JP6751822B1 - 不透明石英ガラス及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
球状の気泡は、気泡に端部がなく、応力が集中しないため機械的強度に優れた不透明石英ガラスであるが、気泡径を小さくすることが困難で、焼仕上げ面が粗く凹凸面となり、不透明石英ガラスをフランジとして使用した場合、装置との密着性が悪くなってリークの原因となる。また、リフレクタ基材として利用した場合、ランプの光が漏洩し、プロジェクタ内部の電子部品に悪影響を及ぼすことがある。
気泡が球状になる不透明石英ガラスの製造方法としては、結晶質シリカまたは非晶質シリカに窒化珪素等の発泡剤を添加し、酸水素炎により加熱溶融する方法が特許文献2(特許第3043032号公報)に開示されている。この製造法によれば大型の不透明石英ガラスインゴットを得ることが容易である。
また、シリカ粉末を45〜75wt%で水に分散したスラリーを粉砕粉の平均粒径を2〜8μm、粉砕粉の粒径の標準偏差を3〜7μm、かつ、スラリー中に含まれる固形物のBET比表面積を2〜9m2/gとなるようビーズミル粉砕、ボールミル粉砕、振動ミル粉砕、アトライター粉砕の1種または2種以上の方法の組み合わせで湿式粉砕した後、噴霧乾燥造粒して実質的に球形で平均粒径が30〜200μm、含水率が3wt%以下の造粒粉とし、プレス成型後に焼成する不透明石英ガラスとする製造方法である。
使用した走査型電子顕微鏡は、日立製作所TM4000Plusである。
白度は、JIS Z 8722に準拠して測定した明度であり、実施例において使用した機器は、コニカミノルタ社製の色彩色差計(CR−400)である。
気泡径の平均粒径は1μm以下であることを必須とする。気泡径が1μmより大きいと白度が低下し、曲げ強度が低下する。また、焼仕上げ面の表面粗さが大きくなる。
本発明の不透明石英ガラスの製造方法は、水に分散したシリカ粉末のスラリーを湿式粉砕する際に粉砕粉の平均粒径を2〜8μm以下、かつ、粉砕粉の粒径の標準偏差を3〜7μm、BET比表面積を2〜9m2/gとするものである。更に、該スラリーを噴霧乾燥造粒した造粒粉を溶融することによって本発明の不透明石英ガラスが得られる。
(1)原料粉末の選定
シリカ粉末は、その製法は特に限定されず、例えばシリコンアルコキシドの加水分解によって製造された非晶質シリカ粉末や、四塩化珪素を酸水素炎等で加水分解して作製したシリカ粉末等を用いることができる。また、天然の水晶を粉砕した粉末やヒュームドシリカも用いることができる。
シリカ粉末の平均粒径は100μm以下が好ましく、60μm以下のものが更に好ましい。平均粒径が300μmを超えると、シリカ粉末の湿式粉砕に長時間を要するため生産性が低下し、生産コストが増大するため好ましくない。
シリカ粉末を水に分散させたスラリーの濃度は45〜75wt%、好ましくは60〜70wt%である。75wt%を超えると、スラリーの粘度が高くなり湿式粉砕が行えない。また、45wt%未満の濃度では水分量が多く、乾燥の際に必要な熱量が多くなり、生産性の低下や生産コストの増大をもたらすため望ましくない。
濃度を調整したスラリーを、平均粒径0.1mm〜3mmの石英ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、炭化珪素ビーズ、アルミナビーズから選ばれる1種類または複種類のビーズを用いて湿式粉砕を行う。スラリー中に含まれる粉砕粉の平均粒径は2〜8μmとする。平均粒径が8μmより大きいと石英ガラス中の気泡の平均粒径が大きくなる。2μmより小さいとスラリーの粘度が高くなり、生産性の低下をもたらすため望ましくない。
粉砕粉の粒径の標準偏差は3〜7μmである。標準偏差が7μmより大きいとスラリーの粘度が高くなり、生産性の低下をもたらすため望ましくない。標準偏差が3μmより小さいと得られた不透明石英ガラスの密度が低下する。
BET比表面積が9m2/gより大きくなるとプレス成型での成形性が悪化するので好ましくない。
次に、作製したシリカ粉末のスラリーを噴霧乾燥して造粒粉を得る。得られた造粒粉は、実質的に球形で、平均粒径が30〜200μm、含水率が3wt%以下である。平均粒径が30μm未満では、プレス成型時に造粒粉が散逸して歩留りが悪化する。平均粒径が200μmを超えるとプレス成型が均一におこなわれない。また、含水率が3wt%を超えると造粒粉の流動性が悪化し、プレス成型時の均一性が悪化する。
得られた造粒粉を任意の形状にプレス成型し、焼成することで不透明石英ガラスインゴットが得られる。プレス圧力は10〜300MPaが好ましい。10MPa未満では成形体が崩れ、成形時の歩留りが悪化する。プレス圧力が300MPaより大きくするには大規模な設備が必要となり生産性の低下や生産コストの増大をもたらす恐れが生じるため好ましくない。
得られた成形体の焼成は、大気焼成、真空焼成、雰囲気焼成から選ばれる1種類または複種類を組み合わせ、最高焼成温度を1300〜1500℃、好ましくは1350〜1450℃、更に好ましくは1380〜1430℃で焼成する。
焼成温度が高いと白度、及び反射率が低下し、一方、焼成温度が低いと密度及び曲げ強度が低下する。
(6)不透明石英ガラスの純度
不透明石英ガラスの純度は、原料に用いるシリカ粉末の種類で調整する。粉砕メディアに用いたビーズの構成元素以外は、原料シリカ粉末とほぼ同等の純度となる。
気泡の平均粒径の測定に使用した卓上走査型電子顕微鏡は日立製作所製、TM4000Plusであり、白度の測定に使用した色彩色差計は、コニカミノルタ社製CR−400である。
(実施例1〜3)
シリカ粉末を45〜75wt%で水に分散したスラリーを粉砕粉の平均粒径を2〜8μm、粉砕粉の粒径の標準偏差を3〜7μm、スラリー中に含まれる固形物のBET比表面積を2〜9m2/gとなるようビーズミル粉砕、ボールミル粉砕、振動ミル粉砕、アトライター粉砕の1種または2種以上の方法の組み合わせで湿式粉砕した後、噴霧乾燥造粒して、実質的に球形で平均粒径が30〜200μm、含水率が3wt%以下の造粒粉としてプレス成型後に焼成して不透明石英ガラスを得た。
得られた不透明石英ガラスの特性を表1に示す。不透明石英ガラス中の気泡の平均粒径は1μm以下であり、不透明石英ガラスの密度が2.16〜2.19g/cm3、厚み10mmでの白度が90%以上、厚さ3mmにおいて波長0.2〜3μmの光の反射率が85%以上、曲げ強度が75MPa以上、焼仕上げ面の表面粗さRaが0.5μm以下である。
得られた不透明石英ガラスインゴットの重量は70kgであり、不透明石英ガラスインゴットの気泡は目視観察により均一に分散しており、美観上も優れていた。
シリカ粉末を45〜75wt%で水に分散したスラリーを粉砕粉の平均径を9μm、粉砕粉の粒径の標準偏差を3〜7μm、スラリー中に含まれる固形物のBET比表面積を2〜9m2/gとなるようビーズミル粉砕、ボールミル粉砕、振動ミル粉砕、アトライター粉砕の1種または2種以上の方法の組み合わせで湿式粉砕した後、噴霧乾燥造粒して、実質的に球形で平均粒径が30〜200μm、含水率が3wt%以下の造粒粉とし、プレス成型後に焼成し、表1に示す石英ガラス中に平均径が2μmの気泡を含む密度2.16〜2.19g/cm3の不透明石英ガラスを得た。
厚み10mmでの白度が83%で、あり、本発明の下限値の90%を下廻るものであり、厚さ3mmにおいて波長0.2〜3μmの光の反射率は50%であり、本発明の下限値の80%を下廻るものであった。曲げ強度は、67MPa、焼仕上げ面の表面粗さRaは1.5μmであり、本発明の上限値を上回っていた。
シリカ粉末を45〜75wt%で水に分散したスラリーを粉砕粉の平均粒径を2〜8μmかつ、粉砕粉の粒径の標準偏差を2μmかつスラリー中に含まれる固形物のBET比表面積を2〜9m2/gとなるようビーズミル粉砕、ボールミル粉砕、振動ミル粉砕、アトライター粉砕の1種または2種以上の方法の組み合わせで湿式粉砕した後、噴霧乾燥造粒して、実質的に球形で平均粒径が30〜200μm、含水率が3wt%以下の造粒粉とし、プレス成型後に焼成した。測定結果は表1に示すように、石英ガラス中の気泡の平均粒径が0.9μm、密度2.10g/cm3であり、厚み10mmでの白度が92%、厚さ2mmにおいて波長0.2〜3μmの光の反射率が62%、曲げ強度が65MPa、焼仕上げ面の表面粗さRaが0.8μmであり、本発明の上限値の0.5μmより大きい値であり、平坦性に欠けるものである。
シリカ粉末を45〜75wt%で水に分散したスラリーを粉砕粉の平均粒径を2〜8μm、粉砕粉の粒径の標準偏差を3〜7μm、スラリー中に含まれる固形物のBET比表面積を2〜9m2/gとなるようビーズミル粉砕、ボールミル粉砕、振動ミル粉砕、アトライター粉砕の1種または2種以上の方法の組み合わせで湿式粉砕した後、噴霧乾燥造粒して、実質的に球形で平均粒径が30〜200μm、含水率が3wt%以下の造粒粉とし、プレス成型後に1510℃で焼成し、表1に示す特性の不透明石英ガラスを得た。
不透明石英ガラスの気泡の平均粒径0.8μm、密度2.20g/cm3であり、曲げ強度が80MPa、焼仕上げ面の表面粗さRaが0.5μmであり、厚み10mmでの白度が79%、厚さ2mmにおいて波長0.2〜3μmの光の反射率が40%であった。
Claims (6)
- 曲げ強度が75MPa以上であることを特徴とする請求項1記載の不透明石英ガラス。
- 焼仕上げ面の表面粗さRaが0.5μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の不透明石英ガラス。
- 金属不純物の含量が各々1ppm未満あることを特徴とする請求項1〜3記載の不透明石英ガラス。
- シリカ粉末を45〜75wt%で水に分散したスラリーを粉砕粉の平均粒径を2〜8μm、かつ、粉砕粉の粒径の標準偏差を3〜7μm、スラリー中に含まれる固形物のBET比表面積を2〜9m2/gとなるようビーズミル粉砕、ボールミル粉砕、振動ミル粉砕、アトライター粉砕の1種または2種以上の方法の組み合わせで湿式粉砕した後、噴霧乾燥造粒して、実質的に球形で平均粒径が30〜200μm、含水率が3wt%以下の造粒粉とし、プレス成型後に1300〜1500℃で焼成することを特徴とする請求項1〜4記載の不透明石英ガラスの製造方法。
- シリカ粉末を湿式粉砕する際に平均粒径0.1mm〜3mmの石英ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、炭化珪素ビーズ、アルミナビーズから選ばれる1種類または複数のビーズを用いることを特徴とする請求項5記載の不透明石英ガラスの製造方法。
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