JP2019001671A - 金属蒸気供給装置、金属/金属化合物製造装置、金属窒化物単結晶の製造方法、及びナノ粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
同文献には、毛細管現象により液体原料が繊維体に吸い上げられ、液体表面からだけでなく繊維体表面からも液体原料が気化するため、熱的安定性の低い液体原料であっても、液体原料の気化量を増大させることができる点が記載されている。
同文献には、このような方法によりH2の流路が狭められると同時に、液体Gaの表面積が増大するため、反応効率が増大する点が記載されている。
同文献には、
(a)TaC製エバポレータは、SiC、Al2O3、BN、又はCからなるエバポレータに比べて、溶融Gaの這い上がり高さが高くなる点、及び、
(b)TaC製エバポレータを用いると、エバポレータを用いない場合に比べて、Ga蒸気の供給速度が増大する点
が記載されている。
溶融金属の場合、熱的安定性が低いことが問題となることは少ないが、金属は、一般に蒸気圧が極めて低い。そのため、溶融金属の気化においても、到達可能な気化速度に限界がある。
また、薄膜、単結晶、あるいは、ナノ粒子の成長速度をさらに向上させ、あるいは、薄膜等の製造コストを低減するためには、金属蒸気の供給速度をさらに向上させること、あるいは、TaCよりも安価な材料で、より高い供給速度を実現することが望まれる。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、このような金属蒸気供給装置を用いて金属又はその化合物からなる単結晶、ナノ粒子、薄膜等を製造するための金属/金属化合物製造装置を提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、Gaだけでなく、Ga以外の金属蒸気を高い供給速度で供給することが可能な金属蒸気供給装置、並びに、このような金属蒸気供給装置を用いた金属/金属化合物製造装置、金属窒化物単結晶の製造方法、及びナノ粒子の製造方法を提供することにある。
(1)前記金属蒸気供給装置は、
溶融金属を保持するためのルツボと、
金属蒸気の発生を促進させるためのエバポレータと
を備え、
前記エバポレータは、その一部が前記溶融金属と接触することが可能となるように前記ルツボ内に設置されている。
(2)前記エバポレータは、
相対密度が40%以上99%以下であり、
平均細孔径が10nm以上200μm以下であり、かつ、
前記溶融金属の接触角が90°未満である材料からなる。
(3)前記エバポレータの材料は、TiC、VC、ZrC、NbC、Mo2C、WC、HfC、TiN、TaN、ZrN、又はHfNからなる。
前記溶融金属は、Ga、In、及びAlからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素が好ましい。
本発明に係る第1の金属蒸気供給装置と、
前記金属蒸気供給装置から供給される前記金属蒸気に反応ガスを供給するための反応ガス供給装置と、
表面に前記金属又はその化合物を析出させる基板を保持するためのサセプタ部と
を備えていることを要旨とする。
さらに、本発明に係る第1のナノ粒子の製造方法は、本発明に係る第1の金属/金属化合物製造装置を用いて、不活性ガス又は活性ガス共存下において前記金属蒸気を発生させ、前記基板上に金属ナノ粒子又は金属化合物ナノ粒子を析出させることを要旨とする。
(1)前記金属蒸気供給装置は、
溶融金属を保持するためのルツボと、
金属蒸気の発生を促進させるためのエバポレータと
を備え、
前記エバポレータは、その一部が前記溶融金属と接触することが可能となるように前記ルツボ内に設置されている。
(2)前記エバポレータは、
相対密度が40%以上99%以下であり、
平均細孔径が10nm以上200μm以下であり、かつ、
前記溶融金属の接触角が90°未満である材料からなる。
(3)前記エバポレータの材料は、TaCからなり、
前記溶融金属は、
(a)In及び/又はAl、又は、
(b)Ga、並びに、In及び/又はAl
からなる。
本発明に係る第2の金属蒸気供給装置と、
前記金属蒸気供給装置から供給される前記金属蒸気に反応ガスを供給するための反応ガス供給装置と、
表面に前記金属又はその化合物を析出させる基板を保持するためのサセプタ部と
を備えていることを要旨とする。
さらに、本発明に係る第2のナノ粒子の製造方法は、本発明に係る第2の金属/金属化合物製造装置を用いて、不活性ガス又は活性ガス共存下において前記金属蒸気を発生させ、前記基板上に金属ナノ粒子又は金属化合物ナノ粒子を析出させることを要旨とする。
特に、エバポレータの平均細孔径、相対密度、材料等を最適化すると、金属蒸気の供給速度を従来の数倍から数十倍程度まで増加させることができる。このような金属蒸気供給装置を、例えばGaNなどの金属窒化物単結晶の成長に適用すると、従来の方法に比べて金属窒化物単結晶の成長速度を約3〜5倍以上に向上させることができる。
[1. 金属蒸気供給装置(1)]
本発明の第1の実施の形態に係る金属蒸気供給装置は、
溶融金属を保持するためのルツボと、
金属蒸気の発生を促進させるためのエバポレータと
を備え、
前記エバポレータは、その一部が前記溶融金属と接触することが可能となるように前記ルツボ内に設置されている。
金属蒸気供給装置は、前記ルツボ内にキャリアガスを供給するキャリアガス供給部をさらに備えていても良い。
本発明において、金属の種類は特に限定されるものではなく、気化が可能な限りにおいて、あらゆる金属に対して本発明を適用することができる。
その中でも、特に有用な金属元素として、Ga、In、Alが挙げられる。Gaの窒化物であるGaNは、ワイドバンドギャップ半導体であり、LED照明等への応用が進んでいる上に、今後、青色レーザーやパワーデバイス、高周波デバイスなど様々な産業応用が期待されている。また、InNやAlNなどについても、今後、高周波デバイスや深紫外デバイスなどへの応用が期待されている。さらに、応用の際にはこれらの混晶であるInGaN、AlGaN、InAlN、InAlGaNなども用いられる。そのため、本発明は、これらの結晶の成長に適用可能である。
[参考文献1] H. Amano et al., APL. 48, 353, 1986
これに対し、本発明は、相対的に多量のGa蒸気を種結晶表面に直接供給することができる。そのため、これをGaN単結晶の成長に適用すれば、取扱いが簡便で、不純物混入がなく、かつ低コストなバルクGaN結晶の成長が可能となる。
[参考文献2]特開2007−201147号公報
AlNの成長には、現在、昇華法と呼ばれる手法が用いられている。これは、多結晶AlNを高温で昇華させ、昇華ガスとN2とを反応させて単結晶AlNを成長させる手法である。しかし、昇華法では、原料由来の不純物等の影響が大きい。これに対し、本発明を用いると、より高品質なAlN単結晶を作製できる可能性がある。
ルツボは、溶融金属を保持するためのものである。金属蒸気供給装置から複数種類の金属蒸気を同時に発生させる場合、装置内に複数個のルツボを設置し、各ルツボにそれぞれ異なる金属を収容する。ルツボの形状は、所定量の溶融金属を保持することができ、かつ、エバポレータの一部が溶融金属に接触するようにエバポレータをルツボ内に配置することが可能なものであれば良い。
ルツボの材料は、溶融金属と反応しないものであればよい。最適なルツボの材料は、溶融金属の種類により異なる。例えば、金属がGaである場合、ルツボの材料は、BN、TaC、カーボン、SiC、サファイア、白金などが好ましい。金属がIn又はAlである場合も同様であり、これらのルツボ材料の中から、最適な材料を選択するのが好ましい。
エバポレータは、金属蒸気の発生を促進させるためのものである。エバポレータは、その一部が溶融金属と接触することが可能となるように、ルツボ内に設置される。
エバポレータは、ルツボの何れかの部分に固定されていても良く、あるいは、ルツボの底面に単に載置されているだけでも良い。エバポレータがルツボに固定されていない場合において、溶融金属の比重に比べてエバポレータの比重が小さいときには、エバポレータは、溶融金属の表面に浮いた状態となる。このような状態であっても、エバポレータにより金属蒸気の発生を促進することができる。
エバポレータを用いて金属蒸気を発生させるためには、エバポレータの材料は、少なくとも融点が高く、かつ、溶融金属との反応性が低いものである必要がある。エバポレータの材料としては、例えば、金属酸化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属窒化物、炭素系材料などがある。
これらの特定の遷移金属炭化物、及び遷移金属窒化物は、いずれも、
(a)高融点である、
(b)少なくとも溶融Ga、溶融In、及び溶融Alに対する濡れ性が良く、その這い上がり高さはTaCのそれと同等以上であるため、より効率的に金属蒸気を供給することが可能となる、
(c)TaCに比べて安価であり、エバポレータの作製も容易である、
などの利点がある。
溶融金属は、その材料と温度に応じた飽和蒸気圧が存在する。一般に、飽和蒸気圧は、温度が高くなるほど大きくなるため、金属蒸気の発生を促進させるためには、より高い温度領域でエバポレータを使用する方が効率的である。しかし、エバポレータの融点が使用温度より低い場合は、エバポレータの形状を保てなくなり、金属蒸気の供給が困難となる。従って、エバポレータの材料の融点は、使用温度より高いことが好ましい。エバポレータの材料の融点は、さらに好ましくは、使用温度+100℃以上である。
エバポレータの材料の融点は、具体的には、1500℃以上、2000℃以上、2500℃以上、あるいは、3000℃以上が好ましい。上述したTiC等は、いずれも高融点化合物であり、エバポレータの材料として好適である。
エバポレータを用いて金属蒸気の発生を促進させるためには、エバポレータの表面において毛細管現象を起こさせ、できるだけ多くのエバポレータ表面を溶融金属で濡れさせる必要がある。そのためには、エバポレータの相対密度、平均細孔径(毛細管の内径)、及び溶融金属に対する接触角が重要となる。
h=2γLcosθ/ρgr
=2γLcosθ/{ρg(1−(R/100)1/3)AC} ・・・(1)
但し、
h:這い上がり高さ、ρ:溶融金属の密度、g:重力加速度、r:毛細管の内径、
γL:溶融金属の表面張力、θ:接触角、R:エバポレータの相対密度、
A:エバポレータの平均結晶粒子径、C:細孔密度補正係数。
(1)式より、エバポレータの相対密度Rが小さくなるほど、這い上がり高さhが小さくなることがわかる。これは、相対密度Rが小さくなるほど、毛細管の内径rが大きくなるためである。また、相対密度Rが小さい場合、強度低下も課題となる。従って、這い上がり高さhを高くするためには、エバポレータの相対密度Rは、40%以上が好ましい。相対密度Rは、さらに好ましくは、60%以上、さらに好ましくは、80%以上である。
同様に、平均細孔径についても、最適な領域が存在する。毛細管現象を起こすためには、溶融金属の連続体近似が成り立つ必要がある。従って、平均細孔径(=r)は、10nm以上が好ましい。平均細孔径は、さらに好ましくは、20nm以上、さらに好ましくは、30nm以上である。
一方、平均細孔径が過度に大きくなると、エバポレータ表面において毛細管現象を起こさせるのがのが困難となる。這い上がり高さhを高くするためには、平均細孔径は、200μm以下が好ましい。平均細孔径は、さらに好ましくは、100μm以下、さらに好ましくは、50μm以下である。
なお、「平均細孔径」とは、水銀圧入法により測定されるメディアン径をいう。
(1)式より、毛細管現象を起こさせるためには、接触角θが0°以上90°未満である必要があることがわかる。
上述したエバポレータの材料や表面状態などを最適化すると、エバポレータの表面全面を溶融金属で濡らすことができる。そのため、溶湯面積に比べてエバポレータの見なし表面積が大きくなるほど、金属蒸気の供給速度を増大させることができる。
ここで、「見なし表面積」とは、エバポレータに細孔が無いと見なして計算されるエバポレータの表面積(底面の面積を除く)をいう。
「溶湯面積」とは、ルツボ内に溶融金属のみを入れた時の溶湯表面の面積をいう。
高い供給速度を得るためには、エバポレータの見なし表面積は、ルツボ内の溶湯面積の2倍以上が好ましい。見なし表面積は、さらに好ましくは、溶湯面積の3倍以上、さらに好ましくは、5倍以上である。
一方、エバポレータの底面近傍が溶融金属の中に沈んだ状態にある場合、厳密には、ルツボ内の溶融金属の残量によって、溶湯面積の増分が変化する。しかしながら、エバポレータの断面形状を最適化すると、溶融金属の残量の変動に起因する溶湯面積の増分の変動を最小限に抑制することができる。
エバポレータの形状は、特に限定されるものではなく、目的とする金属蒸気の供給速度が得られるように、最適な形状を選択することができる。
また、個々のフィンは、同一形状であっても良く、あるいは、異なる形状であっても良い。例えば、台座の表面に、4個のフィンAと4個のフィンBを放射状に、かつ、交互に立設しても良い。
図1(a)に示すエバポレータは、単なる円柱からなる。このような大きな一つの塊からなるエバポレータであっても、見なし表面積が増大するため、金属蒸気の供給速度を増大させることができる。
図1(b)に示すエバポレータは、細長い複数の円柱や角柱などの柱状部材を並べた構造からなる。ルツボ内で柱状部材を安定させるために、複数の柱状部材を台座に固定しても良い。
図1(d)に示すエバポレータは、円柱状を呈し、かつ、軸方向に複数個の貫通穴が設けられている。貫通穴を形成することによって、図1(a)に比べてエバポレータの見なし表面積をさらに増大させることができる。
このようなエバポレータを溶融金属に接触させると、溶融金属がエバポレータの表面を這い上がり、やがてエバポレータの表面全面が溶融金属で濡れた状態となる。そのため、見なし表面積が大きくなるほど、金属蒸気の供給速度が増大する。具体的には、金属蒸気の供給量を、エバポレータ無しの場合に比べて、数倍〜数十倍程度まで増加させることが可能となる。
本実施の形態に係る金属蒸気発生装置は、前記ルツボ内にキャリアガスを供給するキャリアガス供給部をさらに備えていても良い。
ルツボとエバポレータのみからなる装置であっても、ルツボの開口部から金属蒸気を供給することができる。しかし、自然対流のみでは、金属蒸気の供給速度に限界がある。このような場合には、ルツボ内にキャリアガスを供給し、金属蒸気をルツボから強制的に排出させるのが好ましい。
例えば、ルツボの上部にキャリアガスを吹き込むためのノズルを設けても良い。ルツボの上方からルツボの開口部に向かってキャリアガスを吹き込むと、ルツボ内でキャリアガスの流れが反転し、金属蒸気を含むキャリアガスをルツボの開口部から強制的に排出することができる。
あるいは、ルツボの側面にキャリアガスを吹き込むためのノズルを設けても良い。ルツボの側面から水平方向にキャリアガスを吹き込むと、ルツボ内でキャリアガスの流れが水平方向から上方向に変わり、金属蒸気を含むキャリアガスをルツボの開口部から強制的に排出することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る金属/金属化合物製造装置は、
本発明の第1の実施の形態に係る金属蒸気供給装置と、
前記金属蒸気供給装置から供給される前記金属蒸気に反応ガスを供給するための反応ガス供給装置と、
表面に前記金属又はその化合物を析出させる基板を保持するためのサセプタ部と
を備えている。
本発明に係る装置は、金属だけでなく、金属化合物の単結晶、薄膜、ナノ粒子などを製造することができる。製造可能な金属化合物としては、例えば、
(1)Ga2O3、ZnO、TiO2、V2O3、MgO、Al2O3、CaO、Cr2O3、Mn2O3、Co2O3、NiO、CuO、Nb2O3、Mo2O3、Ag2O3、In2O3、Pd2O3、Pt2O3、Ta2O3、Ge2O3、Fe2O3、Y2O3、ランタノイド酸化物などの金属酸化物(その組成比が異なるものを含む)、
(2)GaN、InN、AlN、BN、TiN、NbN、TaN、MoN、WN、MgN、Ca3N2、Fe16N2、AgN、InGaN、AlGaN、InAlN、InAlGaNなどの金属窒化物、
(3)MgB2、LaB6、CaB6、YB6、YbB12、ZrB12、NaB15、Mn4B、V3B、FeB、CrB2などの金属ホウ化物(その組成比が異なるもの(例えば、YB2、YB25など)を含む)、
(4)NaC2、CaC2、LaC2、Li4C3、TiC、Mg2C、Al4C3、Be2C、NbC、NbC2、Nb4C3、HfC、TaC、Ta4C3、Mo3C2、WC、VC、Cr23C6、Cr3C、Cr7C3、Cr3C2、MnC2、FeC、ZrCなどの金属炭化物(その組成比が異なるものを含む)、
(5)GaAs、Na3As、Mg3As2、FeAs2、CoAs2、NiAs、InAs、PtAs2などの金属砒化物(その組成比が異なるものを含む)、
などがある。
金属蒸気供給装置は、金属の蒸気を発生させるための装置である。金属蒸気供給装置の詳細については上述した通りであるので、説明を省略する。
反応ガス供給装置は、金属蒸気供給装置から供給される金属蒸気に反応ガスを供給するための装置である。
本発明において、「反応ガス」とは、金属蒸気から目的とする特性(例えば、組成、結晶構造、形状など)を有する金属又は金属化合物を生成させるガスをいう。本発明において、「反応」には、化学的な反応だけでなく、相変態のような物理的な反応も含まれる。すなわち、反応ガスには、
(a)金属蒸気と化学反応することによって金属化合物を生成させる活性ガス、及び、
(b)金属蒸気を急冷することによって金属ナノ粒子を生成させる不活性ガス、
が含まれる。
例えば、金属蒸気から金属窒化物を生成させる反応ガス(活性ガス)としては、例えば、アンモニアガス、窒素ガスなどがある。
金属蒸気から金属酸化物を生成させる反応ガス(活性ガス)としては、例えば、酸素ガス、一酸化窒素ガス、一酸化二窒素ガス、オゾンガス、二酸化炭素などがある。
金属蒸気から金属炭化物を生成させる反応ガス(活性ガス)としては、例えば、メタンガスなどがある。
金属蒸気から金属ホウ化物を生成させる反応ガス(活性ガス)としては、例えば、ボラジン、ジボランガス、アンモニアボランガスなどがある。
金属蒸気から金属砒化物を生成させる反応ガス(活性ガス)としては、例えば、アルシンなどがある。
金属蒸気から金属ナノ粒子を生成させる反応ガス(不活性ガス)として、例えば、アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス、ゼノンガスなどがある。
反応ガスの供給方法は、特に限定されるものではなく、目的とする金属又は金属化合物が効率よく得られるように、最適な方法を選択する。
反応ガスの供給方法としては、例えば、以下のような方法がある。
(1)ルツボの外側にノズルを設け、ルツボの開口部から放出される金属蒸気に反応ガスを吹き付け、金属蒸気と反応ガスとを混合する方法。
(2)ルツボ内にキャリアガスと共に反応ガスを流し込み、金属蒸気と反応ガスを混合する方法。
(3)サセプタ部にノズル等を用いて、ルツボ部から放出される金属蒸気に反応ガスを吹き付け、混合する方法。
サセプタ部は、その表面に前記金属又はその化合物を析出させる基板を保持するためのものである。また、サセプタ部は、基板を所定の温度に保持するためのものでもある。
金属蒸気供給装置から供給される金属蒸気、及び反応ガス供給装置から供給される反応ガスを混合し、適切な温度に加熱された基板を混合ガスに曝すと、基板表面に単結晶が成長し、あるいは、基板表面に薄膜やナノ粒子が析出する。
サセプタ部の構造、設置位置などは、基板を確実に保持することができ、基板を所定の温度に維持することができ、かつ、目的とする金属又は金属化合物が効率よく得られるように選択するのが好ましい。
(1)目的とする物質と同一組成を有する単結晶基板(種結晶)。
(2)目的とする物質と異なる組成を有するが、格子整合性を有する材料からなる単結晶基板(種結晶)。
(3)目的とする物質に対して濡れ性の悪い材料からなる単結晶基板又は多結晶基板。
(4)目的とする物質と格子整合性はないが、基板表面に未結合手を持たない基板。例えば、グラフェン、HOPG、BNなどの基板。
本発明の第1の実施の形態に係る金属窒化物単結晶の製造方法は、本発明の第1の実施の形態に係る金属/金属化合物製造装置を用いて、窒化ガス共存下において金属蒸気を発生させ、前記基板上に金属窒化物単結晶を成長させることを特徴とする。窒化ガスとしては、例えば、アンモニアガス、窒素ガスなどがある。
サセプタ部に基板(種結晶)を保持し、金属蒸気供給装置を用いて金属蒸気を発生させ、かつ、反応ガス供給装置を用いて窒化ガスを供給すると、基板表面に金属窒化物単結晶が成長する。本発明に係る金属蒸気供給装置は、金属蒸気の供給量が多いため、エバポレータの形状や微構造を最適化すると、従来の方法に比べて金属窒化物の成長速度が約3〜5倍以上となる。
例えば、金属蒸気が、Ga、In、及びAlからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素を含む場合、本発明に係る金属/金属化合物製造装置を用いて、GaN、InN、AlN、InGaN、AlGaN、InAlN、又はInAlGaNからなる単結晶を製造することができる。
本発明の第1の実施の形態に係るナノ粒子の製造方法は、本発明の第1の実施の形態に係る金属/金属化合物製造装置を用いて、活性ガス又は不活性ガス共存下において前記金属蒸気を発生させ、前記基板上に金属ナノ粒子又は金属化合物ナノ粒子を析出させることを特徴とする。
サセプタ部に、目的とする物質に対して濡れ性の悪い材料からなる基板を保持し、金属蒸気供給装置を用いて金属蒸気を発生させ、かつ、反応ガス供給装置を用いて活性ガスを供給すると、基板表面に金属化合物ナノ粒子が析出する。
一方、反応ガス供給装置を用いて不活性ガスを供給すると、基板表面に金属ナノ粒子が析出する。
本発明の第2の実施の形態に係る金属蒸気供給装置は、以下の構成を備えている。
(1)前記金属蒸気供給装置は、
溶融金属を保持するためのルツボと、
金属蒸気の発生を促進させるためのエバポレータと
を備え、
前記エバポレータは、その一部が前記溶融金属と接触することが可能となるように前記ルツボ内に設置されている。
(2)前記エバポレータは、
相対密度が40%以上99%以下であり、
平均細孔径が10nm以上200μm以下であり、かつ、
前記溶融金属の接触角が90°未満である材料からなる。
(3)前記エバポレータの材料は、TaCからなり、
前記溶融金属は、
(a)In及び/又はAl、又は、
(b)Ga、並びに、In及び/又はAl
からなる。
本発明の第2の実施の形態に係る金属/金属化合物製造装置は、
本発明の第2の実施の形態に係る金属蒸気供給装置と、
前記金属蒸気供給装置から供給される前記金属蒸気に反応ガスを供給するための反応ガス供給装置と、
表面に前記金属又はその化合物を析出させる基板を保持するためのサセプタ部と
を備えている。
本発明の第2の実施の形態に係るナノ粒子の製造方法は、本発明の第2の実施の形態に係る金属/金属化合物製造装置を用いて、活性ガス又は不活性ガス共存下において前記金属蒸気を発生させ、前記基板上に金属ナノ粒子又は金属化合物ナノ粒子を析出させることを特徴とする。
ルツボ内に保持された溶融金属にエバポレータの一部分を接触させると、毛細管現象により溶融金属がエバポレータの先端に向かってエバポレータ表面を這い上がり、エバポレータの表面の少なくとも一部が溶融金属で濡れる。また、エバポレータの材料、形状及び微構造を最適化すると、溶融金属の這い上がり高さが高くなり、エバポレータの表面全面を溶融金属で濡らすことができる。その結果、溶融金属の液面の総面積が、エバポレータの見なし表面積に応じた分だけ増大し、金属蒸気の供給速度が増大する。エバポレータの微構造等を最適化すると、金属源の供給量を従来の方法の数倍から数十倍程度まで増加させることができる。
これらの内、表面張力γLと密度ρは、溶融金属の種類によって決定される。一方、接触角θは溶融金属とエバポレータの表面張力や界面張力で決定され、毛細管の内径rはエバポレータの表面及び内部の細孔構造で決定される。従って、これらを最適化すれば、エバポレータの表面全面を濡らすのに十分な這い上がり高さhが得られる。
これに対し、本発明に係る装置によれば、金属蒸気の供給量が増大するだけでなく、長時間に渡って高い供給速度を維持することができる。
2r*=4σvl/Δμ ・・・(2)
但し、σ:溶融金属の表面エネルギー、vl:溶融金属液体原子(分子)の体積、
Δμ:過飽和度。
[1. 試験方法]
溶融Gaの入ったルツボ内に、エバポレータを模擬した棒材(5mm角×長さ200mm)を立て、Gaの這い上がり高さを測定した。溶湯温度は1150℃とした。棒材には、相対密度:95%、平均細孔径:14.5μmのWCを用いた。
[2.1. 相対密度依存性]
図2に、エバポレーターがWCであり、溶融金属がGaである場合の這い上がり高さの相対密度依存性を示す。なお、図2には、相対密度依存性の理論曲線(実線)も併せて示した。相対密度と這い上がり高さの関係には、上述した(1)式を用いた。図2より、以下のことがわかる。
(1)相対密度が大きくなるほど、這い上がり高さが大きくなる。
(2)這い上がり高さを1cm以上にするためには、相対密度を40%以上にする必要がある。
(3)相対密度が高すぎる場合、毛細管現象を起こす細孔がなくなるため、這い上がりが起きなくなる。相対密度は、40%以上99%以下の領域が適切である。
図3に、エバポレーターがWCであり、溶融金属がGaである場合の這い上がり高さの平均細孔径依存性を示す。なお、図3には、平均細孔径依存性の理論曲線(実線)も併せて示した。図4より、以下のことがわかる。
(1)平均細孔径が大きくなるほど、這い上がり高さが小さくなる。
(2)規格化した這い上がり高さを1以上にするためには、平均細孔径を200μm以下にする必要がある。なお、毛細管現象を起こすためには、液体金属の連続体近似が成り立つ必要があり、そのためには、平均細孔径は10nm以上である必要がある。
[1. 試験方法]
本発明に係る装置を用いて、基板上にGaN単結晶を成長させた。基板には、GaNと格子整合性の良いサファイア基板を用いた。サファイア基板は、不純物を取り除くために、予めキャロス洗浄を行った。エバポレータには、面積比(=見なし表面積/溶湯面積)の異なるWC製エバポレータを用いた。
本発明に係る装置を用いて、サファイア基板上にGaN単結晶を成長させることができた。図4に、WC製エバポレータの面積比(=見なし表面積/溶湯面積)とGaNの成長速度との関係を示す。なお、図4は、キャリアガス流量:2slm、装置内圧:1.3kPaの条件下での結果である。また、GaN基板製造として最も用いられているHVPE法での平均的な成長速度は、100μm/hである(参考文献3)。
[参考文献3]K. Fujito et al., Journal of Crystal Growth, 311, 3011-3014, 2009
(1)面積比が2以上になると、成長速度がHVPE法と同等以上となる。
(2)面積比が3以上になると、成長速度は約200μm/h以上となる。
(3)面積比が4以上になると、成長速度は約300μm/h以上となる。
(4)面積比が5以上になると、成長速度は約400μm/h以上となる。
(5)面積比が6以上になると、成長速度は約500μm/h以上となる。
(6)面積比が7以上になると、成長速度は約600μm/h以上となり、面積比を最適化すると、成長速度は700μm/hを超える。
[1. 試験方法]
上述したように、エバポレータ材質としては、融点が高温であり、金属材料との反応性が低いなどの特徴から、金属酸化物、酸化物、ホウ化物、窒化物、炭素系材料などが候補として挙げられる。実際に、特許文献2では、TaCが報告されている。這い上がりに対しては、表面張力(表1参照)に関して以下の式(3)が成り立つときに溶融金属の這い上がりが発生する(参考文献4、5参照)。
σmetal<σevaporator ・・・(3)
但し、
σmetal:溶融金属の表面張力、
σevaporator:エバポレータ材料の表面張力。
[参考文献4]G.V.Samsonov and I.M.Vinitskii, Handbook of refractory compounds, (IFI PLENUM 1980)
[参考文献5]L.Vitos et al., Surface Science 411 186-202(1998)
そこで、エバポレータの候補材料の中から、
(a)TiC、VC、ZrC、NbC、Mo2C、WC、HfC、TiN、TaN、ZrN、及び、HfN(実施例3)、
(b)TaC(実施例4)、並びに、
(c)Cr3C2、VN、Al2O3、BN、C、及び、SiC(比較例1)
を選択し、溶融金属の這い上がり高さを比較した。
[2.1. 溶融Gaの這い上がり高さ]
図5に、エバポレータ材料を1150℃まで昇温した際の溶融Gaの這い上がり高さを示す。Ga溶湯の温度が1250℃である場合、図示はしないが、TaCは、TiC等からなる特定の遷移金属炭化物、及びTiN等からなる特定の遷移金属窒化物(実施例3)と同等以上の這い上がり高さを示した。これに対し、Ga溶湯の温度が1150℃である場合、TiC等からなる特定の遷移金属炭化物、及びTiN等からなる特定の遷移金属窒化物のGa這い上がり高さは、TaCより高くなった。
一方、Cr3C2、VN、及びSiCは、Gaの這い上がりは生じたが、這い上がり高さはTaCより低かった。さらに、BN及びCは、Gaの這い上がりが認められなかった。図5より、特定の遷移金属炭化物又は遷移金属窒化物を用いてエバポレータを作製すると、TaCより効率良くGa蒸気を供給できることがわかる。
図6に、エバポレータ材料を800℃まで昇温した際の溶融Inの這い上がり高さを示す。In溶湯の温度が800℃である場合、Cr3C2、及びVN以外の遷移金属炭化物及び遷移金属窒化物で高い這い上がりが見られた。温度が800℃であるため、単純な比較はできないが、TaCに比べて高い這い上がりを見せたものは、溶融Gaの場合と異なっていた。これらの結果より、溶融Inでは、這い上がり高さが1cm以上のTaC、Mo2C、VC、WC、TiN、ZrN、HfN、TaN、TiC、ZrC、NbC、又はHfCを用いることで、効率的な金属In蒸気を供給できることがわかった。
図7に、エバポレータ材料を1200℃まで昇温した際の溶融Alの這い上がり高さを示す。図7より、金属Al蒸気を供給するには、TaC、Mo2C、VC、WC、TiN、ZrN、HfN、TaN、TiC、ZrC、NbC、又はHfCが適していることがわかる。
[1. 試験方法]
本発明に係る装置を用いて、種基板上にAlNバルク結晶を成長させた。種基板は、不純物を取り除くために、予めキャロス洗浄を行った。エバポレータには、Mo2C製エバポレーターを用いた。
本発明に係る装置を用いて、種基板上に、厚さ100μm以上のAlN結晶を成長させることができた。エバポレータを用いた場合、成長速度は約100μm/hであった。
[1. 試験方法]
本発明に係る装置を用いて、種基板上にInNバルク結晶を成長させた。種基板は、不純物を取り除くために、予めキャロス洗浄を行った。エバポレータには、WC製エバポレーターを用いた。
本発明に係る装置を用いて、種基板上に、厚さ10μm以上のInN結晶を成長させることができた。エバポレータを用いた場合、成長速度は約20μm/hであった。
[1. 試験方法]
本発明に係る装置を用いて、酸化ガリウムナノ粒子を作製した。基板には、酸化ガリウムに対する濡れ性の低いサファイア基板を用いた。サファイア基板は、不純物を取り除くために、予めキャロス洗浄を行った。エバポレータには、WC製エバポレータを用いた。
本発明に係る装置により、100nm程度の大きさの酸化ガリウムナノ粒子が得られた。これは、ルツボ出口でGa蒸気を含んだキャリアガスと酸素ガスとが反応し、かつ、急速に冷却されることにより、ガス中において核が発生し、基板上においてナノ粒子が形成されたためと考えられる。
なお、本実施例では、100nm程度の比較的大きなサイズの粒子が形成されたが、ルツボ出口での急冷温度や加圧条件を制御することで、任意の大きさのナノ粒子を形成することができる。
Claims (17)
- 以下の構成を備えた金属蒸気供給装置。
(1)前記金属蒸気供給装置は、
溶融金属を保持するためのルツボと、
金属蒸気の発生を促進させるためのエバポレータと
を備え、
前記エバポレータは、その一部が前記溶融金属と接触することが可能となるように前記ルツボ内に設置されている。
(2)前記エバポレータは、
相対密度が40%以上99%以下であり、
平均細孔径が10nm以上200μm以下であり、かつ、
前記溶融金属の接触角が90°未満である材料からなる。
(3)前記エバポレータの材料は、TiC、VC、ZrC、NbC、Mo2C、WC、HfC、TiN、TaN、ZrN、又はHfNからなる。 - 前記溶融金属は、Ga、In、及びAlからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素を含む請求項1に記載の金属蒸気供給装置。
- 前記エバポレータの見なし表面積は、前記ルツボ内の溶湯面積の2倍以上である請求項1又は2に記載の金属蒸気供給装置。
- 前記エバポレータは、
台座と、
前記台座の上に放射状に立設された複数のフィンと
を備えている請求項1から3までのいずれか1項に記載の金属蒸気供給装置。 - 前記ルツボ内にキャリアガスを供給するキャリアガス供給部をさらに備えた請求項1から4までのいずれか1項に記載の金属蒸気発生装置。
- 請求項1から5までのいずれか1項に記載の金属蒸気供給装置と、
前記金属蒸気供給装置から供給される前記金属蒸気に反応ガスを供給するための反応ガス供給装置と、
表面に前記金属又はその化合物を析出させる基板を保持するためのサセプタ部と
を備えた金属/金属化合物製造装置。 - 請求項6に記載の金属/金属化合物製造装置を用いて、窒化ガス共存下において前記金属蒸気を発生させ、前記基板上に金属窒化物単結晶を成長させる金属窒化物単結晶の製造方法。
- 前記金属蒸気は、Ga、In、及びAlからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素を含み、
前記金属窒化物は、GaN、InN、AlN、InGaN、AlGaN、InAlN、又はInAlGaNからなる
請求項7に記載の金属窒化物単結晶の製造方法。 - 請求項6に記載の金属/金属化合物製造装置を用いて、不活性ガス又は活性ガス共存下において前記金属蒸気を発生させ、前記基板上に金属ナノ粒子又は金属化合物ナノ粒子を析出させるナノ粒子の製造方法。
- 以下の構成を備えた金属蒸気供給装置。
(1)前記金属蒸気供給装置は、
溶融金属を保持するためのルツボと、
金属蒸気の発生を促進させるためのエバポレータと
を備え、
前記エバポレータは、その一部が前記溶融金属と接触することが可能となるように前記ルツボ内に設置されている。
(2)前記エバポレータは、
相対密度が40%以上99%以下であり、
平均細孔径が10nm以上200μm以下であり、かつ、
前記溶融金属の接触角が90°未満である材料からなる。
(3)前記エバポレータの材料は、TaCからなり、
前記溶融金属は、
(a)In及び/又はAl、又は、
(b)Ga、並びに、In及び/又はAl
からなる。 - 前記エバポレータの見なし表面積は、前記ルツボ内の溶湯面積の2倍以上である請求項10に記載の金属蒸気供給装置。
- 前記エバポレータは、
台座と、
前記台座の上に放射状に立設された複数のフィンと
を備えている請求項10又は11に記載の金属蒸気供給装置。 - 前記ルツボ内にキャリアガスを供給するキャリアガス供給部をさらに備えた請求項10から12までのいずれか1項に記載の金属蒸気発生装置。
- 請求項10から13までのいずれか1項に記載の金属蒸気供給装置と、
前記金属蒸気供給装置から供給される前記金属蒸気に反応ガスを供給するための反応ガス供給装置と、
表面に前記金属又はその化合物を析出させる基板を保持するためのサセプタ部と
を備えた金属/金属化合物製造装置。 - 請求項14に記載の金属/金属化合物製造装置を用いて、窒化ガス共存下において前記金属蒸気を発生させ、前記基板上に金属窒化物単結晶を成長させる金属窒化物単結晶の製造方法。
- 前記金属蒸気は、
(a)In及び/又はAl、又は、
(b)Ga、並びに、In及び/又はAl
を含み、
前記金属窒化物は、InN、AlN、InGaN、AlGaN、InAlN、又はInAlGaNからなる
請求項15に記載の金属窒化物単結晶の製造方法。 - 請求項14に記載の金属/金属化合物製造装置を用いて、不活性ガス又は活性ガス共存下において前記金属蒸気を発生させ、前記基板上に金属ナノ粒子又は金属化合物ナノ粒子を析出させるナノ粒子の製造方法。
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