JP6154899B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、ガスセンサに関する。
従来、自動車の排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxや酸素などの所定のガス濃度を検出するガスセンサが知られている。このガスセンサでは、例えばエンジンの始動時に発生する水がセンサ素子に付着することにより、センサ素子の温度が低下してクラックが発生する場合がある。そのため、センサ素子を覆う保護カバーを取り付けてこれを防止することが提案されている。例えば、特許文献1には、排気ガスを内部に導くための通気口が形成された2重構造の保護カバーをセンサ素子の先端部外周に設けたガスセンサが記載されている。
特開2011−112557号公報
ところで、このようなガスセンサでは、被測定ガス中のガス濃度の変化を速やかに検出したい、すなわちガス濃度検出の応答性を高めたいとう要望がある。また、センサ素子の検出感度の低下を抑制するためや、センサ素子を保温するヒーターの消費電力の増大を抑制するために、被測定ガスの流れによるセンサ素子の冷えを抑制したいという要望がある。しかし、例えばガス検出濃度の応答性を高めるために保護カバー内部への被測定ガスの流量(又は流速)を増やすとセンサ素子が冷えやすくなってしまう。一方、センサ素子の冷えを抑制するために保護カバー内部への被測定ガスの流量(又は流速)を減らすと、センサ素子への被測定ガスの到達に時間がかかり、ガス濃度検出の応答性が低下してしまう。このように、応答性と保温性とには通常はトレードオフの関係がある。そのため、このようなトレードオフの関係から脱して、応答性と保温性とを両立できるガスセンサが望まれている。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、ガスセンサにおいてガス濃度検出の応答性とセンサ素子の保温性とを両立することを主目的とする。
本発明の第1のガスセンサは、
被測定ガスを導入するガス導入口を有し、該ガス導入口から内部に流入した該被測定ガスの所定のガス濃度を検出可能なセンサ素子と、
外側から内側への前記被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔が形成され、前記センサ素子の先端を覆う外側保護カバーと、
前記外側保護カバーと前記センサ素子との間に配置され、前記外側ガス孔から前記センサ素子の前記ガス導入口に達するまでの前記被測定ガスの経路中に前記センサ素子の後端側から先端側へ向かい且つ前記ガス導入口の配置された空間に開口しているガス流路を形成するガス流路形成部材と、
を備えたものである。
この本発明の第1のガスセンサは、ガス流路形成部材によって、センサ素子の先端を覆う外側保護カバーに形成された外側ガス孔からセンサ素子のガス導入口に達するまでの被測定ガスの経路中に、センサ素子の後端側から先端側へ向かい且つガス導入口の配置された空間に開口しているガス流路が形成されている。このようなガス流路が存在することで、ガスセンサの外部から外側ガス孔及びガス流路をこの順に通過してガス導入口の配置された空間に出た被測定ガスが、センサ素子の表面(ガス導入口以外の表面)に直接当たることを抑制したり、センサ素子の表面上を長い距離通過してからガス導入口に到達することを抑制したりできる。これにより、センサ素子の冷えをより抑制することができる。しかも、センサ素子の後端側から先端側へ向かうガス流路を形成することでセンサ素子の冷えを抑制しており、被測定ガスの流量や流速を減らしているわけではないため、ガス濃度検出の応答性の低下もより抑制できる。これらにより、応答性と保温性とを両立することができる。
本発明の第1のガスセンサにおいて、前記ガス流路のうち前記ガス導入口の配置された空間側の開口部である素子側開口部は、前記ガス導入口からの距離A1(前記センサ素子の後端−先端方向の距離であり、先端から後端へ向かう方向を正とする)が−5mm以上1.5mm以下の位置に形成されていてもよい。こうすることで、ガス流路の素子側開口部がガス導入口に比較的近くなる。そのため、上述した、被測定ガスがセンサ素子のガス導入口以外の表面に直接当たることを抑制したり、センサ素子の表面上を長い距離通過してからガス導入口に到達することを抑制したりする効果が高まる。また、ガス流路の素子側開口部がガス導入口に比較的近いことで、ガス濃度検出の応答性も向上させることができる。
本発明の第2のガスセンサは、
被測定ガスを導入するガス導入口を有し、該ガス導入口から内部に流入した該被測定ガスの所定のガス濃度を検出可能なセンサ素子と、
外側から内側への前記被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔が形成され、前記センサ素子の先端を覆う外側保護カバーと、
前記外側保護カバーと前記センサ素子との間に配置され、前記外側ガス孔から前記センサ素子の前記ガス導入口に達するまでの前記被測定ガスの経路中に、前記ガス導入口の配置された空間に開口しているガス流路を形成するガス流路形成部材と、
を備え、
前記ガス流路のうち前記ガス導入口の配置された空間側の開口部である素子側開口部は、前記ガス導入口からの距離A1(前記センサ素子の後端−先端方向の距離であり、先端から後端へ向かう方向を正とする)が−5mm以上1.5mm以下の位置に形成されている、
ものである。
この本発明の第2のガスセンサは、ガス流路の素子側開口部がガス導入口に比較的近くなっている。そのため、本発明の第1のガスセンサの説明で上述した、素子開口部から出た被測定ガスがセンサ素子のガス導入口以外の表面に直接当たることを抑制したり、被測定ガスがセンサ素子の表面上を長い距離通過してからガス導入口に到達することを抑制したりする効果が得られる。これにより、センサ素子の冷えをより抑制することができる。また、ガス流路の素子側開口部がガス導入口に比較的近いことで、ガス濃度検出の応答性も向上させることができる。これらにより、応答性と保温性とを両立することができる。
本発明の第1,第2のガスセンサにおいて、外側ガス孔は複数形成されていてもよい。前記ガス流路は複数形成されていてもよい。ガス流路形成部材は、例えば円筒状の部材としてもよい。また、ガス導入口から素子側開口部までの距離A1は、センサ素子の後端−先端方向で、ガス導入口の開口の端部のうち最も素子側開口部に近い部分と、素子側開口部の端部のうち最もガス導入口に近い部分と、の距離とする。素子側開口部は、前記ガス導入口からの距離A1が正の値となる位置に形成されていてもよい。すなわち、ガス導入口よりもセンサ素子の後端方向に素子側開口部があるものとしてもよい。また、素子側開口部は、前記ガス導入口からの距離A1が負の値となる位置に形成されていてもよい。すなわち、ガス導入口よりもセンサ素子の先端方向に素子側開口部があるものとしてもよい(後端方向を上方向、先端方向を下方向、とした場合にガス導入口よりも下方向に素子側開口部があるものとしてもよい)。
本発明の第1,第2のガスセンサにおいて、前記ガス流路形成部材は、第1部材と第2部材とを有しており、前記ガス流路は、該第1部材と該第2部材との隙間としてもよい。この場合において、前記第1部材は、前記センサ素子を囲む第1円筒部を有しており、前記第2部材は、前記第1円筒部よりも大径の第2円筒部を有しており、前記ガス流路は、前記第1円筒部の外周面と前記第2円筒部の内周面との間の筒状の隙間としてもよい。こうすれば、ガス流路形成部材の第1円筒部と第2円筒部とを比較的簡易な形状としてガス流路を形成することができる。この場合において、前記第1円筒部の外周面と前記第2円筒部の内周面との少なくとも一方の面には、他方の面に向けて突出して該他方の面に接する複数の突出部が設けられていてもよい。こうすれば、突出部によって第1円筒部と第2円筒部との位置関係が固定されやすくなる。また、例えばガスセンサの組み立て時に第1部材から第2部材が脱落するのを抑制でき、ガスセンサを組み立てやすくなる。なお、前記複数の突出部は、前記他方の面を押圧していてもよい。こうすれば、突出部によって第1円筒部と第2円筒部との位置関係をより確実に固定できる。
第1部材と第2部材とを有する態様の本発明の第1,第2のガスセンサにおいて、前記第1部材は、前記センサ素子を囲む第1円筒部を有しており、前記第2部材は、前記第1円筒部よりも大径の第2円筒部を有しており、前記第1円筒部の外周面と前記第2円筒部の内周面とが接し、且つ、前記第1円筒部の外周面と前記第2円筒部の内周面との少なくとも一方に凹部が形成されており、前記ガス流路は、前記凹部により形成された隙間としてもよい。
本発明の第1,第2のガスセンサにおいて、前記ガス流路は、前記ガス流路形成部材を貫通する孔としてもよい。こうすれば、比較的容易にガス流路を形成することができる。
本発明の第1,第2のガスセンサにおいて、前記ガス流路は、前記外側ガス孔から前記センサ素子の前記ガス導入口に達するまでの前記被測定ガスの経路中に形成され、前記センサ素子の後端側から先端側へ向かい且つ前記センサ素子の後端−先端方向に平行な流路としてもよい。
本発明の第1,第2のガスセンサにおいて、前記ガス流路は、前記外側ガス孔から前記センサ素子の前記ガス導入口に達するまでの前記被測定ガスの経路中に形成され、前記センサ素子の後端側から先端側へ向かい且つ前記センサ素子の後端側から先端側に向かうにつれて該センサ素子に近づくように後端−先端方向から傾斜した流路としてもよい。
本発明の第1,第2のガスセンサにおいて、前記ガス流路は、前記ガス導入口の配置された空間側の開口部である素子側開口部の開口面積が、前記外側ガス孔の配置された空間側の開口部である外側開口部の開口面積よりも小さくてもよい。こうすれば、被測定ガスが外側開口部から流入して素子側開口部から流出することで、ガス流路への流入時と比べて流出時の被測定ガスの流速が高まる。そのため、ガス濃度検出の応答性を向上させることができる。
本発明の第1,第2のガスセンサにおいて、前記センサ素子は、前記ガス流路のうち前記ガス導入口の配置された空間側の開口部である素子側開口部から該ガス流路を仮想的に延長した領域以外の位置に、配置されていてもよい。こうすれば、素子側開口部から流出した被測定ガスがセンサ素子の表面に直接当たることをより抑制でき、センサ素子の冷えをより抑制できる。
本発明の第1,第2のガスセンサは、前記ガス流路のうち前記ガス導入口の配置された空間側の開口部である素子側開口部を通過する前記被測定ガスが前記センサ素子に直接向かうことを規制する規制部材を備えていてもよい。こうすれば、素子側開口部から流出した被測定ガスがセンサ素子の表面に直接当たりにくいため、センサ素子の冷えをより抑制できる。この場合において、ガス流路形成部材が規制部材を備えていてもよいし、規制部材がガス流路形成部材と独立した部材としてもよい。
本発明の第1,第2のガスセンサにおいて、前記ガス流路は、前記ガス導入口の配置された空間側の開口部である素子側開口部が、前記センサ素子の後端から先端へ向かう方向に開口し且つ該センサ素子の後端−先端方向に平行に開口していてもよい。なお、「素子側開口部がセンサ素子の後端−先端方向に平行に開口している」とは、換言すると「素子側開口部の開口面が、後端−先端方向に垂直である」ことを意味する。こうすれば、素子側開口部から流出した被測定ガスがセンサ素子の表面に直接当たることをより抑制でき、センサ素子の冷えをより抑制できる。
本発明の第1,第2のガスセンサは、前記外側保護カバーと前記センサ素子との間に配置され前記センサ素子の先端を覆う有底筒状の内側保護カバー、を備え、前記ガス流路形成部材は、前記内側保護カバーの少なくとも一部を構成していてもよい。この場合において、前記内側保護カバーには、前記ガス流路よりも前記センサ素子の先端方向に位置する内側ガス孔が形成されていてもよい。さらに、前記外側保護カバーは、前記外側ガス孔である第1外側ガス孔が形成された円筒状の胴部と、該第1外側ガス孔よりも前記センサ素子の先端方向に位置する第2外側ガス孔が形成され該胴部よりも内径の小さい有底筒状の先端部と、を有し、前記外側保護カバーの胴部と前記内側保護カバーとの間には、前記ガス流路により前記内側保護カバーの内部と連通する第1ガス室が形成されており、前記外側保護カバーの先端部と前記内側保護カバーとの間には、前記第1ガス室と直接には連通しておらず、前記内側ガス孔により前記内側保護カバーの内部と連通する第2ガス室が形成されていてもよい。
配管20へのガスセンサ100の取り付け状態の概略説明図である。 図1(b)のB−B断面図である。 図2のガス流路127周辺を拡大した部分断面図である。 図2のC−C断面図である。 図2のD視図である。 変形例のガスセンサ200の縦断面図である。 図6のE−E断面図である。 変形例のガスセンサ300の縦断面図である。 図8のF−F断面図である。 変形例のガスセンサ400の縦断面図である。 角孔144dの部分断面図である。 変形例のガスセンサ500の縦断面図である。 変形例のガスセンサ100aの縦断面図である。 図13のG−G断面図である。 第1円筒部134に突出部134aを設けた場合の断面図である。 変形例の突出部136aを示す説明図である。 変形例のガスセンサ100bの縦断面図である。 図17のH視図である。 実験例2のガスセンサの断面図である。 実験例2のガスセンサの断面図である。 図19のI視図である。 実験例5のガスセンサ200aの縦断面図である 実験例6のガスセンサ600の縦断面図である。 実験例11のガスセンサ700の縦断面図である。 実験例1〜22のヒーターパワーと応答時間とを示すグラフである。 実験例1,2,5,6,13,19,20,21の堆積時間と応答時間とを示すグラフである。
次に、本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。図1は配管20へのガスセンサ100の取り付け状態の概略説明図である。図1(a)は配管20の側面から見た状態の説明図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。図2は図1(b)のB−B断面図であり、図3は図2のガス流路127周辺を拡大した部分断面図である。図4は図2のC−C断面図である。図5は図2のD視図である。なお、図2は、説明の便宜上、図1(b)のB−B断面の一部を拡大して示している。
図1(a)に示すように、ガスセンサ100は車両のエンジンからの排気経路である配管20内に取り付けられており、エンジンから排出された被測定ガスとしての排気ガスに含まれるNOxやO2等のガス成分のうち少なくともいずれか1つの濃度を検出するようになっている。このガスセンサ100は、図1(b)に示すように、ガスセンサ100の中心軸が配管20内の被測定ガスの流れに垂直な状態で配管20内に固定されている。なお、ガスセンサ100の中心軸が配管20内の被測定ガスの流れに垂直且つ鉛直方向に対して所定の角度(例えば45°)だけ傾いた状態で配管20内に固定されていてもよい。
ガスセンサ100は、図2に示すように、被測定ガス中のガス成分の濃度を検出する機能を有するセンサ素子110と、このセンサ素子110を保護する保護カバー120とを備えている。また、ガスセンサ100は、金属製のハウジング102及び外周面におねじが設けられた金属製のナット103を備えている。ハウジング102は配管20に溶接され内周面にめねじが設けられた固定用部材22内に挿入されており、さらにナット103が固定用部材22内に挿入されることでハウジング102が固定用部材22内に固定されている。これにより、ガスセンサ100が配管20内に固定されている。
センサ素子110は、細長な長尺の板状体形状の素子であり、ジルコニア(ZrO2)等の酸素イオン伝導性固体電解質層からなる。センサ素子110は、被測定ガスを自身の内部に導入するガス導入口111を有しており、ガス導入口111から内部に流入した被測定ガスの所定のガス濃度(NOxやO2等の濃度)を検出可能に構成されている。本実施形態では、ガス導入口111は、センサ素子110の先端面(図2におけるセンサ素子110の下面)に開口しているものとした。センサ素子110は、センサ素子110を加熱して保温する温度調整の役割を担うヒーターを内部に備えている。このようなセンサ素子110の構造やガス成分の濃度を検出する原理は公知であり、例えば特開2008−164411号公報に記載されている。
保護カバー120は、センサ素子110の周囲を取り囲むように配置されている。この保護カバー120は、センサ素子110の先端を覆う有底筒状の内側保護カバー130と、内側保護カバー130を覆う有底筒状の外側保護カバー140とを有している。また、内側保護カバー130と外側保護カバー140とに囲まれた空間として第1ガス室122,第2ガス室126が形成され、内側保護カバー130に囲まれた空間としてセンサ素子室124が形成されている。なお、ガスセンサ100,センサ素子110,内側保護カバー130,外側保護カバー140の中心軸は同軸になっている。
内側保護カバー130は、金属(例えばステンレス鋼)製の部材であり、第1部材131と、第2部材135と、を備えている。第1部材131は、円筒状の大径部132と、円筒状で大径部132よりも径の小さい第1円筒部134と、大径部132と第1円筒部134とを接続する段差部133と、を有している。第2部材135は、第1円筒部134よりも径が大きい第2円筒部136と、第2円筒部136よりもセンサ素子110の先端方向(図2の下方向)に位置し円錐台を逆さにした形状の先端部138と、第2円筒部136と先端部138とを接続する接続部137と、を有している。また、先端部138の底面の中心には、センサ素子室124と第2ガス室126とに通じる円形の内側ガス孔138aが1つ形成されている。内側ガス孔138aの径は、特に限定するものではないが、例えば0.5mm〜2.6mmである。なお、大径部132,第1円筒部134,第2円筒部136,先端部138は中心軸が同一である。大径部132は、ハウジング102に内周面が当接しており、これにより第1部材131がハウジング102に固定されている。第2部材135は、接続部137の外周面が外側保護カバー140の内周面と当接しており溶接などにより固定されている。なお、先端部138の外径を外側保護カバー140の先端部146の内径よりわずかに大きく形成し、先端部138を先端部146内に圧入することで、第2部材135を固定してもよい。
この内側保護カバー130は、第1部材131と第2部材135との隙間であるガス流路127(図2〜4参照)を形成している。すなわち内側保護カバー130は、ガス流路127を形成するガス流路形成部材となっている。ガス流路127は、より具体的には、第1円筒部134の外周面と第2円筒部136の内周面との間の筒状の隙間として形成されている。ガス流路127は、外側保護カバー140の第1外側ガス孔144aからセンサ素子110のガス導入口111に達するまでの被測定ガスの経路中に位置している(経路の一部を構成している)。ガス流路127は、第1外側ガス孔144aの配置された空間である第1ガス室122側の開口部である外側開口部128と、ガス導入口111の配置された空間であるセンサ素子室124側の開口部である素子側開口部129と、を有している。外側開口部128は、素子側開口部129よりもセンサ素子110の後端側(図2の上側)に形成されている。そのため、第1外側ガス孔144aからガス導入口111に達するまでの被測定ガスの経路中で、ガス流路127はセンサ素子110の後端側(図2の上側)から先端側(図2の下側)へ向かう流路となっている。また、ガス流路127は、センサ素子110の後端−先端方向に平行な流路(図2における上下方向の流路)となっている。
素子側開口部129は、ガス導入口111からの距離A1(図3参照)が−5mm以上1.5mm以下の位置に形成されていることが好ましい。なお、距離A1は、センサ素子110の後端−先端方向(図2の上下方向)の距離であり、先端から後端へ向かう方向を正とする。また、距離A1は、センサ素子110の後端−先端方向で、ガス導入口111の開口の端部のうち最も素子側開口部129に近い部分と、素子側開口部129の端部のうち最もガス導入口111に近い部分と、の距離とする。例えば、図2においてガス導入口がセンサ素子110の側面に開口する横穴である場合、ガス導入口の開口の上端より上側に素子側開口部129が位置するときには、ガス導入口の開口の上端と素子側開口部129との距離が距離A1となり、距離A1は正の値となる。同様に、図2においてガス導入口がセンサ素子110の側面に開口する横穴である場合、ガス導入口の開口の下端より下側に素子側開口部129が位置するときには、ガス導入口の開口の下端と素子側開口部129との距離が距離A1となり、距離A1は負の値となる。なお、図2においてガス導入口がセンサ素子110の側面に開口する横穴である場合、ガス導入口の開口の上端と下端との間に素子側開口部129が位置するときには、距離A1は値0となる。本実施形態では、素子側開口部129は、距離A1が正の値となる位置に形成されているものとした。すなわち、ガス導入口111よりもセンサ素子110の後端方向(図2の上方向)に素子側開口部129が形成されているものとした。なお、素子側開口部129は、距離A1が負の値となる位置に形成されていてもよい。すなわち、ガス導入口111よりもセンサ素子110の先端方向(図2の下方向)に素子側開口部129があるものとしてもよい。また、素子側開口部129は、ガス導入口111から距離A2(図3参照)の位置に形成されている。なお、距離A2は、センサ素子110の先端−後端方向に垂直な方向(図2の左右方向)の距離である。また、距離A2は、センサ素子110の後端−先端方向に垂直な方向で、センサ素子110のうち最も素子側開口部129に近い部分と、素子側開口部129の端部のうち最もセンサ素子110に近い部分と、の距離とする。距離A2が大きいほど、センサ素子110と素子側開口部129とが離れるため、センサ素子110の冷えを抑制する効果が高まる傾向になる。特に限定するものではないが、距離A2は例えば0.6mm〜3.0mmである。また、素子側開口部129は、センサ素子110の後端から先端へ向かう方向に開口し且つセンサ素子110の後端−先端方向に平行に開口している。すなわち、素子開口部129は、図2の下方向(真下)に開口している。そのため、センサ素子110は、素子側開口部129からガス流路127を仮想的に延長した領域(図2における素子側開口部129の真下の領域)以外の位置に、配置されている。
外側開口部128は、第1外側ガス孔144aから距離A3(図3参照)の位置に形成されている。なお、距離A3は、センサ素子110の先端−後端方向(図2の上下方向)の距離であり、距離A1と同様に先端から後端へ向かう方向を正とする。また、距離A3は、センサ素子110の後端−先端方向で、第1外側ガス孔144aの開口の端部のうち最も外側開口部128に近い部分と、外側開口部128の端部のうち最も第1外側ガス孔144aに近い部分と、の距離とする。なお、本実施形態では、第1外側ガス孔144aは横孔144bと縦孔144cとが形成されており、図2の上下方向で素子側開口部129に最も近いのは横孔144bの上端であるため、図3に示すように横孔144bの上端と外側開口部128との距離が距離A3となる。例えば、図2の上下方向で縦穴144cの下端よりも下側に外側開口部128が位置するときには、縦穴144cの下端と外側開口部128との上下方向の距離が距離A3となる。なお、外側開口部128は、距離A3が正の値となる位置に形成されていてもよいし、負の値となる位置に形成されていてもよい。なお、距離A3は値0以上であることが好ましい。換言すると、外側開口部128は、第1外側ガス孔144aの少なくとも1以上よりもセンサ素子の後端側(図2の上側)にあることが好ましい。すなわち本実施形態では、縦穴144cの下端(段差部143bの下面)と同じかそれよりも上側に外側開口部128が位置することが好ましい。
第1円筒部134の外周面と第2円筒部136の内周面とは、素子開口部129において円筒の径方向に距離A4だけ離れており、外側開口部128において円筒の径方向に距離A5だけ離れている。距離A4,距離A5は、特に限定するものではないが、例えばそれぞれ0.3mm〜2.4mmである。この距離A4,距離A5の値を調整することで、素子側開口部129の開口面積や外側開口部128の開口面積を調整することができる。本実施形態では、距離A4と距離A5とは等しいものとし、素子側開口部129の開口面積と外側開口部128の開口面積とが等しいものとした。なお、本実施形態では、距離A4(距離A5)は、第1円筒部134の外径と第2円筒部136の内径との差の半分の値と同じである。また、素子側開口部129と外側開口部128との上下方向の距離、すなわちガス流路127の上下方向の距離L(ガス流路127の経路長に相当)は、特に限定するものではないが、例えば0mm超過6.6mm以下である。
センサ素子110の表面から保護カバー120までの最短距離を距離A6とすると(図3参照)、距離A6が大きいほど、センサ素子110の冷えを抑制する効果が高まる傾向になる。これは、距離A6が小さい(センサ素子110と保護カバー120とが近い)ほど、センサ素子110のヒーターからの熱が保護カバー120に奪われやすくなるからである。なお、本実施形態では、保護カバー120のうちセンサ素子110に最も近いのは、内側保護カバー130の第1円筒部134の内周面である。そのため、図3に示すように、距離A6はセンサ素子110の側面と第1円筒部134の内周面との径方向(図3の左右方向)の距離となる。なお、距離A6はセンサ素子110から保護カバー120との最短距離であるため、保護カバーの形状によってはセンサ素子110と保護カバーとの軸方向(図3の上下方向)の距離が距離A6となるなど、距離A6は図3の左右方向の距離に限られない。特に限定するものではないが、距離A6は例えば0.6mm〜3.0mmである。また、保護カバー120の厚さが厚いほど、すなわち保護カバー120の熱容量が大きいほど、ヒーターからの熱が保護カバー120に奪われやすくなる傾向にある。本実施形態では、内側保護カバー130がセンサ素子110に近いため、内側保護カバー130の厚さが厚いほど、ヒーターからの熱が保護カバー120に奪われやすい。したがって、距離A6が大きいほど、また保護カバー120(特に内側保護カバー130)の厚さが薄いほど、センサ素子110の保温性は高まる傾向にある。
外側保護カバー140は、金属(例えばステンレス鋼)製の部材であり、円筒状の大径部142と、大径部142に接続しており大径部142よりも径の小さい円筒状の胴部143と、有底筒状で胴部143よりも内径の小さい先端部146とを有している。また、胴部143は、外側保護カバー140の中心軸方向(図2の上下方向)に沿った側面をもつ側部143aと、胴部143の底部であり側部143aと先端部146とを接続する段差部143bと、を有している。なお、大径部142,胴部143,先端部146の中心軸はいずれも内側保護カバー130の中心軸と同一である。大径部142は、ハウジング102及び大径部132に内周面が当接しており、これにより外側保護カバー140がハウジング102に固定されている。胴部143は、第1円筒部134,第2円筒部136の外周を覆うように位置している。先端部146は、先端部138を覆うように位置していると共に、内周面が接続部137の外周面と当接している。この外側保護カバー140は、胴部143に形成された複数(本実施形態では12個)の第1外側ガス孔144aと、先端部146に形成された複数(本実施形態では6個)の第2外側ガス孔147aとを有している。
第1外側ガス孔144aは、外側保護カバー140の外側と第1ガス室122とに通じる孔である。第1外側ガス孔144aは、側部143aに等間隔に形成された複数(本実施形態では6個)の横孔144bと、段差部143bに等間隔に形成された複数(本実施形態では6個)の縦孔144cとを有している(図2,4,5参照)。この第1外側ガス孔144a(横孔144b及び縦孔144c)は、円形(真円)に開けられた孔である。この12個の第1外側ガス孔144aの径は、特に限定するものではないが、例えば0.5mm〜1.5mmである。なお、本実施形態では、複数の第1外側ガス孔144aの径はいずれも同じ値であるものとしたが、横孔144bと縦孔144cとで径が異なっていてもよいし、複数の横孔144b間や複数の縦孔144c間で径が異なっていてもよい。また、本実施形態では、複数の横孔144bは図2における上下方向の位置がいずれも同じであり、複数の縦孔144cは図4における外側保護カバー140の中心軸からの距離がいずれも同じであるものとしたが、特にこれに限らない。なお、第1外側ガス孔144aは、図4に示すように、外側保護カバー140の周方向に沿って見たときに横孔144bと縦孔144cとが交互に等間隔に位置するように形成されている。すなわち、図4における横孔144bの中心と外側保護カバー140の中心軸とを結んだ線と、その横孔144bに隣接する縦孔144cの中心と外側保護カバー140の中心軸とを結んだ線と、のなす角が30°(360°/12個)となっている。
第2外側ガス孔147aは、外側保護カバー140の外側と第2ガス室126とに通じる孔である。この第2外側ガス孔147aは、先端部146の側部に等間隔に形成された複数(本実施形態では3個)の横孔147bと、先端部146の底部に外側保護カバー140の周方向に沿って等間隔に形成された複数(本実施形態では3個)の縦孔147cとを有している(図2,5参照)。この第2外側ガス孔147a(横孔147b及び縦孔147c)は、円形(真円)に開けられた孔である。この6個の第2外側ガス孔147aの径は、特に限定するものではないが、例えば0.5mm〜2.0mmである。なお、本実施形態では、複数の第2外側ガス孔147aの径はいずれも同じ値であるものとしたが、横孔147bと縦孔147cとで径が異なっていてもよいし、複数の横孔147b間や複数の縦孔147c間で径が異なっていてもよい。また、本実施形態では、複数の横孔147bは図2における上下方向の位置がいずれも同じであり、複数の縦孔147cは外側保護カバー140の中心軸からの距離がいずれも同じであるものとしたが、特にこれに限らない。なお、第2外側ガス孔147aは、第1外側ガス孔144aと同様に、外側保護カバー140の周方向に沿って見たときに横孔147bと縦孔147cとが交互に等間隔に位置するように形成されている。すなわち、外側保護カバー140の中心軸に垂直な断面で見たときに、横孔147bの中心と外側保護カバー140の中心軸とを結んだ線と、その横孔14bに隣接する縦孔14cの中心と外側保護カバー140の中心軸とを結んだ線と、のなす角が60°(360°/6個)となっている。
第1ガス室122は、段差部133,第1円筒部134,第2円筒部136,大径部142,側部143a、段差部143bにより囲まれた空間である。センサ素子室124は、内側保護カバー130に囲まれた空間である。第2ガス室126は、先端部138と先端部146とに囲まれた空間である。なお、先端部146の内周面が接続部137の外周面と当接しているため、第1ガス室122と第2ガス室126とは直接には連通していない。また、先端部138の外側の底面と、先端部146の内側の底面とは、距離Bだけ離れている。距離Bが大きいほど、第2ガス室126の空間(容積)は大きくなる傾向にある。特に限定するものではないが、距離Bは例えば1.9mm〜9.0mmである。
こうして構成されたガスセンサ100が所定のガス濃度を検出する際の被測定ガスの流れについて説明する。配管20内を流れる被測定ガスは、まず、複数の第1外側ガス孔144a(横孔144b,縦孔144c)のいずれかを通って第1ガス室122内に流入する。次に、被測定ガスは、第1ガス室122から外側開口部128を経てガス流路127に流入し、ガス流路127を経て素子側開口部129から流出して、センサ素子室124に流入する。そして、被測定ガスがセンサ素子室124内のセンサ素子110のガス導入口111に到達すると、この被測定ガス中の所定のガス濃度(例えばNOxやO2等の濃度)に応じた電気信号(電圧又は電流)をセンサ素子110が発生させ、この電気信号に基づいてガス濃度が検出される。また、センサ素子室124内の被測定ガスは、内側ガス孔138aを通って第2ガス室126に流入し、そこから複数の第2外側ガス孔147aのいずれかを通って外部に流出する。なお、センサ素子110は、所定の温度を保つように内部のヒーターの出力が例えば図示しないコントローラによって制御される。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のガス導入口111が本発明のガス導入口に相当し、センサ素子110がセンサ素子に相当し、第1外側ガス孔144aが外側ガス孔に相当し、外側保護カバー140が外側保護カバーに相当し、ガス流路127がガス流路に相当し、内側保護カバー130がガス流路形成部材に相当する。
以上詳述した本実施形態によれば、ガスセンサ100は、内側保護カバー130によって、センサ素子110の先端を覆う外側保護カバー140に形成された第1外側ガス孔144aからセンサ素子110のガス導入口111に達するまでの被測定ガスの経路中に、センサ素子110の後端側から先端側へ向かい且つガス導入口111の配置されたセンサ素子室124に開口しているガス流路127が形成されている。このようなガス流路127が存在することで、ガスセンサ100の外部から外側ガス孔144a及びガス流路127をこの順に通過してセンサ素子室124に出た被測定ガスは、センサ素子110の後端側から先端側へ向かう流れ(図2の下方向の流れ)となる。そのため、ガス流路127を通過してセンサ素子室124に流入した被測定ガスが、センサ素子110の表面(ガス導入口111以外の表面)に直接当たることを抑制したり、センサ素子110の表面上を長い距離通過してからガス導入口111に到達することを抑制したりできる。すなわち、被測定ガスがセンサ素子110のガス導入口111以外の表面に直接当たりにくくしたり、当たったとしてもセンサ素子110の表面上を通過する距離を短くしたりすることができる。これにより、センサ素子110の冷えをより抑制することができる。しかも、センサ素子110の後端側から先端側へ向かうガス流路127を形成することでセンサ素子110の冷えを抑制しており、被測定ガスの流量や流速を減らしているわけではないため、ガス濃度検出の応答性の低下もより抑制できる。これらにより、応答性と保温性とを両立することができる。
また、素子側開口部129を、ガス導入口111からの距離A1が−5mm以上1.5mm以下の位置に形成すると、素子側開口部129がガス導入口111に比較的近くなる。そのため、ガス流路127を通過してセンサ素子室124に流入した被測定ガスがセンサ素子110のガス導入口111以外の表面に直接当たることを抑制したり、センサ素子110の表面上を長い距離通過してからガス導入口111に到達することを抑制したりする効果が高まる。また、素子側開口部129がガス導入口に比較的近いことで、ガス濃度検出の応答性も向上させることができる。なお、距離A1を−5mm以上1.5mm以下とすることで、これらの効果をより高めることができる。
さらに、内側保護カバー130は、第1部材131と第2部材135とを有しており、ガス流路127は、第1部材131と第2部材135との隙間として形成されている。そして、第1部材131は、センサ素子110を囲む第1円筒部134を有しており、第2部材135は、第1円筒部134よりも大径の第2円筒部136を有しており、ガス流路127は、第1円筒部134の外周面と第2円筒部136の内周面との間の筒状の隙間として形成されている。これにより、第1円筒部134と第2円筒部136とを比較的簡易な形状としてガス流路127を形成することができる。
さらにまた、センサ素子110は、素子側開口部129からガス流路127を仮想的に延長した領域以外の位置に配置されている。これにより、素子側開口部129からセンサ素子室124に流出した被測定ガスがセンサ素子110の表面に直接当たることをより抑制でき、センサ素子110の冷えをより抑制できる。
そしてまた、ガス流路127は、素子側開口部129が、センサ素子110の後端から先端へ向かう方向に開口し且つセンサ素子110の後端−先端方向に平行に開口している。これにより、素子側開口部129からセンサ素子室124に流出した被測定ガスがセンサ素子110の表面に直接当たることをより抑制でき、センサ素子110の冷えをより抑制できる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実現し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、ガス流路127は、第1外側ガス孔144aからガス導入口111に達するまでの被測定ガスの経路中に、センサ素子110の後端側から先端側へ向かう流路を形成しているものとしたが、これに限られない。距離A1が−5mm以上1.5mm以下である場合には、センサ素子110の後端側から先端側へ向かう流路を形成していなくともよい。図6は変形例のガスセンサ200の縦断面図であり、図7は図6のE−E断面図である。なお、図6,7では、ガスセンサ100と同じ構成要素については同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。図6,7に示すように、ガスセンサ200は、内側保護カバー230を備えている。内側保護カバー230は、1つの部材からなるものであり、内側保護カバー130と比べて第1円筒部134,第2円筒部136,接続部137を備えない代わりに、円筒部234を備えている。円筒部234は、大径部132よりも径が小さく、段差部133を介して大径部132に接続されている。また、円筒部234は、先端部138と接続されている。円筒部234の中心軸は、先端部138や外側保護カバー140の中心軸と同軸である。円筒部234には、長方形に開口した複数(図6,図7では6個)の貫通孔が形成されており、この孔の内部がガス流路227となっている。ガス流路227は、図7に示すように、円筒部234の外周に沿って等間隔に形成されている。ガス流路227は、センサ素子110の先端−後端方向に垂直な方向(図6の左右方向)の流路として形成されている。また、ガス流路227は、円筒部234の中心軸に垂直な断面で見て中心軸に向かう方向(径方向)の流路として形成されている。なお、ガス流路227のうち円筒部234の内側の開口が素子側開口部に相当し、外側の開口が外側開口部に相当する。このような図6の左右方向の貫通孔により形成されたガス流路227でも、距離A1を−5mm以上1.5mm以下とすることで、素子側開口部がガス導入口111に比較的近くなる。そのため、上述した実施形態と同様に、被測定ガスがガス導入口111以外の表面に直接当たることを抑制したり、センサ素子110の表面上を長い距離通過してからガス導入口111に到達することを抑制したりすることができる。また、素子側開口部がガス導入口に比較的近いことで、ガス濃度検出の応答性も向上させることができる。なお、変形例のガスセンサ200における距離A1は、図6に示すように、ガス導入口111からガス流路227の素子側開口部の下端までの上下方向の距離となる。同様に距離A2は、図6に示すように、センサ素子110の端部(図6の左端)からガス流路227の素子側開口部までの左右方向の距離となる。距離A2は、センサ素子110の端部から円筒部234の内周面までの距離と等しい。また、図6のガスセンサ200においてセンサ素子110に最も近いのは円筒部234の内周面であり、距離A6は距離A2と等しい。なお、円筒部234には、ガス流路227を経てセンサ素子室124に流入する被測定ガスの流れを規制する板状の規制部材227aが等間隔に複数(本実施形態では6箇所)形成されている(図7参照)。規制部材227aは、図7に示すように、複数のガス流路227と1対1に対応しており、規制部材227aは対応するガス流路227とセンサ素子110との間に位置するように形成されている。また、複数の規制部材227aは、回転対称(本実施形態では6回対称)となるように形成されている。また、規制部材227aの規制面とガス流路227の外側開口面とのなす角θ1(図7参照)は、ガス流路227の素子側開口部を通過する被測定ガスがセンサ素子110に直接向かうことを規制するような角度に設定されている。こうすることで、素子側開口部から流出した被測定ガスがセンサ素子110の表面に直接当たりにくくなるため、センサ素子110の冷えをより抑制できる。なす角θ1は、例えば20°以上70°以下としてもよく、25°以上67.5°以下としてもよい。なお、変形例のガスセンサ200のようにガス流路形成部材である内側保護カバー130が規制部材227aを備えていてもよいし、規制部材227aが内側保護カバー130と独立した部材としてもよい。
上述した実施形態では、ガス流路127は、第1円筒部134の外周面と第2円筒部136の内周面との間の筒状の隙間として形成されているものとしたが、第1部材131と第2部材135との隙間としてガス流路が形成されていれば、これに限られない。例えば、第1円筒部の外周面と第2円筒部の内周面とが接し、且つ、第1円筒部の外周面と第2円筒部の内周面との少なくとも一方に凹部が形成されており、ガス流路は、凹部により形成された隙間としてもよい。図8は、この場合の変形例のガスセンサ300の縦断面図であり、図9は図8のF−F断面図である。なお、図8,9では、ガスセンサ100と同じ構成要素については同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。図8,9に示すように、ガスセンサ300は、内側保護カバー330を備えている。内側保護カバー330は、第1部材331と、第2部材135と、を備えている。第1部材331は、第1部材131と比べて第1円筒部134を備えない代わりに第1円筒部334を備えている。第1円筒部334は、段差部133を介して大径部132と接続されている。第1円筒部334は、外径が第2円筒部13の内径と略等しく、第1円筒部334の外周面と第2円筒部13の内周面とが接している。また、第1円筒部334の外周には、複数(図8,図9では4個)の凹部334aが等間隔に形成されている。この凹部334aは、センサ素子110の先端−後端方向に垂直な断面で見たときに、半円状,円弧状などの形状をした溝である。凹部334aは、各々が第1円筒部334の軸方向の一端から他端までにわたって形成されている(ただし、段差部133側すなわち図8における第1円筒部334の上端は貫通していない)。この内側保護カバー330は、凹部334aと第2円筒部136の内周面との間の隙間であるガス流路327を形成している。ガス流路327は、図9からもわかるように、凹部334aの数に応じて複数(図8,図9では6個)形成されており、縦孔形状に形成されている。このガス流路327は、第1ガス室122側の開口部である外側開口部328と、センサ素子室124側の開口部である素子側開口部329と、を有している。ガス流路127は、センサ素子110の後端−先端方向に平行な流路(図2における上下方向の流路)となっている。また、素子開口部329は、図8の下方向(真下)に開口しており、素子側開口部329からガス流路327を仮想的に延長した領域(図8における素子側開口部329の真下の領域)以外の位置に、センサ素子110が配置されている。このガスセンサ300においても、第1外側ガス孔144aからガス導入口111に達するまでの被測定ガスの経路中に、センサ素子110の後端側から先端側へ向かい且つセンサ素子室124に開口しているガス流路327が形成されているため、上述した実施形態と同様に応答性と保温性とを両立することができる。なお、ガスセンサ300においても、上述した実施形態と同様に距離A1〜A6,距離B,距離Lを適宜調整して、それによる上述した効果を得ることができる。また、図8,9では第1部材331が凹部を有するものとしたが、第2部材135に凹部を形成して第2部材135の凹部と第1部材の外周面との隙間をガス流路としてもよい。あるいは、第1部材331と第2部材135に共に凹部を形成して、第1部材331の凹部と第2部材135の凹部との隙間をガス流路としてもよい。また、凹部の形状は図9に示した形状に限らず、例えば断面が矩形状としてもよい。
上述した実施形態では、ガス流路127は、センサ素子110の後端−先端方向に平行な流路(図2における上下方向の流路)としたが、これに限られない。例えば、ガス流路は、センサ素子の後端側から先端側に向かうにつれてセンサ素子に近づくように後端−先端方向から傾斜した流路としてもよい。図10は、この場合の変形例のガスセンサ400の縦断面図である。なお、図10では、ガスセンサ100と同じ構成要素については同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。図10に示すように、ガスセンサ400は、内側保護カバー430を備えている。内側保護カバー430は、第1部材431と、第2部材435と、を備えている。第1部材431は、第1部材131と比べて、第1円筒部134を備えない代わりに、円筒状の胴部434aと、センサ素子110の後端側から先端側に向かうにつれて縮径する円筒状の第1円筒部434bと、を備えている。胴部434aは、段差部133を介して大径部132と接続されている。第1円筒部434bは、センサ素子110の後端側の端部で胴部434aと接続されている。第2部材435は、第2部材135と比べて、第2円筒部136を備えない代わりに、センサ素子110の後端側から先端側に向かうにつれて縮径する円筒状の第2円筒部436を備えている。第2円筒部436は、接続部137を介して先端部138と接続されている。第1円筒部434bの外周面と第2円筒部436の内周面とは接しておらず、両者により形成される隙間がガス流路427となっている。ガス流路427は、第1ガス室122側の開口部である外側開口部428と、センサ素子室124側の開口部である素子側開口部429と、を有している。このガス流路427は、第1円筒部434b及び第2円筒部436の形状のために、センサ素子110の後端側から先端側に向かうにつれてセンサ素子110に近づくように(内側保護カバー130の中心軸に近づくように)後端−先端方向から傾斜した流路となっている。また、ガス流路427の幅がセンサ素子110の後端側から先端側に向かうにつれて狭くなるように構成されている。そのため、素子側開口部429の開口面積は外側開口部42の開口面積よりも小さい。換言すると、図3で説明したガス流路427の距離A5よりも、距離A4の方が小さくなっている。このガスセンサ400においても、第1外側ガス孔144aからガス導入口111に達するまでの被測定ガスの経路中に、センサ素子110の後端側から先端側へ向かい且つセンサ素子室124に開口しているガス流路427が形成されているため、上述した実施形態と同様に応答性と保温性とを両立することができる。また、被測定ガスの出口側となる素子側開口部429の開口面積が外側開口部428の開口面積よりも小さいため、被測定ガスが外側開口部428から流入して素子側開口部429から流出することによりガス流路への流入時と比べて流出時の被測定ガスの流速が高まる。そのため、ガス濃度検出の応答性をより向上させることができる。なお、ガス流路427を必ずしもセンサ素子110の後端−先端方向から傾斜させなくとも、素子側開口部429の開口面積が外側開口部428の開口面積よりも小さければ、それにより応答性を向上させる効果が得られる。
上述した実施形態では、内側保護カバー130がガス流路形成部材であるものとしたが、これに限られない。例えば、内側保護カバー130がガス流路形成部材以外の別の部材を有しており、ガス流路形成部材は内側保護カバー130の一部であるものとしてもよい。具体的には、例えば先端部138が第2円筒部136とは別の部材として構成されていてもよい。その場合、第1部材131と第2円筒部136とがガス流路形成部材に相当し、ガス流路形成部材と先端部138とが内側保護カバー130に相当する。あるいは、ガス流路形成部材が内側保護カバー130とは別に存在してもよい。
上述した実施形態では、ガス導入口111は、センサ素子110の先端面(図2におけるセンサ素子110の下面)に開口しているものとしたが、これに限られない。例えば、センサ素子110の側面(図2におけるセンサ素子110の左面や右面など)に開口していてもよい。
上述した実施形態では、ガス流路127は、第1円筒部134の外周面と第2円筒部136の内周面との間の筒状の隙間として形成されているものとしたが、2つの部材の隙間に限らず、3つ以上の部材の隙間として形成されていてもよい。あるいは、1つの部材からなるガス流路形成部材に貫通孔が形成されており、この孔がガス流路127となっていてもよい。
上述した実施形態における外側保護カバー140の形状や第1外側ガス孔144a,第2外側ガス孔147aの形状,個数,配置などは、上述した態様に限らず適宜変更してもよい。例えば外側保護カバー140は有底筒状でなくともよい。具体的には、先端部146の底面がなく、外側保護カバー140を筒状としてもよい。また、第1外側ガス孔144aは横孔144bと縦孔144cとを有するものとしたが、いずれか一方のみを有するものとしてもよい。また、横孔144b及び縦孔144cに加えて又は代えて、側部143aと段差部143bとの境界の角部に第1外側ガス孔を形成してもよい。例えば、図11に示す角孔144dを形成してもよい。この角孔144dは、側部143aと段差部143bとの境界の角部に形成され、角孔144dの外部開口面(図11の直線a)と段差部143bの底面(下面)(図11の直線b)とのなす角θ2が10°〜80°の範囲の値(図11では45°)となっている。また、角孔144dの内周面と外部開口面とのなす角が90°となっている。第2外側ガス孔147aについても、同様に横孔,縦孔,角孔のいずれか1以上を有するものとしてもよい。内側保護カバー130の形状や、内側ガス孔138aの形状,個数,配置なども、外側保護カバー140と同様に適宜変更してもよい。例えば、内側保護カバー130は有底筒状でなくともよい。具体的には、先端部138の底面がなく、内側保護カバー13(第2部材135)を筒状としてもよい。例えば、図12に示す内側保護カバー530の構成を採用してもよい。図12は、変形例のガスセンサ500の縦断面図である。ガスセンサ500は、内側保護カバー530を備えている。内側保護カバー530は、第1部材131と、第2部材535と、を備えている。第2部材535は、第2部材135と比べて、先端部138を備えない代わりに先端部538を備えている。先端部538は、第2円筒部136よりも径の小さい有底筒状の部材である。先端部538は、接続部137を介して第2円筒部136に接続されている。先端部538の底面の中心には、センサ素子室124と第2ガス室126とに通じる円形の内側ガス孔538aが1つ形成されている。
上述した実施形態において、第2円筒部136の内周面に突出部を設けてもよい。図13は、変形例のガスセンサ100aの縦断面図である。図14は、図13のG−G断面図である。なお、図13は、図2と同じ断面を示している。このガスセンサ100aでは、第2円筒部136の内周面に、第1円筒部134の外周面に向けて突出してこの外周面に接している複数の突出部136aが形成されている。図14に示すように、突出部136aは3箇所設けられ、第2円筒部136の内周面の周方向に沿って均等に配置されている。突出部136aは、略半球形状に形成されている。このような突出部136aが設けられていることで、ガスセンサ100aでは、突出部136aによって第1円筒部134と第2円筒部136との位置関係が固定されやすくなる。また、例えばガスセンサ100aの組立時に、ハウジング102に第1部材131を固定した後、突出部136aを介して第1部材131に第2部材135を取り付けることができる。そのため、その後のガスセンサ100aの組立工程(例えば外側保護カバー140の取付時)などにおいて、第1部材131から第2部材135が脱落するのを抑制でき、ガスセンサ100aを組み立てやすくなる。なお、突出部136aは、第1円筒部134の外周面を径方向内側に向けて押圧していることが好ましい。こうすれば、突出部136aによって第1円筒部134と第2円筒部136との位置関係をより確実に固定できる。このような突出部136aは、例えば第2円筒部136の外周面を中心に向かって押圧して内周面の一部を突出させることで形成してもよいし、突出部136aを有する形状の第2円筒部136を金型を用いて一体的に形成してもよい。なお、図14では突出部136aは3個としたが、第1円筒部134と第2円筒部136との位置関係を固定できればよく、突出部136aを2個としてもよいし、4個以上としてもよい。なお、第1円筒部134と第2円筒部136との固定が安定化しやすいため、突出部136aは3個以上とすることが好ましい。また、突出部は、第1円筒部134の外周面と第2円筒部136の内周面との少なくとも一方の面に形成されて他方の面に接していればよい。例えば図15に示すように、第1円筒部134の外周面に、第2円筒部136の内周面に向けて突出してこの内周面に接している複数(図15では3個)の突出部134aを設けてもよい。また、第1円筒部134の外周面と第2円筒部136の内周面との両方に突出部を設けてもよい。また、図13では、第2円筒部136のうち突出部136aが形成されている部分の外周面は内側に窪んでいるものとしたが、これに限られない。例えば図16に示すように、第2円筒部136のうち突出部136aが形成されている部分の外周面に窪みがないものとしてもよい。また、突出部は半球形状に限らずどのような形状であってもよい。
また、図13,図14に示したガスセンサ100aでは、センサ素子110の表面の少なくとも一部が多孔質保護層110aで覆われている(図15,図16でも図示した)。この多孔質保護層110aは、センサ素子110の6つの表面のうち5面に形成されて、センサ素子室124内に露出した表面のほとんどを覆っている。具体的には、多孔質保護層110aは、センサ素子110のうちガス導入口111が形成された先端面(図13の下面)を全て覆っている。また、多孔質保護層110aは、センサ素子110の先端面に接続される4つの表面(図14のセンサ素子110における上下左右の面)のうちセンサ素子110の先端面に近い側を覆っている。多孔質保護層110aは、センサ素子110を被覆して、その部分を保護するものである。例えば、多孔質保護部110aは、被測定ガス中の水分等が付着してセンサ素子110にクラックが生じるのを抑制する役割を果たす。また、多孔質保護層110aは、被測定ガスに含まれるオイル成分等がセンサ素子110の表面の図示しない電極等に付着するのを抑制する役割を果たす。多孔質保護層110aは、例えばアルミナ多孔質体、ジルコニア多孔質体、スピネル多孔質体、コージェライト多孔質体,チタニア多孔質体、マグネシア多孔質体などの多孔質体からなる。多孔質保護層110aは、例えばプラズマ溶射,スクリーン印刷,ディッピングなどにより形成することができる。なお、多孔質保護層110aは、ガス導入口111も覆っているが、多孔質保護層110aが多孔質体であるため、被測定ガスは多孔質保護層110aの内部を流通してガス導入口111に到達可能である。なお、ガスセンサ100aに限らず、上述した実施形態のガスセンサ100など他の形態のガスセンサにおいても、センサ素子110の表面が多孔質保護層で覆われていてもよい。
上述した実施形態において、先端部146の軸方向長さを短くして、距離Bを図2と比べて小さくしてもよい。図17は、この場合の変形例のガスセンサ100bの縦断面図である。図18は、図17のH視図である。なお、図17は、図2と同じ断面を示している。このガスセンサ100bでは、先端部146の軸方向長さが短く、距離Bが小さい値になっている。特にこれに限定するものではないが、距離Bは、例えば0.6mmとしてもよい。また、ガスセンサ100bでは、第1外側ガス孔144aとして縦孔144cが12個等間隔に形成され、第2外側ガス孔147aとして縦穴147cが6個等間隔に形成されている。図2に示した横孔144bや横孔147bは、ガスセンサ100bでは形成されていない。
[実験例1]
図1〜5に示したガスセンサ100を実験例1とした。具体的には、内側保護カバー130の第1部材131は、板厚が0.3mm、軸方向長さが10.0mm、大径部132の軸方向長さが1.8mm、大径部の外径が8.2mm、第1円筒部134の軸方向長さが8.1mm、第1円筒部134の外径が7.7mmとした。第2部材135は、板厚が0.3mm、軸方向長さが11.5mm、第2円筒部136の軸方向長さが4.5mm、第2円筒部136の内径が8.7mm、先端部138の軸方向長さが4.9mm、先端部138の底面の径が2.5mmとした。ガス流路127に関して、距離A1は0.5mm、距離A2は1.9mm、距離A3は2.8mm、距離A4,A5はいずれも0.5mm、距離A6は1.6mm、距離Lは4mmとした。内側ガス孔138aは、径1.5mmの縦穴とし、先端部138の底面の中心に形成した。外側保護カバー140は、板厚が0.4mm、軸方向長さが24.2mm、大径部142の軸方向長さが6.1mm、大径部142の外径が15.2mm、胴部143の軸方向長さが8.5mm、胴部143の外径が14.6mm、先端部146の軸方向長さが9.6mm、先端部146の外径が8.7mmとした。第1外側ガス孔144aは、径1mmの横孔144bを6個、径1mmの縦孔144cを6個、それぞれ交互に等間隔(隣接する孔のなす角が30°)に形成した。第2外側ガス孔147aは、径1mmの横孔147bを3個、径1mmの縦孔147cを3個、それぞれ交互に等間隔(隣接する孔のなす角が60°)に形成した。距離Bは2.7mmとした。また、ガスセンサ100のセンサ素子110は、幅(図2における左右長さ)が4mm、厚さ(図2における紙面に直交する方向の長さ)が1.5mmであり、酸素濃度を検出するものとした。なお、ガス導入口111がセンサ素子110の先端面に開口しているものを用いた。
[実験例2]
第1外側ガス孔144aとして径1mmの縦孔144cを12個等間隔に形成し、第2外側ガス孔147aとして径1mmの縦穴147cを6個等間隔に形成し、先端部138の軸方向長さを大きくして距離Bを0.6mmとした点以外は、実験例1と同様のガスセンサを実験例2とした。なお、ガス流路127に関して、距離A1は0.5mm、距離A2は1.9mm、距離A3は4.6mm、距離A4,A5はいずれも0.5mm、距離A6は1.6mm、距離Lは4mmとした。なお、実験例2の距離A3は、縦穴144cのセンサ素子後端側(図19の上側)の端部から外側開口部128までの図19の上下方向の距離である。図19,図20は、実験例2のガスセンサの断面図である。なお、図19,図20は、図2,図4と同じ断面を示している。図21は、図19のI視図である。
[実験例3]
図8,9に示したガスセンサ300を実験例3とした。外側保護カバー140は、実験例2と同じ構成のものを用いた。内側保護カバー330のうち、第2部材135は実験例2と同じものを用い、距離Bは0.6mmとした。第1部材331は、凹部334aを等間隔に6個形成して、センサ素子110の先端−後端方向に垂直な断面積が2.7mm2のガス流路327を4個形成した。ガス流路327に関して、距離A1は0.5mm、距離A2は1.3mm、距離A3は2.8mm、距離A6は1.0mm、距離Lは4mmとした。なお、実験例3では、センサ素子110に最も近いのは第1円筒部334であるため、センサ素子110と第1円筒部334の内周面との最短距離が距離A6となる。
[実験例4]
図6,7に示したガスセンサ200を実験例4とした。外側保護カバー140は、実験例1と同じ構成のものを用いた。内側保護カバー230は、板厚が0.3mm、軸方向長さが17.7mm、大径部132の軸方向長さが1.8mm、大径部の外径が8.2mm、円筒部234の軸方向長さが9.3mm、円筒部234の外径が8.2mm、先端部138の軸方向長さが4.9mm、先端部138の底面の径が2.5mmとした。距離Bは2.7mmとした。外部開口面積が0.479mm2の矩形状をした貫通孔を円筒部234に等間隔に6個形成してガス流路227とし、距離A1が0.5mm、距離A2(=距離A6)が1.8mmとした。また、ガス流路227には、それぞれ規制部材227aを対応して形成した。なす角θ1は、38°とした。
[実験例5]
図22に示したガスセンサ200aを実験例5とした。図22のガスセンサ200aは、ガス流路227及び規制部材227aの形成位置をセンサ素子110のより後端側の位置に形成した(距離A1を大きくした)点、内側ガス孔138aの径を小さくした点、第1外側ガス孔144aとして縦穴144cを備えず径1mmの横孔144bを6個等間隔に形成し、第2外側ガス孔147aとして縦穴147cを備えず径1mmの横孔147bを6個等間隔に形成した点、以外は図6,7に示したガスセンサ200(実験例4)と同様の構成とした。なお、内側保護カバー140は、距離A1を6.0mm、距離A2(センサ素子110から円筒部234の内周面までの距離であり、距離A6に等しい)を1.8mmとし、内側ガス孔138aの径を1mmとした。
[実験例6]
図23に示したガスセンサ600を実験例6とした。なお、図23では、ガスセンサ100と同じ構成要素については同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。ガスセンサ600は、内側保護カバー130の代わりに内側保護カバー630を備えている。内側保護カバー630は、大径部132と、円筒状で大径部132よりも径の小さい第1胴部634と、円筒状で第1胴部634よりも径の小さい第2胴部636と、有底筒状で第2胴部636よりも径の小さい先端部638とを有している。大径部132と第1胴部634とは、段差部133により接続されている。また、内側保護カバー630は、第1胴部634と第2胴部636とを接続する段差部635と、第2胴部636と先端部638とを接続する段差部637とを有している。なお、大径部132,第1胴部634,第2胴部636,先端部638は中心軸が同一である。第1胴部634,第2胴部636は、センサ素子110の側面を覆うように位置している。第1胴部634には、図6で示したガス流路227と同様に長方形に開口した6個の貫通孔が形成されており、この孔の内部がガス流路627となっている。ガス流路627は、第1胴部634の外周に沿って等間隔に形成されている。ガス流路627は、センサ素子110の先端−後端方向に垂直な方向(図23の左右方向)の流路として形成されている。また、ガス流路627は、第1胴部634の中心軸に垂直な断面で見て中心軸に向かう方向(径方向)の流路として形成されている。第1胴部634には、規制部材227aと同様にガス流路627を経てセンサ素子室124に流入する被測定ガスの流れを規制する板状の規制部材627aが等間隔に6箇所形成されている。規制部材627aは、複数のガス流路627と1対1に対応しており、規制部材627aは対応するガス流路627とセンサ素子110との間に位置するように形成されている。また、複数の規制部材627aは、回転対称(6回対称)となるように形成されている。先端部638の側面には、センサ素子室124と第2ガス室126とに通じる内側ガス孔638aが等間隔に4箇所形成されている。内側保護カバー630は、板厚が0.3mm、軸方向長さが17.7mm、大径部132の軸方向長さが1.8mm、大径部132の外径が14.1mm、第1胴部634の軸方向長さが5.4mm、第1胴部634の外径が11.8mm、第2胴部636の軸方向長さが5.6mm、第2胴部636の外径が8.2mm、先端部638の軸方向長さが4.9mm、先端部638の外径が5.9mmとした。ガス流路627の外部開口面積は0.396mm2とした。また、距離A1が6.2mm、距離A2が3.6mmとした。なお、ガス流路627の素子側開口部は第1胴部634の内周面に位置するため、センサ素子110と第1胴部634の内周面との距離が距離A2となる。また、距離A6が1.8mmとした。なお、実験例6では、センサ素子110に最も近いのは第2胴部636であるため、センサ素子110と第2胴部636の内周面との最短距離が距離A6となる。規制部材627aの規制面とガス流路627の外側開口面とのなす角θ1は、38°とした。内側ガス孔638aは、径1mmの横孔とした。外側保護カバー140は、実験例1と同じ構成のものを用いた。ただし、第1ガス孔144a,第2ガス孔147aの代わりに、第1外側ガス孔644aとして径1mmの角孔644dを6個等間隔に形成し、第2外側ガス孔647aとして径1.2mmの角孔647dを6個等間隔に形成した。角孔644d,角孔647は、いずれも外部開口面と底面(段差部143b,先端部146の底面)とのなす角θ2を45°とした。距離Bは2.7mmとした。
[実験例7]
第1外側ガス孔144aとして径1mmの縦孔144cを等間隔に6個形成し、第2外側ガス孔147aとして径1mmの縦孔147cを等間隔に6個形成した点以外は、実験例5と同様の構成のガスセンサを実験例7とした。
[実験例8]
内側ガス孔138aの径を1.5mmとした点以外は、実験例5と同様の構成のガスセンサを実験例8とした。
[実験例9]
第1外側ガス孔644aとして、角孔644dの代わりに、径1mmの横孔144bを6個、径1mmの縦孔144cを6個、それぞれ交互に等間隔(隣接する孔のなす角が30°)に形成した。また、第2外側ガス孔647aとして、角孔647dの代わりに、径1mmの横孔147bを3個、径1mmの縦孔147cを3個、それぞれ交互に等間隔(隣接する孔のなす角が60°)に形成した。すなわち、第1外側ガス孔644a,第2外側ガス孔647aとして、実験例1の第1外側ガス孔144a,第2外側ガス孔147aと同様の孔を形成した。それ以外の点は、実験例6と同様の構成のガスセンサを実験例9とした。
[実験例10]
第1外側ガス孔144aは、径1mmの横孔144bを6個、径1mmの縦孔144cを6個、それぞれ交互に等間隔(隣接する孔のなす角が30°)に形成した。第2外側ガス孔147aは、径1mmの横孔147bを3個、径1mmの縦孔147cを3個、それぞれ交互に等間隔(隣接する孔のなす角が60°)に形成した。それ以外の点は、実験例5と同様の構成のガスセンサを実験例10とした。
[実験例11]
図24に示したガスセンサ700を実験例11とした。なお、図24では、図23のガスセンサ600と同じ構成要素については同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。ガスセンサ700は、内側保護カバー730を備えている。内側保護カバー730は、内側保護カバー630と比べて、第1胴部634,段差部635,第2胴部636を備える代わりに、胴部734を備えている。胴部734は、段差部133を介して大径部132と接続され、段差部637を介して先端部638と接続されている。すなわち、内側保護カバー730の形状は、図23の内側保護カバー630のうち第1胴部634の内径を第2胴部636の内径と等しくしたものに相当する。胴部734には、ガス流路627,規制部材627aと同様にガス流路727,規制部材727aを等間隔に形成した。ただし、ガス流路727,規制部材727aの数はそれぞれ3個とした。距離A1は6.2mm、距離A2(=距離A6)は1.8mm、距離Bは2.7mmとした。なお、実験例11では、センサ素子110に最も近いのは胴部734であり、胴部734の内周面にガス流路727の素子側開口部が位置するため、センサ素子110と胴部734の内周面との最短距離が距離A2(=距離A6)となる。また、外側保護カバー140には、実験例9と同様に、第1外側ガス孔644aとして、径1mmの横孔144bを6個、径1mmの縦孔144cを6個形成し、第2外側ガス孔647aとして、径1mmの横孔147bを3個、径1mmの縦孔147cを3個形成した。
[実験例12]
胴部734の内径を変更して距離A2(=距離A6)を2.5mmとした点以外は、実験例11と同様の構成のガスセンサを実験例12とした。
[実験例13]
実験例1のガスセンサから以下の点を変更したガスセンサを、実験例13とした。具体的には、第2円筒部136の内径を大きくすることで、距離A4,A5をいずれも1.0mmとした。第2円筒部136の軸方向長さをセンサ素子110の後端方向(図2の上方向)に長くすることで、距離Lを4.3mm,距離A3を3.1mmとした。
[実験例14]
実験例1のガスセンサから以下の点を変更したガスセンサを、実験例14とした。具体的には、第1円筒部134及び第2円筒部136の外径を大きくして、距離A4,A5の値は変えずに距離A2を2.4mmとし、距離A6を2.1mmとした。第2円筒部136の軸方向長さをセンサ素子110の後端方向(図2の上方向)に長くすることで、距離Lを4.3mm,距離A3を3.1mmとした。
[実験例15]
実験例13のガスセンサから以下の点を変更したガスセンサを、実験例15とした。具体的には、センサ素子110の取り付け位置をセンサ素子110の先端方向(図2の下方向)にずらして距離A1を1.0mmとした。
[実験例16]
実験例13のガスセンサから以下の点を変更したガスセンサを、実験例16とした。具体的には、センサ素子110の取り付け位置をセンサ素子110の後端方向(図2の上方向)にずらして距離A1を−0.6mmとした。
[実験例17]
実験例13のガスセンサから以下の点を変更したガスセンサを、実験例17とした。具体的には、第2円筒部136の軸方向長さをセンサ素子110の後端方向(図2の上方向)に長くすることで、距離Lを5.3mm,距離A3を4.1mmとした。
[実験例18]
実験例13のガスセンサから以下の点を変更したガスセンサを、実験例18とした。具体的には、第2円筒部136の軸方向長さを短くすることで、距離Lを3.3mm,距離A3を2.1mmとした。
[実験例19]
実験例2のガスセンサから以下の点を変更したガスセンサを、実験例19とした。具体的には、縦孔144c及び縦孔147cをいずれも径1.2mmとした。第2円筒部136の軸方向長さを長くすることで、距離Lを4.3mm,距離A3を4.9mmとした。
[実験例20]
実験例1のガスセンサから以下の点を変更したガスセンサを、実験例20とした。具体的には、第2円筒部136の軸方向長さをセンサ素子110の後端方向(図2の上方向)に長くすることで、距離Lを4.3mm,距離A3を3.1mmとした。
[実験例21]
図17,図18に示したガスセンサ100bを、実験例21とした。具体的には、実験例1のガスセンサから以下の点を変更したガスセンサを、実験例21とした。第1外側ガス孔144aとして径1mmの縦孔144cを12個等間隔に形成し、第2外側ガス孔147aとして径1mmの縦穴147cを6個等間隔に形成した。また、先端部146の軸方向長さを短くして、距離Bを0.6mmとした。第2円筒部136の軸方向長さをセンサ素子110の後端方向(図2の上方向)に長くすることで、距離Lを4.3mm,距離A3を4.9mmとした。なお、実験例21の距離A3は、縦穴144cのセンサ素子後端側(図17の上側)の端部から外側開口部128までの図17の上下方向の距離である。
[実験例22]
実験例3のガスセンサから以下の点を変更したガスセンサを、実験例22とした。具体的には、第2円筒部136の軸方向長さをセンサ素子110の後端方向(図2の上方向)に長くすることで、距離Lを4.3mm,距離A3を3.1mmとした。
[評価試験1]
実験例1〜22のガスセンサについて、センサ素子の保温性及びガス濃度検出の応答性を評価した。具体的には、以下のように評価を行った。
実験例1〜22のガスセンサをそれぞれ図1と同様に配管に取り付けた。なお、配管の中は空気で満たした。そして、配管内を無風状態として310秒間放置し、その後、配管内に被測定ガスを所定の流速Vで流した。なお、実験例1における被測定ガスの流れの向きは、図2,3における左から右方向とした。実験例2〜22についても同様の向きとした。この場合におけるセンサ素子の出力の時間変化及びヒーターの投入パワーの変化を調べた。センサ素子の出力が最大値になったときに内側保護カバー内の空気が被測定ガスに全て置換されたとみなし、センサ素子の出力の最大値に対する割合を内側保護カバー内のガス置換率として求め、ガス置換率の時間変化とした。被測定ガスの所定の流速Vを45m/sとして、ガス置換率の時間変化を求めた。そして、被測定ガスを流し始めてから、ガス置換率が90%を超えるまでの、センサ素子110のヒーターの投入パワーの最大値をヒーターパワー(W)として測定した。なお、流速が急激に変化すると、センサ素子110が冷えることでヒーターパワーが高くなるため、この値が小さいということは、センサ素子110が冷えにくいすなわち保温効果が高いことを意味する。また、被測定ガスを流し始めて、ガス置換率が10%を超えたときから、ガス置換率が90%を超えるまでの経過時間をガス濃度検出の応答時間(s)とした。この応答時間が短いほどガス濃度検出の応答性が高いことを意味する。なお、ヒーターパワー及び応答時間の測定は、各実験例について複数回行い、各々の平均値を各実験例についてのヒーターパワー及び応答時間とした。
実験例1〜22について、外側保護カバー,内側保護カバーのそれぞれの孔やガス流路に関する値、距離A1,距離A2,距離A4,距離A6,距離B,距離L及び評価試験1の結果を、表1にまとめて示す。なお、表1のヒーターパワー及び応答時間は、上述した平均値であり、各々の測定回数についても表1に併せて示した。また、評価試験1の結果である実験例1〜22のヒーターパワー(平均値)と応答時間(平均値)とをプロットしたグラフを図25に示す。
表1及び図25から明らかなように、センサ素子110の後端側から先端側へ向かい且つガス導入口111の配置されたセンサ素子室124に開口しているガス流路を有さず、且つ、距離A1が−5mm以上1.5mm以下の範囲内にない実験例5〜12では、ヒーターパワーと応答時間との関係が図25の破線付近に位置しており、ヒーターパワーと応答時間とがトレードオフの関係にあることがわかった。一方、センサ素子110の後端側から先端側へ向かい且つガス導入口111の配置されたセンサ素子室124に開口しているガス流路を有する実験例1〜3,13〜22や、距離A1が−5mm以上1.5mm以下の範囲内にある実験例4では、図25の破線から外れてヒーターパワーが小さく且つ応答時間が短くなっていた。すなわち、トレードオフの関係から脱して、ガス濃度検出の応答性とセンサ素子の保温性とが両立できていた。
また、距離A2以外は同じ構成を有する実験例11と実験例12とを比較すると、距離A2が大きい実験例12の方がヒーターパワーは小さく保温性が高いが、応答時間も長くなっていた。一方、実験例2と実験例3とを比較すると、距離A2が大きい実験例2の方がヒーターパワーが小さく保温性が高くなっている一方、応答時間はあまり長くならなかった。このことから、センサ素子の後端側から先端側へ向かい且つガス導入口111の配置されたセンサ素子室に開口しているガス流路を有する態様では、応答の低下(応答時間が長くなる)をより抑制できると考えられる。なお、実験例2と実験例3とでは、距離A2以外にもガスセンサの構成が異なる部分があるが、実験例2から距離A2のみを小さい値に変更したガスセンサについて同様に実験を行った場合にも、実験例3とほぼ同じような結果になった。このことから、センサ素子の後端側から先端側へ向かい且つガス導入口111の配置されたセンサ素子室に開口しているガス流路を有する態様のガスセンサでは、距離A2を大きくすることで(すなわちガス流路の素子側開口部をセンサ素子から離すことで)、応答性をあまり低下させずに保温性を高めることができると考えられる。また、距離A6に関しても同様の傾向が見られた。すなわち、距離A6以外は同じ構成を有する実験例11と実験例12とを比較すると、距離A6が大きい実験例12の方がヒーターパワーは小さく保温性が高いが、応答時間も長くなっていた。一方、実験例2と実験例3とを比較すると、距離A6が大きい実験例2の方がヒーターパワーが小さく保温性が高くなっている一方、応答時間はあまり長くならなかった。
[評価試験2]
実験例1,2,5,6,13,19,20,21のガスセンサについて、排ガスのスートを所定時間堆積させたときの応答時間の変化を評価した。具体的には、以下のように評価を行った。
実験例1,2,5,6,13,19,20,21のガスセンサをそれぞれ図1と同様に配管(直径56mm)に取り付けた。そして、この配管に2.0Lディーゼルエンジンを接続して被測定ガスとしての排気ガスを流し、所定時間経過させた。この経過時間を堆積時間と称する。なお、ディーゼルエンジンの運転条件は、回転数2000rpm,トルク100N,排気ガス温度200℃とした。また、ガスセンサに対するディーゼルエンジンからの排気ガスの流れの向きは、評価試験1の被測定ガスの流れの向きと同じとした。そして、堆積時間が24時間となったときにディーゼルエンジンを停止し、評価試験1と同様にしてガスセンサの応答時間(s)を測定した。このときの応答時間を、堆積時間が24時間のときの応答時間とした。同様に、堆積時間が48時間のときの応答時間を測定した。なお、応答時間の測定は、各実験例,各堆積時間についてそれぞれ2回ずつ行い、2回の平均値を各実験例の各堆積時間についての応答時間とした。
評価試験2の結果を表2に示す。また、評価試験2の結果である実験例1,2,5,6,13,19,20,21の堆積時間と応答時間とをプロットしたグラフを図26に示す。なお、表2及び図26では、評価試験1で測定した応答時間を、堆積時間が0時間のときの応答時間として示した。
表2及び図26から明らかなように、実験例1,2,13,19,20,21では、実験例5,6と比べて堆積時間が長くなっても応答時間があまり変化しなかった。すなわち、実験例1,2,13,19,20,21では堆積時間が長くなっても応答時間が長くなりにくかった。実験例5では、評価試験2において内側保護カバー230の円筒部234に形成されたガス流路227(図22参照)にスートが堆積して根詰まりを起こしていた。実験例6についても、同様にガス流路627(図23参照)にスートが堆積して根詰まりを起こしていた。このスートの堆積によりガス流路227,627が閉塞した結果、実験例5,6の応答時間は堆積時間とともに長くなっていったと考えられる。一方、実験例1,2,13,19,20,21では、ガス流路127の外側開口部128(図3参照)にスートの堆積が見られたが、実験例5,6と比較するとガス流路127の閉塞はわずかであった。そのため、堆積時間が長くなっても応答時間の変化が比較的抑制されたと考えられる。
なお、実験例1〜4,13〜22が本発明の実施例に相当し、実験例5〜12が比較例に相当する。なお、本発明は上記の実施例に限定されない。
この出願は、2013年5月31日に出願された日本国特許出願第2013−116326号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
本発明は、例えば自動車の排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxや酸素などの所定のガス濃度を検出するガスセンサとして利用可能である。
20 配管、22 固定用部材、100,100a,100b ガスセンサ、102 ハウジング、103 ナット、110 センサ素子、110a 多孔質保護層、111 ガス導入口、120 保護カバー、122 第1ガス室、124 センサ素子室、126 第2ガス室、127 ガス流路、128 外側開口部、129 素子側開口部、130 内側保護カバー、131 第1部材、132 大径部、133 段差部、134 第1円筒部、134a 突出部、135 第2部材、136 第2円筒部、136a 突出部、137 接続部、138 先端部、138a 内側ガス孔、140 外側保護カバー、142 大径部、143 胴部、143a 側部、143b 段差部、144a 第1外側ガス孔、144b 横孔、144c 縦孔、146 先端部、147a 第2外側ガス孔、147b 横穴、147c 縦穴、200,200a ガスセンサ、230 内側保護カバー、234 円筒部、227 ガス流路、227a 規制部材、300 ガスセンサ、327 ガス流路、328 外側開口部、329 素子側開口部、330 内側保護カバー、331 第1部材、334 第1円筒部、334a 凹部、400 ガスセンサ、427 ガス流路、428 外側開口部、429 素子側開口部、430 内側保護カバー、431 第1部材、434a 胴部、第1円筒部434b、435 第2部材、436 第2円筒部、500 ガスセンサ、530 内側保護カバー、535 第2部材、538 先端部、538a 内側ガス孔、600 ガスセンサ、630 内側保護カバー、627 ガス流路、627a 規制部材、634 第1胴部、635 段差部、636 第2同部、637 段差部、638 先端部、638a 内側ガス孔、644a 第1外側ガス孔、644d 角孔、647a 第2外側ガス孔、647d 角孔、700 ガスセンサ、727 ガス流路、727a 規制部材、730 内側保護カバー、734 胴部。

Claims (15)

  1. 被測定ガスを導入するガス導入口を有し、該ガス導入口から内部に流入した該被測定ガスの所定のガス濃度を検出可能なセンサ素子と、
    外側から内側への前記被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔が形成され、前記センサ素子の先端を覆う外側保護カバーと、
    前記外側保護カバーと前記センサ素子との間に配置され、前記外側ガス孔から前記センサ素子の前記ガス導入口に達するまでの前記被測定ガスの経路中に前記センサ素子の後端側から先端側へ向かい且つ前記ガス導入口の配置された空間に開口しているガス流路を形成するガス流路形成部材と、
    を備え
    前記ガス流路は、前記ガス導入口の配置された空間側の開口部である素子側開口部が、前記センサ素子の後端から先端へ向かう方向に開口している、
    ガスセンサ。
  2. 前記ガス流路のうち前記ガス導入口の配置された空間側の開口部である素子側開口部は、前記ガス導入口からの距離A1(前記センサ素子の後端−先端方向の距離であり、先端から後端へ向かう方向を正とする)が−5mm以上1.5mm以下の位置に形成されている、
    請求項1に記載のガスセンサ。
  3. 前記ガス流路形成部材は、第1部材と第2部材とを有しており、
    前記ガス流路は、該第1部材と該第2部材との隙間である、
    請求項1又は2に記載のガスセンサ。
  4. 前記第1部材は、前記センサ素子を囲む第1円筒部を有しており、
    前記第2部材は、前記第1円筒部よりも大径の第2円筒部を有しており、
    前記ガス流路は、前記第1円筒部の外周面と前記第2円筒部の内周面との間の筒状の隙間である、
    請求項に記載のガスセンサ。
  5. 前記第1円筒部の外周面と前記第2円筒部の内周面との少なくとも一方の面には、他方の面に向けて突出して該他方の面に接する複数の突出部が設けられている、
    請求項に記載のガスセンサ。
  6. 前記第1部材は、前記センサ素子を囲む第1円筒部を有しており、
    前記第2部材は、前記第1円筒部よりも大径の第2円筒部を有しており、
    前記第1円筒部の外周面と前記第2円筒部の内周面とが接し、且つ、前記第1円筒部の外周面と前記第2円筒部の内周面との少なくとも一方に凹部が形成されており、
    前記ガス流路は、前記凹部により形成された隙間である、
    請求項に記載のガスセンサ。
  7. 前記ガス流路は、前記ガス流路形成部材を貫通する孔である、
    請求項1又は2に記載のガスセンサ。
  8. 前記ガス流路は、前記外側ガス孔から前記センサ素子の前記ガス導入口に達するまでの前記被測定ガスの経路中に形成され、前記センサ素子の後端側から先端側へ向かい且つ前記センサ素子の後端−先端方向に平行な流路である、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  9. 前記ガス流路は、前記外側ガス孔から前記センサ素子の前記ガス導入口に達するまでの前記被測定ガスの経路中に形成され、前記センサ素子の後端側から先端側へ向かい且つ前記センサ素子の後端側から先端側に向かうにつれて該センサ素子に近づくように後端−先端方向から傾斜した流路である、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  10. 前記ガス流路は、前記ガス導入口の配置された空間側の開口部である素子側開口部の開口面積が、前記外側ガス孔の配置された空間側の開口部である外側開口部の開口面積よりも小さい、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  11. 前記センサ素子は、前記ガス流路のうち前記ガス導入口の配置された空間側の開口部である素子側開口部から該ガス流路を仮想的に延長した領域以外の位置に、配置されている、
    請求項1〜10のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  12. 前記ガス流路は、前記素子側開口部が、前記センサ素子の後端−先端方向に平行に開口している、
    請求項1〜11のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載のガスセンサであって、
    前記外側保護カバーと前記センサ素子との間に配置され前記センサ素子の先端を覆う有底筒状の内側保護カバー、
    を備え、
    前記ガス流路形成部材は、前記内側保護カバーの少なくとも一部を構成している、
    ガスセンサ。
  14. 前記内側保護カバーには、前記ガス流路よりも前記センサ素子の先端方向に位置する内側ガス孔が形成されている、
    請求項13に記載のガスセンサ。
  15. 請求項14に記載のガスセンサであって、
    前記外側保護カバーは、前記外側ガス孔である第1外側ガス孔が形成された円筒状の胴部と、該第1外側ガス孔よりも前記センサ素子の先端方向に位置する第2外側ガス孔が形成され該胴部よりも内径の小さい有底筒状の先端部と、を有し、
    前記外側保護カバーの胴部と前記内側保護カバーとの間には、前記ガス流路により前記内側保護カバーの内部と連通する第1ガス室が形成されており、
    前記外側保護カバーの先端部と前記内側保護カバーとの間には、前記第1ガス室と直接には連通しておらず、前記内側ガス孔により前記内側保護カバーの内部と連通する第2ガス室が形成されている、
    ガスセンサ。
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