JP3575564B2 - Pc版製造用の端面型枠 - Google Patents
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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、PC版(プレキャストコンクリート版)を製造するための型枠、中でも、PC版を互いに連結するための横向きU字状の鉄筋が端面部に突出されたPC版製造用の端面型枠に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記のPC版は、例えば舗道や橋梁などの施工に用いられるもので、一般には図1〜図4示すように、PC版連結用鉄筋2の挿通部3を形成する側面視で横向きU字状の鉄筋4…を、PC版本体5の幅方向両側の端面部6に突出させると共に、この端面部6の下部側に迫り出し部7を連設して成る。
【0003】
そして、橋梁や舗道の施工に際しては、その規模にもよるが、例えば、幅方向の端面部に150ミリのピッチでU字状鉄筋4を突出させた長さが15メートルで幅が2メートル程度のPC版1を床版にして、このPC版1を順次、U字状鉄筋4を相手方のU字状鉄筋4,4間に差し込むようにして、かつ、それの迫り出し部7,7を互いに突き合わせるようにして、橋桁や道床上に並べると共に、隣り合うPC版1,1のU字状鉄筋4,4によるループ状の鉄筋挿通部3にPC版連結用の鉄筋2…を挿通し、次いで迫り出し部7,7と端面部6,6とによる凹部にコンクリート8を打設して、最終的に表面をアスファルト層9で仕上げて橋梁や舗道が施工される(図5を参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かゝる構成によれば、PC版連結用鉄筋2の挿通部3を形成する鉄筋4が側面視で横向きU字状であることから、PC版の端面部に単純に直線状の鉄筋を突出させるものに比べて、PC版1,1どうしの連結が高強度で達成されるのであるが、細かいピッチで多数本のU字状鉄筋4を端面部から突出させる従来のPC版製造用の端面型枠にあっては、その端面型枠の立て込みと、U字状鉄筋の組み立て並びに脱型に多大の手間と時間を要したもので、PC版の製造コストが高くなる点で問題があった。
【0005】
即ち、従来の端面型枠は、図13,14に示すように、PC版の端面部成形用の側板19に、U字状鉄筋4を外方に挿通させるスリットdを所定の配筋ピッチで形成すると共に、このスリットdのそれぞれの両側に雌ねじ部e,eを設け、かつ、スリットdの上部側を閉じる上蓋部材31と、U字状鉄筋4の上下の鉄筋部分4b,4a間に挿通される中蓋部材32とを、前記雌ねじ部eに螺合されるボルト33によって側板19に止着して、鉄筋挿通後のスリットdを閉じるように構成されていたのである。
【0006】
ところが、上記の構成によれば、中蓋部材32を幾ら短尺にしたとしても、この中蓋部材32を上下の鉄筋部分4b,4a間に挿通させたり、或いは抜き出したりすることが非常に困難であり、更に、U字状鉄筋4,4間の隙間が狭くて作業条件が悪いことと、ボルト点数が膨大であることから、側板19に対する蓋部材31,32止着や解体の作業も困難を極めるものであった。
【0007】
加えて、何らかの拍子にU字状鉄筋4が位置ずれして、U字状鉄筋4が側板19から大きく張り出してしまうと、PC版1,1を並べた際に、そのU字状鉄筋4が相手方のPC版1の端面部に突き当たってしまって、PC版1,1を所定の寸法通りに配置できなくなる問題もあった。
【0008】
また、上記構成の端面型枠にあっては、コンクリートの漏れ出しを防止する上で、上記のスリットdに対してU字状鉄筋4を出来るだけ密に挿通させるようにすることが肝要であるが、このようにスリットdを形成すると、U字状の鉄筋4をはじめとして、PC版に埋設すべき各種鉄筋を予め底型枠上に組み立てて、これの多数本のU字状鉄筋4を一挙にスリットdに挿通させるように側板19を立て込むことは、全てのU字状鉄筋4が確実に位置決めされていない限りは、不可能であると言っても過言ではない。
【0009】
このことから、U字状鉄筋4については、側板19を所定の位置に立て込んで後に、これのスリットdにU字状鉄筋4を1本ずつ挿通させる手順をとらざるを得ないもので、配筋の段取りが悪くなって鉄筋の組み立てに時間がかゝる問題もあった。
【0010】
本発明は、かゝる実情に鑑みて成されたものであって、その目的は、PC版連結用鉄筋の挿通部を形成する側面視で横向きU字状の鉄筋を端面部に突出させたPC版を製造するにあたり、U字状鉄筋の周囲にコンクリートが廻り込まない状態に側板を立て込む作業やコンクリート硬化後の脱型作業を、容易かつ迅速に行うことができるようにしたPC版製造用の端面型枠を提供する点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明が講じた技術的手段は次の通りである。即ち、横向きU字状の鉄筋を端面部に突出させるPC版製造用の第1発明による端面型枠は、PC版の端面部成形用の側板とその上縁に連なる上面板に、U字状鉄筋をルーズに挿通させる切欠きを形成し、この切欠きのまわりに、左右の内面が先細りのテーパー面で且つ先端部にU字状鉄筋の先端部を係合する鉄筋覆いカバーを設ける一方、当該カバー内部に対するコンクリートの廻り込み防止部材を、U字状鉄筋の内周面部に嵌め込み保持される中間部の空間埋め部材と、U字状鉄筋4の上部側鉄筋部分4bに載せられる上部側の空間埋め部材23bとから構成して、この空間埋め部材のそれぞれを鉄筋覆いカバーのテーパー面に当接可能に備えて成る点に特徴がある。
【0012】
第2発明によるPC版製造用の端面型枠は、PC版の端面部成形用の側板とその上縁に連なる上面板に、U字状鉄筋をルーズに挿通させる切欠きを形成し、この切欠きのまわりに、左右の内面が先細りのテーパー面で且つ先端部にU字状鉄筋の先端部を係合する鉄筋覆いカバーを設ける一方、当該カバー内部に対するコンクリートの廻り込み防止部材を、前記U字状鉄筋に左右両側から係合して互いに当接する左右一対の空間埋め部材によって構成し、この空間埋め部材のそれぞれを鉄筋覆いカバーのテーパー面に当接可能に備えて成る点に特徴がある。
【0013】
【作用】
上記の特徴構成によれば、第1及び第2の何れの発明においても、PC版の端面部成形用の側板とその上縁に連なる上面板に、U字状鉄筋をルーズに挿通させる切欠きを形成しているので、PC版に埋設すべき各種鉄筋を型枠組立後に、型枠内に配筋することもできるし、或いは、PC版に埋設すべき各種鉄筋を予め底型枠上に組み立てておいて、これの多数本のU字状鉄筋を一挙に切欠きに挿通させるように側板を立て込むことが、U字状鉄筋が多少位置ずれしていても可能となる。
【0014】
即ち、PC版に埋設すべき各種鉄筋を予め底型枠上に組み立てておく場合、この側板の立て込みに際して、U字状鉄筋が左右方向に位置ずれしているときは、その曲げ先端部が鉄筋覆いカバーの左右のテーパー面に案内され、U字状鉄筋が下方に位置ずれしているときは、曲げ先端部が切欠きの下縁部に案内される。
また、U字状鉄筋の先端位置が規定位置を越えて張り出していても、その先端部が鉄筋覆いカバーによって相対的に押圧されることで、所定の位置に押し戻し修正されるもので、最終的にU字状鉄筋の先端部が自動的にカバー先端部に落ち着くように姿勢が矯正される。
【0015】
そして、鉄筋覆いカバーによってU字状鉄筋の張り出し寸法が規制されることに加えて、カバー内部に対するコンクリートの廻り込み防止部材を、U字状鉄筋に対して分離可能に備えさせているので、後は、PC版製造型枠内にコンクリートを打設し、かつ、コンクリートの硬化後に側板を脱型して、上記の廻り込み防止部材を取り外すことで、U字状鉄筋の鉄筋挿通部へのコンクリートの廻り込みが確実に防止されたPC版が、それのU字状鉄筋の張り出し寸法が規定寸法以下に制限されて製造される。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は舗道や橋梁の施工に用いられるPC版1を示し、このPC版1は、図2〜3にも示すように、PC版連結用鉄筋2の挿通部3を形成する側面視で横向きU字状の鉄筋4…を、PC版本体5の幅方向両側の端面部6に突出させると共に、この端面部6の下部側に、U字状鉄筋4の張り出し寸法の半分程度の迫り出し部7を連設して成る。
【0017】
このPC版1を用いた舗道の施工例を図5に示しており、例えば、幅方向の端面部に150ミリのピッチでU字状鉄筋4を突出させた長さが15メートルで幅が2メートル程度のPC版1を床版にして、このPC版1を順次、U字状鉄筋4を相手方のU字状鉄筋4,4間に差し込むようにして、かつ、それの迫り出し部7,7を互いに突き合わせるようにして、道床上に並べると共に、隣り合うPC版1,1のU字状鉄筋4,4によるループ状の鉄筋挿通部3にPC版連結用の鉄筋2…を挿通し、次いで迫り出し部7,7と端面部6,6とによる凹部にコンクリート8を打設し、最終的に表面をアスファルト層9で仕上げている。
【0018】
次に、端面部6からU字状鉄筋4を突出させたPC版1の製造に用いられる第1発明の型枠の構造について説明すると、この型枠は、図6に示すように、ベース10上のH鋼による矩形の枠組11上に底型枠12を設けると共に、この底型枠12の長手方向両側に、PC版1の長手方向両側の端面形状に合わせた端面型枠13を立設し、かつ、前記ベース10の幅方向の部材をレール14にして、このレール14に沿って互いに接近ならびに離間可能に移動部材15,15を設けると共に、PC版1の幅方向両側の端面形状に合わせた端面型枠16を移動部材15のそれぞれに設けて成る。
【0019】
前記端面型枠16の詳細は図7〜9に示す通りであって、前記迫り出し部7の突出端部を形成する部材、即ち、底型枠12の端縁に沿う部材17と水平面板18とを、前記移動部材15の上部に設けると共に、前記水平面板18上に、前記迫り出し部7の上面部とPC版1の端面部6とを形成する側板19を設け、かつ、この端面部成形用の側板19の上縁部に、側板19の水平板部19aに相対峙させて上板部20を設けている。
【0020】
そして、前記U字状鉄筋4の配筋ピッチに合わせて、このU字状鉄筋4をルーズに外方に挿通させる上面と内面(型枠内部に面する側)の開口した切欠き21を側板19及び上板部20に形成すると共に、この切欠き21のまわりに、U字状鉄筋4を覆う鉄筋覆いカバー22を設けている。
【0021】
この鉄筋覆いカバー22は、前記切欠き21から張り出したU字状鉄筋4を両側から覆うもので、前記水平板部19aと上板部20とにわたって設けられており、側板19に上板部20に対して溶接等の手段により固着されている。鉄筋覆いカバー22の左右の内面部は先細りになるテーパー面Sに形成されていて、その先端部にU字状鉄筋4の先端部(曲げ鉄筋部分4c)を係合して、U字状鉄筋4の張り出し寸法を規定寸法以下に規制させる機能を有する。
【0022】
一方、前記U字状鉄筋4をルーズに挿通させる切欠き21は、その幅が鉄筋径の2倍程度であって、前記側板19の水平板部19aにU字状鉄筋4の下部側鉄筋部分4aを当接させた状態で、切欠き21の上縁と上部側鉄筋部分4bとの間に、鉄筋径の2倍程度の隙間が形成されるようになっている。
【0023】
尚、前記U字状鉄筋4は、PC版1,1を隣り合わせに配置した際に、一方のPC版1のU字状鉄筋4が相手方のU字状鉄筋4,4間に差し込まれるように配筋されるもので、左右両側の側板19,19には、このU字状鉄筋4の配筋に合わせるように、切欠き21が互いにピッチをずらせて形成されている。
【0024】
上記のPC版製造用型枠(12、13,13、16,16)にコンクリート8を打設してPC版1を製造する際に、U字状鉄筋4のまわりに、つまり、鉄筋覆いカバー22の内部に、コンクリートが廻り込むことを防止するための部材23を、前記U字状鉄筋4に対して分離可能に備えさせるようにしている。
【0025】
このコンクリートの廻り込み防止部材23は、それぞれがゴム製の、U字状鉄筋4の内周面部に嵌め込み保持される中間部の空間埋め部材23aと、U字状鉄筋4の上部側鉄筋部分4bに載せられ且つ先端部がカバー内面の先端部に当接される上部側の空間埋め部材23bとに分割形成されており、中間部の空間埋め部材23aにはU字状鉄筋4の内周面部に係合する凹部aが形成され、上部側の空間埋め部材23bにはU字状鉄筋4の上部側鉄筋部分4bに係合する凹部bが形成されている。
そして、これらの空間埋め部材23a,23bは、それぞれ、左右の外面部が鉄筋覆いカバー22のテーパー面Sに当接するテーパー面に形成されている。
【0026】
次に、PC版1の製造手順の一例について説明すると、先ずは、幅方向両側の端面型枠16,16を互いに離間させた状態で、図10に示すように、U字状鉄筋4をはじめとして、PC版1に埋設すべき各種鉄筋24…を底型枠12上に組み立て、かつ、中間部の空間埋め部材23aをU字状鉄筋4の内周面部に嵌め込み保持させる。
【0027】
この後に、端面型枠16,16を互いに接近させて側板19を立て込み、相対的にU字状鉄筋4を側板19の切欠き21に挿通させるのであって、このとき、U字状鉄筋4が左右方向に位置ずれしていても、その先端部の曲げ鉄筋部分4cが鉄筋覆いカバー22の左右のテーパー面Sに案内されることで、その姿勢が矯正されることになる。
【0028】
U字状鉄筋4が下方に位置ずれしているときは、先端部の曲げ鉄筋部分4cが切欠き21の上縁部に案内されることで、その姿勢が矯正されることになる。
また、U字状鉄筋4の先端位置が規定位置を越えて張り出していても、その先端部が鉄筋覆いカバー22によって相対的に押圧されることで、所定の位置に押し戻し修正されるもので、最終的にU字状鉄筋4の先端部は、自動的に鉄筋覆いカバー22の先端部に落ち着くように姿勢が矯正される。
【0029】
ここで、図7に示すように、必要に応じて矩形の枠組11に端縁部材17をボルト・ナット25で連結固定し、かつ、U字状鉄筋4の上部側鉄筋部分4bを押し付けるようにして、この上部側鉄筋部分4bの上方のカバー22内に上部側の空間埋め部材23bを押し込んで、U字状鉄筋4の鉄筋挿通部3とこれに臨む左右のカバー空間部とに対するコンクリートの廻り込みを防止した上で、PC版製造用型枠(12、13,13、16,16)内にコンクリートを打設する。
【0030】
このコンクリートの打設によって、空間埋め部材23a,23bにコンクリート圧がかゝるが、中間部の空間埋め部材23aは、その先端部がU字状鉄筋4の曲げ鉄筋部分4cに当接し、上部側の空間埋め部材23bは、その先端部がカバー先端部に当接しているので、空間埋め部材23a,23bは位置ずれすることがない。
【0031】
そして、コンクリートの硬化後に、側板19の切欠き21からU字状鉄筋4を抜き出すように、端面型枠16,16を互いに離間させて脱型し、かつ、空間埋め部材23a,23bを取り外すことで、U字状鉄筋4のまわりへのコンクリートの廻り込み、殊に、鉄筋挿通部3へのコンクリートの廻り込みが確実に防止されたPC版1が、それのU字状鉄筋4の張り出し寸法が規定寸法以下に規制されて製造される。
【0032】
尚、上記の説明では、PC版1に埋設すべき各種鉄筋24…を底型枠12上で先組した後、端面型枠16,16を互いに接近させて、側板19を立て込んでいるが、側板19の立て込み後、PC版1に埋設すべき各種鉄筋24…を底型枠12上に配筋してもよい。また、前記空間埋め部材23a,23bのそれぞれを、繰り返し再使用可能なゴム製としているが、側板19の脱型後に破壊してしまう発泡スチロールなどの合成樹脂製や木製などに変更可能である。
【0033】
第2発明にかゝる端面型枠16を図11に示している。この端面型枠16においては、鉄筋覆いカバー22の内部に対するコンクリートの廻り込み防止部材23の構造のみが、第1発明にかゝる端面型枠16と異なっている。
【0034】
具体的には、このコンクリートの廻り込み防止部材23は、U字状鉄筋4の上下の鉄筋部分4b,4aに係合する凹部c,cが形成された二枚の、つまり、左右一対の空間埋め部材23c,23cから成るものであって、その空間埋め部材23cの上下の寸法は、鉄筋覆いカバー22の上下寸法と略合致している。
【0035】
そして、凹部c,cを上下の鉄筋部分4b,4aに係合させて、二枚の空間埋め部材23c,23cを互いに当接させ、かつ、この空間埋め部材23c,23cを、切欠き21を通して鉄筋覆いカバー22内に押し込んだ状態で、空間埋め部材23c,23cのそれぞれの外面部を、鉄筋覆いカバー22のテーパー面S,Sに当接させるようにしている。
【0036】
上記の構成によれば、端面型枠16を接近させて側板19を立て込み、相対的にU字状鉄筋4を側板19の切欠き21に挿通させて後に、その切欠き21を通して型枠内方から二枚の空間埋め部材23c,23cを鉄筋覆いカバー22内に押し込むか、予め、二枚の空間埋め部材23c,23cでU字状鉄筋4を両側から挟持した状態で、端面型枠16を接近させることにより、二枚の空間埋め部材23c,23cを鉄筋覆いカバー22内に押し込んで、この空間埋め部材23c,23cを鉄筋覆いカバー22のテーパー面Sに嵌合させることで、鉄筋覆いカバー22の切欠き21側のカバー空間が、コンクリート圧を受けても位置ずれすることのない空間埋め部材23c,23cによって閉じられるもので、U字状鉄筋4の鉄筋挿通部3とこれに臨む左右のカバー空間部とに対するコンクリートの廻り込みが確実に防止される。
【0037】
尚、この実施例によれば、脱型後、二枚の空間埋め部材23c,23cをU字状鉄筋4の左右に分離して取り外せるので、弾性変形や破壊の必要がなく、従って、二枚の空間埋め部材23c,23cを金属製とすることができる。この場合、空間埋め部材23c,23cの相対峙する面部に、例えばマグネットを設けて、空間埋め部材23c,23cを互いに磁気吸着させるようにしたり、或いは、空間埋め部材23c,23cの一方を磁性体にし、他方に例えばマグネットを設けて、空間埋め部材23c,23cを互いに磁気吸着させるようにしたりすれば、側板19を立て込む前に、この空間埋め部材23c,23cをU字状鉄筋4に保持させておくことが容易である。その他の構成は、先の第1発明の実施例と同じであるため、説明を省略する。
【0038】
第1発明の実施例と同様に、PC版1に埋設すべき各種鉄筋は底型枠上で先組した後、端面型枠16,16を互いに接近させて、側板19を立て込んでもよく、側板19の立て込み後、PC版1に埋設すべき各種鉄筋を底型枠上に配筋してもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によるPC版製造用の端面型枠によれば、PC版の端面部成形用の側板とその上縁に連なる上面板に、U字状鉄筋をルーズに挿通させる切欠きを形成しているので、PC版に埋設すべき各種鉄筋を型枠組立後に、型枠内に配筋することもできるし、或いは、PC版に埋設すべき各種鉄筋を予め底型枠上に組み立てておいて、これの多数本のU字状鉄筋を一挙に切欠きに挿通させるように側板を立て込むこともできる。この場合、U字状鉄筋が多少位置ずれしていても、この鉄筋の姿勢を所定通りに矯正させる状態で、更には、U字状鉄筋が規定位置を越えて張り出していても、これを所定の位置に押し戻すようにして、枠板を立て込むことが可能となる。
【0040】
そして、U字状鉄筋の周囲、つまり、鉄筋覆いカバー内部に対するコンクリートの廻り込み防止部材を、U字状鉄筋に対して分離可能に備えさせるようにしているので、U字状鉄筋の周囲にコンクリートが廻り込まない状態に側板を立て込む作業やコンクリート硬化後の脱型作業を、容易かつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】U字状鉄筋の図示を一部で省略したPC版の斜視図である。
【図2】互いに連結されるPC版の端部の形状を示す側面図である。
【図3】鉄筋挿通部にPC版連結用鉄筋を挿通させた状態を示す側面図である。
【図4】鉄筋挿通部にPC版連結用鉄筋を挿通させた状態を示す平面図である。
【図5】PC版を並べて施工した舗道の平面図である。
【図6】PC版製造用の型枠を示す断面図である。
【図7】第1発明によるPC版製造用の端面型枠の断面図である。
【図8】図7のA−A線断面図である。
【図9】図7のB−B線断面図である。
【図10】中間部の空間埋め部材と共に示す各種鉄筋の配筋説明図である。
【図11】第2発明の端面型枠の要部の断面図である。
【図12】第2発明の端面型枠に用いられる空間埋め部材の斜視図である。
【図13】従来例の端面型枠におけるU字状鉄筋の挿通状態を示す斜視図である。
【図14】従来例の端面型枠におけるスリットの閉じ状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…PC版、2…PC版連結用鉄筋、3…鉄筋挿通部、4…U字状鉄筋、6…端面部、19…側板、21…切欠き、22…鉄筋覆いカバー、23…コンクリートの廻り込み防止部材、23a,23b,23c…空間埋め部材、S…テーパー面。
【産業上の利用分野】
本発明は、PC版(プレキャストコンクリート版)を製造するための型枠、中でも、PC版を互いに連結するための横向きU字状の鉄筋が端面部に突出されたPC版製造用の端面型枠に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記のPC版は、例えば舗道や橋梁などの施工に用いられるもので、一般には図1〜図4示すように、PC版連結用鉄筋2の挿通部3を形成する側面視で横向きU字状の鉄筋4…を、PC版本体5の幅方向両側の端面部6に突出させると共に、この端面部6の下部側に迫り出し部7を連設して成る。
【0003】
そして、橋梁や舗道の施工に際しては、その規模にもよるが、例えば、幅方向の端面部に150ミリのピッチでU字状鉄筋4を突出させた長さが15メートルで幅が2メートル程度のPC版1を床版にして、このPC版1を順次、U字状鉄筋4を相手方のU字状鉄筋4,4間に差し込むようにして、かつ、それの迫り出し部7,7を互いに突き合わせるようにして、橋桁や道床上に並べると共に、隣り合うPC版1,1のU字状鉄筋4,4によるループ状の鉄筋挿通部3にPC版連結用の鉄筋2…を挿通し、次いで迫り出し部7,7と端面部6,6とによる凹部にコンクリート8を打設して、最終的に表面をアスファルト層9で仕上げて橋梁や舗道が施工される(図5を参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かゝる構成によれば、PC版連結用鉄筋2の挿通部3を形成する鉄筋4が側面視で横向きU字状であることから、PC版の端面部に単純に直線状の鉄筋を突出させるものに比べて、PC版1,1どうしの連結が高強度で達成されるのであるが、細かいピッチで多数本のU字状鉄筋4を端面部から突出させる従来のPC版製造用の端面型枠にあっては、その端面型枠の立て込みと、U字状鉄筋の組み立て並びに脱型に多大の手間と時間を要したもので、PC版の製造コストが高くなる点で問題があった。
【0005】
即ち、従来の端面型枠は、図13,14に示すように、PC版の端面部成形用の側板19に、U字状鉄筋4を外方に挿通させるスリットdを所定の配筋ピッチで形成すると共に、このスリットdのそれぞれの両側に雌ねじ部e,eを設け、かつ、スリットdの上部側を閉じる上蓋部材31と、U字状鉄筋4の上下の鉄筋部分4b,4a間に挿通される中蓋部材32とを、前記雌ねじ部eに螺合されるボルト33によって側板19に止着して、鉄筋挿通後のスリットdを閉じるように構成されていたのである。
【0006】
ところが、上記の構成によれば、中蓋部材32を幾ら短尺にしたとしても、この中蓋部材32を上下の鉄筋部分4b,4a間に挿通させたり、或いは抜き出したりすることが非常に困難であり、更に、U字状鉄筋4,4間の隙間が狭くて作業条件が悪いことと、ボルト点数が膨大であることから、側板19に対する蓋部材31,32止着や解体の作業も困難を極めるものであった。
【0007】
加えて、何らかの拍子にU字状鉄筋4が位置ずれして、U字状鉄筋4が側板19から大きく張り出してしまうと、PC版1,1を並べた際に、そのU字状鉄筋4が相手方のPC版1の端面部に突き当たってしまって、PC版1,1を所定の寸法通りに配置できなくなる問題もあった。
【0008】
また、上記構成の端面型枠にあっては、コンクリートの漏れ出しを防止する上で、上記のスリットdに対してU字状鉄筋4を出来るだけ密に挿通させるようにすることが肝要であるが、このようにスリットdを形成すると、U字状の鉄筋4をはじめとして、PC版に埋設すべき各種鉄筋を予め底型枠上に組み立てて、これの多数本のU字状鉄筋4を一挙にスリットdに挿通させるように側板19を立て込むことは、全てのU字状鉄筋4が確実に位置決めされていない限りは、不可能であると言っても過言ではない。
【0009】
このことから、U字状鉄筋4については、側板19を所定の位置に立て込んで後に、これのスリットdにU字状鉄筋4を1本ずつ挿通させる手順をとらざるを得ないもので、配筋の段取りが悪くなって鉄筋の組み立てに時間がかゝる問題もあった。
【0010】
本発明は、かゝる実情に鑑みて成されたものであって、その目的は、PC版連結用鉄筋の挿通部を形成する側面視で横向きU字状の鉄筋を端面部に突出させたPC版を製造するにあたり、U字状鉄筋の周囲にコンクリートが廻り込まない状態に側板を立て込む作業やコンクリート硬化後の脱型作業を、容易かつ迅速に行うことができるようにしたPC版製造用の端面型枠を提供する点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明が講じた技術的手段は次の通りである。即ち、横向きU字状の鉄筋を端面部に突出させるPC版製造用の第1発明による端面型枠は、PC版の端面部成形用の側板とその上縁に連なる上面板に、U字状鉄筋をルーズに挿通させる切欠きを形成し、この切欠きのまわりに、左右の内面が先細りのテーパー面で且つ先端部にU字状鉄筋の先端部を係合する鉄筋覆いカバーを設ける一方、当該カバー内部に対するコンクリートの廻り込み防止部材を、U字状鉄筋の内周面部に嵌め込み保持される中間部の空間埋め部材と、U字状鉄筋4の上部側鉄筋部分4bに載せられる上部側の空間埋め部材23bとから構成して、この空間埋め部材のそれぞれを鉄筋覆いカバーのテーパー面に当接可能に備えて成る点に特徴がある。
【0012】
第2発明によるPC版製造用の端面型枠は、PC版の端面部成形用の側板とその上縁に連なる上面板に、U字状鉄筋をルーズに挿通させる切欠きを形成し、この切欠きのまわりに、左右の内面が先細りのテーパー面で且つ先端部にU字状鉄筋の先端部を係合する鉄筋覆いカバーを設ける一方、当該カバー内部に対するコンクリートの廻り込み防止部材を、前記U字状鉄筋に左右両側から係合して互いに当接する左右一対の空間埋め部材によって構成し、この空間埋め部材のそれぞれを鉄筋覆いカバーのテーパー面に当接可能に備えて成る点に特徴がある。
【0013】
【作用】
上記の特徴構成によれば、第1及び第2の何れの発明においても、PC版の端面部成形用の側板とその上縁に連なる上面板に、U字状鉄筋をルーズに挿通させる切欠きを形成しているので、PC版に埋設すべき各種鉄筋を型枠組立後に、型枠内に配筋することもできるし、或いは、PC版に埋設すべき各種鉄筋を予め底型枠上に組み立てておいて、これの多数本のU字状鉄筋を一挙に切欠きに挿通させるように側板を立て込むことが、U字状鉄筋が多少位置ずれしていても可能となる。
【0014】
即ち、PC版に埋設すべき各種鉄筋を予め底型枠上に組み立てておく場合、この側板の立て込みに際して、U字状鉄筋が左右方向に位置ずれしているときは、その曲げ先端部が鉄筋覆いカバーの左右のテーパー面に案内され、U字状鉄筋が下方に位置ずれしているときは、曲げ先端部が切欠きの下縁部に案内される。
また、U字状鉄筋の先端位置が規定位置を越えて張り出していても、その先端部が鉄筋覆いカバーによって相対的に押圧されることで、所定の位置に押し戻し修正されるもので、最終的にU字状鉄筋の先端部が自動的にカバー先端部に落ち着くように姿勢が矯正される。
【0015】
そして、鉄筋覆いカバーによってU字状鉄筋の張り出し寸法が規制されることに加えて、カバー内部に対するコンクリートの廻り込み防止部材を、U字状鉄筋に対して分離可能に備えさせているので、後は、PC版製造型枠内にコンクリートを打設し、かつ、コンクリートの硬化後に側板を脱型して、上記の廻り込み防止部材を取り外すことで、U字状鉄筋の鉄筋挿通部へのコンクリートの廻り込みが確実に防止されたPC版が、それのU字状鉄筋の張り出し寸法が規定寸法以下に制限されて製造される。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は舗道や橋梁の施工に用いられるPC版1を示し、このPC版1は、図2〜3にも示すように、PC版連結用鉄筋2の挿通部3を形成する側面視で横向きU字状の鉄筋4…を、PC版本体5の幅方向両側の端面部6に突出させると共に、この端面部6の下部側に、U字状鉄筋4の張り出し寸法の半分程度の迫り出し部7を連設して成る。
【0017】
このPC版1を用いた舗道の施工例を図5に示しており、例えば、幅方向の端面部に150ミリのピッチでU字状鉄筋4を突出させた長さが15メートルで幅が2メートル程度のPC版1を床版にして、このPC版1を順次、U字状鉄筋4を相手方のU字状鉄筋4,4間に差し込むようにして、かつ、それの迫り出し部7,7を互いに突き合わせるようにして、道床上に並べると共に、隣り合うPC版1,1のU字状鉄筋4,4によるループ状の鉄筋挿通部3にPC版連結用の鉄筋2…を挿通し、次いで迫り出し部7,7と端面部6,6とによる凹部にコンクリート8を打設し、最終的に表面をアスファルト層9で仕上げている。
【0018】
次に、端面部6からU字状鉄筋4を突出させたPC版1の製造に用いられる第1発明の型枠の構造について説明すると、この型枠は、図6に示すように、ベース10上のH鋼による矩形の枠組11上に底型枠12を設けると共に、この底型枠12の長手方向両側に、PC版1の長手方向両側の端面形状に合わせた端面型枠13を立設し、かつ、前記ベース10の幅方向の部材をレール14にして、このレール14に沿って互いに接近ならびに離間可能に移動部材15,15を設けると共に、PC版1の幅方向両側の端面形状に合わせた端面型枠16を移動部材15のそれぞれに設けて成る。
【0019】
前記端面型枠16の詳細は図7〜9に示す通りであって、前記迫り出し部7の突出端部を形成する部材、即ち、底型枠12の端縁に沿う部材17と水平面板18とを、前記移動部材15の上部に設けると共に、前記水平面板18上に、前記迫り出し部7の上面部とPC版1の端面部6とを形成する側板19を設け、かつ、この端面部成形用の側板19の上縁部に、側板19の水平板部19aに相対峙させて上板部20を設けている。
【0020】
そして、前記U字状鉄筋4の配筋ピッチに合わせて、このU字状鉄筋4をルーズに外方に挿通させる上面と内面(型枠内部に面する側)の開口した切欠き21を側板19及び上板部20に形成すると共に、この切欠き21のまわりに、U字状鉄筋4を覆う鉄筋覆いカバー22を設けている。
【0021】
この鉄筋覆いカバー22は、前記切欠き21から張り出したU字状鉄筋4を両側から覆うもので、前記水平板部19aと上板部20とにわたって設けられており、側板19に上板部20に対して溶接等の手段により固着されている。鉄筋覆いカバー22の左右の内面部は先細りになるテーパー面Sに形成されていて、その先端部にU字状鉄筋4の先端部(曲げ鉄筋部分4c)を係合して、U字状鉄筋4の張り出し寸法を規定寸法以下に規制させる機能を有する。
【0022】
一方、前記U字状鉄筋4をルーズに挿通させる切欠き21は、その幅が鉄筋径の2倍程度であって、前記側板19の水平板部19aにU字状鉄筋4の下部側鉄筋部分4aを当接させた状態で、切欠き21の上縁と上部側鉄筋部分4bとの間に、鉄筋径の2倍程度の隙間が形成されるようになっている。
【0023】
尚、前記U字状鉄筋4は、PC版1,1を隣り合わせに配置した際に、一方のPC版1のU字状鉄筋4が相手方のU字状鉄筋4,4間に差し込まれるように配筋されるもので、左右両側の側板19,19には、このU字状鉄筋4の配筋に合わせるように、切欠き21が互いにピッチをずらせて形成されている。
【0024】
上記のPC版製造用型枠(12、13,13、16,16)にコンクリート8を打設してPC版1を製造する際に、U字状鉄筋4のまわりに、つまり、鉄筋覆いカバー22の内部に、コンクリートが廻り込むことを防止するための部材23を、前記U字状鉄筋4に対して分離可能に備えさせるようにしている。
【0025】
このコンクリートの廻り込み防止部材23は、それぞれがゴム製の、U字状鉄筋4の内周面部に嵌め込み保持される中間部の空間埋め部材23aと、U字状鉄筋4の上部側鉄筋部分4bに載せられ且つ先端部がカバー内面の先端部に当接される上部側の空間埋め部材23bとに分割形成されており、中間部の空間埋め部材23aにはU字状鉄筋4の内周面部に係合する凹部aが形成され、上部側の空間埋め部材23bにはU字状鉄筋4の上部側鉄筋部分4bに係合する凹部bが形成されている。
そして、これらの空間埋め部材23a,23bは、それぞれ、左右の外面部が鉄筋覆いカバー22のテーパー面Sに当接するテーパー面に形成されている。
【0026】
次に、PC版1の製造手順の一例について説明すると、先ずは、幅方向両側の端面型枠16,16を互いに離間させた状態で、図10に示すように、U字状鉄筋4をはじめとして、PC版1に埋設すべき各種鉄筋24…を底型枠12上に組み立て、かつ、中間部の空間埋め部材23aをU字状鉄筋4の内周面部に嵌め込み保持させる。
【0027】
この後に、端面型枠16,16を互いに接近させて側板19を立て込み、相対的にU字状鉄筋4を側板19の切欠き21に挿通させるのであって、このとき、U字状鉄筋4が左右方向に位置ずれしていても、その先端部の曲げ鉄筋部分4cが鉄筋覆いカバー22の左右のテーパー面Sに案内されることで、その姿勢が矯正されることになる。
【0028】
U字状鉄筋4が下方に位置ずれしているときは、先端部の曲げ鉄筋部分4cが切欠き21の上縁部に案内されることで、その姿勢が矯正されることになる。
また、U字状鉄筋4の先端位置が規定位置を越えて張り出していても、その先端部が鉄筋覆いカバー22によって相対的に押圧されることで、所定の位置に押し戻し修正されるもので、最終的にU字状鉄筋4の先端部は、自動的に鉄筋覆いカバー22の先端部に落ち着くように姿勢が矯正される。
【0029】
ここで、図7に示すように、必要に応じて矩形の枠組11に端縁部材17をボルト・ナット25で連結固定し、かつ、U字状鉄筋4の上部側鉄筋部分4bを押し付けるようにして、この上部側鉄筋部分4bの上方のカバー22内に上部側の空間埋め部材23bを押し込んで、U字状鉄筋4の鉄筋挿通部3とこれに臨む左右のカバー空間部とに対するコンクリートの廻り込みを防止した上で、PC版製造用型枠(12、13,13、16,16)内にコンクリートを打設する。
【0030】
このコンクリートの打設によって、空間埋め部材23a,23bにコンクリート圧がかゝるが、中間部の空間埋め部材23aは、その先端部がU字状鉄筋4の曲げ鉄筋部分4cに当接し、上部側の空間埋め部材23bは、その先端部がカバー先端部に当接しているので、空間埋め部材23a,23bは位置ずれすることがない。
【0031】
そして、コンクリートの硬化後に、側板19の切欠き21からU字状鉄筋4を抜き出すように、端面型枠16,16を互いに離間させて脱型し、かつ、空間埋め部材23a,23bを取り外すことで、U字状鉄筋4のまわりへのコンクリートの廻り込み、殊に、鉄筋挿通部3へのコンクリートの廻り込みが確実に防止されたPC版1が、それのU字状鉄筋4の張り出し寸法が規定寸法以下に規制されて製造される。
【0032】
尚、上記の説明では、PC版1に埋設すべき各種鉄筋24…を底型枠12上で先組した後、端面型枠16,16を互いに接近させて、側板19を立て込んでいるが、側板19の立て込み後、PC版1に埋設すべき各種鉄筋24…を底型枠12上に配筋してもよい。また、前記空間埋め部材23a,23bのそれぞれを、繰り返し再使用可能なゴム製としているが、側板19の脱型後に破壊してしまう発泡スチロールなどの合成樹脂製や木製などに変更可能である。
【0033】
第2発明にかゝる端面型枠16を図11に示している。この端面型枠16においては、鉄筋覆いカバー22の内部に対するコンクリートの廻り込み防止部材23の構造のみが、第1発明にかゝる端面型枠16と異なっている。
【0034】
具体的には、このコンクリートの廻り込み防止部材23は、U字状鉄筋4の上下の鉄筋部分4b,4aに係合する凹部c,cが形成された二枚の、つまり、左右一対の空間埋め部材23c,23cから成るものであって、その空間埋め部材23cの上下の寸法は、鉄筋覆いカバー22の上下寸法と略合致している。
【0035】
そして、凹部c,cを上下の鉄筋部分4b,4aに係合させて、二枚の空間埋め部材23c,23cを互いに当接させ、かつ、この空間埋め部材23c,23cを、切欠き21を通して鉄筋覆いカバー22内に押し込んだ状態で、空間埋め部材23c,23cのそれぞれの外面部を、鉄筋覆いカバー22のテーパー面S,Sに当接させるようにしている。
【0036】
上記の構成によれば、端面型枠16を接近させて側板19を立て込み、相対的にU字状鉄筋4を側板19の切欠き21に挿通させて後に、その切欠き21を通して型枠内方から二枚の空間埋め部材23c,23cを鉄筋覆いカバー22内に押し込むか、予め、二枚の空間埋め部材23c,23cでU字状鉄筋4を両側から挟持した状態で、端面型枠16を接近させることにより、二枚の空間埋め部材23c,23cを鉄筋覆いカバー22内に押し込んで、この空間埋め部材23c,23cを鉄筋覆いカバー22のテーパー面Sに嵌合させることで、鉄筋覆いカバー22の切欠き21側のカバー空間が、コンクリート圧を受けても位置ずれすることのない空間埋め部材23c,23cによって閉じられるもので、U字状鉄筋4の鉄筋挿通部3とこれに臨む左右のカバー空間部とに対するコンクリートの廻り込みが確実に防止される。
【0037】
尚、この実施例によれば、脱型後、二枚の空間埋め部材23c,23cをU字状鉄筋4の左右に分離して取り外せるので、弾性変形や破壊の必要がなく、従って、二枚の空間埋め部材23c,23cを金属製とすることができる。この場合、空間埋め部材23c,23cの相対峙する面部に、例えばマグネットを設けて、空間埋め部材23c,23cを互いに磁気吸着させるようにしたり、或いは、空間埋め部材23c,23cの一方を磁性体にし、他方に例えばマグネットを設けて、空間埋め部材23c,23cを互いに磁気吸着させるようにしたりすれば、側板19を立て込む前に、この空間埋め部材23c,23cをU字状鉄筋4に保持させておくことが容易である。その他の構成は、先の第1発明の実施例と同じであるため、説明を省略する。
【0038】
第1発明の実施例と同様に、PC版1に埋設すべき各種鉄筋は底型枠上で先組した後、端面型枠16,16を互いに接近させて、側板19を立て込んでもよく、側板19の立て込み後、PC版1に埋設すべき各種鉄筋を底型枠上に配筋してもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によるPC版製造用の端面型枠によれば、PC版の端面部成形用の側板とその上縁に連なる上面板に、U字状鉄筋をルーズに挿通させる切欠きを形成しているので、PC版に埋設すべき各種鉄筋を型枠組立後に、型枠内に配筋することもできるし、或いは、PC版に埋設すべき各種鉄筋を予め底型枠上に組み立てておいて、これの多数本のU字状鉄筋を一挙に切欠きに挿通させるように側板を立て込むこともできる。この場合、U字状鉄筋が多少位置ずれしていても、この鉄筋の姿勢を所定通りに矯正させる状態で、更には、U字状鉄筋が規定位置を越えて張り出していても、これを所定の位置に押し戻すようにして、枠板を立て込むことが可能となる。
【0040】
そして、U字状鉄筋の周囲、つまり、鉄筋覆いカバー内部に対するコンクリートの廻り込み防止部材を、U字状鉄筋に対して分離可能に備えさせるようにしているので、U字状鉄筋の周囲にコンクリートが廻り込まない状態に側板を立て込む作業やコンクリート硬化後の脱型作業を、容易かつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】U字状鉄筋の図示を一部で省略したPC版の斜視図である。
【図2】互いに連結されるPC版の端部の形状を示す側面図である。
【図3】鉄筋挿通部にPC版連結用鉄筋を挿通させた状態を示す側面図である。
【図4】鉄筋挿通部にPC版連結用鉄筋を挿通させた状態を示す平面図である。
【図5】PC版を並べて施工した舗道の平面図である。
【図6】PC版製造用の型枠を示す断面図である。
【図7】第1発明によるPC版製造用の端面型枠の断面図である。
【図8】図7のA−A線断面図である。
【図9】図7のB−B線断面図である。
【図10】中間部の空間埋め部材と共に示す各種鉄筋の配筋説明図である。
【図11】第2発明の端面型枠の要部の断面図である。
【図12】第2発明の端面型枠に用いられる空間埋め部材の斜視図である。
【図13】従来例の端面型枠におけるU字状鉄筋の挿通状態を示す斜視図である。
【図14】従来例の端面型枠におけるスリットの閉じ状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…PC版、2…PC版連結用鉄筋、3…鉄筋挿通部、4…U字状鉄筋、6…端面部、19…側板、21…切欠き、22…鉄筋覆いカバー、23…コンクリートの廻り込み防止部材、23a,23b,23c…空間埋め部材、S…テーパー面。
Claims (2)
- PC版連結用鉄筋の挿通部を形成する側面視で横向きU字状
の鉄筋を端面部に突出させたPC版製造用の端面型枠であって、PC版の端面部成形用の側板とその上縁に連なる上面板に、U字状鉄筋をルーズに挿通させる切欠きを形成し、この切欠きのまわりに、左右の内面が先細りのテーパー面で且つ先端部にU字状鉄筋の先端部を係合する鉄筋覆いカバーを設ける一方、当該カバー内部に対するコンクリートの廻り込み防止部材を、U字状鉄筋の内周面部に嵌め込み保持される中間部の空間埋め部材と、U字状鉄筋4の上部側鉄筋部分4bに載せられる上部側の空間埋め部材23bとから構成して、この空間埋め部材のそれぞれを鉄筋覆いカバーのテーパー面に当接可能に備えて成ることを特徴とするPC版製造用の端面型枠。 - PC版連結用鉄筋の挿通部を形成する側面視で横向きU字状
の鉄筋を端面部に突出させたPC版製造用の端面型枠であって、PC版の端面部成形用の側板とその上縁に連なる上面板に、U字状鉄筋をルーズに挿通させる切欠きを形成し、この切欠きのまわりに、左右の内面が先細りのテーパー面で且つ先端部にU字状鉄筋の先端部を係合する鉄筋覆いカバーを設ける一方、当該カバー内部に対するコンクリートの廻り込み防止部材を、前記U字状鉄筋に左右両側から係合して互いに当接する左右一対の空間埋め部材によって構成し、この空間埋め部材のそれぞれを鉄筋覆いカバーのテーパー面に当接可能に備えて成ることを特徴とするPC版製造用の端面型枠。
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