JP7256686B2 - 回転テーブル装置 - Google Patents

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本発明は、回転テーブル装置に関する。
例えば工作機械においてワークを保持し、ワークを各加工工程に最適な向きに回転位置決めする等の目的で、回転テーブル装置(回転割出し装置)が用いられている。例として、特許文献1には、ワークを載置し固定する回転テーブルと、該回転テーブルをクランプするクランプ機構と、回転位置、速度を制御するモータ制御部を備え前記回転テーブルを回転駆動する駆動モータとから構成された回転割出し装置が開示されている。
特許文献1の回転割出し装置を備えた工作機械の制御装置は、前記駆動モータの出力トルクを検出する駆動モータ出力トルク検出手段と、前記モータ制御部から位置偏差を検出する位置偏差検出手段と、前記クランプ機構によって前記回転テーブルを所定の回転角度位置の目標位置にクランプし、回転テーブルに載置されたワークを加工中に、前記駆動モータ出力トルク検出手段により検出した駆動モータの出力トルクが、予め設定された許容トルク以上で所定時間経過するか、または予め設定された上限トルクに達したことを条件として、前記検出した出力トルクが許容トルク以上のときは、駆動モータの出力トルクが0になる方向に、前記検出した出力トルクが許容トルクより小さい場合は検出された位置偏差を0にする方向に、一定量ずつ目標位置を変更する目標位置変更手段と、を有することを特徴とする。
特開2015-87820号公報
特許文献1の回転テーブル装置は、駆動モータ出力トルク検出手段と目標位置変更手段を有することにより、回転テーブルを目標回転角度位置に固定している間にモータが過負荷となることを防止している。しかしながら、回転テーブル装置では、回転テーブルを目標回転角度位置に移動している間にも、モータが過負荷となることを抑制することが望まれる。
本開示の一態様に係る回転テーブル装置は、モータと、前記モータにより回転駆動される回転テーブルと、前記モータの負荷を検出する負荷検出部と、前記モータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記回転テーブルを目標回転角度位置に移動するときの前記負荷検出部の検出値に基づいて、前記回転テーブルの回転角度位置毎に前記モータの負荷が小さくなる回転方向を判定する回転方向判定部を有する。
本開示の別の態様に係る回転テーブル装置は、モータと、前記モータにより回転駆動される回転テーブルと、前記モータの負荷を検出する負荷検出部と、前記モータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記負荷検出部の検出値と前記モータの許容負荷との比較により前記モータの過負荷を検知する過負荷検知部を有する。
本開示に係る回転テーブル装置によれば、回転テーブルを目標回転角度位置に移動している間にモータが過負荷となることを抑制することができる。
本開示の一実施形態の回転テーブル装置の構成を示す模式図である。 図1の回転テーブル装置に作用する重力を説明する模式図である。
以下、本開示に係る回転テーブル装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本開示の一実施形態の回転テーブル装置100の構成を示す模式図である。
回転テーブル装置100は、モータ1と、モータ1により回転駆動される回転テーブル2と、モータ1の負荷を検出する負荷検出部3と、モータ1を制御する制御部4と、を備える。回転テーブル装置100は、さらにオペレータにモータ1の過負荷を報知する報知部5をさらに備える。回転テーブル装置100は、回転テーブル2に、ワークWを保持させ、ワークWを回転位置決めさせる装置である。回転テーブル装置100は、例えば、工作機械に設けられ、ワークWの加工すべき面を工具に対して正対させるために用いられる。
モータ1は、一端に回転テーブル2が接続される出力軸を有するサーボモータによって構成することができる。また、モータ1は、例えば軸接手、伝動機構、減速機構等を介して回転テーブル2に接続されてもよい。
回転テーブル2は、ワークWを支持する支持面に垂直な回転軸Cの周りに回転するようモータ1に接続される。通常、回転軸Cは、回転テーブル2の重心を通り、回転テーブル2の慣性モーメントが最も小さくなるよう設定される。一方、ワークWは、その重心Aが回転軸Cに対して偏心した状態で回転テーブル2に取り付けられることがある。
負荷検出部3は、例えば、モータ1と回転テーブル2との間に設けられて負荷トルクを検出するトルクセンサ、モータ1の負荷電流を検出する電流計又は負荷電力を検出する電力計等によって構成することができる。
制御部4は、専用集積回路によっても構成することができるが、CPU、メモリ等を有するコンピュータ装置に適切なプログラムを読み込ませることによって実現することができる。制御部4は、例えば工作機械の数値制御装置を構成するコンピュータ等と一体であってもよい。
制御部4は、プログラム解析部41、駆動指令生成部42、回転方向判定部43、過負荷検知部44、報知部45、最大加速度算出部46、及び駆動情報修正部47を備える。これらの構成部は、機能的に区別されるものであって、物理的構造及びプログラム構造において明確に区分できる必要はない。
プログラム解析部41は、ワークWの処理に必要な動作を記述する動作プログラムを解析し、回転テーブル2の時刻毎の目標回転角度位置を特定する駆動情報を生成する。
駆動指令生成部42は、プログラム解析部41が生成した駆動情報における現在の目標回転角度位置に回転テーブル2を回転位置決めするようモータ1を駆動する駆動指令を生成する。具体的には、駆動指令生成部42は、駆動指令の値をモータ1のエンコーダの検出位置と目標回転角度位置との偏差を小さくするようフィードバック制御するよう構成することができる。
回転方向判定部43は、回転テーブル2を目標回転角度位置に移動するときの負荷検出部3の検出値に基づいて、回転テーブル2の回転角度位置毎にモータ1の負荷が小さくなる回転方向を判定する。
回転テーブル2の回転軸Cが鉛直でない場合において、ワークWの重心Aが回転軸Cからずれていると、ワークWに作用する重力が、回転テーブル2を回転させようとする力となり得る。図2に、回転軸Cの方向から見たワークWに作用する重力を図示する。ワークWの質量をM[kg]、重力加速度をG「m/s」とすると、ワークWに作用する重力Fg[N]は、Fg=M・Gとして表すことができる。
ワークWに作用する重力Fgのうち、回転テーブル2を回転させようとする成分Fr[N]は、回転テーブル2の角度位置をθ[rad]、ワークWの重心Aの回転テーブル2に対する角度位置をβ[rad]とすると、Fr=Fg・sin(θ+β)として表すことができる。なお、回転テーブル2の角度位置θは、回転軸Cの真上を0radとし、角度は時計回りとする。ワークWの偏心量(重心Aと回転軸Cとの距離)をR[m]とすると、ワークWに作用する重力Fgが回転テーブル2を回転させようとするトルクTg[N・m]は、Tg=M・G・R・sin(θ+β)として表すことができる。
モータ1の回転子及び出力軸、回転テーブル2並びにワークWの回転軸Cを中心とする慣性モーメントをI[kg・m]、モータ1の負荷トルクをTm[N・m]とすると、回転テーブル2の角加速度α[rad/s]は、α=(Tm+Tg)/Iとして表すことができる。ここで、角加速度αは駆動指令により定められる値(目標回転角度位置の二階微分値)であり、重力によるトルクTgは回転テーブル2の回転角度位置に依存する値である。慣性モーメントIは、ワークWの加工によって僅かに減少するが、一定であるものと考えても差し支えない。このため、モータ1の負荷トルクTmは、重力によるトルクTgと相補的に増減する値となる。したがって、角加速度αに対するモータ1の負荷トルクTmの大きさから、ワークWの重心Aの回転テーブル2に対する角度位置βを推測することができる。
さらに、回転テーブル2の加速度と減速度とは、通常、同じ大きさの一定の値に設定される。この場合、回転テーブル2の加速中及び減速中に負荷検出部3が検出したモータ1の負荷トルクTmの回転テーブル2の角度位置に対する変化波形は、正弦波状となることから、比較的簡単にワークWの重心Aの回転テーブル2に対する角度位置βを推定することができる。なお、例えば回転テーブル2の最大加加速度が設定され、加速度が一定でない場合、回転テーブル2の加速度が一定である間の負荷検出部3の検出値だけを用いて、ワークWの重心Aの回転テーブル2に対する角度位置βを推定してもよい。
回転テーブル2の目標回転角度位置が変更されて回転テーブル2を加速するときに回転テーブル2の回転方向が正方向(時計回り)である場合、回転テーブル2の現在の回転角度位置(変更前の目標回転角度位置)におけるワークWの重心Aの絶対角度位置(θ+β)が0rad超πrad未満であれば重力によるトルクTgの分だけモータ1の負荷トルクTmが減少し、ワークWの重心Aの絶対角度位置(θ+β)がπrad超2πrad未満であれば重力によるトルクTgの分だけモータ1の負荷トルクTmが増大する。逆に、回転テーブル2の目標回転角度位置が変更されて回転テーブル2を加速するときに回転テーブル2の回転方向が負方向(反時計回り)である場合、回転テーブル2の現在の回転角度位置(変更前の目標回転角度位置)におけるワークWの重心Aの絶対角度位置(θ+β)が0rad超πrad未満であれば重力によるトルクTgの分だけモータ1の負荷トルクTmが増大し、ワークWの重心Aの絶対角度位置(θ+β)がπrad超2πrad未満であれば重力によるトルクTgの分だけモータ1の負荷トルクTmが減少する。
また、回転テーブル2を目標回転角度位置に停止、つまり回転テーブル2を減速するときに回転テーブル2の回転方向が正方向である場合、回転テーブル2の目標回転角度位置におけるワークWの重心Aの絶対角度位置(θ+β)が0rad超πrad未満であれば、重力によるトルクTgの分だけモータ1の負荷トルクTmが増大し、ワークWの重心Aの絶対角度位置(θ+β)がπrad超2πrad未満であれば、重力によるトルクTgの分だけモータ1の負荷トルクTmが減少する。逆に、回転テーブル2を目標回転角度位置に停止するときに回転テーブル2の回転方向が負方向である場合、回転テーブル2の目標回転角度位置におけるワークWの重心Aの絶対角度位置(θ+β)が0rad超πrad未満であれば、重力によるトルクTgの分だけモータ1の負荷トルクTmが減少し、ワークWの重心Aの絶対角度位置(θ+β)がπrad超2πrad未満であれば、重力によるトルクTgの分だけモータ1の負荷トルクTmが増大する。
回転方向判定部43は動作プログラムに従って回転テーブル2を変更前の目標回転角度位置から変更後の目標回転角度位置まで移動させる間に、必要となるモータ1の負荷トルクTmの最大値が小さくなる回転方向を導出する。回転テーブル2の加速度と減速度とが同じ大きさである場合、回転方向判定部43は、回転テーブル2を変更前の目標回転角度位置と変更後の目標回転角度位置とのうち、ワークWの重心Aの絶対角度位置(θ+β)が1/2π又は3/2πに近い方におけるモータ1の負荷トルクTmを小さくできる回転方向を導出してもよい。なお、回転テーブル2の負荷トルクTmに回転方向による差がなかった場合、変更前の目標回転角度位置から変更後の目標回転角度位置までの移動距離が短くなる回転方向を導出してもよい。
過負荷検知部44は、負荷検出部3の検出値と予め設定されるモータ1の許容負荷との比較により、モータ1の過負荷を検知する。つまり、過負荷検知部44は、負荷検出部3の検出値が予めモータ1の許容負荷を超えた場合に、モータ1が過負荷であると判定する。
報知部45は、過負荷検知部44がモータ1の過負荷を検知した場合に、過負荷の報知を行う。具体的には、報知部45は、過負荷検知部44がモータ1の過負荷を検知した場合に、後述する報知部5に報知を行わせる過負荷報知信号を出力する構成とすることができる。これにより、オペレータに動作プログラムの変更を促すことができる。
また、報知部45は、過負荷報知信号を出力する際に、回転方向判定部43が判定したモータ1の負荷が小さくなる回転方向を合わせて報知することが好ましい。これにより、回転方向の変更だけで容易にモータ1の負荷が許容負荷を超えないよう動作プログラムを修正することができる場合に、その旨をオペレータに報知することができる。
また、報知部45は、後述する駆動情報修正部47又は最大加速度算出部46による処理結果を合わせて報知してもよい。これにより、オペレータに回転テーブル装置100の状態を正確に伝えることができる。
最大加速度算出部46は、モータ1の負荷を許容負荷以下に抑制できるモータ1の最大加速度を算出する。最大加速度算出部46は、最大加速度の値を、加速度を制限できる他のパラメータ、例えばモータ1の最大回転速度、制御のゲイン等の値として算出又は算出した加速度の値をこれらの値に換算してもよい。これにより、オペレータにモータ1の負荷を許容負荷以下に抑制することができるパラメータの設定値として提示することができる。つまり、最大加速度算出部46が算出した値は、報知部45に報知させてもよい。
最大加速度算出部46は、過負荷検知部44がモータ1の過負荷を検知した場合にモータ1の最大加速度を算出するよう構成されてもよい。このように、実際に過負荷が生じてから最大加速度を算出することで、不必要に演算負荷を増大させないようにできる。
駆動情報修正部47は、回転方向判定部43が判定したモータ1の負荷が小さくなる回転方向に回転テーブル2を駆動するよう、プログラム解析部41が動作プログラムに基づいて生成した駆動情報を修正する。これにより、モータ1の過負荷を抑制することができる。
駆動情報修正部47は、過負荷検知部44がモータ1の過負荷を検知した場合に、負荷が小さくなる回転方向に回転テーブル2を駆動するよう駆動情報を修正してもよい。これにより、モータ1が過負荷とならない限り、動作プログラムに従って回転テーブル2を駆動するので、オペレータが意図的に回転方向を指定している場合に、不必要に回転方向を変更しないようにできる。
駆動情報修正部47は、プログラム解析部41が動作プログラムに基づいて生成した駆動情報におけるモータ1の加速度の値を、最大加速度算出部46が算出した最大加速度以下の値に修正してもよい。これにより、オペレータが操作しなくても、モータ1が過負荷となることを防止することができる。
報知部5は、報知部45からの信号に応じて、オペレータが認知可能な方法で情報を提供する。具体的には、報知部5は、視覚信号(回転灯、モニタ表示等)、聴覚信号(ビープ音、音声アナウンス等)などを用いて報知を行うよう構成され得る。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る回転テーブル装置100は、制御部4が、回転テーブル2を目標回転角度位置に移動するときの負荷検出部3の検出値に基づいて回転テーブル2の回転角度位置毎にモータ1の負荷が小さくなる回転方向を判定する回転方向判定部43を有する。これにより、モータ1の負荷が小さくなる回転テーブル2の回転方向を選択して、モータ1の負荷を抑制することができる。
以上、本開示に係る回転テーブル装置の実施形態について説明したが、本開示に係る回転テーブル装置は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本開示から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本開示に係る回転テーブル装置による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
本開示に係る回転テーブル装置において、制御部は、回転方向判定部又は過負荷検知部を有していればよく、プログラム解析部、駆動指令生成部、駆動情報修正部及び最大加速度算出部はいずれも省略可能である。
本開示に係る回転テーブル装置は、複数のモータと、各モータによってそれぞれ駆動される複数の回転テーブルと、各モータの負荷を検出する複数の負荷検出部と、複数のモータを制御する単一の制御部とを有する構成とされてもよい。複数の回転テーブルに同じワークが保持される場合、制御部は、複数の負荷検出部の検出値に基づいて各モータを制御してもよい。また、個々に制御部を有する複数の回転テーブル装置が上位の制御装置によって制御されてもよい。また、本開示に係る回転テーブル装置は、一つの回転テーブル上に別の回転テーブルが保持された、2軸構成の回転テーブル装置であってもよい。
100 回転テーブル装置
1 モータ
2 回転テーブル
3 負荷検出部
4 制御部
5 報知部
41 プログラム解析部
42 駆動指令生成部
43 回転方向判定部
44 過負荷検知部
45 報知部
46 最大加速度算出部
47 駆動情報修正部

Claims (2)

  1. モータと、
    前記モータにより回転駆動される回転テーブルと、
    前記モータの負荷を検出する負荷検出部と、
    前記モータを制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記回転テーブルを目標回転角度位置に移動するときの前記負荷検出部の検出値に基づいて、前記回転テーブルの時刻毎の回転角度位置における前記モータの負荷が小さくなる回転方向を判定する回転方向判定部を有し、さらに、
    前記負荷検出部の検出値と前記モータの許容負荷との比較により前記モータの過負荷を検知する過負荷検知部、及び前記過負荷検知部が前記モータの過負荷を検知した場合に、過負荷の報知と、前記回転方向判定部が判定した前記モータの負荷が小さくなる回転方向の報知とを合わせて行う報知部と、
    前記回転方向判定部が判定した前記モータの負荷が小さくなる回転方向に前記回転テーブルを駆動するよう、動作プログラムに基づいて生成される駆動情報を修正する駆動情報修正部と、の少なくとも一方を有する、回転テーブル装置。
  2. 前記制御部は、前記モータの負荷を前記許容負荷以下に抑制できる前記モータの最大加速度を算出する最大加速度算出部をさらに有する、請求項1に記載の回転テーブル装置。
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