JP7134069B2 - 覆工躯体構造および覆工躯体構造の施工方法 - Google Patents
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Description
このような覆工躯体構造としては、分岐合流部の外殻部においてシールド工法により複数の外殻トンネルを周方向に間隔をあけて施工し、さらに凍結工法により地盤防護工を施工してから周方向に隣り合う外殻トンネル同士の間を切り開いて、鉄筋や型枠を組み立てた後、コンクリートを打設することにより構築されるものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2には、外殻部に沿った湾曲面を形成したコンクリート板の内面に主筋、配力筋、支保材等が組み付けられた構造について記載されている。
また、上述したような施工誤差が生じた場合には、鋼製パネル同士の間の接合が難しいことから、その点で改善の余地があった。
また、中詰めコンクリートの充填前の状態では、せん断補強部材によって内外周の鋼製パネルが互いに近接する方向に潰れるように変位することを抑制するように支持することができる。このようにせん断補強部材を設けることで、鋼製パネルを所定の間隔をあけた状態で支持する支保工の機能をもたせることができるため、せん断補強部材とは別で支保工を設ける必要がなく、コストの低減を図ることができる。
図1及び図2に示すように、本実施形態による覆工躯体構造1は、例えば大規模な道路トンネルにおいて、予め地中にシールド工法により施工されている本線トンネル11に対してランプトンネル12が合流・分岐する箇所に大断面の分岐合流部10の外殻部10Aに構築される躯体構造である。
分岐合流部10の施工では、図3及び図4(a)、(b)に示すように、先ず本線トンネル11とランプトンネル12を予め施工し、覆工躯体構造1の内部を掘削する際に覆工躯体構造1の内側の本線トンネル11とランプトンネル12のセグメント11A、12Aを解体する作業がおこなわれる。
他方の基端側円形トンネル15Bは、外殻シールド掘削機14の発進時の反力受け設備の配置スペースとして使用され、発進後にはシールド機内に資材を送り込むための資材搬入スペースや掘削土の搬出スペースとして利用される。なお、図6の符号14A、14B、14Cは、外殻シールド掘削機14の発進後の資材搬入スペースや掘削土の搬出スペースの一例を示している。
なお、本実施形態による外殻トンネル13は、覆工躯体構造1を施工する際における覆工躯体構造1の構成部材の搬入や外殻トンネル13、13同士の間を掘削したときの掘削土砂等の搬出に使用するアクセストンネルとして利用される。
覆工躯体構造1は、図4(a)、(b)、図7、及び図8に示すように、トンネル方向Xからみて周方向Zの全体が多角形状を形成するようにフラット面板を有し、外殻部10Aの内周側と外周側のそれぞれにおいて周方向Zに複数に分割された鋼製パネル2と、内周側の鋼製パネル2(内周側鋼製パネル20A)と外周側の鋼製パネル2(外周側鋼製パネル20B)との間に充填された中詰めコンクリート3と、周方向Zに隣接する鋼製パネル2、2同士にわたって架け渡すように設置され、両端に拡径部41(機械式定着部)を有する鋼棒4と、内周側鋼製パネル20Aと外周側鋼製パネル20Bとを連結するせん断補強部材5と、を備えている。
そして、鋼製パネル2(本体パネル2A、調整パネル2B)は、予め工場において、一体的に製造され、外殻部10Aにおける所定の組み立て位置に運ばれて組み立てられる。なお、覆工躯体構造1の厚さ(内周側鋼製パネル20Aの内周面と外周側鋼製パネル20Bの外周面との間の距離)としては、例えば1.8mに設定される。
トンネル間継手22Aは、スキンプレート21の長手方向(周方向Z)に沿って延在している。リング間継手22Bは、スキンプレート21の短手向(トンネル方向X)に沿って延在している。端板22の外周面には、図12に示すように、全周にわたってシール溝22aが形成されており、このシール溝22aにはシール材22bが接着された状態で設けられている。隣接する鋼製パネル2、2によってシール材22bが押し潰されることで、鋼製パネル2、2同士の間が止水される。
継手収容部24は、周方向Zに隣り合う鋼製パネル2、2同士の3方向(周方向Z、トンネル方向X、外殻部10Aの径方向Y)のずれ量を吸収するように鋼棒4を配置可能な大きさに形成され、鋼棒4が埋設された状態で中詰めコンクリート3が充填されている。
リング間継手22Bには、図10及び図12に示すように、鋼棒4を挿入可能で、かつ外殻部10Aの延在方向(トンネル方向X)と径方向Yとに沿って延在する継手開口部25が複数形成されている。複数の継手開口部25は、それぞれリング間継手22Bにおける1箇所の継手収容部24を形成する部分毎に設けられている。なお、本体パネル2Aのリング間継手22Bは本発明の第1継手板に相当し、調整パネル2Bのリング間継手22Bは本発明の第2継手板に相当する。
なお、調整パネル2Bは、本体パネル2Aを設置した状態で、隣り合う本体パネル2A、2Aの位置、双方間の距離等を測量した結果に基づいて周方向Zの長さ寸法等の大きさが決定される。
第2補強鋼材5Bにおける周方向Zの配置ピッチとしては、例えば1mに設定することができる。
先ず、図1に示すように、ランプトンネル12の側壁の一部に円周トンネル15を掘削するための図示しない二連円周シールド掘削機の発進基地(円周シールド発進基地17)を施工する。
外殻シールド発進基地150の基端側円形トンネル15Bには、外殻シールド掘削機14を発進させるための反力壁や後続設備等が配置される。なお、外殻シールド掘削機14は、外殻シールド発進基地150を使用して複数同時に掘進させるようにしてもよい。外殻シールド掘削機14による掘進時の掘削土砂は掘削した外殻トンネル13内を発進側に搬送して外殻シールド発進基地150から円周シールド発進基地17及びランプトンネル12を介して外部へ排出する。また、掘進に必要なセグメント等の資材類はランプトンネル12内から円周シールド発進基地17(図4(a)参照)、及び外殻シールド発進基地150を介して掘削中の外殻トンネル13内に搬入される。
外殻シールド掘削機14は、外殻トンネル13を掘進した後、分岐合流部10の褄壁予定地点に到達させて解体、回収される。なお、外殻シールド掘削機14を再び外殻シールド発進基地150で組み立てて発進させ、別の外殻トンネル13を施工するように繰り返し使用するようにしても良い。
本実施形態では、図1に示すように、分岐合流部10の外殻部10Aの内周側と外周側のそれぞれにおいて、鋼棒4を使用し、施工によるずれ量を簡単に吸収した状態で鋼製パネル2を多角形状に配置し、それら内周側鋼製パネル20Aと外周側鋼製パネル20Bとの間に中詰めコンクリート3を充填することで覆工躯体構造1を構築することができる。
図18及び図19に示すように、第2実施形態による覆工躯体構造1Aは、上述した第1実施形態の調整パネル2B(図7及び図8参照)が省略され、鋼製パネル2(本体パネル2A)の形状を変えた構成である。すなわち、覆工躯体構造1Aは、分岐合流部10の延在方向からみて、外殻部の内周側と外周側のそれぞれにおいて周方向Zに複数に分割された鋼製パネル2と、内周側鋼製パネル20Aと外周側鋼製パネル20Bとの間に充填された中詰めコンクリート3(図19参照)と、周方向に隣接する鋼製パネル2、2同士(本体パネル2A、2A同士)にわたって架け渡すように設置され、両端に拡径部41(機械式定着部)を有する鋼棒4と、を備えている。
ここで、第2実施形態では、上述したように周方向Zに接合される鋼製パネル2において調整パネルを設けない構成であり、本体パネル2Aのみで構成されることから、統一して鋼製パネル2として以下説明する。
また、外殻トンネル13の本数や周方向Zの間隔に関しても任意に設定することが可能である。
すなわち、本実施形態のような分岐合流部10による地中空洞部でないものでもよいので、本実施形態のような円周トンネル15を施工し、この円周トンネル15を発進基地として外殻トンネル13を施工するといった施工に限定されることはなく、上述したように外殻トンネル13を省略して覆工躯体構造1を施工する場合には、円周トンネル15は不要となる。
さらに、分岐合流部10を構成する外殻部10Aの大きさ、躯体構造、施工方法に関しては上述した実施形態に限定されることはなく、設定される道路トンネル、地盤条件等の仕様に応じて適宜、設定されるものである。
2 鋼製パネル
2A 本体パネル
2B 調整パネル
3 中詰めコンクリート
4 鋼棒
5 せん断補強部材
5A 第1補強鋼材
5B 第2補強鋼材
10 分岐合流部
10A 外殻部
11 本線トンネル
12 ランプトンネル
13 外殻トンネル(アクセストンネル)
13A 外殻セグメント
14 外殻シールド掘削機
15 円周トンネル
20A 内周側鋼製パネル
20B 外周側鋼製パネル
21 スキンプレート
21a フラット面板
22 端板
22A トンネル間継手
22B リング間継手(継手板、第1継手板、第2継手板)
23 補強リブ
24 継手収容部
25 継手開口部
26 接着剤
27 スタッドジベル
41 拡径部(機械式定着部)
150 外殻シールド発進基地
X 外殻部のトンネル方向(延在方向)
Y 外殻部の径方向
Z 外殻部の周方向
Claims (10)
- 地中空洞部の外殻部に施工される覆工躯体構造であって、
前記地中空洞部の延在方向からみて、前記外殻部の内周側と外周側のそれぞれにおいて周方向に複数に分割された鋼製パネルと、
内周側の前記鋼製パネルと外周側の前記鋼製パネルとの間に充填された中詰めコンクリートと、
周方向に隣接する前記鋼製パネル同士にわたって架け渡すように設置され、両端に機械式定着部を有する鋼棒と、
を備え、
周方向に隣接する前記鋼製パネル同士の接合部には、それぞれ継手板を有する継手収容部が設けられ、
前記継手収容部は、周方向に隣り合う前記鋼製パネル同士のずれ量を吸収するように前記鋼棒を配置可能な大きさに形成され、前記鋼棒が埋設された状態で前記中詰めコンクリートが充填されていることを特徴とする覆工躯体構造。 - 前記鋼製パネルは、前記地中空洞部の延在方向からみて周方向の全体が円形状を形成するような円弧状面板を有していることを特徴とする請求項1に記載の覆工躯体構造。
- 前記鋼製パネルは、前記地中空洞部の延在方向からみて周方向の全体が多角形状を形成するようなフラット面板を有していることを特徴とする請求項1に記載の覆工躯体構造。
- 前記鋼製パネルは、本体パネルと、隣り合う前記本体パネル同士の間に配置可能な調整パネルと、を有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の覆工躯体構造。
- 前記内周側の鋼製パネルと前記外周側の鋼製パネルとを連結するせん断補強部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の覆工躯体構造。
- 前記継手板には、前記鋼棒を挿入可能で、かつ前記外殻部の延在方向と径方向とに沿って延在する継手開口部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の覆工躯体構造。
- 接合する一方の前記鋼製パネルの第1継手板と、他方の前記鋼製パネルの第2継手板との間の隙間には、接着剤が充填されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の覆工躯体構造。
- 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の覆工躯体構造の施工方法であって、
前記覆工躯体構造の配置領域にアクセス可能なアクセストンネルを設ける工程と、
前記アクセストンネルを使用して搬入した前記鋼製パネルを前記周方向に接続し、前記外殻部の内周側と外周側とのそれぞれの全周にわたって組み立てる工程と、
組み立てた前記鋼製パネル同士の接合部に位置する双方の前記継手収容部に前記鋼棒を架け渡すように配置する工程と、
内周側の前記鋼製パネルと外周側の前記鋼製パネルとの間に中詰めコンクリートを充填する工程と、
を有することを特徴とする覆工躯体構造の施工方法。 - 前記アクセストンネルは、前記外殻部の一部を構成する外殻トンネルであることを特徴とする請求項8に記載の覆工躯体構造の施工方法。
- 前記中詰めコンクリートが充填され硬化することで形成された前記覆工躯体構造の内側を掘削することにより、前記覆工躯体構造を外殻部とする地中空洞部が構築されることを特徴とする請求項8又は9に記載の覆工躯体構造の施工方法。
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