JP6742868B2 - 窒化ガリウム結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化ガリウム結晶の製造方法に関する。
近年、青色発光ダイオード、半導体レーザ、および高耐圧および高周波電源IC(Integrated Circuit)等を形成する半導体材料として、窒化ガリウム(GaN)が注目されている。
例えば、窒化ガリウム結晶は、ハイドライド気相エピタキシャル成長法(Hydride Vapor Phase Epitaxy:HVPE)、または有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)などの気相成長法を用いることで合成することができる。具体的には、窒化ガリウム結晶は、バッファ層を成膜したサファイア基板または炭化シリコン(SiC)基板の上で、アンモニア(NH)などのガスと、ガリウム(Ga)源とを1000℃以上の温度領域で反応させることで製造することができる。しかしながら、気相成長によって合成された窒化ガリウム結晶には、結晶欠陥が多数存在するため、デバイスに組み込んだ際に目的の特性を得ることが難しかった。
そこで、結晶中の欠陥を低減させるために、窒化ガリウム結晶を液相成長させる方法が検討されている。しかしながら、窒化ガリウム結晶を液相成長させるためには、1500℃以上の高温のガリウム融液中に、窒素ガスを1万気圧以上の超高圧で溶解させる必要がある。そのため、高温高圧条件に耐える反応設備を必要とする液相成長法は、工業的な応用には至っていない。
上記の高温高圧条件を緩和するために、例えば、下記の特許文献1には、フラックスとして金属ナトリウムを用いる窒化ガリウム結晶の製造方法が開示されている。また、下記の特許文献2には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属と、スズとをフラックスとして用いた窒化ガリウム結晶の合成方法が開示されている。
米国特許第5868837号明細書 特開2014−152066号公報
しかし、特許文献1に開示された方法では、50気圧以上の高圧条件でガリウムと、窒素とを反応させる必要があるため、やはり高温高圧条件に耐える高価な反応装置が必要であった。また、特許文献2に開示された方法では、フラックスとして、アルカリ金属またはアルカリ土類金属と、スズとを多量に用いる必要があり、融液中のガリウムの含有量が低くなってしまうため、窒化ガリウム結晶の成長速度が遅く、生産性が低かった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、液相成長を用いて、より効率的に窒化ガリウム結晶を製造することが可能な、新規かつ改良された窒化ガリウム結晶の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、金属ガリウムおよび窒化鉄に、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の窒化物、または遷移金属を少なくとも1種類以上添加し、窒素雰囲気中で少なくとも前記金属ガリウムが反応する反応温度まで加熱するステップを含む、窒化ガリウム結晶の製造方法が提供される。
前記金属ガリウムおよび前記窒化鉄には、前記アルカリ土類金属の窒化物が添加されてもよい。
前記アルカリ土類金属の窒化物は、窒化マグネシウムであってもよい。
前記遷移金属は、マンガン、コバルト、またはクロムのいずれかであってもよい。
前記窒化鉄は、一窒化四鉄、一窒化三鉄、および一窒化二鉄のうちの少なくともいずれか1つ以上を含んでもよい。
前記反応温度は、550℃以上1000℃以下であってもよい。
前記窒化ガリウム結晶は、基板の上に液相エピタキシー法によって形成されてもよい。
前記基板は、サファイア基板であってもよい。
前記窒化ガリウム結晶は、前記基板の両面に同時に形成されてもよい。
以上説明したように本発明によれば、結晶欠陥の少ない高品質の窒化ガリウム結晶をより高速で成長させることが可能である。したがって、本発明によれば、より効率的に窒化ガリウム結晶を製造することが可能である。
本発明の第1の実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法にて用いられる反応装置の一例を示した模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法にて用いられる反応装置の一例を示した模式図である。 図2で示した基板の保持具をより具体的に示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態において、窒化ガリウム結晶膜を成長させた基板の構造を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態において、基板の両面に窒化ガリウムの結晶膜を合成するための保持具の一例を示す斜視図である。 実施例1で製造した窒化ガリウム結晶を15000倍にて観察したSEM画像である。 実施例2で製造した窒化ガリウム結晶を30000倍にて観察したSEM画像である。 比較例1で製造した窒化ガリウム結晶を30000倍にて観察したSEM画像である。 比較例2で製造した窒化ガリウム結晶を100倍にて観察したSEM画像である。 実施例3の加熱時の温度プロファイルを示すグラフ図である。 実施例3にてサファイア基板上に析出させた窒化ガリウム結晶膜のXRDスペクトルを示すグラフ図である。 比較例3にてサファイア基板上に析出させた窒化ガリウム結晶膜のXRDスペクトルを示すグラフ図である。 実施例4にてサファイア基板上に析出させた窒化ガリウム結晶膜のXRDスペクトルを示すグラフ図である。 実施例4に係るサファイア基板の反りを測定した表面形状プロファイルである。 比較例4に係るサファイア基板の反りを測定した表面形状プロファイルである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.第1の実施形態>
(反応装置)
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法について説明する。図1は、本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法にて用いられる反応装置1の一例を示した模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法にて用いられる反応装置1は、電気炉2の内部に管状炉4を備え、管状炉4の長手方向の中央部を灼熱ゾーン6とする反応装置である。
管状炉4の内部の灼熱ゾーン6には、高い耐熱性を有する反応容器8が収容される。反応容器8は、酸素等の不純物を反応材料に混入させないために、例えば、カーボンにて構成される。ただし、反応容器8は、1000℃付近の高温で金属ガリウムと反応しない物質であれば、カーボン以外で構成されてもよく、例えば、酸化アルミニウムにて構成されてもよい。
反応容器8には、窒化ガリウム結晶の原料となる反応材料が投入され、電気炉2によって加熱されることで、窒化ガリウム結晶の合成反応が進行する。具体的には、反応容器8には、金属ガリウムおよび窒化鉄と、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の窒化物、または遷移金属の少なくとも1種類以上とが投入され、溶融状態となるまで加熱されることで、窒化ガリウム結晶の合成反応が進行する。
また、管状炉4には、管状炉4の内部に雰囲気ガスである窒素ガスを供給するガス供給手段(図示せず)が接続される。本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法は、常圧下で窒化ガリウム結晶を合成することが可能であるため、反応装置1は、格別の耐圧構造は有していなくともよい。したがって、本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法では、反応装置1を大型化することが容易であるため、容易に工業化することができる。
本実施形態では、図1で示すような反応装置1を用い、反応材料である金属ガリウムと、窒化鉄と、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の窒化物、または遷移金属とを反応容器中で加熱し、溶融状態とする。これにより、本実施形態では、融液中の金属ガリウムと、融液中の窒素原子または雰囲気ガスの窒素分子とを反応させ、窒化ガリウム結晶を合成することができる。
(反応材料)
金属ガリウムは、高純度のものを使用することが好ましく、例えば、市販の純度約99.99%以上のものを使用することができる。
窒化鉄は、具体的には、一窒化四鉄(FeN)、一窒化三鉄(FeN)、一窒化二鉄(FeN)、またはこれらの2種以上の混合物を使用することができる。また、窒化鉄は、高純度のものを使用することが好ましく、市販の純度約99.9%以上のものを使用することができる。
窒化鉄中の鉄原子は、金属ガリウムと混合されて加熱されることにより、触媒として機能し、融液中の窒素原子または雰囲気ガス中の窒素分子から活性窒素を発生させる。発生した活性窒素は、金属ガリウムと容易に反応するため、窒化ガリウム結晶の合成を促進することができる。これにより、本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法では、従来のフラックス法よりも低い常圧の液相成長にて窒化ガリウム結晶を合成することができる。すなわち、窒化鉄は、触媒として機能するため、反応材料中の窒化鉄の濃度は、特に限定されず、窒化鉄は、少なくとも反応材料中に含まれていればよい。
具体的には、窒化鉄として一窒化四鉄が使用される場合、窒化鉄は、一窒化四鉄の窒化作用によって金属ガリウムと反応し、窒化ガリウム結晶を生成する(反応式1)。
FeN+13Ga→GaN+4FeGa ・・・反応式1
また、窒素雰囲気中から融液中に溶解した窒素分子は、鉄原子が触媒として機能することで金属ガリウムと反応し、窒化ガリウム結晶を生成する(反応式2)。
2Ga+N+Fe→2GaN+Fe ・・・反応式2
なお、金属ガリウムと窒化鉄との混合比率は、例えば、金属ガリウムと窒化鉄の鉄元素との合計モル数に対する窒化鉄中の鉄元素のモル数の割合が0.1%以上50%以下となる比率であってもよい。鉄元素の割合が0.1%未満である場合、触媒である鉄元素が少なく、窒化ガリウム結晶の成長速度が遅くなる。また、鉄元素の割合が50%を超える場合、窒化ガリウム以外に酸化ガリウム等の生成が生じ、窒化ガリウム結晶の成長が阻害される可能性が生じる。
例えば、窒化鉄として一窒化四鉄を使用する場合、上記の窒化鉄中の鉄元素のモル数の割合を満足するためには、金属ガリウムと一窒化四鉄とのモル数の比率をおおよそ99.97:0.03〜80:20とすればよい。
また、窒化鉄として一窒化三鉄または一窒化二鉄を使用する場合、窒化鉄中の鉄元素と窒素元素の割合に応じて、上述のモル数の比率を換算してもよい。例えば、窒化鉄として一窒化三鉄を使用する場合、金属ガリウムと一窒化三鉄とのモル数の比率をおおよそ99.96:0.04〜75:25とすればよい。また、窒化鉄として一窒化二鉄を使用する場合、金属ガリウムと一窒化二鉄とのモル数の比率をおおよそ99.94:0.06〜67.5:32.5とすればよい。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の窒化物は、具体的には、窒化リチウム(LiN)、窒化ナトリウム(NaN)、窒化マグネシウム(Mg)、窒化カルシウム(Ca)、またはこれらの2種以上の混合物を使用することができる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の窒化物は、高純度のものを使用することが好ましく、市販の純度約99.9%以上のものを使用することができる。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の窒化物は、準窒素源として機能する。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の窒化物は、アルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子が雰囲気ガス中の窒素分子と反応することで、融液中に効率的に窒素原子を供給する。これにより、本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法では、融液中の窒素濃度を上昇させることができるため、窒化ガリウム結晶の成長速度を向上させることができる。
したがって、本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法では、窒素分子との反応性が高いアルカリ金属またはアルカリ土類金属の窒化物を用いることが好ましい。具体的には、アルカリ土類金属の窒化物を用いることが好ましく、窒化マグネシウム(Mg)を用いることがより好ましい。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の窒化物の添加量は、特に限定されないが、例えば、金属ガリウムおよび窒化鉄の総質量に対して、0.01質量%以上50質量%以下であってもよい。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の窒化物の添加量が0.1質量%未満である場合、窒化ガリウム結晶の成長を促進させる効果が得られない。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の窒化物の添加量が50質量%を超える場合、金属ガリウムの割合が少なくなるため、窒化ガリウム結晶の合成の効率が低下する。
なお、本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法では、上述したアルカリ金属またはアルカリ土類金属の窒化物に替えて、または上述したアルカリ金属またはアルカリ土類金属の窒化物と併せて、窒化チタンなどの遷移金属窒化物、またはカルシウムシアナミドなどの窒素化合物が添加されてもよい。
遷移金属は、触媒として機能し、ガリウムと、窒素との反応を促進する。遷移金属は、具体的には、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、またはクロム(Cr)の少なくともいずれかの金属の単体を使用することができる。遷移金属は、高純度のものを使用することが好ましく、市販の純度約99.9%以上のものを使用することができる。
遷移金属の添加量は、特に限定されないが、例えば、金属ガリウムおよび窒化鉄の総質量に対して、0.01質量%以上50質量%以下であってもよい。遷移金属の添加量が0.1質量%未満である場合、反応を促進させる効果が得られない。また、遷移金属の添加量が50質量%を超える場合、金属ガリウムの割合が少なくなるため、窒化ガリウム結晶の合成の効率が低下する。
なお、本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法において、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の窒化物と遷移金属とは、金属ガリウムおよび窒化鉄に対して、いずれか一方が添加されてもよく、両方が添加されてもよい。
管状炉4の内部に供給される雰囲気ガスは、例えば、窒素ガスであってもよい。ただし、金属ガリウムとの間で酸化物等の不純物を形成しなければ、他のガスを用いることも可能である。例えば、雰囲気ガスとして、アルゴンガスなどの不活性ガスを用いてもよく、これらのガスを複数種混合して用いてもよい。
(加熱条件)
本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法では、反応容器8に投入された反応材料は、少なくとも金属ガリウムが反応する反応温度まで加熱される。これにより、反応容器8に投入された反応材料は、溶融状態となり、金属ガリウムと、融液中の窒素原子または雰囲気ガス中の窒素分子とが反応することで、窒化ガリウム結晶が合成される。このような反応温度は、具体的には、300℃以上1000℃以下であり、好ましくは、550℃以上1000℃以下である。
また、反応容器8に投入された反応材料は、反応温度に到達後、所定時間、上記の反応温度の範囲内の温度に保持される。反応材料が上記の反応温度の範囲に保持される時間は、例えば、1時間以上であってもよい。なお、このとき、反応材料の温度は、上記の反応温度の範囲内(例えば、300℃以上1000℃以下、好ましくは550℃以上1000℃以下)に収まっていれば、一定であってもよく、変動していてもよい。
本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法では、1000℃以下にて窒化ガリウム結晶を合成するため、一旦合成された窒化ガリウム結晶は、分解されない。したがって、本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法では、より高い効率で窒化ガリウム結晶を製造することが可能となる。
なお、上記の反応にて得られた生成物には、鉄とガリウムとの金属間化合物等の副生成物が含まれることがある。このような副生成物は、例えば、王水等の酸を用いた酸洗浄によって除去することが可能である。
以上の方法によれば、常圧の窒素雰囲気下における液相成長にて、より効率的に窒化ガリウム結晶を製造することが可能である。
<2.第2の実施形態>
次に、図2および図3を参照して、本発明の第2の実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法について説明する。
本発明の第2の実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法は、金属ガリウムおよび窒化鉄と、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の窒化物、または遷移金属の少なくとも1種類以上とを溶融した融液中に、結晶成長の核となる基板を浸漬させることで、基板上に窒化ガリウム結晶膜をエピタキシャルに成長させるものである。すなわち、本実施形態は、合成した窒化ガリウム結晶膜の結晶成長方位を基板の結晶方位と揃えることが可能な液相エピタキシー法を用いた窒化ガリウム結晶の製造方法である。本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法によれば、半導体素子の製造に好適な結晶方位の揃った窒化ガリウム結晶を製造することができる。
なお、第2の実施形態に係る製造方法は、第1の実施形態に係る製造方法に対して、使用する反応装置のみが異なり、使用する反応材料、および加熱条件は、実質的に同様であるため、ここでの説明は省略する。
図2は、本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法にて用いられる反応装置100の一例を示した模式図である。
図2に示すように、反応装置100は、電気炉113と、電気炉113の側面に設けられたヒーター114と、ガス導入口131と、ガス排出口132と、引き上げ軸122と、引き上げ軸122および電気炉113の間の気密性を確保するシール材123と、を備える。また、電気炉113の内部には、反応材料の融液10が投入された反応容器111を載置する架台112が設けられ、引き上げ軸122の一端には、窒化ガリウム結晶の核となる基板140を保持する保持具120が設けられる。すなわち、反応装置100は、反応材料を溶融した融液110に浸漬された基板140上に窒化ガリウムの結晶膜をエピタキシャル成長させる装置である。
電気炉113は、密閉された内部構造中に反応容器111を収容する。例えば、電気炉113は、内部の直径が約200mmであり、内部の高さが約800mmである筒状構造であってもよい。ヒーター114は、例えば、電気炉113の長手方向の側面に配置され、電気炉113の内部を加熱する。
ガス導入口131は、電気炉113の下方に設けられ、電気炉113の内部に雰囲気ガス(例えば、窒素(N)ガス)を導入する。また、ガス排出口132は、電気炉113の上方に設けられ、電気炉113の内部の雰囲気ガスを排出する。ガス導入口131およびガス排出口132により、電気炉113の内部の圧力は、ほぼ常圧(すなわち、大気圧)に保たれる。
架台112は、反応容器111を支持する部材である。具体的には、架台112は、反応容器111がヒーター114によって均等に加熱されるように反応容器111を支持する。例えば、架台112の高さは、反応容器111がヒーター114の中央部に位置するような高さであってもよい。
反応容器111は、反応材料が溶融した融液110を保持する容器である。反応容器111は、例えば、外径(直径)が約100mmであり、高さが約90mmであり、厚みが約5mmである円筒形状の容器であってもよい。反応容器111は、例えば、カーボンで構成されるが、1000℃付近の高温で金属ガリウムと反応しない材質であれば、酸化アルミニウムなどの他の材料で構成されてもよい。
融液110は、反応材料が溶融した液体である。具体的には、融液110は、反応材料である金属ガリウムと、窒化鉄と、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の窒化物、または遷移金属の少なくとも1種類以上との混合粉末をヒーター114によって加熱溶融した液体である。
基板140は、表面に窒化ガリウムの結晶膜を析出可能な基板である。基板140は、具体的には、サファイア基板であってもよい。また、基板140は、いかなる形状であってもよいが、例えば、略平板形状、略円板形状等であってもよい。例えば、基板140として、(002)の結晶面で切り出したサファイア基板を用いることにより、基板140の結晶方位と揃った方位に結晶成長し、C軸方向に配向した窒化ガリウムの結晶膜を合成することができる。
シール材123は、引き上げ軸122と電気炉113との間に設けられ、電気炉113内の気密性を維持する。シール材123は、電気炉113の外部の大気が電気炉113の内部に流入することを防止することで、電気炉113の内部の雰囲気をガス導入口131から導入されるガスの雰囲気(例えば、窒素雰囲気)にすることができる。
引き上げ軸122は、基板140を融液110に浸漬し、また、融液110から引き上げる。具体的には、引き上げ軸122は、電気炉113の上面を貫通して設けられ、引き上げ軸122の電気炉113の内部の一端には、基板140を保持する保持具120が設けられる。したがって、引き上げ軸122を上下させることで、保持具120に保持された基板140を融液110に浸漬したり、引き上げたりすることができる。
なお、引き上げ軸122は、軸を中心に回転可能に設けられてもよい。このような場合、引き上げ軸122を回転させることで、保持具120に保持された基板140を回転させ、融液110を撹拌することができる。融液110を回転撹拌することで、融液110中の窒素濃度分布をより均一にすることができるため、より均一に窒化ガリウムの結晶膜を合成することができる。
保持具120は、板状の基板140を水平に保持する。保持具120は、基板140を水平に保持し、融液110の深さ方向における窒素濃度分布の影響を小さくすることによって、窒化ガリウムの結晶膜を均一に成長させることができる。保持具120は、反応容器111と同様に、カーボンで構成されてもよいが、1000℃付近の高温でも金属ガリウムと反応しない材質であれば、酸化アルミニウムなどの他の材料で構成されてもよい。
ここで、図3を参照して、保持具120のより具体的な形状について説明する。図3は、図2で示した基板140の保持具120をより具体的に示す斜視図である。
図3に示すように、保持具120は、2本の柱状部材である支柱部126、127の両端をそれぞれ梁部124、125で連結した構造を有する。また、支柱部126、127と、梁部124、125とによって形成された空間内には、少なくとも1つ以上の棚板128が設けられる。棚板128は、支柱部126、127に対して垂直に設けられることで、基板140を水平に保持することが可能となる。
また、保持具120は、棚板128を複数備えていてもよい。このような場合、保持具120は、複数の基板140を同時に反応容器111中の融液110に浸漬し、複数の基板140に窒化ガリウムの結晶膜を合成することができる。なお、棚板128の各々の間隔は、例えば、10mm程度であればよい。
以上の構成によれば、反応装置100は、基板140と結晶方位が揃った(すなわち、エピタキシャル成長した)窒化ガリウムの結晶膜を合成することができる。
<3.第3の実施形態>
続いて、図4および図5を参照して、本発明の第3の実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法について説明する。
本発明の第3の実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法は、結晶成長の核となる基板の両面に、窒化ガリウムの結晶膜を合成することで、基板と窒化ガリウム結晶との熱膨張係数の違いによって生じる基板の反りを防止するものである。
上述したように、本発明の第1および第2の実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法では、300℃以上1000℃以下の温度範囲まで反応材料を加熱して窒化ガリウム結晶を合成する。そのため、結晶合成後に室温程度まで基板を冷却した場合、基板と窒化ガリウム結晶との間で熱収縮の大きさが異なるため、基板が窒化ガリウム結晶側に反ってしまう。このような基板の変形は、合成した窒化ガリウム結晶を用いて微細な半導体素子を形成する際に、加工精度を低下させる原因となり得る。
本発明の第3の実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法では、基板の両面に同時に窒化ガリウムの結晶膜を合成することで、基板を冷却した際に、基板が一方の面側に反ってしまうことを防止することができる。
なお、第3の実施形態に係る製造方法は、第1および2の実施形態に係る製造方法に対して、使用する基板および保持具のみが異なり、使用する反応材料、および加熱条件は、実質的に同様であるため、ここでの説明は省略する。
まず、図4を参照して、本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法における基板240について説明する。図4は、本実施形態において、窒化ガリウム結晶膜を成長させた基板240の構造を示す断面図である。
図4に示すように、本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法では、略平板形状または略円板形状の基板240の両面に窒化ガリウム結晶膜242、244が合成される。また、窒化ガリウム結晶膜242、244が析出した基板240の両面は、鏡面研磨されている。例えば、基板240として、(002)の結晶面で切り出したサファイア基板の両面を鏡面研磨したものを用い、反応材料を溶融した融液に基板240の両面を接触させることで、基板240の両面に窒化ガリウム結晶を析出させることができる。
ここで、基板240の両面が反応材料を溶融した融液に接触するようにするためには、図3で示した保持具120に替えて、図5で示すような保持具220を用いればよい。図5は、本実施形態において、基板240の両面に窒化ガリウム結晶膜を合成するための保持具220の一例を示す斜視図である。
図5に示すように、保持具220は、引き上げ軸122の先に複数の鉤部221を備え、複数の鉤部221によって基板240の一部を引っ掛けることで基板240を保持する。これにより、基板240の両面を露出させ、融液110に接触させることができるため、基板240の両面に窒化ガリウム結晶膜を析出させることができる。
一方、図3に示すような保持具120では、棚板128に基板140を載置するため、基板140の棚板128と接触する面が露出しない。したがって、基板140の棚板128と接触する面には、融液110が接触せず、窒化ガリウム結晶膜が析出しない。
したがって、本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法では、両面を鏡面研磨した基板240を用い、かつ基板240の両面を露出可能な保持具220を用いて、窒化ガリウム結晶膜を合成することで、基板240の反りを防止することができる。本実施形態によれば、窒化ガリウム結晶膜が合成された基板において、反り等の変形を防止することができるため、該窒化ガリウム結晶膜を用いて半導体素子を形成する際に、寸法精度を向上させることができる。また、基板の両面に同時に窒化ガリウム結晶膜を析出させることができるため、より効率的に窒化ガリウム結晶を製造することが可能である。
以下では、実施例を参照しながら、本発明の各実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法について、さらに具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明の各実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法の実施可能性および効果を示すための一条件例であり、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の試験例1〜3にて用いた金属ガリウム(純度99.99999%)は、DOWAエレクトロニクス株式会社から購入した。また、一窒化四鉄(FeN、純度99.9%)、窒化マグネシウム(Mg、純度99.9%)、および窒化リチウム(LiN、純度99.9%)は、高純度化学株式会社から購入した。さらに、窒素ガス(純度99.99%)は、大陽日酸株式会社から購入した。
<試験例1>
まず、第1の実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法に対応する試験例1について説明する。
(実施例1)
まず、図1で示す反応装置の内部に設置した反応容器に、金属ガリウム(Ga)、一窒化四鉄(FeN)、および窒化マグネシウム(Mg)の各粉末をGa:FeN:Mg=96mol%:2mol%:2mol%の割合にて混合した反応材料を投入した。
次に、毎分約3000mLの流量で反応装置の内部に窒素ガスを導入し、反応装置の内部を略窒素100%の1気圧とした後、900℃で10時間保持することで、窒化ガリウム結晶を合成した。その後、10時間かけて反応装置の内部を室温まで自然冷却し、副生成物を王水で除去することで、窒化ガリウム結晶を分離した。
(実施例2)
反応材料として、金属ガリウム(Ga)、一窒化四鉄(FeN)、および窒化リチウム(LiN)の各粉末をGa:FeN:LiN=94mol%:3mol%:3mol%の割合にて混合したものを用い、850℃で10時間保持することで、窒化ガリウム結晶を合成した以外は、実施例1と同様の方法で、窒化ガリウム結晶を合成した。
(比較例1)
反応材料として、金属ガリウム(Ga)、および一窒化四鉄(FeN)の各粉末をGa:FeN=98mol%:2mol%の割合にて混合したものを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、窒化ガリウム結晶を合成した。
(比較例2)
反応材料として、金属ガリウム(Ga)、および窒化マグネシウム(Mg)の各粉末をGa:Mg=97mol%:3mol%の割合にて混合したものを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、窒化ガリウム結晶を合成した。
(評価)
実施例1〜2、および比較例1〜2にて合成した窒化ガリウム結晶について、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Micrscope:SEM)(株式会社日立ハイテクノロジーズ S−4500)にて観察し、SEM画像を取得した。その結果を図6〜図9に示す。
図6は、実施例1で製造した窒化ガリウム結晶を15000倍にて観察したSEM画像であり、図7は、実施例2で製造した窒化ガリウム結晶を30000倍にて観察したSEM画像である。また、図8は、比較例1で製造した窒化ガリウム結晶を30000倍にて観察したSEM画像であり、図9は、比較例2で製造した窒化ガリウム結晶を100倍にて観察したSEM画像である。
図6〜図7にて示すSEM画像からわかるように、実施例1〜2では、六角柱状または六角板状の形状を有する結晶が得られている。窒化ガリウムは、六方晶の結晶構造であるため、これらの六方晶の結晶構造に由来する形状の結晶は、窒化ガリウム結晶であると判断される。すなわち、本実施形態に係る製造方法を用いることで、窒化ガリウム結晶を製造することができることがわかる。
また、図6および図8にて示すSEM画像を比較すると、金属ガリウムおよび窒化鉄に対して、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の窒化物を添加することで、窒化ガリウム結晶の大きさが約2倍となっており、結晶成長が促進されることがわかる。
さらに、図6および図9にて示すSEM画像を比較すると、窒化鉄を用いず、金属ガリウムと、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の窒化物とをのみ用いた比較例2では、六角柱状または六角板状の窒化ガリウム結晶が得られておらず、安定した窒化ガリウム結晶を得られないことがわかる。なお、比較例2においても窒化ガリウムが合成されていることは、X線回折(X‐ray diffraction:XRD)分析にて確認済みである。
したがって、本発明に係る窒化ガリウム結晶の製造方法では、金属ガリウムおよび窒化鉄と、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の窒化物、または遷移金属の少なくとも1種類以上とを併せて用いることによって、相乗効果にて窒化ガリウム結晶の成長を促進できることがわかる。
<試験例2>
次に、第2の実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法に対応する試験例2について説明する。
(実施例3)
まず、図2で示す反応装置の内部に設置した反応容器に、金属ガリウム(Ga)、一窒化四鉄(FeN)、および窒化マグネシウム(Mg)の各粉末をGa:FeN:Mg=97.8mol%:0.2mol%:2mol%の割合にて混合した反応材料を投入した。また、図3で示す保持具の複数の棚板に、直径50mmの円板形状である(002)面のサファイア基板(京セラ株式会社)を各々載置した。
次に、毎分約3000mLの流量で反応装置の内部に窒素ガスを導入し、反応装置の内部を略窒素100%の1気圧とした後、溶融後の反応材料の融液に保持具に保持されたサファイア基板を浸漬し、サファイア基板上に窒化ガリウムの結晶膜を析出させた。
なお、反応装置の内部の温度は、図10で示す温度プロファイルに従って制御した。図10は、実施例3の加熱時の温度プロファイルを示すグラフ図である。具体的には、図10に示すように、まず、反応容器の内部の温度を200℃までマニュアルで昇温した後、毎時100℃の割合で約850℃まで上昇させた。次に、毎分1℃の割合で約900℃まで緩やかに昇温した後、900℃で10時間保持した。このとき、引き上げ軸を軸中心にして、保持具を毎分10回転の速度で回転させることで、融液を撹拌した。その後、自然放熱によって反応容器の内部が室温に戻るまで自然冷却させた。
(比較例3)
反応材料として、金属ガリウム(Ga)、および一窒化四鉄(FeN)の各粉末をGa:FeN=99.8mol%:0.2mol%の割合にて混合したものを用いた以外は、実施例3と同様の方法で、サファイア基板上に窒化ガリウムの結晶膜を析出させた。
(評価)
実施例3および比較例3にて窒化ガリウム結晶膜を析出させたサファイア基板について、X線回折装置(株式会社リガク RINT2500)を用いて、X線回折分析(X‐ray diffraction:XRD)を行い、XRDスペクトルを取得した。その結果を図11および図12に示す。図11は、実施例3にてサファイア基板上に析出させた窒化ガリウム結晶膜のXRDスペクトルを示すグラフ図であり、図12は、比較例3にてサファイア基板上に析出させた窒化ガリウム結晶膜のXRDスペクトルを示すグラフ図である。
図11および図12にて示すXRDスペクトルでは、窒化ガリウムの(002)面に起因する2θ=34.5°の特性ピークが観察されており、実施例3および比較例3において、エピタキシャル成長した窒化ガリウム結晶が得られていることがわかる。ただし、図11にて示すXRDスペクトルのほうが、より強い特性ピークが観察されているため、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の窒化物を添加した実施例3のほうが、より基板の結晶方位と揃った結晶成長方位を有し、C軸に配向した窒化ガリウム結晶膜を製造できることがわかる。
したがって、本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法によれば、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の窒化物、または遷移金属を少なくとも1種類以上添加することで、結晶成長を促進し、より低欠陥のガリウム結晶膜を製造可能であることがわかる。
<試験例3>
次に、第3の実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法に対応する試験例3について説明する。
(実施例4)
まず、図2で示す反応装置の内部に設置した反応容器に、金属ガリウム(Ga)、一窒化三鉄(FeN)、および窒化マグネシウム(Mg)の各粉末をGa:FeN:Mg=97.9mol%:0.1mol%:2mol%の割合にて混合した反応材料を投入した。また、図5で示す保持具にて、直径2インチ(5.08cm)、厚さ0.4mmの円板形状の(002)面のサファイア基板(京セラ株式会社)を保持させた。なお、サファイア基板は、両面が鏡面研磨されたものを使用した。
次に、毎分約3000mLの流量で反応装置の内部に窒素ガスを導入し、反応装置の内部を略窒素100%の1気圧とした後、溶融後の反応材料の融液に保持具に保持されたサファイア基板を浸漬し、900℃で48時間保持することで、サファイア基板の両面に窒化ガリウム結晶膜を析出させた。その後、自然放熱によって反応容器の内部を室温に戻した後、サファイア基板を取り出し、酸洗浄によって付着した反応材料を除去した。
(比較例4)
直径が2インチのサファイア基板の片面のみに気相成長法によって窒化ガリウム結晶膜を析出させたテンプレート基板をOstendo Technologies, Inc.から購入した。なお、比較例4に係るサファイア基板に析出させた窒化ガリウム結晶膜の膜厚は、実施例4に係るサファイア基板にて析出した窒化ガリウム結晶膜の片面の膜厚と同じとした。
(評価)
実施例4にて窒化ガリウム結晶膜を析出させたサファイア基板について、試験例2と同様に、X線回折装置を用いて、X線回折分析を行い、XRDスペクトルを取得した。その結果を図13に示す。図13は、実施例4にてサファイア基板上に析出させた窒化ガリウム結晶膜のXRDスペクトルを示すグラフ図である。
図13にて示すXRDスペクトルからわかるように、実施例4では、窒化ガリウムの(002)面に起因する2θ=34.5°の特性ピークが観察されており、エピタキシャル成長した窒化ガリウム結晶が得られていることがわかる。
また、実施例4および比較例4にて窒化ガリウム結晶膜を析出させたサファイア基板の反りを非接触式の精密外径測定装置(アメテック株式会社 テーラーホブソン フォームタリサーフPGI1250A)にて測定し、表面形状プロファイルを取得した。その結果を図14および図15に示す。図14は、実施例4に係るサファイア基板の反りを測定した表面形状プロファイルであり、図15は、比較例4に係るサファイア基板の反りを測定した表面形状プロファイルである。
図14および図15に示す表面形状プロファイルからわかるように、実施例4に係るサファイア基板では、直径2インチの基板の周辺部から中心部までの変形量の最大値が約2μm以下であることがわかる。一方、比較例4に係るサファイア基板では、約5μmの反りが発生していることがわかる。したがって、実施例4に係るサファイア基板の曲率半径は、弦長50mm、矢高0.002mmとして、約156mであり、比較例4に係るサファイア基板の曲率半径は、実施例4と同様に計算すると、約62mである。
すなわち、比較例4に係るサファイア基板では、窒化ガリウムとサファイアとで熱膨張係数が2×10−6−1ほど異なり、熱収縮の大きさが異なるため、窒化ガリウム側に圧縮応力が生じ、窒化ガリウム側が凸となるように変形が生じることがわかる。一方、実施例4に係るサファイア基板では、両面に窒化ガリウム結晶膜が析出しているため、両面で圧縮応力が打ち消し合い、変形が抑制されることがわかる。
したがって、本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法によれば、窒化ガリウム結晶膜を析出させた基板の変形を抑制することができるため、半導体素子等の製造の際に寸法精度を向上させることができることがわかる。特に、窒化ガリウム結晶を析出させた基板の直径が大きくなるほど、反り変形は大きくなりやすいため、本実施形態に係る窒化ガリウム結晶の製造方法は、より効果的であることがわかる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 反応装置
2 電気炉
4 管状炉
6 灼熱ゾーン
8 反応容器
100 反応装置
110 融液
111 反応容器
112 架台
113 電気炉
114 ヒーター
120 保持具
122 引き上げ軸
123 シール材
131 ガス導入口
132 ガス排出口
140 基板

Claims (9)

  1. 金属ガリウムおよび窒化鉄に、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の窒化物、または遷移金属を少なくとも1種類以上添加し、窒素雰囲気中で少なくとも前記金属ガリウムが反応する反応温度まで加熱するステップを含む、窒化ガリウム結晶の製造方法。
  2. 前記金属ガリウムおよび前記窒化鉄には、前記アルカリ土類金属の窒化物が添加される、請求項1に記載の窒化ガリウム結晶の製造方法。
  3. 前記アルカリ土類金属の窒化物は、窒化マグネシウムである、請求項1または2に記載の窒化ガリウム結晶の製造方法。
  4. 前記遷移金属は、マンガン、コバルト、またはクロムのいずれかである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒化ガリウム結晶の製造方法。
  5. 前記窒化鉄は、一窒化四鉄、一窒化三鉄、および一窒化二鉄のうちの少なくともいずれか1つ以上を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の窒化ガリウム結晶の製造方法。
  6. 前記反応温度は、550℃以上1000℃以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の窒化ガリウム結晶の製造方法。
  7. 前記窒化ガリウム結晶は、基板の上に液相エピタキシー法によって形成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の窒化ガリウム結晶の製造方法。
  8. 前記基板は、サファイア基板である、請求項7に記載の窒化ガリウム結晶の製造方法。
  9. 前記窒化ガリウム結晶は、前記基板の両面に同時に形成される、請求項7または8に記載の窒化ガリウム結晶の製造方法。


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