JP6741128B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するためのガスセンサに関する。
自動車の内燃機関等の排気系に設けられ、被測定ガスである排ガス中の酸素や窒素酸化物等の特定ガス濃度を測定するガスセンサが知られている。ガスセンサとしては、例えば、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサ素子と、該センサ素子を内側に挿通するハウジングと、該ハウジングの先端側に配設された素子カバーとを備えたものがある。
ガスセンサは、センサ素子の表面に排ガス等の被測定ガスが接触するように構成されている。ところが、内燃機関の低温始動時等においては、排ガス中の水蒸気が凝縮して生成する凝縮水が排ガスと共にセンサ素子に向かって飛来し、センサ素子の表面に付着することがある。ここで、センサ素子は、固体電解質体を活性化させるために高温に加熱した状態で使用される。そのため、凝縮水の付着により、センサ素子に大きな熱衝撃が加わり、被水割れが発生することがある。
被水割れの対策として、例えば特許文献1には、ガス導入部が設けられたセンサ素子の先端部を覆うインナカバー(具体的には第1のプロテクタ)と、インナカバーの外側に配設されたアウタカバー(具体的には第2のプロテクタ)とからなる二重構造の素子カバーを備えたガスセンサが開示されている。このガスセンサにおいて、インナカバー及びアウタカバーには、被測定ガスが流通するガス流通孔がそれぞれ設けられている。
特開2001−74686号公報
上述の従来の構成のガスセンサにおいては、インナカバーに設けられたガス流通孔がセンサ素子の先端よりも十分に先端側に位置しているため素子への被水防止効果が期待されるものの、その一方で、素子の先端とガス流通孔との位置が離れすぎているためセンサ出力の応答性が低下するおそれがある。すなわち、インナカバー内に導入された被測定ガスがセンサ素子によって検出されないまま、インナカバーの底面等に設けられた流通孔や側面等に設けられた流通孔から排出され易い。その結果、センサ出力の応答性が低下するおそれがある。すなわち、従来の構成のガスセンサにおいては、被水割れの防止とセンサ出力の高い応答性とを両立することが困難であった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、センサ素子の被水割れを防止しつつ、センサ出力の応答性の低下を抑制することができるガスセンサを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、被測定ガス(G)中のガス濃度を検出するセンサ素子(2)と、
該センサ素子を内側に挿通して保持するハウジング(3)と、
該ハウジングの軸方向先端側(Z1)に配設された素子カバー(4)と、を備える、ガスセンサ(1)であって、
上記センサ素子は、
該センサ素子の内部に上記被測定ガスが導入される被測定ガス室(241)と、
酸素イオン伝導性を有する固体電解質体(20)と、
上記固体電解質体上に設けられた基準電極(213)と、
上記被測定ガス室中の酸素濃度を調整するポンプセル(211p)を、上記固体電解質体を介して上記基準電極とで構成するポンプ電極(211)と、
上記被測定ガス中の上記ガス濃度に応じた信号を出力するセンサセル(212s)を、上記固体電解質体を介して上記基準電極とで構成するセンサ電極(212)と、
上記固体電解質体に対向配置され、上記固体電解質体を加熱するヒータ(23)と、を備え、
上記素子カバーは、
上記センサ素子の上記軸方向先端側を覆うように配設された有底筒形状のインナカバー(5)と、
該インナカバーの外側に空間(41)を空けて配設された有底形状のアウタカバー(6)と、
上記アウタカバー内へ上記被測定ガスを導入するアウタ側面流通孔(611)と、
上記アウタカバー内へ導入された上記被測定ガスを上記インナカバー内へ導入するインナ側面流通孔(511)と、
上記アウタカバーの上記軸方向先端側の底面(62)に設けられたアウタ底面流通孔(621)と、
上記インナカバーの上記軸方向先端側の底面(52)に設けられたインナ底面流通孔(521)と、を備え、
上記ポンプ電極は、上記センサ電極よりも上記センサ素子の上記軸方向先端側に形成されており、
上記ガスセンサの上記軸方向において、上記インナ側面流通孔の基端位置(513)が上記ポンプ電極の先端位置(211F)よりも上記軸方向先端側にあり、
上記インナ側面流通孔の上記基端位置と、上記ポンプ電極の上記先端位置との間の、上記軸方向における距離L4は、0.5mm以上であることを特徴とするガスセンサにある。
また、参考発明は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサ素子(2)と、
該センサ素子を内側に挿通して保持するハウジング(3)と、
該ハウジングの軸方向先端側(Z1)に配設された素子カバー(4)とを備え、
上記センサ素子の先端(21)には、該センサ素子の内部に被測定ガスを導入するためのガス導入部(25)が設けられており、
上記素子カバーは、上記センサ素子の上記軸方向先端側を覆うように配設された有底筒形状のインナカバー(5)と、該インナカバーの外側に空間(41)を空けて配設された有底筒形状のアウタカバー(6)とを有し、
上記インナカバーの側面(51)には、上記被測定ガスが流通するインナ側面流通孔(511)が設けられており、上記インナカバーの底面(52)には、上記被測定ガスが流通するインナ底面流通孔(521)が設けられており、
上記インナカバーには、上記軸方向先端側に向かって縮径する縮径段差部(53)が設けられており、上記インナ側面流通孔は、上記縮径段差部よりも軸方向基端側(Z2)に設けられており、
上記アウタカバーの側面(61)には、上記被測定ガスが流通するアウタ側面流通孔(611)が設けられており、
上記アウタ側面流通孔は、該アウタ側面流通孔の先端位置(612)が上記インナカバーの上記底面よりも上記軸方向先端側に配置するように設けられており、
上記センサ素子の上記先端(21)と上記インナ側面流通孔の基端位置(513)との軸方向(Z)における距離L1が1.6mm以下である、ガスセンサ(1)にある。
上記ガスセンサにおいては、被測定ガスを導入するためのガス導入部が先端に設けられたセンサ素子がインナカバーとアウタカバーとからなる素子カバーによって覆われている。そして、縮径段差部を有するインナカバー及びアウタカバーに各流通孔が上述のような所定の位置関係で設けられており、特に、センサ素子の先端とインナ側面流通孔の基端位置との軸方向における距離L1が1.6mm以下に調整されている。そのため、センサ素子への被水量を減らしつつ、センサ素子の先端に設けられたガス導入部へ被測定ガスを十分に供給することができる。したがって、センサ素子の被水割れを防止しつつ、センサ出力の応答性の低下を抑制することができる。その他の作用効果及びメカニズムについては、後述の実施形態において図面を参照しながら説明する。なお、特許請求の範囲及び課題解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術範囲を限定するものではない。
実施形態1〜4における、ガスセンサの断面図。 実施形態1における、ガスセンサの素子カバーの断面図。 実施形態1〜4における、アウタカバーの側面図。 図3のIV−IV線矢視断面図。 図3のV−V線矢視断面図。 実施形態1〜4における、アウタカバーの底面図。 実施形態1〜4における、インナカバーの側面図。 図7のVIII−VIII線矢視断面図。 実施形態1における、インナカバーの底面図。 図7のX−X線矢視断面図。 実施形態2における、センサ素子のカバーの断面図。 実施形態3における、センサ素子のカバーの断面図。 実験例1〜3における、センサの応答時間の測定方法の概略図。 実験例1〜3における、被水面積の測定方法の概略図。 実験例1における、(a)カーボンを塗布したセンサ素子の側面図、(b)被水後のセンサ素子の側面図。 実験例1における、(a)カーボンを塗布したセンサ素子の先端面の図、(b)被水後のセンサ素子の先端面の図。 実験例1における、距離L1と63%応答時間との関係、及び距離L1と被水面積との関係を示す図。 実験例2における、Φ1/Φ2と63%応答時間との関係、及びΦ1/Φ2と被水面積との関係を示す図。 実験例3における、L3/L2と63%応答時間との関係、及びL3/L2と被水面積との関係を示す図。 実施形態4における、センサ素子の軸方向断面図。 図20のXXI−XXI線矢視断面図。 図20のXXII−XXII線矢視断面図。 実施形態4における、ガスセンサの素子カバーの断面図。 実験例4における、センサ電極の温度変動の測定方法の概略図。 実験例4における、経過時間tとセンサ電極温度Tsとの関係図。 実験例4における、センサA及びセンサBのセンサ電極温度変動ΔTsを示す図。 インナカバーの側面流通孔の基端位置がポンプ電極の先端位置よりも基端側にあるガスセンサの部分断面拡大図。
(実施形態1)
次に、ガスセンサの実施形態について、図1〜図10を参照して説明する。なお、本明細書において、「軸方向先端側」とは、ガスセンサの軸方向の一方側であり、ガスセンサが被測定ガスに晒される側をいう。また、「軸方向基端側」とは、その反対側をいう。
図1に示すごとく、本実施形態のガスセンサ1は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサ素子2と、このセンサ素子2を内側に挿通して保持するハウジング3と、ハウジング3の軸方向先端側Z1に配設された素子カバー4とを備えている。センサ素子2の先端21には、センサ素子2の内部に被測定ガスを導入するためのガス導入部25が設けられている。素子カバー4は、センサ素子2の先端側Z1を覆うように配設された有底筒形状のインナカバー5と、このインナカバー5の外側に空間41を空けて配設された有底筒形状のアウタカバー6とを有する。
図1及び図2に示すように、インナカバー5の側面51には、被測定ガスが流通可能なインナ側面流通孔511が設けられており、インナカバー5の底面52には、被測定ガスが流通可能なインナ底面流通孔521が設けられている。インナカバー5には、先端側Z1に向かって縮径する縮径段差部53が設けられており、インナ側面流通孔511は、縮径段差部53よりも軸方向基端側Z2に設けられている。また、アウタカバー6の側面61には、被測定ガスが流通可能なアウタ側面流通孔611が設けられおり、アウタ側面流通孔611は、その先端位置612がインナカバー5の底面52よりも先端側Z1に配置するように設けられている。
また、ガスセンサ1においては、図2に示すごとく、センサ素子2の先端21とインナ側面流通孔511の基端位置513との軸方向Zにおける距離L1が1.6mm以下に調整されている。なお、センサ素子2の先端21とインナ側面流通孔511の基端位置513との位置関係においては、図2に示すごとく、センサ素子2の先端21がインナ側面流通孔511の基端位置513よりも軸方向先端側Z1に配置されていてもよいし、図示を省略するが軸方向基端側Z2に配置されていてもよい。すなわち、センサ素子2の先端21とインナ側面流通孔511の基端位置513との距離L1が上述のように1.6mm以下であれば、センサ素子2の先端21とインナ側面流通孔511の基端位置513とはどちらが軸方向先端側Z1に配置されていてもよい。以下、本実施形態のガスセンサ1についてさらに詳説する。
図1に示すごとく、本実施形態のガスセンサ1は、自動車等の車両用のNOxセンサであり、排気ガス中に含まれるO2やNOxの濃度を測定するために用いられる。ガスセンサ1は、センサ素子2として、排ガス中のNOx濃度に依存して電極(図示略)間を流れる電流や電極間に発生する電圧をもとにNOx濃度を検出するNOxセンサ素子を有している。長尺で板状のセンサ素子2は、軸方向Zにおける先端21に、多孔質セラミックスからなるガス導入部25を有しており、このガス導入部25からセンサ素子2の内部に被測定ガスが導入される。具体的には、ガス導入部25は、長尺板状のガスセンサ素子2の軸方向Zにおける例えば先端面に形成することができる。センサ素子2の電極が配置される位置には、ヒータ(図示略)が内蔵されており、このヒータに電力が供給されることによってセンサ素子2が加熱される。なお、センサ素子2は、A/Fセンサ素子であってもよい。この場合には、ガスセンサ1は、空燃比を検出するA/Fセンサとして用いられる。
ガスセンサ1において、板状のセンサ素子2は、第1絶縁碍子11の内側に挿通して保持されている。さらに、第1絶縁碍子11は、ハウジング3の内側に保持されている。
ハウジング3の軸方向基端側Z2には、センサ素子2の基端側を覆う基端側カバー14が固定されている。基端側カバー14には、大気を導入する通気孔141が設けられている。また、基端側カバー14の基端側開口部は、ゴムブッシュからなる封止部材15によって閉塞されている。封止部材15には、外部に接続される複数のリード部材16が貫通配置されている。
基端側カバー14の内部において、第1絶縁碍子11の軸方向基端側Z2には、センサ素子2の基端側を覆う第2絶縁碍子12が配設されている。第2絶縁碍子12には、リード部材16に接続された金属端子18が配設されている。金属端子18は、センサ素子2の電極端子に接触して電気的な導通を図っている。
図1及び図2に示すごとく、ハウジング3の先端側には、センサ素子2を保護するための素子カバー4が配設されている。素子カバー4は、センサ素子2の先端21を覆うように配設された有底略円筒状のインナカバー5と、このインナカバー5の外側に配設された有底略円筒状のアウタカバー6とを有する。インナカバー5は、ハウジング3の先端側に固定されている。また、アウタカバー6は、インナカバー5の基端側に固定されている。なお、インナカバー5及びアウタカバー6は、必ずしも有底円筒形状でなくてもよく、有底楕円筒形状、有底多角筒形状等であってもよい。有底多角筒形状としては、例えば有底三角筒形状、有底四角筒形状、有底六角筒形状、有底八角筒形状等が挙げられる。
図2〜図6に示すごとく、アウタカバー6は、円筒形状の側面61と、軸方向先端側Z1を閉塞する底面62とを有する。アウタカバー6の側面61には、複数のアウタ側面流通孔611が周方向に所定の間隔で設けられている。これらのアウタ側面流通孔611は、互いに直径が等しい円形穴であり、アウタカバー6の側面61における軸方向先端側Z1に形成されている。また、これらのアウタ側面流通孔611は、軸方向Zに直交する平面において、ガスセンサ1の中心軸に対して同心円上に配置されている。すなわち、アウタ側面流通孔611は、軸方向Zにおける同じ位置に形成されている。
アウタカバー6の底面62には、複数のアウタ底面流通孔621が設けられている。これらのアウタ底面流通孔621は、互いに直径が等しい円形穴であり、互いに所定の間隔を開けて、アウタカバー6の円盤状の底面62の中心位置に対して同心円上に配置されている(図6参照)。なお、図5及び図6においては、図面における紙面と垂直方向が軸方向Zであり、紙面の軸方向における手前が軸方向先端側Z1で、紙面の軸方向における奥側が軸方向基端側Z2である。後述の図9及び図10についても同様である。アウタ側面流通孔611及びアウタ底面流通孔621は、上述の円形穴のだけでなく、三角形穴、四角形穴、六角形穴、八角形穴等の多角形穴、楕円形穴、不定形穴等に適宜変更することも可能である。
次に、図2、及び図7〜図10に示すごとく、インナカバー5は、軸方向基端側Z2から順に、同径のまま軸方向Zに伸びる第1側面51aと、軸方向先端側Z1に向かって縮径するテーパ状の縮径段差部53と、同径のまま軸方向Zに伸びる第2側面部51bと、軸方向先端側Z1を閉塞する底面52とを有する。インナカバー5における縮径段差部53よりも軸方向基端側Z2に形成された第1側面51aには、複数のインナ側面流通孔511が設けられている。これらのインナ側面流通511は、互いに直径が等しい円形穴である。また、これらのインナ側面流通孔511は、軸方向Zに直交する平面において、ガスセンサ1の中心軸に対して同心円上に配置されている。すなわち、インナ側面流通孔511は、軸方向Zにおける位置が同じである。インナカバー5の底面52には、インナ底面流通孔521が設けられている。インナ底面流通孔521も円形穴である。インナ側面流通孔511及びインナ底面流通孔521は、上述の円形穴のだけでなく、三角形穴、四角形穴、六角形穴、八角形穴等の多角形穴、楕円形穴、不定形穴等に適宜変更することも可能である。
図2に示すごとく、素子カバー4においては、アウタ側面流通孔611の先端位置612は、インナカバー5の底面52よりも軸方向先端側Z1に配置されている。さらに、本実施形態においては、アウタ側面流通孔611の基端位置613は、インナカバー5の底面52と、軸方向Zにおける同じ位置に配置されている。また、図1及び図2に示すごとく、ガスセンサ1においては、先端21にガス導入部25を有するセンサ素子2の先端21と、インナ側面流通孔511の基端位置513との軸方向Zにおける距離L1が1.6mm以下に調整されている。
次に、本実施形態のガスセンサ1における作用効果及びそのメカニズムについて説明する。図1及び図2に示すごとく、ガスセンサ1においては、被測定ガスを導入するためのガス導入部25が先端21に設けられたセンサ素子2がインナカバー5とアウタカバー6とからなる素子カバー4によって覆われている。被測定ガスである排ガスの主要な流れの向きが図2の破線矢印によって表されている。
図2の破線矢印G1に示されるように、アウタカバー6の側面61に設けられた複数のアウタ側面流通孔611のうち、排ガス流路方向における上流側に位置する流通孔611aからガスセンサ1内に排ガスが導入され、下流側に位置する流通孔611bから外部に排出される。このとき、インナカバー5とアウタカバー6との間の空間41内に導入された排ガスの一部は、破線矢印G2、G3に示されるように、アウタカバー6の内壁に衝突して軸方向基端側Z2に巻き上げられる。インナカバー5は上述のように縮径段差部53を有しているため、破線矢印G2に示されるように、巻き上げられた排ガス中に含まれる水分の一部は、縮径段差部53に衝突して、軸方向先端側Z1に戻されて、アウタカバーの流通孔611bから排出される。そのため、センサ素子2の被水を防止し、センサ素子2の被水割れを防止することができる。
一方、巻き上げられた排ガスや水分の一部は、破線矢印G3に示されるように、インナカバー5の側面51に設けられたインナ側面流通孔511からインナカバーの内部に導入される。ガスセンサ1においては、センサ素子2の先端21とインナ側面流通孔511の基端位置513との軸方向における距離L1が1.6mm以下に調整されているため、インナ側面流通孔511からインナカバー5内に導入された水分とセンサ素子2との接触領域を小さくすることができる。そのため、センサ素子2への被水量を少なくすることができ、センサ素子2の被水割れを防止することができる。また、破線矢印G3に示されるように、排ガスは、ガス導入部25が設けられたセンサ素子2の先端21付近を流通し、さらに破線矢印G4に示されるように、インナ底面流通孔521から排出される。そのため、ガス導入部25が設けられたセンサ素子2の先端21付近におけるガス交換性が良好になり、センサ出力の応答性の低下を抑制することができる。
また、図2においては、アウタ側面流通孔611の基端位置613と、インナカバー5の底面52とがガスセンサ1の軸方向Zにおいて同じ位置にある。このように、アウタ側面流通孔611の基端位置613が、軸方向Zにおいてインナカバー5の底面52と同じ位置に設けられているか、あるいは底面52よりも軸方向基端側Z2に設けられていることが好ましい。この場合には、破線矢印G4で示されるように、インナカバー5の底面52に設けられたインナ底面流通孔521からインナカバー5の外部(具体的には空間41)へ排出される排ガスの流量を増大させることができる。そのため、インナカバー5内のガスの交換性が向上し、センサ出力の応答性をより向上させることができる。
また、図1〜図4及び図5に示すごとく、アウタカバー6の底面62には、アウタ底面流通孔621が設けられていることが好ましい。この場合には、ガスセンサ1の先端側Z1を例えば排ガス流路内に配置した際に、アウタカバー6の外部を流れる排ガス、より具体的にはアウタカバー6の底面62よりもさらに軸方向先端側Z1を流れる排ガスと、アウタカバー6内を流れる排ガスの流速との差によって、アウタカバー6内を負圧にすることが可能になる。そのため、アウタカバー6内のガスの流速を高めることができる。その結果、アウタカバー6内だけでなくインナカバー5内におけるガスの交換性を向上させることができる。したがって、センサ出力の応答性をより向上させることができる。また、この場合には、アウタカバー6の底面62に水分が溜まることなく排出できるため、センサ素子2への被水量をより少なくすることができる。そのため、センサ素子2の被水割れをより防止することができる。
以上のごとく、本実施形態のガスセンサ1においては、センサ素子2の被水割れを防止しつつ、センサ出力の応答性の低下を抑制することができる。
(実施形態2)
次に、インナカバーの外径Φ1とアウタカバーの内径Φ2との関係を調整したガスセンサの実施形態について説明する。なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、実施形態1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施形態1におけるものと同様の構成要素等を表す。
図11に示すごとく、本実施形態のガスセンサ1においては、インナカバー5の縮径段差部53よりも軸方向先端側Z1において、インナカバー5の外径Φ1とアウタカバー6の内径Φ2とが、0.15≦Φ1/Φ2≦0.5の関係を満足する。縮径段差部53よりも軸方向先端側Z1とは、縮径段差部53を含まない領域である。
上記のごとく、インナカバー5の外径Φ1とアウタカバー6の内径Φ2とが上記所定の関係を満足する場合には、ガスセンサ1の径方向Xにおけるインナカバー5とアウタカバー6との間のクリアランスが好適になる。そのため、図11における破線矢印G2に示されるように、巻き上がった排ガス中に含まれる水分が縮径段差部53によって軸方向先端側Z1に戻され易くなる。そのため、センサ素子2の被水量がより抑制され、被水割れをより防止することができる。さらに、この場合には、破線矢印G3に示されるように、インナ側面流通孔511からインナカバー5内に流入してセンサ素子2の先端付近を流通するガスの流速をより高めることできる。さらに、インナカバー5の底面52の面積が小さくなることを防止できるため、インナ底面流通孔521が小さくなりすぎることを防止することができる。そのため、破線矢印G4で示されるインナ底面流通孔521から排出される排ガスの流量の低下を防止することができる。かかる観点からも、センサ出力の応答性をより向上させることができる。
素子カバー4が、縮径段差部53よりも軸方向先端側Z1において、上述の0.15≦Φ1/Φ2≦0.5という関係を満たす部分を有していれば、本実施形態における上述の効果を得ることは可能である。より好ましくは、縮径段差部53よりも軸方向先端側Z1における全ての領域において0.15≦Φ1/Φ2≦0.5という関係を満足することがよい。この場合には、センサ素子の被水量をさらに抑制することができると共に、センサ出力の応答性をさらに向上させることができる。本実施形態のガスセンサ1は、その他に実施形態1と同様の構成を採用することができ、実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。
(実施形態3)
次に、インナカバー5の全長L2に対する、インナカバー5の縮径段差部53とこの縮径段差部53より軸方向先端側Z1にあるインナカバー5との合計長さL3の比(すなわち、L3/L2)を調整したガスセンサの実施形態について説明する。図12に示すごとく、本実施形態のガスセンサ1は、軸方向Zにおいて、インナカバー5の縮径段差部53とこの縮径段差部53より軸方向先端側Z1にあるインナカバー5との合計長さL3と、インナカバー5の全長L2とが、0.5≦L3/L2≦0.7の関係を満足する。
インナカバー5の全長L2は、図12に示すごとく、インナカバー5とアウタカバー6との間に空間41が形成される領域におけるインナカバー5の軸方向Zの長さである。また、縮径段差部53の長さは、縮径段差部53における縮径開始部531から縮径終了部532までの軸方向Zにおける長さである。縮径段差部53より軸方向先端側Z1にあるインナカバー5の長さは、縮径段差部53の長さを含まず、縮径終了部532からインナカバー5の底面52までの軸方向Zにおける長さである。したがって、上述の合計長さL3は、縮径段差部53の縮径開始部531からインナカバー5の底面52までの軸方向Zにおける長さである。
L2とL3とが上記のごとく0.5≦L3/L2≦0.7の関係を満足する場合には、ガスセンサの軸方向Zにおけるインナカバー5とアウタカバー6との間のクリアランスが好適になる。その結果、図12における破線矢印G2に示すように、排ガス中に含まれる水分がアウタカバー6の内側面に衝突することによって軸方向基端側Z2に巻き上げられても、水分は縮径段差部53によって軸方向先端側Z1に戻され易くなる。また、アウタ側面流通孔611から流入した排ガス中に含まれる水分がインナカバー5の第2側面部51bに衝突すると、破線矢印G5に示すように、水分は軸方向基端側Z2へ巻き上げられる。本実施形態のように0.5≦L3/L2≦0.7の関係を満足する場合には、第2側面部51bへの水分の衝突量を減らすことができる。そのため、軸方向基端側Z2への水分の巻き上がり量を減らすことができる。したがって、センサ素子2の被水量をより抑制することがきるため、被水割れをより防止することができる。
さらに、0.5≦L3/L2≦0.7の関係を満足する場合には、インナカバー5内の容積を小さくすることができる。そのため、破線矢印G3に示されるように、インナ側面流通孔511からインナカバー5内に流入してセンサ素子2の先端21付近を流通するガスの流速を高めることができる。そのため、センサ出力の応答性をより向上させることができる。
本実施形態のガスセンサ1は、その他に実施形態1又は実施形態2と同様の構成を採用することができ、実施形態1又は実施形態2と同様の作用効果を奏することができる。特に好ましくは、実施形態1〜3の構成の組み合わせがよい。すなわち、ガスセンサ1の素子カバー4においては、距離L1が1.6mm以下であり、かつ0.15≦Φ1/Φ2≦0.5であり、かつ0.5≦L3/L2≦0.7であることが特に好ましい。この場合には、被水割れをさらに一層防止することができ、センサ出力の応答性をさらに一層向上させることができる。
(実験例1)
本例においては、実施形態1において示した距離L1の長さが異なる複数のガスセンサについて、センサ出力の応答性、及びセンサ素子への被水量を評価する。なお、実施形態1においては、センサ素子としてNOxセンサ素子を有する所謂NOxセンサについて説明したが、本実験例以降では、センサ素子として、A/Fセンサ素子を備えた所謂A/Fガスセンサを用い、その空燃比の応答性に基づいた評価を行う。A/Fセンサの方がNOxセンサよりも、素子カバーの構成の変更による影響を受けやすいためである。センサ素子の種類が異なる点を除き、本実験例に使用したガスセンサの構成は、実施形態1と同様である。本実験例以降において用いられた符号のうち、上述の実施形態1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施形態1と同様の構成要素等を示す。
「63%応答時間」
センサ出力の応答性は、以下のように63%応答時間を測定することによって評価した。具体的には、まず、図13に示すごとく、ディーゼルエンジン71に連結された排気管72にガスセンサ1を取り付けた。次いで、ガスセンサ1のセンサ素子2が内蔵するヒータ23を発熱させ、センサ素子2が内蔵する電極(図示略)に電圧を印加することによってガスセンサ1を駆動させた(図1参照)。一方、図13に示すごとく、ディーゼルエンジン71を作動させることによって、排気管72内にガス流速15m/sの排ガスを流通させた。ガスセンサ1の出力は、検出回路771を介して接続された外部のコンピュータ773によって経時的に計測される。そして、空燃比(すなわち、A/F)を30から40に変化させた時からガスセンサ1の出力が63%変化するまでに要する時間(すなわち、63%応答時間)を計測した。本例においては、センサ素子2の先端21とインナ側面流通孔511の基端位置513との軸方向Zにおける距離L1が異なる複数のガスセンサ1について63%応答時間を測定した(図1及び図13参照)。そして、L1=0(mm)のガスセンサの63%応答時間を1とし、他のガスセンサの63%応答時間をその相対値によって表した。その結果を後述の図17に示す。
「被水面積」
センサ素子への被水量は、以下のように被水面積を計測することによって評価した。まず、板状のセンサ素子2の側面と先端面にカーボンを塗布することにより、センサ素子2を黒色に着色させた(図15(a)及び図16(a)参照)。このセンサ素子2を用いて、実施形態1と同様の構成のガスセンサ1を構築した(図1参照)。次いで、図14に示すごとく、パイプ74内にガスセンサ1と水噴射ノズル75を取り付けた。両者の取り付け位置は、ガスセンサ1のアウタカバー6のアウタ側面流通孔611と水噴射ノズル75の噴射口751とが同じ高さに位置するように調整した(図1、図2、図14参照)。パイプ74は、ヒータ761を内蔵する加熱パイプ76に連結されている。そして、ヒータ761によって温度280℃に加熱された空気GAを流速12.6m/sで加熱パイプ76からパイプ74内に送りこみ、ガスセンサ1内のセンサ素子2の温度を200℃とする条件下において、水噴射ノズル75から0.2mlの水GWを5回噴射した。その後、センサ素子2の側面及び先端面を観察した。センサ素子が被水すると、例えば図15(b)及び図16(b)に示されるように、被水部分におけるカーボンが剥がれ、黒色から灰色〜白色に変化する。そして、画像解析によって、カーボンが剥がれた領域の面積を測定した。この面積が被水面積である。本例においては、上述の距離L1が異なる複数のガスセンサについて被水面積を測定した。そして、L1=0(mm)のガスセンサの被水面積を1とし、他のガスセンサの被水面積をその相対値によって表した。その結果を後述の図17に示す。
なお、63%応答時間及び被水面積は、5つのガスセンサを用いた結果から算出されたものである。図17には、これらの平均値がプロット点により示されており、最大値と最小値とがエラーバーによって示されている。後述の実験例2及び3において参照する図18及び図19についても同様である。また、図17における距離L1は、センサ素子2の先端21がインナ側面流通孔511の基端位置513に対して軸方向先端側Z1に位置している場合に正(すなわち、+)で表され、軸方向基端側Z2に位置している場合に負(すなわち、−)で表されている(図2参照)。
図17より知られるように、−1.6mm≦L1≦+1.6mmの場合、すなわち、センサ素子2の先端21とインナ側面流通孔511の基端位置513との軸方向Zにおける距離L1が1.6mm以内の場合には、63%応答時間が短くなり、応答性が向上している。さらに、この場合には、被水面積も小さい。そのため、センサ素子2への被水量が少なくなり、センサ素子2の被水割れを防止することができる。一方、L1が−1.6mmを下回る場合、すなわち、距離L1が1.6mmを超え、かつインナ側面流通孔511の基端位置513に対してセンサ素子2の先端21が軸方向基端側Z2に位置している場合には、63%応答時間が顕著に増大し、応答性が低下している。また、L1が+1.6mmを超える場合、すなわち、距離L1が1.6mmを超え、かつインナ側面流通孔511の基端位置513に対してセンサ素子2の先端21が軸方向先端側Z1に位置している場合には、応答性が低下すると共に被水面積が顕著に増大しており、被水割れが起こり易くなる。したがって、上述のように距離L1は1.6mm以下が好ましい。被水割れをより一層防止し、応答性の低下をより抑制する観点から、距離L1は1.3mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることがさらにより好ましい。
このように、本例によれば、センサ素子2の先端21とインナ側面流通孔511の基端位置513との軸方向における距離L1を1.6mm以下にすることにより、センサ素子2の被水割れを防止しつつ、センサ出力の応答性の低下を抑制できることがわかる(図1及び図2参照)。
(実験例2)
本例においては、実施形態2において示したアウタカバー6の内径Φ2に対するインナカバー5の外径Φ1の比(すなわち、Φ1/Φ2)が異なる複数のガスセンサ1について、センサ出力の応答性、及びセンサ素子への被水量を評価する(図11参照)。センサ素子の種類が上述の実験例1と同様に異なる点を除いては、本実験例に使用したガスセンサは、実施形態2と同様の構成である。また、センサ出力の応答性及びセンサ素子への被水量の評価方法は実験例1と同様であるが、本例においては、Φ1/Φ2=0.9のガスセンサの63%応答時間を1とし、他のガスセンサの63%応答時間をその相対値によって表した。被水面積についても同様である。その結果を図18に示す。
図18より知られるように、0.15≦Φ1/Φ2≦0.5の関係を満足する場合には、63%応答時間がより短くなり、センサ出力の応答性が向上する。また、Φ1/Φ2≦0.5の場合には、被水面積がより小さくなり、被水割れをより一層防止できることがわかる。したがって、センサ出力の応答性をより向上させると共に、被水割れをより防止できるという観点から、上述のように0.15≦Φ1/Φ2≦0.5の関係を満足することが好ましく、0.2≦Φ1/Φ2≦0.4の関係を満足することがより好ましい。
(実験例3)
本例においては、実施形態3において示したインナカバー5の全長L2に対する、インナカバー5の縮径段差部53とこの縮径段差部53より軸方向先端側Z1にあるインナカバー5との合計長さL3の比(すなわち、L3/L2)が異なる複数のガスセンサについて、センサ出力の応答性、及びセンサ素子への被水量を評価する(図12参照)。センサ素子の種類が実験例1と同様に異なる点を除いては、本実験例に使用したガスセンサは、実施形態3と同様の構成である。また、センサ出力の応答性及びセンサ素子への被水量の評価方法は実験例1と同様であるが、本例においては、L3/L2=0.9のガスセンサの63%応答時間を1とし、他のガスセンサの63%応答時間をその相対値によって表した。被水面積についても同様である。その結果を図19に示す。
図19より知られるように、0.5≦L3/L2≦0.7の関係を満足する場合には、被水面積がより小さくなり、被水割れをより一層防止することができる。また、L3/L2≦0.7の場合には、63%応答時間がより短くなり、センサ出力の応答性をより向上できることがわかる。したがって、センサ出力の応答性をより向上させると共に、被水割れをより防止できるという観点から、上述のように0.5≦L3/L2≦0.7の関係を満足することが好ましく、0.5≦L3/L2≦0.6の関係を満足することがより好ましい。
(実施形態4)
次に、センサ素子のポンプ電極の先端位置と、インナカバーにおけるインナ側面流通孔の基端位置との関係を調整したガスセンサの実施形態について図面を参照して説明する。なお、本形態及び後述の実験例4においては、インナ側面流通孔のことを適宜「側面流通孔」という。図20〜図23に例示されるように、本形態のガスセンサ1は、ガス導入部25、ポンプ電極211等を備えたセンサ素子2を有する。
具体的には、図20及び図21に例示されるように、センサ素子2は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体20と、被測定ガス室241と、基準ガス室242と、ポンプ電極211と、センサ電極212と、モニタ電極214と、基準電極213と、ヒータ23とを備える。
被測定ガス室241は、センサ素子2のガス導入部25より排ガス等の被測定ガスGが導入される空間からなる。一方、基準ガス室242は、センサ素子2の基端側Z2に配置された図示しない基準ガス導入部より空気等の基準ガスGAが導入される空間からなる。
固体電解質体20は、板状の酸素イオン伝導性を有するセラミックスからなる。このようなセラミックスとしては、例えばイットリア安定化ジルコニアがあるが、他の酸素イオン伝導性のセラミックスを用いることもできる。
固体電解質体20は、被測定ガス室241と基準ガス室242との間に配置される。板状の固体電解質体20の第1主面201には、被測定ガス室241が隣接して形成されており、第1主面201は、被測定ガス室241に面している。一方、固体電解質体20の第2主面202には、基準ガスGAが導入される基準ガス室242が隣接して形成されており、第2主面202は、基準ガス室242に面している。
図22に例示されるように、固体電解質体の第1主面201上には、ポンプ電極211とセンサ電極212とモニタ電極214とが形成されて、各電極211、212、214は、例えば単一の空間より形成された被測定ガス室に面している。一方、図20及び図21に例示されるように、第2主面202上には、基準電極213が形成されており、基準電極213は、例えば単一の空間により形成された基準ガス室242に面している。図20〜図22に例示されるように、ポンプ電極211は、第1主面201における軸方向先端側Z1に形成されており、センサ電極212及びモニタ電極214は、ポンプ電極211よりも軸方向基端側Z2に形成されると共に、互いに並列に形成されている。
図20に例示されるように、センサ素子2においては、ポンプ電極211と固体電解質体20の一部20pと基準電極213によって、被測定ガス室241内の酸素濃度を調整するポンプセル211pが形成されている。ポンプ電極211と基準電極213との間に電圧が印加されることによって、被測定ガス室241内の酸素が除去され、被測定ガス室241内の被測定ガスGの酸素濃度が所定の濃度以下に調整される。
また、センサ素子2においては、図21に例示されるように、モニタ電極214と固体電解質体20の一部20mと基準電極213とによって、モニタセル214mが形成されている。モニタセル214mにおいては、固体電解質体20の一部20mを介してモニタ電極214と基準電極213との間に流れる電流を検出することにより、被測定ガスG中の酸素濃度が検出される。
一方、図20及び図21に例示されるように、センサ電極212と固体電解質体20と基準電極213によって、被測定ガスG中の特定ガス成分の濃度に応じた信号を出力するセンサセル212sが形成されている。センサセル212sにおいては、センサ電極212と基準電極213との間に流れる電流を検出することによって、被測定ガスG中の特定ガス成分の濃度が検出される。
被測定ガス室241内に導入される被測定ガスGの導入部25は、センサ素子2の先端21に形成されている。そして、ポンプ電極211は、モニタ電極214及びセンサ電極212よりも軸方向先端側Z1に形成されている。したがって、モニタセル214mにおいては、ポンプセル211pにより酸素濃度が調整された後における被測定ガスG中の残留酸素濃度が検出される。また、センサセル212sにおいても、ポンプセル211pにより酸素濃度が調整された後における被測定ガスG中の特定ガス成分の濃度が検出される。その際、センサセル212sの出力からモニタセル214mの出力を差し引くことにより、特定ガス成分の検出に残留酸素が与える影響を補正することができる。なお、被測定ガス室241内においては、軸方向先端側Z1が排ガスGの流れ方向の上流側であり、軸方向基端側Z2が下流側である。
板状の固体電解質体20には、セラミックスから構成される絶縁体22A、22B、22Cが積層されている。また、センサ素子2は、固体電解質体20を加熱するための板状のヒータ23を有している。ヒータ23は、固体電解質体20に対向配置されており、センサ素子2に積層して形成されている。本形態のガスセンサ1において、ヒータ23への印加電力は、図24に例示される外部の制御装置77により、ポンプセル211pのインピーダンスに基づいて制御される。外部の制御装置77としては、例えばガスセンサ1に接続された、検出回路771、センサ制御回路772、及びこれらに接続されたコンピュータ773等があり、これらの制御装置77によって、ポンプセル211pのインピーダンスとヒータ23に印加する電力との関係から、センサ素子2が所定温度になるように制御される。具体的には、ポンプ電極211の温度が例えば800℃に制御され、センサ電極212の温度が例えば600℃に制御される。
被測定ガス室241は、固体電解質体20の第1主面201に積層された板状の第1絶縁体22Aと、板状の第2絶縁体22Bとによって囲まれて形成されている。基準ガス室242は、固体電解質体20の第2主面202に積層された板状の第3絶縁体22Cと、板状のヒータ23とによって囲まれて形成されている。ヒータ23は、セラミックスの基板231と、この基板231の内部に埋設された、通電によって発熱する発熱体232とを有している。第1絶縁体22A、第2絶縁体22B、第3絶縁体22Cは、いずれも所謂スペーサである。
被測定ガス室241の先端側Z1には、被測定ガス室241内に被測定ガスGを導入するためのガス導入部25が設けられている。ガス導入部25には、被測定ガス室241に所定の拡散抵抗の下で被測定ガスGを導入するための拡散抵抗体251が設けられている。拡散抵抗体251は、セラミックスの多孔質体によって構成されている。
図20〜図23に例示されるように、ガスセンサ1においては、センサ素子2の軸方向先端側Z1が素子カバー4内に挿入されており、センサ素子2の先端側Z1が素子カバー4内に配置されている。素子カバー4は、実施形態1と同様の構成を有しており、インナカバー5とアウタカバー6とを有している。インナカバー5における側面流通孔511の基端位置513は、センサ素子2のポンプ電極211の先端位置211Fよりも軸方向先端側Z1に配置されている。換言すれば、ポンプ電極211の先端位置211Fは、側面流通孔511の基端位置513よりも軸方向基端側Z2に配置されている。
側面流通孔511の基端位置513と、ポンプ電極211の先端位置211Fとの位置関係は、例えば次のようにして調整することができる。具体的には、例えば軸方向Zにおけるポンプ電極211の形成位置を調整する方法がある。また、例えばインナカバー5内へのセンサ素子2の挿入幅を調整することによりインナカバー5内におけるセンサ素子2の先端21の位置を調整する方法がある。また、例えばインナカバー5における側面流通孔511の形成位置、形状、大きさ等を調整する方法がある。
本形態のガスセンサ1においては、図23の破線矢印G1に示されるように、排ガスがアウタカバー6の流通孔611aからアウタカバー6とインナカバー5との間の空間41内に流入する。破線矢印G3に紙示されるように、空間41内に流入した排ガスの一部は、排ガスの流れ方向における下流側に設けられたインナ側面流通孔511からインナカバー5内に流入し、センサ素子2のガス導入部25の周囲に到達する。
上記のように、インナカバー5における側面流通孔511の基端位置513は、センサ素子2のポンプ電極211の先端位置211Fよりも軸方向先端側Z1に配置されている。ポンプ電極211の先端位置211Fとは、軸方向Zにおけるポンプ電極211の最先端の位置である。一方、側面流通孔511の基端位置513とは、軸方向Zにおける側面流通孔511の最基端の位置であり、例えば側面流通孔511が複数ある場合には、各側面流通孔511の基端位置513のうち最基端の位置である。
先端位置211Fと基端位置513との比較は、例えば次のようにして行うことができる。具体的には、センサ素子2とインナカバー5との軸方向Zにおける相対位置が変わらないようにこれらを固定しつつ、必要に応じてインナカバー5、アウタカバー6、センサ素子2を所定の位置で切断、研磨する。この切断や研磨等により、例えばセンサ素子2からポンプ電極211の少なくとも先端側を露出させる。その上で、ポンプ電極211の先端位置211Fと、インナカバー5の側面流通孔511の基端位置513とを比較することができる。実際の比較は、例えばポンプ電極211の先端位置211Fにおける軸方向Zと垂直な面、すなわち径方向Xと平行な面と、側面流通孔511の基端位置513における軸方向Zと垂直な面、すなわち径方向Xと平行な面との間の最短距離L4を求めることにより行うことができる。そして、L4が0より大きく、側面流通孔511の基端位置513がポンプ電極211の先端位置211Fより先端側にあるか、L4が0以下、すなわちL4が0又はマイナスであり、側面流通孔511の基端位置513がポンプ電極211の先端位置211Fと同じ位置か基端側にあるかを判定することができる。
図23に例示されるように、L4が0より大きく、側面流通孔511の基端位置513がポンプ電極211の先端位置211Fより先端側にある場合には、破線矢印G3に例示されるように、低温又は高温の排ガスがインナカバー5内に流入しても、排ガスがポンプ電極211の形成位置にあたりにくい。そのため、ポンプセル211pのインピーダンスが排ガスの温度変動による影響を受けにくい。その結果、ポンプセル211pのインピーダンスに基づいてセンサセル212sが所定温度になるようにヒータ23に印加する電力を制御しても、センサセル212sの温度変動を小さくし、そのばらつきも小さくすることができる。したがって、センサ素子2の温度制御が容易になり、さらに特定ガス成分の検出精度の向上が可能になる。さらに、本形態のガスセンサ1においては、実施形態1と同様に、センサ素子2の先端21と側面流通孔511の基端位置513との軸方向Zにおける距離L1が上述の所定の位置関係に調整されている。そのため、図23における破線矢印G3及びG4に例示されるように、インナカバー5内に流入した排ガスはセンサ素子2の先端21よりも先端側Z1の空間を通過してインナ底面流通孔521から排出されやすい。すなわち、センサ素子2と排ガスとの接触面積を小さくすることができる。この観点からも上述の温度変動を小さくすることができると考えられる。
これに対し、図27に例示されるように、L4がマイナスであり、側面流通孔511の基端位置513がポンプ電極211の先端位置211Fよりも基端側Z2にある場合には、インナカバー5内に流入した排ガスがセンサ素子2におけるポンプ電極211の形成位置にあたる。そのため、ポンプセル211pのインピーダンスが排ガスの温度変動による影響を受け易い。すなわち、例えばセンサ素子2よりも低温の排ガスがインナカバー5内に流入し、ポンプ電極211の形成位置にあたると、ポンプ電極211が冷やされる。ポンプ電極211のインピーダンスに基づいてヒータ23の印加電力が制御されている場合には、上述のようにポンプ電極211が冷やされると、ヒータ23によりセンサ素子2が加熱されるため、センサ電極212の温度も上昇し、センサ電極212の温度変動が増大してしまう。その結果、被測定ガス中の特性ガス成分に対する検出精度に悪影響を及ぼすおそれがある。一方、例えばセンサ素子の温度よりも高温の排ガスがインナカバー5内に流入し、センサ素子2におけるポンプ電極211の形成位置にあたると、センサ素子が部分的に加熱され、ポンプ電極211の温度が上昇するおそれがある。そして、上記と同様にポンプ電極211のインピーダンスに基づいてヒータ23の印加電力が制御されている場合には、ヒータ23による加熱が不十分のままセンサ電極212において特定ガス成分の検出が行われるおそれがある。この場合にも、特定ガス成分の検出精度に悪影響を及ぼすおそれがある。
特定ガス成分に対する検出精度の向上効果をより高めるという観点からは、L4は0.5mm以上、すなわち、側面流通孔511の基端位置513がポンプ電極211の先端位置211Fよりも0.5mm以上先端側にあることがより好ましい。同様の観点から、L4は1mm以上、すなわち、側面流通孔511の基端位置513がポンプ電極211の先端位置211Fよりも1mm以上先端側にあることがさらに好ましい。
本形態のガスセンサ1は、その他に実施形態1と同様の構成を備え、実施形態1と同様の作用効果を奏する。また、本形態と、実施形態2、実施形態3、又は実施形態2及び実施形態3との組み合わせを採用することができ、この場合には、上述の各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(実験例4)
本例は、ポンプ電極211の先端位置211Fと、インナカバー5の側面流通孔511の基端位置513との関係を変更した2つのガスセンサについて、センサ電極の温度変動を比較する例である(図20〜図23参照)。
具体的には、まず、2種類のセンサA及びセンサBを準備した。センサAは、実施形態4と同様の構成を有しており、インナカバー5における側面流通孔511の基端位置513がセンサ素子2のポンプ電極211の先端位置211Fよりも軸方向先端側Z1に配置されている。より具体的には、センサAにおいては、側面流通孔511の基端位置513がポンプ電極211の先端位置211Fよりも1mmだけ軸方向先端側Z1に配置されており、L4=1mmである(図23参照)。
一方、センサBは、図27に例示されるように、側面流通孔511の基端位置513がポンプ電極211の先端位置211Fよりも軸方向基端側Z2に配置されたガスセンサ9である。センサBにおけるポンプ電極211は、センサAにおけるポンプ電極211よりも軸方向先端側Z1に形成されている。より具体的には、センサBにおいては、側面流通孔511の基端位置513がポンプ電極211の先端位置211Fよりも1mmだけ軸方向基端側Z2に配置されており、L4=−1mmである。センサBのその他の構成はセンサAと同様である。
これらのセンサA及びセンサBについて、センサ電極の温度変動を比較した。具体的には、まず、図24に例示されるように、ディーゼルエンジン71に連結された排気管72にガスセンサ1を取り付けた。図20〜図24に例示されるように、センサ制御回路772によりセンサ素子2が所定の温度になるようにヒータ23を発熱させた。センサ素子2のポンプセル211p間、センサセル212s間、モニタセル214m間に電圧を印加することによってガスセンサ1を駆動させた。一方、ディーゼルエンジン71を駆動させ、流速40m/s、温度200℃の排ガスを排気管72内に流通させた。センサ素子2の温度の測定は、センサ素子2の基端側Z2に配置された図示しない基準ガス導入部から、センサ電極212の中心に熱電対を挿入し、温度測定器78によりセンサ電極212の温度を測定した。
実際の温度変動の測定にあたっては、まず、ディーゼルエンジン71を駆動しない状態において、ガスセンサ1を駆動させセンサ電極212の温度が一定になるまで保持した。次いで、ディーゼルエンジン71を上記条件で駆動させ、センサ電極212の温度が一定になるまで保持し温度変動を算出した(図25参照)。
図25のグラフは、横軸が経過時間を表し、縦軸がセンサ電極温度Tsを示す。横軸における時間t1は、ガスセンサ1の駆動開始時を示し、時間t2はエンジン駆動開始時をし、ΔTsがセンサ電極の温度変動を示す。本例においては、ポンプ電極211の温度が800℃に制御され、センサ電極212の温度が600℃に制御されるが、実際のポンプ電極211の温度やセンサ電極212の温度はこれらの制御温度から若干変動する。その結果を図26に示す。
ガスセンサ1においては、上述のようにポンプセル211pのインピーダンスとポンプセル211pの温度との関係に基づきセンサ制御回路77によりセンサ素子2のセンサ電極212を所定の温度に制御している。一方、上述のようにディーゼルエンジン71の駆動により、低温の排ガスがガスセンサ1に供給されると、ポンプ電極211の温度が低下する虞がある。そして、ポンプ電極211の温度低下幅に応じて外部の制御装置77により印加電力が制御されたヒータ23によりセンサ電極212が加熱されて温度変動が生じ、図25に例示されるようにセンサ電極212の温度が所定温度よりも高くなる。
図26より知られるように、センサAにおいては温度変動が25℃程度であり、変動が小さい。さらに、温度変動のばらつきもほとんどない。これは、センサAにおいては、側面流通孔511の基端位置513がポンプ電極211の先端位置211Fよりも軸方向先端側Z1に配置されているため、ポンプ電極211の形成位置に排ガスがあたることを防止でき、その結果ヒータ23による温度制御が排ガスの温度変動による影響をほとんど受けないためであると考えられる。
一方、側面流通孔511の基端位置513がポンプ電極211の先端位置211Fよりも軸方向基端側Z2に配置されたセンサBにおいては、ポンプ電極211の形成位置に排ガスが当たりやすい。これにより、センサ素子2が冷やされるため、センサ素子2を所定温度に制御するようにヒータ23に印加される電力が大きくなり、センサ電極212の温度も大きく上昇する。その結果、図26より知られるように、センサBにおいては、温度変動が52℃程度であり、温度変動が大きい。さらに温度変動のばらつきも大きい。なお、図示を省略するが、側面流通孔511の基端位置513とポンプ電極211の先端位置211Fとが軸方向Zにおいて同じ位置にある場合、すなわち,L4=0の場合には、温度変動が約50℃になり、上述のセンサBと同程度まで温度変動が大きくなることを確認している。
特に、NOxセンサ用のガスセンサ1においては、ポンプ電極211、センサ電極212等の複数の電極が形成されているため、上述のように、センサ電極212の温度をポンプ電極211等の他の電極により制御することが求められる。本例のようにセンサ電極212を例えば600℃に設定している場合には、温度変動は±30℃以内であることが好ましい。温度変動が30℃を超えてセンサ電極212の温度が高くなる場合には、センサ電極212において排ガス中の水が分解されて酸素が発生し、特定ガス成分の濃度の検出精度に悪影響を及ぼすおそれがある。また、この場合には、センサ電極212が熱劣化するおそれがあり、この熱劣化も検出精度に悪影響を及ぼすおそれがある。一方、温度変動が30℃を超えてセンサ電極212の温度が低くなる場合には、温度が低すぎて特定ガス成分の濃度を十分に検出することができなくなり、検出精度が低下するおそれがある。
したがって、本例によれば、実施形態4のように、インナカバー5における側面流通孔511の基端位置513をセンサ素子2のポンプ電極211の先端位置211Fよりも軸方向先端側Z1に配置させることにより、ポンプ電極211の温度に基づいてセンサ素子2の温度制御を行ってもセンサセル212sの温度変動を小さくできることがわかる。その結果、センサ素子2の温度制御が容易になり、排ガス中の特定ガス成分の検出精度の向上が可能になる。
本発明は、上述の実施形態や実験例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、センサ素子2は、必ずしもモニタ電極、モニタセルを有していなくてもよい。この場合であっても、本発明の構成を採用することにより、上述の作用効果を奏することができる。
1 ガスセンサ
2 センサ素子
3 ハウジング
4 素子カバー
5 インナカバー
511 インナ側面流通孔
6 アウタカバー
611 アウタ側面流通孔

Claims (4)

  1. 被測定ガス(G)中のガス濃度を検出するセンサ素子(2)と、
    該センサ素子を内側に挿通して保持するハウジング(3)と、
    該ハウジングの軸方向先端側(Z1)に配設された素子カバー(4)と、を備える、ガスセンサ(1)であって、
    上記センサ素子は、
    該センサ素子の内部に上記被測定ガスが導入される被測定ガス室(241)と、
    酸素イオン伝導性を有する固体電解質体(20)と、
    上記固体電解質体上に設けられた基準電極(213)と、
    上記被測定ガス室中の酸素濃度を調整するポンプセル(211p)を、上記固体電解質体を介して上記基準電極とで構成するポンプ電極(211)と、
    上記被測定ガス中の上記ガス濃度に応じた信号を出力するセンサセル(212s)を、上記固体電解質体を介して上記基準電極とで構成するセンサ電極(212)と、
    上記固体電解質体に対向配置され、上記固体電解質体を加熱するヒータ(23)と、を備え、
    上記素子カバーは、
    上記センサ素子の上記軸方向先端側を覆うように配設された有底筒形状のインナカバー(5)と、
    該インナカバーの外側に空間(41)を空けて配設された有底形状のアウタカバー(6)と、
    上記アウタカバー内へ上記被測定ガスを導入するアウタ側面流通孔(611)と、
    上記アウタカバー内へ導入された上記被測定ガスを上記インナカバー内へ導入するインナ側面流通孔(511)と、
    上記アウタカバーの上記軸方向先端側の底面(62)に設けられたアウタ底面流通孔(621)と、
    上記インナカバーの上記軸方向先端側の底面(52)に設けられたインナ底面流通孔(521)と、を備え、
    上記ポンプ電極は、上記センサ電極よりも上記センサ素子の上記軸方向先端側に形成されており、
    上記ガスセンサの上記軸方向において、上記インナ側面流通孔の基端位置(513)が上記ポンプ電極の先端位置(211F)よりも上記軸方向先端側にあり、
    上記インナ側面流通孔の上記基端位置と、上記ポンプ電極の上記先端位置との間の、上記軸方向における距離L4は、0.5mm以上であることを特徴とするガスセンサ。
  2. 上記距離L4は、1mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
  3. 上記アウタ側面流通孔は、該アウタ側面流通孔の先端位置(612)が上記インナカバーの上記軸方向先端側よりもさらに先端側に配置するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスセンサ。
  4. 上記アウタ側面流通孔の基端位置(613)は、上記インナ底面流通孔よりも上記軸方向において同じかもしくは基端側に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスセンサ。
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