以下、図面を参照して、本発明に係る地下構造物の施工方法及び地下構造物の好適な実施形態について詳細に説明する。本実施形態に係る地下構造物の施工方法は、既設の本線シールドトンネルに新設の支線シールドトンネルを合流させるために、本線シールドトンネルと支線シールドトンネルとの合流領域に本線シールドトンネル及び支線シールドトンネルの双方を囲む大断面トンネルを施工する方法である。また、本実施形態に係る地下構造物は、このような方法により施工される大断面トンネルである。但し、本発明の地下構造物の施工方法及び地下構造物は、このような大断面トンネルの施工方法及び大断面トンネルに限定されるものではない。全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
(第一実施形態)
まず、地下構造物について説明する。図1〜図4に示すように、本実施形態に係る地下構造物1は、本線シールドトンネル2と支線シールドトンネル3との合流領域に施工された、本線シールドトンネル2及び支線シールドトンネル3の双方を囲む大断面トンネルである。地下構造物1の内部には、地下構造物1の軸線方向に延びる地下空洞4が形成されており、地下構造物1は、複数のシールドトンネル11を連結してなる地下空洞4の外郭躯体12を備えている。
シールドトンネル11は、公知のシールド掘進工法又はシールド推進工法により施工されたトンネルである。すなわち、シールドトンネル11は、シールド掘進機で地中を掘進しながら、シールド掘進機の後方でトンネルの壁面となるセグメントを組み立てていくことや、シールド掘進機を推進管により推力を得て掘進して、推進管を組み立てていくことにより構築されるトンネルである。つまり、シールドトンネル11は、シールド掘進機を掘進して組み立てられたセグメントや掘進に伴い組み立てられた推進管によりトンネル覆工体を構築することで延伸される。なお、シールドトンネル51の延伸が終了すると、シールド掘進機を分解してシールドトンネル51から回収されるが、シールド掘進機のカッター部分及び外周鋼殻部分等は、シールドトンネル51の先端に残置される。そして、地下構造物1では、複数のシールドトンネル11が、地下構造物1の一方端部1a(図1における右上側の端部)と他方端部1b(図1における左下側の端部)との間において、本線シールドトンネル2及び支線シールドトンネル3の双方を囲むように、軸方向に延伸されるとともに周方向に配置されている。
外郭躯体12は、地下空洞4の外郭を構成する略円筒状の躯体である。外郭躯体12は、隣り合うシールドトンネル11が連結されることにより構築されている。具体的に説明すると、外郭躯体12では、隣り合うシールドトンネル11間には、両シールドトンネル11を連結する連結路17が構築されており、全てのシールドトンネル11及び連結路17に鉄筋コンクリート19が打設されている。なお、連結路17は、鉄筋コンクリート19に代えて、簡易な嵌合継手又は突合せ継手であってもよい。また、連結路を設けないで隣り合うシールドトンネル11を相互に隣接させて連結してもよい。更に、隣り合うシールドトンネル11について、後から延伸するシールドトンネル11(後行シールドトンネル)を掘進又は推進する際に、後から延伸するシールドトンネルよりも先に延伸したシールドトンネル11(先行シールドトンネル)のトンネル覆工体の一部を切削しながら相互に連結してもよい。
地下構造物1の一方端部1aには、外郭躯体12の一方側面を封止(止水)する一方側褄壁15が構築されており、地下構造物1の他方端部1bには、外郭躯体12の他方側面を封止(止水)する他方側褄壁16が構築されている。
そして、一方側褄壁15及び他方側褄壁16に挟まれた外郭躯体12の内周側領域の一部又は全部の土砂が掘削除去されることで、地下構造物1の内部に地下空洞4が形成されている。
次に、上述した複数のシールドトンネル11についてさらに詳しく説明する。複数のシールドトンネル11は、複数のシールドトンネル11のうちの一部のシールドトンネル11である全長シールドトンネル13と、複数のシールドトンネル11のうちの残りのシールドトンネル11である短尺シールドトンネル14と、により構成される。
全長シールドトンネル13は、外郭躯体12において一方端部1aから他方端部1bに至っている。短尺シールドトンネル14は、全長シールドトンネル13よりも短いシールドトンネルである。短尺シールドトンネル14は、外郭躯体12において一方端部1aから他方端部1bに向けて延伸されて(延びて)いる。つまり、短尺シールドトンネル14は、他方端部1bに至っておらず、短尺シールドトンネル14の先端は、他方端部1bよりも一方端部1a側の一方端部1aから他方端部1bに至る途中の位置に位置している。このため、他方端部1bには、短尺シールドトンネル14が延伸されていない。そして、地下空洞4が本線シールドトンネル2及び支線シールドトンネル3の外形に沿うように、地下空洞4の断面積は、一方端部1aから他方端部1bに向けて小さくなっている。一般的に、外郭躯体12は、所定の土圧に耐えられる構造である。このため、地下空洞4の断面積が一方端部1aから他方端部1bに向けて小さくなるのに伴い、外郭躯体12の断面積も小さくなる。また、複数の全長シールドトンネル13は、一方端部1aから他方端部1bまで、全体として地下空洞4側に向けた勾配で地下空洞4の断面積を小さくするように延伸している。したがって、外郭躯体12の施工予定領域である外郭躯体予定領域12Aの断面積は、一方端部1aから他方端部1bに向けて緩やかに小さくなる。
具体的に説明すると、短尺シールドトンネル14の先端部14A(図1における左下の部分)は、外郭躯体12から外れている。つまり、短尺シールドトンネル14は、外郭躯体12において一方端部1aから他方端部1bに向けて延伸されているが、その先端部14Aにおいて、外郭躯体12から外れている。なお、短尺シールドトンネル14は、一方端部1aから他方端部1bに向けて延伸されているため、短尺シールドトンネル14の先端部14Aは、短尺シールドトンネル14の他方端部1b側の先端部分となる。なお、短尺シールドトンネル14の先端部14Aは、延伸(掘進)を停止したシールド掘進機のカッター部分及び外周鋼殻部分等のシールド掘進機の一部である残置物を含むものである。
ここで、短尺シールドトンネル14の先端部14Aが外郭躯体12から外れるとは、外郭躯体12から完全に外れている場合と、外郭躯体12から一部のみが外れている場合と、の双方を意味する。外郭躯体12から完全に外れている場合とは、短尺シールドトンネル14の軸線方向に直交する断面において、先端部14Aの全ての部分が外郭躯体12にない場合をいう。外郭躯体12から一部のみが外れている場合とは、短尺シールドトンネル14の軸線方向に直交する断面において、先端部14Aの一部が外郭躯体12にあるが、先端部14Aの残りの部分が外郭躯体12にない場合をいう。
更に、短尺シールドトンネル14の先端部14Aは、外郭躯体12の外周側又は内周側に曲げられてその一部又は全部が外郭躯体12の構成要素ではなくなることで、外郭躯体12から外れている。外郭躯体12の外周側又は内周側とは、略円筒状に形成される外郭躯体12の半径方向における外周側又は内周側をいう。本実施形態では、全ての短尺シールドトンネル14は、その先端部14Aが外郭躯体12の外周側に外れている。
また、地下構造物1は、地下構造物1の一方端部1aから他方端部1bに向けて軸線方向に複数の領域に分けられており、各領域において、1又は複数の短尺シールドトンネル14の先端部14Aが外郭躯体12から外れている。
具体的に説明すると、シールドトンネル11は、12本の全長シールドトンネル13(13a〜13l)と、6本の短尺シールドトンネル14(14a〜14f)と、の合計18本により構成される。地下構造物1は、地下構造物1の一方端部1aから他方端部1bに向けて第一領域A1、第二領域A2、第三領域A3の3領域に分けられている。短尺シールドトンネル14は、その先端部14Aが第一領域A1において外郭躯体12から外れる2本の第一短尺シールドトンネル14a,14dと、その先端部14Aが第二領域A2において外郭躯体12から外れる2本の第二短尺シールドトンネル14b,14eと、その先端部14Aが第三領域A3において外郭躯体12から外れる2本の第三短尺シールドトンネル14c,14fと、で構成される。
第一短尺シールドトンネル14a,14dは、第一領域A1において、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々に外郭躯体12から外れていき、その先端において外郭躯体12から完全に外れている。第二短尺シールドトンネル14b,14eは、第二領域A2において、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々に外郭躯体12から外れていき、その先端において外郭躯体12から完全に外れている。第三短尺シールドトンネル14c,14fは、第三領域A3において、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々に外郭躯体12から外れていき、その先端において外郭躯体12から完全に外れている。
一方端部1aにおいて、各シールドトンネル11は、以下のように配置されている。全長シールドトンネル13a〜13gは、この順で互いに隣り合っている。全長シールドトンネル13h〜13lは、この順で互いに隣り合っている。第一短尺シールドトンネル14a、第二短尺シールドトンネル14b及び第三短尺シールドトンネル14cは、この順で互いに隣り合うとともに、全長シールドトンネル13gと全長シールドトンネル13hとの間に配置されている。第一短尺シールドトンネル14d、第二短尺シールドトンネル14e及び第三短尺シールドトンネル14fは、この順で互いに隣り合うとともに、全長シールドトンネル13lと全長シールドトンネル13aとの間に配置されている。そして、全長シールドトンネル13a〜13gは、地下構造物1の一方端部1aから他方端部1bに亘って、互いの間隔が略同じとなっている。また、全長シールドトンネル13h〜13lは、地下構造物1の一方端部1aから他方端部1bに亘って、互いの間隔が略同じとなっている。なお、全長シールドトンネル13(13a〜13l)及び短尺シールドトンネル14(14a〜14f)は、互いに隣り合っていればよく、必ずしも上述した順に配列されていなくてもよい。
次に、上述した地下構造物1の施工方法について説明する。本実施形態に係る地下構造物の施工方法は、発進基地構築工程と、シールドトンネル構築工程と、外郭躯体構築工程と、褄壁構築工程と、掘削工程と、を備える。
発進基地構築工程では、図5及び図6に示すように、シールドトンネル11を延伸させるための発進基地21を構築する。発進基地21は、支線シールドトンネル3から支線シールドトンネル3の半径方向外周側に延びる発進坑口22と、本線シールドトンネル2及び支線シールドトンネル3の双方を囲むように発進坑口22から円周状に延びる円周シールド23と、を備える。発進坑口22は、周知のシールド掘進機により施工することができ、円周シールド23は、周知の円周シールド掘進機により施工することができる。
シールドトンネル構築工程では、図7〜図12に示すように、地下構造物1の施工予定領域である地下構造物予定領域(不図示)の一方端部1aと他方端部1bとの間において、軸方向に延伸する複数のシールドトンネル11を周方向に構築する。なお、地下構造物予定領域の一方端部1a及び他方端部1bは、地下構造物1の一方端部1a及び他方端部1bと同じである。
シールドトンネル構築工程では、まず、図7〜図9に示すように、一方端部1aに施工された発進基地21から他方端部1bに至る12本の全長シールドトンネル13(13a〜13l)を、外郭躯体予定領域12Aにおいて延伸する。このとき、全長シールドトンネル13を、一方端部1aに施工された発進基地21から他方端部1bに向けて延伸する。また、隣り合う全長シールドトンネル13を同時に延伸せずに、隣り合う全長シールドトンネル13のうち、一方の全長シールドトンネル13を先行して延伸した後に、他方の全長シールドトンネル13を後行して延伸する。このとき、例えば、全長シールドトンネル13の掘進には、2機以上のシールド掘進機を使用することが好ましい。2機以上のシールド掘進機を使用することで、複数の全長シールドトンネル13を並行して延伸できる。
全ての全長シールドトンネル13の延伸が終了すると、次に、図10〜図12に示すように、全長シールドトンネル13よりも短い6本の短尺シールドトンネル14(14a〜14f)を、外郭躯体予定領域12Aにおいて一方端部1aに施工された発進基地21から他方端部1bに向けて延伸する。このとき、隣り合う短尺シールドトンネル14を同時に延伸せずに、隣り合う短尺シールドトンネル14のうち、一方の短尺シールドトンネル14を先行して延伸した後に、他方の短尺シールドトンネル14を後行して延伸する。そして、短尺シールドトンネル14の先端部14Aを、外郭躯体予定領域12Aから外す。このとき、例えば、全長シールドトンネル13の延伸と同様に、短尺シールドトンネル14の掘進には、2機以上のシールド掘進機を使用することが好ましい。2機以上のシールド掘進機を使用することで、複数の短尺シールドトンネル14を並行して延伸できる。
具体的には、第一領域A1において、第一短尺シールドトンネル14a,14dを、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々に外郭躯体予定領域12Aから外していき、その先端において外郭躯体予定領域12Aから完全に外す。そして、第一領域A1の他方端部1b側の端部において、第一短尺シールドトンネル14a,14dの延伸を終了する。このため、第二領域A2及び第三領域A3には、第一短尺シールドトンネル14a,14dが延伸されない。
また、第二領域A2において、第二短尺シールドトンネル14b,14eを、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々に外郭躯体予定領域12Aから外していき、その先端において外郭躯体予定領域12Aから完全に外す。そして、第二領域A2の他方端部1b側の端部において、第二短尺シールドトンネル14b,14eの延伸を終了する。このため、第三領域A3には、第二短尺シールドトンネル14b,14eが延伸されない。
また、第三領域A3において、第三短尺シールドトンネル14c,14fを、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々に外郭躯体予定領域12Aから外していき、その先端において外郭躯体予定領域12Aから完全に外す。そして、第三領域A3の他方端部1b側の端部が近づくと、第三領域A3の他方端部1bから所定距離だけ手前の位置において、第三短尺シールドトンネル14c,14fの延伸を終了する。このため、他方端部1bには、第三短尺シールドトンネル14c,14fが延伸されない。
外郭躯体構築工程では、図13に示すように、複数のシールドトンネル11を連結してなる地下構造物1の外郭躯体12を構築する。外郭躯体12の構築は、例えば、次のように行うことができる。まず、凍結工法等によりシールドトンネル11の周囲に凍土18を造成し、シールドトンネル11の周囲を凍結止水する。次に、シールドトンネル11の壁面を構成するセグメント又は推進管を取り外した後、隣り合うシールドトンネル11間を掘削して、隣り合うシールドトンネル11を連結する連結路17を構築する。そして、図14に示すように、全てのシールドトンネル11及び連結路17に鉄筋コンクリート19を打設する。これにより、シールドトンネル11と、連結路17と、シールドトンネル11及び連結路17に打設された鉄筋コンクリート19と、を備える外郭躯体12が構築される。なお、連結路17は、鉄筋コンクリート19に代えて、簡易な嵌合継手又は突合せ継手であってもよい。シールドトンネル11の壁面を構成するセグメント又は推進管を取り外すのは、シールドトンネル11の軸線方向に所定の間隔をあけて取り外せばよい。シールドトンネル11を互いに隣接させて延伸した場合や、後行シールドトンネルを先行シールドトンネルのトンネル覆工体の一部を切削しながら相互に連結する場合は、連結路を構築して隣り合うシールドトンネル11を連結する必要はない。
そして、短尺シールドトンネル14と全長シールドトンネル13とが隣り合う部分では、図14に示すように、短尺シールドトンネル14(14f)が外郭躯体予定領域12Aにある箇所では、短尺シールドトンネル14(14f)と、この短尺シールドトンネル14(14f)と隣り合う全長シールドトンネル13(13a,13l)とを、連結路17により連結する。図15及び図16に示すように、短尺シールドトンネル14(14f)の一部のみが外郭躯体予定領域12Aから外れている箇所では、短尺シールドトンネル14(14f)と、この短尺シールドトンネル14(14f)と隣り合う全長シールドトンネル13(13a,13l)とを、連結路17により連結し、その後、この短尺シールドトンネル14(14f)と隣り合う全長シールドトンネル13(13a,13l)同士を、補強部20により連結する。
この際、隣り合う全長シールドトンネル13の間隔、隣り合う短尺シールドトンネル14の間隔、隣り合う全長シールドトンネル13と短尺シールドトンネル14との間隔を、それぞれ一定距離Lを保つことが好ましい。そして、短尺シールドトンネル14が外郭躯体予定領域12Aから外れて行くに従い、この短尺シールドトンネル14と隣り合う全長シールドトンネル13の間隔を狭めていく。つまり、図14〜図16においては、全長シールドトンネル13aと全長シールドトンネル13bとの間隔、全長シールドトンネル13kと全長シールドトンネル13lとの間隔、全長シールドトンネル13lと第三短尺シールドトンネル14fとの間隔、第三短尺シールドトンネル14fと全長シールドトンネル13aとの間隔を、それぞれ一定距離Lに保つ。そして、第三短尺シールドトンネル14fが外郭躯体予定領域12Aから外れて行くに従い、全長シールドトンネル13aと全長シールドトンネル13lとの間隔を狭めていく。
一方、図17に示すように、短尺シールドトンネル14の全体又は略全体が外郭躯体予定領域12Aから外れている箇所では、短尺シールドトンネル14(14f)を全長シールドトンネル13(13a,13l)に連結せずに、短尺シールドトンネル14(14f)を挟んでいた全長シールドトンネル13(13a,13l)同士を連結する。
この際、外郭躯体予定領域12Aから外れた短尺シールドトンネル14を除いて、隣り合う全長シールドトンネル13の間隔、隣り合う短尺シールドトンネル14の間隔、隣り合う全長シールドトンネル13と短尺シールドトンネル14との間隔を、それぞれ一定距離Lを保つことが好ましい。つまり、図17においては、全長シールドトンネル13aと全長シールドトンネル13bとの間隔、全長シールドトンネル13kと全長シールドトンネル13lとの間隔、全長シールドトンネル13lと全長シールドトンネル13aとの間隔を、それぞれ一定距離Lに保つ。
ところで、シールドトンネル構築工程において、他方端部1bまで延伸されるシールドトンネル11は全長シールドトンネル13のみである。また、短尺シールドトンネル14は、全ての全長シールドトンネル13の延伸が終了した後に延伸される。このため、全ての全長シールドトンネル13の延伸が終了すれば、短尺シールドトンネル14の延伸が終了するのを待たなくても、他方端部1bから一方端部1aに向けて、外郭躯体12の構築を開始することができる。
なお、本実施形態では、他方端部1bに、一方端部1aの発進基地21に対応する到達基地(内部空洞)が構築されていないが、他方端部1bにも、一方端部1aの発進基地21に対応する到達基地が構築されている場合には、他方端部1bに到達したシールド掘進機を、他方端部1bから一方端部1aに向けて掘進してもよい。この場合、シールド掘進機を他方端部1bから一方端部1aに移動する必要がなくなる。
褄壁構築工程では、図18に示すように、地下構造物1の一方端部1aに、外郭躯体12の一方側面を封止(止水)する一方側褄壁15を構築し、地下構造物1の他方端部1bに、外郭躯体12の他方側面を封止(止水)する他方側褄壁16を構築する。一方側褄壁15及び他方側褄壁16の構築は、例えば、地下構造物1の一方端部1a及び他方端部1bを凍結止水し、一方側褄壁15及び他方側褄壁16を構築する領域を掘削して鉄筋コンクリートを打設する。これにより、一方側褄壁15及び他方側褄壁16を構築することができる。
上述したように、全ての全長シールドトンネル13の延伸が終了すれば、全ての短尺シールドトンネル14の延伸が終了するのを待たなくても、他方端部1bから一方端部1aに向けて、外郭躯体12の構築を開始することができる。このため、外郭躯体構築工程においても、全ての全長シールドトンネル13の延伸が終了し、他方端部1bにおける外郭躯体12の構築が終了すれば、全ての短尺シールドトンネル14の延伸が終了するのを待たなくても、他方側褄壁16の構築を開始することができる。
また、シールドトンネル構築工程では、短尺シールドトンネル14は、一方端部1aから他方端部1bに向けて延伸される。このため、全ての短尺シールドトンネル14の延伸が開始されれば、全ての短尺シールドトンネル14の延伸の終了を待たなくても、一方側褄壁15の構築を開始することができる。
掘削工程では、図1〜図4に示すように、一方側褄壁15及び他方側褄壁16に挟まれた外郭躯体12の内周側領域の一部又は全部を掘削して地下空洞4を形成する。つまり、一方側褄壁15及び他方側褄壁16に挟まれた外郭躯体12の内周側領域の一部又は全部を掘削し、掘削した土砂を排出することで、外郭躯体12の内周側に地下空洞4を形成する。そして、掘削した土砂を、本線シールドトンネル2から排出する。なお、地下空洞4に露出した本線シールドトンネル2及び支線シールドトンネル3のトンネル覆工部分は、最終的には取り壊して掘削した土砂とともに排出する。
上述したように、全ての全長シールドトンネル13の延伸が終了すれば、全ての短尺シールドトンネル14の延伸が終了するのを待たなくても、他方端部1bから一方端部1aに向けて外郭躯体12の構築を開始することができるとともに、他方側褄壁16の構築を開始することができる。このため、掘削工程においても、全ての全長シールドトンネル13の延伸が終了し、他方端部1bにおける外郭躯体12の構築が終了し、他方側褄壁16の構築が終了すると、全ての短尺シールドトンネル14の延伸が終了するのを待たなくても、他方端部1bから一方端部1aに向けて、外郭躯体12の内周側領域の掘削を開始することができる。掘削に伴い外郭躯体12の内周側領域への止水が問題になる場合は、一方側褄壁15の構築が終了した後に、外郭躯体12の内周側領域の掘削を開始することが好ましい。
以上説明したように、本実施形態では、全長シールドトンネル13を、外郭躯体予定領域12Aにおいて一方端部1aから他方端部1bまで延伸し、全長シールドトンネル13よりも短い短尺シールドトンネル14を、外郭躯体予定領域12Aにおいて一方端部1aから他方端部1bに向けて延伸し、外郭躯体予定領域12Aの断面積を、一方端部1aから他方端部1bに向けて小さくする。これにより、地下空洞4の一方端部1aの断面に対して地下空洞4の他方端部1bの断面を小さくすることができるため、必要となる地下空洞の形状に応じて、効率的に地下空洞4を形成することができる。つまり、本線シールドトンネル2と支線シールドトンネル3との合流領域に地下構造物1である大断面トンネルを施工する場合には、支線シールドトンネル3が本線シールドトンネル2に合流していくに従い、外郭躯体12を小さくしていくことができるため、効率的に大断面トンネルの地下空洞4を形成することができる。
また、短尺シールドトンネル14の先端部14Aを外郭躯体予定領域12Aから外すため、外郭躯体予定領域12Aにおいて隣り合うシールドトンネル11間の間隔を均等化することができるとともに、外郭躯体予定領域12Aの断面積を一方端部1aから他方端部1bに向けて緩やかに小さくすることができる。
また、全長シールドトンネル13を、短尺シールドトンネル14と同様に、一方端部1aから他方端部1bに向けて延伸するため、シールドトンネル構築工程の作業性を向上することができる。
また、既設の本線シールドトンネル2と新設の支線シールドトンネル3との合流領域に大断面トンネルを施工する際は、外郭躯体予定領域12Aの内周側に本線シールドトンネル2が存在する。しかしながら、本実施形態では、短尺シールドトンネル14の先端部14Aを外郭躯体予定領域12Aの外周側に外すため、当該先端部14Aが外郭躯体予定領域12Aの内周側に配置される本線シールドトンネル2に干渉するのを防止することができる。
また、全ての全長シールドトンネル13を延伸した後に短尺シールドトンネル14を延伸するため、全長シールドトンネル13間の間隔を一定にする場合等に、全長シールドトンネル13を所望の位置に延伸しやすくなる。
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であるが、短尺シールドトンネルの一部が、外郭躯体(外郭躯体予定領域)の内周側に外れている点のみ、第一実施形態と相違する。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の事項の説明を省略する。
まず、地下構造物について説明する。図19〜図21に示すように、本実施形態に係る地下構造物31では、第一実施形態の短尺シールドトンネル14に対応する短尺シールドトンネル34が複数構築されている。短尺シールドトンネル34は、第一実施形態と同様に、全長シールドトンネル13よりも短く、外郭躯体12において一方端部1aから他方端部1bに向けて延伸されている。そして、複数の短尺シールドトンネル34のうちの一部のシールドトンネルである外周側短尺シールドトンネル341は、その先端部34Aが、外郭躯体予定領域12Aの外周側に外れている。一方、複数の短尺シールドトンネル34のうちの残りのシールドトンネルである内周側短尺シールドトンネル342は、その先端部34Aが、外郭躯体予定領域12Aの内周側に外れている。
具体的に説明すると、地下構造物31は、第一実施形態の第一短尺シールドトンネル14d、第二短尺シールドトンネル14b,14e、及び第三短尺シールドトンネル14c,14fと同様の、第一外周側短尺シールドトンネル341d、第二外周側短尺シールドトンネル341b,341e、及び第三外周側短尺シールドトンネル341c,341fを備えている。第一外周側短尺シールドトンネル341d、第二外周側短尺シールドトンネル341b,341e、及び第三外周側短尺シールドトンネル341c,341fは、その先端部34Aが、外郭躯体12の外周側に外れている。
また、地下構造物31は、第一実施形態の第一短尺シールドトンネル14aの代わりに、第一内周側短尺シールドトンネル342aを備えている。第一内周側短尺シールドトンネル342aは、その先端部34Aが、外郭躯体12の内周側に外れている。具体的には、第一内周側短尺シールドトンネル342aは、第一領域A1において、地下構造物31の一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々に外郭躯体12の内周側に外れていき、その先端において外郭躯体12の内周側に完全に外れている。そして、第一内周側短尺シールドトンネル342aは、第一領域A1において外郭躯体12の内周側に外れたのち、外郭躯体12の内周側を通って、その先端が第三領域A3(又は、第二領域A2)まで延伸されている。
次に、上述した地下構造物31の施工方法について説明する。本実施形態に係る地下構造物の施工方法は、第一実施形態における地下構造物の施工方法と基本的に同様である。
シールドトンネル構築工程では、全ての全長シールドトンネル13の伸長が終了すると、全長シールドトンネル13よりも短い6本の短尺シールドトンネル34(342a、341b〜341f)を、外郭躯体予定領域12Aにおいて一方端部1aに施工された発進基地21から他方端部1bに向けて延伸する。そして、短尺シールドトンネル34の先端部14Aを、外郭躯体予定領域12Aから外す。
具体的には、第一領域A1において、第一内周側短尺シールドトンネル342aを、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々に外郭躯体予定領域12Aの内周側に外していき、その先端において外郭躯体予定領域12Aの内周側に完全に外す。そして、第一内周側短尺シールドトンネル342aを、外郭躯体予定領域12Aの内周側において第三領域A3(又は、第二領域A2)まで延伸し、第三領域A3(又は、第二領域A2)において、第一内周側短尺シールドトンネル342aの延伸を終了する。
また、第一領域A1において、第一外周側短尺シールドトンネル341dを、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々に外郭躯体予定領域12Aの外周側に外していき、その先端において外郭躯体予定領域12Aの外周側に完全に外す。そして、第一領域A1の他方端部1b側の端部において、第一外周側短尺シールドトンネル341dの延伸を終了する。
第二領域A2において、第二外周側短尺シールドトンネル341b,341eを、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々に外郭躯体予定領域12Aの外周側に外していき、その先端において外郭躯体予定領域12Aの外周側に完全に外す。そして、第二領域A2の他方端部1b側の端部において、第二外周側短尺シールドトンネル341b,341eの延伸を終了する。
第三領域A3において、第三外周側短尺シールドトンネル341c,341fを、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々に外郭躯体予定領域12Aの外周側に外していき、その先端において外郭躯体予定領域12Aの外周側に完全に外す。そして、第三領域A3の他方端部1b側の端部に近づくと、第三領域A3の他方端部1bから所定距離だけ手前の位置において、第二外周側短尺シールドトンネル341b,341eの延伸を終了する。
ここで、第二領域A2及び第三領域A3(又は、第二領域A2)では、第一内周側短尺シールドトンネル342aが、外郭躯体予定領域12Aの内周側に配置されている。そこで、掘削工程では、第三領域A3及び第二領域A2(又は、第二領域A2)において掘削した土砂を、第一内周側短尺シールドトンネル342aから排出する。なお、掘削工程が他方端部1bから一方端部1aに進むに従い、適宜、第一内周側短尺シールドトンネル342aにおける外郭躯体12の内周側に外れている部分のトンネル覆工体を取り壊していく。
このように、本実施形態では、外周側短尺シールドトンネル341(341b〜341f)の先端部34Aを外郭躯体予定領域12Aの外周側に外すため、外周側短尺シールドトンネル341の先端部34Aが、外郭躯体予定領域12Aの内周側に配置される本線シールドトンネル2に干渉するのを防止することができる。一方、内周側短尺シールドトンネル342(342a)の先端部34Aを外郭躯体予定領域12Aの内周側に外すため、当該先端部34Aが、外郭躯体12の内周側に配置される。このため、掘削工程において、外郭躯体12の内周側に土砂を排出するルートを確保しにくい場合にも、内周側短尺シールドトンネル342から容易に土砂を排出することができる。
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について説明する。第三実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であるが、シールドトンネルの位置関係及び延伸方法、シールドトンネルの連結構造及び連結方法が、第一実施形態と相違する。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の事項の説明を省略する。
まず、地下構造物について説明する。図22〜図27に示すように、本実施形態に係る地下構造物41は、本線シールドトンネル2と支線シールドトンネル3との合流領域に施工された、本線シールドトンネル2及び支線シールドトンネル3の双方を囲む大断面トンネルである。地下構造物41の内部には、地下構造物41の軸線方向に延びる地下空洞4が形成されており、地下構造物41は、複数のシールドトンネル51を連結してなる地下空洞4の外郭躯体52を備えている。
シールドトンネル51は、公知のシールド掘進工法又はシールド推進工法により施工されたトンネルである。そして、地下構造物41では、複数のシールドトンネル51が、地下構造物41の一方端部1a(図22における右上側の端部)と他方端部1b(図22における左下側の端部)との間において、本線シールドトンネル2及び支線シールドトンネル3の双方を囲むように、軸方向に延伸されるとともに周方向に配置されている。
外郭躯体52は、地下空洞4の外郭を構成する略円筒状の躯体である。外郭躯体52は、隣り合うシールドトンネル51が連結されることにより構築されている。具体的に説明すると、外郭躯体52では、隣り合うシールドトンネル51間には、両シールドトンネル51を連結する連結路57が構築されており、全てのシールドトンネル51及び連結路57に鉄筋コンクリート59が打設されている。鉄筋コンクリート59の打設は、鉄筋59Aを配設した後に、コンクリート59Bを打設することにより行われる。なお、連結路57は、鉄筋コンクリート59に代えて、簡易な嵌合継手又は突合せ継手であってもよい。また、後述するように、隣り合うシールドトンネル51について、後から延伸するシールドトンネル51(後行シールドトンネル)を掘進又は推進する際に、後から延伸するシールドトンネルよりも先に延伸したシールドトンネル51(先行シールドトンネル)のトンネル覆工体の一部を切削する場合は、後から延伸するシールドトンネル51(後行シールドトンネル)に連結路を設けてもよく、また、連結路を設けることなく、先行シールドトンネルと後行シールドトンネルとを相互に連結してもよい。
地下構造物41の一方端部1aには、外郭躯体52の一方側面を封止(止水)する一方側褄壁15が構築されており、地下構造物41の他方端部1bには、外郭躯体52の他方側面を封止(止水)する他方側褄壁16が構築されている。
そして、一方側褄壁15及び他方側褄壁16に挟まれた外郭躯体52の内周側領域の一部又は全部の土砂が掘削除去されることで、地下構造物41の内部に地下空洞4が形成されている。
次に、上述した複数のシールドトンネル51についてさらに詳しく説明する。複数のシールドトンネル51は、複数のシールドトンネル51のうちの一部のシールドトンネル51である全長シールドトンネル53と、複数のシールドトンネル51のうちの残りのシールドトンネル51である短尺シールドトンネル54と、により構成される。
全長シールドトンネル53は、外郭躯体52において一方端部1aから他方端部1bに至っている。短尺シールドトンネル54は、全長シールドトンネル53よりも短いシールドトンネルである。短尺シールドトンネル54は、外郭躯体52において一方端部1aから他方端部1bに向けて延伸されている。つまり、短尺シールドトンネル54は、他方端部1bに至っておらず、短尺シールドトンネル54の先端は、他方端部1bよりも一方端部1a側の一方端部1aから他方端部1bに至る途中の位置に位置している。このため、他方端部1bには、短尺シールドトンネル54が延伸されていない。
そして、隣り合うシールドトンネル51が重なることで、地下空洞4が本線シールドトンネル2及び支線シールドトンネル3の外形に沿うように、地下空洞4の断面積が、一方端部1aから他方端部1bに向けて小さくなっている。つまり、地下空洞4の断面積が、一方端部1aから他方端部1bに向けて小さくなるように、隣り合うシールドトンネル51が重なると共に、一方端部1aから他方端部1bに向かって、その重なり度合いが大きくなっている。隣り合う全長シールドトンネル53の間隔は、地下構造物41の一方端部1aから他方端部1bに亘って、一定(略一定を含む)となっている。また、複数の全長シールドトンネル53は、一方端部1aから他方端部1bまで、全体として地下空洞4側に向けた勾配で地下空洞4の断面積を小さくするように延伸している。したがって、外郭躯体予定領域12Aの断面積は、一方端部1aから他方端部1bに向けて緩やかに小さくなる。
短尺シールドトンネル54の先端部54A(図22における左下の部分)は、外郭躯体52から外れている。つまり、短尺シールドトンネル54は、外郭躯体52において一方端部1aから他方端部1bに向けて延伸されているが、その先端部54Aにおいて、外郭躯体52から外れている。なお、短尺シールドトンネル54は、一方端部1aから他方端部1bに向けて延伸されているため、短尺シールドトンネル54の先端部54Aは、短尺シールドトンネル54の他方端部1b側の先端部分となる。
ここで、短尺シールドトンネル54の先端部54Aが外郭躯体52から外れるとは、外郭躯体52から完全に外れている場合と、外郭躯体52から一部のみが外れている場合と、の双方を意味する。但し、短尺シールドトンネル54の先端部54Aに残置されたシールド掘進機の残置物が全長シールドトンネル53又は他の短尺シールドトンネル54と重ならないように、短尺シールドトンネル54の先端部54Aは、全長シールドトンネル53又は他の短尺シールドトンネル54から完全に外れていることが好ましい。
短尺シールドトンネル54の先端部54Aは、外郭躯体52の外周側又は内周側に曲げられてその一部又は全部が外郭躯体52の構成要素ではなくなることで、外郭躯体52から外れている。本実施形態では、全ての短尺シールドトンネル54は、その先端部54Aが外郭躯体52の外周側に外れている。なお、短尺シールドトンネル54の先端部54Aは、延伸(掘進)を停止したシールド掘進機のカッター部分及び外周鋼殻部分等のシールド掘進機の一部である残置物を含むものである。
地下構造物41は、地下構造物41の一方端部1aから他方端部1bに向けて軸線方向に複数の領域に分けられており、各領域において、1又は複数の短尺シールドトンネル54の先端部54Aが外郭躯体52から外れている。
具体的に説明すると、シールドトンネル51は、12本の全長シールドトンネル53(53a〜53l)と、6本の短尺シールドトンネル54(54a〜54f)と、の合計18本により構成される。地下構造物41は、地下構造物41の一方端部1aから他方端部1bに向けて第一領域A1、第二領域A2、第三領域A3の3領域に分けられている。短尺シールドトンネル54は、その先端部54Aが第一領域A1において外郭躯体52から外れる2本の第一短尺シールドトンネル54a,54dと、その先端部54Aが第二領域A2において外郭躯体52から外れる2本の第二短尺シールドトンネル54b,54eと、その先端部54Aが第三領域A3において外郭躯体52から外れる2本の第三短尺シールドトンネル54c,54fと、で構成される。
一方端部1aにおいて、各シールドトンネル51は、以下のように配置されている。全長シールドトンネル53a〜53gは、この順で互いに隣り合っている。全長シールドトンネル53h〜53lは、この順で互いに隣り合っている。第一短尺シールドトンネル54a、第二短尺シールドトンネル54b及び第三短尺シールドトンネル54cは、この順で互いに隣り合うとともに、全長シールドトンネル53gと全長シールドトンネル53hとの間に配置されている。第一短尺シールドトンネル54d、第二短尺シールドトンネル54e及び第三短尺シールドトンネル54fは、この順で互いに隣り合うとともに、全長シールドトンネル53lと全長シールドトンネル53aとの間に配置されている。そして、全長シールドトンネル53a〜53gは、地下構造物41の一方端部1aから他方端部1bに亘って、互いの間隔が略同じとなっている。また、全長シールドトンネル53h〜53lは、地下構造物41の一方端部1aから他方端部1bに亘って、互いの間隔が略同じとなっている。なお、全長シールドトンネル53(53a〜53l)及び短尺シールドトンネル54(54a〜54f)は、必ずしも上述した順に配列されていなくてもよい。
図22〜図24及び図27に示すように、第一短尺シールドトンネル54aは、第一領域A1において、全長シールドトンネル53g及び第二短尺シールドトンネル54bと重ねられており、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々にその重なり度合いが大きくなっている。そして、第一短尺シールドトンネル54aは、その先端部54Aにおいて全長シールドトンネル53g及び第二短尺シールドトンネル54bから外れて、更に外郭躯体52からも外れている。
第一短尺シールドトンネル54dは、第一領域A1において、全長シールドトンネル53l及び第二短尺シールドトンネル54eと重ねられており、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々にその重なり度合いが大きくなっている。そして、第一短尺シールドトンネル54dは、その先端部54Aにおいて全長シールドトンネル53l及び第二短尺シールドトンネル54eから外れて、更に外郭躯体52からも外れている。
図22、図25及び図27に示すように、第二短尺シールドトンネル54bは、第二領域A2において、全長シールドトンネル53g及び第三短尺シールドトンネル54cと重ねられており、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々にその重なり度合いが大きくなっている。そして、第二短尺シールドトンネル54bは、その先端部54Aにおいて全長シールドトンネル53g及び第三短尺シールドトンネル54cから外れて、更に外郭躯体52からも外れている。
第二短尺シールドトンネル54eは、第二領域A2において、全長シールドトンネル53l及び第三短尺シールドトンネル54fと重ねられており、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々にその重なり度合いが大きくなっている。そして、第二短尺シールドトンネル54eは、その先端部54Aにおいて全長シールドトンネル53l及び第三短尺シールドトンネル54fから外れて、更に外郭躯体52からも外れている。
図22、図26及び図27に示すように、第三短尺シールドトンネル54cは、第三領域A3において、全長シールドトンネル53g及び全長シールドトンネル53hと重ねられており、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々にその重なり度合いが大きくなっている。そして、第三短尺シールドトンネル54cは、その先端部54Aにおいて全長シールドトンネル53g及び全長シールドトンネル53hから外れて、更に外郭躯体52からも外れている。
第三短尺シールドトンネル54fは、第三領域A3において、全長シールドトンネル53l及び全長シールドトンネル53aと重ねられており、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々にその重なり度合いが大きくなっている。そして、第三短尺シールドトンネル54fは、その先端部54Aにおいて全長シールドトンネル53l及び全長シールドトンネル53aから外れて、更に外郭躯体52からも外れている。
次に、上述した地下構造物41の施工方法について説明する。本実施形態に係る地下構造物の施工方法は、発進基地構築工程と、シールドトンネル構築工程と、外郭躯体構築工程と、褄壁構築工程と、掘削工程と、を備える。
発進基地構築工程では、図28及び図29に示すように、第一実施形態と同様の発進基地21を構築する。発進基地21は、発進坑口22と、円周シールド23と、を備える。
シールドトンネル構築工程では、図30〜図35に示すように、地下構造物41の施工予定領域である地下構造物予定領域(不図示)の一方端部1aと他方端部1bとの間において、軸方向に延伸する複数のシールドトンネル51を周方向に構築する。なお、地下構造物予定領域の一方端部1a及び他方端部1bは、地下構造物41の一方端部1a及び他方端部1bと同じである。つまり、シールドトンネル構築工程では、6本の短尺シールドトンネル54(54a〜54f)を、一方端部1aに施工された発進基地21から他方端部1bに向けて、外郭躯体52の施工予定領域である外郭躯体予定領域52Aにおいて延伸するとともに、12本の全長シールドトンネル53(53a〜53l)を、一方端部1aに施工された発進基地21から他方端部1bまで、外郭躯体予定領域52Aにおいて延伸する。複数の全長シールドトンネル53は、一方端部1aから他方端部1bまで、全体として地下空洞4側に向けた勾配で地下空洞4の断面積を小さくするように延伸している。したがって、外郭躯体予定領域12Aの断面積は、一方端部1aから他方端部1bに向けて緩やかに小さくなる。
シールドトンネル構築工程では、複数のシールドトンネルのうちの一部のシールドトンネルである先行シールドトンネルを延伸する先行延伸工程を行い、その後、先行シールドトンネルと隣り合うシールドトンネルである後行シールドトンネルを延伸する後行延伸工程を行う。そして、後行延伸工程では、後行シールドトンネルと先行シールドトンネルとが徐々に重なるように先行シールドトンネルの一部を切削して、後行シールドトンネルを延伸する。
シールドトンネル構築工程では、まず、図30〜図32に示すように、6本の短尺シールドトンネル54(54a〜54f)を、外郭躯体予定領域52Aにおいて一方端部1aに施工された発進基地21から他方端部1bに向けて延伸する。そして、短尺シールドトンネル54の先端部54Aを、外郭躯体予定領域52Aから外す。短尺シールドトンネル54の延伸では、隣り合う短尺シールドトンネル54を同時に延伸するのではなく、隣り合う短尺シールドトンネル54のうち、一方の短尺シールドトンネル54を先行して延伸した後に、他方の短尺シールドトンネル54を後行して延伸する。また、短尺シールドトンネル54の掘進の掘進には、例えば、2機以上のシールド掘進機を使用することが好ましい。2機以上のシールド掘進機を使用することで、複数の短尺シールドトンネル54を並行して延伸できる。
具体的に説明すると、第一短尺シールドトンネル54a,54dは、第一領域A1の先端部近傍までは外郭躯体予定領域52Aにおいて延伸し、第一領域A1の先端部近傍に到達すると、外郭躯体予定領域52Aの外周側に曲げて、その先端部54Aを外郭躯体予定領域52Aから外す。そして、第一領域A1の他方端部1b側の端部において、第一短尺シールドトンネル54a,54dの延伸を終了する。このため、第二領域A2及び第三領域A3には、第一短尺シールドトンネル54a,54dが延伸されない。
第二短尺シールドトンネル54b,54eは、第二領域A2の先端部近傍までは外郭躯体予定領域52Aにおいて延伸し、第二領域A2の先端部近傍に到達すると、外郭躯体予定領域52Aの外周側に曲げて、その先端部54Aを外郭躯体予定領域52Aから外す。そして、第二領域A2の他方端部1b側の端部において、第二短尺シールドトンネル54b,54eの延伸を終了する。このため、第三領域A3には、第二短尺シールドトンネル54b,54eが延伸されない。
第三短尺シールドトンネル54c,54fは、第三領域A3の他方端部1bから所定距離だけ手前の位置までは外郭躯体予定領域52Aにおいて延伸し、第三領域A3の他方端部1bから所定距離だけ手前の位置に到達すると、外郭躯体予定領域52Aの外周側に曲げて、その先端部54Aを外郭躯体予定領域52Aから外す。そして、第三領域A3の他方端部1bよりも一方端部1a側の位置において、第三短尺シールドトンネル54c,54fの延伸を終了する。このため、他方端部1bには、第三短尺シールドトンネル54c,54fが延伸されない。
全ての短尺シールドトンネル54の延伸が終了すると、シールドトンネル構築工程では、次に、図33〜図35に示すように、12本の全長シールドトンネル53(53a〜53l)を、外郭躯体予定領域52Aにおいて発進基地21から他方端部1bまで延伸する。このとき、隣り合う全長シールドトンネル53の間隔が一定となるように、全長シールドトンネル53を延伸する。隣り合う全長シールドトンネル53の間隔としては、例えば、1200mmとすることができる。全長シールドトンネル53の延伸では、隣り合う全長シールドトンネル53を同時に延伸するのではなく、隣り合う全長シールドトンネル53のうち、一方の全長シールドトンネル53を先行して延伸した後に、他方の全長シールドトンネル53を後行して延伸する。また、全長シールドトンネル53の掘進の掘進には、例えば、2機以上のシールド掘進機を使用することが好ましい。2機以上のシールド掘進機を使用することで、複数の全長シールドトンネル53を並行して延伸できる。
このように、シールドトンネル構築工程では、短尺シールドトンネル54(54a〜54f)を延伸した後に、全長シールドトンネル53(53a〜53l)を延伸する。このため、隣り合う全長シールドトンネル53と短尺シールドトンネル54との間では、短尺シールドトンネル54が先行シールドトンネルとなり、全長シールドトンネル53が後行シールドトンネルとなる。また、隣り合う短尺シールドトンネル54の間では、先行して延伸する短尺シールドトンネル54が先行シールドトンネルとなり、後行して延伸する短尺シールドトンネル54が後行シールドトンネルとなる。つまり、先行延伸工程及び後行延伸工程は、隣り合うシールドトンネル51の間における先行及び後行の相対的なものである。このため、一つのシールドトンネル51が、先行シールドトンネル及び後行シールドトンネルの何れにもなり得る。
そして、互いに重なる先行シールドトンネル及び後行シールドトンネルについては、後行シールドトンネルを延伸する際に、後行シールドトンネルと先行シールドトンネルとが徐々に重なるように先行シールドトンネルの一部を切削する。なお、隣り合う全長シールドトンネル53は、一定の間隔をあけて延伸するため、後行シールドトンネルの延伸により切削される先行シールドトンネルにはならない。
ここで、切削される先行シールドトンネルは、後行シールドトンネルを延伸するシールド掘進機により切削可能である必要がある。このため、後行シールドトンネルの延伸により切削される先行シールドトンネルは、シールドトンネルの壁面となるセグメント又は推進管を組み立てる際に、切削される箇所のセグメント又は推進管を切削可能なものとする。切削可能なセグメント又は推進管としては、例えば、特許第4851133号や特許第4939803号に記載されたような繊維強化樹脂製の掘削可能セグメント又は切削可能推進管を用いる。
また、後行シールドトンネルの延伸により切削される先行シールドトンネルでは、後行シールドトンネルを延伸するシールド掘進機が先行シールドトンネルと重なりながら掘進できるように、後行シールドトンネルを延伸する前に、その内部を充填しておく必要がある。
先行シールドトンネル内に充填する充填物としては、シールド掘進機により切削可能である必要があるため、エアモルタル等の切削可能充填材を用いることが好ましい。しかしながら、先行シールドトンネルを切削可能充填材で充填すると、先行シールドトンネルに強固な外郭躯体52を構築することができない。
そこで、図36に示すように、切削される先行シールドトンネル内の領域の内、少なくとも外郭躯体52が構築される領域には、鉄筋コンクリート59を打設し、少なくとも後行シールドトンネルを延伸するシールド掘進機により切削される領域には、切削可能充填材64を充填する。なお、鉄筋コンクリート59を打設する領域及び切削可能充填材64を充填する領域は、上記の条件を満たす限り特に限定されないが、本実施形態では、作業容易性の観点から、後行シールドトンネルを延伸するシールド掘進機により切削される領域を、切削可能充填材64を充填する領域とし、残りの領域を、鉄筋コンクリート59を打設する領域とする。
先行シールドトンネルの充填は、例えば、次のように行うことができる。先行シールドトンネルの延伸が終了すると、シールド掘進機の残置物を先行シールドトンネルの先端に残置し、シールド掘削機の回収物を当該先行シールドトンネルから一方端部1aの発進基地21に回収する。その際、先行シールドトンネルの先端から一方端部1aに向かって順に先行シールドトンネルを充填してく。先行シールドトンネルの充填は、先行シールドトンネルを複数のスパンに区切り、これから充填しようとするスパンの一方端部1a側に隔壁を構築する。そして、当該スパンに、コンクリート59Bを打設した後、切削可能充填材64を充填する。シールド掘削機の回収物とは、例えば、カッターモータやシールドジャッキや電装品などが該当する。シールド掘進機の内、カッター部分、及び外周鋼殻部分等などのシールド掘進機の外郭をなして地中の土砂の流入を防止する機能を有する部分は、地中に残置物として残置する。
図22〜図26においては、第一短尺シールドトンネル54aは、全長シールドトンネル53g及び第二短尺シールドトンネル54bと重ねられる。第一短尺シールドトンネル54dは、全長シールドトンネル53l及び第二短尺シールドトンネル54eと重ねられる。第二短尺シールドトンネル54bは、全長シールドトンネル53g及び第三短尺シールドトンネル54cと重ねられる。第二短尺シールドトンネル54eは、全長シールドトンネル53l及び第三短尺シールドトンネル54fと重ねられる。第三短尺シールドトンネル54cは、全長シールドトンネル53g及び全長シールドトンネル53hと重ねられる。第三短尺シールドトンネル54fは、全長シールドトンネル53l及び全長シールドトンネル53aと重ねられる。
そして、全長シールドトンネル53(53a〜53l)及び短尺シールドトンネル54(54a〜54f)のうち、先行シールドトンネルとなり得る全てのシールドトンネル51について、後行シールドセグメントと重ねられる領域のセグメント又は推進管を切削可能なものとし、更に、後行シールドセグメントと重ねられる領域に切削可能充填材64を充填するとともに外郭躯体52が構築される残りの領域に鉄筋コンクリート59を打設する。
ところで、後工程の外郭躯体構築工程では、隣り合うシールドトンネル51の間に凍土を造成することで、隣り合うシールドトンネル51間に連結路57を構築するが、隣り合うシールドトンネル51の間隔が広くなると、凍土の造成領域が大きくなるため、安全に連結路57を形成するために高い技術が要求されるとともに、施工コストが増大する。
そこで、短尺シールドトンネル54の両隣のシールドトンネル51の間隔が、隣り合う全長シールドトンネル53の間隔と同じ間隔になる位置までは、当該短尺シールドトンネル54を外郭躯体予定領域52Aにおいて延伸する。そして、この位置を過ぎると、短尺シールドトンネル54を外郭躯体予定領域52Aの外周側に曲げて、その先端部54Aを外郭躯体予定領域52Aから外す。これにより、隣り合うシールドトンネル間に造成する凍土の造成領域が大きくなるのを抑制して、容易かつ低コストに外郭躯体を構築することができる。但し、容易かつ低コストに外郭躯体を構築することができれば、上記の位置よりも手前から短尺シールドトンネル54を曲げてその先端部54Aを外郭躯体予定領域52Aから外してもよい。
外郭躯体構築工程では、図37に示すように、複数のシールドトンネル51を連結してなる地下構造物41の外郭躯体52を構築する。外郭躯体52の構築は、例えば、次のように行うことができる。
図38に示すように、隣り合うシールドトンネル51が離間している部分では、まず、凍結工法等によりシールドトンネル51の周囲に凍土58を造成し、シールドトンネル51の周囲を凍結止水する。次に、シールドトンネル51の壁面を構成するセグメント又は推進管を取り外した後、隣り合うシールドトンネル51間を掘削して、隣り合うシールドトンネル51を連結する連結路57を構築する。そして、シールドトンネル51及び連結路57に鉄筋コンクリート59を打設する。鉄筋コンクリート59の打設は、上述したように、まず鉄筋59Aを配設し、次にコンクリート59Bを打設することにより行う。これにより、外郭躯体52が、シールドトンネル51と、連結路57と、シールドトンネル51及び連結路57に打設された鉄筋コンクリート59と、により構築される。なお、連結路57は、鉄筋コンクリート59に代えて、簡易な嵌合継手又は突合せ継手であってもよい。
図39及び図40に示すように、隣り合う先行シールドトンネルと後行シールドトンネルとが重なる部分では、先行シールドトンネルの両隣の後行シールドトンネルの間隔L1が、隣り合う全長シールドトンネル53の間隔Lよりも広い間隔になっており、また、先行シールドトンネルに既に鉄筋コンクリート59が打設されている。このため、後行シールドトンネルの壁面の内、先行シールドトンネルと重なる壁面を構成するセグメント又は推進管を取り外して、後行シールドトンネルに鉄筋コンクリート59を打設する。これにより、先行シールドトンネルに打設した鉄筋コンクリート59と後行シールドトンネルに打設した鉄筋コンクリート59とが接続されて、外郭躯体52が構築される。図39及び図40においては、全長シールドトンネル53a,53lの壁面の内、第三短尺シールドトンネル54fと重なる壁面を構成するセグメント又は推進管を取り外して、全長シールドトンネル53a,53lに鉄筋コンクリート59を打設する。これにより、第三短尺シールドトンネル54fに打設した鉄筋コンクリート59と全長シールドトンネル53a及び全長シールドトンネル53lに打設した鉄筋コンクリート59とが接続されて、外郭躯体52が構築される。
図41に示すように、先行シールドトンネルが外郭躯体予定領域52Aの外周側に外れている部分では、先行シールドトンネルの両隣の後行シールドトンネルの間隔L1が、隣り合う全長シールドトンネル53の間隔Lと同じ間隔になっている。このため、図38の場合と同様に、先行シールドトンネルの両隣の後行シールドトンネルの間に、凍土を造成して連結路57を構築し、この連結路57にも鉄筋コンクリート59を打設する。これにより、先行シールドトンネルの両隣の後行シールドトンネルが直接的に接続された外郭躯体52が構築される。図41においては、全長シールドトンネル53aと全長シールドトンネル53lとの間に、凍土を造成して連結路57を構築し、この連結路57にも鉄筋コンクリート59を打設する。これにより、全長シールドトンネル53aと全長シールドトンネル53lとが直接的に接続された外郭躯体52が構築される。なお、短尺シールドトンネル54が外郭躯体予定領域52Aから完全に外れていない場所では、外郭躯体52を補強する観点から、短尺シールドトンネル54と全長シールドトンネル53a及び全長シールドトンネル53lとを連結してもよい。但し、短尺シールドトンネル54が外郭躯体予定領域52Aから完全に外れている場所では、施工コスト低減の観点から、短尺シールドトンネル54と全長シールドトンネル53a及び全長シールドトンネル53lとを連結しなくてもよい。
なお、本実施形態では、他方端部1bに、一方端部1aの発進基地21に対応する到達基地(内部空洞)が構築されていないが、他方端部1bにも、一方端部1aの発進基地21に対応する到達基地が構築されている場合には、他方端部1bに到達したシールド掘進機を、他方端部1bから一方端部1aに向けて掘進してもよい。この場合、シールド掘進機を他方端部1bから一方端部1aに移動する必要がなくなる。また、短尺シールドトンネル54はシールド掘削機により他方端部1bから一方端部1aに向けて延伸(掘削)することができないが、全長シールドトンネル53は他方端部1bから一方端部1aに向けて延伸(掘削)することが可能であるので、全長シールドトンネル53は他方端部1bから一方端部1aに向けて延伸(掘削)してもよい。
褄壁構築工程では、図42に示すように、地下構造物41の一方端部1aに、外郭躯体52の一方側面を封止(止水)する一方側褄壁15を構築し、地下構造物41の他方端部1bに、外郭躯体52の他方側面を封止(止水)する他方側褄壁16を構築する。
掘削工程では、図22〜図27に示すように、一方側褄壁15及び他方側褄壁16に挟まれた外郭躯体52の内周側領域の一部又は全部を掘削して地下空洞4を形成する。つまり、一方側褄壁15及び他方側褄壁16に挟まれた外郭躯体52の内周側領域の一部又は全部を掘削し、掘削した土砂を排出することで、外郭躯体52の内周側に地下空洞4を形成する。そして、掘削した土砂を、本線シールドトンネル2から排出する。
以上説明したように、本実施形態では、先行シールドトンネルを延伸した後に後行シールドトンネルを延伸するが、その際に、後行シールドトンネルと先行シールドトンネルとが徐々に重なるように先行シールドトンネルの一部を切削して、後行シールドトンネルを延伸する。これにより、外郭躯体予定領域52Aにおいて隣り合うシールドトンネル51間の間隔が広くなり過ぎるのを抑制することができるとともに、外郭躯体予定領域52Aの断面積を一方端部1aから他方端部1bに向けて緩やかに小さくすることができる。
また、外郭躯体予定領域52Aにおいて隣り合うシールドトンネル51間の間隔が広くなり過ぎるのを抑制することができるため、外郭躯体構築工程において隣り合うシールドトンネル51間に造成する凍土の造成領域が大きくなるのを抑制することができる。これにより、容易かつ低コストに外郭躯体52を構築することができる。
また、隣り合う全長シールドトンネル53の間隔が一定となるように全長シールドトンネル53を延伸するため、外郭躯体構築工程において隣り合う全長シールドトンネル53間に造成する凍土の造成領域が大きくなるのを抑制することができる。これにより、より容易かつ低コストに外郭躯体52を構築することができる。
ここで、先行シールドトンネルを切削するためには、後行シールドトンネルを延伸する前に、先行シールドトンネル内に切削可能充填材64を充填しておく必要がある。一方、先行シールドトンネル内に切削可能充填材64した後は、先行シールドトンネル内に鉄筋コンクリート59を打設することができない。このため、後行シールドトンネルを延伸する前に、先行シールドトンネル内の切削されない領域に、鉄筋コンクリートを打設しておく必要がある。このため、先行シールドトンネルが短いほど、また、先行シールドトンネルの本数が少ないほど、施工コストを抑えることができる。
この点、本実施形態では、全長シールドトンネル53と短尺シールドトンネル54との間では、短尺シールドトンネル54が先行シールドトンネルとなり、全長シールドトンネル53が後行シールドトンネルとなるため、後行シールドトンネルの延伸により切削される先行シールドトンネルを短くすることができる。このため、施工コストを抑えることができる。また、短尺シールドトンネル54の両隣に一対の全長シールドトンネル53が配置される場合、全長シールドトンネル53を先行シールドトンネルとすると、切削される先行シールドトンネルが2本となるが、本実施形態では、短尺シールドトンネル54を先行シールドトンネルとすることで、切削される先行シールドトンネルが1本で済むため、施工コストを抑えることができる。
また、先行シールドトンネルである短尺シールドトンネル54の先端部54Aを外郭躯体予定領域52Aから外すことで、後行シールドトンネルを延伸するシールド掘進機が、先行シールドトンネルに残置されたシールド掘進機の残置物に干渉するのを防止することができる。
また、先行シールドトンネルである短尺シールドトンネル54の先端部54Aを外郭躯体予定領域52Aの外周側に外すことで、外郭躯体予定領域52Aの内周側に配置される他の構造物に、先行シールドトンネルである短尺シールドトンネル54の先端部54Aが干渉するのを防止することができる。
(第四実施形態)
次に、第四実施形態について説明する。第四実施形態は、基本的に第三実施形態と同様であるが、短尺シールドトンネルと全長シールドトンネルの延伸順序が逆である点、及び短尺シールドトンネルの一部が外郭躯体(外郭躯体予定領域)の内周側に外れている点のみ、第三実施形態と相違する。このため、以下では、第三実施形態と相違する事項のみを説明し、第三実施形態と同様の事項の説明を省略する。
まず、地下構造物について説明する。図43〜図45に示すように、本実施形態に係る地下構造物61では、第二実施形態の短尺シールドトンネル54に対応する短尺シールドトンネル74が複数構築されている。短尺シールドトンネル74は、第三実施形態と同様に、全長シールドトンネル53よりも短く、外郭躯体52において一方端部1aから他方端部1bに向けて延伸されている。そして、複数の短尺シールドトンネル74のうちの一部のシールドトンネルである外周側短尺シールドトンネル741は、外郭躯体予定領域52Aの外周側に曲げられて、その先端部74Aが、外郭躯体予定領域52Aの外周側に外れている。一方、複数の短尺シールドトンネル74のうちの残りのシールドトンネルである内周側短尺シールドトンネル742は、外郭躯体予定領域52Aの内周側に曲げられて、その先端部74Aが、外郭躯体予定領域52Aの内周側に外れている。
具体的に説明すると、地下構造物61は、第三実施形態の第一短尺シールドトンネル54d、第二短尺シールドトンネル54b,54e、及び第三短尺シールドトンネル54c,54fと同様の、第一外周側短尺シールドトンネル741d、第二外周側短尺シールドトンネル741b,741e、及び第三外周側短尺シールドトンネル741c,741fを備えている。第一外周側短尺シールドトンネル741d、第二外周側短尺シールドトンネル741b,741e、及び第三外周側短尺シールドトンネル741c,741fは、その先端部74Aが、外郭躯体予定領域52Aの外周側に曲げられて、外郭躯体52の外周側に外れている。
また、地下構造物61は、第三実施形態の第一短尺シールドトンネル54aの代わりに、第一内周側短尺シールドトンネル742aを備えている。第一内周側短尺シールドトンネル742aは、その先端部74Aが、外郭躯体予定領域52Aの内周側に曲げられて、外郭躯体52の内周側に外れている。具体的には、第一内周側短尺シールドトンネル742aは、第一領域A1において、全長シールドトンネル53g及び第二外周側短尺シールドトンネル741bと重ねられており、一方端部1aから他方端部1bに向けて徐々にその重なり度合いが大きくなっている。そして、第一内周側短尺シールドトンネル742aは、その先端部74Aにおいて全長シールドトンネル53g及び第二外周側短尺シールドトンネル741bから外れて、更に外郭躯体52の内周側からも完全に外れている。第一内周側短尺シールドトンネル742aは、第一領域A1において外郭躯体52の内周側に外れたのち、更に外郭躯体52の内周側を通って、その先端が第三領域A3(又は、第二領域A2)まで延伸されている。
次に、上述した地下構造物61の施工方法について説明する。
シールドトンネル構築工程では、第三実施形態と同様に、複数のシールドトンネルのうちの一部のシールドトンネルである先行シールドトンネルを延伸する先行延伸工程を行い、その後、先行シールドトンネルと隣り合うシールドトンネルである後行シールドトンネルを延伸する後行延伸工程を行う。そして、後行延伸工程では、後行シールドトンネルと先行シールドトンネルとが徐々に重なるように先行シールドトンネルの一部を切削して、後行シールドトンネルを延伸する。
シールドトンネル構築工程では、まず、全ての全長シールドトンネル53(53a〜53l)を、外郭躯体予定領域52Aにおいて発進基地21から他方端部1bまで延伸する。このとき、隣り合う全長シールドトンネル53の間隔が一定となるように、全長シールドトンネル53を延伸する。
全ての全長シールドトンネル53の延伸が終了すると、シールドトンネル構築工程では、次に、全ての短尺シールドトンネル74(742a、741b〜741f)を、外郭躯体予定領域52Aにおいて発進基地21から他方端部1bに向けて延伸する。そして、短尺シールドトンネル54の先端部54Aを、外郭躯体予定領域52Aから外す。
具体的には、第一内周側短尺シールドトンネル742aは、第一領域A1の先端部近傍までは外郭躯体予定領域52Aにおいて延伸し、第一領域A1の先端部近傍に到達すると、外郭躯体予定領域52Aの内周側に曲げて、その先端部74Aを外郭躯体予定領域52Aから外す。そして、外郭躯体予定領域52Aの内周側において、第一内周側短尺シールドトンネル742aを第三領域A3(又は、第二領域A2)まで延伸し、第三領域A3(又は、第二領域A2)において、第一内周側短尺シールドトンネル742aの延伸を終了する。
第一外周側短尺シールドトンネル741dは、第一領域A1の先端部近傍までは外郭躯体予定領域52Aにおいて延伸し、第一領域A1の先端部近傍に到達すると、外郭躯体予定領域52Aの外周側に曲げて、その先端部74Aを外郭躯体予定領域52Aから外す。そして、第一領域A1の他方端部1b側の端部において、第一外周側短尺シールドトンネル741dの延伸を終了する。このため、第二領域A2及び第三領域A3には、第一外周側短尺シールドトンネル741dが延伸されない。
第二外周側短尺シールドトンネル741b,741eは、第二領域A2の先端部近傍までは外郭躯体予定領域52Aにおいて延伸し、第二領域A2の先端部近傍に到達すると、外郭躯体予定領域52Aの外周側に曲げて、その先端部74Aを外郭躯体予定領域52Aから外す。そして、第二領域A2の他方端部1b側の端部において、第二外周側短尺シールドトンネル741b,741eの延伸を終了する。このため、第三領域A3には、第二外周側短尺シールドトンネル741b,741eが延伸されない。
第三外周側短尺シールドトンネル741c,741fは、第三領域A3の他方端部1bから所定距離だけ手前の位置までは外郭躯体予定領域52Aにおいて延伸し、第三領域A3の他方端部1bから所定距離だけ手前の位置に到達すると、外郭躯体予定領域52Aの外周側に曲げて、その先端部74Aを外郭躯体予定領域52Aから外す。そして、第三領域A3の他方端部1bよりも一方端部1a側の位置において、第三外周側短尺シールドトンネル741c,741fの延伸を終了する。このため、他方端部1bには、第三外周側短尺シールドトンネル741c,741fが延伸されない。
このように、シールドトンネル構築工程では、全長シールドトンネル53(53a〜53l)を延伸した後に、短尺シールドトンネル74(742a、741b〜741f)を延伸する。このため、隣り合う全長シールドトンネル53と短尺シールドトンネル74との間では、全長シールドトンネル53が先行シールドトンネルとなり、短尺シールドトンネル74が後行シールドトンネルとなる。また、隣り合う全長シールドトンネル53の間では、先行して延伸する全長シールドトンネル53が先行シールドトンネルとなり、後行して延伸する全長シールドトンネル53が後行シールドトンネルとなる。同様に、隣り合う短尺シールドトンネル74の間では、先行して延伸する短尺シールドトンネル74が先行シールドトンネルとなり、後行して延伸する短尺シールドトンネル74が後行シールドトンネルとなる。つまり、先行延伸工程及び後行延伸工程は、隣り合うシールドトンネル51の間における先行及び後行の相対的なものである。このため、一つのシールドトンネル51が、先行シールドトンネル及び後行シールドトンネルの何れにもなり得る。
そして、互いに重なる先行シールドトンネル及び後行シールドトンネルについては、後行シールドトンネルを延伸する際に、後行シールドトンネルと先行シールドトンネルとが徐々に重なるように先行シールドトンネルの一部を切削する。
なお、本実施形態の変形例として、短尺シールドトンネル54の隣り合うシールドトンネル51を、全長シールドトンネル53としてもよい、その場合、全長シールドトンネル53を先行シールドトンネルとして延伸(掘削)し、その後、短尺シールドトンネル54を後行シールドトンネルとして延伸(掘削)する際に、隣り合う先行シールドトンネルである全長シールドトンネル53の一部を切削しながら掘削することができる。この場合、短尺シールドトンネル54の先端部54Aを、外郭躯体予定領域52A内としても(外郭躯体予定領域52Aから外さなくても)、シールド掘削機の残置物がその後の後行シールドトンネルの延伸(掘削)において掘削不能等の障害となることはない。
本実施形態では、第一内周側短尺シールドトンネル742aが先行シールドトンネルにならないように、第一内周側短尺シールドトンネル742aを、第一内周側短尺シールドトンネル742aと隣り合う第二外周側短尺シールドトンネル741bよりも後行して延伸する。なお、上述したように、全長シールドトンネル53(53a〜53l)を延伸した後に、短尺シールドトンネル74(742a、741b〜741f)を延伸するため、第一内周側短尺シールドトンネル742aは、第一内周側短尺シールドトンネル742aと隣り合う全長シールドトンネル53gに対して、必ず後行シールドトンネルとなる。
そして、先行シールドトンネルとなり得る全てのシールドトンネル51について、後行シールドセグメントと重ねられる領域のセグメント又は推進管を切削可能なものとし、更に、後行シールドセグメントと重ねられる領域に切削可能充填材64を充填するとともに外郭躯体予定領域52Aが構築される残りの領域に鉄筋コンクリート59を打設する。
ところで、シールドトンネル構築工程において、他方端部1bまで延伸されるシールドトンネル51は全長シールドトンネル53のみである。また、短尺シールドトンネル74は、全ての全長シールドトンネル53の延伸が終了した後に延伸される。このため、全ての全長シールドトンネル53の延伸が終了すれば、短尺シールドトンネル74の延伸が終了するのを待たなくても、他方端部1bから一方端部1aに向けて外郭躯体52の構築を開始することができ、更に、他方側褄壁16の構築を開始することができ、更に、他方端部1bから一方端部1aに向けて外郭躯体52の内周側領域の掘削を開始することができる。そして、第一内周側短尺シールドトンネル742aに外郭躯体52が構築される前に、掘削工程を開始することも可能となる。
一方、外郭躯体予定領域52Aの内周側に配置される第一内周側短尺シールドトンネル742aは、常に後行シールドトンネルとなるため、シールドトンネル構築工程においては、その内部が空洞となる。このため、第一内周側短尺シールドトンネル742aに外郭躯体52が構築される前に、掘削工程を開始すれば、掘削した土砂を第一内周側短尺シールドトンネル742aから排出することができる。
そこで、本実施形態では、全ての全長シールドトンネル53の延伸が終了すると、短尺シールドトンネル74の延伸が終了するのを待たずに、他方端部1bから一方端部1aに向けて外郭躯体52の構築を開始し、更に、他方側褄壁16の構築を開始し、更に、他方端部1bから一方端部1aに向けて外郭躯体52の内周側領域の掘削を開始する。そして、第一内周側短尺シールドトンネル742aに外郭躯体52が構築されるまで、掘削工程により掘削した土砂を第一内周側短尺シールドトンネル742aから排出する。
このように、本実施形態では、外周側短尺シールドトンネル741(741b〜741f)の先端部74Aを外郭躯体予定領域52Aの外周側に外すため、当該先端部74Aが、外郭躯体予定領域52Aの内周側に配置される本線シールドトンネル2に干渉するのを防止することができる。一方、内周側短尺シールドトンネル742(742a)の先端部74Aを外郭躯体予定領域52Aの内周側に外すため、掘削工程において、外郭躯体52の内周側に土砂を排出するルートを確保しにくい場合にも、内周側短尺シールドトンネル742から容易に土砂を排出することができる。
[第五実施形態]
次に、第五実施形態について説明する。第五実施形態は、基本的に第四実施形態と同様であるが、短尺シールドトンネルの先端部が、隣り合うシールドトンネルと重なっている点のみ、第四実施形態と相違する。
本実施形態の地下構造物では、短尺シールドトンネルの先端部が曲がっておらず、また、当該先端部が外郭躯体から外れていない。これにより、短尺シールドトンネルの先端部が、隣り合うシールドトンネルと重なった状態となっている。
本実施形態の地下構造物の施工方法では、第四実施形態と同様に、短尺シールドトンネル54を延伸した後に、全長シールドトンネル53を延伸する。このため、短尺シールドトンネル54は、全長シールドトンネル53に対しては、必ず後行シールドトンネルとなる。そして、全長シールドトンネル53は、他方端部1bまで延伸されるが、短尺シールドトンネル54は、他方端部1bまで延伸されない。このため、短尺シールドトンネル54を延伸したシールド遠心機の残置物が残置されても、全長シールドトンネル53の延伸には影響しない。
この場合、複数の短尺シールドトンネル54間では、長い短尺シールドトンネル54を先行シールドトンネルとし、短い短尺シールドトンネル54を後行シールドトンネルとしてもよい。この場合であっても、先行シールドトンネルである短尺シールドトンネル54を延伸したシールド遠心機の残置物が残置されても、後行シールドトンネルである全長シールドトンネル53の延伸には影響しない。
このように、本実施形態では、全長シールドトンネル53を先に延伸することで、短尺シールドトンネル54を延伸するシールド掘進機が、全長シールドトンネル53に残置されたシールド掘進機の残置物に干渉するのを防止することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、シールドトンネル構築工程において、全長シールドトンネルを、一方端部から他方端部に向けて延伸するものとして説明したが、シールドトンネル構築工程では、前述したとおり、他方端部に発進基地を構築する等して、全長シールドトンネルを、外郭躯体予定領域の他方端部から一方端部に向けて延伸するものとしてもよい。この地下構造物の施工方法では、全長シールドトンネルを、短尺シールドトンネルとは反対に、地下構造物予定領域の他方端部から一方端部に向けて延伸するため、全長シールドトンネルの施工と短尺シールドトンネルの施工とを独立して行うことができる。これによりシールドトンネル構築工程の作業効率を向上することができる。
また、第一〜第三の実施形態では、先に全長シールドトンネルを延伸してから、その後、短尺シールドトンネルを延伸するものとして説明したが、先に短尺シールドトンネルを延伸してから、その後、全長シールドトンネルを延伸するものとしてもよい。
また、第一〜第四実施形態では、全ての短尺シールドトンネルの先端部を外郭躯体予定領域(外郭躯体)から外すものとして説明したが、一部又は全部の短尺シールドトンネルの先端部を外郭躯体予定領域から外さないものとしてもよい。つまり、シールドトンネル構築工程において、少なくとも一本の短尺シールドトンネルの先端部を外郭躯体予定領域から外せばよい。第一実施形態においては、シールドトンネル構築工程において、少なくとも一本の短尺シールドトンネルの先端部を、外郭躯体予定領域の外周側に外せばよい。第二実施形態においては、シールドトンネル構築工程において、複数の短尺シールドトンネルのうちの一部のシールドトンネルである外周側短尺シールドトンネルの先端部を、外郭躯体予定領域の外周側に外し、複数の短尺シールドトンネルのうちの残りの少なくとも一本のシールドトンネルである内周側短尺シールドトンネルの先端部を、外郭躯体予定領域の内周側に外せばよい。これらの場合、短尺シールドトンネルの先端付近では、短尺シールドトンネルが無くなることによる全長シールドトンネルの間隔調整が必要となるが、このような場合であっても、上記実施形態と同様に、外郭躯体予定領域(外郭躯体)の断面積を一方端部から他方端部に向けて小さくすることができる。
また、第一〜第三の実施形態では、全ての全長シールドトンネルの延伸が終了した後に、短尺シールドトンネルを延伸するものとして説明したが、一部又は全部の全長シールドトンネルの延伸が終了する前に、短尺シールドトンネルを延伸してもよい。
また、上記実施形態では、シールドトンネルの断面形状、シールドトンネル、全長シールドトンネル及び短尺シールドトンネルの本数、外郭躯体を分ける領域の数等を具体的に特定して説明したが、これらは特に限定されるものではない。