JP5253053B2 - 二液硬化型無溶剤系接着剤 - Google Patents

二液硬化型無溶剤系接着剤 Download PDF

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Description

本発明は、二液硬化型無溶剤系接着剤に関し、詳しくは、ラミネート用接着剤として好適な二液硬化型無溶剤系接着剤に関する。
各種フィルムをラミネート用接着剤で貼着した複合フィルムは、包装材料の分野において、広く普及している。とりわけ、プラスチックフィルムと金属箔とをラミネート用接着剤で貼着した複合フィルムは、遮光性、気体および液体のバリア性に優れており、高温殺菌処理がなされる食品包装材料として、広く普及している。
複合フィルムの接着に用いられるラミネート用接着剤は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とからなる二液硬化型接着剤が、広く知られている。
近年、環境負荷の低減および作業環境の改善の観点から、有機溶剤を含有しない二液硬化型無溶剤系接着剤の開発が検討されている。
例えば、主剤(ポリオール成分)には、全末端水酸基の30%以上が2級または3級の末端水酸基であり、酸基を含むポリオールを含有させ、硬化剤(ポリイソシアネート成分)には、芳香脂肪族ポリイソシアネートとポリオールとの反応により得られ、平均官能基数が1.5〜2.5であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、脂肪族ポリイソシアネートおよび/またはその変性体とを含有させて、これらポリオール成分とポリイソシアネート成分とから、2液硬化型無溶剤系接着剤を調製することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
具体的には、その実施例において、ポリオール成分として、分子末端が無水トリメリット酸により酸変性されたポリエステルジオールが用いられ、ポリイソシアネート成分として、ポリエステルジオールとキシリレンジイソシアネートとの反応により得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリマーとの混合物が用いられている。
特開2006−213801号公報
しかるに、引用文献1の二液硬化型無溶剤系接着剤により貼着される複合フィルムは、耐酸性に優れるため、食品の包装用として有用である一方、耐アルカリ性が十分でなく、洗剤などのアルカリ性の内容物の包装用としては不向きである。
そのため、耐アルカリ性に優れる二液硬化型無溶剤系接着剤が切望されている。
本発明の目的は、複合フィルムにおいて、厳しい保存条件であっても、外観および接着強度を保持することができ、耐アルカリ性に優れる、二液硬化型無溶剤系接着剤を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤は、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を含み、ポリイソシアネート成分は、芳香脂肪族ジイソシアネートを含むジイソシアネートと、マクロジオール含むジオールとを反応させて得られるジイソシアネート末端プレポリマーを含有し、ポリオール成分は、マクロジオールを含むジオールと、3つ以上の水酸基を有する架橋性ポリオールと、ジイソシアネートとの反応により得られるポリウレタンポリオールを含有することを特徴としている。
また、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤では、ポリイソシアネート成分の平均官能基数が2を超過しており、ポリオール成分の平均官能基数が2を超過していることが好適である。
また、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤では、ポリイソシアネート成分に対して、ジイソシアネート末端プレポリマーが20重量%以上含有されていることが好適である。
また、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤では、芳香脂肪族ジイソシアネートが、キシリレンジイソシアネートであることが好適である。
また、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤では、ポリイソシアネート成分は、さらに、脂肪族ジイソシアネートおよび/またはその誘導体を含有していることが好適である。
また、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤では、脂肪族ジイソシアネートおよび/またはその誘導体が、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性体および/または三量体であることが好適である。
また、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤では、ポリイソシアネート成分および/またはポリオール成分のマクロジオールが、ポリエステルジオールであることが好適である。
また、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤では、ポリオール成分に対して、架橋性ポリオールが6重量%以上含有されていることが好適である。
また、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤では、架橋性ポリオールの数平均分子量が、100〜1000であることが好適である。
また、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤では、架橋性ポリオールの水酸基が、すべて1級水酸基であることが好適である。
本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤により貼着される複合フィルムは、厳しい保存条件であっても、外観および接着強度を保持することができ、耐アルカリ性に優れる。
本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤は、有機溶剤を含有せず、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とをそれぞれ調製して、それらを使用時に配合する、二液硬化型無溶剤系接着剤として用意される。
ポリイソシアネート成分としては、例えば、ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体、ポリイソシアネート末端プレポリマーなどが挙げられる。
ポリイソシアネート単量体としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−またはp−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TDI)、4,4′−、2,4′−または2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(MDI)、4,4′−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族ジイソシアネート、例えば、トリフェニルメタン−4,4′,4′′−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエンなどの芳香族トリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(XDI)、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TMXDI)、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼンなどの芳香脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼンなどの芳香脂肪族トリイソシアネートなどが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート:IPDI)、4,4′−、2,4′−または2,2′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(水添MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物(水添XDI)などの脂環族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,6−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタンなどの脂環族トリイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−、2,3−または1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、例えば、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、2,5,7−トリメチルー1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタンなどの脂肪族トリイソシアネートなどが挙げられる。
ポリイソシアネート誘導体としては、例えば、ポリイソシアネート単量体の多量体(例えば、二量体、三量体、五量体、七量体など)、アロファネート変性体(例えば、ポリイソシアネート単量体と、アルコール類との反応より生成するアロファネート変性体など)、ビウレット変性体(例えば、ポリイソシアネート単量体と、水やアミン類との反応により生成するビウレット変性体など)、ウレア変性体(例えば、ポリイソシアネート単量体とジアミンとの反応により生成するウレア変性体など)、オキサジアジントリオン(例えば、ポリイソシアネート単量体と炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド変性体(ポリイソシアネート単量体の脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体など)などが挙げられる。
ポリイソシアネート末端プレポリマーは、2つ以上のイソシアネート基を分子末端に有するウレタンプレポリマーであって、ポリイソシアネート(ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体およびポリイソシアネート末端プレポリマーから選択されるポリイソシアネート、好ましくは、ポリイソシアネート単量体およびポリイソシアネート誘導体から選択されるポリイソシアネート)と、ポリオール成分(後述)とを、ポリオール成分(後述)の水酸基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が、1より大きくなる割合、好ましくは、2〜100の割合でウレタン化反応させることにより、得ることができる。
ウレタン化反応は、公知の方法に準拠でき、好ましくは、未反応のポリイソシアネート単量体を、薄膜蒸留法など公知の除去方法によって除去する。
ポリイソシアネート末端プレポリマーのイソシアネート基当量は、例えば、200〜2000、好ましくは、300〜1000である。また、未反応のポリイソシアネート単量体の含有量は、例えば、15重量%以下、好ましくは、5重量%以下、さらに好ましくは、1重量%以下である。
なお、イソシアネート基当量は、アミン当量と同義であり、JIS K 1603−1のA法またはB法により、求めることができる。未反応のポリイソシアネート単量体の含有量は、例えば、HPLC測定により求めることができる。
ポリイソシアネート成分は、ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体およびポリイソシアネート末端プレポリマーから、1種または2種以上が選択されるが、ポリイソシアネート成分には、必須成分として、ジイソシアネート末端プレポリマー、具体的には、芳香脂肪族ジイソシアネートを含むジイソシアネートと、マクロジオール(後述)含むジオール(後述)とを反応させて得られるジイソシアネート末端プレポリマーが含有される。
このようなジイソシアネート末端プレポリマーを含有させることにより、二液硬化型無溶剤系接着剤の粘度上昇を抑制して、複合フィルムの製造時に塗工温度の上昇を抑制することができる。その結果、急激な粘度上昇による作業性不良を防止することができる。
必須成分として含有されるジイソシアネート末端プレポリマーにおいて、ジイソシアネートには、必須の原料成分として、芳香脂肪族ジイソシアネートが含有される。好ましくは、XDIが含有される。また、ジオール(後述)には、必須の原料成分として、マクロジオール(後述)が含有される。好ましくは、ポリエステルジオール(後述)が含有され、さらに好ましくは、ポリオール成分に含有されるマクロジオール(ポリエステルジオール)と同一組成のマクロジオール(ポリエステルジオール)が含有される。
必須成分として含有されるジイソシアネート末端プレポリマーにおいて、芳香脂肪族ジイソシアネートおよびマクロジオールを必須の原料成分として含有していれば、その他のジイソシアネートやジオール(後述)を任意の原料成分として含有することもできる。
例えば、ジイソシアネートとして、芳香脂肪族ジイソシアネートとともに、他のジイソシアネート単量体やジイソシアネート誘導体を併用することができる。また、ジオール(後述)として、マクロジオール(後述)とともに低分子量ジオール(後述)を併用することができる。
また、必須成分として含有されるジイソシアネート末端プレポリマーは、ポリイソシアネート成分に対して、例えば、20重量%以上、好ましくは、25重量%以上、さらに好ましくは、30重量%以上、通常、90重量%以下で含有される。
さらに、ポリイソシアネート成分には、任意成分として、脂肪族ジイソシアネートおよび/またはその誘導体、好ましくは、HDIの誘導体、さらに好ましくは、HDIのアロファネート変性体および/または三量体を含有させることができる。脂肪族ジイソシアネートおよび/またはその誘導体は、ポリイソシアネート成分に対して、例えば、10重量%以上、好ましくは、20重量%以上、さらに好ましくは、30重量%以上、通常、80重量%以下で含有される。また、脂肪族ジイソシアネートおよび/またはその誘導体は、ジイソシアネート末端プレポリマー100重量部に対して、例えば、10〜900重量部、好ましくは、30〜300重量部の割合で配合される。
そして、ポリイソシアネート成分は、必須成分として、芳香脂肪族ジイソシアネートを含むジイソシアネートと、マクロジオール(後述)含むジオール(後述)とを反応させて得られるジイソシアネート末端プレポリマーを配合し、また、任意成分として、脂肪族ジイソシアネートおよび/またはその誘導体を配合し、さらには、必要により、その他の、ポリイソシアネート(ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体およびポリイソシアネート末端プレポリマー)を配合することにより、調製することができる。具体的には、ポリイソシアネート成分は、上記した各成分を、例えば、不活性ガス雰囲気下、攪拌混合することにより、調製することができる。
ポリイソシアネート成分は、好ましくは、芳香脂肪族ジイソシアネートを含むジイソシアネートと、マクロジオール(後述)含むジオール(後述)とを反応させて得られるジイソシアネート末端プレポリマーと、脂肪族ジイソシアネートおよび/またはその誘導体とを配合する。そうすれば、耐内容物性の向上を図ることができる。また、ポリオール成分との反応性と相俟って、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との配合時における適度なポットライフを得ることができ、良好な作業性を確保することができる。
ポリイソシアネート成分では、好ましくは、ポリイソシアネート単量体の含有量を、例えば、15重量%以下、好ましくは、1重量%以下となるように調製する。ポリイソシアネート単量体の含有量を1重量%以下とするには、例えば、各成分の配合割合を調整するか、あるいは、ジイソシアネート単量体を、薄膜蒸留法など公知の除去方法によって除去する。
そして、このようにして調製されるポリイソシアネート成分のイソシアネート基当量は、例えば、150〜750、好ましくは、300〜600である。
なお、本発明において、ポリイソシアネート成分の平均官能基数は、例えば、2.00以上、好ましくは、2.10以上、より好ましくは、2.15以上、通常、2.90以下、好ましくは、2.80以下である。
ポリオール成分としては、特に制限されず、例えば、ジオール、架橋性ポリオール、ポリウレタンポリオールなどが挙げられる。
ジオールは、2つの水酸基を有するポリオールであって、例えば、低分子量ジオール、マクロジオールなどが挙げられる。
低分子量ジオールは、2つの水酸基を有し、数平均分子量、例えば、400未満、好ましくは、300未満、通常、60以上の2官能性のポリオールであり、例えば、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、芳香族ジオールなどが挙げられる。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール,2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,3′−ジメチロールヘプタン、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、12−ヒドロキシステアリルアルコールなどが挙げられる。
脂環族ジオールとしては、例えば、水添ビスフェノールA、水添キシリレンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ダイマージオールなどが挙げられる。
芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、1,3−または1,4−キシリレンジオールなどが挙げられる。
低分子量ジオールとして、好ましくは、脂肪族ジオールが挙げられる。また、低分子量ジオールは、ジオールに対して、例えば、20重量%以下、好ましくは、10重量%以下、さらに好ましくは、5重量%以下で含有される。
マクロジオールは、2つの水酸基を有し、数平均分子量、例えば、400以上、好ましくは、500以上、通常、2000以下の2官能性のポリオールであり、例えば、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオールなどが挙げられる。好ましくは、ポリエステルジオールが挙げられる。
ポリエステルジオールは、二塩基酸と上記した低分子量ジオール(二価アルコール)との縮合反応や、二塩基酸のアルキルエステルと上記した低分子量ジオール(二価アルコール)とのエステル交換反応により得ることができる。
二塩基酸としては、例えば、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸などの脂肪族二価カルボン酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸などの脂環族二価カルボン酸、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族二価カルボン酸などが挙げられる。
また、二塩基酸のアルキルエステルとしては、例えば、上記した二塩基酸のC1〜4アルキルエステルが挙げられる。
ポリエステルジオールにおいて、二塩基酸およびそのアルキルエステルとして、好ましくは、脂環族二価カルボン酸、芳香族二価カルボン酸およびそれらのアルキルエステルが挙げられ、さらに好ましくは、脂環族二価カルボン酸および芳香族二価カルボン酸の併用が挙げられる。また、低分子量ジオールとして、好ましくは、脂肪族ジオールが挙げられる。
縮合反応やエステル交換反応は、特に制限されず、公知の方法に準拠することができ、例えば、各成分を仕込んで、不活性ガス雰囲気下、150〜240℃で7〜50時間反応させる。また、この反応には、公知の触媒(例えば、チタン系触媒、亜鉛系触媒など)を添加することができる。
ポリエステルジオールの水酸基当量は、例えば、150〜1000、好ましくは、200〜750であり、数平均分子量は、例えば、300〜2000、好ましくは、400〜1500である。なお、水酸基当量は、JIS K 1557−1のA法またはB法に準拠するアセチル化法やフタル化法などから水酸基価を求めて、それから算出することができる。数平均分子量は、水酸基当量および官能基数から求めることができる。
ポリカプロラクトンジオールとしては、例えば、ε−カプロラクトンを開環重合することにより得られるポリカプロラクトンジオールなどが挙げられる。
ポリカーボネートジオールとしては、例えば、上記した低分子量ジオール(二価アルコール)と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどとの縮合反応により得られるポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
ポリエーテルジオールとしては、例えば、上記した低分子量ジオール(二価アルコール)を開始剤として、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加反応させることによって得られる、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよび/またはポリエチレンポリプロピレングリコール(ランダムまたはブロック共重合体)などのポリオキシC2−3アルキレン(エチレンおよび/またはプロピレン)グリコールが挙げられる。
また、ポリエーテルジオールとして、例えば、テトラヒドロフランの開環重合などによって得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール(ポリオキシブチレングリコール)が挙げられる。
ジオールは、低分子量ジオールおよびマクロジオールから、1種または2種以上が選択される。
架橋性ポリオールは、3つ以上の水酸基を有し、数平均分子量、例えば、100〜1000、好ましくは、110〜500の3官能性以上、好ましくは、3〜6官能性のポリオールである。
そのような架橋性ポリオールとして、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびその誘導体、ジグリセリンの誘導体、ソルビトールの誘導体などが挙げられる。
好ましくは、架橋性ポリオールが有する水酸基がすべて1級水酸基である架橋性ポリオールが挙げられ、具体的には、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびその誘導体、ジグリセリンの誘導体が挙げられる。
なお、上記誘導体としては、例えば、上記した架橋性ポリオールのアルキレンオキサイド付加体(アルキレンオキサイドの付加モル数1〜3)、好ましくは、上記した架橋性ポリオールのエチレンオキサイド付加体(エチレンオキサイドの付加モル数1〜3)が挙げられる。
ポリウレタンポリオールは、上記したジオールおよび上記した架橋性ポリオールを、上記したジイソシアネート(芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートおよび/またはそれらの誘導体)と、上記したジオールおよび上記した架橋性ポリオールの水酸基に対するジイソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が、1より小さくなる割合でウレタン化反応させることにより、得ることができる。
ポリウレタンポリオールにおいて、ジイソシアネートとして、好ましくは、芳香脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。また、ポリウレタンポリオールの水酸基当量は、例えば、150〜1000、好ましくは、200〜750であり、数平均分子量は、例えば、300〜2000、好ましくは、400〜1500である。
ポリオール成分は、上記したポリオール成分から、1種または2種以上が選択されるが、ポリオール成分には、必須成分として、マクロジオールを含むジオールと、3つ以上の水酸基を有する架橋性ポリオールと、ジイソシアネートとの反応により得られるポリウレタンポリオールが含有される。
必須成分として含有されるポリウレタンポリオールにおいて、ジオールには、必須の原料成分として、マクロジオールが含有される。好ましくは、ポリエステルジオールが含有され、さらに好ましくは、上記したジイソシアネート末端プレポリマーの原料成分として含有されるマクロジオール(ポリエステルジオール)と同一組成のマクロジオール(ポリエステルジオール)が含有される。
必須成分として含有されるポリウレタンポリオールにおいて、マクロジオールを必須の原料成分として含有していれば、その他のジオールを任意の原料成分として含有することもできる。
また、必須成分として含有されるポリウレタンポリオールは、ポリオール成分に対して、例えば、20重量%以上、好ましくは、30重量%以上、さらに好ましくは、40重量%以上の割合で含有される。
そして、ポリオール成分は、必須成分として、マクロジオールを含むジオールと、3つ以上の水酸基を有する架橋性ポリオールと、ジイソシアネートとの反応により得られるポリウレタンポリオールを配合し、また、任意成分として、ジオール、架橋性ポリオール、および、その他のポリウレタンポリオールを配合することにより、調製することができる。具体的には、ポリオール成分は、上記した各成分を、公知の方法によって攪拌混合することにより、調製することができる。
なお、ポリオール成分は、各成分を混合した後、それらの末端水酸基に、無水酸を反応させて、酸変性することが知られているが、本発明においては、ポリオール成分は、その末端水酸基を、酸変性せずに調製する。
従って、ポリオール成分の酸価(mgKOH/g)は、例えば、5.0以下、好ましくは、3.0以下である。なお、酸価(mgKOH/g)は、JIS K 1557−5に準拠して求めることができる。
また、ポリオール成分の水酸基価(mgKOH/g)は、例えば、150〜400、好ましくは、220〜350である。
なお、本発明において、ポリオール成分の平均官能基数は、好ましくは、2を超過し、より好ましくは、2.05以上、さらに好ましくは、2.10以上、通常、2.90以下、好ましくは、2.80以下である。
また、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤では、必要に応じて、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分のいずれか一方またはその両方に、例えば、リンの酸素酸またはその誘導体やシランカップリング剤を配合することができる。
リンの酸素酸またはその誘導体において、リンの酸素酸としては、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸などのリン酸類、例えば、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸などの縮合リン酸類などが挙げられる。
また、リンの酸素酸の誘導体としては、例えば、ナトリウム、カリウムなどのリン酸塩または縮合リン酸塩、例えば、オルトリン酸モノメチル、オルトリン酸モノエチル、オルトリン酸モノプロピル、オルトリン酸モノブチル、オルトリン酸モノ−2−エチルヘキシル、オルトリン酸モノフェニル、亜リン酸モノメチル、亜リン酸モノエチル、亜リン酸モノプロピル、亜リン酸モノブチル、亜リン酸モノ−2−エチルヘキシル、亜リン酸モノフェニルなどのモノエステル類、例えば、オルトリン酸ジ−2−エチルヘキシル、オルトリン酸ジフェニル、オルトリン酸トリメチル、オルトリン酸トリエチル、オルトリン酸トリプロピル、オルトリン酸トリブチル、オルトリン酸トリ−2−エチルヘキシル、オルトリン酸トリフェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジプロピル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジ−2−エチルヘキシル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリプロピル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸トリ−2−エチルヘキシル、亜リン酸トリフェニルなどのジ、トリエステル類、または、縮合リン酸とアルコール類とから得られるモノ、ジ、トリエステル類などが挙げられる。
リンの酸素酸またはその誘導体として、好ましくは、リン酸類、さらに好ましくは、オルトリン酸(リン酸)が挙げられる。
リンの酸素酸またはその誘導体は、上記した各種リンの酸素酸またはその誘導体を、単独使用または複数種類併用することができる。また、リンの酸素酸またはその誘導体は、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の合計100重量部に対して、0.001〜3重量部、好ましくは、0.01〜2.5重量部配合される。
シランカップリング剤は、例えば、構造式R−Si≡(X)またはR−Si≡(R’)(X)(式中、Rは、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基またはメルカプト基を有する有機基を示し、R’は炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、Xはメトキシ基、エトキシ基またはクロル原子を示す。)で示される。
シランカップリング剤として、具体的には、例えば、ビニルトリクロルシランなどのクロロシラン、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ジ(γ−グリシドキシプロピル)ジメトキシシランなどのエポキシシラン、例えば、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−プロピルメチルジメトキシシラン、n−(ジメトキシメチルシリルプロピル)エチレンジアミン、n−(トリエトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン、例えば、ビニルトリエトキシシランなどのビニルシラン、例えば、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシランなどのイソシアナトシランなどが挙げられる。
シランカップリング剤として、好ましくは、エポキシシラン、アミノシランが挙げられ、さらに好ましくは、エポキシシランおよびアミノシランの併用が挙げられる。
シランカップリング剤は、上記した各種シランカップリング剤を、単独使用または複数種類併用することができる。また、シランカップリング剤は、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の合計100重量部に対して、0.001〜10重量部、好ましくは、0.01〜5重量部配合される。
さらに、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分のいずれか一方またはその両方には、必要に応じて、例えば、エポキシ樹脂、触媒、塗工性改良剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、可塑剤、界面活性剤、顔料、充填剤、有機または無機微粒子、防黴剤などの添加剤を適宜配合することができる。添加剤の配合量は、その目的および用途により適宜決定される。
そして、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤は、使用時において、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを配合して接着剤を調製し、それを被着体に塗布する。
ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の配合割合は、例えば、ポリオール成分の水酸基に対するポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)として、例えば、0.5〜5、好ましくは、0.6〜3となる割合である。
そして、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤は、被着体として、例えば、バリア層やプラスチックフィルムなどのフィルムを積層して、複合フィルムを作製するための、ラミネート用接着剤として用いられる。
具体的には、例えば、バリア層およびプラスチックフィルムの貼着に用いられる。
バリア層は、気体または液体に対するバリア性を有する層であって、例えば、金属または金属酸化物を含むフィルムが挙げられる。具体的には、金属箔、または、バリア層を含むプラスチックフィルムが挙げられる。
金属箔は、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄、銅、鉛などからなり、その厚みは、例えば、5〜100μm、好ましくは5〜20μm、さらに好ましくは5〜15μmである。
バリア層を含むプラスチックフィルムとしては、例えば、プラスチックフィルムの少なくとも一方の面に無機質層が形成されたフィルムが挙げられる。
無機質層は、蒸着やスパッタリング、ゾル−ゲル法などから形成することができる。無機質層は、例えば、チタン、アルミニウム、ケイ素などの単体またはそれらの元素を含む無機化合物(酸化物など)などからなる。好ましくは、アルミナ単独、シリカ単独、または、アルミナおよびシリカの両方を蒸着した蒸着フィルムが挙げられる。
なお、バリア層を含むプラスチックフィルムは、バリア層の暴露側にオーバーコート層を積層することもできる。
プラスチックフィルムは、例えば、オレフィン系重合体(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエステル系重合体(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレートや、それらのポリアルキレンアリレート単位を主成分とするコポリエステルなど)、ポリアミド系重合体(例えば、ナイロン6、ナイロン66など)、ビニル系重合体(例えば、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)からなる。プラスチックフィルムの厚みは、通常、5〜200μmである。
なお、プラスチックフィルムまたはバリア層を含むプラスチックフィルムは、未延伸フィルム(未延伸ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、または、一軸または二軸延伸フィルム(二軸延伸ポリプロピレン、ポリアルキレンテレフタレート、ナイロンなど)のいずれも用いることができる。
また、プラスチックフィルムは、各種共押出フィルム、または、プラスチックフィルム同士を予め貼着した複合フィルムとして、用意することもできる。
さらに、プラスチックフィルムおよびバリア層の表面は、コロナ放電処理などの表面処理をしてもよく、アンカーコート剤などでプライマー処理をすることもできる。また、プラスチックフィルムおよびバリア層には、適宜印刷することもできる。
複合フィルムの作製では、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分が配合された接着剤を、無溶剤型ラミネータによって、例えば、バリア層またはプラスチックフィルムのいずれか一方の表面に塗工し、その塗工面を、他方のバリア層またはプラスチックフィルムの表面に貼着して、その後、常温または加温下において、養生して硬化させる。
複合フィルムとしては、バリア層およびプラスチックフィルムを貼着(1次ラミネート)して、1次ラミネート複合フィルムを作製してもよく、さらには、1次ラミネート複合フィルムの少なくとも一方の表面に、他のプラスチックフィルムを貼着(2次ラミネート)して、2次ラミネート複合フィルムを作製することもできる。
1次ラミネートでは、通常、送出ロールから、バリア層またはプラスチックフィルムのいずれか一方を送り出して、他方を貼着し、巻取ロールに巻き取り、必要により、加温・養生(例えば、25〜60℃での養生)する。
2次ラミネートでは、通常、巻取ロールから、1次ラミネート複合フィルムを送り出して、他のプラスチックフィルムを貼着し、巻取ロールに巻き取り、必要により、加温・養生する。
なお、2次ラミネート複合フィルムの作製では、1次ラミネートおよび2次ラミネートの両方において、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤を用いてもよく、あるいは、1次ラミネートおよび2次ラミネートのいずれか一方において、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて、他方において、他の接着剤を用いることもできる。
ラミネート温度(塗工温度)は、通常、35℃以上、好ましくは、40℃以上である。ラミネートできれば温度上限はないが、通常、100℃以下、好ましくは、90℃以下、さらに好ましくは、85℃以下である。温度の上限下限として、ラミネート(塗工)時には、35〜100℃、好ましくは、35〜90℃、さらに好ましくは、40〜80℃において、接着剤を加温して、適切な粘度に調整する。適切な粘度は、上記範囲の温度において、100〜5000mPa・s、好ましくは、300〜3000mPa・sである。
なお、加温を100℃以下にすれば、塗工前に、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応を抑制できるので、過度の増粘の防止および良好な作業性を確保することができる。
なお、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤の塗工量は、各ラミネート工程において、例えば、0.5〜5g/m、好ましくは、1〜5g/m、さらに好ましくは、1.5〜4.5g/mである。塗布量が0.5g/m未満の場合には、接着性が十分に発現せず、外観不良となる場合があり、一方、塗布量が5g/mを超過すると、複合フィルムの端部から接着剤が漏出し、複合フィルムの品質不良を生じる場合がある。
また、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤が用いられる無溶剤型ラミネート装置は、順転写型塗布装置および逆転写型塗布装置(リバースコータ)のいずれを用いることもできる。
順転写型塗布装置では、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分が配合された接着剤が、対向位置において互いに同一方向に回転する1対のロールの間を通過する一方のフィルムに塗工される。その後、一方のフィルムは、ニップローラにおいて、他のフィルムと貼着され、これによって、複合フィルムが製造される。
逆転写型塗布装置では、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分が配合された接着剤が、対向位置において互いに逆方向に回転する1対のロールの間を通過する一方のフィルムに塗工される。その後、一方のフィルムは、ニップローラにおいて、他のフィルムと貼着され、これによって、複合フィルムが製造される。
そして、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて作製される複合フィルムは、例えば、55℃で4週間のように、高温かつ長期間保存しても、優れた外観および接着強度を保持し、各層間での剥離の発生が低減され、かつ、内容物を損なわせることもなく、層間接着性、耐湿熱性に優れる。また、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤は、とりわけ、耐アルカリ性に優れる。そのため、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤は、洗剤などの耐アルカリ性が要求される各種の産業分野における複合フィルムを製造するために、好適に用いられる。
また、本発明の二液硬化型無溶剤系接着剤によれば、複合フィルムの製造時に、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の反応が適度に調整され、急激な粘度上昇を抑制して、良好な作業性を確保することができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例1(ポリエステルジオールAの製造)
イソフタル酸283g、1,3−ブタンジオール352g、ネオペンチルグリコール191gを反応器に仕込み、窒素気流下190〜220℃でエステル化反応を行った。その後、所定の水を留出後、アジピン酸124g、セバシン酸172g、チタンテトラブトキシド0.01gを加え、窒素気流下180〜220℃でエステル化反応を行うことにより、ポリエステルジオールAを得た。
製造例2(ポリエステルジオールBの製造)
イソフタル酸324g、1,3−ブタンジオール622gを反応器に仕込み、窒素気流下190〜220℃でエステル化反応を行った。その後、所定の水を留出後、アジピン酸285g、チタンテトラブトキシド0.01gを加え、窒素気流下180〜220℃でエステル化反応を行うことにより、ポリエステルジオールBを得た。
製造例3(ポリエステルジオールCの製造)
テレフタル酸ジメチル146g、1,6−ヘキサンジオール200g、エチレングリコール233g、ネオペンチルグリコール61g、酢酸亜鉛0.1gを反応器に仕込み、窒素気流下190℃でエステル化反応を行い、所定のメタノールを留出後、イソフタル酸375gを仕込み、エステル化反応を行った。その後アジピン酸165gを加え、窒素気流下180〜220℃でエステル化反応を行うことにより、ポリエステルジオールCを得た。
製造例4(ジイソシアネート基末端プレポリマーAの製造)
ポリエステルジオールA341g、キシリレンジイソシアネート648gを反応器に仕込み、窒素気流下70〜80℃でウレタン化反応を行った。その後、未反応のキシリレンジイソシアネートを薄膜蒸留にて除去することにより、ジイソシアネート基末端プレポリマーAを得た。
ジイソシアネート基末端プレポリマーAのイソシアネート基当量は499であり、未反応キシリレンジイソシアネートの含有量は0.1重量%であった。
製造例5(ジイソシアネート基末端プレポリマーBの製造)
ポリエステルジオールB341g、キシリレンジイソシアネート648gを反応器に仕込み、窒素気流下70〜80℃でウレタン化反応を行った。その後、未反応のキシリレンジイソシアネートを薄膜蒸留にて除去することにより、ジイソシアネート基末端プレポリマーBを得た。
ジイソシアネート基末端プレポリマーBのイソシアネート基当量は499であり、未反応キシリレンジイソシアネートの含有量は0.1重量%であった。
製造例6(ポリイソシアネート成分1の製造)
ジイソシアネート基末端プレポリマーA600gと、イソシアネート基の一部をイソブタノールで反応させて一括調製したヘキサメチレンジイソシアネートの二量体および三量体の混合物400gとを、窒素気流下50〜60℃で均一に混合することにより、ポリイソシアネート成分1を得た。
ポリイソシアネート成分1の平均官能基数は2.3であり、イソシアネート基当量は383であり、ジイソシアネート単量体(キシリレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネート)の含有量は0.2重量%であった。
製造例7(ポリイソシアネート成分2の製造)
ジイソシアネート基末端プレポリマーA600gと、イソシアネート基の一部をイソブタノールで反応させたヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性体400gとを、窒素気流下50〜60℃で均一に混合することにより、ポリイソシアネート成分2を得た。
ポリイソシアネート成分2の平均官能基数は2.0であり、イソシアネート基当量は386であり、ジイソシアネート単量体(キシリレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネート)の含有量は0.2重量%であった。
製造例8(ポリイソシアネート成分3の製造)
ジイソシアネート基末端プレポリマーB645gと、イソシアネート基の一部をイソブタノールで反応させたヘキサメチレンジイソシアネートの三量体355gとを、窒素気流下50〜60℃で均一に混合することにより、ポリイソシアネート成分3を得た。
ポリイソシアネート成分3の平均官能基数は2.8であり、イソシアネート基当量は379であり、ジイソシアネート単量体(キシリレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネート)の含有量は0.2重量%であった。
製造例9(ポリイソシアネート成分4の製造)
ジイソシアネート基末端プレポリマーA300gと、イソシアネート基の一部をイソブタノールで反応させて一括調製したヘキサメチレンジイソシアネートの二量体および三量体の混合物700gとを、窒素気流下50〜60℃で均一に混合することにより、ポリイソシアネート成分4を得た。
ポリイソシアネート成分4の平均官能基数は2.4であり、イソシアネート基当量は297であり、ジイソシアネート単量体(キシリレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネート)の含有量は0.2重量%であった。
製造例10(ポリイソシアネート成分5の製造)
イソシアネート基の一部をイソブタノールで反応させたヘキサメチレンジイソシアネートの三量体を、ポリイソシアネート成分5とした。
ポリイソシアネート成分5の平均官能基数は3.7であり、イソシアネート基当量は200であり、ジイソシアネート単量体(ヘキサメチレンジイソシアネート)の含有量は0.35重量%であった。
製造例11(ポリオール成分1の製造)
ポリエステルジオールA750g、トリメチロールプロパン134gを70℃で均一混合し、これに、キシリレンジイソシアネート94gを加えて、80℃で反応することにより、ポリオール成分1を得た。ポリオール成分1の平均官能基数は2.5であり、水酸基当量は196であり、酸価は0.96であった。
なお、ポリオール成分1には、その100gに対して、リン酸(和光純薬工業株式会社製)0.1gを90℃で均一混合し、さらに、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(KBE−403、信越化学工業株式会社製)2g、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903、信越化学工業株式会社製)0.2gを、75℃で均一混合した。
製造例12(ポリオール成分2の製造)
ポリエステルジオールA868g、トリメチロールプロパン78gを70℃で均一混合し、これに、キシリレンジイソシアネート54gを加えて、80℃で反応することにより、ポリオール成分2を得た。ポリオール成分2の平均官能基数は2.3であり、水酸基当量は216であり、酸価は1.02であった。
なお、ポリオール成分2には、製造例11と同様の処方により、添加剤(リン酸、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランおよび3−アミノプロピルトリエトキシシラン)を混合した。
製造例13(ポリオール成分3の製造)
ポリエステルジオールA916g、トリメチロールプロパン50gを70℃で均一混合し、これに、キシリレンジイソシアネート34gを加えて、80℃で反応することにより、ポリオール成分3を得た。ポリオール成分3の平均官能基数は2.2であり、水酸基当量は223であり、酸価は1.01であった。
なお、ポリオール成分3には、製造例11と同様の処方により、添加剤(リン酸、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランおよび3−アミノプロピルトリエトキシシラン)を混合した。
製造例14(ポリオール成分4の製造)
ポリエステルジオールA904g、1,3−BG45gを110℃で均一混合し、これに、無水トリメリット酸29gを加えて、110℃で末端酸変性することにより、ポリオール成分4を得た。ポリオール成分4の平均官能基数は2.0であり、水酸基当量は205であり、酸価は16.50であった。
なお、ポリオール成分4には、製造例11と同様の処方により、添加剤(リン酸、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランおよび3−アミノプロピルトリエトキシシラン)を混合した。
製造例15(ポリオール成分5の製造)
ポリエステルジオールC950g、トリメチロールプロパン50gを110℃で均一混合し、ポリオール成分5を得た。ポリオール成分5の平均官能基数は2.3であり、水酸基当量は325であり、酸価は0.72であった。
なお、ポリオール成分5には、製造例11と同様の処方により、添加剤(リン酸、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランおよび3−アミノプロピルトリエトキシシラン)を混合した。
製造例16(ポリオール成分6の調製)
ポリエステルジオールC100gを、ポリオール成分6として用いた。なお、ポリオール成分6の平均官能基数は2.0であり、水酸基当量は340であり、酸価は0.63であった。
なお、ポリオース成分6には、製造例11と同様の処方により、添加剤(リン酸、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランおよび3−アミノプロピルトリエトキシシラン)を混合した。
実施例および比較例の調製
上記により得られた各ポリイソシアネート成分および各ポリオール成分を、表1に示す配合部数(重量部)で組み合わせることにより、各実施例および各比較例の二液硬化型無溶剤系接着剤を用意した。
これら二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて、後述の方法により複合フィルムを作製後、それぞれの複合フィルムについて、耐内容物性試験を実施し、物性を評価した。その結果を表1に示す。
ラミネート複合フィルムの作製
白ベタ印刷を施したナイロンフィルム(厚み15μm、エンブレムON(ユニチカ製))に、無溶剤ラミネーター(岡崎機械工業株式会社製、ノンソルラミネーターTNS−400−200)を用いて、各実施例および各比較例の二液硬化型無溶剤系接着剤を塗工(ラミネート速度:180m/分、塗工量:約2.5g/m)した。
その後、その塗工面に、未延伸ポリエチレンフィルム(厚み150μm、パイレンフィルム−CT P1146(東洋紡績株式会社製))を貼り合わせて、ラミネート複合フィルムを作成した。その後、このラミネート複合フィルムを40℃、3日間の条件で養生して、二液硬化型無溶剤系接着剤を硬化させた。
得られたラミネート複合フィルムの養生前後の外観を目視で評価した。結果を表1に示す。なお、評価の基準を下記に示す。
○:良好
△:ほぼ良好(極僅かに梨肌状外観がある。)
×:梨肌またはカスレ状外観不良
××:デラミネーション
また、得られたラミネート複合フィルムの養生後における、ナイロン/未延伸ポリエチレンフィルム間の接着強度およびヒートシール(HS)強度を、25℃環境下、試験片幅15mm、引張速度300mm/min、T型剥離試験により測定した。また、T型剥離試験後における試験片の状態を、目視で評価した。その結果を表1に示す。なお、評価の基準を下記に示す。
1:インキ転写(白ベタインキの剥離)
2:接着剤の凝集剥離
3:フィルム切れ
4:三角剥離(未延伸ポリエチレンフィルムが、ナイロンフィルムから持ち上がるように、断面視略三角形状に剥離)
耐内容物性試験
上記により得られた各ラミネート複合フィルムを使用して、13.0×17.5cmの大きさの袋を作製した。その袋に、液体アタック原液(弱アルカリ性洗濯用合成洗剤、花王社製)を充填した。
その袋を、55℃の恒温機にて4週間保存した後、袋の外観を目視で評価した。その結果を表1に示す。なお、評価の基準には、上記したものを用いた。
その後、袋から内容物を取り出し、ナイロン/未延伸ポリエチレンフィルム間の接着強度およびヒートシール(HS)強度を、上記と同様の条件で測定した。また、試験後における試験片の状態を、目視で評価した。その結果を表1に示す。

Claims (6)

  1. ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を含み、
    ポリイソシアネート成分は、
    キシリレンジイソシアネートを含むジイソシアネートと、マクロジオール含むジオールとを反応させて得られるジイソシアネート末端プレポリマーと、
    ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体と
    を含有し、
    ポリオール成分は、
    マクロジオールを含むジオールと、3つ以上の水酸基を有する架橋性ポリオールと、キシリレンジイソシアネートとの反応により得られるポリウレタンポリオールを含有し、
    ポリイソシアネート成分の平均官能基数が2を超過しており、
    ポリオール成分の平均官能基数が2を超過している
    ことを特徴とする、二液硬化型無溶剤系接着剤。
  2. ポリイソシアネート成分に対して、ジイソシアネート末端プレポリマーが20重量%以上含有されていることを特徴とする、請求項1に記載の二液硬化型無溶剤系接着剤。
  3. ポリイソシアネート成分および/またはポリオール成分のマクロジオールが、ポリエステルジオールであることを特徴とする、請求項1または2に記載の二液硬化型無溶剤系接着剤。
  4. ポリオール成分に対して、架橋性ポリオールが6重量%以上含有されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の二液硬化型無溶剤系接着剤。
  5. 架橋性ポリオールの数平均分子量が、100〜1000であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の二液硬化型無溶剤系接着剤。
  6. 架橋性ポリオールの水酸基が、すべて1級水酸基であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の二液硬化型無溶剤系接着剤。
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