JP6761659B2 - ミシン - Google Patents
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Description
この際、送り歯高さをより高くすれば、押さえとの隙間が小さくなるので、押さえ圧の低下分を補うことができるが、今度は低速時の押さえ圧が余計に上がってしまう。
従来のように、主軸とメカ的にリンクして動く送り歯を用いた送り機構では、主軸回転中に送り歯高さを変更することが困難であり、高速時と低速時で適切な押さえ圧を両立することができなかった。
針棒を上下動させる針上下動機構と、
前記針上下動機構の駆動源となるミシンモーターと、
針板の上の被縫製物を送る送り歯を支持する送り台と、
前記ミシンモーターから動力を得て前記送り台に対して水平方向の往復動作を伝達する水平送り機構と、
前記送り台に対して上下方向の往復動作を付与する上下送り機構とを備えるミシンにおいて、
前記水平送り機構は、前記ミシンモーターによる前記送り台に対する水平方向の往復動作のピッチを変更調節する送り調節モーターを有し、
前記上下送り機構は、前記送り台に対する上下方向の往復動作の駆動源となる上下送りモーターを有し、
前記送り調節モーターと前記上下送りモーターを制御して前記送り歯による前記被縫製物の送り動作を行う制御装置を備え、
前記制御装置は、前記ミシンモーターにより回転駆動される主軸の回転角度に同期して所定の軌跡で前記送り歯を周回させるように前記上下送りモーターを制御するとともに、前記主軸の回転速度に応じて、送り区間における前記送り歯の軌跡を補正するように前記上下送りモーターを制御することを特徴とする。
前記制御装置は、前記主軸の高速回転時には、送り区間における前記送り歯の軌跡を低速回転時よりも高い軌跡となるように前記上下送りモーターを制御することを特徴とする。
以下、本発明の実施形態であるミシンについて詳細に説明する。
図1はミシン100のミシンベッド部内の主要な構成を示す斜視図である。
なお、上記ミシン100はいわゆる本縫いミシンであり、一般的な本縫いミシンが備える天秤機構、糸調子、布押さえ等の各構成を備えているが、これらは周知のものなので説明は省略する。
なお、以下の説明では、ミシンベッド部の長手方向に平行な水平方向をY軸方向とし、水平であってY軸方向に直交する方向をX軸方向とし、X軸及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。
針上下動機構は、アーム部の内側に配設され、ミシンモーター16に回転駆動されると共にY軸方向に沿って配設された主軸と、縫い針を下端部で保持する針棒と、主軸の回転力を上下動の往復駆動力に変換して針棒に伝達する図示しないクランク機構とを備えている。
そして、ベルト機構20は、主軸に固定装備された主動プーリと、送り装置30の下軸33に固定装備された従動プーリ21と、主動プーリと従動プーリ21とに掛け渡されたタイミングベルト22とを備えている。そして、ベルト機構20により、下軸33は主軸と同速度で回転を行う。
なお、ベルト機構に替えて縦軸と傘歯車からなる歯車伝達機構で主軸から下軸33に回転力を伝達しても良い。
図1に示すように、送り装置30は、針板11の開口から出没して布地を所定方向に送る送り歯31と、送り歯31を保持する送り台32と、ミシンモーター16から動力を得て送り台32に対してX軸方向(水平方向)の往復動作を伝達する水平送り機構40と、送り台32に対して上下方向の往復動作を付与する上下送り機構60Bとを備えている。
水平送り機構40は、送り台32に対するX軸方向の往復動作のストロークを調節する送り調節機構50と、下軸33からX軸方向に沿った往復動作を取り出すクランクロッド41と、送り調節機構50を介してクランクロッド41から往復回動が付与される水平送り軸42と、水平送り軸42の往復回動駆動力を送り方向の往復駆動力に変換して送り台32に伝達する水平送りアーム43とを備えている。
第二のリンク体54は、一端部が第一のリンク体53の一端部と共にクランクロッド41の他端部に連結され、他端部が送り調節体55の回動端部に連結され、これら両端部はいずれもY軸回りに回動可能に連結されている。
送り調節体55は、その基端部にY軸方向に沿った支軸52が固定装備されており、当該支軸52はミシンフレーム内でY軸回りに回動可能に支持されている。
また、送り調節体55の回動端部は第二のリンク体54の他端部とY軸回りに回動可能に連結されている。
また、この送り調節体55を中立角度から逆方向に回動させると、やはりその回動角度量に応じて揺動アーム51側に往復の揺動動作を付与することができるが、この場合には、位相が反転して伝達され、これにより逆送り方向の縫いピッチを大きくすることができる。
伝達リンク59は、その長手方向が概ねZ軸方向に沿った状態で、その下端部が伝達リンク58の他端部にY軸回りに回動可能に連結されている。従って、送り調節モーター57の駆動により伝達リンク59は全体的に上下動を行う。
入力アーム56は、支軸52に固定装備されると共に支軸52から概ねX軸方向に沿って延出されており、その延出端部は伝達リンク59の上端部にY軸回りに回動可能に連結されている。
これらにより、送り調節モーター57が駆動すると、伝達リンク58,59及び入力アーム56を介して送り調節体55を回動させることができる。
従って、水平送りアーム43は、ミシンモーター16の駆動により送り台32をX軸方向に沿って往復移動させることができる。また、送り台32のX軸方向に沿った往復動作のストロークは、送り調節機構50の送り調節モーター57を制御することにより、任意に調節することができる。
これにより、送り台32はその一端部から上下方向に往復駆動力が付与され、他端部からは同じ周期で送り方向の往復駆動力が付与される。そして、これらの往復駆動力を合成することでX−Z平面に沿って長円運動を行うこととなる。この送り台32に伴って送り歯31も長円運動を行い、当該長円運動軌跡の上部領域を移動する際に送り歯31の先端部が針板11の開口部から上方に突出し、布地を送ることを可能としている。
図3は上下送り機構60Bの斜視図、図4〜図6は上下送り機構60Bの動作説明図である。
この上下送り機構60Bは、送り台32に対する上下方向(Z軸方向)の往復動作の駆動源となる上下送りモーター66と、当該上下送りモーター66の出力軸に連結されて回動動作を行う第一リンク61Bと、第一リンク61Bの回動端部に一端部が連結された第二リンク62Bと、第二リンク62Bの他端部に一端部が連結された第三リンク63Bと、第三リンク63Bの他端部に連結されると共にミシンフレーム内で位置が固定された回動軸67と、当該回動軸67を介して第三リンク63Bと連結された第四リンク64と、当該第四リンク64の回動端部に一端部が連結されると共に他端部が送り台32の一端部に連結された第五リンク65とを備えている。
なお、上記の上下送り機構60Bに替えて、モーターと偏心カムとリンクを用いる構成や、モーターとラックとピニオンを用いる構成に変更することも容易に考えられる。
また、上下送りモーター66はその出力軸をY軸方向に沿わせて配置されている。
これにより、モーター及びその周辺の部材の共通化を図ることができ、コスト低減及びメンテナンス性の向上を図ることが可能となる。
一方、第三リンク63Bは、その他端部がミシンベッド部のフレームにより回転可能に支持された回動軸67に固定支持されている。
そして、第一リンク61Bの回動端部と第三リンク63Bの回動端部は第二リンク62Bの一端部と他端部とにそれぞれY軸回りに回動可能に連結されている。
そして、これら第一〜第三リンク61B〜63Bは、図4に示すように、第一リンク61BがZ軸方向にほぼ並行且つその回動端部が上方を向いた状態であって、第三リンク63BがZ軸方向にほぼ並行且つその回動端部が下方を向いた状態である場合に、第二リンク62BはほぼX軸方向に平行な水平状態となるように、それぞれの長さが設定されている。
上記「原点」となる軸角度では、送り歯31の高さは針板11の上面の高さと一致する。
また、「原点」となる軸角度を基準として、図5に示すように逆方向(反時計方向)に上下送りモーター66を回転駆動させると送り歯31は針板11の上面より上昇し、図6に示すように正方向(時計方向)に上下送りモーター66を回転駆動させると送り歯31は針板11の上面より下降する。
なお、ミシン100では、その制御装置90が、送り歯31による一針分の送り動作につき、上下送りモーター66に対して、第一リンク61Bと第二リンク62Bとが同一直線上に並んだ最大伸長状態となる出力軸角度には到達しない角度範囲内(例えば原点±10°)で正逆方向の往復回動を一回行う動作制御を実行する。
そして、第五リンク65は、概ねZ軸方向に沿った状態で第四リンク64の回動端部に一端部が連結されると共に他端部が送り台32の一端部に連結されているので、第四リンク64の回動により第五リンク65を介して送り台32に上下動を伝達することができる。
糸切り装置14は、送り歯31と釜12との間に配置された固定メス及び動メスと、下軸33に設けられたカムと、カムに係合して動メスに切断動作を付与するカムコロと、カムコロをカムに係合させるソレノイドとを備えている。ソレノイドは、制御装置90の制御によって作動し、ソレノイドの作動によりカムコロがカムに係合して、動メスに往復の切断動作を伝達し、動メスと固定メスとの協働により上糸及び下糸を切断する。
上記ミシン100の制御系を図7のブロック図に示す。この図7に示すように、ミシン100は、各構成の動作制御を行う制御装置90を備えている。そして、この制御装置90には、ミシンモーター16、送り調節モーター57及び上下送りモーター66が各々のモーター駆動回路16a,57a,66aを介して接続されている。
また、ミシンモーター16には、その回転数を検出するエンコーダ161が併設されており、このエンコーダ161もモーター駆動回路16aを介して制御装置90に接続されている。
また、制御装置90には、糸切り装置14が接続されており、糸切りの実行の際に駆動するソレノイドが制御装置90により制御される。
また、制御装置90には、後述する送り装置30に対する各種の動作制御の選択、実行や設定を入力するための操作入力部96がインターフェイス97を介して接続されている。
ミシン100では、送り歯31の上下方向の往復動作をミシンモーター16とは独立して上下送りモーター66が行うので、上下送りモーター66を制御することにより、送り歯31の周回移動の軌跡を任意に変更することが可能である。
図8は通常の送りを行う場合の基準形の軌跡である。図8では横軸が送り歯31のX軸方向の位置、縦軸がZ軸方向の送り歯31の位置を示している。横軸の左側が送り方向下流側であり、横軸の0となる位置は針落ち位置である。また、縦軸の0となる位置が針板11の上面の高さである(後述する図10、12も同様とする)。
この基準形の軌跡では、針板11の上面を基準として上下にほぼ対称な長円となる。なお、送り歯31の歯先(上端部)が針板11の上面以上の位置にある主軸角度の範囲を「送り区間」と定義する。
なお、送り調節モーター57の軸角度は長円の軌跡の横軸の幅(縫いピッチ)を決定するので、操作入力部96から縫いピッチが設定されると、送り歯が周回移動している間は縫いピッチが設定値となる送り調節モーター57の軸角度を維持する。
図8の基準形の軌跡パターンにおける上下送りモーター66の軸角度の変化は、図9に示すように、おおよそ2π分のサインカーブとなる。
なお、正方向と逆方向の一往復回動で送り歯が上下に一往復する関係のため、時計方向の回動で得る軌跡パターンデータと反時計方向の回動で得る軌跡パターンデータとの二種類を用意する必要はなく、一種類の軌跡パターンデータのみを保有している。
以上のように、ミシン100の送り歯31を上下させるための動力を、従来のように主軸とメカ的にリンクさせて得るのではなく、送り歯31の上下動用に用意したアクチュエーター、実施形態ではパルスモーターによる上下送りモーター66から得るようにする。
そして、主軸回転用のミシンモーター16と上下送りモーター66はCPU91で一括に制御し、主軸回転速度の情報を送り歯上下用のアクチュエーター制御に利用できるようにする。
この構成であれば、主軸の回転中であっても、送り歯31の高さを独立して変更できる。
主軸回転速度が2000rpm時の送り歯の軌跡は、図8で示した通常の送りを行う場合の基準形の軌跡と同様の軌跡である。
低速時には送り歯が押さえに勢いよくぶつかることで、押さえが跳ね上がるジャンピングは発生しない。従って、基準形の軌跡に対して補正を加える必要がない。
制御装置90は、この長円の軌跡上に並んだドットの各位置に送り歯31を位置決めするための上下送りモーター66の軸角度を主軸角度と関連づけて記録した軌跡パターンデータをEEPROM94内に保持している。
制御装置90は、この長円の軌跡上に並んだドットの各位置に送り歯31を位置決めするための上下送りモーター66の軸角度を主軸角度と関連づけて記録した軌跡パターンデータをEEPROM94内に保持している。
制御装置90は、この長円の軌跡上に並んだドットの各位置に送り歯31を位置決めするための上下送りモーター66の軸角度を主軸角度と関連づけて記録した軌跡パターンデータをEEPROM94内に保持している。
そして、主軸が高速回転している場合は速度に応じて送り区間における送り歯31の高さを高くなるように補正することで、主軸の回転速度が上昇した際に押さえのジャンピングが発生しても、最適な押さえ圧を保つことができる。
また、主軸速度低速時には送り区間における送り歯13の高さ補正をせずに済むので、一度の縫製で主軸低速動作と高速動作が混じるような場合においても、押さえ圧を最適に保ち続けることができる。
以上、実施形態のミシン100によれば、水平送り機構40は、ミシンモーター16による送り台32に対する水平方向の往復動作のピッチを変更調節する送り調節モーター57を有し、上下送り機構60Bは、送り台32に対する上下方向の往復動作の駆動源となる上下送りモーター66を有し、送り調節モーター57と上下送りモーター66を制御して送り歯31による被縫製物の送り動作を行う制御装置90を備えている。
このため、送り歯31の上下の往復動作についてミシンモーター16から制約を受けることなく任意に動作させることができるので、前述したように、多種多様の軌跡パターンで送り歯31を周回移動させることが可能となる。
これに対して、実施形態のミシン100は、送り歯31の水平方向の往復動作の駆動源をミシンモーター16とし、送り歯31の上下方向の往復動作の駆動源を上下送りモーター66としているので、送り歯31の上下動については狭い往復ストロークの範囲で往復させれば良く、上下送りモーター66として入手が容易な小型、低出力のものを使用することができる。そして、より多彩な軌跡パターンで送りを行うことができる。
また、縫いピッチの調節は、従来から行われている送り調節体55と送り調節モーター57の構成を使用するので、信頼性及び安定性が高く、高精度である。
従って、主軸の高速回転時に押さえのジャンピングが発生しても、最適な押さえ圧を保つことができる。
また、主軸の速度低速時には送り区間における送り歯13の高さ変更をせずに済むので、一度の縫製で主軸低速動作と高速動作が混じるような場合においても、押さえ圧を最適に保ち続けることができる。
また、上記の発明の実施形態では、本縫いミシンを例示したが、送り装置30は、送り歯で被縫製物を送るいずれのタイプのミシンにも適用可能である。
また、上記の発明の実施形態では、上下送りモーター66の出力軸に直接的に第一リンク61Bを取り付けて連結した場合を例示したが、上下送りモーター66の出力軸と第一リンク61Bとの間に伝達部材や伝達機構を介在させて間接的に連結しても良い。
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
また或いは、図8のような基準形の軌跡パターンを予め用意し、これに対応する基準速度を定め、当該基準速度と検出される主軸回転速度との速度差から算出される補正値に基づいて、基準形の軌跡パターンにおける送り旋回軌跡の上半部における各点の送り歯の高さに対して補正を行い、送り歯31が補正後の軌跡パターンを周回するように動作制御を行っても良い。
14 糸切り装置
16 ミシンモーター
30 送り装置
31 送り歯
32 送り台
40 水平送り機構
50 送り調節機構
55 送り調節体
57 送り調節モーター
60B 上下送り機構
61B 第一リンク
61C 溝カム
62B,62C 第二リンク
63A,63B 第三リンク
64 第四リンク
65 第五リンク
66 上下送りモーター
67 回動軸
90 制御装置
100 ミシン
101 ミシンペダル
161 エンコーダ
Claims (1)
- 針棒を上下動させる針上下動機構と、
前記針上下動機構の駆動源となるミシンモーターと、
針板の上の被縫製物を送る送り歯を支持する送り台と、
前記ミシンモーターから動力を得て前記送り台に対して水平方向の往復動作を伝達する水平送り機構と、
前記送り台に対して上下方向の往復動作を付与する上下送り機構とを備えるミシンにおいて、
前記水平送り機構は、前記ミシンモーターによる前記送り台に対する水平方向の往復動作のピッチを変更調節する送り調節モーターを有し、
前記上下送り機構は、前記送り台に対する上下方向の往復動作の駆動源となる上下送りモーターを有し、
前記送り調節モーターと前記上下送りモーターを制御して前記送り歯による前記被縫製物の送り動作を行う制御装置を備え、
前記制御装置は、前記ミシンモーターにより回転駆動される主軸の回転角度に同期して所定の軌跡で前記送り歯を周回させるように前記上下送りモーターを制御するとともに、前記主軸の回転速度に応じて、送り区間における前記送り歯の軌跡を補正するように前記上下送りモーターを制御し、
前記制御装置は、前記主軸の高速回転時には、送り区間における前記送り歯の軌跡を低速回転時よりも高い軌跡となるように前記上下送りモーターを制御することを特徴とするミシン。
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