JP6745014B2 - 露出型柱脚の施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄骨造などで使用される露出型柱脚の施工において、アンカーボルト挿通用の過大孔を有するベースプレートの下面と基礎コンクリートの上面との間に形成される空間と、ベースプレートの過大孔内部へのグラウト材の充填技術に係り、特に、アンカーボルトが貫通している過大孔へのグラウト材の充填性を高めた施工方法に関するものである。
露出型柱脚において、アンカーボルトが上端部を残して基礎コンクリートの所定位置に埋設され、鉄骨柱の下端に固着されたベースプレートは、複数本のアンカーボルトによって基礎コンクリートに定着される。具体的には、ベースプレートの周辺部分に複数のアンカーボルト挿通孔が形成され、これら挿通孔にアンカーボルトを挿通し、座金を介して螺合するナットの締付けによりベースプレートを固定している。なお、ベースプレートは基礎コンクリートの上面に設けたレベルモルタルの上に載置され、基礎コンクリートの上面とベースプレート下面との間に形成された空間に無収縮モルタル等のグラウト材を注入充填することにより、基礎コンクリートに対して密着される。この場合には、グラウト材がベースプレートの下面全体に隙間なく充填されればよい。
アンカーボルトは、柱脚の応力伝達の媒体として引張力、せん断力を負担すると同時に、鉄骨建て方時の位置決めに必要であることから、その設置に際しては高い精度が求められる。すなわち、水平方向の位置と垂直度がアンカーボルトにとって重要である。露出型柱脚において、ベースプレートに設けるアンカーボルトの挿通孔は、アンカーボルト径+5mm以内としなければならないことが建築基準法で規定されている。ただし、この規定は構造計算で安全が確認された場合には適用されない。そこで、アンカーボルトの施工誤差(位置ずれ)への対策として、アンカーボルト挿通孔の大きさを規定値よりも十分に拡大した過大孔に形成し、過大孔を貫通するアンカーボルトの外周面と過大孔の内周面との間隙にグラウト材を充填させる工法が広く普及している。この工法では、グラウト材がベースプレートの下面側から過大孔の内部に入り込み、内部を隙間なく埋めることがきわめて重要である。
グラウト材の充填に際し求められる条件は、グラウト材の流動性と注入圧力である。流動性に関しては、適切なグラウト材を選定し、必要な強度が得られる範囲で配合を行うことになる。注入圧力は、注入するグラウト材の圧力と充填先の空間との圧力差による。一般的な充填方法としては、図18に示すように、ベースプレート2の周囲に間隔を空けて型枠12を設置し、グラウト容器16からグラウト材Gをベースプレート2の上端レベルまで注入する。この場合、充填先との高低差h1が注入圧力となる。
さらに大きな注入圧力を得る方法として、図19に示すように、型枠12をベースプレート2の側面に密着させてベースプレート2の下面側に閉鎖空間Sをつくり、十分な量のグラウト材Gが収容されている先細状のグラウトロート17の先端部分を、ベースプレート2に設けた複数の注入孔2aのいずれかに立設状態で嵌入し、グラウト材Gの高さを利用してグラウト材Gを閉鎖空間Sに流し込む充填方法がある(特許文献1、2参照)。この充填方法は、グラウトロート17に収容するグラウト材Gの高さh2を高くすることで十分な注入圧力が得られるという利点がある。また、同じようなグラウトロートを利用する他の充填方法としては、ベースプレートに注入孔を設けることに代えて、アンカーボルト挿通孔の近くにグラウト材の注入孔が設けられた特殊形状の座金を使用する方法も知られている。
特開2000−319990号公報(図1〜3参照) 特開2000−319989号公報(図1〜3参照)
しかしながら、グラウトロートを使用する上記充填方法では、型枠で密閉状態に囲まれたベースプレートの下方空間の圧力が高くなることから、型枠の素材や組立て方によっては型枠が崩壊(パンク)してしまう可能性がある。さらに、ベースプレートに形成した注入孔が充填途中でグラウト材によって塞がれ、型枠内部に空気が閉じこもるような状況になると、グラウト材の流動が阻害されて隅々にまで行き渡らない虞がある。特に、アンカーボルトが貫通して狭い空間になっているベースプレートのアンカーボルト挿通孔(過大孔)に対して、グラウト材が十分に充填されないという問題がある。また、十分な注入圧力を確保するため、対象空間の容積を大きく超えた容量のグラウト材が必要であることから、充填後にロート内に残るグラウト材が無駄になるという問題もある。
本発明は、上記従来技術の課題を解決するために創出されたもので、特にアンカーボルトが貫通しているベースプレートの過大孔に対するグラウト材の充填性が高まるとともに、グラウト材の充填時に型枠の崩壊が生じ難く、グラウト材の無駄も低減した露出型柱脚の施工方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するための技術手段として、本願の請求項1に係る発明は、基礎コンクリート表面に突出する複数のアンカーボルトを、鉄骨柱の下端部に固着されたベースプレートの複数の過大孔にそれぞれ挿通し、ベースプレートの上面側で座金を介してナットで締め付けるとともに、ベースプレートの周囲に間隔をあけて型枠を設置し、型枠の内側へのグラウト材の注入によりベースプレートの下面と過大孔にグラウト材を充填して鉄骨柱を基礎コンクリート上に固定する露出型柱脚の施工方法において、座金がベースプレートの過大孔と外部を連通する空気流路を有し、その空気流路を介して外部から過大孔の内部を減圧することにより、ベースプレートの下面側から過大孔の内部にグラウト材を導入する、という構成を採用した点に特徴がある。
上記構成によれば、ベースプレートの過大孔内部が真空状態となるため、グラウト材の注入条件を大気圧とした場合、すなわちベースプレートの側面と型枠との間に間隔を設けた開放状態でも過大孔の内部空間との間で圧力差が生じる。この圧力差により、過大孔の内部にグラウト材が導入され、アンカーボルト外周面と過大孔内周面との間の間隙を密実状態に充填することができる。さらに、従来技術のように高低差を設けてグラウト材を加圧状態で注入する必要がないので、型枠の圧力負担が低減し、その崩壊(パンク)が生じ難くなる。また、注入圧力を確保するための余分なグラウト材が不要になるから経済的である。なお、本発明において、真空状態とは絶対真空ではなく、標準大気圧よりも低圧状態であることを意味する。
上記請求項1の構成において、ベースプレートの過大孔を貫通するアンカーボルトの突出部をカップ状容器で覆い、そのカップ状容器の内部を真空ポンプにより真空状態にして過大孔の内部を減圧するようにしてもよい(請求項2)。この構成によれば、過大孔内部の真空状態が容易にかつ確実に実現されるので、アンカーボルトと過大孔との隙間に対して、より確実にグラウト材を充填することができる。カップ状容器を使用する他の方法として、複数のカップ状容器を個々のアンカーボルトの突出部に被せ、各カップ状容器を連通する配管に接続した1台の真空ポンプにより同時に真空状態にする構成も可能である(請求項3)。この構成では、複数の過大孔に対して、同時にグラウト材を充填することが可能であるから、作業効率の向上につながる。
上記請求項2または3の構成について、手動式の真空ポンプを使用することができる(請求項4)。手動式の真空ポンプは、安価でその操作も簡単であることから、施工現場において、きわめて簡便な手段で過大孔の真空状態を実現することができるので、施工コストの低減に寄与するものである。さらに、カップ状容器内の真空状態を計測する圧力計を設けてもよい(請求項5)。圧力計を設けた場合には、真空状態を正確に知ることができるので、より確実な充填作業を行う上で好都合である。なお、カップ状容器をプラスチック等の透明性材料で形成してもよく、この場合には、座金の空気流路からグラウト材が噴出することで、ベースプレートの過大孔の上部までグラウト材が充填されたことを確認できるという利点がある(請求項6)。
なお、座金の空気流路としては、アンカーボルトを受け入れる内周面から外周面に至る溝部とした構成(請求項7)、あるいは周方向の1か所で分断する切欠き部とした構成(請求項8)が好適である。これらの構成によれば、ベースプレートの過大孔内に残る空気は、それら座金の空気流路を介して外部に排出され、過大孔の内部が真空状態になる。これにより、ベースプレートの周辺から下面に流れ込んだグラウト材は、大気圧すなわち加圧をしない注入条件であってもその圧力差によって過大孔の内部に導入される結果、過大孔の内部がグラウト材で確実に充填される。
本発明に係る露出型柱脚の施工方法では、上記構成を採用したことにより、以下のような効果を得ることができる。
(1)ベースプレートの過大孔内部を真空状態にしてグラウト材を注入するため、グラウト材の注入条件を大気圧とした場合、すなわちベースプレートの側面と型枠との間に間隔を設けた開放状態でも過大孔の内部空間との間で圧力差が生じる。この圧力差により過大孔の内部にグラウト材が導入される(引き込まれる)結果、アンカーボルト外周面と過大孔内周面との間の間隙をグラウト材で密実状態に充填することができる。
(2)高低差を利用してグラウト材を加圧状態で注入する従来方法に代えて、グラウト材の注入時において、ベースプレートの過大孔内部を真空状態にすることによってグラウト材の加圧が不要になるから、型枠が受ける圧力が低下し、型枠の崩壊(パンク)が生じ難くなる。
(3)注入圧力を確保するための余分なグラウト材が不要になるので経済的である。
本発明の第1実施形態に係る露出型柱脚の施工方法において、アンカーボルトの締付け状態を示す斜視図である。 (a)及び(b)は、図1の施工方法で使用する座金(入れ子座金)の一方の構成部材である上座金の平面図と断面図である。 (a)〜(c)は、図1の施工方法で使用する座金(入れ子座金)の他方の構成部材である下座金の平面図、斜視図及びA−A断面図である。 本発明の第1実施形態でレベルモルタルの設置状態を示す断面図である。 図4の次工程として、鉄骨建て方作業でのアンカーボルトの締付け状態を示す断面図である。 図5の次工程として、ベースプレートの周囲に型枠を設置した状態を示す平面図である。 図6の次工程として、グラウト材の注入方法を示す説明図である。 図7の過大孔周辺を拡大した断面図である。 本発明の第1実施形態で施工が完了した状態を示す断面図である。 図9のB−B断面図である。 (a)〜(c)は、第1実施形態で使用する入れ子座金の変形例であって、空気流路の形態が異なる上座金の平面図、正面図及び断面図である。 (a)〜(c)は、第1実施形態で使用する入れ子座金の他の変形例であって、空気流路を備えた下座金の平面図、正面図及びC−C断面図である。 (a)及び(b)は、本発明の第2実施形態に係る露出型柱脚の施工方法で使用する空気流路を備えた座金(平座金)の平面図と斜視図である。 図13の座金を用いた露出型柱脚の施工方法において、アンカーボルトの締付け状態を示す斜視図である。 (a)及び(b)は、本発明の第3実施形態に係る露出型柱脚の施工方法で使用する空気流路を備えた座金(平座金)の平面図と斜視図である。 図15の座金を用いた露出型柱脚の施工方法において、グラウト材の注入工程における過大孔周辺を拡大した断面図である。 本発明の第4実施形態に係る露出型柱脚の施工方法において、グラウト材の注入方法を示す説明図である。 グラウト材注入方法の従来例を示す断面図である。 グラウト材注入方法の他の従来例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る露出型柱脚の施工方法の第1実施形態であって、一部のアンカーボルトの締結部を分解して外観全体を示した斜視図である。なお、本発明の特徴部分であるグラウト材の注入方法に関しては、露出型柱脚の全体構造の説明をした後、図7を中心にして詳しく説明する。図示の露出型柱脚の定着構造は、鉄骨柱1の下端部に固着されたベースプレート2が、基礎コンクリート(図示せず)上面に突出するアンカーボルト3で固定されたものである。ベースプレート2には、適用するアンカーボルト3の呼び径(M12〜M80)に応じて、その径よりも22〜50mm程度拡大した過大孔4が四隅の位置に形成されている。そして、それぞれのアンカーボルト3は、次に詳述する入れ子座金5と平座金6の組合せからなる座金7を挿通した状態で2個のナット8,8で締結されている。
図2,3は、入れ子座金5を2個1組で構成する上座金20と下座金30をそれぞれ示したものである。図2に示した上座金20は、円板状の座部21の上面に空気流路としての3個の溝部22が、内周縁と外周縁に跨るようにして放射状に形成され、その下面に脚部23を同心状に形成した形態をなしている。さらに、アンカーボルト3の軸径に合わせた内径のアンカーボルト受入れ孔24が、円板状の座部21に対して偏心した位置で座部21と脚部23を貫通している。図3に示す下座金30は、上座金20の座部21の外径よりも大きい円板状の座部31の下面側にベースプレート2の過大孔4の内径に合わせた外径の脚部32が座部31と同心状に形成されると共に、上座金20の脚部23の外径に合わせた内径の脚部受入れ孔33が、座部31に対して偏心した位置で座部31と脚部32を貫通している。これらの上座金20と下座金30は、下座金30の脚部受入れ孔33に上座金20の脚部23を挿入し、互いの座部21,31を上下に重ね合わせた状態で入れ子座金5として使用される。
上記入れ子座金5は、アンカーボルト3が過大孔4の中心から外れている場合に、その位置ずれを調整する手段として有効な部材である。具体的な装着方法としては、まず下座金30を回転することによってベースプレート2の過大孔4内にその脚部32を嵌入する。次に、アンカーボルト3の上端を上座金20のアンカーボルト受入れ孔24に挿通した状態で上座金20を回転(必要により下座金30を回転)する。これにより、上座金20が下座金30の脚部受入れ孔33内に嵌入すると同時に、アンカーボルト3の上端が上座金20のアンカーボルト受入れ孔24に対して適正に挿通された状態になる。そして、このような状態で図1に示すように、アンカーボルト3にダブルナット(シングルナットでもよい。)8,8を螺合して締め付けると、アンカーボルト3は入れ子座金5(上座金20と下座金30)によって過大孔4内で大きな隙間が生じることなく、その位置ずれも併せて吸収され、ベースプレート2を強固に固定する。
次に、第1実施形態に係る露出型柱脚の施工方法について、図4〜10を参照しながら説明する。図4に示すように、アンカーフレームなどの公知の手段により、複数本のアンカーボルト3を基礎コンクリート9の所定位置に突出状態で設置し、基礎コンクリート9が硬化した後、テンプレート10を取り外し、レベルモルタル11を適宜の場所に敷設する。
これに続く鉄骨建て方作業として、図5に示すように、鉄骨柱1の下端部に固着されているベースプレート2のアンカーボルト挿通用の過大孔4にアンカーボルト3を挿入しながら、レベルモルタル11上にベースプレート2を載置し、水平方向の位置調整を行う。さらに、上記入れ子座金5を構成する上座金20と下座金30をアンカーボルト3に嵌め入れ、アンカーボルト3の位置ずれ状況に応じて適宜方向に回転し、ベースプレート2の過大孔4に対して下座金30の脚部32を嵌合する。さらに、上座金20の上面に平座金6を重ねた後、2個のナット8,8で締め付ける。
図6は、図5の鉄骨建て方作業の次工程として、ベースプレート2の周囲に型枠を設置した状態を示す平面図である。矩形状のベースプレート2の各側面に対して、例えば50mmの間隔をあけて型枠12を矩形状に立設する。
次いで、図7に示すように、入れ子座金5及び平座金6を含めたアンカーボルト3の突出部分に対して、例えばアクリル樹脂などの透明性樹脂からなるカップ状容器13を被せ、ベースプレート2の上面に対してカップ状容器13の開口側端面が密接するように載置する。なお、カップ状容器13の底面部13aにはプラスチックチューブ14の一端側が接続されるとともに、プラスチックチューブ14の他端側に手動式の真空ポンプ15が接続されている。そして、グラウト容器16内に収容されている無収縮モルタル等のグラウト材Gをベースプレート2の外側(周囲)から型枠12の上端位置までゆっくりと流し入れた後、真空ポンプ15を操作する。なお、カップ状容器13の素材として、ガラスなども使用可能である。
図8は、図7の過大孔周辺を拡大した断面図である。真空ポンプ15の操作によってカップ状容器13の内部を真空状態にすると、ベースプレート2の過大孔4内に滞留する空気は、入れ子座金5の内周面とアンカーボルト3の外周面との隙間を上方に向けて移動し、さらに上座金20の上面に形成された3個の溝部22(空気流路)を通過してカップ状容器13内に引き込まれる。これにより、過大孔4の内部も真空状態になるので、ベースプレート2の下面と基礎コンクリート9との隙間を満たしたグラウト材Gが、さらにベースプレート2の下面側から過大孔4に強制的に引き込まれ、入れ子座金5の下方にある空間を上昇して内部を確実に埋めることができる。このようなカップ状容器13と真空ポンプ15による操作は、各アンカーボルト3に対して行う。
なお、上記実施形態では、カップ状容器13が透明であることから、吸引操作に伴って上座金20の上面に形成された溝部22からグラウト材Gが噴出したとき、ベースプレート2の過大孔4の上部までグラウト材Gが十分に充填されていることを確認できる。ただし、空気流路として十分な流路断面積でもグラウト材Gが噴出しないことも想定される。その場合には、真空度と空気流路の大きさを調整することにより、グラウト材Gの充填状態を確認することが可能である。
図9,10は、本発明の第1実施形態に係る露出型柱脚の施工方法について、注入したグラウト材Gが硬化し、型枠12を外した施工完了状態を示す断面図とB−B断面図である。図に示すようにグラウト材Gは、ベースプレート2の過大孔4内で入れ子座金5の脚部32の下面にまで到達している。これにより、ベースプレート2の過大孔4において、アンカーボルト3の周囲の隙間がグラウト材Gで確実に充填されることになる。
図11(a)〜(c)は、第1実施形態で使用する入れ子座金の変形例であって、上記実施形態と同様な入れ子座金において、空気流路を図2とは異なる形態にした上座金の平面図、正面図及び断面図である。この場合の下座金は、図3に記載のものを使用する。図示の上座金40は、座部41の下面に同心状に脚部42が設けられる点では図2のものと共通するが、溝部43が座部41の最も幅の狭い位置に1個形成され、その溝部43がアンカーボルト受入れ孔44の上端部に形成された環状傾斜面45に開口し、これら溝部43と環状傾斜面45とにより空気流路が構成されたものである。
図12(a)〜(c)は、第1実施形態で使用する入れ子座金の他の変形例であって同じく上記実施形態と同様な入れ子状の座金において、空気流路を設けた下座金の平面図、正面図及び断面図である。図示の下座金50は、座部51の下面に同心状に脚部52が設けられる点では図3のものと共通する。この場合、空気流路は、下座金50の脚部52の外周面に形成した軸心方向の縦溝53と、座部51の下面で一端側が縦溝53に連続すると共に、他端側が座部51の外周面に開口する径方向の横溝54とで構成されている。空気流路は、脚部受入れ孔55を中心として放射状に3個設けられている。なお、これまでに説明した上座金20,40,下座金50において、溝部の大きさは幅2mm、深さ1mm以上が好ましい。また、本発明に係る露出型柱脚の施工方法において、空気流路が形成された入れ子座金を使用する場合には、上座金とナットとの間に平座金を設けることは必須要件ではない。
図13(a)及び(b)は、本発明の第2実施形態で入れ子座金と併用する平座金の平面図と斜視図であり、図14はその平座金を使用した露出型柱脚の施工方法において、一部のアンカーボルトの締結部を分解して外観全体を示した斜視図である。平座金60は、円環状の座金本体61が周方向の1か所で分断された略C字状をなす形態であり、この切欠き部62が空気流路として機能するものである。図14に示すように平座金60は、上座金14及び下座金15のいずれにも溝部等の空気抜き手段が形成されていない通常の入れ子座金16の上面側に重ねて使用されるものである。図示はしないが、アンカーボルト3の突出部分に対してカップ状容器13を被せ、グラウト材Gをベースプレート2の外側(周囲)から型枠12の上端位置までゆっくりと流し入れた後、真空ポンプ15を操作する工程に関しては、上記第1実施形態に係る施工方法と同様である。この場合、ベースプレート2の過大孔4の内部空間に滞留している空気は、上座金14のアンカーボルト受入れ孔14aの内周面とアンカーボルト3の外周面との間隙を通過し、平座金60の切欠き部62(空気流路)からカップ状容器13の内部に移動することになる。
図15(a)及び(b)は、本発明の第3実施形態で使用する平座金の平面図と斜視図であり、図16はその平座金を使用した露出型柱脚の施工方法において、グラウト材の注入工程における過大孔周辺を拡大した断面図である。この第3実施形態は、入れ子座金を使用しない例である。図示の平座金70は、円環状の座金本体71の片面に3個の溝部72(空気流路)が、内周縁と外周縁に跨るようにして放射状に形成されたものである。そして、図16に示すように、平座金70を溝部72が上面に位置するようにアンカーボルト3に挿入し、さらに通常の平座金6を重ねた状態で2個のナット8,8で締結されている。
図17は、本発明の第4実施形態に係る露出型柱脚の施工方法において、グラウト材の注入方法を示す説明図である。この第4実施形態は、ベースプレート2の複数の過大孔4に対して、同時にグラウト材Gを充填することができる点に大きな特徴がある。図では、例示的にアンカーボルト4本タイプの柱脚を示している。すなわち、この第4実施形態では4個のカップ状容器13(図では手前側の2個のみを表示している。)に接続したプラスチックチューブ14の他端側がそれぞれマニホールド80に接続され、このマニホールド80と手動式の真空ポンプ15がプラスチックチューブ14を介して接続されている。さらに、マニホールド80に圧力計81が取り付けられている。
上記第4実施形態では、グラウト容器16内に収容されている無収縮モルタル等のグラウト材Gをベースプレート2の外側(周囲)から型枠12の上端位置までゆっくりと流し入れた後、真空ポンプ15を操作すると、4個のカップ状容器13の内部が真空状態になり、ベースプレート2の過大孔4内に滞留する空気は、入れ子座金5(上座金20と下座金30)の内周面とアンカーボルト3の外周面との隙間を上方に向けて移動し、さらに上座金20の上面に形成された3個の溝部22(空気流路)を通過してカップ状容器13内に引き込まれる。これにより、すべての過大孔4の内部も同時に真空状態になるので、ベースプレート2の下面と基礎コンクリート9との隙間を満たしたグラウト材Gが、各過大孔4の内部に強制的に引き込まれ(導入され)、入れ子座金5の下方にある空間を上昇してそれぞれの内部空間を同時に埋めることができる。この場合、圧力計81により真空状態を正確に知ることができるので、より確実な充填作業を行う上で好都合である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、入れ子座金に空気流路を設ける場合には、少なくとも上下の座金のどちらか一方に形成すればよいが、両方に設けることももちろん可能である。さらに、空気流路の形状や数、その設置場所の変更、真空ポンプの変更、あるいはカップ状容器を使わずに座金に真空ポンプを接続するなど、本発明の技術思想内でさまざまな変更実施が可能である。
本発明に係る露出型柱脚の施工方法は、鉄骨造などの建造物に使用された場合にその優位性が発揮され、構造躯体の耐震性能、施工性、経済性を向上させる手段としてさらなる展開が期待される。
1…鉄骨柱、2…ベースプレート、2a…注入孔、3…アンカーボルト、4…過大孔、5,16…入れ子座金、6,60,70…平座金、7…座金、8…ナット、9…基礎コンクリート、10…テンプレート、11…レベルモルタル、12…型枠、13…カップ状容器、14…プラスチックチューブ、15…真空ポンプ、16…グラウト容器、17…グラウトロート、20,40…上座金、30,50…下座金、21,31,41,51…座部、23,32,42,52…脚部、24,44…アンカーボルト受入れ孔、22,43,53,54…溝部(空気流路)、33,55…脚部受入れ孔、62…切欠き部(空気流路)、80…マニホールド、81…圧力計、G…グラウト材

Claims (8)

  1. 基礎コンクリート表面に突出する複数のアンカーボルトを、鉄骨柱の下端部に固着されたベースプレートの複数の過大孔にそれぞれ挿通し、該ベースプレートの上面側で座金を介してナットで締め付けるとともに、前記ベースプレートの周囲に間隔をあけて型枠を設置し、該型枠の内側へのグラウト材の注入により前記ベースプレートの下面と過大孔にグラウト材を充填して前記鉄骨柱を前記基礎コンクリート上に固定する露出型柱脚の施工方法において、前記座金が前記ベースプレートの過大孔と外部を連通する空気流路を有し、該空気流路を介して外部から前記過大孔の内部を減圧することにより、前記ベースプレートの下面側から該過大孔の内部に前記グラウト材を導入することを特徴とする露出型柱脚の施工方法。
  2. 前記アンカーボルトの突出部をカップ状容器で覆い、該カップ状容器の内部を真空ポンプにより真空状態にして前記過大孔の内部を減圧する請求項1に記載の露出型柱脚の施工方法。
  3. 前記カップ状容器の複数を個々のアンカーボルトに被せ、各カップ状容器を連通する配管に接続した1台の真空ポンプにより同時に真空状態にする請求項2に記載の露出型柱脚の施工方法。
  4. 前記真空ポンプが手動式である請求項2または3に記載の露出型柱脚の施工方法。
  5. 前記カップ状容器の真空状態を計測する圧力計を備えた請求項2ないし4のいずれか1項に記載の露出型柱脚の施工方法。
  6. 前記カップ状容器が透明性材料からなる請求項2ないし5のいずれか1項に記載の露出型柱脚の施工方法。
  7. 前記座金の空気流路がアンカーボルトを受け入れる内周面から外周面に至る溝部である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の露出型柱脚の施工方法。
  8. 前記座金の空気流路が周方向の1か所で分断する切欠き部である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の露出型柱脚の施工方法。
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