JP7123827B2 - 多層構造石英ガラス材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不透明層と不透明層を両面から挟み込む2つの透明層とを有する多層構造石英ガラス材およびその製造方法に関する。
多層構造石英ガラス材は、断熱性が要求される分野への使用を主目的とした多層構造材料である。多層構造材料は、特に半導体製造用のベルジャー、拡散炉の炉芯管、ボート保持治具等を構成する熱処理用加熱炉の断熱材などに利用される。
シリコンウエハーの熱処理用加熱炉は、例えば図1に示すように、発熱体1と、炉芯管2と、シリコンウエハー3を支持するボート4と、保温筒5と、基台6とを有する。炉芯管2の下部にはフランジ9が設けられている。フランジ9は不透明石英ガラス製であり、透明ガラス製の炉芯管2と酸水素炎による溶接により一体に接合されている。フランジ9は熱遮断材として作用し、耐熱性に劣るパッキン7や基台6への熱の伝播を抑制している。またパッキン7を介してフランジ9 と基台6とのシールにより炉芯管内は所定の雰囲気に保たれる。
フランジ部には、表面に透明部を有する不透明石英ガラス材が使用され、不透明部は均一に分散した気泡を含み、高温粘性及び熱遮断性に優れ、表面の透明部は、気泡由来の凹凸がない平滑な表面を有する。半導体製造における各種加熱処理装置の炉芯管のフランジ部材に適した不透明石英ガラス製リング材やその製造方法は、例えば特許文献1~4に開示されている。
特開平11-209135号公報 特開平11-116265号公報 特開平07-300326号公報 特開2004-067456号公報
近年、このような半導体装置で用いられる不透明石英ガラス材途に対して、省エネルギー、加熱炉の温度分布の均一性の点から、加熱炉からの輻射や伝導による熱の遮断について、性能改善の要求がある。
しかし、特許文献1~3に記載の透明部を有する不透明石英ガラス材料は、材料の熱伝導率が高く、上記要求に応える物ではなかった。また、熱伝導率が高いことで、エネルギー損失が大きく、運転コストが増加し、あるいは、熱を遮蔽するために材料の厚みが増し、装置コストが増加するという課題があった。
特許文献4には、不透明石英ガラス板を2枚の透明石英ガラス板の間にバーナー火炎により溶着する多層石英ガラス板の製造方法が記載されている。この方法では、各ガラス板が数mm程度と薄ければ接合が容易であるが、板が厚くなると溶着不良を招き、透明層と不透明層との間に隙間ができる。このため、不純物の進入や昇温・降温過程での透明層と不透明層との剥離が起こる懸念がある。また、この方法で製造できる多層石英ガラス板の不透明層は、見掛け密度が高く、多層石英ガラス板の熱伝導率も高く、加熱炉からの輻射や伝導による熱を十分に遮断できる物ではなかった。
本発明は、上記課題を解決するための多層構造石英ガラス材を提供することを目的とする。即ち、見掛け密度が低い不透明層を有し、多層石英ガラス板の熱伝導率も低く、その結果、加熱炉からの輻射や伝導による熱を十分に遮断できる多層構造石英ガラス材を提供することが本発明の目的である。
本発明は以下の通りである。
[1]
透明石英ガラス層、不透明石英ガラス層及び透明石英ガラス層をこの順に有する多層石英ガラス材において、不透明石英ガラス層の見掛け密度が、2.0g/cm3以下である、多層構造石英ガラス材。
[2]
不透明石英ガラス層の見掛け密度が、0.5g/cm3以上、1.9g/cm3以下である、[1]に記載の多層構造石英ガラス材。
[3]
不透明石英ガラス層の見掛け密度が、0.7g/cm3以上、1.7g/cm3以下である、[1]に記載の多層構造石英ガラス材。
[4]
500℃における熱伝導率が、1.2 W/(m・K)以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の多層構造石英ガラス材。
[5]
500℃における熱伝導率が、0.2 W/(m・K)以上、1.1W/(m・K)以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の多層構造石英ガラス材。
[6]
不透明石英ガラス層が、直径1mm以上の泡を含まない、[1]~[5]のいずれかに記載の多層構造石英ガラス材。
[7]
透明石英ガラス層と不透明石英ガラス層の接合境界部の平坦度が、100mm角の大きさで0.2mm以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の多層構造石英ガラス材。
[8]
第1の透明石英ガラス板と第2の透明石英ガラス板とを対向する面が所定間隔で略平行になるように成型用鋳型内に支持し、
第1の透明石英ガラス板と第2の透明石英ガラス板との間の空間にシリカ粉末および窒化ケイ素粉末の混合粉末である不透明層用の原料粉末を充填し、
第1の透明石英ガラス板と第2の透明石英ガラス板の外側から対向する向きに荷重を掛けつつ電気炉内で加熱して原料粉末を溶融および発泡させ、その後に冷却して多層構造石英ガラス材を製造する方法。
[9]
成型用鋳型は少なくとも下型と上型からなり、
下型は一定の厚みの平板部材であり、第1の透明石英ガラス板を支持するために用いられる上面を有し、
上型は、平板部と平板部の少なくとも一部の周縁に立設された側壁部とからなり、平板部は第2の透明石英ガラス板を支持するために用いられる下面を有し、
上型側壁部の内周面は、下型の外側面と相対し、かつ略等しい寸法を有し、下型の外側面に側壁部の内周面が沿って、上型が上下に移動できる構造を有する[8]に記載の製造方法。
[10]
混合粉末における窒化ケイ素粉末の含有量は、0.002~0.5質量%の範囲である[8]または[9]に記載の製造方法。
[11]
シリカ粉末の粒径は10~500μmの範囲である[8]~[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12]
窒化ケイ素粉末の粒径は0.1~5μmの範囲である[8]~[11]のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、不透明層の見掛け密度を2.0g/cm3以下にすることで、熱伝導率が1.2 W/(m・K)以下に改善した多層構造石英ガラス材を提供することができ、この多層構造石英ガラス材は、従来品に比べて断熱特性が向上した材料である。さらに、本発明では、所定の成型用鋳型を使用することで、製品形状に近い多層構造石英ガラス材の製造も可能である。
シリコンウエハーの熱処理用加熱炉の断面概略図である。 本発明の成型用鋳型を用いる多層構造石英ガラス製造方法の説明図(平面図および側面断面図)である。 本発明の成型用鋳型を用いる多層構造石英ガラス製造における成型用鋳型の側面説明図であり、(A)が成型前、(B)は成型後(但し、粉末タップ密度>不透明層の密度)、(C)は形成後(但し、粉末タップ密度<不透明層の密度)である。 特許文献3に記載の方法を応用した多層構造石英ガラス製造方法の説明図である。
(多層構造石英ガラス材)
本発明の多層構造石英ガラス材は、透明石英ガラス層、不透明石英ガラス層及び透明石英ガラス層をこの順に有する多層石英ガラス材であって、不透明石英ガラス層の見掛け密度が、2.0g/cm3以下である。
本発明の多層構造石英ガラス材は、表面層(第1層、第3層)が透明石英ガラス層であり、中間層(第2層)が不透明石英ガラス層で構成される。表面層を構成する透明石英ガラス層は、気泡を含まない透明性に優れたガラスからなる。表面層(第1層、第3層)の厚みは特に制限はないが、それぞれ独立に、例えば、1~10mmの範囲であることができる。但し、この範囲に限定される意図ではなく、用途に応じて適宜決定できる。また、表面層(第1層、第3層)の密度は特に制限はないが、それぞれ独立に、例えば、2.0~2.5g/cm3の範囲であることができる。中間層(第2層)の厚みも特に制限はないが、例えば、1~10mmの範囲である。但し、この範囲に限定される意図ではなく、用途や必要とされる断熱特性に応じて適宜決定できる。
不透明石英ガラス層は、石英ガラスに微細な気泡が分散しているガラスである。不透明石英ガラス層は、見掛け密度が、2.0g/cm3以下である。見掛け密度が、2.0g/cm3以下であることで、不透明石英ガラス層の熱伝導率を所望の低い値(例えば、500℃において1.2 W/(m・K)以下)にすることができる。不透明石英ガラス層の見掛け密度は、より低い熱伝導率を得るという観点からは0.7以上、1.7g/cm3以下であることが好ましい。この範囲の見掛け密度を有する不透明石英ガラス層は、石英ガラス中に分散している微細な気泡が大きすぎず、かつ十分な量で含まれる。見掛け密度がこの範囲であることで、500℃における熱伝導率を1.1 W/(m・K)以下にすることができる。500℃における熱伝導率は、好ましくは0.2以上1.1 W/(m・K)以下である。
不透明石英ガラス層の熱伝導率を所望の低い値(例えば、500℃において1.1 W/(m・K)以下)にすることができるという観点からは、不透明石英ガラス層は、直径1mm以上の泡を含まないことが好ましい。
本発明の多層構造石英ガラス材は、透明石英ガラス層と不透明石英ガラス層の接合境界部の平坦度が、100mm角の大きさで0.2mm以下であることが、全面に渡って均一な熱伝導
率を有すると言う観点から好ましい。前記平坦度は、100mm角の大きさで0.1mm以下であ
ることがより好ましい。
<多層構造石英ガラス材の製造方法>
本発明の多層構造石英ガラス材は、例えば、以下に示す製造方法により製造することかできる。
(1)第1の透明石英ガラス板と第2の透明石英ガラス板とを対向する面が所定間隔で略平行になるように成型用鋳型内に支持し、
(2)第1の透明石英ガラス板と第2の透明石英ガラス板との間の空間にシリカ粉末および窒化ケイ素粉末の混合粉末である不透明層用の原料粉末を充填し、
(3)第1の透明石英ガラス板と第2の透明石英ガラス板の外側から対向する向きに荷重を掛けつつ電気炉内で加熱して原料粉末を溶融および発泡させ、その後に冷却して多層構造石英ガラス材を製造する。
工程(1)
第1の透明石英ガラス板と第2の透明石英ガラス板とを対向する面が所定間隔で略平行になるように成型用鋳型内に支持する。
成型用鋳型は、少なくとも下型と上型からなる。成型用鋳型の平面形状は特に制限はなく、多層構造石英ガラス材の形状に応じて適宜決定することができる。限定する意図ではないが、成型用鋳型の平面形状は、例えば、方形、円形、不定形などであることができる。下型は一定の厚みの平板部材であり、少なくとも上面は第1の透明石英ガラス板を支持するために用いられるので、平坦であり、好ましくは平滑である。上型は、少なくとも下面が、第2の透明石英ガラス板を支持するために用いられるために、平坦であり、好ましくは平滑である。上型は、平板部と平板部の少なくとも一部の周縁に立設された側壁部とからなり、側壁部は下方(下型方向)に延在する。側壁部の内周面は、下型の外側面と相対し、かつ略等しい寸法を有し、下型の外側面に側壁部の内周面が沿って、上型が上下に移動できる構造および寸法(スライド機能)を有する。成型用鋳型の材質は、特に制限はないが、耐熱性に優れると言う観点からは炭素材料が用いられる。但し、炭素材料に限定される意図ではない。
第1の透明石英ガラス板は、下型の上面に設置される。第1の透明石英ガラス板と下型の上面との間には、剥離材(例えば、炭素フェルト製)を設けることが、加熱後の両者の剥離を容易にするという観点から好ましい。第1の透明石英ガラス板の上面の周縁の少なくとも一部に第2の透明石英ガラス板との間の距離を規定するための一定の厚さを有するスペーサーを設ける。スペーサーは、耐熱性および剥離性に優れるという観点から炭素フェルトであることができる。スペーサーの高さは、第1の透明石英ガラス板と第2の透明石英ガラス板の間に投入する不透明層用の原料粉末量に応じて適宜決定する。スペーサーは、第1の透明石英ガラス板の上面の周縁の、不透明層用の原料粉末充填に用いる投入孔以外の全域に設けることが、2つの透明石英ガラス板の間隔を一定に保ち、かつガラスの成型型への融着を有効に防止できるという観点から好ましい。また、2つの透明石英ガラス板の間隔を一定に保つために、下型の外側面と側壁部の内周面とを、例えば、高分子接着剤で仮止めすることもできる。高分子接着剤は加熱の際には分解するので、溶融発泡の際の上型の上下動を妨げることはない。
スペーサーを設けた第1の透明石英ガラス板の上に第2の透明石英ガラス板を設置する。第1の透明石英ガラス板と第2の透明石英ガラス板の平面形状は、略同一であることが適当である。第2の透明石英ガラス板を設置した後に第2の透明石英ガラス板の上から、上型を、第2の透明石英ガラス板の全面を覆うように設置する。その際、上型の側壁部の内周面は、第1の透明石英ガラス板、スペーサーおよび第2の透明石英ガラス板の外周面を覆い、かつ下型の外側面の少なくとも一部と対面するような寸法を有する。尚、上型の側壁部は、不透明層用の原料粉末充填用のスペーサーの孔に対応する部分は切欠きまたは孔を有する。
工程(2)
工程(2)では、第1の透明石英ガラス板と第2の透明石英ガラス板との間の空間にシリカ粉末および窒化ケイ素粉末の混合粉末である不透明層用の原料粉末を充填する。成型用鋳型内において、第1の透明石英ガラス板と第2の透明石英ガラス板との対向面が所定間隔で平行になるように支持されており、この2つ透明石英ガラス板の間の空隙に不透明層用の原料粉末を投入する。不透明層用の原料粉末の充填は、スペーサーを設けることなく形成した孔および上型の側壁部の切欠きまたは孔である、不透明層用の原料粉末充填用孔から行うことができる。
不透明層用の原料粉末は、シリカ粉末および窒化ケイ素粉末の混合粉末である。シリカ粉末は溶融して石英ガラスとなり、窒化ケイ素粉末は、気泡形成の元となる。混合粉末における窒化ケイ素粉末の含有量は、不透明層中の所望の気泡量を考慮して適宜決定することができる。例えば、混合粉末中の窒化ケイ素粉末の含有量は、0.002~0.5質量%の範囲であることができる。但し、この範囲に限定される意図ではない。
シリカ粉末の粒径は、充填の容易さや、溶融時に形成される気泡のサイズ等を考慮して適宜決定できる。例えば、10~500μmの範囲であることができ、好ましくは50~250μmの範囲、より好ましくは100~200μmの範囲である。
窒化ケイ素粉末の粒径は、主に溶融時に形成される気泡のサイズ等を考慮して適宜決定できる。例えば、0.1~5μmの範囲であることができ、好ましくは0.2~3μmの範囲、より好ましくは0.5~1.5μmの範囲である。
原料粉末は、充填前にシリカ粉末と窒化ケイ素粉末とを常法により混合して調製することができる。
工程(3)
工程(3)では、原料粉末を充填した後、成型用鋳型と共に電気炉内で加熱して、原料粉末を溶融および発泡させる。その際、上型の重量により、第1の透明石英ガラス板と第2の透明石英ガラス板の外側から対向する向きに荷重を掛ける。これにより、大きな泡の形成を抑制して泡の大きさをコントロールしつつスペーサーの高さに応じた厚さの不透明層を形成することができる。上型の重量により加えられる荷重は、例えば、1~10g/cm2の範囲とすることができる。但し、この範囲に限定される意図ではない。上型側壁部の内周面は、下型の外側面と相対し、かつ略等しい寸法を有し、下型の外側面に側壁部の内周面が沿って、上型が上限に移動できる構造および寸法を有するので、溶融および発泡の際に、上型が上下に移動することができ、上型の重量と原料粉末の充填量や組成に応じた容量(厚み)の不透明層を容易に形成することができる。
電気炉内での加熱温度は、原料粉末が溶融し、かつ発泡し得る条件であれば良く、例えば、1700~1850℃の範囲であることができる。加熱溶融時間には特に制限はなく、加熱温度や発泡の状況を考慮して適宜決定できる。例えば、10分から6時間の範囲で適宜決定できる。
加熱溶融、発泡が終了した後に、成型用鋳型を冷却し、冷却後に多層構造石英ガラス材を成型用鋳型から取り出す。
本発明の製造方法は、不透明石英ガラス層を原料粉末から直接形成することができる。さらに、不透明石英ガラス層の両面に透明石英ガラス層を配することで、不透明石英ガラス層の密度を下げることで生じる不透明石英ガラス層の強度不足を補完できる。
図2に本発明の製造方法に使用する成型用鋳型の一態様の説明図を示す。上部は上型の平面図であり、下部は、成型用鋳型内に第1の透明石英ガラス板と第2の透明石英ガラス板との対向面が所定間隔で平行になるようにスペーサーを介して支持し、原料粉末を充填した状態の断面説明図である。
図3は、(A)が図2の断面説明図と同じ成型前の成型用鋳型の一態様の断面説明図であり、(B)は加熱溶融、発泡後であり、不透明層における発泡の度合が大きく上型の重量による押しつぶされ方は小さく、その結果、不透明層の密度が原料粉末の密度より小さくなった状態(粉末タップ密度>不透明層の密度)を示す。(C)は加熱溶融、発泡後であり、上型の重量により不透明層が押しつぶされて、不透明層の密度が原料粉末の密度より大きくなった状態(粉末タップ密度<不透明層の密度)を示す。この場合は、スペーサーも上型の重量により押しつぶされている。
本発明の多層構造石英ガラス材は、断熱性が要求される分野への使用を主目的とした多層構造材料である。特に半導体製造用のベルジャー、拡散炉の炉芯管、ボート保持治具等を構成する熱処理用加熱炉の断熱材、その製造に用いる成型用鋳型に関する。より詳しくは、半導体の熱処理炉の断熱材などの用途に使用する半導体の熱処理炉に適した断熱性を有する多層構造材料とその製造用鋳型に関する。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。但し、実施例は本発明の例示であって、本発明は実施例に限定される意図ではない。
実施例1~7
石英粉末と窒化珪素(Si3N4)を所定濃度になるように計量し、均一に混合して原料粉末を製造。得られた粉末を成形型(内寸100mm角)に導入して熱処理して、多層構造石英ガラス材を製造した。
成形型は底面、スライド式の側壁、ストッパー、剥離材から構成されている。剥離材には、側面は黒鉛と石英ガラスの熱膨張差を緩和させるためクッション性のカーボン繊維質フェルトを、上・下面は平滑性を確保するためカーボンシートを使用した。
図2に示す成型用鋳型を用いた。鋳型の蓋(重石を兼ねる)は、第2層の不透明石英ガラスが所望する厚みになるように原料末の体積を算出し、原料粉末が投入可能な高さに仮止め材(高分子接着剤)で固定した。なお、上部透明石英ガラス板は、仮止め材で蓋の裏面に固定した。
原料粉末は、鋳型側面の粉末導入口から振動を加えながら鋳型内に導入した。この鋳型を電気炉内に設置し熱処理を施した。
500℃以上で仮止め材が分解し、成形型のスライド式側壁が機能(蓋の重量が石英ガラスに作用)する。この方式により、第2層の調合粉末と第1、第3層との密着性が向上する。また、蓋が垂直に降下するため平坦性が確保される。
表1に製造条件を示す。
Figure 0007123827000001
[評価方法]
(平坦度)
ノギスを用いて、得られた100mm角の多層材の中心部と各コーナー部の厚さを測定し、最大値と最小値との差を平坦度とした。
(不透明層の見掛け密度)
製造した多層構造石英ガラス材から30mm×30mmの評価用サンプルを切り出し、乾燥後、全重量を秤量する。
ノギスを用いてサンプルの縦、横、厚さを計測する。
切断した断面をマイクロスコープにより、第1層、第2層、第3層の厚さを計測する。
透明石英ガラスの密度=2.2g/cm3
透明層の重量g=縦cm×横cm×(第1層の厚さ+第2層の厚さ)cm×2.2g/cm3
不透明層の体積cm3:縦cm×横cm×第2層の厚さcm
不透明層の見掛け密度g/cm3:(全重量-透明層の重量)g/不透明層の体積cm3
(泡径)
製造した多層構造石英ガラス材の不透明部分から、直径10mm厚さ1mmの評価用サンプルを加工する。
マイクロスコープで泡径を測定する。
(熱伝導率)
上記サンプルを用いて、JISR1611に従って熱拡散率を計測し、500℃における熱伝導率を算出する。
熱伝導率W/(m・K)=熱拡散率熱m2/s×密度kg/m3×比熱J/(kg・K)
表2に実施例の条件で製造した多層構造石英ガラス材の評価結果を示す。
Figure 0007123827000002
実施例1~7に示すように、表面平坦性に優れ、熱伝導率が低い多層構造石英ガラス材が得られた。多層構造とすることで、不透明石英ガラスの密度低下による強度不足は透明ガラスで補うことができる。本発明の多層構造石英ガラス材を半導体装置(熱拡散炉)等の部品材料に用いることで同装置の省エネルギーにつながる。
参考例1
特許文献3に記載の方法を参考に、さらに上部に第3層として透明石英ガラス板を配置して、多層構造石英ガラス材の製造を行った。図4に製造方法の概略図を示す。
内寸が100mm角の黒鉛製の鋳型の底面及び側面に剥離材を配置し、底部に厚さ1mmの透明石英ガラス板を設置する。次に、特許文献3の実施例1に記載の方法で原料粉末を製造し、不透明層の厚さが3mmとなる重量の粉末を鋳型に充填した。その上に厚さ1mmの透明石英ガラス板を載せ、特許文献3に記載の条件で熱処理を施し、100mm角の多層構造石英ガラス材を製造した。
この材は、透明層と不透明層との間に気泡径が0.5mm以上の大きな気泡が15個存在し、均質性が悪い。また、成型体の目標厚み5mmに対して、厚肉部と薄肉部とでの厚み差が2mmもあり、厚みの平坦性が極めて低かった。
不透明層の厚み分布及び、透明ガラス層と不透明ガラス層との間に気泡が生成し、半導体部品材に使用することが困難であることが明確になった。よって、特許文献3の製造方法を応用することで、目的とする多層構造石英ガラス材を製造することは出来なかった。
比較例1
特許文献4に記載の方法で製造した多層構造石英ガラス材(信越石英製)を入手し、比較例1とした。本ガラス材は、表面に圧延によるうねりが見られるため、特許文献4に記載されているように、圧延で製造されていると思われる。平坦度は、0.3mm(100mm角)であり、厚さは、上下の透明層が、各0.7mm、不透明層が2.0mmである。不透明層の見掛け密度が2.2g/cm3と高く、熱伝導率が1.4 W/(m・K)であった。
本発明によれば、半導体装置の部品材料の熱伝導率を、例えば、従来品の1/2以下にすることも可能であり、その結果、半導体装置の熱エネルギーの遮蔽性能が向上し、装置のランニングコストを低減できる。
また、特許文献4(比較例1)のように2枚の透明石英ガラス板の間に不透明石英ガラス板を溶着する方法では、製品サイズ・形状が限定されるが、本発明では成型用鋳型の形状と不透明層用の原料粉末の仕込み量を変更することで、任意の形状の製品を得ることが可能で、これにより、ニアネット形状の製品の製造が可能である。
半導体向け部品製造に用いる素材に関連する分野に有用である。

Claims (12)

  1. 透明石英ガラス層、不透明石英ガラス層及び透明石英ガラス層をこの順に有する多層石英ガラス材において、不透明石英ガラス層の見掛け密度が、2.0g/cm3以下であり、かつ透明石英ガラス層と不透明石英ガラス層の接合境界部の平坦度が、100mm角の大きさで0.2mm以下である、多層構造石英ガラス材。
  2. 不透明石英ガラス層の見掛け密度が、0.5g/cm3以上、1.9g/cm3以下である、請求項1に記載の多層構造石英ガラス材。
  3. 不透明石英ガラス層の見掛け密度が、0.7g/cm3以上、1.7g/cm3以下である、請求項1に記載の多層構造石英ガラス材。
  4. 500℃における熱伝導率が、1.2 W/(m・K)以下である、請求項1~3のいずれかに記載の多層構造石英ガラス材。
  5. 500℃における熱伝導率が、0.2 W/(m・K)以上、1.1W/(m・K)以下である、請求項1~3のいずれかに記載の多層構造石英ガラス材。
  6. 不透明石英ガラス層が、直径1mm以上の泡を含まない、請求項1~5のいずれかに記載の多層構造石英ガラス材。
  7. 第1の透明石英ガラス板と第2の透明石英ガラス板とを対向する面が所定間隔で略平行になるように成型用鋳型内に支持し、
    第1の透明石英ガラス板と第2の透明石英ガラス板との間の空間にシリカ粉末および窒化ケイ素粉末の混合粉末である不透明層用の原料粉末を充填し、
    第1の透明石英ガラス板と第2の透明石英ガラス板の外側から対向する向きに荷重を掛けつつ電気炉内で加熱して原料粉末を溶融および発泡させ、その後に冷却して多層構造石英ガラス材を製造する方法。
  8. 成型用鋳型は少なくとも下型と上型からなり、
    下型は一定の厚みの平板部材であり、第1の透明石英ガラス板を支持するために用いられる上面を有し、
    上型は、平板部と平板部の少なくとも一部の周縁に立設された側壁部とからなり、平板部は第2の透明石英ガラス板を支持するために用いられる下面を有し、
    上型側壁部の内周面は、下型の外側面と相対し、かつ略等しい寸法を有し、下型の外側面に側壁部の内周面が沿って、上型が上下に移動できる構造を有する請求項に記載の製造方法。
  9. 混合粉末における窒化ケイ素粉末の含有量は、0.002~0.5質量%の範囲である請求項またはに記載の製造方法。
  10. シリカ粉末の粒径は10~500μmの範囲である請求項のいずれかに記載の製造方法。
  11. 窒化ケイ素粉末の粒径は0.1~5μmの範囲である請求項10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 多層構造石英ガラス材が、透明石英ガラス層、不透明石英ガラス層及び透明石英ガラス層をこの順に有し、不透明石英ガラス層の見掛け密度が2.0g/cm 3 以下であり、かつ透明石英ガラス層と不透明石英ガラス層の接合境界部の平坦度が、100mm角の大きさで0.2mm以下である、多層構造石英ガラス材である、請求項7~11のいずれかに記載の製造方法。
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