JP3043032B2 - 不透明石英ガラスの製造法 - Google Patents

不透明石英ガラスの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、不透明石英ガラスの製造法、さらに詳しく
は、発泡剤として窒化ケイ素微粉末を添加した不透明石
英ガラスの製造法に関する。
[従来の技術] 従来より、半導体の製造装置、フランジ等の熱のかか
る装置、または電気発熱体用保護管等には、熱線遮断特
性を生かして不透明石英ガラスが利用されている。
ガラスの不透明度は、原料とする珪石、珪砂の透明度
に大きく左右され、また、透明度の高い原料は純度も高
いことが一般的であり、純度が高く、かつ、高い透明度
を有する水晶に近似した原料から造られたガラスは半透
明なものとなり、不透明石英ガラスとしては不適当であ
った。
このため半透明化の解消法として、原料として乳白色
の珪石や珪砂を用いたり、不透明度の高い原料を選別し
て使用したり、または、電融法(電気加熱熱源による溶
融)において、発泡剤として炭素あるいは炭素含有物質
の微粉を添加して、不透明度を制御する方法が、不透明
石英ガラスの製造方法として知られている。
また、遷移金属が含有していると1000℃付着で着色が
生ずるので、これを解決するため遷移金属化合物を含有
する珪酸質原料を酸化性雰囲気下で溶融することによっ
て着色を抑える不透明石英ガラスの製造方法が開示され
ている(特開昭60-21827号)。
[発明が解決しようとする課題] しかし、乳白色の珪石や珪砂を用いたり、不透明度の
高い原料を選別して使用する方法は、泡の大きさや分散
状態にムラを生じやすく、切断、切削加工の際の研磨材
浸透等の問題があり、また原料の純度が低下するため、
製品の純度も低下し、特に高い純度が要求される半導体
製造用の炉心管等には用いることができない。
また、発泡剤として炭素あるいは炭素含有物質の微粉
を添加する方法は、例えば、 SiO2+3C→SiC+2CO↑ SiC+SiO2→SiO2-X+CO↑ のように、SiO2との固相反応により発生した一酸化炭
素ガスを発泡源とするため、効率よく反応させるには、
粒子同士の十分な接触が重要となり、粉体の単なるミキ
シングでは反応のための接触角が不均一になりやすく、
このため発泡にムラが生じやすくなる。又、一酸化炭素
ガス自体が還元性の発泡源であるため、石英ガラスの構
造欠陥(酸素欠陥)を誘発する因子となる欠点があっ
た。
このことは、電融法のみならず炭素あるいは炭素含有
物質の微粉から成る還元性の発泡剤を用いて、酸水素火
炎法(ベルヌーイ法)で溶融した場合でも、同様な固相
反応による発泡メカニズムを生じる。
このため上記発泡剤を用いて適量の混合濃度として溶
融しても、発泡作用が充分ではなく、ガラスの白色化及
び不透明化は、全く不充分であり、これを完全に不透明
化する為には発泡剤の混合濃度をかなり増大しなければ
ならない。
しかし、この発泡剤(炭素あるいは炭素含有物質)の
過剰な添加は石英ガラスの熱的、化学的特性を低下さ
せ、耐久性が劣るとともに失透現象(結晶化)によりク
ラックが入り易く、泡割れ等が発生する欠点があった。
また、高純度の不透明石英ガラスを得るには純度の低
い珪石や珪砂を原料としたのでは、酸洗浄等の純化処理
を施したとしても、純度的には満足なものではなかっ
た。
さらに、従来の不透明度の高い(泡の多い)珪石を用
いる方法では、珪石中に含まれた泡にバラツキがあり、
又炭素あるいは炭素含有物質を添加する方法では、上述
の固相接触反応によるメカニズムとなるため、微泡が不
均一になりやすく、また、泡の大きさや個数を調整して
不透明度及び白色度を制御することは難しかった。
また、遷移金属化合物を含有する珪酸質原料を溶融す
る方法は、珪石等を酸洗浄によって夾雑物を除いても遷
移金属の微量な混入は避けられず、これを電融法等の還
元性雰囲気下で溶解したガラスは、加熱の際、着色現象
を起こすという問題があった。
そこで、発泡作用が大きく、微泡が均一に分散し、純
度が高く、かつ泡の大きさや個数を調整して不透明度及
び白色度を選択することができる、さらに着色のない不
透明石英ガラスの製造法の開発が望まれていた。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重
ねた結果、珪酸質原料粉に発泡剤として窒化ケイ素微粉
末を添加し、溶融すれば、前記目的が達成できるとの知
見を得て本発明を完成した。
本発明の特色は、発泡剤として窒化物であり又純度を
損なわないシリコン化合物でもある窒化ケイ素を使用
し、酸水素火炎溶融法により、不透明石英ガラスインゴ
ット(ブロック等)を造ることにある。
このとき、窒化ケイ素微粉末の添加量は、0.03〜3重
量%、が好ましく、特に好ましくは0.1%〜1%であ
る。
添加量が0.03重量%未満では、白色化、不透明化が充
分でなく、また3重量%を超えると、石英ガラスの性質
を損ない(結晶化)、また、泡の分散が不均一となり好
ましくない。
また、高純度品製造に対しては、原料として珪石や珪
砂の替わりに、α−クォーツ、またはクリストバライト
等の高純度の酸化ケイ素源の一種またはこれらの混合
物、例えば精製した高純度の水晶粉や合成したシリカ粉
等を用いて使用することができる。
[作用] 発泡剤である窒化ケイ素(Si3N4)は、一般的には190
0℃で昇華するが、中性、還元性雰囲気では1850℃位迄
安定であり、酸化性雰囲気では1700℃位迄が安定領域で
ある。このため、酸水素火炎溶融等の酸化性雰囲気下で
は、1700℃以上の温度で熱分解し、熱分解により発生し
た窒素ガス(N2)により、石英ガラスの純度を損なわず
に、ガラス中での大きな発泡効果が得られる。
このため水晶等の高純度品を用いても、純度の低下を
来さず、高純度品をそのまま得ることができる。
また、窒化ケイ素は1700℃以上の温度で熱分解し、窒
素ガスを放出するので酸水素火炎溶融での原料粉に対す
る添加量が同じ条件下においては、炭素含有物質である
炭化ケイ素より窒化ケイ素の方が発泡効果が大であり、
従って不透明化と白色化への効果も大という結果が得ら
れている。
また、珪石、珪砂又は水晶粉に発泡剤として0.03%〜
3%の窒化ケイ素の微粉を少量添加し、均一に分散した
混合粉を溶融することにより、石英ガラス全体に均一な
微泡を発生させ不透明化させることができる。
ここで発泡剤の粘度又は混合濃度の選択によって泡の
大きさや個数を変化できるので、その調整により不透明
度及び白色度を容易に制御することができる。
このように窒化ケイ素を発泡剤として用いれば、それ
自体が溶融時熱分解により発生する窒素ガスを発泡源と
するため、従来法、例えば炭素あるいは炭素含有物質を
添加しての固相接触反応による発泡法とは、メカニズム
そのものが違うため、発泡のバラツキが少なく、微泡を
均一に効率よくガラス中に分散させ、白色の不透明石英
ガラスを容易に得ることができる。
また、酸化性雰囲気で溶融(ベルヌーイ法)している
ので、Fe、Cr、Ni等の遷移金属が微量に含有していたと
しても、これらはガラス中に安定した形(原子価の高い
状態でガラスの網目構造をつなぐような形)でとり込ま
れているため、遷移金属不純物による着色はなく、又加
熱しても1000℃付近で着色することがない。
[実施例] 以下に、実施例を用いてさらに具体的に説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1(不透明石英ガラスの製造) 原料としての珪石粉及び発泡剤の窒化ケイ素粉は、次
のような粒度調整のものを使用した。
珪石粉に対する発泡剤の窒化ケイ素粉の混合濃度は0.
2%(重量)とし、この混合粉末を充分に混合した後、
酸水素火炎溶融法により溶解し、サイズ550×180Hの
白色不透明石英ガラスインゴットを作成した。
この不透明石英ガラスの見掛比重は、発泡剤添加前が
2.19であるのに比して、2.08であった。
また、目視観察により泡は均一に分散しており、美観
上すぐれた白色の不透明石英ガラスを得た。
このガラスを分光光度計を用い、分光透過率を測定し
たところ、ガラス厚5mmにて波長200〜5000nmの光を全く
透過しないことが確認された。得られた石英ガラスイン
ゴットの粘性は、下記に示すとおりである。
1200℃ 1.2×1012ポイズ 実施例2(高純度不透明石英ガラスの製造) 原料として、下記に示す粒度調整をした水晶粉、及び
窒化ケイ素粉を用いた。
水晶粉に対する発泡剤の窒化ケイ素粉の混合濃度は0.
2%(重量)とし、この混合粉末を充分に混合した後、
酸水素火炎溶融法により溶融し、サイズ550×180Hの
白色不透明石英ガラスインゴットを造った。
この不透明石英ガラスの見掛比重は、発泡剤添加前が
2.20であるのに比し2.10であった。
また、目視観察により泡は均一に分散しており、美観
上すぐれた白色の不透明石英ガラスを得た。
このガラスを分光光度計を用い、分光透過率を測定し
たところ、ガラス厚5mmにて波長200〜5000nmの光を全く
透過しないことが確認された。
このとき得られたガラスの分析値は、次のようなもの
であった。
[効果] 本発明による効果として下記のものが挙げられる。
(1)ガラスの外観は均一な白色不透明であり、ガラス
厚5mmにて、波長200〜5000nmの光を全く透過せず、遮光
性に優れている。
(2)発泡剤を窒化ケイ素としたことにより、石英ガラ
スの純度を損なわずに、ガラス中での大きな発泡効果が
得られる。
(3)発泡剤の粒度、原料粉に対する混合比率を選定す
ることにより、泡の大きさ,密度をある範囲内で制御、
均一化することができる。
(4)発泡剤を高純度品、原料粉も精製された高純度品
を選定使用することで、透明石英ガラスと同様な高純度
不透明石英ガラスが容易に製造できる。
(5)酸水素火炎溶融法にて製造するので、ニーズに合
わせた大型のブロック(板材)を作るのにも好ましく、
さらにベルヌーイ法で溶融した不透明石英ガラスは、ク
リーンなガスを用いて、無接触に近い状態で製造できる
ため、電融法に比べてもFe,Cr,Ni等の遷移金属不純物等
の混入を極めて微量なものとすることができ、又、これ
らが微量に混入しても、ガラスに安定した形で取り込ま
れる結合構造により加熱しても発色することがない。
(6)得られた不透明石英ガラスの高温粘性は、1200℃
において1.2×1012ポイズであり、従来品のOH量の少な
い不透明電融品(1200℃で0.7〜0.8×1012ポイズ)と比
べても、耐熱性に優れている。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03B 20/00 C03C 11/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】珪酸質原料粉に発泡剤として窒化ケイ素微
    粉末を添加し、溶融することを特徴とする不透明石英ガ
    ラスの製造法。
  2. 【請求項2】窒化ケイ素微粉末の添加量が0.03〜3重量
    %であることを特徴とする請求項1記載の不透明石英ガ
    ラスの製造法。
  3. 【請求項3】溶融方法が酸水素火災によることを特徴と
    する請求項1記載の不透明石英ガラスの製造法。
  4. 【請求項4】珪酸質原料粉が珪石粉または珪砂粉である
    ことを特徴とする請求項1記載の不透明石英ガラスの製
    造法。
  5. 【請求項5】珪酸質原料粉としてα−クォーツ、または
    クリストバライト等の高純度の酸化ケイ素源の一種また
    はこれらの混合物を用いたことを特徴とする請求項1記
    載の不透明石英ガラスの製造法。
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