本発明の二液硬化型接着剤組成物は、複数のガスバリアフィルム(後述)の間を接着する二液硬化型接着剤組成物であって、カルボキシ基を有するカルボキシ含有成分(本願においては主剤と称する場合がある。)と、カルボジイミド化合物を含有するカルボジイミド含有成分(本願においては硬化剤と称する場合がある。)とを含有している。
カルボキシ含有成分は、例えば、カルボキシ基を有する化合物を含有している。カルボキシ基を有する化合物としては、例えば、分子末端にカルボキシ基を有する化合物が挙げられる。
分子末端にカルボキシ基を有する化合物として、具体的には、例えば、ポリオールの末端水酸基に無水酸が付加した化合物(以下、ポリオールの無水酸付加物と称する場合がある。)などが挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、高分子量ポリオールおよび低分子量ポリオールが挙げられる。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400以上、好ましくは、500以上、20000以下、好ましくは、10000以下の化合物であって、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリアルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
ポリアルキレンポリオールとしては、例えば、後述する低分子量ポリオールまたは芳香族/脂肪族ポリアミンを開始剤とする、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの付加重合物(2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む。)が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとして、具体的には、例えば、ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリエチレン・ポリプロピレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体)などが挙げられる。
ポリテトラメチレンエーテルグリコールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物や、テトラヒドロフランの重合単位に後述する2価アルコールを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
また、フルフラールなどの植物由原料をもとに製造されたテトラヒドロフランを出発原料とした植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールも挙げられる。
ポリトリメチレンエーテルグリコールとしては、例えば、植物由来の1,3−プロパンジオールの縮重合により製造されるポリオールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、後述する低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)と多塩基酸(好ましくは、二塩基酸)とを、公知の条件下、低分子量ポリオールの水酸基が多塩基酸のカルボキシ基に対して過剰モルとなる割合でエステル化反応させて得られる重縮合物が挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバシン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸などの脂環族ジカルボン酸、例えば、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ヘット酸などのその他のカルボン酸、および、それらカルボン酸から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、さらには、これらのカルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライドなど、また、例えば、酸(ジ)メチルエステル(例えば、テレフタル酸ジメチルエステルなど)が挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、後述する低分子量ポリオールと、ヒドロキシル基含有植物油脂肪酸(例えば、リシノレイン酸を含有するひまし油脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸を含有する水添ひまし油脂肪酸など)などのヒドロキシカルボン酸とを、公知の条件下、縮合反応させて得られる植物油系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、後述する低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、さらには、それらに後述する2価アルコールを共重合したラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
ポリエステルアミドポリオールとしては、例えば、上記したポリエステルポリオールのエステル化反応において、低分子量ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)を原料として併用することにより得られるポリエステルアミドポリオールなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、後述する低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物や、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールや1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコールと、開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
また、ポリウレタンポリオールは、上記により得られたポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールを、イソシアネート基に対する水酸基の当量比(OH/NCO)が1を超過する割合で、後述するポリイソシアネートと反応させることによって、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、あるいは、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどとして得ることができる。
エポキシポリオールとしては、例えば、後述する低分子量ポリオールと、例えば、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリンなどの多官能ハロヒドリンとの反応により得られるエポキシポリオールが挙げられる。
植物油ポリオールとしては、例えば、ひまし油、やし油などのヒドロキシル基含有植物油などが挙げられる。例えば、ひまし油ポリオール、またはひまし油ポリオールとポリプロピレンポリオールとの反応により得られるエステル変性ひまし油ポリオールなどが挙げられる。
ポリオレフィンポリオール(ポリヒドロキシアルカン)としては、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン価エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと共重合可能な共重合性ビニルモノマーとを、共重合させることによって得られる共重合体が挙げられる。
なお、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルと定義され、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートと定義される。
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。
共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート(炭素数1〜12)、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート、例えば、3−(2−イソシアネート−2−プロピル)−α−メチルスチレンなどのイソシアネート基を含むビニルモノマーなどが挙げられる。
共重合性ビニルモノマーとして、好ましくは、炭素数2〜12のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
すなわち、アクリルポリオールとして、好ましくは、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、炭素数2〜12のアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体が挙げられる。
そして、アクリルポリオールは、これらヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、および、共重合性ビニルモノマーを、適当な溶剤および重合開始剤の存在下において共重合させることにより得ることができる。
また、アクリルポリオールには、例えば、シリコーンポリオールやフッ素ポリオールが含まれる。
シリコーンポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニル基を含むシリコーン化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。
フッ素ポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなどのビニル基を含むフッ素化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。
ビニルモノマー変性ポリオールは、上記した高分子量ポリオールと、ビニルモノマーとの反応により得ることができる。高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールから選択される高分子量ポリオールが挙げられる。
また、ビニルモノマーとしては、例えば、上記したアルキル(メタ)アクリレート、シアン化ビニルまたはシアン化ビニリデンなどが挙げられる。これらビニルモノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。また、これらのうち、好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
そして、ビニルモノマー変性ポリオールは、これら高分子量ポリオール、および、ビニルモノマーを、例えば、ラジカル重合開始剤(例えば、過硫酸塩、有機過酸化物、アゾ系化合物など)の存在下などにおいて反応させることにより得ることができる。
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエステルポリオールが挙げられる。
高分子量ポリオールの粘度(25℃)は、例えば、1000mPa・s以上、好ましくは、2000mPa・s以上であり、例えば、1000000mPa・s以下、好ましくは、300000mPa・s以下である。
なお、粘度は、JIS K 5600−2−3(2014年)に準拠して、コーンプレート粘度計により測定される。
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量60以上、好ましくは、100以上、400未満、好ましくは、500未満の化合物であって、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,2−トリメチルペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、アルカン(C7〜20)ジオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリオールとして、好ましくは、高分子量ポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリエステルポリオールが挙げられる。
無水酸は、無水酸基を少なくとも1つ有する化合物(酸無水物ともいう。)であって、例えば、上記したポリエステルポリオールの製造に用いられる酸無水物などが挙げられ、具体的には、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
これら無水酸は、単独使用または2種類以上併用することができる。
無水酸として、好ましくは、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸が挙げられ、より好ましくは、無水フタル酸、無水マレイン酸が挙げられる。
これら無水酸をポリオールの末端水酸基に付加させる方法としては、例えば、ポリオールに無水酸を添加し、加熱して反応させる。
無水酸の配合においては、その無水酸基と、ポリオールの水酸基とが等量であってもよく、いずれか一方が過剰であってもよく、また、不足していてもよい。
より具体的には、例えば、ポリオールの水酸基1モルに対して、無水酸中の無水酸基が、例えば、0.3以上、好ましくは、0.5モル以上、より好ましくは、0.7モル以上であり、例えば、3以下、好ましくは、2モル以下、より好ましくは、1.5モル以下である。
無水酸の配合割合が上記範囲であれば、優れた外観と、優れた接着性とを兼ね備える積層体が得られる。
また、上記の反応において、反応温度は、例えば、100℃以上、好ましくは、130℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下である。
また、反応時間が、例えば、60分以上、好ましくは、120分以上であり、例えば、600分以下、好ましくは、300分以下である。
これにより、ポリオールの無水酸付加物が得られる。
なお、上記の反応において、ポリオールの水酸基1モルに対して無水酸基が1モル未満の割合(すなわち、無水酸不足割合)の場合には、ポリオールの一部の水酸基が酸変性され、残部の水酸基は、酸変性されずに残存する。
また、ポリオールの水酸基1モルに対して無水酸基が1モルを超過する割合(すなわち、無水酸過剰割合)の場合には、ポリオールの無水酸付加物は、未反応の無水酸基を含有する組成物として得られる。
また、上記の反応は、無溶剤下であってもよく、必要により配合される有機溶剤の存在下であってもよい。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのアルキルエステル類、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PMA)、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化メチル、ヨウ化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性非プロトン類などが挙げられる。
これら有機溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、反応終了後、必要に応じて、蒸留法、抽出法などの公知の方法により、未反応の無水酸や、有機溶剤の全部または一部を除去することができる。また、反応終了後に、上記の有機溶剤を添加し、ポリオールの無水酸付加物の濃度を調整することもできる。
また、分子末端にカルボキシ基を有する化合物は、上記のポリオールの無水酸付加物に限定されず、例えば、上記したポリエステルポリオールの製造において、低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)と多塩基酸(好ましくは、二塩基酸)とを、公知の条件下、多塩基酸のカルボキシ基が低分子量ポリオールの水酸基に対して過剰モルとなる割合でエステル化反応させることによっても、得ることができる。
これら分子末端にカルボキシ基を有する化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
分子末端にカルボキシ基を有する化合物として、好ましくは、ポリオールの無水酸付加物が挙げられ、より好ましくは、ポリエステルポリオールの無水酸付加物が挙げられる。
また、カルボキシ基を有する化合物としては、上記した分子末端にカルボキシ基を有する化合物の他、分子鎖途中にカルボキシ基を有する化合物が挙げられる。
分子鎖途中にカルボキシ基を有する化合物としては、例えば、分岐カルボキシ基含有低分子量ポリオール、分岐カルボキシ基含有高分子量ポリオールなどが挙げられる。
分岐カルボキシ基含有低分子量ポリオールは、分子鎖途中にカルボキシ基を1つ以上有し、分子末端に水酸基を2つ以上有する数平均分子量60以上、好ましくは、100以上、400未満、好ましくは、500未満の化合物であって、例えば、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸(別名:ジメチロールプロピオン酸(DMPA))、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸などのポリヒドロキシアルカン酸などが挙げられ、好ましくは、2,2−ジメチロールプロピオン酸が挙げられる。
分岐カルボキシ基含有高分子量ポリオールは、分子鎖途中にカルボキシ基を1つ以上有し、分子末端に水酸基を2つ以上有する数平均分子量400以上、好ましくは、500以上、20000以下、好ましくは、10000以下の化合物であって、例えば、分岐カルボキシ基含有ポリエーテルポリオール、分岐カルボキシ基含有ポリエステルポリオール、分岐カルボキシ基含有ポリエステルアミドポリオール、分岐カルボキシ基含有ポリカーボネートポリオール、分岐カルボキシ基含有ポリウレタンポリオール、分岐カルボキシ基含有エポキシポリオール、分岐カルボキシ基含有植物油ポリオール、分岐カルボキシ基含有ポリオレフィンポリオール、分岐カルボキシ基含有アクリルポリオール、分岐カルボキシ基含有ビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。好ましくは、分岐カルボキシ基含有ポリエーテルポリオール、分岐カルボキシ基含有ポリエステルポリオール、分岐カルボキシ基含有ポリウレタンポリオールが挙げられる。
分岐カルボキシ基含有ポリエーテルポリオールは、例えば、上記したポリエーテルポリオールの製造において、分岐カルボキシ基含有低分子量ポリオールを開始剤として用いることにより、得ることができる。
分岐カルボキシ基含有ポリエステルポリオールは、例えば、上記したポリエステルポリオールの製造において、分岐カルボキシ基含有低分子量ポリオールを原料(低分子量ポリオール)として用いることにより、得ることができる。
分岐カルボキシ基含有ポリウレタンポリオールは、例えば、上記したポリウレタンポリオールの製造において、分岐カルボキシ基含有低分子量ポリオール、分岐カルボキシ基含有ポリエーテルポリオール、分岐カルボキシ基含有ポリエステルポリオールなどを用いることにより、得ることができる。
これら分子鎖途中にカルボキシ基を有する化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。分子鎖途中にカルボキシ基を有する化合物として、好ましくは、分岐カルボキシ基含有高分子量ポリオールが挙げられる。
また、分子鎖途中にカルボキシ基を有する化合物(分子鎖途中にカルボキシ基を有し、分子末端に水酸基を有する化合物)の分子末端の水酸基に、さらに、上記の方法で無水酸を付加することもできる。これにより、分子末端および分子鎖途中にカルボキシ基を有する化合物が得られる。
また、分子末端および分子鎖途中にカルボキシ基を有する化合物は、例えば、分岐カルボキシ基含有ポリエステルポリオールの製造時に、分岐カルボキシ基含有低分子量ポリオールと多塩基酸とを、多塩基酸のカルボキシ基が分岐カルボキシ基含有低分子量ポリオールの水酸基に対して過剰モルとなる割合でエステル化反応させることによっても、得ることができる。
以上のように、カルボキシ基を有する化合物としては、例えば、分子末端の水酸基に無水酸を付加して得られる、分子鎖途中にカルボキシ基を有しない化合物(分子末端無水酸付加−分子鎖途中カルボキシ基不含有化合物)、例えば、分子末端がカルボキシ基となる配合割合で原料(多塩基酸および低分子量ポリオール)を反応させることにより得られる、分子鎖途中にカルボキシ基を有しない化合物(分子末端カルボキシ基含有−分子鎖途中カルボキシ基不含有化合物)、例えば、分子鎖途中にカルボキシ基を有し、分子末端にカルボキシ基を有しない化合物(分子末端カルボキシ基不含有−分子鎖途中カルボキシ基含有化合物)、例えば、分子末端の水酸基に無水酸を付加して得られ、分子鎖途中にカルボキシ基を有する化合物(分子末端無水酸付加−分子鎖途中カルボキシ基含有化合物)、例えば、分子末端がカルボキシ基となる配合割合で原料(多塩基酸、低分子量ポリオールおよび分岐カルボキシ基含有低分子量ポリオール)を反応させることにより得られ、分子鎖途中にカルボキシ基を有する化合物(分子末端カルボキシ基含有−分子鎖途中カルボキシ基含有化合物)などが挙げられる。
これらカルボキシ基を有する化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
カルボキシ基を有する化合物として、好ましくは、少なくとも分子末端にカルボキシ基を有する化合物が挙げられる。すなわち、好ましくは、分子末端無水酸付加−分子鎖途中カルボキシ基不含有化合物、分子末端カルボキシ基含有−分子鎖途中カルボキシ基不含有化合物、分子末端無水酸付加−分子鎖途中カルボキシ基含有化合物、分子末端カルボキシ基含有−分子鎖途中カルボキシ基含有化合物が挙げられ、より好ましくは、分子末端無水酸付加−分子鎖途中カルボキシ基不含有化合物が挙げられる。さらに好ましくは、ポリオールの無水酸付加物が挙げられ、とりわけ好ましくは、ポリエステルポリオールの無水酸付加物が挙げられる。
カルボキシ基を有する化合物の数平均分子量(GPC換算によるポリスチレン換算分子量)Mnは、例えば、2000以上、好ましくは、3000以上であり、例えば、20000以下、好ましくは、10000以下である。
カルボキシ含有成分の固形分濃度は、例えば、30質量%以上、好ましくは、50質量%以上であり、例えば、100質量%以下、好ましくは、90質量%以下、より好ましくは、80質量%以下である。
カルボキシ含有成分の酸価(JIS K 1557−5(2007年)に準拠)は、例えば、1mgKOH/g以上、好ましくは、5mgKOH/g以上、より好ましくは、10mgKOH/g以上であり、例えば、100mgKOH/g以下、好ましくは、70mgKOH/g以下、より好ましくは、50mgKOH/g以下である。
また、カルボキシ含有成分(固形分)のカルボキシ基当量(56100/酸価(mgKOH/g))は、例えば、561以上、好ましくは、801以上、より好ましくは、1122以上であり、例えば、56100以下、好ましくは、11220以下、より好ましくは、5610以下である。
カルボキシ含有成分は、上記のカルボキシ基を有する化合物を単独で含有していてもよく、また、2種類以上含有していてもよい。また、後述する添加剤を含有することもできる。
カルボキシ含有成分の総量に対して、カルボキシ基を有する化合物の含有割合は、例えば、50質量%以上、好ましくは、80質量%以上であり、例えば、100質量%以下、好ましくは、99質量%以下である。
カルボジイミド含有成分に含有されるカルボジイミド化合物は、例えば、ポリイソシアネートのカルボジイミド変性体として得ることができる。
ポリイソシアネートのカルボジイミド変性体は、1分子中に少なくとも1つのカルボジイミド基を有するポリイソシアネートの変性体(誘導体)である。
ポリイソシアネートのカルボジイミド変性体は、例えば、ポリイソシアネートをカルボジイミド化触媒の存在下において加熱し、カルボジイミド化反応させることにより、得ることができる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート単量体が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、鎖状(直鎖状または分岐鎖状:非環式)脂肪族ポリイソシアネートが挙げられ、具体的には、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエート、ドデカメチレンジイソシアネートなどの鎖状脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
また、脂肪族ポリイソシアネートとしては、脂環族ポリイソシアネートも挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(水添MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物(水添XDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)などの脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−またはp−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TDI)、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(XDI)、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼンなどの芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
これらポリイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリイソシアネートとして、好ましくは、鎖状脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられ、より好ましくは、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)が挙げられる。
カルボジイミド化触媒としては、特に制限されないが、例えば、トリアルキルリン酸エステル系化合物、フォスフォレンオキシド系化合物、フォスフォレンスルフィド系化合物、ホスフィンオキシド系化合物、ホスフィン系化合物などが挙げられる。
トリアルキルリン酸エステルとしては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリオクチルホスフェートなどの炭素数3〜24のトリアルキルリン酸エステル系化合物などが挙げられる。
フォスフォレンオキシド系化合物としては、例えば、3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド(MPPO)、1−エチル−3−メチル−2−フォスフォレン−1−オキシド(EMPO)、1,3−ジメチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−メチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−エチル−2−フォスフォレン−1−オキシドおよびこれらの二重結合異性体などの炭素数4〜18のフォスフォレンオキシド系化合物などが挙げられる。
フォスフォレンスルフィド系化合物としては、例えば、1−フェニル−2−フォスフォレン−1−スルフィドなどの炭素数4〜18のフォスフォレンスルフィド系化合物などが挙げられる。
ホスフィンオキシド系化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィンオキシド、トリトリルホスフィンオキシドなどの炭素数3〜21のホスフィンオキシド系化合物などが挙げられる。
ホスフィン系化合物としては、例えば、ビス(オキサジフェニルホスフィノ)エタンなどの炭素数3〜30のホスフィン系化合物などが挙げられる。
これらカルボジイミド化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
カルボジイミド化触媒の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
加熱条件としては、常圧および不活性ガス(窒素ガスなど)雰囲気下において、加熱温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、60℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下である。また、加熱時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、3時間以上であり、例えば、50時間以下、好ましくは、40時間以下である。
これにより、ポリイソシアネートが脱炭酸縮合し、カルボジイミド化合物(すなわち、ポリイソシアネートのカルボジイミド変性体)が得られる。
また、カルボジイミド化反応では、必要により、上記した有機溶剤を配合することができ、また、反応終了後、必要に応じて、蒸留法、抽出法などの公知の方法により、未反応のポリイソシアネートや、有機溶剤の全部または一部を除去することができる。また、反応終了後に、上記の有機溶剤を添加し、カルボジイミド化合物の溶液の濃度を調整することもできる。
また、カルボジイミド化反応の前に、ポリイソシアネートを、公知のアルコール(ポリオキシエチレンモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノールなど)によりアルコール変性することができる。アルコール変性では、例えば、ポリイソシアネートのイソシアネート基に対するアルコールの水酸基の当量比(OH/NCO)が1未満の割合でウレタン化反応させる。また、必要により、上記した有機溶剤および公知のウレタン化触媒を配合することができ、また、反応終了後、必要に応じて、蒸留法、抽出法などの公知の方法により、未反応のポリイソシアネートや、有機溶剤の全部または一部を除去することができる。
カルボジイミド化合物の溶液において、その固形分濃度は、例えば、50質量%以上、好ましくは、60質量%以上であり、例えば、100質量%以下、好ましくは、90質量%以下、より好ましくは、80質量%以下である。
また、カルボジイミド化合物(固形分)のカルボジイミド基当量は、例えば、150以上、好ましくは、200以上であり、例えば、500以下、好ましくは、400以下である。
なお、カルボジイミド基当量は、後述する実施例に準拠して、13C−NMRスペクトルから求めることができる。
また、カルボジイミド化合物の数平均分子量(GPC換算によるポリスチレン換算分子量)Mnは、得られる積層体の外観および接着性の観点から、例えば、1000以上、好ましくは、2000以上であり、また、ラミネート強度の観点から、例えば、5000以下、好ましくは、4000以下である。
また、カルボジイミド化合物の重量平均分子量(GPC換算によるポリスチレン換算分子量)Mwは、得られる積層体の外観の観点から、例えば、1500以上、好ましくは、2000以上であり、また、ラミネート強度の観点から、例えば、15000以下、好ましくは、10000以下である。
また、分子量分布(分散度)Mw/Mnは、得られる積層体の外観およびラミネート強度の両立を図る観点から、例えば、1以上、好ましくは、2以上であり、例えば、10以下、好ましくは、5以下である。
なお、上記のカルボジイミド化合物は、市販品として得ることもでき、例えば、カルボジライトV05S(固形分濃度90質量%、カルボジイミド基当量291(固形分当量262)、日清紡績株式会社製)、カルボジライトV07(固形分濃度50質量%、カルボジイミド基当量404(固形分当量202)、日清紡績株式会社製)、カルボジライトV09GB(固形分濃度70質量%、カルボジイミド基当量298(固形分当量209)、日清紡績株式会社製)などが挙げられる。
カルボジイミド含有成分は、上記のカルボジイミド化合物を単独で含有していてもよく、また、2種類以上含有していてもよい。また、後述する添加剤を含有することもできる。
カルボジイミド含有成分の総量に対して、カルボジイミド化合物の含有割合は、例えば、50質量%以上、好ましくは、80質量%以上であり、例えば、100質量%以下、好ましくは、99質量%以下である。
また、二液硬化型接着剤組成物は、必要に応じて、カルボキシ含有成分(主剤)およびカルボジイミド含有成分(硬化剤)のいずれか一方またはその両方に、必要に応じて、例えば、リン酸またはその誘導体、シランカップリング剤、さらには、エポキシ樹脂、触媒、塗工性改良剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、可塑剤、界面活性剤、顔料、充填剤、有機または無機微粒子、防黴剤などの添加剤を適宜配合することができる。添加剤の配合量は、その目的および用途により適宜決定される。
そして、このような二液硬化型接着剤組成物は、使用時に、カルボキシ含有成分を主剤とし、また、カルボジイミド含有成分を硬化剤として、それらを配合して混合液を調製し、必要により、混合液を有機溶剤で希釈し、基材(被着体)に塗布する。
カルボキシ含有成分およびカルボジイミド含有成分の配合割合は、例えば、カルボキシ含有成分中のカルボキシ基(カルボキシ含有成分に含まれカルボキシ基を有する化合物のカルボキシ基)1モルに対して、カルボジイミド含有成分中のカルボジイミド基(カルボジイミド含有成分に含まれるカルボジイミド化合物のカルボジイミド基)が、例えば、1モル以上、好ましくは、1.3モル以上、より好ましくは、1.5モル以上であり、例えば、5モル以下、好ましくは、4モル以下、より好ましくは、3モル以下である。
カルボキシ含有成分およびカルボジイミド含有成分の配合割合が上記範囲であれば、得られる積層体は、優れた外観と、優れた接着性とを兼ね備えることができる。
そして、このような二液硬化型接着剤組成物は、カルボキシ基を有するカルボキシ含有成分と、カルボジイミド化合物を含有するカルボジイミド含有成分とを含有する。このような二液硬化型接着剤組成物は、カルボキシ含有成分のカルボキシ基とカルボジイミド含有成分のカルボジイミド基とがアシルウレア化反応するので、硬化時に炭酸ガスを発生させず、また、その構造上、硬化(接着)後、時間が経過しても、大気中の水分などによる炭酸ガス発生の可能性が極めて低いため、ラミネートフィルムのフィルム間に気泡が発生することを抑制することができ、優れた外観を得ることができる。
とりわけ、基材となるフィルムがガスバリア性を有するラミネートフィルムでは、接着層にガスが発生すると、ガスの逃げ場が限定され、致命的な外観不良につながることがある。一方、本発明の二液硬化型接着剤組成物は、経時的なガス発生がほとんどないため、ガスバリアフィルムのラミネートに好適である。
また、この二液硬化型接着剤組成物は、ウレタン結合と同様に、強い水素結合能を示すアシルウレア基を含有するため、優れた接着性能を示す。
また、このような二液硬化型接着剤組成物では、ブロック剤を用いることなく、ガス発生を抑制することができる。このように、ブロック剤を用いることがなければ、硬化時にブロック剤が遊離することもないので、硬化物中に遊離のブロック剤が残存しない。そのため、真空断熱材に用いた場合に、真空度の低下を抑制することができる。
以下において、二液硬化型接着剤組成物を用いて得られるガスバリア性のラミネートフィルム(積層体)およびその製造方法について、詳述する。
図1において、ガスバリア性のラミネートフィルム1は、複数(2つ)のガスバリアフィルム2と、ガスバリアフィルム2の間に介在される接着層3とを備えている。
ガスバリアフィルム2とは、ガスバリア性を有するフィルムであって、酸素透過度(25℃、80%RH(JIS K 7126−2(2006年))が、100mL/m2・24hr・MPa以下、好ましくは、50mL/m2・24hr・MPa以下のフィルムとして定義される。
なお、酸素透過度は、モダンコントロール社製 酸素透過度測定装置にて測定することもできる。
ガスバリアフィルム2として、具体的には、例えば、金属箔(例えば、アルミニウム箔など)などが挙げられる。また、例えば、金属膜(例えば、アルミニウム膜など)を備えるプラスチックフィルム、金属蒸着膜(アルミ蒸着膜、シリカ蒸着膜、アルミナ蒸着膜、シリカ・アルミナ二元蒸着膜など)を備えるプラスチックフィルムなども挙げられる。また、プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ナイロン(NY)フィルム、酢酸セルロース(TAC)フィルムなどが挙げられ、好ましくは、PETフィルム、酢酸セルロース(TAC)フィルムが挙げられる。なお、金属膜の厚み、金属蒸着膜の厚み、および、プラスチックフィルムの厚みは、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
これらガスバリアフィルム2は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ガスバリアフィルム2として、好ましくは、金属蒸着膜を備えるプラスチックフィルムが挙げられる。より好ましくは、シリカ蒸着膜を備えるプラスチックフィルム、アルミナ蒸着膜を備えるプラスチックフィルム、シリカ・アルミナ二元蒸着膜を備えるプラスチックフィルムが挙げられる。また、そのような金属蒸着膜を備えるプラスチックフィルムとして、好ましくは、PETフィルム、酢酸セルロース(TAC)フィルムが挙げられる。
ガスバリアフィルム2として、さらに好ましくは、シリカ蒸着膜を備えるPETフィルム、アルミナ蒸着膜を備えるPETフィルム、シリカ・アルミナ二元蒸着膜を備えるPETフィルムが挙げられる。
図1には、ガスバリアフィルム2として、金属蒸着膜4を備えるプラスチックフィルム5を示している。
また、図1において図示しないが、ガスバリアフィルム2は、例えば、金属蒸着膜4とプラスチックフィルム5との間に、アンカーコート層を備えていてもよく、また、金属蒸着膜3の表面(プラスチックフィルム4が形成される一方面に対する他方面)に、オーバーコート層を備えていてもよい。
ガスバリアフィルム2の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10以上であり、例えば、30μm以下、好ましくは、20μm以下である。
接着層3は、上記した二液硬化型接着剤組成物の硬化物であって、複数(2つ)のガスバリアフィルム2間に積層されている。換言すれば、接着層3は、複数(2つ)のガスバリアフィルム2を二液硬化型接着剤組成物で貼り合わせたときに、ガスバリアフィルム2の間に形成される。
ラミネートフィルム1の製造では、例えば、接着層3を介して、各金属蒸着膜4が互いに対向するように、複数(2つ)のガスバリアフィルム2を貼り合わせることができる。
また、例えば、接着層3を介して各プラスチックフィルム5が互いに対向するように、複数(2つ)のガスバリアフィルム2を貼り合わせることもできる。
また、例えば、接着層3を介して、一方のガスバリアフィルム2の金属蒸着層4と、他方のガスバリアフィルム2のプラスチックフィルム5とが互いに対向するように、複数(2つ)のガスバリアフィルム2を貼り合わせることもできる。
好ましくは、図1に示すように、接着層3を介して、各金属蒸着膜4が互いに対向するように、複数(2つ)のガスバリアフィルム2を貼り合わせる。
接着層3の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、2以上であり、例えば、10μm以下、好ましくは、5μm以下である。
なお、図1には、2つのガスバリアフィルム2を貼り合わせたラミネートフィルム1を示しているが、ガスバリアフィルム2の数は、上記に限定されず、3つ以上のガスバリアフィルム2を、上記の方法で貼り合わせることもできる。
また、ラミネートフィルム1は、図1において破線で示されるように、その一方面または両面に、ヒートシール層6を備えることができる。
ヒートシール層6は、ラミネートフィルム1にヒートシール性を付与する層であって、例えば、ポリエチレンフィルム、未延伸ポリプロピレンフィルムなどの熱可塑性のポリオレフィンフィルムなどが挙げられる。
ヒートシール層6の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下である。
ヒートシール層6は、具体的には、ヒートシール接着層7を介して、ガスバリアフィルム2の表面(接着層3が形成される一方面に対する他方面)に積層される。
なお、ヒートシール接着層7は、例えば、上記の二液硬化型接着剤組成物の硬化物であってもよく、また、その他の公知の接着剤(ポリウレタン接着剤など)の硬化物であってもよい。
ヒートシール接着層7の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、2以上であり、例えば、10μm以下、好ましくは、5μm以下である。
また、必要に応じて、ガスバリアフィルム2の表面にアンカー剤を塗工した後、ポリエチレンなどの樹脂を押し出して、ヒートシール層6を積層することもできる。このような場合、アンカー剤の塗工層の塗布量は、例えば、0.1g/m2以上、好ましくは0.2g/m2以上であり、例えば、2.0g/m2以下、好ましくは1.0g/m2以下である。
そして、このようなラミネートフィルム1を製造するには、例えば、まず、複数(例えば、2つ)のガスバリアフィルム2を用意する(準備工程)。
次いで、この方法では、上記の二液硬化型接着剤組成物を介して、複数のガスバリアフィルム2を貼り合わせ、積層体を得る(ラミネート工程)。
具体的には、ラミネート工程では、例えば、カルボキシ含有成分およびカルボジイミド含有成分を上記の有機溶剤で希釈して配合した後、得られた混合物を、溶剤型ラミネータによって各ガスバリアフィルム表面に塗布し、溶剤を揮散させた後、塗布面を貼り合わせ、その後、常温または加温下において養生して硬化させる方法や、あるいは、カルボキシ含有成分およびカルボジイミド含有成分の配合粘度が、常温〜100℃で、例えば、約100〜10000mPa・s、好ましくは、約100〜5000mPa・sの場合には、例えば、カルボキシ含有成分およびカルボジイミド含有成分をそのまま配合した後、得られた混合物を、無溶剤型ラミネータによって各ガスバリアフィルム表面に塗布し、塗布面を貼り合わせる方法などが採用される。
なお、二液硬化型接着剤組成物の塗布量は、例えば、溶剤型の場合、溶剤揮散後の坪量(固形分)で、2.0〜8.0g/m2、無溶剤型の揚合、1.0〜4.0g/m2である。
これにより、カルボキシ含有成分中のカルボキシ基と、カルボジイミド含有成分中のカルボジイミド基とがアシルウレア化反応し、二液硬化型接着剤組成物が硬化する。その結果、ガスバリアフィルム2の積層体として、ラミネートフィルム1が得られる。
また、この方法では、必要に応じて、得られた積層体を加熱養生させる(養生工程)。
養生工程における養生温度は、例えば、20℃以上、好ましくは、40℃以上であり、例えば、80℃以下、好ましくは、70℃以下である。
また、養生時間は、例えば、24時間以上、好ましくは、48時間以上であり、例えば、240時間以下、好ましくは、120時間以下である。
これにより、ガスバリアフィルム2間の接着性の向上を図ることができる。
さらに、必要により、上記のラミネート工程と同様にして、ガスバリアフィルム2の表面に、ヒートシール接着層7を介して、ヒートシール層6を接着することもできる(図1破線参照)。これにより、ラミネートフィルム1にヒートシール性を付与することができる。
そして、得られたラミネートフィルム1は、酸素および水蒸気などに対するガスバリア性に優れ、ガスバリア性フィルムの分野、具体的には、真空断熱材などの断熱分野、さらには、食品・医薬品などの包装フィルム、食品包装容器(ボトルを含む。)、光学フィルム、工業用フィルムなどにおいて好適に使用され、とりわけ、真空断熱材などの断熱分野において、好適に使用される。
なお、本発明において、その目的・効果を阻害しない範囲内で、上記した主剤および硬化剤以外の成分(他成分ということがある。)が含まれていても良い。この他成分の含有率は、接着剤組成物総量に対して、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、20質量%以下、さらに好ましくは、10質量%以下である。
次に、本発明を、製造例、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
また、各種測定方法を、以下に示す。
<酸価>
試料を適量秤量して、トルエン/メタノール=7/3(重量比)の混合溶剤に溶解させ、フェノールフタレイン指示薬を数滴加えて、0.1mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液にて滴定して求めた。
<カルボキシ基当量(固形分)>
上記で求めた酸価を用いて、下記式により求めた。
カルボキシ基当量 = 56100/酸価
<カルボジイミド基当量(固形分)>
後述するポリカルボジイミド組成物を用い、下記の装置および条件にて13C−NMRを測定し、カルボジイミド基当量(固形分)を、後述する官能基の積分値および仕込み量から算出した。なお、化学シフトppmの基準として、CDCL3溶媒中のテトラメチルシラン(0ppm)を用いた。
装置; ECA−500型(日本電子製)
条件; 測定周波数:125MHz、溶媒:CDCL3、溶質濃度:50質量%
測定温度:室温、スキャン回数8500回
繰返し時間:3.0秒、パルス幅:30°(3.70μ秒)
カルボジイミド基(カルボジイミド基内のN=C=N基)の炭素の帰属ピーク:139ppm
ウレタン基(ウレタン基内のC=O基)の炭素の帰属ピーク:156ppm
なお、カルボジイミド当量は、上記のNMR測定結果に基づき、常法により算出される。
<末端水酸基量>
試料を適量秤量し、無水酢酸/ピリジン(30mL/400mL)混合溶液20mLと、4−ジメチルアミノピリジンのピリジン溶液(濃度1g/100mL)2mLとを加え、室温で30分間撹拌溶解して、水酸基末端に無水酢酸を付加させた。次いで、ピリジン50mLで希釈した後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液にて、余剰の酸を逆滴定し、アセチル価(mgKOH/g)を求めた。この結果(値)と別途測定した酸価とから、下記式により、末端水酸基量(水酸基価)を求めた。
水酸基価=アセチル価+酸価
<主剤(カルボキシ含有成分)>
製造例1(主剤Aの調製)
テレフタル酸184.8g、イソフタル酸246.4g、アジピン酸216.6g、エチレングリコール131.2g、ジエチレングリコール168.2g、および、ネオペンチルグリコール165.1gをそれぞれ反応容器に仕込み、180〜220℃でエステル化反応させた。酸価が8mgKOH/g以下となった時点で、チタンテトラブトキシド(TTB)を0.07g加え、さらにエステル化反応を継続した。
その後、150℃での粘度が1930mPa・s(コーンプレート粘度計により測定;JIS K 5600−2−3(2014年)準拠(以下同様))となった時点で、末端水酸基量を滴定により求め、その等倍当量(無水酸基1モル:水酸基1モル)となるように無水マレイン酸を加えて150℃で90分間撹拌し、水酸基に付加させた。これにより、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を得た。
その後、酢酸エチル374.1gを加えて、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を溶解させた。さらに、KBM403(信越シリコーン製、シランカップリング剤(以下同様)) 1.75g、KBM603(信越シリコーン製、シランカップリング剤(以下同様)) 0.87g、リン酸0.44gを加え、固形分73.2%の主剤Aを得た。酸価は25.2mgKOH/gであり、カルボキシ基当量(固形分)は1629であった。
製造例2(主剤Bの調製)
テレフタル酸310.5g、イソフタル酸414g、アジピン酸363.9g、エチレングリコール220.4g、ジエチレングリコール282.6g、および、ネオペンチルグリコール277.3gをそれぞれ反応容器に仕込み、180〜220℃でエステル化反応させた。酸価が8mgKOH/g以下となった時点で、チタンテトラブトキシド(TTB)を0.15g加え、さらにエステル化反応を継続した。
その後、150℃での粘度が5040mPa・s(コーンプレート粘度計により測定;JIS K 準拠)となった時点で、末端水酸基量を滴定により求め、その等倍当量(無水酸基1モル:水酸基1モル)となるように無水マレイン酸を加えて150℃で90分間撹拌し、水酸基に付加させた。これにより、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を得た。
その後、酢酸エチル628.5gを加えて、分子末端にカルボキシ基を有する化合物をを溶解させた。さらに、KBM403 2.93g、KBM603 1.47g、リン酸0.73gを加えて固形分72.0%の主剤Bを得た。酸価は16.3mgKOH/gであり、カルボキシ基当量(固形分)は2478であった。
製造例3(主剤Cの調製)
テレフタル酸310.5g、イソフタル酸414g、アジピン酸363.9g、エチレングリコール220.4g、ジエチレングリコール282.6g、および、ネオペンチルグリコール277.3gをそれぞれ反応容器に仕込み、180〜220℃にてエステル化反応させた。酸価が8mgKOH/g以下となった時点で、チタンテトラブトキシド(TTB)を0.15g加え、さらにエステル化反応を継続した。
その後、150℃での粘度が9640mPa・s(コーンプレート粘度計により測定;JIS K 5600−2−3(2014年)準拠)となった時点で、末端水酸基量を滴定により求め、その等倍当量(無水酸基1モル:水酸基1モル)となるように無水マレイン酸を加えて150℃で90分間撹拌し、水酸基に付加させた。これにより、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を得た。
その後、酢酸エチル1100gを加えて、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を溶解させた。さらに、KBM403 2.93g、KBM603 1.47g、リン酸0.73gを加えて固形分60.6%の主剤Cを得た。酸価は11.3mgKOH/gであり、カルボキシ基当量(固形分)は2994であった。
製造例4(主剤Dの調製)
テレフタル酸310.5g、イソフタル酸414g、アジピン酸363.9g、エチレングリコール220.4g、ジエチレングリコール282.6g、および、ネオペンチルグリコール277.3gをそれぞれ反応容器に仕込み、180〜220℃にてエステル化反応させた。酸価が8mgKOH/g以下となった時点で、チタンテトラブトキシド(TTB)を0.15g加え、さらにエステル化反応を継続した。
その後、150℃での粘度が9230mPa・s(コーンプレート粘度計により測定;JIS K 5600−2−3(2014年)準拠)となった時点で、末端水酸基量を滴定により求め、その2倍当量(無水酸基2モル:水酸基1モル)となるように無水マレイン酸を加えて150℃で120分間撹拌し、水酸基に付加させた。これにより、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を得た。
その後、酢酸エチル1146gを加えて、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を溶解させた。さらに、KBM403 2.93g、KBM603 1.47g、リン酸0.73gを加えて固形分57.1%の主剤Dを得た。酸価は23.4mgKOH/gであり、カルボキシ基当量(固形分)は1369であった。
製造例5(主剤Eの調製)
テレフタル酸310.5g、イソフタル酸414g、アジピン酸363.9g、エチレングリコール220.4g、ジエチレングリコール282.6g、および、ネオペンチルグリコール277.3gをそれぞれ反応容器に仕込み、180〜220℃にてエステル化反応させた。酸価が8mgKOH/g以下となった時点で、チタンテトラブトキシド(TTB)を0.15g加え、さらにエステル化反応を継続した。
その後、150℃での粘度が9360mPa・s(コーンプレート粘度計により測定;JIS K 5600−2−3(2014年)準拠)となった時点で、末端水酸基量を滴定により求め、その0.5倍当量(無水酸基0.5モル:水酸基1モル)となるように無水マレイン酸を加えて150℃で120分間撹拌し、水酸基に付加させた。これにより、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を得た。
その後、酢酸エチル1100gを加えて、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を溶解させた。さらに、KBM403 2.93g、KBM603 1.47g、リン酸0.73gを加えて固形分60.5%の主剤Eを得た。酸価は5.95mgKOH/gであり、カルボキシ基当量(固形分)は5705であった。
製造例6(主剤Fの調製)
テレフタル酸310.5g、イソフタル酸414g、アジピン酸363.9g、エチレングリコール220.4g、ジエチレングリコール282.6g、および、ネオペンチルグリコール277.3gをそれぞれ反応容器に仕込み、180〜220℃にてエステル化反応させた。酸価が8mgKOH/g以下となった時点で、チタンテトラブトキシド(TTB)を0.15g加え、さらにエステル化反応を継続した。
その後、150℃での粘度が9100mPa・s(コーンプレート粘度計により測定;JIS K 5600−2−3(2014年)準拠)となった時点で、末端水酸基量を滴定により求め、その等倍当量(無水酸基1モル:水酸基1モル)となるように無水トリメリット酸を加えて150℃で120分間撹拌し、水酸基に付加させた。これにより、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を得た。
その後、酢酸エチル1100gを加えて、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を溶解させた。さらに、KBM403 2.93g、KBM603 1.47g、リン酸0.73gを加えて固形分60.5%の主剤Fを得た。酸価は23.8mgKOH/gであり、カルボキシ基当量(固形分)は1428であった。
製造例7(主剤Gの調製)
テレフタル酸310.5g、イソフタル酸414g、アジピン酸363.9g、エチレングリコール220.4g、ジエチレングリコール282.6g、および、ネオペンチルグリコール277.3gをそれぞれ反応容器に仕込み、180〜220℃にてエステル化反応させた。酸価が8mgKOH/g以下となった時点で、チタンテトラブトキシド(TTB)を0.15g加え、さらにエステル化反応を継続した。
その後、150℃での粘度が7400mPa・s(コーンプレート粘度計により測定;JIS K 5600−2−3(2014年)準拠)となった時点で、末端水酸基量を滴定により求め、その等倍当量(無水酸基1モル:水酸基1モル)となるように無水フタル酸を加えて150℃で120分間撹拌し、水酸基に付加させた。これにより、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を得た。
その後、酢酸エチル1100gを加えて、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を溶解させた。さらに、KBM403 2.93g、KBM603 1.47g、リン酸0.73gを加えて固形分64.9%の主剤Gを得た。酸価は17.0mgKOH/gあり、カルボキシ基当量(固形分)は2142であった。
製造例8(主剤Hの調製)
テレフタル酸274.3g、イソフタル酸240g、エチレングリコール117g、ネオペンチルグリコール163.4g、1,6−ヘキサンジオール216.3g、酢酸亜鉛0.14gをそれぞれ反応容器に仕込み、180〜220℃にてエステル化反応させた。酸価が20以下となった時点で、アジピン酸150.8gを加え、さらにエステル化反応を継続した。
その後、150℃での粘度が5160mPa・s(コーンプレート粘度計により測定;JIS K 5600−2−3(2014年)準拠)となった時点で、末端水酸基量を滴定により求め、その等倍当量(無水酸基1モル:水酸基1モル)となるように無水マレイン酸を加えて150℃で120分間撹拌し、水酸基に付加させた。これにより、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を得た。
その後、酢酸エチル667gを加えて、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を溶解させた。さらに、KBM403 1.65g、KBM603 0.82g、リン酸0.41gを加えて固形分64.7%の主剤Hを得た。酸価は30.7mgKOH/gであり、カルボキシ基当量(固形分)は1184あった。
製造例9(主剤I)
タケラックA−620(ポリエステルポリオール 三井化学社製)を、主剤Iとして用いた。
製造例10(主剤Jの調製)
テレフタル酸310.5g、イソフタル酸414g、アジピン酸363.9g、エチレングリコール220.4g、ジエチレングリコール282.6g、および、ネオペンチルグリコール277.3gをそれぞれ反応容器に仕込み、180〜220℃にてエステル化反応させた。酸価が8mgKOH/g以下となった時点で、チタンテトラブトキシド(TTB)を0.15g加え、さらにエステル化反応を継続した。
その後、150℃での粘度が9820mPa・s(コーンプレート粘度計により測定;JIS K 5600−2−3(2014年)準拠)となった時点で、末端水酸基量を滴定により求め、その等倍当量(無水酸基1モル:水酸基1モル)となるように無水マレイン酸を加えて150℃で90分間撹拌し、水酸基に付加させた。これにより、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を得た。
その後、酢酸エチル1100gを加えて、分子末端にカルボキシ基を有する化合物を溶解させ、固形分59.3%の主剤Cを得た。酸価は10.4mgKOH/gであり、カルボキシ基当量(固形分)は3199であった。
<硬化剤(カルボジイミド含有成分)>
硬化剤A〜Cおよび硬化剤Eとして、以下の製品を使用した。
また、硬化剤D、FおよびGを、以下の方法で製造した。
硬化剤A : 日清紡社製 カルボジライトV05S、固形分濃度90質量%、カルボジイミド基当量291(固形分当量262)
硬化剤B : 日清紡社製 カルボジライトV07、固形分濃度50質量%、カルボジイミド基当量404(固形分当量202)
硬化剤C : 日清紡社製 カルボジライトV09GB、固形分濃度70質量%、カルボジイミド基当量298(固形分当量209)
硬化剤E : タケネートA−50(末端イソシアネート基含有ウレタン樹脂、三井化学社製)
硬化剤D:硬化剤Dは、以下の方法で製造した。
撹拌器、温度計、還流管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに、室温下で、ペンタメチレンジイソシアネートを100.0質量部、ユニオックスM400(ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(日油製)を44.2質量部、1−メトキシ−2−プロパノールを13.4質量部装入した。窒素を導入しながら、常圧下で80℃に加温し、6時間撹拌し、ウレタン化反応させた。
続けて、有機溶剤としてのキシレンを330.5質量部、カルボジイミド化触媒としての3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド(MPPO)を2.0質量部装入し、還流下(141℃)で8時間撹拌して、反応を終了させた。
反応終了後、80℃まで冷却し、キシレンを減圧下で留去させ、ポリカルボジイミド組成物として硬化剤Dを得た。固形分濃度は98.8%、カルボジイミド基当量(固形分)は299であった。
硬化剤F:硬化剤Fは以下の方法で製造した。
撹拌器、温度計、還流管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに、室温下で、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを100.0質量部、イソブタノールを9.54質量部装入した。窒素を導入しながら、常圧下で80℃に加温し、6時間撹拌し、ウレタン化反応させた。
続けて、有機溶剤としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)を231.0質量部、カルボジイミド化触媒としての3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド(MPPO)を2.0質量部装入し、還流下(150℃)で8時間撹拌して、反応を終了させた。
反応終了後、80℃まで冷却し、PMAを減圧下で一部留去させ、ポリカルボジイミド組成物として硬化剤Fを得た。固形分濃度は88.4%、カルボジイミド基当量(固形分)は265であった。
硬化剤G:硬化剤Gは以下の方法で製造した。
撹拌器、温度計、還流管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに、室温下で、イソホロンジイソシアネートを100.0質量部、イソブタノールを8.34質量部装入した。窒素を導入しながら、常圧下で80℃に加温し、6時間撹拌し、ウレタン化反応させた。
続けて、有機溶剤としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)を228.5質量部、カルボジイミド化触媒としての3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド(MPPO)を2.0質量部装入し、還流下(150℃)で8時間撹拌して、反応を終了させた。
反応終了後、80℃まで冷却し、PMAを減圧下で一部留去させ、ポリカルボジイミド組成物として硬化剤Gを得た。固形分濃度は74.5%、カルボジイミド基当量(固形分)は310であった。
実施例1〜25および比較例1
表1〜5に記載の配合比R(カルボジイミド基/カルボキシ基(モル比))で主剤(カルボキシ含有成分)と硬化剤(カルボジイミド含有成分)とを混合し、さらに、溶剤(酢酸エチル)で希釈して得られた混合液を、ガスバリアフィルムとしてのテックバリアTX(三菱樹脂社製、シリカ蒸着膜を備えるPETフィルム、12μm、5.0mL/m2・24hr・MPa)に塗布量3.3g/m2(乾燥膜厚)となるように塗布し、ガスバリアフィルムのシリカ蒸着層同士を貼り合わせた。その後、得られた積層体を、60℃で3日間養生させた。
<評価>
(ラミネート品の外観観察)
60℃3日間養生後のラミネート品の外観を以下の基準で評価した
○ : 発泡無し
△ : 若干発泡
× : 発泡
(ラミネートフィルムの剥離強度)
JIS K 6854−3(1999年)に準拠して、24℃下、15mm幅、引張速度300mm/minにて測定した。
(ラミネートフィルムの熱間剥離強度)
JIS K 6854−3(1999年)に準拠して、120℃下、15mm幅、引張速度300mm/minにて測定した。
(ラミネートフィルムの耐熱クリープ)
試験片幅15mmの短冊状に切り取り、剥離して、片側のフィルムに100gの重りを付け、120℃下、3分間のずれ幅を測定、1分間当たりのずれ幅に換算した値とした。
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記特許請求の範囲に含まれる。