2の充電回路17にかかる負荷は抑制される。
次に、制御回路15aは、第2のコンデンサ16の充電電圧と予め定められた第1閾値(例えば、4(V))とを比較し、第2のコンデンサ16の充電電圧が第1閾値以上か否かを判定する(ステップS310)。
ステップS310において、第2のコンデンサ16の充電電圧は第1閾値(例えば、4(V))未満であると判定された場合(ステップS310でNo)、制御回路15aは、第2の充電回路17から第2のコンデンサ16への充電が低速充電モードに維持されるように、第2の充電回路17を制御する。そして、制御回路15aは、第2のコンデンサ16の充電電圧が第1閾値(例えば、4(V))以上になるまで、ステップS310の判定を繰り返し行う。
ステップS310において、第2のコンデンサ16の充電電圧は第1閾値(例えば、4(V))以上であると判定された場合(ステップS310でYes)、制御回路15aは、第2の充電回路17が第2のコンデンサ16を高速充電モードで充電するように、第2の充電回路17を制御する(ステップS311)。
次に、制御回路15aは、第2のコンデンサ16の充電電圧と予め定められた第2閾値(例えば、4.7(V))とを比較し、第2のコンデンサ16の充電電圧が第2閾値以上か否かを判定する(ステップS312)。
ステップS312において、第2のコンデンサ16の充電電圧は第2閾値(例えば、4.7(V))未満であると判定された場合(ステップS312でNo)、制御回路15aは、第2の充電回路17から第2のコンデンサ16への充電が高速充電モードに維持されるように、第2の充電回路17を制御する。そして、制御回路15aは、第2のコンデンサ16の充電電圧が第2閾値(例えば、4.7(V))以上になるまで、ステップS312の判定を繰り返し行う。
ステップS312において、第2のコンデンサ16の充電電圧は第2閾値(例えば、4.7(V))以上であると判定された場合(ステップS312でYes)、電源回路10aでは、第2のコンデンサ16への充電が完了する(ステップS313)。
そして、制御回路15aは、第2の充電回路17から第2のコンデンサ16への充電が停止するように、第2の充電回路17を制御する(ステップS314)。
このように、電源回路10aにおいては、音声信号増幅装置1aに電源が投入されると、実施の形態1と同じく、定電圧生成回路11からクロック生成回路20へ直流電力の供給が開始され、それとほぼ同時に、第1のコンデンサ12への充電が開始される。第1のコンデンサ12への充電が完了すると(すなわち、第1のコンデンサ12の充電電圧が第2閾値に達すると)、クロック生成回路20へ供給される電力は、定電圧生成回路11で生成された直流電力から、第1のコンデンサ12に充電された直流電力に変更される。このとき、定電圧生成回路11及び第1の充電回路13の動作は停止する。また、第1のコンデンサ12への充電が完了すると、第2のコンデンサ16への充電が開始される。第2のコンデンサ16への充電が完了すると(すなわち、第2のコンデンサ16の充電電圧が第2閾値に達すると)、第2の充電回路17の動作は停止する。
なお、図7に示すステップS301〜S314の各動作は、第1のコンデンサ12と第2のコンデンサ16とを入れ替えて実行されてもよい。すなわち、先に第2のコンデンサ16への充電が開始されてもよい。その場合、図8に示すステップS400〜S406の各動作は、第1のコンデンサ12と第2のコンデンサ16とを入れ替えて実行されるものとする。
次に、第2のコンデンサ16への充電が完了した後の電源回路10aの動作について説明する。
図8は、実施の形態2における第1のコンデンサ12の充電が完了した後の電源回路10aの一動作例を示すフローチャートである。
なお、図8に示すステップS400、S401の各動作は、制御回路15が制御回路15aに変更されている点を除き、図5に示したステップS200、S201の各動作と実質的に同じであるので、説明を省略する。以下、ステップS402以降の動作について説明する。
ステップS401において、第1のコンデンサ12の充電電圧は第4閾値(例えば、3.8(V))以下であると判定された場合、又は、音声信号は無音を示す信号になっていると判定された場合(ステップS401でYes)、制御回路15aは、第2のコンデンサ16に充電された直流電力が選択回路14aで選択されてクロック生成回路20に供給されるように、選択回路14aを制御する(ステップS402)。
すなわち、電源回路10aでは、ステップS401において、第1のコンデンサ12の充電電圧が第4閾値(例えば、3.8(V))以下であるか否かの判定、及び、音声信号が無音を示す信号になっているか否かの判定、の少なくとも一方にYesの判定がなされた場合に、第2のコンデンサ16を選択する指示を示す信号が、制御回路15aから選択回路14aに送信される。これにより、クロック生成回路20に供給される電力は、第1のコンデンサ12に充電された直流電力から第2のコンデンサ16に充電された直流電力に切り替わる。すなわち、第2のコンデンサ16に充電された直流電力が、選択回路14aからクロック生成回路20に供給される。
次に、制御回路15aは、第1の充電回路13が高速充電モードで第1のコンデンサ12を充電するように、第1の充電回路13を制御する(ステップS403)。ステップS403の処理は、図4に示したステップS103の処理と実質的に同じである。
次に、制御回路15aは、第1のコンデンサ12の充電電圧と予め定められた第2閾値(例えば、4.7(V))とを比較し、第1のコンデンサ12の充電電圧が第2閾値以上か否かを判定する(ステップS404)。ステップS404の処理は、図4に示したステップS104の処理と実質的に同じである。
ステップS404において、第1のコンデンサ12の充電電圧は第2閾値(例えば、4.7(V))未満であると判定された場合(ステップS404でNo)、制御回路15aは、第1の充電回路13から第1のコンデンサ12への充電が高速充電モードに維持されるように、第1の充電回路13を制御する。
ステップS404において、第1のコンデンサ12の充電電圧は第2閾値(例えば、4.7(V))以上であると判定された場合(ステップS404でYes)、電源回路10aでは、第1のコンデンサ12への充電が完了する(ステップS405)。
そして、制御回路15aは、第1の充電回路13から第1のコンデンサ12への充電が停止するように、第1の充電回路13を制御する(ステップS406)。ステップS406の処理は、図4に示したステップS108の処理と実質的に同じである。
このように、制御回路15aは、選択回路14aが第1のコンデンサ12に充電された直流電力を選択してクロック生成回路20に供給するように選択回路14aを制御した後に(ステップS306の実行後に)、第1のコンデンサ12の充電電圧が低下して第3閾値(例えば、4.3(V))以下になり、かつ音声信号が無音を示す信号になった場合、又は、第1のコンデンサ12の充電電圧がさらに低下して第4閾値(例えば、3.8(V))以下になった場合、ステップS402を実行して、第2のコンデンサ16に充電された直流電力が選択回路14aで選択されてクロック生成回路20に供給されるように選択回路14aを制御する。さらに、制御回路15aは、ステップS403を実行して、第1の充電回路13が第1のコンデンサ12を高速充電モードで充電するように第1の充電回路13を制御する。
実施の形態1では、図5に示したように、ステップS201でYesと判定され、ステップS202が実行されて第1のコンデンサ12が高速充電モードで充電されているとき、選択回路14では、第1のコンデンサ12に充電された直流電力が選択されたままとなっている。すなわち、実施の形態1に示した電源回路10では、第1のコンデンサ12に充電された直流電力がクロック生成回路20に供給されながら、第1のコンデンサ12が充電されるように、制御回路15が各ブロックを制御する。
一方、本実施の形態の電源回路10aでは、ステップS401でYesと判定され、ステップS403が実行されて第1のコンデンサ12が充電されるとき、第2のコンデンサ16に充電された直流電力がクロック生成回路20に供給されるように、制御回路15aが各ブロックを制御する。
ステップS406の後は、ステップS400に戻り、ステップS400〜S406の一連の動作が、第1のコンデンサ12と第2のコンデンサ16とを入れ替えて、実行される(図示せず)。
すなわち、図8に示すステップS406の後のステップS400では、制御回路15aは、第2のコンデンサ16の充電電圧と、第3閾値(例えば、4.3(V))とを比較し、第2のコンデンサ16の充電電圧が第3閾値以下か否かを判定する。
ステップS401では、制御回路15aは、第2のコンデンサ16の充電電圧と第4閾値(例えば、3.8(V))とを比較し、第2のコンデンサ16の充電電圧が第4閾値以下か否かを判定する。あわせて、制御回路15aは、音声信号増幅装置1aに入力された音声信号が無音を示す信号になっているか否かを判定する。
ステップS402では、制御回路15aは、第1のコンデンサ12に充電された直流電力が選択回路14aで選択されてクロック生成回路20に供給されるように、選択回路14aを制御する。
ステップS403では、制御回路15aは、第2の充電回路17が高速充電モードで第2のコンデンサ16を充電するように、第2の充電回路17を制御する。
ステップS404では、制御回路15aは、第2のコンデンサ16の充電電圧と第2閾値(例えば、4.7(V))とを比較し、第2のコンデンサ16の充電電圧が第2閾値以上か否かを判定する。
ステップS405では、第2のコンデンサ16への充電が完了する。
そして、ステップS406では、制御回路15aは、第2の充電回路17から第2のコンデンサ16への充電が停止するように、第2の充電回路17を制御する。
このステップS406の後は、ステップS400に戻り、ステップS400〜S406の一連の動作が、第1のコンデンサ12と第2のコンデンサ16とを入れ替えて(すなわち、図8に示す状態で)、再度実行される。
このように、本実施の形態におけるステップS400〜S406の一連の動作は、第1のコンデンサ12と第2のコンデンサ16とを交互に入れ替えて、繰り返し(音声信号増幅装置1aの動作が停止されるまで)実行される。
したがって、本実施の形態に示す電源回路10aは、以下のように動作する。クロック生成回路20に、第1のコンデンサ12に充電された直流電力が供給されているときに、第1のコンデンサ12の充電電圧が低下する等して第1のコンデンサ12への充電が実行されるときは、クロック生成回路20に供給される電力は、第1のコンデンサ12に充電された直流電力から、第2のコンデンサ16に充電された直流電力に変更される。第1のコンデンサ12の充電電圧が第2閾値に達して充電が完了した後も、第2のコンデンサ16に充電された直流電力がクロック生成回路20へ供給される動作が継続される。クロック生成回路20に、第2のコンデンサ16に充電された直流電力が供給されているときに、第2のコンデンサ16の充電電圧が低下する等して第2のコンデンサ16への充電が実行されるときは、クロック生成回路20に供給される電力は、第2のコンデンサ16に充電された直流電力から、第1のコンデンサ12に充電された直流電力に変更される。このようにして、クロック生成回路20には、第1のコンデンサ12と第2のコンデンサ16とから交互に直流電力が供給される。
なお、一方のコンデンサ(例えば、第1のコンデンサ12)の充電中に、クロック生成回路20に直流電力を供給している他方のコンデンサ(例えば、第2のコンデンサ16)の充電電圧が第3閾値(例えば、4.3(V))以下にならないように、第1のコンデンサ12が有するコンデンサ及び第2のコンデンサ16が有するコンデンサには、大容量のコンデンサ(例えば、電気二重層コンデンサ)が使用されることが望ましい。
[2−3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、電源回路は、実施の形態1に示した電源回路に、第2のコンデンサと、入力電力を用いて第2のコンデンサを充電する第2の充電回路と、をさらに備える。そして、選択回路は、定電圧生成回路で生成された直流電力、第1のコンデンサに充電された直流電力、及び第2のコンデンサに充電された直流電力のうちの1つの直流電力を選択してクロック生成回路に供給する。制御回路は、音声信号増幅装置に電源が投入されると、第2のコンデンサが第2の充電回路によって充電されるように第2の充電回路を制御する。さらに、制御回路は、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサのうちの、充電電圧が予め定められた閾値に達した方のコンデンサに充電された直流電力が選択回路で選択されてクロック生成回路に供給されるように選択回路を制御する。
なお、音声信号増幅装置1aは音声信号増幅装置の一例である。電源回路10aは電源回路の一例である。第2のコンデンサ16は第2のコンデンサの一例である。第2の充電回路17は第2の充電回路の一例である。選択回路14aは選択回路の一例である。制御回路15aは制御回路の一例である。第2閾値は予め定められた閾値の一例である。
これにより、例えば実施の形態2に示した音声信号増幅装置1aの動作例では、実施の形態1に示した音声信号増幅装置1と同様の効果を得ることができる。
すなわち、第2のコンデンサ16は、第1のコンデンサ12と同様に、ノイズが発生しにくい電池のような電力源として扱うことができる。また、電源回路10aでは、第1のコンデンサ12に充電された直流電力又は第2のコンデンサ16に充電された直流電力が選択回路14aで選択されているとき、ノイズが発生しやすい定電圧生成回路11とクロック生成回路20とは電気的に切り離される。したがって、電源回路10aが、第1のコンデンサ12に充電された直流電力又は第2のコンデンサ16に充電された直流電力をクロック生成回路20に供給するときは、電源回路10aからクロック生成回路20へのノイズの伝播を抑制し、安定した直流電力をクロック生成回路20へ供給することができる。
また、音声信号増幅装置1aに電源が投入された後は、第1の充電回路13による第1のコンデンサ12への充電が開始され、第2の充電回路17による第2のコンデンサ16への充電が開始される。そして、第1のコンデンサ12の充電電圧又は第2のコンデンサ16の充電電圧が第2閾値に達するまでは、クロック生成回路20へは、定電圧生成回路11によって生成された直流電力が供給される。そのため、実施の形態2に示す音声信号増幅装置1aは、実施の形態1に示した音声信号増幅装置1と同様に、第1のコンデンサ12及び第2のコンデンサ16が有するコンデンサが例えば電気二重層コンデンサであり充電が完了するまで(充電電圧が第2閾値に達するまで)に相対的に長い時間がかかったとしても、音声信号増幅装置1aに電源が投入された直後から、クロック生成回路20に直流電力を供給することができる。
また、電源回路10aは、第1のコンデンサ12の充電電圧又は第2のコンデンサ16の充電電圧が第2閾値に達した後は、充電電圧が第2閾値に達した方のコンデンサに充電された直流電力をクロック生成回路20に供給する。
このように、実施の形態2に示す音声信号増幅装置1aにおいても、実施の形態1に示した音声信号増幅装置1と同様に、定電圧生成回路11で生成された直流電力が電源回路10aからクロック生成回路20へ供給される期間は、音声信号増幅装置1aに電源が投入されてから、第1のコンデンサ12又は第2のコンデンサ16の充電電圧が第2の閾値に達するまでの期間だけであり、その期間以外は、第1のコンデンサ12又は第2のコンデンサ16に充電された直流電力がクロック生成回路20へ供給される。したがって、電源回路10aは、クロック生成回路20へ電力を供給するときに、クロック生成回路20へのノイズの伝播を抑制することができる。
本実施の形態において、制御回路は、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサのうちの、選択回路で選択されている一方のコンデンサの充電電圧が第3閾値以下になりかつ音声信号が無音を示す信号になっている場合、又は、当該一方のコンデンサの充電電圧が第4閾値以下になった場合、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサのうちの他方のコンデンサに充電された直流電力が選択回路で選択されてクロック生成回路に供給されるように選択回路を制御する。また、制御回路は、当該一方のコンデンサが、第1の充電回路及び第2の充電回路のうちの、当該一方のコンデンサを充電する方の充電回路によって充電されるように、第1の充電回路又は第2の充電回路を制御する。
これにより、例えば実施の形態2に示した音声信号増幅装置1aの動作例では、第1のコンデンサ12及び第2のコンデンサ16のうちの、クロック生成回路20に直流電力を供給している一方のコンデンサの充電電圧が第3閾値以下になりかつ音声信号が無音を示す信号になっている場合、又は、当該一方のコンデンサの充電電圧が第4閾値以下になった場合、クロック生成回路20に電力を供給するコンデンサは第1のコンデンサ12及び第2のコンデンサ16のうちの他方のコンデンサに切り替えられる。そして、クロック生成回路20に直流電力を供給するコンデンサが当該一方のコンデンサから当該他方のコンデンサに切り替えられた後に、当該一方のコンデンサは充電される。したがって、電源回路10aでは、充電が行われるコンデンサと、直流電力をクロック生成回路20に供給するコンデンサとが異なるので、電源回路10aからクロック生成回路20へ電力を供給するときに、クロック生成回路20へのノイズの伝播をより抑制することができる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1及び2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適応可能である。また、上記実施の形態1及び2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
実施の形態1及び2では、クロック生成回路20が、第1のコンデンサ12又は第2のコンデンサ16に充電された直流電力から電力を供給されるとき、定電圧生成回路11の動作を停止する動作例を説明した。しかし、本開示は何らこの構成に限定されない。クロック生成回路20が、第1のコンデンサ12又は第2のコンデンサ16に充電された直流電力から電力を供給されているとき、選択回路14又は選択回路14aは、定電圧生成回路11を選択していない。そのため、クロック生成回路20と定電圧生成回路11とは電気的に切り離されている。したがって、クロック生成回路20が、第1のコンデンサ12又は第2のコンデンサ16に充電された直流電力を供給されているとき、定電圧生成回路11は動作を継続してもよい。しかし、定電圧生成回路11の動作が停止することで、ノイズの発生が抑制される。さらに、電源回路10又は電源回路10aでの消費電力も抑制される。したがって、定電圧生成回路11からクロック生成回路20への電力供給が不要なときは、定電圧生成回路11は動作を停止する方が望ましい。
実施の形態2では、クロック生成回路20が第1のコンデンサ12及び第2のコンデンサ16のうちの一方のコンデンサから直流電力を供給されているとき、第1のコンデンサ12及び第2のコンデンサ16のうちの他方のコンデンサに対して充電がなされ、その充電が完了すると、他方のコンデンサを充電する充電回路(第1の充電回路13又は第2の充電回路17)の動作を停止する動作例を説明した。しかし、本開示は何らこの構成に限定されない。クロック生成回路20が一方のコンデンサから直流電力を供給されているとき、選択回路14aは、他方のコンデンサを選択していない。そのため、クロック生成回路20と、他方のコンデンサを充電する充電回路と、は電気的に切り離されている。したがって、クロック生成回路20が一方のコンデンサから直流電力を供給されているとき、他方のコンデンサの充電が完了しても、他方のコンデンサを充電する充電回路は動作を継続してもよい。しかし、他方のコンデンサを充電する充電回路の動作が停止することで、ノイズの発生が抑制される。さらに、電源回路10aでの消費電力も抑制される。したがって、他方のコンデンサの充電が完了した後は、他方のコンデンサを充電する充電回路は動作を停止する方が望ましい。
実施の形態2では、音声信号増幅装置1aに電源が投入された後、先に第1のコンデンサ12が充電され、第1のコンデンサ12の充電電圧が第2閾値に達した後に、第1のコンデンサ12に充電された直流電力がクロック生成回路20に供給される動作例を説明した。しかし、本開示は何らこの構成に限定されない。例えば、音声信号増幅装置1aに電源が投入された後、先に第2のコンデンサ16が充電されてもよい。あるいは、第1のコンデンサ12及び第2のコンデンサ16が同時に充電されてもよい。この構成では、制御回路15aは、先に充電電圧が第2閾値に達した方のコンデンサに充電された直流電力がクロック生成回路20に供給されるように選択回路14を制御してもよい。
実施の形態1及び2に第1閾値〜第4閾値として示した数値は単なる一例に過ぎない。第1閾値〜第4閾値の各数値はクロック生成回路20や各部品の仕様等に応じて、適切に設定すればよい。ただし、第1閾値〜第4閾値の各数値は、第4閾値<第1閾値<第3閾値<第2閾値の条件を満たすように設定されることが望ましい。
実施の形態1及び2においてフローチャートを用いて説明した各動作の順番は、何ら各フローチャートに図示した順番に限定されない。各動作の順番は、電源回路10又は電源回路10aにおける動作に矛盾が生じない範囲で、入れ替わってもよい。
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。
したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。