JP6752121B2 - 連結構造及び連結方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プレキャスト部材を連結する連結構造、及び連結方法に関する。
従来から、プレキャスト部材を連結する連結構造については種々のものが知られている。特許文献1には、プレキャスト床版を用いたコンクリート床版取り替え工法が記載されている。この工法では、鋼桁である主桁上の既設のコンクリート床版を撤去した後、工場で製作されたプレキャスト床版を主桁上に設置し、橋軸方向に隣接するプレキャスト床版同士をループ継手構造で接合している。このループ継手構造では、橋軸方向において、U字状に突出する鉄筋が互いに重なってラップしている。また、互いに隣接するプレキャスト部材間の目地空間には、短繊維混入コンクリートが充填されている。
特許第5308707号公報
前述したコンクリート床版取り替え工法におけるプレキャスト部材の連結構造では、2つのプレキャスト部材間に形成された目地空間に間詰材として短繊維混入コンクリートが充填されている。しかしながら、この連結構造では、プレキャスト部材と間詰材との間の打ち継ぎ目、すなわちプレキャスト部材と間詰材との界面が耐久性上の弱点となりうる。従って、プレキャスト部材と間詰材との一体性を維持できないという問題が生じうる。具体的には、曲げ又は引っ張りにより、プレキャスト部材と間詰材との界面からひびが入ったり、振動及び熱等による疲労が蓄積し、界面に生じたひびから水が浸入して内部の鉄筋又は主桁が腐食したりする問題が生じうる。
本発明は、プレキャスト部材と間詰材との一体性を高めることができる連結構造、及び連結方法を提供することを目的とする。
本発明に係る連結構造は、第1プレキャスト部材と第2プレキャスト部材との間に充填される間詰材を介して第1プレキャスト部材と第2プレキャスト部材とを連結する連結構造であって、第1プレキャスト部材は、第2プレキャスト部材に対向する第1端部を有する第1プレキャストブロックと、第1プレキャストブロックに埋め込まれると共に第1端部からU字状に突出する第1鉄筋と、を備え、第2プレキャスト部材は、第1プレキャスト部材に対向する第2端部を有する第2プレキャストブロックと、第2プレキャストブロックに埋め込まれると共に第2端部からU字状に突出する第2鉄筋と、を備え、第1プレキャスト部材と第2プレキャスト部材とが連結する連結方向において、第1鉄筋のU字状に突出する第1部分と、第2鉄筋のU字状に突出する第2部分とは重なっており、第1端部における間詰材との界面、及び第2端部における間詰材との界面には、接着剤が設けられており、間詰材は、高強度繊維補強モルタルを含んでおり、接着剤は、間詰材の硬化速度と同等もしくは遅い遅延性を有する材料によって構成されている
前述した連結構造では、第1プレキャストブロックに埋め込まれると共に第1端部からU字状に突出する第1鉄筋と、第2プレキャストブロックに埋め込まれると共に第2端部からU字状に突出する第2鉄筋とを備える。そして、第1プレキャスト部材及び第2プレキャスト部材の連結方向において、第1鉄筋のU字状に突出する第1部分と、第2鉄筋のU字状に突出する第2部分とは重なっている。第1部分と第2部分とは間詰材の内部において重なっているので、第1鉄筋及び第2鉄筋を介して第1プレキャスト部材と第2プレキャスト部材とを構造的に一体性を持たせることができる。また、第1端部における間詰材との界面、及び第2端部における間詰材との界面には、接着剤が設けられている。このように接着剤を設けることにより、第1プレキャスト部材と間詰材と第2プレキャスト部材との間における付着力と耐久性を高めることができ、更に一体性を高めることができる。よって、第1プレキャスト部材、間詰材及び第2プレキャスト部材の界面にひびが入ることを抑制することができるので、ひびから水が浸入して鉄筋又は主桁等が腐食することを回避することができる。
更に、高強度繊維補強モルタルは高い圧縮強度、引張強度、ひび割れ抵抗性、鉄筋との付着強度及び剪断強度を有するため、間詰材として高強度繊維補強モルタルを使用した場合には、間詰材の体積及び重量を減らしても通常のコンクリートと同等以上の強度を発揮する。よって、間詰材の量を減らすことができ、間詰材の内部で第1鉄筋と第2鉄筋とが重なる部分の連結方向における長さを短くすることができるので、現場作業を軽減させることができる。また、間詰材として通常のコンクリートを使用した場合と比較して、間詰材の強度が高められたことにより、U字状とされた第1部分及び第2部分の半径を小さくすることができる。従って、第1プレキャスト部材及び第2プレキャスト部材の厚さを薄くすることができ、且つ、第1プレキャスト部材及び第2プレキャスト部材を軽量化させることができる。
本発明に係る連結構造において、第1端部の底部は、第2プレキャスト部材に向かって突出する第1突出部を有し、第2端部の底部は、第1プレキャスト部材に向かって突出すると共に第1突出部に対向する第2突出部を有してもよい。この場合、第1突出部と第2突出部の間にシール部材を挟み込むことによって第1突出部と第2突出部の間の隙間を埋めることができるので、第1突出部及び第2突出部に対向する型枠を不要とすることができる。よって、間詰材の充填時における底型枠の設置作業を軽減させることができるので、現場作業を一層容易に行うことができる。
本発明に係る連結構造において、第1部分と第2部分とは、互いに接触していてもよい。この場合、第1鉄筋と第2鉄筋とが接触しているので、第1鉄筋及び第2鉄筋における力の伝達をスムーズにすることができる。
本発明に係る連結構造において、第1部分と第2部分とは、互いに離間しており、第1部分と第2部分とは、交互且つ略等間隔に配置されていてもよい。
本発明に係る連結構造において、第1部分及び第2部分のそれぞれには、定着体が設けられていてもよい。この場合、定着体によって第1鉄筋及び第2鉄筋から間詰材に支圧力が伝達されやすくなり、間詰材と第1鉄筋及び第2鉄筋との定着性を高めることができる。従って、定着体を設けない場合と比較して、第1鉄筋と第2鉄筋とが重なる部分の連結方向における長さを一層短くすることができる。
本発明に係る連結構造において、第1コンクリートブロック及び第2コンクリートブロックは、超高強度繊維補強コンクリートによって構成されていてもよい。超高強度繊維補強コンクリートは、通常のコンクリートと比較して非常に優れた強度や物質浸透抵抗性を有しており、設計に引張強度やひび割れ発生強度を見込むことができるため、体積及び重量を大幅に減らしても通常のコンクリートと同等以上の強度を発揮する。従って、現場への第1プレキャスト部材及び第2プレキャスト部材の運搬、吊り上げ、及び吊り降ろしを容易に行うことができる。更に、超高強度繊維補強コンクリートは、水又は凍結防止剤等の劣化因子に対して高い物質浸透抵抗性を有する。従って、超高強度繊維補強コンクリートによって構成された第1プレキャスト部材と第2プレキャスト部材は、高い耐久性を有する。従って、超高強度繊維補強コンクリートで構成された第1プレキャスト部材と第2プレキャスト部材を用いた場合には、現場作業を容易に行うことを可能としつつ、一層高い耐久性を確保することができる。
本発明に係る連結構造において、第1プレキャスト部材及び第2プレキャスト部材は、プレキャスト床版であってもよい。この場合、付着力と耐久性を高めると共に、一体性が高められた床版を構築することができる。
本発明に係る連結方法は、第1プレキャスト部材と第2プレキャスト部材とを間詰材を介して連結する連結方法であって、第1鉄筋を第1コンクリートブロックに埋め込むと共に第1端部から第1鉄筋がU字状に突出する第1プレキャスト部材、及び第2鉄筋を第2コンクリートブロックに埋め込むと共に第2端部から第2鉄筋がU字状に突出する第2プレキャスト部材を準備する工程と、第1プレキャスト部材及び第2プレキャスト部材が連結する連結方向において、第1端部からU字状に突出する第1部分と、第2端部からU字状に突出する第2部分とが重なるように第1端部と第2端部を突き合わせる工程と、第1端部における第2端部に対向する面と、第2端部における第1端部に対向する面と、に接着剤を塗布する工程と、第1端部と第2端部との間に間詰材を充填する工程と、を備え、間詰材を充填する工程では、間詰材として高強度繊維補強モルタルを充填し、接着剤は、間詰材の硬化速度と同等もしくは遅延性を有する材料によって構成されている
前述した連結方法では、第1プレキャスト部材と第2プレキャスト部材とが連結する連結方向において、第1端部からU字状に突出する第1部分と、第2端部からU字状に突出する第2部分とが重なるように突き合わせが行われる。そして、第1端部と第2端部との間に間詰材が充填されることにより、上記第1部分及び第2部分は間詰材の内部において重なることになるので、第1鉄筋及び第2鉄筋を介して第1プレキャスト部材と第2プレキャスト部材とを構造的に一体性を持たせることができる。また、第1端部における第2端部に対向する面と、第2端部における第1端部に対向する面に接着剤が塗布されてから第1端部と第2端部との間に間詰材が充填される。従って、第1端部における間詰材との界面、及び第2端部における間詰材との界面に接着剤が設けられた状態となる。よって、前述した連結構造と同様、第1プレキャスト部材と間詰材と第2プレキャスト部材との間における付着力、耐久性及び一体性を高めることができ、鉄筋又は主桁等が腐食することを回避することができる。
更に、前述した連結構造と同様、間詰材の内部で第1鉄筋と第2鉄筋とが重なる部分の連結方向における長さを短くすることができ、間詰材の量を減らすことができる。従って、現場作業を軽減させることができる。また、U字状とされた第1部分及び第2部分の半径を小さくすることができるため、第1プレキャスト部材及び第2プレキャスト部材の厚さを薄くすることができ、且つ、第1プレキャスト部材及び第2プレキャスト部材を軽量化させることができる。
本発明に係る連結方法において、第1コンクリートブロック及び第2コンクリートブロックは、超高強度繊維補強コンクリートによって構成されており、接着剤を塗布する工程の前に、第1端部における第2端部に対向する面と、第2端部における第1端部に対向する面と、に目荒らしを行う工程を備えてもよい。この場合、第1端部における第2端部に対向する面、及び第2端部における第1端部に対向する面、に目荒らしを行うことにより、互いに対向する2つの面に繊維を露出させることができる。従って、第1プレキャスト部材及び第2プレキャスト部材と、間詰材との界面に繊維を架橋させることができるので、第1プレキャスト部材、間詰材及び第2プレキャスト部材の一体性を一層高めることができる。
本発明に係る連結方法において、第1プレキャスト部材及び第2プレキャスト部材は、プレキャスト床版であってもよい。この場合、付着力と耐久性を高めると共に、一体性が高められた床版を構築することができる。
本発明によれば、プレキャスト部材と間詰材との一体性を高めることができる。
第1実施形態に係る連結構造によって構成された構造物の一例を示す断面図である。 図1の連結構造を拡大した断面図である。 図1の連結構造を成す第1プレキャストブロック及び第1鉄筋を示す斜視図である。 図1の連結構造を上から見た断面図である。 (a)及び(b)は、第1実施形態に係る連結方法を示す断面図である。 (a)は、第1実施形態に係る連結方法を示す断面図である。(b)は、第1実施形態に係る連結方法を上から見た断面図である。 第2実施形態に係る連結構造を示す断面図である。 (a)及び(b)は、第3実施形態に係る連結構造の鉄筋及び定着体を示す側面図である。 従来の連結構造を示す断面図である。
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る連結構造及び連結方法の実施形態について詳細に説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1プレキャスト部材10と第2プレキャスト部材20とが連結された連結構造1を示す断面図である。第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20は共にコンクリート製である。連結構造1は、第1プレキャスト部材10と第2プレキャスト部材20とを間詰材30を介して連結する構造を示している。図1に示されるように、第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20は、例えば、道路橋5の橋梁構造を成すプレキャスト床版である。
道路橋5の橋梁構造は、複数のプレキャスト部材が橋軸方向D1に沿って配置された床版6を備えている。床版6の複数のプレキャスト部材のうちの一部のプレキャスト部材を第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20としている。第1プレキャスト部材10の形状及び大きさは、第2プレキャスト部材20の形状及び大きさと同一であってもよいし異なっていてもよい。
本実施形態において、第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20は工場で予め製造され、予め製造された第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20が現場に搬送される。第1プレキャスト部材10と第2プレキャスト部材20とが連結する連結方向と橋軸方向D1とは互いに一致している。第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20は、例えば、支承7を介して橋脚2上に配置された主桁3の上に乗せられている。例えば、第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20の上には、防水層を介してアスファルト層(舗装層)が設けられる。
第1プレキャスト部材10は、略直方体状を成す第1プレキャストブロック11と、橋軸方向D1に延びる第1鉄筋12と、第1鉄筋12に直交する鉄筋13とを備えている。第2プレキャスト部材20は、第1プレキャストブロック11、第1鉄筋12及び鉄筋13と同様の第2プレキャストブロック21と第2鉄筋22と鉄筋23とを備えている。
第1プレキャストブロック11及び第2プレキャストブロック21は、例えば、道路橋5の床版部を成している。第1プレキャストブロック11及び第2プレキャストブロック21は、共に超高強度繊維補強コンクリート(UFC;Ultra high strength Fiber reinforced Concrete)によって構成されている。第1プレキャストブロック11の材料と、第2プレキャストブロック21の材料とは、例えば互いに同一である。よって、第2プレキャストブロック21の材料についての説明は適宜省略する。
第1プレキャストブロック11は、例えば、セメントと、無機系粉体と、骨材と、練混ぜ水と、コンクリート用化学混和剤と、補強用繊維とを含む混合物が硬化したUFCによって構成されている。上記のセメントは、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメントである。無機系粉体は、シリカフューム、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、珪石微粉末、ワラストナイト、膨張材などがある。
一例として、前述の骨材は、粒径5.0mm以下、絶乾密度2.5g/cm以上、吸水率3.0%以下、粘度塊量1.0%以下、微粉分量2.0%以下、NaCl含有量0.02%以下、の骨材である。この骨材は、JIS(日本工業規格:Japanese Industrial Standards) A 1105に規定された細骨材の有機不純物の試験結果が「淡い」とされたものである。また、この骨材は、JIS A 1122に規定された硫酸ナトリウムで骨材の安定性試験方法による安定性が10%以下であって、更にJIS A 5308付属書1に規定されたアルカリシリカ反応性による区分が区分Aとされた骨材である。
前述の練混ぜ水は、例えば、JSCE−B 101−2013に規定された回収水以外の練混ぜ水である。前述のコンクリート用化学混和剤は、JIS A 6204に規定された高性能減水剤である。また、前述の補強用繊維は、直径0.1〜0.25mm、長さ10〜24mm、及び引張強度2×10N/mm以上の繊維である。前述の補強用繊維は、例えば、鋼繊維、高強度アラミド繊維、又は炭素繊維であってもよい。
第1プレキャストブロック11を構成する超高強度繊維補強コンクリートは、例えば、マトリクスが、ポルトランドセメント、ポゾラン材、及びエトリンガイド生成系材料などの無機系粉体を加えた結合材、粒径2.5mm以下の骨材、水、並びに減水剤によって構成されている。第1プレキャストブロック11の配合は、標準示方配合である。また、補強用繊維は、直径0.2mm、長さ15mm(製造誤差±2mm未満)、及び引張強度2×10N/mm以上の鋼繊維とを混合したものを1.75vol.%混入させたものであってもよい。また、超高強度繊維補強コンクリートの硬化後の各強度の特性値は、圧縮強度150N/mm以上、ひび割れ発生強度4N/mm、及び引張強度5N/mmであることが好ましい。
第1プレキャストブロック11を成す超高強度繊維補強コンクリートの標準示方配合は、フロー値250±20mm、結合材に対する練混ぜ水の比率が15%、空気量2.0%、練混ぜ水195kg/m、高性能減水剤32.2kg/m、及び補強用繊維137.4kg/m(1.75vol.%)とすることができる。
超高強度繊維補強コンクリートとしては、例えばサクセム(登録商標)、ダクタル(登録商標)及びスリムクリート(登録商標)を用いることができる。サクセム、ダクタル及びスリムクリートは、いずれも超高強度繊維補強コンクリートの商品名であり、土木学会「超高強度繊維補強コンクリートの設計・施工方針(案)」の規定に適合するものである。この規定では、例えば、圧縮強度が150N/mmであり、ひび割れ発生強度が4N/mm以上であり、引張強度(直接引張試験)が5N/mm以上である。
間詰材30として上記のサクセムを用いた場合、そのサクセムの配合例として、以下の表1に示す配合を例示することができる。しかしながら、以下の表1及び上記で列挙した各物性値は、前述及び表1の各値に限定されることなく適宜変更可能である。
Figure 0006752121
図2及び図3に示されるように、第1プレキャストブロック11及び第2プレキャストブロック21は、例えば、橋軸方向D1及び橋軸直角方向D2に延びる路面部位を構成している。第1プレキャストブロック11及び第2プレキャストブロック21は、鉛直方向D3に厚みを有する。第1プレキャストブロック11及び第2プレキャストブロック21は、道路橋5の路面を成す部位であり、車両等の荷重を受ける。また、第1プレキャストブロック11の橋軸方向D1の一端に位置する第1端部11Aと、第2プレキャストブロック21の橋軸方向D1の一端に位置する第2端部21Aとが連結することによって連結構造1が構築される。
第1端部11Aは、第1プレキャストブロック11の橋軸方向D1の一端に位置する端面11aと、端面11aの鉛直方向D3の上側に隣接する第1側面11bと、第1側面11bの反対側に位置する第2側面11cと、を含んでいる。端面11aは、第2端部21Aに対向する面である。また、第1端部11Aは、第2端部21Aに向かって突出する第1突出部11dを備える。第1突出部11dは、第1端部11Aの鉛直方向D3の下側において、橋軸直角方向D2の全域に亘って設けられている。
端面11aは、前述した第1突出部11dが設けられることにより、第1側面11bから第2側面11cに向かうに従って第2プレキャストブロック21側に延びている。例えば、端面11aは、第1側面11bから一定長さだけ下方に延びる領域と、当該領域の下端から第2プレキャストブロック21に向かって湾曲する領域とを有する。また、第1側面11b及び第2側面11cは、共に平坦状とされている。
第2端部21Aは、第1端部11Aと同様、橋軸方向D1の一端に位置する端面21aと、端面21aの上側に位置する第1側面21bと、端面21aの下側に位置する第2側面21cと、を含んでいる。端面21aは第1端部11Aに対向する面である。また、第2端部21Aは、第1端部11Aの第1突出部11dに向かって突出する第2突出部21dを備えている。第2突出部21dは、鉛直方向D3の下側において、橋軸直角方向D2の全域に亘って設けられている。
第1突出部11d及び第2突出部21dの間には、シール部材4が介在している。シール部材4は、第1突出部11dと第2突出部21dとの間の隙間を塞いでいる。シール部材4は、例えばスポンジ状のゴム部材であり、第1突出部11dと第2突出部21dとの間に押し付けられて設置される。
第1プレキャスト部材10の第1鉄筋12は、第1プレキャストブロック11の内部において橋軸方向D1に延在している。第1鉄筋12は、第1プレキャストブロック11の第1端部11Aから橋軸方向D1にU字状に突出する第1部分12aを有する。第1部分12aは、橋軸方向D1における間詰材30の中心部分を通る中心線CLよりも第2プレキャストブロック21側にまで延びている。第1部分12aは、端面11aの上側から橋軸方向D1に突出すると共に徐々に下側に湾曲し、端面11a側に折り返されて端面11aの下側にまで湾曲して延びている。
第1部分12aは半円状とされている。第1部分12aの曲げ半径は、第1鉄筋12の強度、及び間詰材30の強度などに応じて決められる。また、第1プレキャストブロック11の鉛直方向D3の厚さは、第1部分12aの曲げ半径に応じて決められる。すなわち、第1部分12aの曲げ半径が大きいほど、第1プレキャストブロック11の鉛直方向D3の厚さは大きくなる。
第2プレキャスト部材20の第2鉄筋22は、第1鉄筋12と同様、第2プレキャストブロック21の内部で橋軸方向D1に延在している。第2鉄筋22は、第2端部21AからU字状に突出する第2部分22aを有する。第2部分22aの形状及び配置態様は、第1鉄筋12の第1部分12aと同様である。
間詰材30は、第1端部11Aと第2端部21Aとの間に形成された継手空間(目地空間)に充填されている。連結構造1では、間詰材30の内部において、U字状に突出する第1部分12aと、U字状に突出する第2部分22aとが重なり合うループ状の継手が構成されている。すなわち、第1部分12aと第2部分22aは、橋軸方向D1においてラップするループ継手を構成している。
間詰材30は、例えば、高強度繊維補強モルタルである。高強度繊維補強モルタルとしては、前述した超高強度繊維補強コンクリート(UFC)を用いてもよいし、UFC以外のものを用いてもよい。例えば、高強度繊維補強モルタルの圧縮強度は、50N/mm以上且つ150N/mm以下であり、より好ましくは80N/mm以上且つ150N/mm以下である。
高強度繊維補強モルタル(間詰材30)の強度と、橋軸方向D1における第1部分12a及び第2部分22aの重なり長さとは、逆相関の関係となっている。よって、間詰材30の圧縮強度が大きいほど、第1部分12a及び第2部分22aの重なり長さを短くすることが可能である。
また、間詰材30と第1プレキャストブロック11との界面(端面11a)、及び間詰材30と第2プレキャストブロック21との界面(端面21a)には、接着剤40が設けられている。接着剤40は、例えば遅延性を有する材料によって構成されており、接着剤40の硬化速度は間詰材30の硬化速度と同等もしくは遅い。なお、高強度繊維補強モルタルである間詰材30はコンクリート用化学混和剤を多量に用いていることにより、通常のコンクリートよりも硬化速度が遅いため、接着剤40として、通常の接着剤よりも硬化速度が遅いものを用いてもよい。また、接着剤40は、高い止水性を有しており、これにより端面11a及び端面21aからの水の浸入が阻止される。
例えば、接着剤40はエポキシ樹脂系の接着剤であり、接着剤40としては、第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20の上に設けられる接着剤層の接着剤と同一のものが用いられる。また、接着剤40としては、ビスフェノールA型エポキシ又はビスフェノールF型エポキシを主剤とし、ポリアミン系又はメルカプタン系を硬化剤とした接着剤を用いることができる。
また、接着剤40は、第1プレキャストブロック11及び第2プレキャストブロック21への追従性、施工性又は母材との付着性を考慮すると、温度23℃における粘度が、3000mPa・s以上且つ25000mPa・s以下であることが好ましく、3500mPa・s以上且つ20000mPa・s以下であることが更に好ましい。
接着剤40は、例えば、その最小硬化時間(キュアタイム)が100分以上且つ1000分以下であり、その可使時間(ゲルタイム)が50分以上且つ500分以下であってもよい。最小硬化時間とは接着剤が硬化する最小時間であり、可使時間とは接着剤が流動性を失い粘性が急激に増加するまでの時間である。また、可使時間は、例えばドライングレコーダー試験において、接着剤の粘性が高くなり接着剤に針を通したときに針の跡がつく時間に相当し、接着剤40を塗布してから間詰材30を打設するまでの限界の時間を定める目安となる。最小硬化時間は、接着剤の硬化が進行して接着剤に針を通しても針の跡がつかなくなった時間に相当する。接着剤40の最小硬化時間及び可使時間が前述した範囲内であり、間詰材30の強度発現時間(凝結の始発時間)をセメント種類やコンクリート用化学混和剤で調整し、接着剤40の最小硬化時間と同等もしくは早くすることで両者の付着性を確保することが可能となる。
図4に示されるように、第1鉄筋12及び第2鉄筋22は、共に、橋軸直角方向D2に沿って複数並設されている。平面視において、第1鉄筋12と第2鉄筋22は交互に配置されている。また、1本の第1鉄筋12と、当該1本の第1鉄筋12に隣接する第2鉄筋22とは、互いに接触している。
次に、第1プレキャスト部材10と第2プレキャスト部材20とを間詰材30を介して連結する連結方法について図5及び図6を参照しながら説明する。まず、第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20を準備する。第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20は、工場において予め製造する。
具体的には、第1鉄筋12が第1プレキャストブロック11に埋め込まれて第1端部11AからU字状の第1部分12aが突出する第1プレキャスト部材10と、第2鉄筋22が第2プレキャストブロック21に埋め込まれて第2端部21AからU字状の第2部分22aが突出する第2プレキャスト部材20と、を準備する(準備する工程)。
また、第1プレキャストブロック11の端面11aと、第2プレキャストブロック21の端面21aと、に目荒らしを行う(目荒らしを行う工程)。この目荒らしは、例えば、第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20を搬送する前に工場内で行う。具体的には、第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20の製造時において、端面11a,21aに対向する型枠の部位に硬化を遅延させる遅延剤を塗布し、この状態で超高強度繊維補強コンクリートの打設及び脱型を行った後に、端面11a,21aに対してウォータージェット工法で洗い出しを行う。この洗い出しによって端面11a,21aのセメントを洗い流し繊維を露出させて端面11a,21aに凹凸を形成する目荒らしを実行する。この目荒らしは、端面11a,21aに対する間詰材30の接着力を高めるために行う。
次に、例えば揚重機で第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20を吊り上げ、第1プレキャスト部材10と第2プレキャスト部材20を主桁3の上に配置する。そして、図5(a)に示されるように、第1プレキャスト部材10の第1端部11Aと、第2プレキャスト部材20の第2端部21Aとを対向させる。
このとき、第1端部11Aと第2端部21Aとの間に間詰材30を充填する充填空間S(継手空間)を形成する。そして、充填空間Sにおいて、第1鉄筋12の第1部分12aと、第2鉄筋22の第2部分22aとを橋軸方向D1に重ね合わせるように、第1端部11Aと第2端部21Aとを突き合わせる(突き合わせる工程)。
そして、図5(b)に示されるように、端面11a,21aに接着剤40を塗りつける(接着剤を塗布する工程)。このとき、接着剤40は端面11a,21aの全体に塗りつけられるが、一部のみに塗り付けられてもよく、接着剤40を塗りつける態様及び手段については特に限定されない。
以上のように接着剤40を端面11a,21aに塗った後には、図6(a)及び図6(b)に示されるように、型枠Kを設置する。型枠Kを設置するとき、又は型枠Kを設置する前までに、第1端部11Aの第1突出部11dと第2端部21Aの第2突出部21dとの間にシール部材4を挟み込む。このシール部材4の挟み込みによって第1突出部11dと第2突出部21dとの間を塞ぐ。
型枠Kの設置は、第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20における橋軸直角方向D2の両側に対して行う。すなわち、第1端部11A及び第2端部21Aの橋軸直角方向D2の一方側及び他方側のそれぞれに型枠Kを配置して、第1端部11A及び第2端部21Aの橋軸直角方向D2の両側を塞ぎ込む。
以上のように、型枠Kの配置、及びシール部材4の挟み込みを完了させた後には、充填空間Sに間詰材30を充填する(間詰材を充填する工程)。このとき、充填空間Sに対し、上から間詰材30を打設して、第1鉄筋12の第1部分12a及び第2鉄筋22の第2部分22aを間詰材30で埋め込む。そして、間詰材30を硬化させて型枠Kを外した後に、連結構造1が完成する。
次に、本実施形態に係る連結構造1及び連結方法の作用効果について説明する。
本実施形態に係る連結構造1及び連結方法では、第1プレキャストブロック11に埋め込まれると共に第1端部11AからU字状に突出する第1鉄筋12と、第2プレキャストブロック21に埋め込まれると共に第2端部21AからU字状に突出する第2鉄筋22とを備える。そして、第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20の連結方向(橋軸方向D1)において、第1鉄筋12のU字状に突出する第1部分12aと、第2鉄筋22のU字状に突出する第2部分22aとは重なっている。第1部分12aと第2部分22aとは間詰材30の内部において重なっているので、第1鉄筋12及び第2鉄筋22を介して第1プレキャスト部材10と第2プレキャスト部材20とを構造的に一体性を持たせることができる。
また、第1端部11Aの間詰材30との界面である端面11a、及び第2端部21Aの間詰材30との界面である端面21aには、接着剤40が設けられている。このように接着剤40が設けられることにより、第1プレキャスト部材10と間詰材30と第2プレキャスト部材20との間における付着力と耐久性を高めることができ、更に一体性を高めることができる。よって、第1プレキャスト部材10、間詰材30及び第2プレキャスト部材20の界面(端面11a,21a)にひびが入るのを抑制することができるので、ひびから水が浸入して第1鉄筋12、第2鉄筋22又は主桁3等が腐食することを回避することができる。
特に、本実施形態では、第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20が道路橋5の橋梁構造を成しているプレキャスト床版であるため、例えば道路上を車両が通過するたびに第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20には荷重がかかる。よって、仮に端面11a,21aに接着剤40が設けられていない場合には、疲労による経年劣化等によって端面11a,21aにひびが入ったり剥離が生じたりする懸念がある。
しかしながら、前述したように、本実施形態では端面11a,21aに接着剤40が設けられており、端面11a,21aにおける付着強度が高められているので、前述した懸念を解消できる。更に、接着剤40がエポキシ樹脂で構成されている場合には、接着剤40を柔軟にすることも可能となるため、接着剤40を応力緩衝材として機能させることができる。
また、間詰材30は、高強度繊維補強モルタルを含んでいる。高強度繊維補強モルタルは、通常のコンクリートと比較して、高強度であり且つ水や塩分等の浸透抵抗性にも優れている。特に、高強度繊維補強モルタルは高い圧縮強度、引張強度、ひび割れ抵抗性、鉄筋との付着強度及び剪断強度を有するため、間詰材30の内部で第1鉄筋12と第2鉄筋22とが重なる継手部分の橋軸方向D1における長さを短くすることができ、間詰材30の量を減らすことができる。従って、現場作業を軽減させることができる。
また、図2及び図9に示されるように、間詰材として通常のコンクリートCを使用した連結構造100と比較して、強度が高い間詰材30が用いられる本実施形態では、U字状とされた第1部分12a及び第2部分22aの半径を小さくすることができる。従って、第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20の厚さを薄くすることができ、且つ、第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20を軽量化させることができる。
また、間詰材がコンクリートCである連結構造100では、連結構造1と比較して、第1鉄筋12と第2鉄筋22とが重なる部分の橋軸方向D1の長さを長くすると共に、第1プレキャスト部材110及び第2プレキャスト部材120を厚くする必要がある。しかしながら、昔に構築されたプレキャスト部材には、プレキャスト部材110,120の厚さよりも薄いものが存在する。
従って、昔に構築されたプレキャスト部材の一部をプレキャスト部材110,120に取り替える場合、薄いプレキャスト部材と厚いプレキャスト部材110,120とが混在することが想定される。しかしながら、プレキャスト部材の上側に位置するアスファルト層の厚さを変えることはできず、更にアスファルト層の上面は平坦にしなければならないため、結局昔に構築されたプレキャスト部材を全てプレキャスト部材110,120に取り替えなければならないという問題が生じうる。従って、プレキャスト部材110,120を用いた場合、本来取り替えが不要なプレキャスト部材まで取り替える必要が生じ、事業全体のコストが大きくなることが想定される。これに対し、本実施形態のプレキャスト部材10,20は、プレキャスト部材110,120よりも薄くすることができるため、昔に構築されたプレキャスト部材の一部をプレキャスト部材10,20に取り替えることも可能となる。
更に、連結構造100では、第1鉄筋112及び第2鉄筋122の他に、コンクリートC内で橋軸直角方向D2に延びる複数の鉄筋132を配置する必要がある。これに対し、本実施形態の連結構造1では、間詰材30内で橋軸直角方向D2に延びる鉄筋を配置する必要がないため、この点でも現場作業を軽減させることができる。
また、第1端部11Aは、第2プレキャスト部材20に向かって突出する第1突出部11dを有し、第2端部21Aは、第1プレキャスト部材10に向かって突出すると共に第1突出部11dに対向する第2突出部21dを有する。従って、第1突出部11dと第2突出部21dの間にシール部材4を挟み込むことによって第1突出部11dと第2突出部21dとの間の隙間を埋めることができる。よって、第1突出部11d及び第2突出部21dに対向する型枠を不要とすることができる。
すなわち、第1突出部11d及び第2突出部21dの下側に位置する型枠を不要とすることができ、第1端部11A及び第2端部21Aの橋軸直角方向D2の両側に位置する型枠Kのみを設置すればよい。よって、間詰材30の充填時における型枠Kの設置作業を軽減させることができるので、現場作業を一層容易に行うことができる。
また、図4に示されるように、第1鉄筋12の第1部分12aと第2鉄筋22の第2部分22aとは、互いに接触している。従って、第1鉄筋12と第2鉄筋22とが接触しているので、第1鉄筋12及び第2鉄筋22における力の伝達をスムーズにすることができる。
また、第1プレキャストブロック11及び第2プレキャストブロック21は、超高強度繊維補強コンクリート(UFC)によって構成されている。超高強度繊維補強コンクリートは、通常のコンクリートと比較して非常に優れた強度や物質浸透抵抗性を有しており、設計に引張強度やひび割れ発生強度を見込むことができるため、体積及び重量を大幅に減らしても通常のコンクリートと同等以上の強度を発揮する。従って、第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20を軽量化させることができるので、現場への第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20の運搬、吊り上げ、及び吊り降ろしを容易に行うことができる。
更に、超高強度繊維補強コンクリートは、水又は凍結防止剤等の劣化因子に対して高い物質遮断性を有する。従って、超高強度繊維補強コンクリートによって構成された第1プレキャスト部材10と第2プレキャスト部材20は、高い耐久性を有する。よって、第1プレキャスト部材10と第2プレキャスト部材20を用いることにより、現場作業を容易に行うことを可能としつつ、一層高い耐久性を確保することができる。
また、本実施形態において、第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20は、プレキャスト床版である。従って、付着力と耐久性を高めると共に、一体性が高められた床版を構築することができる。
また、本実施形態に係る連結方法では、接着剤を塗布する工程の前に、端面11a,21aに目荒らしを行う工程を備える。よって、端面11a,21aに目荒らしを行うことにより、互いに対向する2つの端面11a,21aに第1プレキャストブロック11及び第2プレキャストブロック21の繊維を露出させることができる。従って、第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20と、間詰材30との界面に繊維を架橋させることができるので、第1プレキャスト部材10、間詰材30及び第2プレキャスト部材20の一体性を一層高めることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る連結構造51について図7を参照しながら説明する。図7は、連結構造51を上から見た断面図である。連結構造51は、第1実施形態の第1プレキャスト部材10及び第2プレキャスト部材20と同様、第1プレキャスト部材60と第2プレキャスト部材70とを備える。第1プレキャスト部材60は、第1プレキャストブロック61及び第1鉄筋62を備えており、第2プレキャスト部材70は第2プレキャストブロック71及び第2鉄筋72を備えている。
第1プレキャストブロック61、第1鉄筋62、第2プレキャストブロック71及び第2鉄筋72の形状及び大きさは、例えば、第1実施形態の第1プレキャストブロック11、第1鉄筋12、第2プレキャストブロック21及び第2鉄筋22の形状及び大きさと同一である。
そして、第1実施形態と同様、第1鉄筋62は第1プレキャストブロック61から間詰材30の内部にU字状に突出する第1部分62aを有し、第2鉄筋72は第2プレキャストブロック71から間詰材30の内部にU字状に突出する第2部分72aを有する。また、平面視における第1鉄筋62の配置と第2鉄筋72の配置とが第1実施形態と異なっている。以下の説明では、第1実施形態と重複する説明を省略する。
第1鉄筋62の第1部分62aと第2鉄筋72の第2部分72aとは、互いに離間している。第1部分62a及び第2部分72aは、橋軸直角方向D2に交互に配置されている。橋軸直角方向D2における第1部分62aと第2部分72aとの間隔は、例えば、等間隔とされており、間詰材30において第1部分62a及び第2部分72aは千鳥状に配置されている。
すなわち、橋軸直角方向D2に延びる基準線L上において、1つの第1部分62aは、一方側に隣接する第2部分72aと他方側に隣接する第2部分72aとの略中間位置に配置されている。同様に、基準線L上において、1つの第2部分72aは、一方側に隣接する第1部分62aと他方側に隣接する第1部分62aとの略中間位置に配置されている。なお、第1部分62a及び第2部分72aは、上記の略中間位置からずれた位置に配置されていてもよい。
以上、第2実施形態に係る連結構造51では、第1鉄筋62の第1部分62aと第2鉄筋72の第2部分72aとは、互いに離間しており、第1部分62aと第2部分72aとは、交互且つ略等間隔に配置されている。従って、連結構造51では、第1実施形態と同様の効果が得られると共に、第1部分62aと第2部分72aとを千鳥配置にすることができる。
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る連結構造81について図8を参照しながら説明する。連結構造81は、第1鉄筋12の第1部分12aと、第2鉄筋22の第2部分22aに定着体82が設けられる点で第1実施形態と異なっている。定着体82は、第1部分12a及び第2部分22aにおける最も突出した箇所であって鉛直方向D3に延びる部分に取り付けられている。
定着体82は、鉄筋12,22に対して拡径された拡径部82aと、拡径部82aの径方向の一方側で鉛直方向D3に延びる支圧面確保部82bとを備えている。定着体82は、例えば、鉄筋12,22に取り付け可能なリング状且つクリップ状とされており、支圧面確保部82bは拡径部82aに溶接固定されている。支圧面確保部82bは、鉛直方向D3及び橋軸直角方向D2に延在する支圧面82cを有することにより、引き抜きに対する抵抗力を確保している。この支圧面82cは、定着体82が取り付けられた鉄筋12,22側を向いている。
以上、第3実施形態に係る連結構造81では、第1鉄筋12の第1部分12aと第2鉄筋22の第2部分22aとのそれぞれに定着体82が設けられている。従って、定着体82によって第1部分12a及び第2部分22aから間詰材30に支圧力が伝達されやすくなるので、間詰材30と第1鉄筋12及び第2鉄筋22との定着性を高めることができる。よって、定着体82を設けない場合と比較して、第1鉄筋12と第2鉄筋22とが重なる部分の連結方向(橋軸方向D1)における長さを一層短くすることができる。
また、第3実施形態では、第1部分12a及び第2部分22aの鉛直方向D3に延びる部分に設けられる定着体82について説明したが、定着体82と共に又は定着体82に代えて、第1部分12a及び第2部分22aの鉄筋12,22が斜めに延びる部分に取り付けられた定着体83を備えていてもよい。
定着体83は、定着体82と同様の拡径部83aを備えており、拡径部83aの鉄筋12,22側を向く面が支圧面83bとされる。従って、鉄筋12,22の斜めに延びる部分に取り付けられた定着体83では、支圧面確保部82bを不要とすることができる。なお、定着体の形状、大きさ、個数及び配置位置は、上記に限定されず適宜変更可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、連結構造1,51,81を構成する各要素の構成は上記の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、前述した実施形態では、UFCによって構成された第1プレキャストブロック11及び第2プレキャストブロック21について説明したが、第1プレキャストブロック及び第2プレキャストブロックはUFC以外のコンクリートによって構成されていてもよい。また、第1プレキャストブロック及び第2プレキャストブロックの形状及び大きさについては適宜変更可能である。更に、第1プレキャストブロック及び第2プレキャストブロックのそれぞれに埋め込まれた第1鉄筋及び第2鉄筋の形状、大きさ及び配置態様についても適宜変更可能である。
また、前述した実施形態では、高強度繊維補強モルタルである間詰材30について説明した。しかしながら、間詰材は、高強度繊維補強モルタル以外の材料によって構成されていてもよく、例えば、通常のコンクリートによって構成されていてもよい。また、間詰材の成分の一部のみが高強度繊維補強モルタルであってもよい。これらの場合も、前述の各実施形態と同様、接着剤40を端面11a,21aに塗布することにより一体性を高める効果が得られる。
また、前述した実施形態では、遅延性の接着剤40を用いた例について説明したが、遅延性でない接着剤を用いてもよい。例えば、間詰材30として通常のコンクリートや早強ポルトランドセメントを基本とした高強度繊維補強モルタル又は超高強度繊維補強コンクリートを用いた場合には、間詰材30が硬化する速度より若干遅い程度の硬化速度を有する接着剤を用いてもよい。すなわち、接着剤としては、間詰材の種類に応じて硬化速度が異なるものを適宜使用可能である。
また、前述した実施形態では、道路橋5の橋梁構造を成す連結構造1について説明したが、本発明に係る連結構造は、道路橋の橋梁構造以外にも適用可能である。すなわち、本発明に係る連結構造は、例えば、梁同士を連結する連結構造、柱同士を連結する連結構造、又はボックスカルバートにおける連結構造であってもよい。
1,51,81…連結構造、2…橋脚、3…主桁、4…シール部材、5…道路橋、6…床版、7…支承、10,60…第1プレキャスト部材、11,61…第1プレキャストブロック、11A…第1端部、11a…端面、11b…第1側面、11c…第2側面、11d…第1突出部、12,62…第1鉄筋、12a,62a…第1部分、20,70…第2プレキャスト部材、21,71…第2プレキャストブロック、21A…第2端部、21a…端面、21b…第1側面、21c…第2側面、21d…第2突出部、22,72…第2鉄筋、22a,72a…第2部分、30…間詰材、40…接着剤、82,83…定着体、82a、83a…拡径部、82b…支圧面確保部、82c,83b…支圧面、CL…中心線、D1…橋軸方向(連結方向)、D2…橋軸直角方向、D3…鉛直方向、K…型枠、L…基準線、S…充填空間。

Claims (10)

  1. 第1プレキャスト部材と第2プレキャスト部材との間に充填される間詰材を介して前記第1プレキャスト部材と前記第2プレキャスト部材とを連結する連結構造であって、
    前記第1プレキャスト部材は、前記第2プレキャスト部材に対向する第1端部を有する第1プレキャストブロックと、前記第1プレキャストブロックに埋め込まれると共に前記第1端部からU字状に突出する第1鉄筋と、を備え、
    前記第2プレキャスト部材は、前記第1プレキャスト部材に対向する第2端部を有する第2プレキャストブロックと、前記第2プレキャストブロックに埋め込まれると共に前記第2端部からU字状に突出する第2鉄筋と、を備え、
    前記第1プレキャスト部材と前記第2プレキャスト部材とが連結する連結方向において、前記第1鉄筋のU字状に突出する第1部分と、前記第2鉄筋のU字状に突出する第2部分とは重なっており、
    前記第1端部における前記間詰材との界面、及び前記第2端部における前記間詰材との界面には、接着剤が設けられており、
    前記間詰材は、高強度繊維補強モルタルを含んでおり、
    前記接着剤は、前記間詰材の硬化速度と同等もしくは遅い遅延性を有する材料によって構成されている、
    連結構造。
  2. 前記第1端部は、前記第2プレキャスト部材に向かって突出する第1突出部を有し、
    前記第2端部は、前記第1プレキャスト部材に向かって突出すると共に前記第1突出部に対向する第2突出部を有する、
    請求項1に記載の連結構造。
  3. 前記第1部分と前記第2部分とは、互いに接触している、
    請求項1又は2に記載の連結構造。
  4. 前記第1部分と前記第2部分とは、互いに離間しており、
    前記第1部分と前記第2部分とは、交互且つ略等間隔に配置されている、
    請求項1又は2に記載の連結構造。
  5. 前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれには、定着体が設けられている、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の連結構造。
  6. 前記第1プレキャストブロック及び前記第2プレキャストブロックは、超高強度繊維補強コンクリートによって構成されている、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の連結構造。
  7. 前記第1プレキャスト部材及び前記第2プレキャスト部材は、プレキャスト床版である、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の連結構造。
  8. 第1プレキャスト部材と第2プレキャスト部材とを間詰材を介して連結する連結方法であって、
    第1鉄筋を第1プレキャストブロックに埋め込むと共に第1端部から前記第1鉄筋がU字状に突出する第1プレキャスト部材、及び第2鉄筋を第2プレキャストブロックに埋め込むと共に第2端部から前記第2鉄筋がU字状に突出する第2プレキャスト部材を準備する工程と、
    前記第1プレキャスト部材及び前記第2プレキャスト部材が連結する連結方向において、前記第1端部からU字状に突出する第1部分と、前記第2端部からU字状に突出する第2部分とが重なるように前記第1端部と前記第2端部を突き合わせる工程と、
    前記第1端部における前記第2端部に対向する面と、前記第2端部における前記第1端部に対向する面と、に接着剤を塗布する工程と、
    前記第1端部と前記第2端部との間に間詰材を充填する工程と、
    を備え
    前記間詰材を充填する工程では、前記間詰材として高強度繊維補強モルタルを充填し、
    前記接着剤は、前記間詰材の硬化速度と同等もしくは遅延性を有する材料によって構成されている、
    連結方法。
  9. 前記第1プレキャストブロック及び前記第2プレキャストブロックは、超高強度繊維補強コンクリートによって構成されており、
    前記接着剤を塗布する工程の前に、前記第1端部における前記第2端部に対向する面と、前記第2端部における前記第1端部に対向する面と、に目荒らしを行う工程を備える、
    請求項に記載の連結方法。
  10. 前記第1プレキャスト部材及び前記第2プレキャスト部材は、プレキャスト床版である、
    請求項8又は9に記載の連結方法。
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