JP4191271B2 - 透明部を有する不透明石英ガラス及びその製造方法 - Google Patents

透明部を有する不透明石英ガラス及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は不透明石英ガラス及びその製造方法に関し、さらに詳しくは熱遮断性及び表面平滑性に優れた透明部と不透明部とを有する不透明石英ガラス及び出発原料を溶融して任意の形状に成形された不透明石英ガラスを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の不透明石英ガラスの製造方法は、硅酸質原料粉末を加熱溶融しガラス化する方法であり、その加熱溶融の方式として、アルゴン−酸素プラズマ炎、酸水素炎などの火炎中で溶融させるベルヌーイ法、あるいは容器に充填し真空下で加熱溶融する真空溶融法などがある。不透明石英ガラスの原料としては、従来より、天然の硅石または低品位の水晶が用いられている。これらの原料中には多数の微細な気泡が包含されており、原料が溶融されたとき、気泡はそのままガラス中に残留し、不透明石英ガラスが得られる。
【0003】
近年、半導体分野においてLSIの高集積化が進むに伴い、使用する原材料に対する高純度化の要求が厳しくなり、従来は低純度品が使用されていた分野においても、高純度品が求められ始めた。その代表的な分野がフランジ材であり、不透明でかつ高純度の石英ガラス、すなわち高純度不透明石英ガラスの供給が望まれていた。しかしながら、従来から用いられている不透明石英ガラス製造用の天然原料は、微細な気泡と共に多量の不純物を含有しており、これらの不純物を除去することは極めて困難であって、精製による高純度化は不可能であるといわれている。一方、比較的高純度の水晶は、結晶中に存在する気泡、特に微細気泡の量が少ないために溶融しても不透明度が高まらず、得られた石英ガラスは半透明なものになるに過ぎないという問題点があった。
【0004】
その改良方法として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Fe、Alの各元素の含有量が低く、多数の微細気泡を包含し、気化性成分としてシラノール基を特定の範囲の濃度で均一に含有した高純度の非晶質シリカを火炎溶融することによる方法が提案されている(特開平6−24771)。しかしながら、この方法によれば、IC封止材用シリカフィラーやシリカガラス粉製造用の母材インゴットのような簡単な形状の石英ガラス製品しか直接製造できず、フランジ状、円柱状、中空円柱状、角柱状、中空角柱状のような複雑な形状を有する石英ガラス製品を製造するには、多大な削り出し等の後加工が必要となり、石英ガラスの利用率が低くなり、結果として製造コストの上昇を招くという問題点があった。
【0005】
また、別の新しい不透明石英ガラスの製造法として、高純度に精製された結晶質石英粉末をアンモニア雰囲気中で加熱してアンモニア化し、不活性ガス雰囲気下で加熱溶融する製造法により、気泡の径を小さくするが、気泡の数量を多くし、不透明石英ガラスの単位体積あたりの総気泡断面積を大きくして、断熱性が向上した不透明石英ガラスの製造法が提案されている(特開平7−61827及び特開平7−300341)。しかしながら、この方法では、不透明石英ガラスの密度、気泡径、気泡量は原料粉末の粒子径、粒子径分布、溶融容器に充填した時の充填状態に非常に敏感に反応するために再現性良く気泡制御することが容易ではなく、表面と内部で気泡径や気泡量が大きく異なるなどの問題があった。
【0006】
他の不透明石英ガラスの製造法としては、硅石、硅砂、α−クォ−ツ、クリストバライトなどの硅酸質原料粉末に、発泡剤として炭素、窒化ケイ素などの微粉末を添加して加熱溶融する方法が提案されている(例えば、特開平4−65328)。しかしながら、この方法では前記手法のような問題は回避し得るが、酸水素炎で溶融するために、得られるガラスにOH基が取り込まれやすくなって高温での粘性が低下し、高温で長時間使用する半導体製造用治具などの用途には不利となり、また、固体粒子の混合や固相反応・分解反応などが関与し、溶融体中に微細気泡を均一に分散させるように制御することが困難であるという問題があった。さらにこの火炎溶融法では、火炎中での微粒子の滞留時間が極めて短いため反応を完結することが困難であり、添加された発泡剤が溶融体中に異物として残留することがあり、また、硅酸質原料と発泡剤とが反応して溶融体が着色する現象が起こるという問題点があった。
【0007】
さらに、石英ガラス製の半導体製造用治具は使用後に洗浄処理が施されるが、従来の不透明石英ガラスでは、その際表面に露出している気泡が削られ、不透明石英ガラスの表面の一部が脱落する問題が指摘されていた。この問題を解決するために不透明石英ガラスの表面に、予め所定の形状に加工した透明石英ガラスを酸水素炎や電気炉で加熱して貼り合わせる手法が用いられている。しかしながら、このような手法においては、不透明部と透明部の接合が十分なものではなく経時的に剥離していく問題があり、さらに不透明石英ガラスの形状が複雑になってくると透明石英ガラスの加工が非常に繁雑なものとなり、それに伴って一層接合が困難となってしまうが、現状ではこれを改善する有効な手段は見出だされていない。
【0008】
このように、上記記載のいずれの先行技術においても、各々未だに解決されない課題を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明はこれらの課題を解決することを目的としてなされたものであり、気泡が均一に分散され、高温粘性及び熱遮断性に優れ、かつ表面もしくは表面の一部に気泡由来の凹凸がない不透明石英ガラスを容易に製造する方法を提供することにある。また、フランジ状をはじめ、円柱状、中空円柱状、角柱状又は中空角柱状のような複雑な形状に直接製造することが可能である新規の不透明石英ガラスを提供することも本願の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、上記の硅石、硅砂、α−クォーツ、クリストバライトなどの硅酸質原料粉末に、発泡剤として炭素、窒化ケイ素などの微粉末を添加して加熱溶融する方法(特開平4−65328)と類似の方法を採用し、不透明石英ガラスの主要部(以下「不透明部」という)の原料として平均粒子径が10〜500μmの比較的安価な粗いシリカ粉末に窒化ケイ素粉末を、シリカ粉末100重量部に対して窒化ケイ素粉末0.001〜0.05重量部を混合させたものを用い、不透明石英ガラスの表面もしくは表面の一部を覆う透明石英ガラス(以下「透明部」という)の原料として平均粒子径が10〜500μmのシリカ粉末を用い、これらを耐熱性の型に所望のガラスにおける不透明部及び透明部の位置に対応させて各々の原料粉末を充填し、次いでこれを真空雰囲気下で前記した出発原料が溶融する温度以上1900℃以下の温度にて加熱してガラス化する製造方法を採用することにより、以下の知見を見出し本発明を完成するに至った。
【0011】
1)不透明部においては気泡が均一に分散され、高温粘性、熱遮断性に優れている。
【0012】
2)不透明石英ガラスの表面もしくは表面の一部に保護層として強固な接合で透明部を形成でき、得られるガラスにつき欠けなどの破損が生じにくくなり、また表面が平滑となってその使用面において優れたものとなる。
【0013】
3)任意の形状の耐熱性の型を用いて成形できるため、鋳込み成形等の繁雑な粉末成形を行わずに、フランジ状をはじめ、円柱状、中空円柱状、角柱状又は中空角柱状のような複雑な形状を適宜選択して成形することができ、成形されたガラスの製造が容易となる。
【0014】
4)任意の形状の耐熱性の型を用い透明部と不透明部を一体化して製造できるため、最終製品に近いガラス体を直接製造することが可能であり、後加工が必要であっても簡単で済む。
【0015】
なお、本発明でいう「熱遮断性」とは、本発明の不透明石英ガラスは、主に、半導体製造におけるシリコンウエハー熱処理工程に用いられる熱処理炉の断熱部材のように高温で使用される場合に適したものであり、このような場合においては熱は主に熱線による輻射熱として伝わるため不透明ガラスにより熱線の遮断が可能となり熱の伝播による障害が減ぜられることを主に意味している。
【0016】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0017】
[1]出発原料
出発原料としては、透明部用としてはシリカ粉末単独で、不透明部用としてはシリカ粉末と窒化ケイ素粉末とにより得られる混合粉末が用いられる。
【0018】
(a)シリカ粉末
本発明で使用されるシリカ粉末としては、含有金属不純物としてNa、K、Mg、Ca、Feが各々独立して1ppm以下とした高純度な結晶質又は非晶質シリカ粉末を用いることが好ましい。この理由としては、本発明の方法により得られる不透明石英ガラスを加熱した時、蒸気圧の高い不純物が飛散して汚染物の発生源となったり、不透明石英ガラス自体が一部結晶化して破損しやすくなったり、着色してしまったりするのを避けるためである。このような高純度なシリカ粉末は、合成法によったり、天然原料を精製したりすることにより得られる。例えば、非晶質シリカ粉末を合成法により得るには、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液(水ガラス)を酸と反応させることによりアルカリ金属を除去してシリカを得る方法、SiCl4を加水分解してシリカとする方法、シリコンアルコキシドを加水分解してシリカとする方法などが挙げられるが、工業的規模の生産には、Na、K、Li等のアルカリ金属と二酸化ケイ素とからなるアルカリ金属ケイ酸塩水溶液(水ガラス)を硫酸、硝酸、塩酸等の無機酸と反応させる方法で得られるものが好適である。また、結晶質シリカ粉末を天然原料より得るには、天然水晶をフッ酸処理する方法などにより得ることができる。
【0019】
シリカ粉末の平均粒子径としては、耐熱性の型に充填しやすいように流動性を付与することが必要であり、そのために10〜500μmの範囲が好ましい。平均粒子径が10μm未満の場合では粉末の流動性が低下し均一に粉末を充填することが困難となり、500μmを越える場合では粒子間の空隙が大きくなり不透明部に300μm以上の巨大な気泡が発生する原因となり、不透明部、透明部共好ましくなく、特にシリカ粉末のみを用いて得る透明部においては、500μm以上の巨大な気泡が多量に発生することがあり好ましくない。
【0020】
本発明の方法により得られる不透明石英ガラス中の気泡径はシリカ粉末の平均粒子径に依存するため、平均粒子径を調整することで気泡径を制御することができる。すなわち、より微細な気泡を得ようとする場合には微粒子からなる粉末を、粗い気泡を得ようとする場合には粗粒子からなる粉末を用いると良い。
【0021】
(b)窒化ケイ素粉末
窒化ケイ素粉末としては、四塩化ケイ素、シリコン、シリカ等を原料とし、それらを窒化することにより得られる高純度のものを使用することが好ましい。この理由としては、本発明の方法により得られる不透明石英ガラスより不純物が飛散してしまったり、不透明石英ガラス自体が一部結晶化して破損しやすくなったり、着色してしまったりするのを避けるためである。
【0022】
また、窒化ケイ素粉末の量としては、シリカ粉末100重量部に対して窒化ケイ素粉末0.001〜0.05重量部である。0.001重量部未満の場合には発泡による気泡の生成量が少なくなり充分な熱遮断性が得られず好ましくなく、0.05重量部を越える場合には発泡による気泡が粗大化して得られる不透明石英ガラスの機械強度が低下するため好ましくない。
【0023】
窒化ケイ素粉末の平均粒子径としては、0.1〜1μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがさらに好ましい。この理由は、平均粒子径がこの範囲にあれば、気泡が粗大化したり、気泡量が激減してしまうこともなく、さらに、粉末が凝集してシリカ粉末との混合において均一に混合できなくなるのを避けるためである。
【0024】
[2]混合分散
不透明部の原料を調製するためにシリカ粉末と窒化ケイ素粉末を混合する。シリカ粉末と窒化ケイ素粉末とからなる原料粉末中の窒化ケイ素粉末の分散の度合いは発泡時の気泡径やその分布に影響を及ぼすため、窒化ケイ素粉末が分散できるものであれば特に限定されない。例えば、乳鉢、ボ−ルミル等を用いて混合すればよい。さらに、窒化ケイ素粉末のシリカ粉末中における分散性を良好にするために分散媒を用いる湿式法が好ましく用いられる。分散媒としては、例えば、水や、エタノール、メタノールなどのアルコール等が例示できる。また、窒化ケイ素粉末のシリカ粉末中における分散性をさらに良好にするために、必要に応じて超音波発生器などにより振動を与えつつ分散させてもよい。
【0025】
[3]容器への充填
次に、得られた混合粉末及びシリカ粉末を耐熱性の型に充填する。ここで、使用する耐熱性の型としては、本発明の方法において実施される加熱温度において耐熱性を有し、加熱工程中に材料を変質させないようなものであればその材質、形状等は特に限定されるものではなく、所望するガラスの形状によっては2個以上の耐熱性の型を用いることもできる。例えば、その材質としては、シリカと反応しにくい性質を有するカーボン、窒化ホウ素、炭化ケイ素等が好ましく用いられる。さらに耐熱性の型の内面と原料粉末との滑りを良好にするためにカーボンフェルトやカーボンペーパー等を用いて、充填及び加熱を実施することが好ましい。また、各々の原料粉末の充填の方法としては、最終的に得る所望のガラスの形状において、その不透明部及び透明部の位置に対応させて各々の原料粉末を充填する、すなわち不透明石英ガラス中の不透明部に対してはシリカ粉末と窒化ケイ素粉末の混合粉末を、透明部に対してはシリカ粉末を充填する。
【0026】
これらの耐熱性の型の形状としては、ガラス化、気泡生成後のガラスの形状が耐熱性の型の形状と実質的に同じとなるため、所望の形状の不透明石英ガラスを得るように任意に選ぶことができる。例えば、得られる不透明石英ガラスの形状がフランジ状の場合には、図1のような形状の耐熱性の型を用いることで図2のような形状のガラスを得ることができる。同様に、円柱状の場合には図3のような形状の耐熱性の型を用いることで図4のような形状のガラスを、中空円柱状の場合には図5のような形状の耐熱性の型を用いることで図6のような形状のガラスを、角柱状の場合には図7のような形状の耐熱性の型を用いることで図8のような形状のガラスを、中空角柱状の場合には図9のような形状の耐熱性の型を用いることで図10のような形状のガラスを、それぞれ得ることができる。また、中空円柱状や中空角柱状の場合には、一方を閉じた形状のガラスを得ることもできる。さらに2個以上の型を用いる場合にはその組み合わせを適宜選択すればよい。尚、これらの形状については図に示されたものだけでなく、その寸法を変えたり、これら以外の形状を選ぶこともできる。
【0027】
さらに、具体的な充填方法についていえば、例えば、両底面の表面に透明部を有する円柱状の不透明石英ガラスを得るには、空間形状が円柱の耐熱性の型を用い、まず型の底面にシリカ粉末を敷き、次いでその上に混合粉末を充填し、さらにその上にシリカ粉末を敷いて処理すればよい。また、不透明部の全表面に透明部を有する円柱状の不透明石英ガラスを得るには、空間形状が円柱の耐熱性の型を用い、まず型の底面にシリカ粉末を敷き、次いで用いた型の内径よりも若干小さい円筒状の補助枠をシリカ粉末の上に乗せ、さらにこの補助枠の外側にシリカ粉末を、内側に混合粉末を充填する。その後補助枠を静かに抜き去り、充填されている粉末の上に充填されている粉末の状態が乱れないように静かにシリカ粉末を敷いて処理することでよい。
【0028】
原料粉末の充填密度としては、耐熱性の型に均一に充填するために0.7〜1.8g/cm3が好ましく、また不透明部を均一に発泡させるために少なくとも不透明部においてその充填密度が均一になるように充填することが好ましい。
【0029】
このようにして、所望の形状の不透明石英ガラスを充填することができる。
【0030】
[4]ガラス化及び気泡生成
混合粉末を窒化ケイ素を完全に分解、発泡させ不透明石英ガラスとし、かつシリカ粉末を透明石英ガラスとするために、耐熱性の型に充填した原料粉末を加熱する。この加熱処理において用いられる加熱装置としては、原料粉末をガラス状態とするに要する加熱能力を有するものであれば特に限定されるものではなく、電気炉等が例示できる。原料粉末は加熱装置内において原料が溶融しうる温度以上1900℃以下の温度にて加熱される。原料が溶融しうる温度とは、原料に非晶質シリカ粉末を使用する場合は、クリストバライトを経由するので、常圧で1713℃となるが、原料にクリストバライト以外の結晶質シリカ粉末を使用すると、クリストバライトを経由しにくいため、溶融温度はこの温度より低くなる。この原料を溶融しうる温度未満の温度で加熱した場合、原料が溶融せず、また、非晶質シリカ粉末を原料とした場合には、加熱中、原料の一部もしくは全部が非晶質シリカから結晶質であるクリストバライトに転移していると、クリストバライトが溶融しきれずに残り、ガラスが割れやすくなるため好ましくない。また、1900℃を越える温度で加熱すると、不透明部において、気泡が粗大化するために得られるガラスの密度は低下し、所定の形状、寸法に機械加工を施すのに必要な機械的強度が得られないため好ましくない。また、加熱処理の時間としては原料が全量溶融しガラス化できる時間であれば特に制限はないが、加熱温度に左右され一定しないが、通常1時間程度で十分である。
【0031】
加熱昇温過程においては、粉末充填体が開気孔状態から閉気孔状態に転じるまで真空雰囲気とすることが好ましく、その真空度は10mmHg以下であることが好ましい。この理由として、不透明部においては、原料粉末中の窒化ケイ素成分とシリカ成分との反応により生成する固溶窒素の脱離ガス及び分解ガスのみを独立気泡中に存在させることにより気泡をガラス中に均一に分布させることができるからであり、一方、透明部においては、ガラス中の残留気泡を取り除くことができるからである。
【0032】
真空雰囲気は加熱保持温度でガラスへの変態が終了した時点で解除され、不活性ガスが導入される。不活性ガスとしては、本発明の方法において使用される容器、原料、生成物とは実質的に反応性を有しないものであれば特に制限なく用いることができ、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等が使用できる。特に、経済性、気密性を考慮して窒素、アルゴンが好ましく用いられる。導入する不活性ガスの圧力としては、得られたガラスを火炎加工など再加熱するにあたり、ガラス中の気泡の膨脹、収縮など不安定な挙動を防ぐために通常常圧が用いられるが、やや加圧された状態でもさしつかえない。所望によりやや減圧された状態にすることもできる。
【0033】
また、加熱処理が終了した後冷却されるが、冷却の条件としては上記記載の加熱処理時の温度より1000℃程度まで加熱を停止して放冷したり、冷却装置により冷却すればよく、通常1000℃/時間程度の速度で冷却される。その後、室温まで冷却する。ここで注意する点としては、溶融処理終了後冷却する際に、特に高温において冷却中に結晶が析出することであり、これを回避するために高温においては比較的はやく冷却する必要がある。低温においてはこのような問題は生じにくく、通常放冷により冷却される。さらに冷却時において、冷却速度をはやくするために溶融時において用いた不活性ガスなどを導入してもよい。
【0034】
[5]不透明石英ガラス
上記工程で得られる不透明石英ガラスの特性としては、機械的強度を高め加工性に優れるようにするには、不透明部において、見掛密度としては1.70〜2.15g/cm3、好ましくは1.80〜2.12g/cm3の範囲であり、かつ平均気泡径としては10〜100μmの範囲であることが好ましい。
【0035】
本発明の不透明石英ガラスの製造方法において、不透明部中に含まれる独立気泡の径及び量を制御する因子としては、窒化ケイ素粉末添加量、シリカ粉末の粒子径及びその分布、溶融温度、導入ガス圧力が挙げられる。例えば、見掛密度1.95〜2.05g/cm3、平均気泡径50〜70μm、気泡量7〜8×105個/cm3を有する熱遮断性に優れた不透明部を得るには、窒化ケイ素粉末添加量0.01〜0.02重量部(シリカ粉末100重量部に対して)、シリカ粉末の平均粒子径100〜200μm(粒子径分布:10〜600μm)、溶融温度1800〜1850℃、導入ガス圧力1.0〜2.0kgf/cm2の範囲を選ぶと良い。さらに、高い断熱性が得られる見掛密度2.05〜2.12g/cm3、平均気泡径30〜50μm、気泡量1〜2×106個/cm3を有する不透明石英ガラスを得るには、窒化ケイ素粉末添加量0.005〜0.02重量部(シリカ粉末100重量部に対して)、シリカ粉末の平均粒子径50〜100μm(粒子径分布:10〜200μm)、溶融温度1750〜1850℃、導入ガス圧力1.0〜2.0kgf/cm2の範囲を選ぶと良い。気泡量を支配する最も大きい因子はシリカ粉末の粒子径であり、より微細な粒度のシリカ粉末を用いることにより、気泡径が小さくかつ気泡量が多い熱遮断性に優れた不透明石英ガラスとすることができる。
【0036】
このようにして得られた不透明石英ガラスの特性としては、その不透明部の外観が白色であれば特に限定されるものではないが、気泡が均一に分散されており、例えば、波長300〜900nmの光を照射した場合の直線透過率が低くなることで不透明となることが確認できる。この直線透過率としては、熱遮断性を確保するために、部材の厚み1mm以上において、300〜900nmの光を照射した場合の直線透過率が5%以下であることが好ましい。このような直線透過率を有する不透明石英ガラスは気泡を有することでガラスの熱伝導性が低くなるとともに熱線を散乱させることによりその効果が増幅される。従って、直線透過率を低くすることで熱線が散乱しやすくなり、熱遮断性に優れた不透明石英ガラスとすることができる。
【0037】
一方、不透明部の表面を保護する透明部においては、見掛密度が2.19〜2.21g/cm3であり、気泡径100μm以上の気泡量が1×103個/cm3以下であることが好ましい。この理由としては、このような範囲を逸脱する場合には透明部表面に多量の気泡が露出して表面が欠けやすくなるため、結果的に不透明部を保護する役割を果たすことができないからである。逆にこの範囲内であれば、表面が極めて欠けにくく、かつシール性の良い透明部とすることができる。
【0038】
さらに透明部の特性において、300〜900nmの光を照射した場合の直線透過率として、部材の厚み1mm以下において90%以上であることが好ましい。このような特性の透明部を有した不透明石英ガラスであれば、その表面が極めて欠けにくく、かつシール性の良いという効果をよりいっそう高めることができるからである。
【0039】
本発明の方法は、上記に記載のように原料を加熱溶融する工程においてガラスにOH基を取り込むものではなく、また加熱溶融中にOH基が揮散することも期待できるため、OH基の含有量を低くすることができ、高温における粘性が高く、すなわち高温粘性に優れた不透明石英ガラスとすることができるものである。
【0040】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお不純物の分析等は以下により行った。
【0041】
〜不純物の分析〜
シリカ粉末をICP法により分析した。
【0042】
〜X線回折〜
ガラスの不透明部、透明部のそれぞれを切断機を用いて20mm×10mm×2mm(厚み)の大きさに切断し、測定用サンプルとした。これをX線回折装置(マックサイエンス社製、型式:MXP3)を使用し、不透明部、透明部のそれぞれにつきそのガラス状態を観察した。得られた回折パタ−ン中における石英、クリストバライト等の結晶に起因する回折ピークの有無によりガラス状態を確認した。
【0043】
〜見掛密度〜
ガラスの不透明部、透明部のそれぞれを切断機を用いて30mm×30mm×10mm(厚み)の大きさに切断し、測定用サンプルとした。これを電子天秤 (メトラー社製、型式:AT261)を使用し、アルキメデス法により不透明部、透明部のそれぞれにつきその密度を測定した。
【0044】
〜気泡径及び気泡量〜
ガラスの不透明部、透明部のそれぞれを切断機を用いて30mm×10mm×0.3mm(厚み)の大きさに切断し、測定用サンプルとした。これを目盛り付レンズのある偏光顕微鏡(オリンパス社製、型式:BH−2)を使用し、不透明部、透明部のそれぞれにつきその気泡径及び気泡量を測定した。不透明部においては、平均気泡径については、カウントした気泡を完全球体と見なしてその総体積を算出し、それを気泡数で除して得た平均気泡体積からさらに平均直径を算出して平均気泡径とした。透明部においては、10mm×10mm×0.3mm (深さ)の視野内の100μm以上の気泡数をカウントし、1cm3当たりに換算して気泡量とした。
【0045】
〜粒子径〜
原料粉末の粒子径分布及び平均粒子径はレーザー回折散乱法COULTERLS−130(COULTER ELECTRONICS社製)により測定した。
【0046】
〜充填密度〜
原料粉末の充填密度は、所定の重量の粉末を耐熱性の型に充填し、その際の粉末が占める体積を測定し、粉末重量をその体積で除して求めた。
【0047】
〜空洞の確認〜
ガラスを切断機を用いて切断し、目視にて切断面を観察した。
【0048】
〜光透過率〜
ガラスの不透明部、透明部のそれぞれを切断機を用いて切断し、さらに厚み方向の両面を#1200のアルミナ砥粒で研磨して30mm×10mm×1mm (厚み)の大きさの測定用サンプルとした。これを分光光度計(日立製作所社製、型式:ダブルビーム分光光度計220型)を使用し、サンプルの厚み方向に300、500、700、900nmの波長の光(バンドパス2nm)を照射した時の直線透過率を測定した。
【0049】
〜気泡総断面積〜
気泡が完全球体であるとみなし、その直径を含む円の面積の総和で定義され、平均気泡径から平均気泡断面積を算出し、これに気泡量を乗じて算出した。
【0050】
実施例1
平均粒子径300μmで30〜500μmの範囲の粒子径分布を有する天然水晶粉末(ユミニン製、商品名:IOTA−5)をフッ酸処理により高純度化したもの(以降、石英粉末という)を原料粉末として用いた。四塩化ケイ素からアンモニア処理法により得られた窒化ケイ素粉末(宇部興産製、商品名:SN−E10、平均粒子径0.5μm)を、石英粉末100重量部に対して0.01重量部となるように秤取し、石英粉末100重量部に対して50重量部のエタノールに投入した後、撹拌と同時に超音波振動を与えて十分に分散させた。得られた窒化ケイ素分散液に石英粉末を投入し、十分に撹拌し混合した。次に、真空エバポレーターを用いてエタノールを除去、乾燥して石英粉末と窒化ケイ素粉末の混合粉末を作製し、不透明部用原料粉末(以降、混合粉末という)を得た。また、透明部用原料として上記の石英粉末を用いた。まず、石英粉末300gを、内面に厚さ2mmのカ−ボンフェルトを貼付けたカーボン製るつぼ(外径:130mm、内径:100mm、深さ:200mmの円筒状)内に充填し、次いで、混合粉末900gを石英粉末充填層の上に充填した。この時の充填密度を上記記載の方法により測定したところ、いずれの充填層においても1.4g/cm3であった。粉末充填の構成を図11、図12に示す。るつぼを電気炉内に入れ、1×10-3mmHgの真空雰囲気にした後、室温から1800℃まで300℃/時間の割合で昇温した。1800℃に10分間保持した後、電気炉内の圧力が常圧(1kgf/cm2)に達するまで窒素ガスを導入し加熱を終了した。この後、電気炉の電源を切り、放冷した。炉内の温度は50分程度で1000℃に到達し、その後は徐々に低下し、最終的に室温となった。このようにして得られたガラスは一方の底面に透明層を有する円柱状の不透明石英ガラスであった。得られたガラスの構成を図13、図14に示す。このようにして得られた不透明石英ガラスを上記記載の方法によりそのX線回折を行い、不透明部、透明部のいずれもがガラス状態であることを確認した。また、得られた不透明石英ガラスの不透明部を上記記載の方法により評価し、その結果として、見掛密度、平均気泡径、気泡量を表1に、気泡総断面積、光透過率を表2に示した。また、透明部を上記記載の方法により評価し、その結果として、見掛密度、100μm以上の気泡量、光透過率を表3に示した。
【0051】
【表1】
Figure 0004191271
【0052】
【表2】
Figure 0004191271
【0053】
【表3】
Figure 0004191271
【0054】
実施例2
実施例1における石英粉末を乾式ボールミルを用いて粉砕し、さらにふるいによる粒度調整を行い、平均粒子径が50μmで10〜200μmの範囲の粒子径分布を有するものを得た。この石英粉末を用い、窒化ケイ素粉末の混合量を、石英粉末100重量部に対して0.03重量部として混合粉末を得た。実施例1と同じカ−ボン製るつぼ内に、実施例1と同様に、まず、上記石英粉末300gを充填し、次いで、混合粉末900gを石英粉末充填層の上に充填した。この時の充填密度を上記記載の方法により測定したところ、いずれの充填層においても1.4g/cm3であった。これを実施例1と同様の条件で加熱し、一方の底面に透明層を有する円柱状の不透明石英ガラスを得た。この不透明石英ガラスを上記記載の方法によりそのX線回折を行い、不透明部、透明部のいずれもがガラス状態であることを確認した。このガラスの不透明部を上記記載の方法により評価し、その結果として、見掛密度、平均気泡径、気泡量を表1に、気泡総断面積、光透過率を表2に示した。また、透明部を上記記載の方法により評価し、その結果として、見掛密度、100μm以上の気泡量、光透過率を表3に示した。
【0055】
実施例3
実施例1における石英粉末を乾式ボールミルを用いて粉砕し、さらにふるいによる粒度調整を行い、平均粒子径が50μmで10〜200μmの範囲の粒子径分布を有するものとした。この石英粉末を用いて実施例1と同一の条件で混合粉末を作製した。実施例1と同じカーボン製るつぼ内に、実施例1と同様に、まず、上記石英粉末300gを充填し、次いで、混合粉末900gを石英粉末充填層の上に充填した。この時の充填密度を上記記載の方法により測定したところ、いずれの充填層においても1.2g/cm3であった。これを実施例1と同様の条件で加熱し、一方の底面に透明層を有する円柱状の不透明石英ガラスを得た。この不透明石英ガラスを上記記載の方法によりそのX線回折を行い、不透明部、透明部のいずれもがガラス状態であることを確認した。このガラスの不透明部を上記記載の方法により評価し、その結果として、見掛密度、平均気泡径、気泡量を表1に、気泡総断面積、光透過率を表2に示した。また、透明部を上記記載の方法により評価し、その結果として、見掛密度、100μm以上の気泡量、光透過率を表3に示した。
【0056】
実施例4
加熱温度を1850℃とした以外は実施例と同様の条件にて実施し、一方の底面に透明層を有する円柱状の不透明石英ガラスを得た。なお、この時の充填密度を上記記載の方法により測定したところ、いずれの充填層においても1.4g/cm3であった。この不透明石英ガラスを上記記載の方法によりそのX線回折を行い、不透明部、透明部のいずれもがガラス状態であることを確認した。このガラスの不透明部を上記記載の方法により評価し、その結果として、見掛密度、平均気泡径、気泡量を表1に、気泡総断面積、光透過率を表2に示した。また、透明部を上記記載の方法により評価し、その結果として、見掛密度、100μm以上の気泡量、光透過率を表3に示した。
【0057】
実施例5
1800℃に10分間保持した後、電気炉内の圧力が2.0kgf/cm2に達するまで窒素ガスを導入し加熱を終了した以外は実施例1と同様の条件にて実施し、一方の底面に透明層を有する円柱状の不透明石英ガラスを得た。なお、この時の充填密度を上記記載の方法により測定したところ、いずれの充填層においても1.4g/cm3であった。この不透明石英ガラスを上記記載の方法によりそのX線回折を行い、不透明部、透明部のいずれもがガラス状態であることを確認した。このガラスの不透明部を上記記載の方法により評価し、その結果として、見掛密度、平均気泡径、気泡量を表1に、気泡総断面積、光透過率を表2に示した。また、透明部を上記記載の方法により評価し、その結果として、見掛密度、100μm以上の気泡量、光透過率を表3に示した。
【0058】
実施例6
ケイ酸ナトリウムと酸を反応させた後、加熱処理して得た平均粒子径300μmで50〜1000μmの範囲の粒子径分布を有する非晶質シリカ粉末(日東化学工業製、商品名:シリカエースA)を乾式ボールミルを用いて粉砕し、ふるいによる分級を行い、平均粒子径が180μmで10〜600μmの範囲の粒子径分布を有するものを得、これを原料粉末とした。実施例1と同じ窒化ケイ素の混合量を、非晶質シリカ粉末100重量部に対して0.01重量部として実施例1と同様の方法で混合し、非晶質シリカ粉末と窒化ケイ素粉末の混合粉末を得た。実施例1と同じカーボン製るつぼ内に、まず非晶質シリカ粉末300gを充填し、次いで、非晶質シリカ粉末充填層の上に混合粉末900gを充填した。この時の充填密度を上記記載の方法により測定したところ、いずれの充填層においても0.81g/cm3であった。るつぼを電気炉内に入れ、1×10-3mmHgの真空雰囲気にした後、室温から1800℃まで300℃/時間の割合で昇温した。1800℃まで10分間保持した後、電気炉内の圧力が常圧(1kgf/cm2)に達するまで窒素ガスを導入し加熱を終了した。このようにして一方の底面に透明層を有する円柱状の不透明石英ガラスを得た。この不透明石英ガラスを上記記載の方法によりそのX線回折を行い、不透明部、透明部のいずれもがガラス状態であることを確認した。このガラスの不透明部を上記記載の方法により評価し、その結果として、見掛密度、平均気泡径、気泡量を表1に、気泡総断面積、光透過率を表2に示した。また、透明部を上記方法により評価し、その結果として、見掛密度、100μm以上の気泡量、光透過率を表3に示した。
【0059】
実施例7
実施例6における非晶質シリカ原料粉末に対する窒化ケイ素粉末の混合量を、非晶質シリカ粉末100重量部に対して0.02重量部として混合粉末を得た。実施例1と同じカーボン製るつぼ内に、まず非晶質シリカ粉末300gを充填し、次いで、非晶質シリカ粉末充填層の上に混合粉末900gを充填した。この時の充填密度を上記記載の方法により測定したところ、いずれの充填層においても0.81g/cm3であった。これを実施例1と同様の条件で加熱した。このようにして一方の底面に透明層を有する円柱状の不透明石英ガラスを得た。この不透明石英ガラスを上記記載の方法によりそのX線回折を行い、不透明部、透明部のいずれもがガラス状態であることを確認した。このガラスの不透明部を上記記載の方法により評価し、その結果として、見掛密度、平均気泡径、気泡量を表1に、気泡総断面積、光透過率を表2に示した。また、透明部を上記方法により評価し、その結果として、見掛密度、100μm以上の気泡量、光透過率を表3に示した。
【0060】
実施例8
シリコンアルコキシドと水とを反応させた後、加熱処理して得た平均粒子径170μmで30〜400μmの範囲の粒子径分布を有する非晶質シリカ粉末(三菱化学製、商品名:MKCシリカ PS300L)を原料粉末として用いた。この非晶質シリカ粉末に対する窒化ケイ素粉末(宇部興産製、商品名:SN−E10、平均粒子径0.5μm)の混合量を、シリカ粉末100重量部に対して0.01重量部として混合粉末を得た。実施例1と同じカーボン製るつぼ内に、まず非晶質シリカ粉末300gを充填し、次いで、非晶質シリカ粉末充填層の上に混合粉末900gを充填した。この時の充填密度を上記記載の方法により測定したところ、いずれの充填層においても0.81g/cm3であった。これを実施例1と同様の条件で加熱した。このようにして一方の底面に透明層を有する円柱状の不透明石英ガラスを得た。この不透明石英ガラスを上記記載の方法によりそのX線回折を行い、不透明部、透明部のいずれもがガラス状態であることを確認した。このガラスの不透明部を上記記載の方法により評価し、その結果として、見掛密度、平均気泡径、気泡量を表1に、気泡総断面積、光透過率を表2に示した。また、透明部を上記方法により評価し、その結果として、見掛密度、100μm以上の気泡量、光透過率を表3に示した。
【0061】
比較例1
実施例1における石英粉末を、乾式ボールミルを用いて粉砕し、さらにこれをエタノール中に分散させて沈降速度の差異による粒度調整を行い、平均粒子径が5μmで1〜10μmの範囲の粒子径分布を有するものを得た。この石英粉末を用いて実施例1と同一の条件で混合粉末を作製した。実施例1と同じカーボン製るつぼに、まず石英粉末300gを充填し、次いで、石英粉末充填層の上に混合粉末900gを充填した。この時の充填密度を上記記載の方法により測定したところ、いずれの充填層においても0.90g/cm3であった。これを実施例1と同様の条件で加熱し、一方の底面に透明層を有する円柱状の不透明石英ガラスを得た。この不透明石英ガラスを上記記載の方法によりそのX線回折を行い、不透明部、透明部のいずれもがガラス状態であることを確認した。しかしながら、このガラスの不透明部の見掛密度は1.2g/cm3と低く、ガラスを切断して内部を調べると直径2〜5mm程度の空洞が点在していた。また、透明部においては、見掛密度は2.15g/cm3と低く、直径2mm程度の気泡が点在していた。
【0062】
比較例2
実施例5における非晶質シリカ原料粉末を、平均粒子径が700μmで500〜1000μmの範囲の粒子径分布を有するものとして実施した。。実施例1と同じカーボン製るつぼに、まず非晶質シリカ粉末300gを充填し、次いで、非晶質シリカ粉末充填層の上に混合粉末900gを充填した。この時の充填密度を上記記載の方法により測定したところ、いずれの充填層においても0.78g/cm3であった。これを実施例1と同様の条件で加熱し、一方の底面に透明層を有する円柱状の不透明石英ガラスを得た。この不透明石英ガラスを上記記載の方法によりそのX線回折を行い、不透明部、透明部のいずれもがガラス状態であることを確認した。しかしながら、このガラスの不透明部の見掛密度は1.4g/cm3と低く、ガラスを切断して内部を調べると直径0.5〜1mm程度の空洞が点在していた。また、透明部においては、見掛密度は2.17g/cm3と低く、直径1mm程度の気泡が点在していた。
【0063】
比較例3
加熱温度を1950℃とした以外は実施例5と同様の条件にて実施し、一方の底面に透明層を有する円柱状の不透明石英ガラスを得た。なお、この時の充填密度を上記記載の方法により測定したところ、いずれの充填層においても1.4g/cm3であった。この不透明石英ガラスを上記記載の方法によりそのX線回折を行い、不透明部、透明部のいずれもがガラス状態であることを確認した。しかしながら、このガラスの不透明部の見掛密度は1.5g/cm3と低く、平均気泡径は200μmに達しており、非常に脆いガラスであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】空間形状がフランジ状の耐熱性の型を中心より切断しその様子を示した断面の斜面図である。
【図2】図1の耐熱性の型に原料粉末を充填して得られたフランジ状の不透明石英ガラスの状態を示した斜面図である。
【図3】空間形状が円柱状の耐熱性の型を中心より切断しその様子を示した断面の斜面図である。
【図4】図3の耐熱性の型に原料粉末を充填して得られた円柱状の不透明石英ガラスの状態を示した斜面図である。
【図5】空間形状が中空円柱状の耐熱性の型を中心より切断しその様子を示した断面の斜面図である。
【図6】図5の耐熱性の型に原料粉末を充填して得られた中空円柱状の不透明石英ガラスの状態を示した斜面図である。
【図7】空間形状が角柱状の耐熱性の型を中心より切断しその様子を示した断面の斜面図である。
【図8】図7の耐熱性の型に原料粉末を充填して得られた角柱状の不透明石英ガラスの状態を示した斜面図である。
【図9】空間形状が中空角柱状の耐熱性の型を中心より切断しその様子を示した断面の斜面図である。
【図10】図9の耐熱性の型に原料粉末を充填して得られた中空角柱状の不透明石英ガラスの状態を示した斜面図である。
【図11】実施例1〜8及び比較例1〜3において、原料粉末を耐熱性の型に充填した様子を示す平面図である。
【図12】実施例1〜8及び比較例1〜3において、原料粉末を耐熱性の型に充填した様子を示す斜面図である。
【図13】実施例1〜8及び比較例1〜3において、得られた不透明石英ガラスの状態を示す平面図である。
【図14】実施例1〜8及び比較例1〜3において、得られた不透明石英ガラスの状態を示す斜面図である。
【符号の説明】
1:図11、12における不透明部の原料粉末
2:図11、12における透明部の原料粉末
3:図11、12において一例として挙げた、カーボンフェルト
4:図11、12において一例として挙げた、カーボン製るつぼ
5:図13、14における不透明部
6:図13、14における透明部
7:図13、14における不透明部中の気泡
【発明の効果】
本発明の不透明石英ガラス及びその製造方法によれば、以下の優れた点がある。
1)シリカ粉末に窒化ケイ素粉末を添加し加熱することにより、シリカ粉末のガラス化及び窒化ケイ素粉末の分解発泡に基ずくものであるため、アルカリ金属等の不純物の混入を防止することができ、高純度で高温粘性に優れたものを得ることができる。
2)シリカ粉末の粒子径や窒化ケイ素粉末の混合量を調節したり加熱温度を調節することにより、得られる不透明石英ガラスの気泡径や見掛密度を制御することができ、そのために熱遮断性に優れたものである。
3)本発明の不透明石英ガラスはその表面に透明石英ガラスが強固に付与されて不透明石英ガラスを保護しているため、洗浄工程等でガラス表面が欠け落ちてしまうことがない。
4)耐熱性の型の形状とほぼ同様の形状のガラスを得ることができるため、所望の形状に近似した耐熱性の型に原料粉末を充填しガラス化することで、最終製品形状を得るために行う研削等の機械加工工程を大幅に削減することができる。

Claims (3)

  1. 透明部と不透明部からなる不透明石英ガラスにおいて、不透明部の見掛密度が1.70〜2.15g/cm3であり、平均気泡径が10〜100μmであり、気泡量が5×104〜5×106個/cm3であり、かつ透明部の見掛密度が2.19〜2.21g/cm3であり、気泡径100μm以上の気泡量が1×103個/cm3以下であり、波長300〜900nmの光を照射して直線透過率を測定した場合において、不透明部に使用される部材の厚み1mm以上では5%以下となり、かつ透明部に使用される部材の厚み1mm以下では90%以上となることを特徴とする不透明石英ガラス。
  2. 平均粒子径10〜500μmのシリカ粉末に該シリカ粉末100重量部に対して窒化ケイ素粉末0.001〜0.05重量部を混合分散させた不透明部用出発原料と、平均粒子径10〜500μmのシリカ粉末である透明部用出発原料とを、所望のガラスにおける透明部及び不透明部の位置に対応させて前記の各々の原料粉末を耐熱性の型に充填し、その後真空雰囲気下にて出発原料が溶融する温度以上1900℃以下の温度にて加熱しガラス化させることを特徴とする請求項1に記載の不透明石英ガラスの製造方法。
  3. 請求項に記載の不透明石英ガラスを製造する方法において、得られる不透明石英ガラスの形状がフランジ状、円柱状、中空円柱状、角柱状又は中空角柱状であることを特徴とする不透明石英ガラスの製造方法
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