JP6953225B2 - シールドトンネル間の連結構造及び連結方法 - Google Patents
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特許文献1では、複数のセグメントから円筒状覆工材のセグメントの下部に、円弧状凹部を軸心方向に沿って形成し、上下方向に隣接する覆工材同士をその外周部と円弧状凹部とを嵌め込んで構築し、覆工材同士を連結材により連結したものである。
特許文献1のような連結構造では、円弧状の凹部に対して、トンネル基本断面そのものを形成する円弧状部を嵌め込むため、土水圧が作用しこの円弧状に沿って水みちとなり止水性が低下する場合がある。
また、複数のシールドトンネルの並設方向に対して直交する方向のせん断力が作用したときにも、トンネル基本断面そのものを形成する円弧状部を嵌め込んだものであるため、ズレが生じる場合がある。
以下、本発明に係る第1の実施形態について、図面の図1乃至図6と共に説明する。
図1は、シールドトンネルを水平方向に並設して隣合うシールドトンネル間を連結して施工する状況を示したものである。
図1において向って左側から順に先行してシールドトンネル1が施工され、その右隣に並ぶようにシールドトンネル1が後行して施工されていく。各々のシールドトンネル1は覆工体10を備えており、覆工体10は、地中を回転カッタ3で掘削しながら進むシールド掘進機2の外胴4内で組み立てられるセグメントで構成される。
また、「先行」、「後行」とは相対的なものである。
後述する外胴凹部5、外胴凸部6、覆工体凹部11及び覆工体凸部12に係る凹部、凸部は、基本断面に含まれるものではない。このような凹部、凸部を基本断面に含めて述べるときは、外形面や内形面と述べる。
隣合う一方の先行シールドトンネル1は、本発明の並設する一のシールドトンネルに相当し、他方の後行シールドトンネル1は、本発明の他のシールドトンネルに相当する。
外胴凹部5は、並設するシールドトンネル1の施工が完了し、シールド掘進機2を地中内に残置させるときにその効果を発揮するものである。後行シールド掘進機2が先行シールド掘進機2の横に並んで停止させる際には、後行シールド掘進機2の外胴凸部6を先行シールド掘進機2の外胴凹部5内に位置させるようにして停止させる。このようにすることで、外胴凸部6を備えるような後行シールド掘進機2が停止する際に、先行シールド掘進機2の横に後行シールド掘進機2を並べて残置させることができるので、先行シールド掘進機2の機長分だけ先行シールドトンネルの施工長を延ばす必要がなくなる。
外胴凸部6の形状はどのような形状でもよく、少なくとも一部が覆工体凹部11内に位置するようなものであればよい。
外胴凹部5と外胴凸部6の形状は、どのような形状でもよく、外胴凸部6の少なくとも一部が外胴凹部5内に位置するようなものであればよい。
覆工体凹部11と覆工体凸部12の形状は、どのような形状でもよく、覆工体凸部12の少なくとも一部が覆工体凹部11内に位置するようなものであればよい。
覆工体凹部11は、覆工体10の外周面(本実施例では基本断面が円形のシールドトンネル1であるので円形)より凹んで形成されることが必要である。換言すると、覆工体凹部11は、覆工体凹部11に隣接する部分から凹んだものである。
図4に示すように、シールド掘進機2の外胴4はスキンプレートで構成されており、その形状は外周面、内周面とも円形であり、外胴凹部5と外胴凸部6の内形面は、それぞれ外胴凹部5と外胴凸部6の形状に沿って形成され、内側に凸となる外胴凹部内形面5aと内側に凹となる外胴凸部内形面6aを構成している。
4つのセグメントのうちセグメント10dが覆工体凹部11を備えており、セグメント10bが覆工体凸部12を備えている。覆工体凹部11は外胴凹部5に、覆工体凸部12は外胴凸部6に、それぞれ対応するようにセグメント10a〜10dが配置されて組み立てられる。具体的には、外胴凹部内形面5aの凸形状に合わせて覆工体凹部11が配置され、外胴凸部内形面6aの凹形状に合わせて覆工体凸部12を配置される。外胴凹部内形面5aの凸形状に合わせて覆工体凹部11を配置し、外胴凸部内形面6aの凹形状に合わせて覆工体凸部12を配置するので、外胴4内におけるセグメントの位置合わせを容易に行うことができる。
覆工体凹部11と覆工体凸部12には、並設された覆工体と連結させるためのボルト孔が設けられるが、図示を省略している。
裏込め材の除去には、外胴凸部6の先端に裏込め材を除去する手段を設ける。また、裏込め材を除去しやすい低強度のものにしておいてもよい。低強度のものであれば、外胴凸部6の先端に設ける除去手段として回転カッタなどの大掛かりな手段を設ける必要はない。問題が生じないのであれば、裏込め材の注入をせずにおいてもよい。外胴凸部6の先端による除去の負担を検討して設定すればよい。除去の負担が軽いものであれば、外胴凸部6の先端に回転カッタのような除去手段を設けなくてもよい。
図5(A)は、並設された先行シールドトンネル1の覆工体10が連結されている状態を示したものである。先行シールドトンネル1同士は、覆工体凹部11内に覆工体凸部12が配置されており、覆工体10と地山との間には裏込め材21が注入されている。覆工体凹部11と覆工体凸部12には、連結ボルト13が配置されている。覆工体10同士は離間しており、その間に裏込め材21が介在して配置されているので、覆工体10同士は接触していない。
図5(A)における向かって右側に後行シールドトンネルの覆工体を連結させる。
後行シールド掘進機2の外胴凸部6は、覆工体凹部11内の裏込め材21を除去して位置することになる。
後行シールド掘進機2の外胴凸部6の外胴凸部内形面6aにセグメント10bの覆工体凸部12を配置し、外胴凹部5の外胴凹部内形面5aにセグメント10dの覆工体凹部11を配置する。このときに組み立てられた後行シールドトンネル1の覆工体10の覆工体凸部12は、先行シールドトンネル1の覆工体10の覆工体凹部11内に位置することになる。
セグメント10a〜10dを連結するボルトは図示を省略している。
後行シールド掘進機2の外胴凸部6があった部分と覆工体凸部12との間に充填する裏込め材21は、他の箇所より止水性が高く、先行シールドトンネル1の覆工体凹部11内に充填された裏込め材21と接着力が高い高強度のものとしてもよい。一方、後行シールドトンネル1の覆工体凹部11内に充填する裏込め材21は、覆工体凹部11内を後行シールド掘進機2の外胴凸部6が通過するので、除去されやすい低強度のものとしてもよい。
また、覆工体10の並設方向に対して直交する方向のせん断力が作用したとしても、先行シールドトンネル1の覆工体凹部11内に後行シールドトンネル1の覆工体凸部12を位置させているので、せん断力に抵抗することができる。
また、裏込め材21が注入されることによって、先行シールドトンネル1の覆工体凹部11と後行シールドトンネル1の覆工体凸部12との連結力も強化される。
以下、本発明に係る第2の実施形態について図面の図7乃至図9と共に説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
本実施形態は、後行シールドトンネル1の覆工体凸部12を備えるセグメント10bに袋体30を設けたものである。
図7に示すように、袋体30は、覆工体凸部12の先行シールドトンネル1の覆工体凹部11側の垂直面の上部と下部に設けられている。
図7では、膨張した状態の袋体30を表している。袋体30の全長は、セグメント10bのセグメント幅より長くなっており両端が突出している。これは、隣のリングのセグメントが配置されたときに袋体30同士の端部が隙間なく接触させるようにするためである。
本実施形態における連結方法は、第1の実施形態の図5(C)の状態までは、同様である。
図8(A)に示すように、後行シールド掘進機の掘進により外胴がなくなった状態までは、後行シールドトンネル1の覆工体凸部12に設けられた袋体30は折り畳まれている。
本実施形態では、袋体30は覆工体凸部12の表面に折り畳まれて取り付けられているが、覆工体凸部12の表面から凹部を設けてその中に折り畳まれて取り付けられるようにしてもよい。そのようにすることで、袋体30が損傷するのを保護することができる。
袋体30が覆工体凸部12の覆工体凹部11内に位置する部分に設けられているので、膨張させた袋体30が覆工体凹部11内に配置されることになり、高い止水性が確保できる。
また、本実施形態では、袋体30は、覆工体凹部11の角部に配置されるようにしている。このため、袋体30を膨張させた際に、袋体30が拘束され位置ずれが発生しづらく密着状態がより確保される。
図9(B)に示すように、隣合う先行シールドトンネル1の覆工体凹部11と後行シールドトンネル1の覆工体凸部12とを、連結ボルト13によって連結する。連結ボルト13は上下方向に2箇所、奥行き方向に2箇所の4本が配置される。ボルト孔は図示を省略している。
さらに、隣合う覆工体10の並設方向に圧縮力が作用した場合にも、袋体30がこれに抵抗するようになり、安定性を高めることができる。
以下、本発明に係る第3の実施形態について図面の図10と共に説明する。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
第3実施形態では、第2の実施形態のように袋体30を、膨張したときに覆工体凸部12の垂直面に配置されるように設けるのではなく、水平面にも配置されるようにしたものである。
水平面にも袋体30が設けられるようにすると、覆工体10の並設方向に対して直交した方向のせん断力が作用した際にも、この袋体30をせん断力に抵抗させるようにすることができる。
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
このように先行シールドトンネルの覆工体凸部に対して、後行シールドトンネルの覆工体凹部を位置させる場合において、袋体30を採用するには、袋体30は、覆工体凹部に設けることになる。
2 シールド掘進機
3 回転カッタ
4 外胴
5 外胴凹部
5a 外胴凹部内形面
6 外胴凸部
6a 外胴凸部内形面
10 覆工体(セグメント)
11 覆工体凹部
12 覆工体凸部
13 連結ボルト
14 ボルト孔
15 注入孔
20 掘削線
21 裏込め材
30 袋体
Claims (8)
- 並設する一のシールドトンネルと他のシールドトンネルとの連結構造であって、
一のシールドトンネルは、シールド掘進機の外胴内で組立てられ、当該シールドトンネルを構成する覆工体の外周面から凹んだ覆工体凹部を備え、
他のシールドトンネルは、シールド掘進機の外胴内で組立てられ、当該シールドトンネルを構成する覆工体の外周面から突設された覆工体凸部を備え、
前記一のシールドトンネルを構成する覆工体と前記他のシールドトンネルを構成する覆工体とは接触しておらず、前記覆工体凸部の少なくとも一部が前記覆工体凹部内に位置しており、前記覆工体凸部と前記覆工体凹部とは接触していない
ことを特徴とするシールドトンネル間の連結構造。 - 前記覆工体凸部と前記覆工体凹部との間には、裏込め材が介在することを特徴とする請求項1に記載のシールドトンネル間の連結構造。
- 前記覆工体凸部と前記覆工体凹部との間であって、前記覆工体凹部内には、充填材が充填された袋体が介在することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシールドトンネル間の連結構造。
- 前記覆工体凸部と前記覆工体凹部とは、連結ボルトによって連結されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のシールドトンネル間の連結構造。
- 並設する一のシールドトンネルと他のシールドトンネルとを連結する連結方法であって、
前記一のシールドトンネルを構成する覆工体は、外周面から凹んだ覆工体凹部を有しており、
前記他のシールドトンネルを構成する覆工体は、外周面から突設した覆工体凸部を有しており、
前記他のシールドトンネルを掘削するシールド掘進機は、外胴の外周面から突設した外胴凸部と、前記外胴凸部の内側に凹となる外胴凸部内形面とを有しており、
前記一のシールドトンネルを構成する覆工体をシールド掘進機の外胴内で組み立て設置する第1の工程、
前記第1の工程で設置された前記覆工体凹部内に前記外胴凸部の少なくとも一部を位置させ、前記外胴凸部内形面に前記覆工体凸部を配置して前記他のシールドトンネルを構成する覆工体をシールド掘進機の外胴内で組み立て設置する第2の工程、
前記他のシールドトンネルを掘削するシールド掘進機を掘進させて、当該シールド掘進機の外胴を前記覆工体凸部から離して、前記一のシールドトンネルを構成する覆工体と前記他のシールドトンネルを構成する覆工体とを接触させず、前記覆工体凸部の少なくとも一部を前記覆工体凹部内に位置させ、前記覆工体凸部と前記覆工体凹部とを接触させない第3の工程を備える
ことを特徴とする連結方法。 - 前記第1の工程において、前記一のシールドトンネルを構成する覆工体を設置した後に裏込め材を注入し、
前記第2の工程において、前記第1の工程で前記覆工体凹部に注入された裏込め材を前記他のシールドトンネルを掘削するシールド掘進機の前記外胴凸部で除去するとともに、前記第1の工程で設置された前記覆工体凹部内に前記外胴凸部の少なくとも一部を位置させ、前記外胴凸部内形面に前記覆工体凸部を配置して前記他のシールドトンネルの覆工体を構成し、
前記第3の工程において、前記一のシールドトンネルを構成する覆工体と前記他のシールドトンネルを構成する覆工体とは接触させず、前記覆工体凸部の少なくとも一部を前記覆工体凹部内に位置させて、前記一のシールドトンネルを構成する覆工体に裏込め材を充填する
ことを特徴とする請求項5に記載の連結方法。 - 前記覆工体凸部または前記覆工体凹部は、充填材が充填されることで膨張して前記覆工体凹部内に位置する袋体を有しており、
前記第3の工程において、前記一のシールドトンネルを構成する覆工体と前記他のシールドトンネルを構成する覆工体とは接触させず、前記覆工体凸部の少なくとも一部を前記覆工体凹部内に位置させ、前記袋体に充填材を充填し前記袋体を膨張させる
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の連結方法。 - 前記第3の工程において、前記一のシールドトンネルを構成する覆工体と前記他のシールドトンネルを構成する覆工体とは接触させず、前記覆工体凸部の少なくとも一部を前記覆工体凹部内に位置させ、前記覆工体凸部と前記覆工体凹部とを連結ボルトで連結する請求項5乃至請求項7のうちいずれか1項に記載の連結方法。
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