JP2013006264A - 加速度の調節機能を有する揺動体の揺動制御装置 - Google Patents

加速度の調節機能を有する揺動体の揺動制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】揺動体の揺動に際して揺動体の加速度を調節することができる揺動体の揺動制御装置を提供する。
【解決手段】制御部22は、回転軸線X1回りに規定される揺動体13の揺動にあたって、少なくとも1つの角度位置で、駆動モータ15に作用する重力による負荷トルクQを取得する。制御部22は、負荷トルクQが駆動モータ15の加減速を妨げる方向に作用する場合であるか、又は加減速を助ける方向に作用する場合であるかを考慮して、設定最大加速度を算出する。算出された設定最大加速度以下の加速度が加速時又は減速時の揺動体13の加速度として設定される。こうして制御部22は、揺動体13の加速時及び減速時の少なくともいずれかにおいて、負荷トルクQに応じて揺動体13の加速度を調節することができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、揺動体の揺動制御装置に関し、特に、揺動体の加速度を調節することができる揺動制御装置に関する。
例えばマシニングセンタなどの工作機械には、ワークを保持する揺動テーブルが組み込まれる。例えば水平方向に延びる回転軸線回りの揺動テーブルの揺動に基づきワークは傾けられる。このとき、ワークに対して相対移動する工具によってワークが所望の形状に加工される。揺動テーブルは、サーボモータの出力トルクによって回転軸線回りに揺動する。揺動テーブルの重心は回転軸線から半径方向に所定の距離にあることから、重力によって負荷トルクが生じる。負荷トルクは、回転軸線回りの揺動テーブルの角度位置に応じて変化する。従って、負荷トルクが揺動テーブルの揺動を妨げる方向に作用する場合、揺動テーブルの加速のトルク又は減速のトルクは、サーボモータの出力トルクから負荷トルクを減算した後の残りのトルクに相当する。
特開2011−44081号公報 特開2010−262467号公報
従来、揺動時の揺動体の加速度は固定されている。すなわち、サーボモータの最大出力トルクから、揺動体の揺動を最も妨げる大きさの負荷トルクを減算した値を、回転軸線回りのイナーシャで除算した値が、揺動体の加速度として用いられている。その結果、重力の影響が比較的に小さな角度位置すなわち比較的に小さな負荷トルクの角度位置では、より大きなトルクを使用することができるにも拘わらず、小さなトルクが設定されてしまっている。その結果、比較的に小さな加速度が設定されてしまうので、サーボモータのトルクを有効に使用することができなかった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、揺動体の揺動に際して揺動体の加速度を調節することができる揺動体の揺動制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によれば、
水平方向に延びる回転軸線回りに駆動モータによって揺動体を揺動させる際の前記揺動体の加速度を設定する揺動体の揺動制御装置であって、
前記回転軸線回りに規定される少なくとも1つの角度位置で、前記駆動モータに作用する重力による負荷トルクを取得し、
前記負荷トルクが前記駆動モータの加減速を妨げる方向に作用する場合、前記駆動モータの出力トルクから前記負荷トルクを減算して得られる値を、前記回転軸線回りのイナーシャで除算した値を設定最大加速度として算出し、
前記負荷トルクが前記駆動モータの加減速を助ける方向に作用する場合、前記駆動モータの出力トルクに前記負荷トルクを加算して得られる値を、前記回転軸線回りのイナーシャで除算した値を設定最大加速度として算出し、
算出された前記設定最大加速度以下の加速度が加速時又は減速時の前記揺動体の加速度として設定される揺動体の揺動制御装置が提供される。
また、本発明に係る揺動体の揺動制御装置では、
前記負荷トルクが前記駆動モータの加減速を妨げる方向に作用する場合、前記揺動体の加速時の角度範囲内又は減速時の角度範囲内の最大値の負荷トルクに基づき前記設定最大加速度を算出し、
前記負荷トルクが前記駆動モータの加減速を助ける方向に作用する場合、前記揺動体の加速時の角度範囲内又は減速時の角度範囲内の最小値の負荷トルクに基づき前記設定最大加速度を算出する。
また、本発明に係る揺動体の揺動制御装置では、前記揺動体の加速時には、前記揺動体の加速の開始時の角度位置に基づき前記設定最大加速度を算出し、前記揺動体の減速時には、前記揺動体の減速の終了時の角度位置に基づき前記設定最大加速度が算出される。
またさらに、本発明に係る揺動体の揺動制御装置では、前記設定最大加速度を、前記駆動モータの出力トルクを前記イナーシャで除算した値以下に設定する。
また、本発明によれば、
水平方向に延びる回転軸線回りに揺動自在の揺動体と、
前記回転軸線回りに前記揺動体を揺動させる駆動モータと、
加速時又は減速時の前記揺動体の加速度を設定最大加速度以下に設定する制御部と、を備える工作機械であって、
前記制御部は、
前記回転軸線回りに規定される少なくとも1つの角度位置で、前記駆動モータに作用する重力による負荷トルクを取得し、
前記負荷トルクが前記駆動モータの加減速を妨げる方向に作用する場合、前記駆動モータの出力トルクから前記負荷トルクを減算して得られる値を、前記回転軸線回りのイナーシャで除算した値を設定最大加速度として算出し、
前記負荷トルクが前記駆動モータの加減速を助ける方向に作用する場合、前記駆動モータの出力トルクに前記負荷トルクを加算して得られる値を、前記回転軸線回りのイナーシャで除算した値を設定最大加速度として算出し、
算出された前記設定最大加速度以下の加速度を、加速時又は減速時の前記揺動体の加速度として設定する、工作機械が提供される。
本発明の揺動体の揺動制御装置によれば、揺動体の揺動に際して揺動体の加速度を調節することができる。
本発明の一実施形態に係る工作機械の構成を概略的に示す図である。 図1の2−2線に沿った断面図である。 図2に対応し、揺動テーブルが揺動する様子を概略的に示す断面図である。 図2に対応し、揺動テーブルが揺動する様子を概略的に示す断面図である。 図2に対応し、揺動テーブルが揺動する様子を概略的に示す断面図である。 図2に対応し、揺動テーブルが揺動する様子を概略的に示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る制御部の処理の流れを示すフローチャートである。 従来技術における、負荷トルクと揺動テーブルの角度位置との関係を示すグラフである。 本発明における、負荷トルクと揺動テーブルの角度位置との関係を示すグラフである。 図2に対応し、揺動テーブルが揺動する様子を概略的に示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る制御部の処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る制御部の処理の流れを示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る工作機械11の構成を概略的に示す図である。この工作機械11は例えば5軸立型のマシニングセンタを構成する。工作機械11にはXYZ基準座標系が設定される。
工作機械11は、ベッド12と、X軸に平行に水平方向に規定される回転軸線X1回りにベッド12に揺動自在に支持される揺動体、例えば揺動テーブル13と、Z軸に平行に垂直方向に規定される回転軸線X2回りに回転自在に揺動テーブル13上に支持される回転テーブル14と、を備える。回転テーブル14上にワークWが固定される。揺動テーブル13には駆動モータ、例えばサーボモータ15が連結される。サーボモータ15の回転駆動によって揺動テーブル13が揺動する。
揺動テーブル13の上方には主軸頭16が配置される。主軸頭16の下端には、主軸17を介して着脱自在に工具18が装着される。工具18は、主軸頭16に組み込まれるスピンドルモータ(図示せず)により回転駆動される。工具18は、例えばエンドミル、カッタ、ドリルなどの切削工具や研削工具を含む。主軸頭16は、それぞれの軸ごとの直線送り機構(図示せず)を介してX軸、Y軸及びZ軸の方向に移動する。直線送り機構は、ボールねじと、このボールねじを回転駆動するサーボモータと、を備える。こうして主軸頭16すなわち工具18とワークWとの間の相対移動が実現される。相対移動中に回転する工具18が所定の加工点でワークWに接触する。こうしてワークWは所望の形状に加工される。なお、直線送り機構にはリニアモータが用いられてもよい。
ベッド12には、揺動テーブル13の回転軸線X1回りの角度位置を検出する角度検出器(図示せず)が組み込まれている。同様に、揺動テーブル13には回転テーブル14の角度位置を検出する角度検出器(図示せず)が組み込まれている。また、主軸頭16には、当該主軸頭16のX軸、Y軸及びZ軸の位置を検出する複数の位置検出器(図示せず)が組み込まれている。これらの位置検出器で検出された位置は例えば基準座標系の座標位置で特定される。検出された角度位置や座標位置はNC(数値制御)装置19にフィードバックされる。NC装置19は、例えば記憶部(図示せず)に格納された加工プログラムに従って様々な演算処理を実行する。演算処理に基づきNC装置19はサーボモータやスピンドルモータの駆動を制御する。なお、工作機械11では、主軸頭16に代えて、揺動テーブル13がX軸、Y軸及びZ軸の方向に移動してもよい。
NC装置19は、加工プログラムに従って駆動指令を作成する指令作成部21と、指令作成部21から出力された駆動指令に従ってサーボモータ15に駆動信号を出力する揺動制御装置すなわち制御部22と、を備える。駆動指令には例えば、回転軸線X1回りの揺動テーブル13の揺動量と、回転軸線X1回りの揺動テーブル13の設定揺動速度と、が含まれる。揺動量は揺動開始の角度位置と揺動終了の角度位置とによって特定されてもよいし、又は検出される現在の角度位置からの角度の変位量として特定されてもよい。設定揺動速度は例えば一定の速度Vに設定される。なお、サーボモータ15は、通常の制御と同様に、角度位置の制御のための位置制御ループと、角速度の制御のための速度制御ループと、加速度の制御のための電流制御ループと、を有している。
図2は図1の2−2線に沿った断面図である。前述のように、揺動テーブル13は回転軸線X1回りに揺動自在にベッド12に支持される。揺動テーブル13は、回転軸線X1に直交する方向に外側に延びる。図2に示されている位置では、揺動テーブル13は基準姿勢を保持している。基準姿勢の揺動テーブル13は0°の角度位置に配置されている。ここでは、0°の角度位置を基準にして相互に反対向きに回転軸線X1回りで各角度位置が規定される。すなわち、0°の角度位置から時計回りに180°の角度位置までの角度範囲と、0°の角度位置から反時計回りに−180°の角度位置までの角度範囲と、が規定される。揺動テーブル13は回転軸線X1回りにいずれの方向にも揺動することができる。ただし、揺動テーブル13の揺動の角度範囲は360°以下に設定される。サーボモータ15は、サーボモータ15の出力トルクTに基づき回転軸線X1回りに所定の角度範囲にわたって揺動テーブル13を揺動させることができる。
ここで、ワークW及び回転テーブル14を支持する揺動テーブル13の重心Gは、回転軸線X1から所定の距離Rだけ離れている。なお、重心Gは例えばX軸方向に揺動テーブル13の両端同士の間の中間位置に規定される。回転軸線X1回りに揺動テーブル13が揺動する際、重力の作用によって回転軸線X1回りに負荷トルクQが発生する。以下の説明から明らかなように、負荷トルクQの大きさは、0°及び180°(−180°)の角度位置で最小値すなわちゼロをとり、90°及び−90°の角度位置で最大値をとる正弦曲線で特定される。負荷トルクQの詳細については後述する。なお、サーボモータ15の出力トルクTは、サーボモータ15が揺動テーブル13を揺動させるために出力するトルクに相当する。出力トルクTの詳細については後述する。
このとき、揺動テーブル13の質量Mが重心Gに集中しているものと仮定すると、重心Gでは鉛直方向に重力Mgが規定される。gは重力加速度9.8[m/s2]である。図2に示される基準姿勢での負荷トルクQはゼロである。その一方で、図3に示されるように、揺動テーブル13が0°及び180°(−180°)以外の所定の角度θの角度位置に配置されると、重力Mgは、回転軸線X1を中心として距離Rを半径とする仮想円の接線方向に規定される接線成分MRg・|sinθ|と、法線方向に規定される法線成分MRg・|cosθ|と、に分けられる。この接線成分MRg・|sinθ|が、サーボモータ15に対する負荷トルクQを構成する。なお、|sinθ|や|cosθ|はsinθやcosθの絶対値を示す。
次に、揺動テーブル13の加速度すなわち加速度の算出方法について説明する。図4に示されるように、例えば0°〜90°の角度位置の範囲内で、揺動テーブル13が所定の角度位置から角度を増大させる方向に加速する場合を想定する。このとき、負荷トルクQは、揺動テーブル13の揺動方向とは逆向きに作用することから、揺動テーブル13の加速を妨げる方向に作用する。その結果、所定の角度θの角度位置では、サーボモータ15の出力トルクTから負荷トルクQを減算した値を、回転軸線X1回りのイナーシャJmで除算した値が、このときの揺動テーブル13の加速度aに相当する。すなわち、
加速度a=(T−MRg・|sinθ|)/Jm
が導き出される。
ここで、サーボモータ15の出力トルクTは、サーボモータ15が出力可能な最大トルクより小さな値に設定される。例えば揺動テーブル13が1分間に50回転する角速度まで加速するのに50msの時間がかかる場合、加速に15°の角度範囲が必要とされる。このとき、負荷トルクQは最大で26%にわたって変化する。負荷トルクQが最も変化するときの角度範囲は、例えば0°を挟んで7.5°〜−7.5°の角度範囲である。サーボモータ15の選定にあたって、サーボモータ15がオーバーヒートしないように、最大の負荷トルクQがサーボモータ15の連続定格トルク以下であることが条件として設定される。従って、この場合、揺動テーブル13の揺動に使用する出力トルクTは、サーボモータ15の連続定格トルクに対して26%減少した大きさに設定されることが好ましい。
次に、図5に示されるように、例えば0°〜90°の角度位置の範囲内で、揺動テーブル13が所定の角度位置から角度を減少させる方向に加速する場合を想定する。このとき、負荷トルクは、揺動テーブル13の揺動方向と同じ向きに作用することから、揺動テーブル13の加速を助ける方向に作用する。その結果、所定の角度θの角度位置では、サーボモータ15の出力トルクTに負荷トルクQを加算した値を、回転軸線X1回りのイナーシャJmで除算した値が、このときの揺動テーブル13の加速度aに相当する。すなわち、
加速度a=(T+MRg・|sinθ|)/Jm
が導き出される。
なお、揺動テーブル13が所定の角度θの角度位置から角度を増大させる方向又は減少させる方向に減速する場合にも前述と同様に加速度が算出される。すなわち、負荷トルクQが揺動テーブル13の減速を妨げる方向に作用する場合、所定の角度θの角度位置では、
加速度a=(T−MRg・|sinθ|)/Jm
が導き出される。その一方で、負荷トルクQが揺動テーブル13の減速を助ける方向に作用する場合、所定の角度θの角度位置では、
加速度a=(T+MRg・|sinθ|)/Jm
が導き出される。
前述したように、加速度aを算出するための計算式は、サーボモータ15にかかる負荷トルクQが加減速を妨げるか、又は加減速を助けるかに従って異なる。したがって、本発明においては、制御部22によって出力される駆動指令に含まれる設定最大加速度をこれら計算式を用いて算出する。
続いて、設定最大加速度を算出する制御処理について図7を参照して説明する。図7は、本発明の第1実施形態に係る制御部22の処理の流れを示すフローチャートである。制御部22は、先ず指令作成部21から駆動指令を取得する(ステップA1)。駆動指令には、回転軸線X1回りの揺動テーブル13の変位量(例えば角度θ1〜θ2の角度範囲として特定される(図6及び図9参照))と、回転軸線X1回りの揺動テーブル13の速度Vと、が含まれる。揺動テーブル13の変位量を指示する指令として、指令開始時の角度位置からの変位量が付与されてもよいし、指令開始時の角度及び指令終了時の角度が付与されてもよい。続いて制御部22は、角度検出器の出力から現在の揺動テーブル13の角度位置θを取得する(ステップA2)。
処理部22は、角度位置θに対応する負荷トルクQを取得する(ステップA3)。負荷トルクQは制御周期毎に算出されてもよいし、角度位置から負荷トルクを参照できるように関連付けられていて制御部22によって読出可能なルックアップテーブルを参照することにより、負荷トルクQが取得されてもよい。
続いて、処理部22は、現在の角度位置θに基づいて、負荷トルクQが揺動テーブル13の加減速を助ける方向に作用するか、又は加減速を妨げる方向に作用するかを判定する(ステップA4)。負荷トルクQが加減速を助ける方向に作用する場合、制御部22は、前述したように数式
a=(T+Mg・|sinθ|)/Jm
に従って、設定最大加速度を算出する(ステップA41)。また、負荷トルクQが加減速を妨げる方向に作用する場合、制御部22は、前述したように数式
a=(T−Mg・|sinθ|)/Jm
に従って、設定最大加速度を算出する(ステップA42)。
このようにして算出された設定最大加速度は、指令加速度の設定上限値として使用される。したがって、処理部22は、指令加速度が設定最大加速度以下の範囲内になるように指令加速度を設定する(ステップA5)。制御部22は、次いで現在の角度位置θと、ステップA5で設定された指令加速度と、に基づいて現在の制御周期において使用される指令速度を算出する(ステップA6)。サーボモータ15は、制御部22によって算出される指令速度に従って駆動される(ステップA7)。
前述した第1実施形態においては、制御周期毎に角度位置に応じた負荷トルクQの作用を考慮して最適な設定最大加速度が決定される。したがって、加減速時の加速度が一定に設定される従来技術に比べると、サーボモータ15のトルクをより有効に利用できる。換言すると、本実施形態によれば、揺動テーブル13は、従来技術の場合の加速度以上の加速度で駆動されるようになり、揺動テーブル13の揺動に要する時間を短縮できる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る工作機械11では、後述するように、円周方向の加速度aの調節にあたって、揺動テーブル13の加速開始又は減速開始時の角度位置θSから加速終了又は減速終了時の角度位置θEまでの角度範囲θS〜θEにわたって、加速度が算出される。そして、それら角度範囲θS〜θEに対応して算出される加速度の範囲に基づいて設定最大加速度が決定される。加速度の算出にあたって、工作機械11では、角度位置θS及びθEに関して例えば以下のような条件が想定される。なお、0°と180°(−180°)とを結ぶ線分に対して線対称に同様の条件が設定されうるものの、説明の重複を回避するために説明を省略する。
次の(1)〜(10)の条件を考える。
(1)0°≦θS<θE≦90°
(2)0°≦θE<θS≦90°
(3)90°≦θS<θE≦180°
(4)90°≦θE<θS≦180°
(5)0°≦θS≦90°≦θE≦180°、かつθS<θE
(6)0°≦θE≦90°≦θS≦180°、かつθE<θS
(7)−90°≦θS≦0°≦θE≦90°、かつθS<θE
(8)−90°≦θS≦0°、かつ90°≦θE≦180°
(9)−180°≦θS≦−90°、かつ0°≦θE≦90°
(10)−180°≦θS≦−90°、かつ90°≦θE≦180°
(1)0°≦θS<θE≦90°の場合
この角度範囲において、負荷トルクがとりうる範囲は次の不等式で表わされる。
MRg・|sinθS|≦Q≦MRg・|sinθE
また、この角度範囲では、揺動テーブル13の加速時における負荷トルクQは加速を妨げる方向に作用する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T−MRg・|sinθE|)/Jm≦a≦(T−MRg・|sinθS|)/Jm
本実施形態においては、この加速度aの範囲内の最小値を設定最大加速度として設定する。すなわち、加速時の設定最大加速度amaxは、
max=(T−MRg・|sinθE|)/Jm
である。加速終了時の角度位置θEは、以下に説明するように指令速度Vまで設定最大加速度amaxで加速するときに成立する関係式によって求められる。
前述したように、回転軸線X1回りの揺動テーブル13の速度Vすなわち角速度は一定に設定される。従って、揺動テーブル13が所定の角度θSから角度θE(θS<θE)に向かって加速する場合(例えば(1)の条件)、負荷トルクQが揺動テーブル13の加速を妨げる方向に作用するので、角速度Vは、下記数式
Figure 2013006264
で表されるように加速度を積分することによって得られる。すなわち、
速度V=((T−MRg・|sinθE|)/Jm)×(θE−θS
で表される。θEは、この等式を解くことによって求められる。例えば、θEにθSから漸次増加する値を代入して等式が満足されるまで計算することによってθEを求めることができる。
次に、(1)の角度範囲における減速時の設定最大加速度の算出方法について説明する。この角度範囲において、揺動テーブル13の減速時における負荷トルクQは、減速を助ける方向に作用する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T+MRg・|sinθS|)/Jm≦a≦(T+MRg・|sinθE|)/Jm
減速時の設定最大加速度amaxは、前述した加速時の設定最大加速度amaxと同様に加速度aの範囲内の最小値であるため、
max=(T+MRg・|sinθS|)/Jm
である。減速開始時の角度位置θSは、指令速度Vから速度ゼロまで加速度amaxで減速した場合に成立する関係式
V=((T+MRg・|sinθS|)/Jm)×(θE−θS
によって求められる。θSは、例えばθEから漸次減少する値を代入してこの等式が満足されるまで計算することによって求められる。
(2)0°≦θE<θS≦90°の場合
この角度範囲において、負荷トルクがとりうる範囲は次の不等式で表わされる。
MRg・|sinθE|≦Q≦MRg・|sinθS
また、この角度範囲では、揺動テーブル13の加速時における負荷トルクQは加速を助ける方向に作用する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T+MRg・|sinθE|)/Jm≦a≦(T+MRg・|sinθS|)/Jm
本実施形態においては、この加速度aの範囲内の最小値を設定最大加速度として設定するので、加速時の設定最大加速度amaxは、
max=(T+MRg・|sinθE|)/Jm
である。加速終了時の角度位置θEは、指令速度Vまで設定最大加速度amaxで加速するときに成立する関係式
V=((T+MRg・|sinθE|)/Jm)×(θS−θE
によって求められる。θEは、例えばθSから漸次減少する値を代入してこの等式が満足されるまで計算することによって求められる。
また、この角度範囲において、揺動テーブル13の減速時における負荷トルクQは、減速を妨げる方向に作用する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T−MRg・|sinθS|)/Jm≦a≦(T−MRg・|sinθE|)/Jm
減速時の設定最大加速度amaxは、前述した加速時の設定最大加速度amaxと同様に加速度aの範囲内の最小値であるため、
max=(T−MRg・|sinθS|)/Jm
である。減速開始時の角度位置θSは、指令速度Vから速度ゼロまで設定最大加速度amaxで減速した場合に成立する関係式
V=((T−MRg・|sinθS|)/Jm)×(θS−θE
によって求められる。θSは、例えばθEから漸次増大する値を代入してこの等式が満足されるまで計算することによって求められる。
(3)90°≦θS<θE≦180°の場合
この角度範囲において、負荷トルクがとりうる範囲は次の不等式で表わされる。
MRg・|sinθE|≦Q≦MRg・|sinθS
また、この角度範囲では、揺動テーブル13の加速時における負荷トルクQは加速を妨げる方向に作用する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T−MRg・|sinθS|)/Jm≦a≦(T−MRg・|sinθE|)/Jm
本実施形態においては、この加速度aの範囲内の最小値を設定最大加速度として設定するので、加速時の設定最大加速度amaxは、
max=(T−MRg・|sinθS|)/Jm
である。加速開始時の角度位置θSは指令開始時の角度位置である。
また、この角度範囲において、揺動テーブル13の減速時における負荷トルクQは、減速を助ける方向に作用する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T+MRg・|sinθE|)/Jm≦a≦(T+MRg・|sinθS|)/Jm
減速時の設定最大加速度amaxは、前述した加速時の設定最大加速度amaxと同様に加速度aの範囲内の最小値であるため、
max=(T+MRg・|sinθE|)/Jm
である。減速終了時の角度位置θEは指令終了時の角度位置である。
(4)90°≦θE<θS≦180°の場合
この角度範囲において、負荷トルクがとりうる範囲は次の不等式で表わされる。
MRg・|sinθS|≦Q≦MRg・|sinθE
また、この角度範囲では、揺動テーブル13の加速時における負荷トルクQは加速を助ける方向に作用する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T+MRg・|sinθS|)/Jm≦a≦(T+MRg・|sinθE|)/Jm
本実施形態においては、この加速度aの範囲内の最小値を設定最大加速度として設定するので、加速時の設定最大加速度amaxは、
max=(T+MRg・|sinθS|)/Jm
である。加速開始時の角度位置θSは指令開始時の角度位置である。
また、この角度範囲において、揺動テーブル13の減速時における負荷トルクQは、減速を妨げる方向に作用する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T−MRg・|sinθE|)/Jm≦a≦(T−MRg・|sinθS|)/Jm
減速時の設定最大加速度amaxは、前述した加速時の設定最大加速度amaxと同様に加速度aの範囲内の最小値であるため、
max=(T−MRg・|sinθE|)/Jm
である。減速終了時の角度位置θEは指令終了時の角度位置である。
(5)0°≦θS≦90°≦θE≦180°、かつθS<θEの場合
この角度範囲において、負荷トルクがとりうる範囲は次の不等式で表わされる。
MRg・|sinθS|≦Q≦MRg(|θE−90°|≦|θS−90°|の場合)
MRg・|sinθE|≦Q≦MRg(|θS−90°|<|θE−90°|の場合)
また、この角度範囲では、揺動テーブル13の加速時における負荷トルクQは加速を妨げる方向に作用する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は、次の不等式で表わされる。
(T−MRg)/Jm≦a≦(T−MRg・|sinθS|)/Jm(|θE−90°|≦|θS−90°|の場合)
(T−MRg)/Jm≦a≦(T−MRg・|sinθE|)/Jm(|θS−90°|<|θE−90°|の場合)
本実施形態においては、この加速度aの範囲内の最小値を設定最大加速度として設定するので、加速時の設定最大加速度amaxは、
max=(T−MRg)/Jm
である。
また、この角度範囲において、揺動テーブル13の減速時における負荷トルクQは、減速を助ける方向に作用する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T+MRg・|sinθS|)/Jm≦a≦(T+MRg)/Jm(|θE−90°|≦|θS−90°|の場合)
(T+MRg・|sinθE|)/Jm≦a≦(T+MRg)/Jm(|θS−90°|<|θE−90°|の場合)
減速時の設定最大加速度amaxは、前述した加速時の設定最大加速度amaxと同様に加速度aの範囲内の最小値であるため、|θE−90°|≦|θS−90°|が成立する場合は、
max=(T+MRg・|sinθS|)/Jm
であり、|θS−90°|<|θE−90°|の場合は、
max=(T+MRg・|sinθE|)/Jm
である。減速開始時の角度位置θSは、指令速度Vから速度ゼロまで設定最大加速度amaxで減速した場合に成立する関係式
V=((T+MRg・|sinθE|)/Jm)×(θE−θS
によって求められる。θSは、例えばθEから漸次減少する値を代入してこの等式が満足されるまで計算することによって求められる。
(6)0°≦θE≦90°≦θS≦180°、かつθE<θSの場合
この角度範囲において、負荷トルクがとりうる範囲は次の不等式で表わされる。
MRg・|sinθS|≦Q≦MRg(|θE−90°|≦|θS−90°|の場合)
MRg・|sinθE|≦Q≦MRg(|θS−90°|<|θE−90°|の場合)
また、この角度範囲では、揺動テーブル13の加速時における負荷トルクQは加速を助ける方向に作用する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は、次の不等式で表わされる。
(T+MRg・|sinθS|)/Jm≦a≦(T+MRg)/Jm(|θE−90°|≦|θS−90°|の場合)
(T+MRg・|sinθE|)/Jm≦a≦(T+MRg)/Jm(|θS−90°|<|θE−90°|の場合)
本実施形態においては、この加速度aの範囲内の最小値を設定最大加速度として設定するので、加速時の設定最大加速度amaxは、|θE−90°|≦|θS−90°|が成立する場合は、
max=(T+MRg・|sinθS|)/Jm
であり、|θS−90°|<|θE−90°|の場合は、
max=(T+MRg・|sinθE|)/Jm
である。
加速終了時の角度位置θEは、指令速度Vまで設定最大加速度amaxで加速するときに成立する関係式
V=((T+MRg・|sinθS|)/Jm)×(θS−θE)(|θE−90°|≦|θS−90°|の場合)
V=((T+MRg・|sinθE|)/Jm)×(θS−θE)(|θS−90°|<|θE−90°|の場合)
によって求められる。θEは、例えばθSから漸次減少する値を代入してこの等式が満足されるまで計算することによって求められる。
また、この角度範囲において、揺動テーブル13の減速時における負荷トルクQは、減速を妨げる方向に作用する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T−MRg)/Jm≦a≦(T−MRg・|sinθS|)/Jm(|θE−90°|≦|θS−90°|の場合)
(T−MRg)/Jm≦a≦(T−MRg・|sinθE|)/Jm(|θS−90°|<|θE−90°|の場合)
減速時の設定最大加速度amaxは、前述した加速時の設定最大加速度amaxと同様に加速度aの範囲内の最小値であるため、
max=(T−MRg)/Jm
である。
(7)−90°≦θS≦0°≦θE≦90°、かつθS<θEの場合
この角度範囲において、負荷トルクQがとりうる範囲は次の不等式で表わされる。
−MRg・|sinθE|≦Q≦MRg・|sinθS
負荷トルクQは、0°の角度位置を境界として作用方向が変化する。上記不等式において、負の値を有する負荷トルクQは、作用方向が反対向きであることを意味する。この角度範囲において、揺動テーブル13の加速時における負荷トルクQは、加速を助ける方向から加速を妨げる方向に変化する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T−MRg・|sinθE|)/Jm≦a≦(T+MRg・|sinθS|)/Jm
本実施形態においては、この加速度aの範囲内の最小値を設定最大加速度として設定するので、加速時の設定最大加速度amaxは、
max=(T−MRg・|sinθE|)/Jm
である。加速終了時の角度位置θEは、指令速度Vまで設定最大加速度amaxで加速するときに成立する関係式
V=((T−MRg・|sinθE|)/Jm)×(θE−θS
によって求められる。θEは、例えばθSから漸次増加する値を代入してこの等式が満足されるまで計算することによって求められる。
また、この角度範囲において、揺動テーブル13の減速時における負荷トルクQは、減速を妨げる方向から減速を助ける方向に変化する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T−MRg・|sinθS|)/Jm≦a≦(T+MRg・|sinθE|)/Jm
減速時の設定最大加速度amaxは、前述した加速時の設定最大加速度amaxと同様に加速度aの範囲内の最小値であるため、
max=(T−MRg・|sinθS|)/Jm
である。減速開始時の角度位置θSは、指令速度Vから速度ゼロまで設定最大加速度amaxで減速した場合に成立する関係式
V=((T−MRg・|sinθS|)/Jm)×(θE−θS
によって求められる。θSは、例えばθEから漸次減少する値を代入してこの等式が満足されるまで計算することによって求められる。
(8)−90°≦θS≦0°、かつ90°≦θE≦180°の場合
この角度範囲において、負荷トルクQがとりうる範囲は次の不等式で表わされる。
−MRg≦Q≦MRg・|sinθS
負荷トルクQは、0°の角度位置を境界として作用方向が変化する。上記不等式において、負の値を有する負荷トルクQは、作用方向が反対向きであることを意味する。この角度範囲において、揺動テーブル13の加速時における負荷トルクQは、加速を助ける方向から加速を妨げる方向に変化する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T−MRg)/Jm≦a≦(T+MRg・|sinθS|)/Jm
本実施形態においては、この加速度aの範囲内の最小値を設定最大加速度として設定するので、加速時の設定最大加速度amaxは、
max=(T−MRg)/Jm
である。
また、この角度範囲において、揺動テーブル13の減速時における負荷トルクQは、減速を妨げる方向から減速を助ける方向に変化する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T−MRg・|sinθS|)/Jm≦a≦(T+MRg)/Jm
減速時の設定最大加速度amaxは、前述した加速時の設定最大加速度amaxと同様に加速度aの範囲内の最小値であるため、
max=(T−MRg・|sinθS|)/Jm
である。減速開始時の角度位置θSは、指令速度Vから速度ゼロまで設定最大加速度amaxで減速した場合に成立する関係式
V=((T−MRg・|sinθS|)/Jm)×(θE−θS
によって求められる。θSは、例えばθEから漸次減少する値を代入してこの等式が満足されるまで計算することによって求められる。
(9)−180°≦θS≦−90°、かつ0°≦θE≦90°の場合
この角度範囲において、負荷トルクQがとりうる範囲は次の不等式で表わされる。
−MRg・|sinθE|≦Q≦MRg
負荷トルクQは、0°の角度位置を境界として作用方向が変化する。上記不等式において、負の値を有する負荷トルクQは、作用方向が反対向きであることを意味する。この角度範囲において、揺動テーブル13の加速時における負荷トルクQは、加速を助ける方向から加速を妨げる方向に変化する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T−MRg・|sinθE|)/Jm≦a≦(T+MRg)/Jm
本実施形態においては、この加速度aの範囲内の最小値を設定最大加速度として設定するので、加速時の設定最大加速度amaxは、
max=(T−MRg・|sinθE|)/Jm
である。加速終了時の角度位置θEは、指令速度Vまで設定最大加速度amaxで加速するときに成立する関係式
V=((T−MRg・|sinθE|)/Jm)×(θE−θS
によって求められる。θEは、例えばθSから漸次増加する値を代入してこの等式が満足されるまで計算することによって求められる。
また、この角度範囲において、揺動テーブル13の減速時における負荷トルクQは、減速を妨げる方向から減速を助ける方向に変化する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T−MRg)/Jm≦a≦(T+MRg・|sinθE|)/Jm
減速時の設定最大加速度amaxは、前述した加速時の設定最大加速度amaxと同様に加速度aの範囲内の最小値であるため、
max=(T−MRg)/Jm
である。
(10)−180°≦θS≦−90°、かつ90°≦θE≦180°の場合
この角度範囲において、負荷トルクQがとりうる範囲は次の不等式で表わされる。
−MRg≦Q≦MRg
負荷トルクQは、0°の角度位置を境界として作用方向が変化する。上記不等式において、負の値を有する負荷トルクQは、作用方向が反対向きであることを意味する。この角度範囲において、揺動テーブル13の加速時における負荷トルクQは、加速を助ける方向から加速を妨げる方向に変化する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T−MRg)/Jm≦a≦(T+MRg)/Jm
本実施形態においては、この加速度aの範囲内の最小値を設定最大加速度として設定するので、加速時の設定最大加速度amaxは、
max=(T−MRg)/Jm
である。
また、この角度範囲において、揺動テーブル13の減速時における負荷トルクQは、減速を妨げる方向から減速を助ける方向に変化する。したがって、負荷トルクQの範囲に対応する加速度aの範囲は次の不等式で表わされる。
(T−MRg)/Jm≦a≦(T+MRg)/Jm
減速時の設定最大加速度amaxは、前述した加速時の設定最大加速度amaxと同様に加速度aの範囲内の最小値であるため、
max=(T−MRg)/Jm
である。
前述した(1)〜(10)の角度範囲において算出される設定最大加速度は、制御部20によって指令加速度を算出する際に使用される。具体的には、制御部20は、指令加速度が設定最大加速度以下になるように指令加速度を制御する。なお、加速終了時の角度位置θE及び減速開始時の角度位置θSは、指令加速度に応じて定まるため、予め指定することはできない。したがって、制御部22は、入力される駆動指令に基づいて、加速又は減速に必要な角度範囲が前述した(1)〜(10)のいずれの条件に該当するかを推測し、推測される条件に従って、角度範囲θS〜θE及び負荷トルクQの範囲を概算する。処理部22は、概算の結果として得られる角度範囲θS〜θEと、推測された条件とが整合するか否かを判定する。概算結果が推測された条件に整合する場合には、概算された角度範囲θS〜θE及び負荷トルクQの範囲を確定する。他方、概算結果が推測された条件に整合しない場合には、条件を変更して、それらが整合するまで再計算を行う。
続いて、本実施形態において、設定最大加速度を算出する制御処理について図10を参照して説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係る制御部22の処理の流れを示すフローチャートである。
制御部22は、先ず指令作成部21から駆動指令を取得する(ステップB1)。駆動指令には、回転軸線X1回りの揺動テーブル13の変位量(例えば角度θ1〜θ2の角度範囲として特定される(図6及び図9参照))と、回転軸線X1回りの揺動テーブル13の速度Vと、が含まれる。揺動テーブル13の変位量を指示する指令として、揺動テーブル13の変位量を指示する指令として、指令開始時の角度位置θSからの変位量が付与されてもよいし、指令開始時の角度及び指令終了時の角度がそれぞれ付与されてもよい。
続いて、制御部22は、現在の角度位置θ及び揺動テーブル13の変位量(すなわち角度位置の変化量)に基づいて、設定される指令速度Vまで加速するために必要な角度範囲θS〜θE及び角度範囲θS〜θEに対応する負荷トルクQの範囲を概算する(ステップB2)。角度範囲θS〜θEは、前述した条件(1)〜(10)のいずれかに対応する計算方法に従って、前述した指令速度Vと、加速終了時の角度位置θEとの関係式から求めることができる。制御部22は、次いで角度範囲θS〜θE及び角度範囲θS〜θEに対応する負荷トルクQの範囲を確定する(ステップB3)。ステップB3の処理は、前述したように、ステップB2における概算の結果と、条件(1)〜(10)のうちの、概算のために選択された条件とが整合するまで計算を繰返すことによって行われる。そして、制御部22は、負荷トルクQの範囲に対応する加速度範囲を求めて、その範囲内における加速度の最小値を決定する(ステップB4)。
負荷トルクQに対応する加速度は、前述したように、指令速度Vまで加速するために必要な角度範囲θS〜θEに基づいて、負荷トルクQが加速を助けるか、又は加速を妨げるかに従って異なる数式によって求められる。より具体的には、負荷トルクQがサーボモータ15の加速を妨げる方向に作用する場合、サーボモータ15の出力トルクTから負荷トルクQを減算して得られる値を、回転軸線X1回りのイナーシャJmで除算した値を加速度として算出する。また、負荷トルクQがサーボモータ15の加速を助ける方向に作用する場合、サーボモータ15の出力トルクTに負荷トルクQを加算して得られる値を、回転軸線X1回りのイナーシャJmで除算した値を設定最大加速度として算出する。
再び図10に戻ると、制御部22は、ステップB5において、ステップB4で決定した加速度の最小値を第1の設定最大加速度として設定する。制御部22は、指令加速度がこの第1の設定最大加速度以下になるように制御する(ステップB6)。
続いて、制御部22は、指令速度Vから速度ゼロ(すなわち指令終了時)まで減速するのに必要な角度範囲θS〜θE及び角度範囲θS〜θEに対応する負荷トルクQの範囲を概算する(ステップB7)。角度範囲θS〜θEは、前述した条件(1)〜(10)のいずれかに対応する計算方法に従って、前述した指令速度Vと、減速開始時の角度位置θSとの関係式から求めることができる。制御部22は、次いで角度範囲θS〜θE及び角度範囲θS〜θEに対応する負荷トルクQの範囲を確定する(ステップB8)。ステップB8の処理は、ステップB3の処理と同様に、ステップB7における概算の結果と、条件(1)〜(10)のうちの、概算のために選択された条件とが整合するまで計算を繰返すことによって行われる。そして、制御部22は、負荷トルクQの範囲に対応する加速度範囲を求めて、その範囲内における加速度の最小値を前述した方法に従って決定する(ステップB9)。さらに、制御部22は、ステップB9で決定した加速度の最小値を第2の設定最大加速度として設定する(ステップB10)。制御部22は、指令加速度がこの第2の設定最大加速度以下になるように制御する(ステップB11)。
続いて、ステップB12において、制御部22は、角度検出器の出力から現在の揺動テーブル13の角度位置θを取得する。制御部22は、現在の角度位置θ及び指令加速度に基づいて指令速度を算出する(ステップB13)。制御部22は、指令速度に基づいてサーボモータ15を駆動制御する。
図8Aは、従来技術における負荷トルクQと揺動テーブル13の角度位置との関係を示すグラフであり、図8Bは、本実施形態における負荷トルクQと揺動テーブル13の角度位置との関係を示すグラフである。図8Aから明らかなように、従来技術では、サーボモータ15の出力トルクTから、加減速を妨げる方向に作用する負荷トルクQが最大値をとるときの負荷トルクQを減算した値を、イナーシャJmで除算した値が設定最大加速度として設定される。その結果、サーボモータ15でより大きなトルクを使用することができる角度位置でも加速度が制限されてしまう。なお、グラフ中の斜線部分の面積は角速度Vに相当する。
その一方で、図8Bに示されるように、本発明では、従来技術の制限がないことから、サーボモータ15でより大きなトルクを使用することができる角度位置でその大きなトルクを揺動テーブル13の揺動に有効に利用することができる。前述と同様に、グラフ中の斜線部分の面積が速度Vに相当する。図8Bから明らかなように、この具体例では、従来技術に比べて、揺動テーブル13の加速中の角度範囲と減速中の角度範囲とが減少していることが分かる。これは、揺動テーブル13の加速又は減速に要する時間を短縮できることを意味している。その結果、揺動テーブル13の揺動に要する時間が短縮されうることが分かる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る工作機械11では、制御部22が、加速開始時の角度位置θS1に対応する負荷トルクQに基づいて算出した加速度を第1の設定最大加速度、すなわち加速時の最大設定加速度とし、減速終了時の角度位置θE2に対応する負荷トルクQに基づいて算出した加速度を第2の設定最大加速度、すなわち減速時の最大設定加速度とする。負荷トルクQに基づいて加速度を算出する方法は、前述した方法と同様である。すなわち、負荷トルクQがサーボモータ15の加減速を妨げる方向に作用する場合、サーボモータ15の出力トルクTから負荷トルクQを減算して得られる値を回転軸線X1回りのイナーシャJmで除算することによって、加速度が算出される。また、負荷トルクQがサーボモータ15の加減速を助ける方向に作用する場合、サーボモータ15の出力トルクTに負荷トルクQを加算して得られる値を回転軸線X1回りのイナーシャJmで除算することによって、加速度が算出される。
本実施形態は、加減速の開始から終了までの負荷トルクQの変化量が顕著に大きくならないとする仮定に基づいている。すなわち、前述した第2実施形態と比較すると、加減速の開始から終了までに負荷トルクQのとりうる範囲を計算するステップが省略される。加速開始時、すなわち指令開始時の角度位置θS1及び減速終了時、すなわち指令終了時の角度位置θE2は、それぞれ指令作成21によって付与されうる。したがって、本実施形態においては、指令速度の作成に必要な設定最大加速度を迅速に算出できる。
続いて、本実施形態において、設定最大加速度を算出する制御処理について図11を参照して説明する。図11は、本発明の第3実施形態に係る制御部22の処理の流れを示すフローチャートである。
制御部22は、先ず指令作成部21から駆動指令を取得する(ステップC1)。駆動指令には、回転軸線X1回りの揺動テーブル13の変位量(例えば角度θ1〜θ2の角度範囲として特定される(図6及び図9参照))と、回転軸線X1回りの揺動テーブル13の速度Vと、が含まれる。揺動テーブル13の変位量を指示する指令として、揺動テーブル13の変位量を指示する指令として、指令開始時の角度位置θS1からの変位量が付与されてもよいし、指令開始時の角度θS1及び指令終了時の角度θE2がそれぞれ付与されてもよい。
続いて制御部22は、指令開始時に対応する角度位置θS1に基づいて負荷トルクQを算出する(ステップC2)。制御部22は、算出された負荷トルクQに基づいて第1の設定最大加速度を算出する(ステップC3)。第1の設定最大加速度を算出する方法は、前述した方法と同様である。制御部22は、第1の指令加速度をステップC3において算出された第1の設定最大加速度以下に設定する(ステップC4)。なお、第1の指令加速度は揺動テーブル13の揺動に際して揺動テーブル13を加速させるときに使用される。
続いて制御部22は、指令終了時に対応する角度位置θE2に基づいて負荷トルクQを算出する(ステップC5)。制御部22は、算出された負荷トルクQに基づいて第2の設定最大加速度を算出する(ステップC6)。第2の設定最大加速度を算出する方法は、前述した方法と同様である。制御部22は、第2の指令加速度をステップC6において算出された第2の設定最大加速度以下に設定する(ステップC7)。なお、第2の指令加速度は揺動テーブル13の揺動に際して揺動テーブル13を減速させるときに使用される。
続いて、制御部22は角度検出器から現在の角度位置θを取得する(ステップC8)。また、制御部22は、現在の角度位置が加速時又は減速時に対応する角度位置であるか否かを判定する(ステップC9)。すなわち、ステップC9において、揺動テーブル13が現在加速中又は減速中であるか、或いは一定の指令速度Vで移動中であるかを判定する。
ステップC9において、現在の角度位置が加速時又は減速時に対応すると判定された場合、制御部22は、ステップC10において、指令加速度を、加速中であれば第1の設定最大加速度以下に、減速中であれば第2の設定最大加速度以下に設定する。そして、制御部22は、現在の角度位置及び指令加速度に基づいて指令速度を算出する(ステップC11)。一方、ステップC9において、制御部22が、加速時又は減速時に対応する現在の角度位置ではないと判定した場合、指令速度として設定速度Vを出力する(ステップC12)。制御部22は、ステップC11又はステップC12において求められるステップ指令速度に従って、サーボモータ15を駆動制御する(ステップC13)。
以上の実施形態では、負荷トルクQが加減速を助ける方向にサーボモータ15に作用する場合、サーボモータ15の出力トルクTのみによる加速度a(=T/Jm)よりも大きな加速度で揺動テーブル13を加減速させることができる。しかしながら、揺動テーブル13の揺動の角度範囲が小さい時には、加速度が大き過ぎて揺動テーブル13を所定の減速終了時の角度位置までに減速することができない可能性がある。従って、この問題を解消するために、重力の影響を受けない場合、すなわち、負荷トルクQがゼロであると仮定した場合における、サーボモータ15の出力トルクTに対応する最大加速度よりも加速度aが大きくならないように、設定最大加速度を設定するのが好ましい。その結果、設定最大加速度は、サーボモータ15の出力トルクTをイナーシャJmで除算した値以下に設定される。
前述した実施形態では、本発明の制御部22はマシニングセンタに適用されたものの、揺動体を有する他の工作機械にも本発明を同様に適用することができることは言うまでもない。すなわち、本発明の特徴、機能を実現することができる限り、本発明は図面を参照して説明した実施形態に限定されない。
11 工作機械
15 駆動モータ(サーボモータ)
13 揺動体(揺動テーブル)
22 揺動制御装置、制御部
X1 回転軸線

Claims (5)

  1. 水平方向に延びる回転軸線回りに駆動モータによって揺動体を揺動させる際の前記揺動体の加速度を設定する揺動体の揺動制御装置であって、
    前記回転軸線回りに規定される少なくとも1つの角度位置で、前記駆動モータに作用する重力による負荷トルクを取得し、
    前記負荷トルクが前記駆動モータの加減速を妨げる方向に作用する場合、前記駆動モータの出力トルクから前記負荷トルクを減算して得られる値を、前記回転軸線回りのイナーシャで除算した値を設定最大加速度として算出し、
    前記負荷トルクが前記駆動モータの加減速を助ける方向に作用する場合、前記駆動モータの出力トルクに前記負荷トルクを加算して得られる値を、前記回転軸線回りのイナーシャで除算した値を設定最大加速度として算出し、
    算出された前記設定最大加速度以下の加速度が加速時又は減速時の前記揺動体の加速度として設定されることを特徴とする揺動体の揺動制御装置。
  2. 請求項1に記載の揺動体の揺動制御装置において、
    前記負荷トルクが前記駆動モータの加減速を妨げる方向に作用する場合、前記揺動体の加速時の角度範囲内又は減速時の角度範囲内の最大値の負荷トルクに基づき前記設定最大加速度を算出し、
    前記負荷トルクが前記駆動モータの加減速を助ける方向に作用する場合、前記揺動体の加速時の角度範囲内又は減速時の角度範囲内の最小値の負荷トルクに基づき前記設定最大加速度を算出することを特徴とする揺動体の揺動制御装置。
  3. 請求項1に記載の揺動体の揺動制御装置において、前記揺動体の加速時には、前記揺動体の加速の開始時の角度位置に基づき前記設定最大加速度を算出し、前記揺動体の減速時には、前記揺動体の減速の終了時の角度位置に基づき前記設定最大加速度が算出されることを特徴とする揺動体の揺動制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の揺動体の揺動制御装置において、前記設定最大加速度を、前記駆動モータの出力トルクを前記イナーシャで除算した値以下に設定することを特徴とする揺動体の揺動制御装置。
  5. 水平方向に延びる回転軸線回りに揺動自在の揺動体と、
    前記回転軸線回りに前記揺動体を揺動させる駆動モータと、
    加速時又は減速時の前記揺動体の加速度を設定最大加速度以下に設定する制御部と、を備える工作機械であって、
    前記制御部は、
    前記回転軸線回りに規定される少なくとも1つの角度位置で、前記駆動モータに作用する重力による負荷トルクを取得し、
    前記負荷トルクが前記駆動モータの加減速を妨げる方向に作用する場合、前記駆動モータの出力トルクから前記負荷トルクを減算して得られる値を、前記回転軸線回りのイナーシャで除算した値を設定最大加速度として算出し、
    前記負荷トルクが前記駆動モータの加減速を助ける方向に作用する場合、前記駆動モータの出力トルクに前記負荷トルクを加算して得られる値を、前記回転軸線回りのイナーシャで除算した値を設定最大加速度として算出し、
    算出された前記設定最大加速度以下の加速度を、加速時又は減速時の前記揺動体の加速度として設定することを特徴とする工作機械。
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