JP6752092B2 - 真円度測定機 - Google Patents
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Description
真円度測定機では、ワークを回転式のテーブルに載置し、テーブルでワークを回転させつつ、ワークの周面にプローブを接触させることで、ワークの外周形状を測定している(特許文献1参照)。
真円度測定機において、精度よく測定を行うために、ワークの周面にプローブを接触させて測定を行う際には、ワークおよびテーブルの回転速度が所定の範囲内となるように動作制御される。
ここで、ワークは、それぞれ固有の慣性モーメントを有する。このため、テーブルの駆動力が同じでも、ワークの回転速度が所期の範囲に到達するまでの時間(加速時間)が個々に相違する。すなわち、慣性モーメントが大きなワークでは、加速時間が長くなり、慣性モーメントが小さなワークでは、加速時間が短くなる。
このような加速時間は、なるべく短いほうが、直ちに測定動作に入ることができ、作業効率の観点から望ましい。しかし、加速時間が短過ぎると、ワークの加速が不十分になり、所期の回転速度での適切な測定が行えなくなる可能性がある。
すなわち、従来の真円度測定器では、加速時間を長く設定することで、慣性モーメントが大きなワークであっても、モータの動作に支障なく、測定に必要な所期の回転速度まで到達できる十分な加速時間を確保していた。つまり、作業効率よりも、確実な測定が行えることを優先していた。
すなわち、慣性モーメントの大きなワークを短時間で制動すると、機構部分に負担が増大するという問題がある。また、テーブルの角度位置決めを行う場合、慣性モーメントの大きなワークを短時間で制動すると、正確な位置決めが行われない。そこで、減速時間についても十分に長く設定していた。
このように、従来の真円度測定機においては、テーブルの加減速時間(加速時間および減速時間)を十分に長く設定し、慣性モーメントが大きなワークでも無理なく高精度に加速および減速できるようにしていた。
テーブルの起動初期に、モータには定常運転時の電流よりも大きな起動電流が流れる。起動電流は、モータの負荷トルクに比例し、モータの負荷トルクは、テーブルに載置されたワークの慣性モーメントに比例する。すなわち、起動電流検出部で検出される起動電流の大きさは、テーブルに載置されたワークの慣性モーメントに応じた値になる。
すなわち、加減速時間設定部は、起動電流検出部によって検出された起動電流が大きければ、加速時間または減速時間を長く設定する。一方、起動電流が小さければ、加速時間または減速時間を短く設定する。起動電流に対する加速時間および減速時間の設定は、演算式により算出してもよいし、データテーブルを参照する等してもよく、連続的な比例関係であってもよく、区間毎の段階的な設定などであってもよい。
これにより、ワークの慣性モーメントが大きいほど、加速時間または減速時間が長く設定される。あるいは、ワークの慣性モーメントが小さいほど、加速時間または減速時間が短く設定される。
従って、本発明によれば、測定の精度を確保しつつ測定効率を向上できる真円度測定機を提供することができる。
これにより、モータの加速時間の初期値は慣性モーメントが大きなワークに合わせて余裕をもって設定されるため、モータの起動動作を安定させることができる。同様に、モータの減速時間が余裕をもって設定されるため、モータの減速動作を安定させることができる。
図1において、真円度測定機1は、ベース10と、ベース10に対して回転可能なテーブル20と、テーブル20に載置されたワークWの表面を検出するプローブ30と、プローブ30を移動するプローブ移動機構40と、プローブ移動機構40の動作制御、プローブ30の検出出力の処理を行うための制御装置50と、を備えている。
ベース10には、テーブル20を回転駆動するモータ23が設置されている。モータ23は、制御装置50により動作制御される。
プローブ移動機構40は、上下方向、および、ワークWに接近または離間する方向にプローブ30を移動させる。これにより、スタイラス31は、テーブル20に設置されたワークWの周面の任意高さ位置に接触する。
なお、本実施形態では、制御装置50が装置本体であるベース10と別体とされているが、制御装置50は装置本体に組み込まれていてもよい。
具体的には、測定制御部53は、モータ制御部54と、移動制御部55と、変位検出部56と、角度検出部57とを含んでいる。メモリは、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などであり、記憶部58として機能する。
具体的には、モータ制御部54によりモータ23の回転を制御してテーブル20を所定回転速度N1で回転させるとともに、移動制御部55によりプローブ移動機構40を制御してプローブ30をワークWの周面に接触させる。そして、テーブル20が所定回転速度N1で回転している間、角度検出部57で角度センサ27の信号に基づいてテーブル20の角度を検出するとともに、変位検出部56でプローブ30の信号に基づいてスタイラス31の変位を検出する。その結果、ワークWの全周つまり角度θ=0〜360度の変位が測定され、そのデータ処理によりワークWの周面の輪郭形状ないし真円度が求められる。
これらの速度制御部61ないし回転速度検出部64は、例えば電気回路で構成され、それぞれベース10に設けられてもよいし、制御装置50に設けられてもよい。
電流センサ63は、モータ23に流れる電流値を検出し、モータ制御部54に出力する。
回転速度検出部64は、例えば角度センサ27の信号等に基づいて、モータ23の回転速度を検出し、速度制御部61に出力する。
起動電流検出部541は、電流センサ63から入力されたモータ23の電流値に基づいて、モータ23の起動電流Imを検出する。
加減速時間設定部542は、起動電流検出部541が検出したモータ23の起動電流Imの大きさに応じて、モータ23の加速動作または減速動作を制御するための加速時間Tsおよび減速時間Tbを設定する。
次に、モータ23を制御する動作について、図2から図6を参照して説明する。
モータ23の起動前、モータ制御部54には、加速時間Tsおよび減速時間Tbの初期値が設定されている。加速時間Tsおよび減速時間Tbの各初期値としては、例えば、測定可能なワークWのうち最大重量または最大径のワークWの慣性モーメントに基づく許容最短時間が用いられる。ここで、許容最短時間とは、ワークWの慣性モーメントが加わった状態で、モータ23の動作に支障なく、静止状態から所定回転速度N1に加速可能な最短時間または所定回転速度N1から静止状態に減速可能な最短時間である。
なお、図5に示すテーブルにおいて、起動電流Imは、所定の低電流値ImL以上から所定の高電流値ImH未満までの範囲をn個の区間に分けられている。この範囲では、加速時間TsはTs(1)からTs(n)まで段階的に増加し、また、減速時間TbはTb(1)からTb(n)まで段階的に増加している。
また、所定の低電流値ImLより小さい区間には、急激な挙動によりテーブル20の駆動系が破損することを防ぐための必要最短時間TsL,TbLが対応付けられている。
また、図5に示すテーブルにおいて、所定の高電流値ImH以上の区間には、測定可能なワークWのうち最大重量または最大径のワークWの慣性モーメントに基づく許容最短時間TsH,TbHが対応付けられている。ここで、許容最短時間TsHは、ワークWの慣性モーメントが加わった状態で、モータ23の起動初期から所定回転速度N1に加速可能な最短時間である。許容最短時間TbHは、ワークWの慣性モーメントが加わった状態で、所定回転速度N1から静止状態に減速可能な最短時間である。
なお、加減速時間設定部542によって設定された減速時間Tbについては、例えば記憶部58に一時記憶されてもよい。
これにより、モータ23は、加減速時間設定部542に設定された加速時間Tsをかけて静止状態から所定回転速度N1にまで加速する。
なお、測定時間Trとしては、モータ23が所定回転速度N1に達した時点を測定可能時点とし、測定可能時点から少なくともテーブル20が1回転するための時間が確保されている。測定時間Trの間、プローブ30がテーブル20に載置されたワークWの表面を検出する。
これにより、モータ23は、加減速時間設定部542に設定された減速時間Tbをかけて所定回転速度N1から静止状態に減速する。
なお、モータ23の起動時点から加速時間Tsが再設定される時点までの時間は、加速時間Tsに比べて極短い時間であるため、図6では記載を省略している。
本実施形態では、起動電流検出部541がモータ23の起動電流Imを検出し、加減速時間設定部542が、検出された起動電流Imに応じてモータ23の加減速時間Ts,Tbを設定する。これにより、ワークWの慣性モーメントが大きいほど、加減速時間Ts,Tbを長く設定することができ、ワークWの慣性モーメントが小さいほど、加減速時間Ts,Tbを短く設定することができる。
すると、慣性モーメントが大きいワークW1では、加減速時間Ts1,Tb1が長く設定され、慣性モーメントが小さいワークW2では、加減速時間Ts2,Tb2が短く設定される(図9参照)。
なお、プローブ30が精度よく測定するための測定時間Tr(例えば図9のTr1およびTr2)は、ワークWの大きさに違いがあっても同様に確保される。
従って、本実施形態の真円度測定機1は、測定の精度を確保しつつ測定効率を向上することができる。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
前記実施形態では、加速時間Tsについて、測定可能なワークWのうち最大重量または最大径のワークの慣性モーメントに基づく初期値を用いることで、予め余裕をもって長い時間が設定されている。そして、検出された起動電流Imが小さいほど加速時間Tsを短く再設定している。
しかし、本発明はこれに限られず、加速時間Tsについて、例えば測定実施が最も予想されるワークWの慣性モーメントに基づく初期値を用い、検出された起動電流Imが大きければ加速時間Tsを長く設定し、検出された起動電流Imが小さければ加速時間Tsを短く設定してもよい。
前記実施形態では、制御装置50は、ベース10と別体としたが、ベース10に組み込まれたものとしてもよい。この場合、ベース10の表面に入力端末51およびディスプレイ52が設置されていてもよい。
また、真円度測定機1がワークWの回転角度を位置決めする場合、ワークWの慣性モーメントに応じた長さの減速時間Tbを確保することが望ましい。この場合、位置決め用の減速時間Tbの設定方法について、前述した減速時間Tbの設定方法を適用することが可能である。
Claims (2)
- ベースと、前記ベースに対して回転可能なテーブルと、前記テーブルに載置されたワークの表面を検出するプローブと、前記テーブルを回転駆動するモータと、前記モータの回転を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記モータの起動電流を検出可能な起動電流検出部と、
前記モータの起動電流に応じて前記モータの加速時間および減速時間の少なくともいずれかを設定する加減速時間設定部と、を有することを特徴とする真円度測定機。 - 請求項1に記載の真円度測定機において、
前記加減速時間設定部は、前記加速時間および前記減速時間の少なくともいずれかについて、測定可能な前記ワークのうち最大重量または最大径の前記ワークの慣性モーメントに基づく初期値を予め設定しておき、検出された前記起動電流が小さいほど、短くなるように再設定することを特徴とする真円度測定機。
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